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今年のブログ活動を振り返る:ブログ一年生の活動ぶり

 
 いやー今年も押し詰まりに押し詰まり、いよいよ大晦日です。今年も色々ありましたね。ありすぎてとても総括はしかねますが、個人的にはこのブログは始めたことが非常に大きかったですね。それまでに較べてやたら多忙になった感があります。5月からスタートして本日で235回。一応毎日更新したので皆勤賞ものなのですが、誰かノートとか鉛筆くれないでしょうかね。象印賞でもいいですが。

象印賞の賞品

 さて本日は、このブログの一年を振り返って見ようという久々にカテゴリー「その他」ネタです。誰得かと言われれば俺得でしかないのですが、一応一年間(ブログ一周年にはまだ満たないのですが)の総括をしておきたいなと思います。

 スタートは5月11日(金)。拍手を入れてくれてコメントしてくれたのは“Great Old Friend”のshobunoさん。ブログ始めますという告知はごくわずかにしか行わなかったことと、そもそも「僕は友達が少ない」状態なので(あんなに美少女ばかり現れることは私の人生にはありえませんが)。shobunoさんは2010年10月からブログを始めている私の先達さんなのです。Great Old Ones はクトゥルー神話では“旧支配者”と訳されていますが、それをもじっての“Great Old Friend”。旧親友とでもいうべきでしょうか。ここでいう「旧」は“以前”ではなく“古い”というニュアンスです。shobunoさん、ありがとうございました。あなたの勧めがあってこそ、今のブログがあります。

 ここまでのカテゴリーは、多い順に表記すると

① 本:49件
② アニメ:40件
② ゲーム:40件
④ 音楽:36件
⑤ マンガ:18件
⑥ 声優:14件
⑦ アイドル:11件
⑧ 映画:10件
⑨ その他:7件
⑩ 自作小説:6件
⑪ 海外:4件

となっています。未分類はゼロにしたいと思っていたので現状ゼロはまさに計画通り。

計画通り

 そんなに悪そうな顔しなくてもいいのですが(笑)。何でも入ってしまうドラえもんの四次元ポケットないしほむらの盾のごとき「その他」もなるべく増やしたくないと思っているのですが、一桁に押さえ込めたのでまあ良しとしましょう。

 記事が一番多いのは「本」。初期の頃、ネタがなくて苦し紛れに「ポケットジョーク」を取り上げたのが始まりでした。以後手持ちの本を紹介していたのですが、7月19日に冲方丁の「マルドゥック・スクランブル」全三巻を取り上げて以降、図書館から借りた本を紹介するというパターンが確立して最多記事数のカテゴリーとなりました。といって読んだ本を全て取り上げている訳では無く、つまらないと思った本は“黙殺”している訳ですが、私の記事を見て読んだけど面白くなかったということはあると思います。それも感性の違い故、どうかお許しを。

 二位は「アニメ」と「ゲーム」が同数ですね。ここまででこのブログの三本柱となっています。実は四位の「音楽」にももう一踏ん張りして貰ってカテゴリー四天王としたいと思っています。なあにアニソン取り上げればすぐですけどね。ちなみに新年一発目は「本」、二発目は「アニメ」の予定です。

 五位は「マンガ」。思いの外少なかったなと言う印象です。継続中の「コミック版秒速5センチメートルを読む」は不定期にあと5回やる予定なので、20台突破は時間の問題ですが、四天王に追いつくのは難しそうですね。

 六位は「声優」。9月20日開始という当ブログで一番新しいカテゴリーなのですが、事実上「声優の日曜日」が生まれてしまったせいで件数を稼ぎました。せっかく始めたので二桁はいきたいと思ったからですが、今後も継続するものの、不定期化するのではないかと。好きな声優はたくさんいるのですが、ラジオは好きだけどアニメやゲームのキャラとしてはあまりお目にかからない人(高橋美佳子・阿澄佳奈など)とか、一発大きい代表作はあるけど最近どうなの?的な人(平野綾など)などは取り上げにくいなあと。語れない訳ではないのそのうち手を出すかもしれませんが。とりあえず1月6日は「くぎゅ」ことツンデレ女王・釘宮理恵をいってみようかと思っています。

 七位は「アイドル」。非常に激しい偏りを見せている(笑)カテゴリーです。今後は昔のアイドルとかも紹介していこうかと思いますが、音楽のカテゴリーで語ってしまうことも多いのです。アクセス解析によると壇蜜さん関係はアクセス稼ぎに非常に貢献しているようなのですが、今後は「脱壇蜜」で行きたいと思います。ブログ開始当時はまだまだマイナーだったのですが、今年終盤に来て完全にブレイクしたので、このブログで紹介する必要はもはやないというか、むしろ仇になってはいけないなと。

 八位は「映画」。これはもっと増やしたいのですが、最近映画を見ないので順位アップは絶望的。九位の「その他」に抜かれないようにしたいのですが。

 十位は自作小説。6本と非常に少ないですね。ブログを作っているとなかなかモチベーションと余裕がなくて(言い訳はいい!)。実はバッシュさんが運営されている「流璃子の衣」というHP(http://ruriko.org/)に昔の私のSSが掲載されています。18禁サイトなので18歳以上で興味のある方は一度ご覧になってみて下さい。ただし、25年前に週刊少年ジャンプに連載された「ゴッドサイダー」というマンガを知らないとよくわからないかも知れません。このHPの「欲望の部屋」というコーナーに、「ゴッドサイダー」のヒロイン流璃子を扱ったSSを何本か掲載していただいています。掲示板ではメッセージのやりとりもしていたのですが、そちらは消えてしまったようです。先ほど言ったように「ゴッドサイダー」を知らないとあまり面白くないので、漫画喫茶などで一度「ゴッドサイダー」を読んでから見て頂くとよろしいかと。Amazonでも買えますが、同じ作者による「ゴッドサイダー・セカンド」や「ゴッドサイダーサーガ神魔三国志」とお間違えなく。

 最下位は「海外」。もっといけるかと思ったのですが、これのカテゴリー設置は失敗だったかな…。自分の海外生活とか旅行の想い出を書いても面白がっていただけるかどうかということで、今後も伸びが期待できませんね。

 続いてランキングの話。とりあえずサブジャンルのサラリーマン・OL部門の話で進めていきたいのですが、これまでの最高順位は12月25日の24位。二位は同26日の40位。三位は同27日の42位です。年終盤になって従来の記録を一気に更新しました。

 ブログランキングはわりと早い時期からチェックしていたのですが、ブログで取り上げたのは6月24日が初めてで、その時は1730位でした。当時は600位くらいに入りたいなんて、今からするとやたら殊勝なことを言っています。たった半年前のことなのに今との落差は一体何だ(笑)。7月5日には939位と三桁に突入し、同月21日に607位、同24日に482位。その後500-700位あたりを前後していましたが、8月10日に474位、同12日に425位、同13日に354位、同14日に217位となりました。この時点では100位目標と言っていました。あらまあ我ながら可愛いことを。

 8月16日に71位を記録しました。お盆だからか!これはなかなか破られない最長不倒記録として長く残ると思われました。この頃はアクセスカウンターを設置していたのになぜか機能せず、何もしていないのに突如起動したのは8月31日でした。9月8日にカウンターについて言及していますが、当時は一日70以上のアクセスだったようです。今はだいたい200アクセス超え…隔世の感がありますね。9月24日には219で最多アクセスだと言っています。当時ランキングは138位でした。以後コンスタントに三桁のアクセスがあった模様です。自分で記録しておいて「模様」もないもんですが、もう覚えていませんので(笑)。やっぱり日記部分は必要ですねえ。

 10月8日に252アクセスで85位、同15日に84位。8月31日に起動したアクセスカウンターは10月19日に6000アクセスを越えました。この時点では平均120アクセス程度ですね。同22日には81位、同30日には82位となり、二桁もあまり珍しくなくなりました。11月3日には1万アクセスを突破。平均156アクセス程度ですね。同5日には60位となり、久々に一位記録を更新しました。アクセスは333アクセスでこれも当時は最多です。同30日に1万6000アクセスを突破しました。このころ平均200アクセスを突破するようになりました。

 その後ランキングはしばらく三桁だったようですが、12月2日に407アクセスを得て64位になりました。同3日は63位。同8日には418アクセスを記録しました。同15日には2万アクセスを突破し429アクセスを記録。同16日には448アクセスで55位になりました。
同17日は52位に。「50位の壁」とか言っていたのはつい2週間前か。

