BLACK/MATRIXⅡ:ダークな世界観が魅力のマイナーS-RPG

声優の本多知恵子さんがお亡くなりになりました。本多さんというと、当ブログで取り上げたOVA版「冥王計画ゼオライマー」のヒロイン・氷室美久、

「重戦機エルガイム」のヒロイン・ファンネリア・アム

を演じていたほか、有名どころでは「機動戦士ガンダムZZ」のプル及びプルツーを演じていました。

所属していた青二プロによると、多発性ガンの為、2月18日になくなったと言うことです。まだ49歳とお若いのにとても残念ですが、ご冥福をお祈りします。

さて、ギャルゲーの土曜日ですね。本日はもしかすると誰も知らないシミュレーションRPG「BLACK/MATRIXⅡ」です。

私はⅡしかやっていないのですが、「BLACK/MATRIX」シリーズは毎回設定が異なるものの、徹底してダークな世界観で構成されているそうで、1998年8月発売のセガサターン用ソフトで第一作の「BLACK/MATRIX」では、白き羽を持つ人々が黒き羽を持つ人々に支配され、「愛」や「自由」といった現実の世界では美徳とされていることが悪徳とされている世界が描かれています。
白き羽を持つ主人公は、奴隷である自分を「愛」すると公言した(この世界では「七つの大罪」(※)の一つとされる)ために大罪人として連れ去られた「ご主人様(=ヒロイン)」を取り戻すために戦うことになります。この辺りの設定は発売前後にゲーム雑誌で読んだことがあり、よく覚えているのでうが、やはり昔から「奴隷」とか「ご主人様」というのが好きではないので手を出しませんでした。
(※)この世界では善悪が逆転しており、「平等」「自由」「正義」「友情」「弱者」「人権」「愛」が七つの大罪とされており、逆に「驕り(傲慢)」「嫉妬」「憤怒」「怠惰」「強欲」「暴食」「欲情(色欲)」が七つの美徳とされているのだそうです。うーん、ダークだなあ。

内容が内容だったせいか、完全予約限定生産で一般にはあまり流通せず、また独特なゲームシステムやシナリオがプレイヤーの心をつかんだせいか、手放すプレイヤーが極端に少なかったため、中古価格が異常に高騰したそうです。その後2000年2月にプレイステーション版「BLACK/MATRIX+」(ブラックマトリクス クロス)が発売されたそうでPS版では、ニヒルな美少年のご主人様を選択可能となり、主人公との同性愛関係に対して腐女子の皆さんの注目を集めることになり、高く支持されたそうです。……ますますやらなくて良かった(笑)。

前置きが長くなりましたが、今回紹介する「BLACK/MATRIXⅡ」2002年3月にプレイステーション2用ソフトして発売されたもので、第一作とは設定上は何ら関係がありません。03年7月には廉価版を発売されています。

魔王が治める悪魔の世界「魔界」、人間達の生きる「人界」、そして大天使長が統治する天使の世界「天界」。この三つの世界は互いに干渉する事も無く独自の社会を築いていましたが、ある日人間の軍勢が大挙して魔界を襲撃します。悪魔は壊滅的な打撃を受け、魔王も倒れてしまいます。主人公のレイジは魔王の弟で、強大な力を持っていましたが、やはり多勢に無勢で魔王もろとも倒されてしまいましたが、魔王及び魔王の血族には「死」はないため、一時的な活動停止の後レイジは甦ります。
レイジは魔王城で復活したばかりの所を人間に襲われるも、親友兼部下のギルヴァイスとヴィディアに助けられます。記憶の無いレイジに2人は戸惑いながらも、現状を説明します。人間が『邪悪な悪魔』を倒しに魔界に攻めてきたこと、魔族は魔王の存在により力を得ていましたが、その魔王が人間に倒され悪魔たちは弱体化したこと、今魔界では人間たちの悪魔狩りが横行していますが、そんな中で魔王の弟が復活したことは喜ばしいことだと2人は語ります。
未だに魔王が復活しないことが気にかかりますが、その後一行は、事態を打開すべく魔界中を廻ります。魔界四天王のパージュ、ユーニ、フォレスターを訪ねたり、天使の実態を知った人間ランガーに会ったり、天使長の命により魔界侵攻の指揮をとるレイジの宿敵エルラザクに会ったり、その妹の心優しい天使サファエルに会ったり、悪魔を絶対悪として殲滅をはかる人間リディエールと戦ったり…。
その中で少しずつ真実が明らかになってきます。天使長と魔王が、いなくなった神を生み出そうとして作り上げたのが人間であり、それは失敗作であったこと。破棄すべきだと主張した天使長に対し、魔王は人間を愛して止まなかったこと、天使が人間に「悪魔は邪悪」と吹き込んで魔界を襲わせたこと。さらに魔王が復活しないのは、魔王自身が人間に憎まれるだけだと絶望して復活を拒んでいるからだという事実。そして失われていたレイジの死亡時の記憶はこういうものでした。
人間軍が魔王城に攻め込んだ際、ジーナローズは無抵抗でその手にかかったのでした。倒れる姉を見て取り乱したレイジは、その隙をつかれて人間に背後から剣で貫かれたのでした。ジーナローズが人間を愛していたので、レイジも渋々人間を殺さず寛容でいたのですが、それを人間どもは天使どもの言葉に踊らされて魔界に攻め入った挙句、人間のことを誰よりも案じていた姉と自分を喜び勇んで殺した…!
死の間際、凄まじい形相でレイジは叫ぶ。魔王との盟約(人間を殺さない)は捨てて、記憶も封じる。次に復活した時は人間は根絶やしだ!と……
最終的には人間軍を倒して敵対勢力の目論見を阻止できれば勝利となりますが、敵対勢力は人間以外にもいて、場合によっては同族と戦うこともあります。ストーリー自体は非常に短く、主要な戦闘は数回あるのみですが、代わり分岐がいくつか分かれており、最終的な目的である魔界の平定は変わらないものの、エンディングは大きく変わります。また主人公には直接的な関係の深い人物が数人おり、彼女らへの対応の仕方によっては進むべき道も大きく変わっていきます。
ストーリーの分岐は、基本的にはこのゲームのギャルゲー要素である「ヒロインセレクト」によってなされます。ヒロイン候補は4人おり、彼女らの内、特定の誰かを大切にすればそのヒロインとのルートに進んでいきます。しかしながら守りきれなければヒロインは死に、哀しい結末が待っています。誰とも近づかずに終える方法もあり、これはノーマルルートと呼ばれます。
では主人公とヒロイン候補の紹介を。
レイジ

