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ほしのこえ-The voice of a distant star-:コミック版の前に映像版を

ほしのこえ
 
 やー今日は冷えますね。久々に冬が逆襲に出てきたなという感じの帰り道でした。しかし寒いぶん、星の輝きも一層冴え冴えとして美しかったです。冬の月と星のきりっとした輪郭と輝きが好きですが、春の朧月というのもまたそれはそれで風情があるんですよね。四季のある国で良かった良かった。

 さて、明日から三連休という方も多いことでしょう。しつこいですがやらせていただきます。

ワシもじゃみんな!!

みっちゃんは、これからも連休が有るときは使い続けますよ…ボケて忘れなければですが。

 これまで金曜日に開催してきた「コミック版秒速5センチメートル精読会」ですが、先週でめでたく最終回を迎えました。よし次は同時に買った「コミック版ほしのこえ」の精読だ!と思ったのですが、よく考えたら本家である映像版の「ほしのこえ」を紹介していなかったので、まずは前段として映像版の紹介をしたいと思います。コミック精読は来週からということで。

 「ほしのこえ」「雲のむこう、約束の場所」「秒速5センチメートル」で新海誠の初期三部作が構成されていると断言しても、異論はあまりないと思います。三作に共通するのは、“時間と距離に引き裂かれる男女”を描いているという点で、その集大成が傑作「秒速5センチメートル」になるのだと思います。

小説版「ほしのこえ」

 「ほしのこえ」には正式には“-The voices of a distant star-”(遠い星の声)というサブタイトルがついていますが、以後「ほしのこえ」のみの表記とさせていただきます。本作は、2002年に公開された25分のアニメーション映画で、新海誠にとっては「彼女と彼女の猫」(2000年公開)に続く自主制作第二弾となります。小説版やコミック版が出ているところは「秒速5センチメートル」と同様ですね。

彼女と彼女の猫

 「彼女と彼女の猫」は5分と短い作品ですが、「秒速5センチメートル」における貴樹のモノローグ「ただ生活をしているだけで、悲しみはそこここへ積もる。 日に干したシーツにも、 洗面所の歯ブラシにも、 携帯電話の履歴にも。」を地で行くような日常の悲しみ・寂しさ・温もりなどが描かれているので、新海誠のルーツといえる作品なのですが、「ほしのこえ」以降の作品ほどのメッセージ性はないのと、あまりにも短編であることから、ここでは三部作とは切り離して扱いたいと思います。あ、登場する猫「チョビ」と「ミミ」は三部作にも登場してきます。

エルガイムやZガンダムでおなじみの全天周モニター
 「ほしのこえ」は、フルデジタルアニメとなり、「彼女と彼女の猫」の5倍の長さになりましたが、監督・脚本・演出・作画・美術・編集を新海誠が殆ど一人で行なっています。第1回新世紀東京国際アニメフェア21公募部門で優秀賞を受賞し、実行委員会委員長の石原慎太郎都知事(当時)から「この知られざる才能は、世界に届く存在だ!」と絶賛を浴びました。他にも 第7回アニメーション神戸・第6回文化庁メディア芸術祭 デジタルアート部門特別賞・第34回星雲賞(メディア部門)・第8回AMD AWARD BestDirector賞など様々な賞を受賞し、個人制作のアニメーションとしては他に類を見ないほどの評価をされています。ほとんど一人で作成したという事実も、こうした評価に相当の影響を与えていると思います。

リシティア艦隊とトレーサー

 先ほど述べたとおり、三部作は時間と距離に引き裂かれる男女を描いていますが、引き裂かれる理由に関しては、「ほしのこえ」が最もSF色が強く、ずばり光速の壁と「ウラシマ効果」によって引き裂かれます。「雲のむこう、約束の場所」(三部作では一番長くて91分もあります)では、違う歴史を持つもう一つの日本・世界や、平行世界との交信といったSFガジェットが扱われており、原因不明の睡眠障害で眠り続けるヒロインは、平行世界に精神が閉じ込められるという形で主人公と引き裂かれています。「秒速5センチメートル」はご存知のとおり、SF的要素はほとんどなく、日常生活の過ごす中で時間と距離に引き裂かれていくという哀しい恋を描くことに成功しています。そして、“時間と距離に引き裂かれた男女”がどうなるのかについては、前二作では持てたハッピーエンドか?という淡い期待を見事に粉砕してくれたのでした。

リアルなタルシス

 「ほしのこえ」のストーリーですが、2039年、火星のタルシス台地で異星体の遺跡を発見した人類はそのオーバーテクノロジーを入手することで科学技術を格段に進歩させますが、調査隊はタルシアンと呼称されることになる異星体の攻撃で全滅してしまいます。人類は国連宇宙軍を組織し、ワープ可能な宇宙戦艦と人型機動兵器「トレーサー」を開発します。

昇と美加子

 2046年、中学三年生の長峰美加子と寺尾昇は相互に淡い恋愛感情を抱き、同じ高校に進学することを夢見ていましたが、美加子が適性検査によって「トレーサー」のパイロットに選ばれたことで離ればなれになってしまいます。旗艦「リシティア」に乗り込んだ美加子は、携帯で昇とメールのやりとりを続けますが、火星・木星・冥王星と地球から遠ざかるにつれて光速の壁によってメール送信の時間が長くなるようになり、ついにはタルシアンの攻撃により8.7光年先のシリウス星系にまで赴くことになってしまいます。

タルシアンと接触

 シリウス星系の惑星アガルタで、美加子は届くのに9年近くかかるメールを送信しますが、タルシアンの攻撃を受け、ただ一隻となってしまった母船「リシティア」を危機から救うため、ビームサーベルのリミッターを切るという危険を冒して……

戦闘に入る美加子

 一方、地球で美加子を待つ昇は、その間にとっくに成人しており、ある目的のために軍への入隊を希望します。彼の目的とは……

 といったところでしょうか。映像版では人間キャラは美加子と昇のほぼ二人だけですが、花苗的(あるいは水野さん的)キャラがちょっとだけ出てきます。CVは、なんとオリジナル版では新海誠自身が昇を演じていますが、おそらく声優版を見た方が無難でしょう(笑)。

エヴァンゲリオン第23話「涙」の一シーン
美加子とミカコ

 惑星アガルタにおいて、美加子は美加子の姿をしたタルシアンと会話しますが、そのシーンはエヴァンゲリオン第23話「涙」での綾波レイとレイの姿をした使徒との会話を思い出しました。「貴方たちに託したいの」という言葉とは裏腹に執拗に戦闘を仕掛けてくるタルシアン、その真意とは?これについては映像版でははっきりしないのですが、コミック版では理由が判明します。

トレーサー、ミサイル発射!

 今より30年以上先の未来だし、オーバーテクノロジーも入手しているのに、携帯だけは現在よりちょっと古い感じなんですよね。もっとも(母船の支援があるのでしょうが)恒星間でもメールできるんだから本当は凄いメカなのかも知れません。あと惑星アガルタ、生命に充ち満ちすぎです。楽園かここは(笑)。

惑星アガルタにて

 コミック版はサブキャラも増えて、ストーリーにも若干の変更がありますが、「秒速5センチメートル」と同じく映像版より詳細な描写が入るようになっています。

 ということで、映像版は皆さん各自で予習していただくとして、来週からコミック版の精読会を始めますので、よろしくお願いします。
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