 そして同24日に477アクセスを記録し、25日には24位という過去最高のランキングを獲得しました。ちなみに31日のランキングは51位。これも高い!12月で冬休みに入ったせいか、非リア充(ワシもじゃ!ワシもじゃみんな!!)が集まるせいなのでしょうか。正月はランキングの更新があるのかどうかわかりませんが、来年も皆さんが楽しめるような記事作りをしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。FC2ブログランキングも設置しており、押して下さいと頼んでおきながらなんですが、こちらについてはあまり話題にしてきていません。これとアクセスランキングは別物で、FC2ブログランキングはあくまで押して貰った数のカウントらしいので。しかも設置すればFC2以外のブログも参加しています。

 さて最後に私が最も欲しいコメントと拍手の話を。

 私の返事を除くコメントの多い記事は、「3」でした。「4」以上がないのが哀しいですね。以下の記事が「3」でした。

◇ 黒歴史?アイドルのキャッチフレーズ(5月31日)
◇ ペイネ~愛の世界旅行:ああ帰りたい…(6月4日)
◇ 「秒速5センチメートル」二次創作“トゥルー・エンド”:距離に負けない想い(第3回)(6月20日)
◇ 魔法少女まどか☆マギカ考察:美樹さやか(その2)(7月16日)
◇ 麦の海に沈む果実:「水野理瀬シリーズ」の魅力(8月10日)
◇ 氷菓(その1):省エネ指向の学園推理ドラマ~「えるはラブリー」?(10月4日)
◇ 中二病でも恋がしたい!(その1):邪気眼系中二病患者達の激闘(11月7日)
◇ 好きな声優さん(その7):伊藤静~「私の嫁」声優(11月11日)
◇ ラングリッサーⅠ&Ⅱ:正統S-RPGながらキャラがギャルゲー(12月1日)

 特定カテゴリーに偏ることはなかったようですね。今後はコメント殺到記事を狙っていきたいものです。必ず返事はしますので、お気軽にコメントいただければと思います。

 次に拍手のベスト5は以下のとおりです。拍手は本日現在全部で45しかないので、ちょっとショボい結果ですが。

9:私の奴隷になりなさい:生き方の相違について考えさせられる(6月29日)
5:ファイブスター物語(5月15日)
4:「秒速5センチメートル」考察(その4):渡せなかった手紙(6月14日)
3:恐怖新聞(5月21日)
2:世界に誇るボサノヴァ・シンガー 小野リサ(5月17日)

 初期の記事に集中していますが、特に「私の奴隷になりなさい」が20%を全体の占めるという結果に。レ○プマンネタが効いたのか?いやいや多分検索によるヒットでしょうね。

 面白いと思って頂けたら、拍手もぜひ下さい。誰が拍手ボタンを押したのかは決して判りませんのでこちらも気軽に押して頂けると大変励みになります。是非ともよろしくお願いします。

 2012年は大変お世話になりました。2013年もよろしくお願い致します。
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小説:パラダイム・シフト(後編)

妖艶さと優雅さと繊細さを

 今日も雨です。この冬は寒いし雨多いしいつもとちょっと違いますね。♪外は冬の雨まだ止まぬ♫という歌が昔あったけど、本当に冷たくて暗くて陰鬱ですね。あんまり積もらないのなら雪の方が綺麗でいいのですが。

 さて拙作も最終回。実は今年のGWに作成したもので、「雨傘番組」としてここまで温存しておりました。もうこれでスッカラカン。ストックはもうありません。

 パラダイム・シフト(後編)

7

 一体どれほどの時間が経過しただろう。その空間には時の感覚がなかった。食事も睡眠も必要なく、ただ欲情だけが存在した。何日か、何週間か、あるいは何年かもかけて、正気を失った僕は欲望の命ずるままに彼女を堪能し、味わい尽くした。かつて僕に告白に来た数多の女生徒達。その度に心の片隅に浮かんでは、厳重に封印してきた様々な欲望。その一つ一つを余さず彼女にぶつけた。ありとあらゆる体位で彼女を貫き、全身を曲げ、吸い、舐めつくした。僕を含ませ、全身に奉仕をさせた。
 
 また彼女を縛め、様々な道具で苛んだ。目隠しをした彼女の背に熱い蝋を垂らし、鞭打った。三角の木馬に載せて彼女の足に錘を重ねた。僕自身が気付かなかった、心の奥底に封印していた様々な欲望達は、彼女を過酷に責め続けた。手錠、足枷、よだれ玉、浣腸、刺青、様々な場所へのピアス…僕が満たそうとする欲望はもはや拷問そのものだったが、彼女はその全てを無抵抗で甘受した。ご主人様と嫋々と訴える声。許しを懇願する声。喘ぎ。悲鳴。おびえた表情。見開かれた目。彼女はそのことごとくが美しかった。

8

 気付いた時、僕は職員室で制服姿の彼女と向かい合っていた。時刻は…午後8時前。

 彼女に何か…何か言わなければ。だが、何を言えばいいのだろう。

 「あ…あの…」

 「堪能したかしら。」

 にこやかに彼女が言う。まるで何もなかったかのように。

 「ぼ、僕は…君に…なんてことを…」

 「気にしなくていいわ。あれが補正措置、つまり私が望んだことでもあるのだから。それよりも…」

 彼女は振りむいて時計を確認する。

 「気付いているでしょうけど、時間は少し巻き戻してあるの。もうすぐ学校一の美少女が来るわ。先生に愛の告白をしにね。テイク2だけど。」

 魅力的なウインクを僕に一つ。

 「補正措置は完了したわ。もうこれ以上の介入はありません。お別れよ、先生。…さようなら。」

 ふと寂しげは表情を浮かべた彼女は、次の瞬間拭い去られたように消えた。

 僕の心にぽっかりと空虚な穴が開く。あれは、あの体験は幻だったのか。でも僕の記憶には刻み込まれている。彼女を責め、苛み、愛したことを忘れられる訳がない。

9

 職員室の横開きのドアが静かに開き、僕が担任を務める3年C組の夏目千鶴が姿を現した。可憐な顔に緊張感を漲らせている。彼女が要件をもう僕は知っている。そして、彼女を襲うその後の運命も。

「せ、先生…。あの…お話があるんですが…。」

 おずおずと話しかける女生徒。僕はどうすればいい。僕は救いを求めるように思わず耳を澄ませる。しかし、周囲には彼女の気配すら感じられなかった。

 そうだな。僕ははっきり理解した。彼女はもうこの世界に干渉しない。あれはあくまで例外的な出来事だったんだ。『この世界を回していくのはこの世界に住む者の務めです…良かれ悪しかれ。』彼女の言った言葉が胸の中で蘇る。そう、良かれ悪しかれ僕の行動は僕自身が選択しなければならないのだ。そして、もう悲劇を起こすわけにはいかない。

 「こんな時間にどうしたんだい、夏目君。まあそこのソファに座りなさい。」

 僕は微笑みを浮かべて彼女を手招きした。

 応接のソファで向かい合う。硬い表情の女生徒は膝の上に組んだ両手をもじもじと動かしている。きっかけは僕が作ってあげよう。

 「さあそれで…こんな夜更けにわが教会にどんな御用ですかな?」

 彼女の緊張が少しほぐれる。彼女は愛の告白を始めるだろう。ここまではさっきと全く同じなのだから。

 「先生…。あの、ご迷惑だとは思いますが…どうしても先生にお伝えしたいことがあって…」

 うつむきながら言葉を探す様子がいじらしかった。

 「何かな?何でも言ってごらん。僕で力になれることなら何でもするよ。」

 穏やかな微笑みとともに、これまで幾多の女生徒に言ってきた台詞を繰り返す。

 「先生…私、先生のこと…とてもお慕いしているんです。」

 「そう、ありがとう。生徒会長にして優等生。さらには学校一の美少女の夏目君に慕われるなんて、教師冥利に尽きるね。」

 「先生…どうか茶化さないで下さい。先生に奥さんも子供もいることは知ってます。でも…でも、私はもう自分の心を押さえることができないんです。」

 真剣な表情。紅潮した頬。一途な瞳。

 「好きです…好きなんです、先生。どうしようもなく、先生が好きなんです!先生のことを想うと、心が苦しくて、切なくて…」

 「そうか。ありがとう、夏目君。」

 ここまではリハーサルの通り。だが次の瞬間、僕の口はこれまでにない言葉を発した。僕の本音を。

 「夏目君。いや、千鶴と呼ばせてもらうよ。僕も君のことが好きだ。好きだよ、千鶴。教師と生徒という高い垣根を飛び越えるほどにね。」

 「あ…ああ…」

 千鶴の瞳が喜びに震える。

 「世間は不倫と呼ぶだろう。だが、僕の君への想いは純粋なんだ。千鶴…君は、僕を受け入れる勇気があるかい?」

 「は…はい!先生、私、本当に嬉しいです!」

 僕達は立ち上がり、ひしと抱きしめ合う。千鶴が顔を上に向けて瞳を閉じる。かすかに開いた形の良い唇。僕はためらうことなく口づける。僕の背中に回された彼女の腕に力がこもる。