主人公で魔界を統べる魔王の弟です。魔王を凌ぐ力を持ち、魔界四天王の一角で「ジェネラル・テンペスト」の異名を持っています。人間軍の魔界侵攻の際に魔王共々倒されましたが、魔王の血族に死は無い為復活しまが、しかしながら全ての記憶を失ってしまっていました。基本的に正義感が強く、思いやりもある性格ですが、以前は典型的な悪魔のイメージに近い冷酷な性格でした。実の姉である魔王ジーナローズに想いを抱いており、記憶を失った後も姉に対する想いが残っています。そういう訳でヒロイン候補には実の姉が入ってきています。うーむ、このシスコン野郎(笑)。
ヴィディア

物語の最初から仲間にいる恋人未満のガールフレンドです。彼女は最初から主人公に好意を抱いていますが、主人公はそれに気付かずに明後日の方向を向いています。大剣を振り回し、最前線で戦う女戦士で、「キリングダスト」の異名を持っています。戦闘では好戦的ですが、レイジに対しては純情な乙女です。レイジが死んだ時を思い出す為、雷が苦手だったりします。ヴィディアの想いにレイジが気付けばヴィディア・ルートに入りますが、ヴィディアの生死が分かれるイベントが発生します。ハッピーエンドを迎える為にはなんとしても救出しなければなりません。

ヴィディアが魂を砕く槍によって、永遠の死を迎えた場合、あざ笑うリディエールをレイジは始末します。天使長を倒してもレイジの怒りは納まらず、彼は悪魔たちを率いて人間界に侵攻。人間を片っ端から殺戮しはじめます。もはや仇討ちではなく、殺すことが目的となっているレイジ。「最高だ…虫けらどもの悲鳴ほど心地いいものはない…」
ちなみにヴィディア死亡エンドのヴァリエーションの一つにギルヴァイスEDがあります。人間界で片っ端から人間を殺すレイジ。悪魔たちにも休息を許しません。「口を動かす暇があったら1人でも多く人間を殺せ!」やがて人間は死に絶え、悪魔たちはやっと魔界に帰れると安堵しますが、殺人狂となっていたレイジは、人間がいなくなったとたん仲間の悪魔を殺し始めます。これはまずいと思った悪魔がレイジを倒そうとしたとき、ギルが立ちふさがります。俺だけはレイジの味方だと。やがて悪魔たちも死に絶え、それでも納まらないレイジは、ギルの姿を見て切りかかります。ギルは抵抗せず、剣に貫かれても苦しそうに笑顔を見せ、最後に一言告げます。「満足…したか…?」レイジの頬を涙が伝います。「なんだ…これは…」
ジーナローズ