 しばらくして彼女の口腔に舌を差し込む。少し驚いたように彼女は首を仰け反らせたが、やがて優しい舌がおずおずと僕に絡みついてくる。

 僕にはもう何のためらいもなかった。40数年間の保持し続けてきたモットー、“清く正しく誠実に”。それ自体は間違いではない。しかし、その一方で僕は心の裡に生じた様々な欲望を抑圧し封印し続けてきた。それらの欲望は、強く抑えつければ抑えつけるほどに呪怨となって不幸をもたらし続けてきたのだ。それこそが、世界を滅ぼしかねない原因だった。今の僕にははっきりと理解できる。幸福を願いながら不幸な結果を招き続けてきたのは、虐げられた僕の欲望達の呪怨だったのだ。そして、彼女は怪物のような僕の呪怨を一身に受け止め、その欲望を満たすことで、浄化してくれたのだ。

 世界を維持するという彼女の意志に沿うためにも、これからの僕は、心に生じた欲望に素直に生きていこうと思う。不倫とも二股とも、言いたければ好きに言うがいい。世界が滅びるよりはましじゃないか。

 その時、愛らしくウインクした彼女の顔が脳裏に浮かんだ。

 “君の『補正措置』は成功したみたいだよ。もう世界は大丈夫だね。”

 僕の想いを聞き届けたかのように、彼女の微笑みが薄れていき、目の前の千鶴の顔に重なった。さあ、僕はこれから千鶴と『許されざる恋』に没頭するとしよう。外で待ち伏せているはずの不良が、諦めて立ち去るまでね。

(了)



 ……ということで終了です。お読みいただきありがとうございました。

 あとがきというほどでもありませんが、モデルなど。まず“人外”の彼女のモデルはもうおわかりのとおり壇蜜さんです。

人外の彼女役はこの人

 天使も悪魔も両方こなせる希有な女優さんになって欲しいですね。その力は既にあると見た。妖艶さばかりに注目が集中していますが、清楚な雰囲気だって出せる人なんですよ。

天使役も悪魔役も思いのまま

 そして夏目千鶴は高田里穂。

志摩子役の里穂

 現役美人女子高生ではピカイチですね。ひどい目に遭わせてしまってごめんなさい。時間は巻き戻されて「無かったこと」になってますので。

制服姿の高田里穂

 セーラー服もいいですが…

清楚な魅力の里穂
 
 私服姿も清楚でいいですね。

眼鏡っ娘の里穂

 眼鏡っ娘もグー。賢そうです。

 ですが、本来「夏目千鶴」という名前は、私が壇蜜さんに勝手に贈ったものなのです。だって……

優等生風の壇蜜さん

 ほら、いけるでしょう?一人二役でいいなあと思っていたのですよ。

セーラー服の壇蜜さん1

 まあ映画でもセーラー服姿を見せているそう(見てませんが)なのですが、一歩間違えれば失笑を買うところ、エロスで押し切っているあたりは流石美魔女予備軍。ご本人は「永田農法」ということで特別なケアはしてないそうですが、素材がいいんでしょうね。

セーラー服の壇蜜さん2

 ただ、この夏目千鶴が告白してきたら加藤先生も最初から陥落していたような気がするので、ここは現役の高田里穂に譲ってもらいました。

小説:パラダイム・シフト(中編)

 
 
 アクセス数が25000を突破しました。年内突破を目標としていたところ、29日に達成ということになりました。ご訪問の方々、ありがとうございます。

 それでは拙作「パラダイム・シフト」の中編をどうぞ。

 パラダイム・シフト(中編)

4

 突如、彼女の横に液晶テレビのようなスクリーンが浮かび上がる。

 「いい?困っている人を助けたら感謝されて金品を貰った。憎くてたまらない人を計略で陥れたら絶望して自殺した。」

 スクリーンには彼女の言った例がドラマのように表現される。

 「こういう場合、私は善行だろうと悪行だろうと一切介入しません。行動と結果がマッチしているから。たとえ核戦争で何億何十億の人が死のうと、戦争するんだ、敵を滅ぼすんだ、勝つんだというような意志の下で行われるものなら、これも放置ね。」

 「それはちょっとひどい。君は人間を導くことすらしないのかい?」

 「言いたいことは判るわ。でも私の意思や行動を人間が理解することはできないでしょう。だから弁解も説明もしないわ。」

 人智を超越したものを人智で理解することはできないということか。悔しいが、彼女を前にするとそれが正しいことが痛いほど判ってしまう。僕は反論を諦める。

 「それで…、君の説明と僕がどういう関係に?」

 「些事に執着しない姿勢は賢明ね。それじゃ説明を続けさせて貰うわ。」

 悔しいが彼女に褒められると嬉しくてたまらない。神の祝福とかってのはこういうものなのだろうか。

 彼女の横で画面が切り替わり、青い矢印が現れる。

 「右に行こうとして右に行く。これは問題ない。右に行こうとしたけど実際には全く動けなかった。これもまあよくある話。でも…」

 もうひとつ、逆向きの赤い矢印が現れる。

 「右に行こうとしたのになぜかど左に行ってしまう。こういうの現象が問題なの。」

 彼女は何を言っているのだろう?

 「先生、あなたは彼女達の幸福を願うが故に、彼女達の望みを拒絶し、あなた自身の欲望を抑圧してきました。あなたのその願望が切実で一切の嘘を含まないことは確かです。ですが…」

 再びマニュアル口調になった彼女の美しい顔に憂いに沈む。

 「あなたのその願望の結果、彼女達が一層不幸になっていると言ったらどう思いますか?」

 僕は愕然とした。ぽかんと口を開けていたかも知れない。

 「そ、それは…どういうこと?訳がわからないな。」

 「そうね。では実例をお見せしましょう。」




 スクリーンにはがっくりと肩を落とし、うなだれて暗い廊下を歩き去って行く女生徒の後姿が映っている。仕方がなかっとはいえ、傍目にも痛ましい。

 「あなたは彼女―夏目千鶴の幸せを真に祈って彼女を拒絶した。ところがそれがどういう事態を招いたかと言う と…」

 暗がり。叢に押し倒される少女。その上に襲いかかる革ジャンの男。

 「彼女、以前から不良に付き纏わられていたようね。夜遅くに一人で下校するなんて、彼にとっては好機そのものとなったのでしょう…」

 驚愕と恐怖に目を見開く女生徒。大きな悲鳴をあげようとする彼女の唇を男が奪う。くぐもる悲鳴。必死に抵抗しようとする女生徒の両手を左手一本で易々と封じると、男の右手が膝を割り、スカートの中に侵入していく。

 僕は大慌てで立ち上がる。

 「彼女はどこにいる!助けなきゃ!!」

 しかし目の前の美少女は悲しげに首を振った。

 「もう遅いわ。これは2時間位前の出来事なの。」

 「そんな!どうして助けてあげないんだ!いや、せめて僕にすぐに知らせてくれていたら!」

 そうしているうちにも事態は進んでいく。男が一気に腰を前に進めた。地面に押さえつけられた女生徒の背が弓のようにしなり、激痛を伴った悲鳴を上げる。それを意にも介さず、男は彼女の上で淫らに蠢き始める。彼女の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。

 「…さっきも言ったとおり、基本的に私は世界に介入しないの。あの男は彼女に邪な想いを抱き続け、こうしてチャンスを掴んで欲望を満たそうとしている。意志と行動の因果関係は極めて適切。だから…」

 制服を無残に引き裂かれ、壊れた人形のように横たわる彼女。男はせわしなく腰を動かしながら、身体を倒していき、肩を抱き、まるで彼女の裸身と一つになろうとするかのように密着する。彼女の清らかな首筋を男の舌が這う。

 「私は彼を妨害することはできない。彼女を救うこともできない。彼らは共に自らの意志で行動した結果、こういう事態に至っている。」

 「しかし…!しかし、それにしたって何か手段がないのか!こんなのは酷い。酷すぎる。」

 男が女生徒の耳に何かを囁いている。お節介にもスクリーンからはその声までが再生される。

 「へへへ…ち・づ・るぅ…俺はずっと前からお前を狙ってたんぜ…。いいぞぉ、千鶴。たまらねぇぜ。くくっ…。これでお前はもう俺の女だ。一生離れないからなぁ。逃げようとしたらぶっ殺す!」

 男のおぞましい囁きを聞くまいとする激しく首を振る女生徒。しかし男は執拗に分厚い唇を形の良い耳に寄せていく。

 「いくぞっ…千鶴ぅ……っ!」

 身に迫まる危険にたまらず女生徒が悲鳴を上げる。

 「い…いやあっ!許してっ!」

 「ち、千鶴…千鶴ぅ…おおお…!。」

 「先生っ…先生、助けてっ!お願いっ!」

 「千鶴っ!千鶴ぅ…っ!!」

 野獣のような男は絞り出すような唸り声を上げ、背を大きく仰け反らすと汚らわしい情欲のしぶきを夥しく放った。

 「!!……いやあああぁぁっ!」

 あまりの汚辱感。女生徒は男の身体の下で、顔を仰け反らせて泣き叫ぶ。

 男は執拗に蠢いた後、がっくりと美少女の身体の上に覆いかぶさる。女生徒の悲鳴は嗚咽に変わっていた。

 「…先生…先生、ごめんなさい…」

6

 僕は机につっぷして号泣した。

 「何てことだ!一人で帰すべきじゃなかったのに!どうして送ってやらなかったんだ!」

 額を机に何度も打ち付ける。体中の血が逆流するかのような怒り。僕はあいつを…いや、僕自身を許せない。

 「およしなさいな。そんなことをしてもどうにもならないわ。」

 僕はがばっと顔を上げ、彼女に懇願する。

 「僕を、僕を罰してくれ!彼女が助かるのならどんな罰でも受ける!」

 表情をなくした彼女が氷のように冷たい声で答える。

 「私は誰も罰しない。ただ、これから伝えることは、あなたには罰のように思えるかも知れない。」

 僕はぎくっと身体の動きを止める。まだ、まだ何かあるのか?彼女はまるでロボットのように抑揚のない声で告げる

 「これは初めてのケースではない。あなたに告白し、拒絶された女生徒達は、形態は様々ながら、悉く大きな不幸に陥っている。あなたの願いと裏腹に。」

 「な、な…」

 驚愕で口が回らない。喉がからからだ。どんなに喘いでも酸素が肺に入っていかない。

 「その他にも…あなたの妻は結婚前まで三代前の校長の不倫相手だった。関係を清算するためにあなたは押し付けられた。でも、あなたと結婚後も不倫関係は継続した。二人の子供の父親はあなたではない。」

 血の気が音を立てて引くようだ。今の僕の顔は青いのか白いのか。身体が揺れる。なぜ立っていられるのだろう。

 「あなたは全身全霊で妻子を愛してきた。それが判っているあなたの妻は、良心の呵責に耐えられず、精神を崩壊させつつある。心当たりがあるはず。」

 ある。些細なことでヒステリックにわめきちらし、食器や家具を破壊し、子供達に当たりちらす妻。僕の愛情が足りないせいかと、そのたびに誠心誠意愛情を示してきたつもりだったが…。

 「そう、あなたが妻の平穏と幸福を願えば願うほど、妻の精神は絶望的に病んでいく。」

 能面のようだった彼女の表情に悲しみが浮かぶ。

 「あなたはずっとそうだった。人の幸福を願い続けているのに、不幸な結果を招く結果となる。そして今回、もはやそれを座視することはできなくなったの。」

 彼女の声が神々しく響く。

 「加藤誠…あなたもこの世界の住人である以上、本来私が介入することは許されません。ですが、あなたの“想い”と“結果”のあまりに膨大な乖離は、世界に重大な影響を及ぼしつつあります。先ほどの夏目千鶴の一件で、それは危機的段階に至りました。このままでは…」

 彼女は僕に歩み寄り、息のかかるほどの距離から僕の目を見上げる。

 「あなたの“想い”と“結果”の相反するベクトルの積み重ねにより、この世界は今引き裂かれつつあります。もうすぐ世界そのものが崩壊するでしょう。それを防ぐため、私は介入を決意して顕現したのです。」

 至近距離から神々しい彼女の美貌を見つめて僕は息を飲む。

 「い、一体…僕は、どうしたら…」

 突如彼女は僕にしなだれかかった。柔らかくかぐわしい身体のぬくもりを。その白く細い両手は僕の背中に回された。

 「あなた自身に責任がないことははっきりしていますが、世界は救わねばなりません。故に、これより補正措置を講じます。」

 僕を見上げる彼女の表情はどうしようもなく魅惑的だった。潤んだ瞳には僕を求める欲情がはっきりと浮かんでいた。

 「加藤誠。私を抱きなさい。あなたが抑圧し続けてきた欲望を全て解き放ち、あなたの本能の赴くまま、私を好きにして下さい…」

 何かが僕の中で吹き飛んだ。自分自身で気がつかなかった名状しがたき感情が心の奥底から一気に這い出してくる。

小説:パラダイム・シフト(前編)


 早朝の更新で失礼します。ちょっと所用がありまして。本日は久々に拙作を掲載させていただきます。3回の予定です。だいぶ前に書いてshobunoさんと壇蜜さんに送ったのですが、何の反響もなかったというある意味「問題作」ですが(笑)。

 それではよろしくお願いします。


パラダイム・シフト(前編)

1

 ふと顔をあげて向かいの壁にかかった時計を見たら午後10時過ぎだった。職員室に一人きりになってもう2時間か…。僕は両手を突き上げて大きな伸びをする。肩がばきばきと音をたてて鳴るほど凝っている。大き目な湯呑の底に残っている冷たくなった出涸らしのお茶をぐいっとあおり、さあ今日こそは午前様になる前に帰ろうと試験問題作りを再開しようとしたまさにその時、目の前に彼女が現れた。

 艶やかな黒髪は腰近くまで伸び、人間離れするほど整った顔には宝石のような光が瞬く大きな瞳がじっと僕を見つめている。わが校の制服をきっちり着こなしたその姿はいかにも模範的な生徒だったが、今の時刻が問題だ。

 「君……一体どうしたんだ、こんな時間に?何か忘れ物でも…」

 もっと重要なことに気付いていながら、僕は間の抜けた質問をしてしまう。口角をわずかに上げた、くすっいう笑いとともに、彼女はその美貌に見合ったやや低めの深く穏やかな声を聞かせてくれる。

 「……そんなことより、もっと大事な質問がおありじゃありません?清正先生。」

 彼女は僕の綽名を知っていた。わが校の生徒なら当然といえば当然なのだが。

 「あー…失礼かもしれないが、君はここの生徒なのかい?ちょっと似てる子がいると思ったが勘違いのようだ。よく見るとどうも見覚えがないようなのだが。」

 2時間ほど前に泣きながら去っていた女生徒のことを想い浮かべながら僕が言うと、彼女はにっこり笑う。大輪が咲いたような笑顔で、職員室が急に明るくなったような気がする。

 「そう、それです清正先生。私はここの生徒じゃありません。この制服はまあ便宜上の措置です。いきなり先生を驚かせないようにという。私は…」

 「生徒じゃない?こんな時間に、部外者が、わが校の制服を着て、こんなところで、何をしているんだ?だいたい僕の名字は加藤であってだね、生徒達はともかく部外者がそういう呼び方をするのは…」
 
 思わず彼女の発言を遮って、僕は頭の中からあふれ出てきた疑問をぶつけてしまう。しかし、彼女が右手を優雅に挙げて僕に白い手のひらを見せると、僕の口はおのずと閉ざされてしまう。

 「落ち着いてくださいな、先生。今お見せしますから。」

 そして軽やかにジャンプすると、通路を隔てて僕の机の向かいにある毛利先生―そういえば彼にも「そうせい公」という綽名があったな―の机に愛らしくちょこんと腰を載せた。次の瞬間、彼女はまばゆい光につつまれる。その光は一瞬で消えたものの。



 「う、うわっ…き、君は…一体?」

 顔は確かに彼女のままだった。しかし、高校生離れした美しいプロポーションを見せる身体には、張り付くようにぴったりした薄物がごくわずかに身体を覆うのみ。真っ白な肩や腕を露出し、婀娜っぽく組んだすらりとした両脚もその付け根近くから艶めかしい素肌を覗かせている。いや、それは大したことじゃない。彼女の背中からは純白の羽毛の翼と蝙蝠に似た漆黒の翼が、一対ずつ四枚も伸びていた。そして艶やかな黒髪からはやはり漆黒の細長い角が2本突き出し、その周囲には白金色に輝く環が浮かんでいる。

 「ご覧のとおり、人外なの。人によって様々な姿に見えるから、天使・悪魔・妖精・精霊・意識体・旧支配者なんて色々な呼ばれ方をしてきたけど、要するに人外の存在が人間との接触を円滑に行うための媒体とか端末みたいなものね。今風にいうとインターフェースとかアバターってやつなのかしら?」