魔界を統べる魔王で、レイジの実の姉であり、物語の最初に出会う女性でもあります。主人公がもっとも想いを寄せていた相手で、人間軍の魔界侵攻時に命を落とします。悪魔達の長でありながら慈愛にあふれており、人間を非常に愛しています。しかしその人間に愛されないが故に心を閉ざしており、未だ復活を遂げていません。 悪魔達は魔王から力を供給されている為、彼女が死んだ状態では本来の力を発揮出来ないでいます。彼女をひたむきに想いつづけ、多少強引にでも主人公心を向けることができれば、ジーナローズ・ルートに入りますが、禁断の姉と弟故か、グッドエンドは存在しません。
魔王生存の場合……魔王復活で魔界には活気が戻り、城で悪魔たちに称えられる魔王。そんな中、レイジの心の中に暗い感情が渦巻きます。姉さんの笑顔を他の奴らに見られたくない、姉さんの力を他の奴らが受けるのは許せない……。レイジの様子がおかしいと気づいたヴィディアが近づきます。「どうしたの?──!」次の瞬間にはレイジの剣が彼女を貫いていました。堰を切ったように悪魔たちの虐殺を始めるレイジ。彼を止められる者はいません。悪魔たちは、彼は血の雨を降らせるジェネラル・テンペストであったことを思い出します。それからどの位の時間が経ったことでしょう。魔王とレイジだけになってしまった魔界。魔王「どうしてこんなことに…」
魔王死亡の場合……天使長と魔王の永遠の死により、柱を失った世界は滅びの一途をたどります。魔界でも弱い者から次々に倒れていきます。最後に残ったレイジたちも虫の息でした。そんな彼らの足元が崩れ始め、ぽっかりと口をあけたのは「無」だったのでした……
リディエール

物語の最初に戦った人間の女性です。人間軍の神聖騎士団の指揮官で悪魔を憎んでおり、全ての悪魔を滅ぼす為に戦いに身を投じた彼女は、カリスマ的指導者としてレイジの前に立ちはだかりますが、人間がなぜ悪魔と戦うのかについては知らず、ただ盲目的にレイジを追いつめようとします。彼女に歩み寄り、心を開くことができればリディエール・ルートになります。その容姿はジーナローズに似ており、心を許した相手には「リィ」と呼ばせます。

サファエル

天使軍の指揮官であるエルラザクの妹です。この世界の天使には珍しく(!)慈愛に満ち溢れ、悪魔に対しても種族を問わずに傷の手当てをしています。当然レイジに対しても悪感情は持っていませんが、サファエル自身は自分に自信がなく、自分を護ってくれる存在もありません。彼女の支えになることができればサファエル・ルートとなります。本作では唯一仲間になる天使ですが、サファエル・ルート以外ではエルラザク撃破時に「兄の墓標になる」と言ってパーティから外れてしまいます。

続いてその他のメインキャラを。
ギルヴァイス

レイジの幼なじみで、世界情勢等様々な情報に精通し、参謀として活躍します。口調は軽く、チームのムードメーカー的な存在で、愛称は「ギル」です。 ヴィディア死亡ルートではレイジを愛していることが判明しますが、「ウホッ」的な同性愛者ではないようで、レイジが他のヒロインと結ばれても嫉妬の感情など微塵も見せず、祝福してくれます。
ランガー

人間でありながら、ある理由により悪魔や天使と同等の力を持っています。大天使長メルディエズに娘を殺された為、天使に復讐するために魔界にやってきました。リディエールとは顔見知りです。冷静沈着で物知りです。遺跡付近で人間軍に囲まれているのを救うと仲間になります。
パージュ

魔界四天王の一人で、近づくものすべての力を絞り取るスクイーズの力の持ち主です。魔王が復活していない為にスクィーズの力を失っているが、そのため人に近付く事が出来るようになり、人間の子供であるアンジェラを可愛がっています。レイジ達がアンジェラを救出すれば仲間になりますが、見捨てた場合は敵対する事になります。
アンジェラ

言葉をいっさい口にしない人間の子供です。森をさまよっているところをパージュに拾われ、共に暮らしています。彼女を守る為にパージュは再び戦う決意をします。
ユーニ

魔界四天王の一人で、少女と見間違えるほどの美少年ですが、その外見とは裏腹に、四天王最強とも言える戦闘力を持っています。楽しそうに羽根をもぎ取る為、フェザサイドと呼ばれて恐れられています。綺麗な羽根は天使、悪魔問わずもぎ取り、コレクションにしています。レイジとギルの羽根は綺麗らしく、狙っていますが、ヴィディアの羽根は綺麗じゃないのでいらないらしいです(笑)。
フォレスター

魔界四天王の一人で、魔界一とも言われる頭脳の持ち主ですが、自分の造るオートマータと言う機械人形以外には興味を持たないマッドサイエンティストです。ランガーに力を与えた張本人でもあります。彼の部下?のオートマータを助けると味方になります。
マリアージュ

フォレスターの作った「失敗作」のオートマタ。ドジッ娘です。失敗ばかりしていてフォレスターを悩ませていますが、実はフォレスターは彼女が可愛くて仕方がないみたいです。
エルラザク

天使軍の指揮官で、その力は本調子のレイジと互角と言われています。理性的でクールだが、妹(サファエル)の事となると冷静さを失ってしまいます。
メルディエズ

四枚の羽根を持つ大天使長で、どのルートでも必ず戦うラスボスです。人間を唆して魔界を侵攻させた張本人であり、神の降臨に備え、全ての生命の抹殺を目論んでいます。 羽根を展開している状態では魔法でしかダメージを与える事は出来ません。

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