 艶やかな微笑みはさっきと変らないけど、口調はやや砕けて蓮っ葉になった気がする。

 「アバター…?単語はわかるが意味がよくわからない。まるで天使と悪魔がごっちゃに混ざったような…もしかして、天使と悪魔のハーフ?」

 「なあに、ハーフって…まるで不義の子みたいじゃない。」

 けらけらと喉をのけぞらせて哄笑する彼女。だが不思議と彼女を笑わせたことが嬉しく思える。

 「私の姿は見る人の願望とか立場によって様々に解釈されるのよ。美女とか美男子はもとより、場合によっては醜い老婆だったり、威厳のあるおじいさんだったり、無邪気そうな子供だったり、時には大きな龍だったりね。だから、今の私の姿は先生なりの解釈なの。天使か悪魔か判断できないってとこかしらね。」

 「え、じゃ、じゃあ美少女の姿をしているのは…僕の願望?ああ、なんてあさましい煩悩の塊…。」

 僕は頭を抱えて呻く。これじゃいけない。僕のモットーに反する。どうして克服できないんだ。

 「あ、これ?ご心配なく。コスチュームはともかくとして、この姿は私の都合なの。こういうケースはごく珍しいのだけど。理由は追々わかるわ。それより、私が人外の存在であることは理解していただけたかしら?」

 可憐に小首をかしげて尋ねる彼女。なぜか彼女の発言は僕自身が驚くほど腑に落ちるものだった。

 「…わかった。人外なんていうと化け物みたいだから抵抗があるが…。人智を遥かに超えた存在であることははっきり理解できた。それも君の力のなせる業なのかも知れないが。」

 彼女の砕けた物言いのおかげで、異様な状況にも関わらず、僕もわりと普通に話せるようだ。それも彼女の意図によるものなのだろうが。

 「しかし何だって僕なんかのところに?君は救世主とか預言者とかに奇跡とか啓示を与えるような存在なんだろう?世界には君を求める人たちがごまんといるんじゃないか。」

 異形の美少女はこくこくと可憐にうなずく。
 
 「先生の言いたいことはわかるわ。どうしてこんな凡俗のところにやってきたのかってことよね。手っ取り早く説明すると、私は人間の都合で現れるものではないってこと。あくまで私の方の都合でのみ出てくるのよ。」

 「そちらの都合か。まあ、そうなんだろうな。戦争とか飢餓とか病気で多くの人々が死んだり苦しんだりしている時に、君が救済に出てきたなんて話は聞かないし。」

 僕なりに精いっぱい皮肉をきかせたセリフのつもりだったが。

 「そういうこと。基本的に人間の…というか、世界のなりゆきには一切介入しないの。世界はそこに住む人々が自ら運営し、進行させていくものだから。良い方向へも悪い方向へもね。」

 彼女は僕の言葉を全く意に介さない。しかしまあ、こんなにも可愛らしい顔でなんと可愛くないことを言っているのだろう。

 「…なるほど。じゃあ、どうしてこんなところに?」

 「当然の疑問よね。じゃあ本題に入るわよ、先生。」

 彼女の星をちりばめた夜空のような大きな瞳がじっと僕を見つめる。その視線を外すことができず、僕も彼女を見つめかえす。



 「加藤誠46歳。生徒や同僚からの通称は“清正”。加藤という姓と、皆に知れ渡ったモットーの“清く正しく誠実に”に由来。一貫して二流の学校を卒業後、翔琶女子大学附属高等学校に奉職して24年目。いまだに管理職はおろか教務主任や学年主任、生徒指導主任などにも縁のない平教諭。家族は十人並みの妻とあまり出来の良くない子供が二人。30年ローンの建売住宅に居住し、10年落ちの中古車で通勤……ざっと基本的な人定情報はこんなところね。」

 彼女は淀みなくプライバシーを暴きたてていったが、僕は腹も立たなかった。内容がことごとく正鵠を射ていたというばかりではなく、まるで“神の託宣”のごとき響きがあったからだ。まあ彼女の説明が正しいのなら、彼女は何らかの超越者の使者な訳だから、当たり前と言えば当たり前かも知れないが。

 「…うだつの上がらない中年教師であることは認めるよ。」

 自嘲気味に気弱に笑う僕を意にも介さず、精緻な顔に営業スマイルのような微笑みを貼り付けた彼女は暴露を続ける。

 「自身のモットーである“清く正しく誠実に”を、周囲にも公言しながら貫き続けて40年近く。その信念と要領の悪さにつけこまれて学校の雑務を押し付けられることも多々あり、同僚教師からは“清正”ではなく“雑務主任”と陰口を叩かれる方が多いくらい。今日も狡猾な同僚から試験問題の作成を頼まれてお一人様で残業中。」

 「…僕は、人一倍努力することで、ようやく人並みにやれてるようなものだから。」

 「しかーし、どういう訳か生徒達には昔から割と人気がある。分け隔てなく親切に接するってだけではなく、要領の悪さが女生徒達の母性本能や保護欲をくすぐるのかも知れない。年に数回は生徒から“愛の告白”を受け、これまでの通算はなんと50人以上。つい先ほども学年、いや学校一の美少女から『先生、抱いて下さい。』と迫られ…」

 「ちょ、ちょっと待った!」

 僕はたまりかねて彼女の発言に割り込む。

 「確かにどういうわけか僕を慕ってくれる子たちは時々いる。いるのは事実だけど、これまで一度だって不適切な関係を持ったことはないんだ。」

 彼女はまさににんまりとした満面の笑みを浮かべる。

 「でも…あなたの奥さん…この学校の出身よねえ?」

 「ええ?…そ、そうだけど、妻が在学中にそういうことは一切なかった。昔の校長の仲介で見合いをして交際を始めた後で、ここの卒業生だって判ったくらいで…」

 うふふ…と妖艶に笑った後、彼女はぴょこんと頭を下げる。

 「ごめんなさい。ちょっとからかってみただけ。知っているわ。見事なまでの石部金吉の半生よね。清正先生より金吉先生の方が良くないかしら?」

 「…それは生徒達に言ってくれよ。そ、それより、さっきの夏目君のことだけど…」

 「ええ。2時間前位かしらね。学校一の美少女、あなたが担任を務める3年C組の夏目千鶴を前にして『一時の感情に流されて君の将来を傷つけてはいけないよ。君が本当に愛し、君を本当に愛してくれる人のために君は君自身を大切にしなくちゃいけない。』なんて恰好つけたりしてね。内心では彼女を抱き締めて唇を奪って押し倒すような妄想を抱いていたくせに。」

 そこまで把握しているのか彼女は…いや、もとより隠し事はなしだ。僕は唸り声をあげながら認める。

 「…そのとおり、僕は口先で綺麗事を言っている。心の中では裏腹にそういう醜悪な欲望を抱いていた。それを罪だというのならどうか厳しい罰を…」

 彼女は少し慌てたように両手を身体の前で振った。

 「ああ、いやいや罪じゃない罪じゃないの。…ついからかいたくなっちゃうのよね。どうも調子が出ないな。こういうところが人気の秘訣なのかしら。」

 こほん、と愛らしく咳払いをする彼女。

 「ちょっと事務的に説明するわね。あなたの抱いた欲望は、それ自体別に異常でもなんでもないの。ああいう美少女を前にすれば男なら誰でも抱くようなものだし、そもそも思うことと実行することの間には決定的な差、または越えられない壁があって…要するに、私はあなたを罰するとか叱責するために来た訳ではないのです。これをまずはっきりさせておきます。」

 暗記したマニュアルを棒読みする保険の外交員のような口調で彼女が続ける

 「あなたは様々な欲望の誘惑にも負けることなく、“清く正しく誠実に”のモットーを貫き通し、相手の幸福を心から願い、明るい未来が訪れることを祈念してきた。その行為は誠に賞賛に値するものです。」

 実際に彼女は小さくぱちぱちと拍手をした。からかっているように見えなかったのは、その表情がいかにも厳粛に見えたから。

 「さっきも言ったとおり、私は基本的に世界に介入することはありません。この世界を回していくのはこの世界に住む者の務めです…良かれ悪しかれ。ただし…」

 こころなしか彼女の瞳の光が強くなり、形の良い眉がきりりと引き締まり、怒りにも似た表情を作る。

 「この世界そのものが破壊されるような事態は防がねばなりません。そのために私はやって来たのです。」

 僕は茫然とした。

 「それは…ぼ、僕が世界を破壊しようとしているってこと?ど、どうしてそういうことになるのか、け、見当もつかない。」

 「でしょうね。私もあなたが世界を滅ぼそうとしてるなんて思っていないわ。結果的にそういうことになってしまう、と言うべきかしら。」

 彼女はマニュアル説明路線をやめ、元の口調に戻っていた。

 「…どういうことなんだ?」

 「つまり…あなたの取った行動とその結果が極めて不一致な状況が続いているということよ。」

(中編に続きます)

魔王:伊坂幸太郎の不可思議な味の小説

伊坂幸太郎
 
 そういえば昨夜、火球ってやつを初めて見ました。信号待ちの交差点でふっと西の空を見上げたら、緑色の巨大な流星がすっと流れて。あんなに大きかったら地上に落ちて隕石になってもと思いましたが何の音もしませんでした。流れ星に願いを三回唱えると望みが叶うなんて俗説がありますが、それは本当かもしれないと思いました。だってほんの一瞬ぱっと光って流れて消えてしまうのですから。その間一秒あったかどうか。「金欲しい」でも3回は無理ですな。そもそもびっくりして願い事を言う事自体を失念していましたし。地上まで落ちる隕石の落下にでも遭遇すれば何とかなるのでしょうか。

こんな色でした

 今日は先日読了した伊坂幸太郎の「魔王」です。伊坂幸太郎はまだ41歳。東北大学卒業後、システムエンジニアとして勤務する傍ら文学賞に応募し、「オーヂュボンの祈り」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞して2000年に小説家としてデビューしました。代表作は映画化された「重力ピエロ」(2003年)、吉川英治文学賞受賞作「アヒルと鴨のコインロッカー」(2004年)、山本周五郎賞受賞作「ゴールデンスランバー」(2008年)などです。

重力ピエロ

 最近売れている作家の一人という認識はあったのですが、読むのは今回が初めてでした。「魔王」は2005年に単行本が刊行され、2008年に講談社文庫からも刊行されています。一言で言うと……一言で言うのが困難な作品でした(笑)。何しろ作者のコメントが

作者メッセージ

ですから。そりゃ感想を語るに困るのも当然です。

 「魔王」は表題作「魔王」と「呼吸」の2本の中編(ないし短い長編)で構成されています。「魔王」の主人公は安藤(名前は不詳です)、「呼吸」の主人公は安藤の弟の「潤也」ということになりますが、「魔王」が主人公安藤の一人称で語られているのに対し、「呼吸」は潤也の恋人「詩織」によって語られています。奇妙な能力を持っていることに気付いてた安藤兄弟のエピソードが、右傾化というかファシズムに向かいそうな社会の気配の中で語られています。キーマンはムッソリーニの再来であるかのような政治家・犬飼舜二です。かれは「魔王」では野党の新進気鋭の政治家であり、その5年後の「呼吸」では首相になっています。

 表紙裏の内容紹介は、

 会社員の安藤は弟の潤也と二人で暮らしていた。自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、一人の男に近づいていった。五年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。新たなる小説の可能性を追求した物語。
 
となっていますが、これではいくら何でも不足なので、私の言葉で補足すると、反米・反中国といった気配が濃厚になりつつある世相の中、安藤は自分が思ったことを他人にしゃべらせる能力があることに気づきます。色々実験してみると、テレビでは生中継でも不可能、30歩以内に近づいて本人を目視しながらでないとその能力(安藤は「腹話術」と呼んでいます)は発揮できないことが判明します。また、安藤にしゃべらされた相手は、しゃべったことを全く自覚していないようです。

 折しも知り合いの帰化アメリカ人の家が焼かれ、群衆がそれを平然と眺めているのを見た安藤は、ファシズム的な雰囲気をなんとかしようとして、ノンポリをも引きつける特異な魅力を持つ犬飼に接近しようとしますが…というのが「魔王」のあらすじです。

コミック版魔王

 また「呼吸」はそれから5年後、安藤の弟の潤也とその恋人の詩織は仙台で暮らしています。犬飼は首相になっていますが、二人はテレビも新聞も見ない生活をしているのでそのことを全く知らずにいました。やがて憲法改正をめぐる国民投票の実施が近づく中、潤也もまた自身の特異な能力に気付きます。彼は特定の勝負では必ず勝つのです。潤也も実験と考察の中で確立が十分の一以上の勝負には必ず勝つが、それ以上だと及ばないということを知ります。

 一方犬飼は独自の政治外交を展開していますが、命を何度も狙われても犯人の方が死ぬということで無傷のままでいます。しかし国民投票が近づく中、犬飼がテレビで発言する内容は、かつて安藤が犬飼に語らせようとした内容そっくりでした。そしてまたも命を狙われる犬飼。今度ばかりは負傷する犬飼。彼を護っていた力は消えたのか?そして国民投票の行方は…というのが「呼吸」のあらすじになります。

 安藤と潤也はひどく仲の良い兄弟です。両親が早くに亡くなっているということもあるでしょうが、潤也と詩織の遊園地のデートに安藤もついていく位、そしてそれを誰も不自然だと思わない位なので異常といっても良いくらいです。彼ら同士の、そして他者との会話は、村上春樹の作品を彷彿とさせます。「羊をめぐる冒険」とかと近い感じです。会話の場面だけ「村上春樹の新作だよ」と見せられたら信じてしまいそう。

コミック版魔王の一コマ

 そして犬飼舜二の方は、村上龍の「愛と幻想のファシズム」の主人公、鈴原冬二を彷彿とさせます。ただし、「愛と幻想のファシズム」では、主人公は独裁的地位を得て米ソと対等の地位を獲得していくヒーローですが、「魔王」の犬飼は安藤からファシズムをもたらす恐るべき政治家として捉えられています。

 このブログはノンポリをモットーしているのでファシズムについて云々することは避けますが、「魔王」ではネガティブに捉えられています。文庫版で解説を書いている斎藤美奈子によると、小泉自民党の総選挙大勝から安倍政権誕生に至る過程とそっくりで今後の日本の将来を予言しているかのようだ的なことを言っていますが、もちろん全く異なる歴史を日本が歩んできたことはご存知のとおりです。

 そもそも文庫あとがきで、作者は「この物語の中には、ファシズムや憲法、国民投票などが出てきますが、それらはテーマではなく、そういったことに関する特定のメッセージも含んでいません。」と明言しているのです。「愛と幻想のファシズム」を書いたからと言って村上龍がファシズムを礼賛している訳ではないのと同様、伊坂幸太郎も作品を通して「日本に蔓延しつつある(とも言われるところの)」ファシズムを批判しているのではないのです。

 しかし、肯定であれ批判であれ、ファシズムがテーマであるのならば話はよくわかるのです。それがテーマではないということから、この作品は何なのだという混乱が始まるといっていいでしょう。では何がテーマなのでしょうか。安藤兄弟やその他の人も持っているらしい超能力か?「考察魔」と呼ばれる安藤の、呪文のような「考えろ、考えるんだ」というセリフか?犬飼の「流されるな。よく考えて、選択しろ。覚悟はあるか?」という問いかけなのか?

シューベルトの「魔王」

 それらが明らかにならないままに物語が終わってしまうので、面白く読みながら、読了後に「で?」という気分になってしまいました。そもそも「魔王」とは誰なのでしょう。作中でも安藤がシューベルトの歌曲「魔王」を連想し、魔王が見えた子供は結局死ぬということに思い至っています。

 それでは安藤がその時連想したように、魔王は独裁者になりそうな犬飼なのか、特異な能力に目覚めた安藤なのか、それとも「呼吸」で詩織の耳元に聞こえる安藤の「あいつこそが魔王かもしれない」という潤也なのか。それこそ伊坂幸太郎は読者に「考えろ、考えるんだ」と強いているのかも知れませんね。

モダンタイムス(上)

 実は50年後を舞台とした続編「モダンタイムス」が2008年に刊行されているようです。これを読めば明らかになることもあるのかも知れません。が、いつ読めるかわからないし、続編を読まないと語れないというのもどうかと思いましてあえて謎が多いまま取り上げました。

モダンタイムス(下)

 また漫画化されており、2007年から2009年にかけて「魔王 JUVENILE REMIX」というタイトルで週刊少年サンデーで連載されました。作画は大須賀めぐみで単行本は全10巻です。作画といいましたが、伊坂幸太郎は出来に満足して早い段階で大須賀めぐみに執筆を完全に委託したそうです。

コミック版魔王JUVENILE REMIX

 あとテレビドラマにもなって…と書こうと思ったら、全然違う作品でした。2008年に大野智、生田斗真主演の連続テレビドラマとなったのは、韓国ドラマ「魔王」のリメイクで、内容は全く関係ありません。芋焼酎にも有名な「魔王」がありますが、無論無関係(笑)。これを持ち出すのは完全に受け狙いがバレバレですが。それにしても焼酎には妙な名前が多いですね。

テレビドラマ「魔王」
本格焼酎 魔王

 では最後に「魔王」の謎を。読んでない人は読まない方がいいかも知れませんので見にくくしておきます。見たい方はドラッグして見て下さい。

① 安藤の超能力「腹話術」は安藤が気付いたときに発現したのか?昔から持っていたのにそれまで気付かなかっただけなのか?

② バー「ドゥーチェ」のマスターはなぜ安藤の超能力に気付いたのか?マスターも超能力者だとして、なぜ安藤はマスターの能力に気付かないのか?

③ 犬飼自身のカリスマも超能力の一種なのか?

④ 犬飼は安藤の超能力で言わされた言葉をなぜ5年後も言っているのか?それは超能力ではなく犬飼自身の主張なのか?

⑤ なぜ最後の犬飼暗殺の試みは「負傷」という成果を上げたのか。「やらせ」だったのか、それとも犬飼を護っていた超能力が発動しなかったのか?後者だとするとそれはなぜか?

⑥ 安藤は死後も潤也の口を通して能力を発揮しているのか?潤也は安藤の意志に引き摺られているのか?

⑦ 遊園地の「事故」は超能力によるものなのか?安藤が乗っていないのにあえて起こしたのは警告なのか?

⑧ 潤也は競馬で貯めた金で何をしたいのか?

⑨ 詩織はなぜ国民投票で憲法改正に賛成したのか?


単行本

冬のオペラ:名探偵の解く事件は切なく哀しい…

冬のオペラ
 
 いやーしかし寒いですねえ。クリスマスは終わってもクリスマス寒波が去りません。正月にはまた正月寒波が来るらしいし、秋口に暖冬とか言ってたやつちょっと来い。

 本日は先日読了した北村薫の「冬のオペラ」です。北村薫はこれまであまり読んだことがなかったのですが、この前読んだ「六の宮の姫君」の属する「円紫さんと私」シリーズの描くところの“日常の謎”が非常に興味深くまた面白かったので、これからは機会があれば読んでいこうと思っています。

 殺人事件とか重大犯罪事件は、一般人は通常関与することはできませんし、そんなに頻繁に発生しても困るのですが、“日常の謎”は観察力があればいたるところで見つけることができるような。例えば通勤時に毎日すれ違う中学生に今日は会わないのはなぜかとか、位置も同じ車両に乗るおっさんが今日に限って隣の車両に乗り込むのはなぜかとか。大抵はしょぼり理由なのかもしれませんが(前の例では運動会の振替休日とか、風邪ひいてお休みとか。後ろの例では尿意を催してトイレの付いている車両を選んだとか)、場合によっては深い理由が隠れ潜んでいるものもあるかも知れません。

単行本

 アガサ・クリスティ作品に登場するミス・マープルは田舎暮らしの独身のおばあさんながら、ポアロと並ぶ名探偵ぶりを発揮します。作品の中で彼女が遭遇するのは重大事件が多いですが、彼女の推理法は、起こった出来事もしくは話された内容を、彼女が住むセント・メアリ・ミード村で過去にあった出来事に当てはめるというところに特徴があります。周囲の人々はそんな田舎の話なんてと途中までは馬鹿にした態度を取ることが多いですが、マープルは常日頃“日常の謎”を解明することで観察力や推理力を磨き、人間性格などに関する洞察力を深めていたのでしょうそのため、マープルの登場する作品は、物的証拠をもとにした推察よりも、動機面から推理を始める傾向が強いようです。

 で、「冬のオペラ」ですが、こちらも「円紫さんと私」シリーズ同様女の子が主人公です。ただ「私」ではなく「姫宮あゆみ」というちゃんとした名前があります。彼女は高校を卒業してから東京で叔父の経営する不動産会社に勤めています。どうやら数年前に父親がなくなってお嬢様暮らしから転落してしまったようなのですが、作品内ではあまり詳しく触れられていません。不動産会社勤務は叔父の援助的な側面があるようですが、あゆみはゆくゆくは文筆業を職業としたいという望みが有ります。そんな中、叔父のビルに入居して「名探偵事務所」を構えたのが「名探偵」巫(かんなぎ)弓彦です。

 巫弓彦は「人知を越えた難事件を即解決 身元調査等、一般の探偵業は行いません」としています。知名度もないし、そんな事件はそんな難事件はそうそうないので、彼は様々なアルバイトで生計を支えています。探偵を職業とするのなら、浮気調査とかいなくなった飼い犬の捜索といった地味な仕事をこなす必要があると思いますが、彼は探偵ではなく「名探偵」なのでそういうことは一切しません。

中公文庫版

 探偵が難事件を数多く解決することで人々から「名探偵」と呼ばれる…そういうものだと私は思っていたのですが、巫弓彦によれば「名探偵とは存在であり意志である」のだそうで、例え事件を一つも解決していなくても名探偵たりえるのだそうです。以前はサラリーマンだったようですが、ある日突然、自分が「名探偵」であることに気付き、会社を辞めて「名探偵事務所」を開きました。

 本作は2本の短編と1本の中編で構成されていて、ラストの中編「冬のオペラ」が白眉となっています。“日常の謎”と言いましたが、短編2本(「三角の水」と「蘭と韋駄天」)確かにそのカテゴリーに入りますが、「冬のオペラ」は殺人事件なので重大犯罪事件ということになるでしょう。いずれも姫宮あゆみが遭遇して巫弓彦に持ち込んだ事件ということになりますが、報酬はほとんどない、というか交通費など持ち出しになっていて、「名探偵」が活躍するほどに巫弓彦は貧乏になっていくという皮肉な現象が起きてしまいます。

 姫宮あゆみは若いに似ず物事に動じない冷静さを持っており、その背景には実家の没落などが影響しているのかも知れませんが、年上の人との交流を全く苦にしない様子がうかがわれます。巫弓彦は年齢は40歳前後で独身です。多分「名探偵」は家族を養っていけないのでそれは正解な気がします。濃い眉に射るような眼をしており、きつく結んだ口は定規で引いたようだと描写されています。

コミック版

 巫弓彦の推理法ですが、さすがに名探偵、あゆみが話す事件の概要を聞くだけで事件の真相や犯人を一瞬で見抜き、解決してしまいます。故に、本書ではまずあゆみが事件を見聞し、それを巫達彦に話すことで解決し、何らかのアフターケアを行うという構成になっています。短編2本は“日常の謎”ですが、犯罪性自体はあるといえばあるのですが、犯人は指摘しても穏便に済ませる方向に動くのが巫流のようです。さすがに殺人はそういう訳にはいかないでしょうが、直接警察に告発するようなことはせず、自首を促しています。

 表題作「冬のオペラ」は殺人事件なのですが、殺人に至る経緯などが明らかになると、非常に哀しいものがあり、私が裁判員なら執行猶予付き判決にしてあげたいと思うほどです。殺すまでしなくてもとは思いますが、長年の経緯が激情を呼び起こして図らずも殺してしまったというところが真相でしょう。

 ぜひシリーズ化して姫宮あゆみの成長とともに巫弓彦の名探偵ぶりを描いて欲しいのですが、これまでに続編は出ていないようです。1993年の作品ということで既に20年近く経過しているのでもう無理なのでしょうか?2002年に角川書店で漫画化されていますが、角川書店のサイトを見ると「品切れ重版未定」という残念なことになっています。

森永チョコレート

 なお、2006年に森永製菓が“くつろぎのひと時を楽しむ主婦のための、ちょっと贅沢なチョコレート”というこでチョコ化しています(笑)。本書との関係は…おそらくないでしょうね。お菓子の「冬のオペラ」は、“食感が異なる三層のチョコレートの絶妙なハーモニーが楽しめる、オペラケーキをイメージしたチョコレート”だということで、「オペラケーキ」はチョコレートとコーヒーを使ったケーキでパリのオペラ座にちなんで作られたものだそうです。

オペラケーキ
パリのオペラ座

 「名探偵シリーズ」ということで3~4冊出してくれればテレビドラマ化に良い作品だと思うのですが。姫宮あゆみは高田理穂に演じさせたいなあとか勝手に考えたりして。切なく哀しい真相に直面するたびに美しくそして大人になっていく高田理穂……なかなかに素敵ではありませんか?

高田理穂

ずっと、このままで…:ゲーム版「アマガミ」ED曲~イブに伝えたい気持ちがある

アマガミオリジナルサウンドトラック
 
 メリークリスマス!しかし寒いですね。クリスマス寒波というやつですね。大雪の地域も多い中、関東平野部は寒いながら晴天です。なんかサーセン。

 そんなことより大変ですよ。またもやランキング記録を更新しました。本日は、日記ジャンルで336375人中155位、サブジャンルのサラリーマン・OL部門で34780人中24位となりました。今月17日の52位が最高だったので、一気に28ランクもアップ。赤丸白抜き急上昇です(オリコン的表現。古い!)。50位にはA.Tフィールドがあるという話をしていたのですが、どなたかヤシマ作戦を決行して突き破ってくれたのでしょうか。

 昨日のアクセスは477とこれも新記録でした。クリスマス・イブなんていうと、世のリア充共は旨い料理食べてシャンパンでも開けて、その後はシティホテルで生殖行為に励むものだと思っていたのですが、やさぐれた非リア充が大挙して押し寄せてきたのでしょうか(なんて失礼な物言い!)?まあここが非リア充サイトであることはどうにもこうにも言い訳の効かないくらい明らかなので、「非リア充」臭を嗅ぎ付けてきたのだとしたら仕方ありませんが。それではご一緒に。

爆ぜろリア充!弾けろカップル!

 「爆ぜろリア充!弾けろカップル!Vanishment This World!」

 しかし世界中の非リア充が願ったかもしれない12月21日人類滅亡説も、リア充の前にはあえなく滅し去ったのであった……。人を呪わば穴二つ。リア充を引きずり降そうとするより、リア充に近づこうとする方が努力の方向性は正しいのかも知れません。私は無理なんでシコシコブログでも書くことにしますが。

PSP版パッケージ

 さて今日はプレイステーション2及びPSP用恋愛シミュレーションゲーム「アマガミ」のED曲「ずっと、このままで…」です。余人はいざ知らず、私は「アマガミ」こそ究極の恋愛シミュレーションだと思っているのですが、じゃあなんでこれまで紹介しないのかというと、紹介の仕方をどうしようか考えあぐねているからなのです。ゲームもあり、アニメもあり、それぞれとっくりと語りたいのですが、メディア別にするべきか、キャラ別にするべきか、なんて。まあ来年には何とか形にしていこうと思っていますが、取りあえずは音楽から。

名塚佳織

 「ずっと、このままで…」はハッピーエンドを迎えると流れる曲で、歌は絢辻詞(あやつじ つかさ)役の名塚佳織が歌っています。パッケージを見ておわかりのように、彼女がこのゲームのメインヒロインで、他のヒロインと仲良くなってもこの曲が流れてきます。

「アマガミ」のヒロイン達

 「アマガミ」はヒロインが6人しかいないのですが、「ときメモ」とか「下級生」のように二股三股をかけることは困難なので、絢辻詞を狙わない場合、彼女は聡明かつ有能で優しいクラス委員長でしかないのですが、彼女のルートを選ぶと真の姿を見せてくれます。それはもう、いわゆる典型的「メインヒロイン」像を完膚なきまでに破壊するような。

“こんなに複雑で屈折したキャラをよくメインヒロインに持ってくるよな、森島はるかだろメインヒロインは常考”

そんなふうに考えていた時期が 俺にもありました

 あえて絢辻詞をメインヒロインに持ってくる、ここが「アマガミ」が従来の恋愛シミュレーションゲームと決定的に異なり、また一枚上回っている部分なのだと思うのですが、この先はまた改めて。ただ一つ言えるのは、それでもこのゲームの「私の嫁」は永遠に森島はるかであるということです(笑)。

森島はるか

 さてまずは聞いてみて下さい。

 冒頭に絢辻詞のモノローグ付き。HD対応です。

ずっとこのままで…

 http://www.youtube.com/watch?v=9E9QUKtv_SM

 もう一丁。こちらは歌のみです。

ゲーム画面版

 http://www.youtube.com/watch?v=IyCfeW5brKU

 変わり種でUplifting Trance Remix。ニコニコ動画ですが。

Uplifting Trance Remix

 http://www.nicovideo.jp/watch/sm8267839

 歌詞は一番は主人公(橘純一)の、二番は絢辻詞の心情を謳っています。

 賑やかすぎる 街の灯に
 ふと 寂しさよぎるのは
 取り残された 独りの夜の
 寒さを知ってるから


 主人公橘純一は、中三のクリスマス・イブにすっぽかしを喰らったことがトラウマとなっており、その後ほぼ2年間を恋愛と無縁に過ごしてきたのですが、そろそろ過去のトラウマを克服して新たな恋愛を模索しよう…そう考えた 高校2年の11月中旬から物語はスタートします。ゴールはクリスマス・イブなので、勝負の期間はだいたい40日です。上記の歌詞は、その2年前の苦い記憶を表しています。

 道端に咲く 季節外れの
 白い花を探しては
 迷う毎日 私の気持ち
 居場所は どこにあるの


 一方こちらは絢辻詞の心情を表しています。その裏表の落差の激しさは実際にゲームで体感するかアニメを見て貰えばわかるでしょう。ゲームで絢辻詞を攻略するという苦難の道を選んだのなら、ぜひ彼女も知らない「本当の絢辻詞」を見つけて上げて下さい。なにしろ彼女のキャッチフレーズは「私を見つけて」ですから。

絢辻詞の壁紙

 「アマガミ」は薄暗い放課後とか寒そうな空とか、冬の雰囲気の描写も素晴らしいゲームなのですが、この曲を聞くと本当にクリスマスだなあという感じがします。何しろラストは

 キラキラ 煌めく雪が
 聖夜の全てを 包むような
 甘く甘く 優しいキスをして
 絡めた小指を
 あなたの言葉を
 ずっと、このままで・・・


ですから。ちなみに「アマガミ」、自分がかつてされて苦悩した「クリスマス・イブの約束をすっぽかす」という非常識行為を好きな相手にお行うことが可能です。可能だと言うだけで私はやったことはありませんが。そうするとどうなるかはヒロイン毎に異なるのですが、自分や相手の人生そのものまで変えてしまうような取り返しのつかない結果が生じることがあります。この絢辻詞の場合も、表面上は静かですが、実は恐ろしい結末を迎えます。そういうバッドエンドをYouTubeにアップしている猛者がいるので、興味があったら探して見て下さい。私はゲームとはいえ、自分を裏切らない相手にそんなことはとても出来ませんが……

絢辻詞

クリスマス・イブに賛美歌を:旧支配者のキャロル

イブのツリー
 
 

 来年のカレンダーをAmazonで買おうと思っていたらいつの間にか機を逸してしまい今や直接Amazonから変えなくなってしまいました。まあなきゃないでいいんですけど。上野優花さん、残念でした。来年こそは。

 それはそうと奉仕種族の諸君、メリーユール!え?メリークリスマスではないかですって?そう、君達リリンはそう呼んでいるね。

君たちリリンはそう呼んでいるね

 

 古代ヨーロッパのゲルマン民族は、冬至の頃にユールと言う祭典を行っていました。後世にキリスト教との混交が行われた結果、それは現在ではクリスマスと呼ばれることが多くなっていますが、北欧諸国では現在もクリスマスをユールと呼んでいます。英語でもかつてはクリスマスの祝祭をユールタイド(Yuletide)と呼んでいたらしいですよ。

 そして私が愛して止まないクトゥルー神話においても、ユールの日はメイ・イブすなわちワルプルギスの夜と並ぶ重要な祝祭日です。ちなみにメイ・イブはメイ・デイ(5月1)の前夜祭で、古代ケルトでは4月30日の夜から行われる春の祭りであり、魔女たちがサバトを開いて跋扈するなどと伝えられていました。

ワルプルギスの夜

 

 「ワルプルギスの夜」といえば、今となってはこちらを連想する人も多いでしょうが。

 ラブクラフトの短編に、ユールの日を扱った「魔宴」という作品があります。創元推理文庫の「ラブクラフト全集5」に収録されています。人々がクリスマスと呼ぶユールの日に、100年に一度行われる一族の祭りに参加するために架空の都市キングスポートを訪れた「私」。一族は衰退していて屋敷にいるのは老人一人だけです。老人に導かれてフード付きの黒衣を纏った「私」は墓地に出かけます。

ラブクラフト全集5

 

 どこからともなく集まってきた人々と地下に下っていくと、人々が翼と水かきのある怪物にまたがって飛び立っていくのを目撃します。恐怖に駆られた「私」は地下の川に身を投じ、気付けば病院のベットでした。凍死寸前の状態で港で発見されたということでした。

 ミスカトニック大学所蔵の「ネクロノミコン」を読むと、「私」の体験した魔宴の様子が描かれていました。「最下(いやした)の洞窟、その驚異こそ奇怪にして恐るべきものなれば、窺(うかが)い見ることを得ず。死せる思念新たに活命し、面妖にも肉をまといし地こそ呪われたり、頭備えぬ魂こそ邪悪なり…」

 クトゥルー神話的にもクリスマスが重要な日であることが明らかになったところで、景気づけにキャロルでも歌いましょうか。「鐘のキャロル」(“Carol of the Bells”)という合唱曲があります。元々はウクライナの伝統的クリスマスソングだったようですが、今では定番クリスマスソングとして欧米ではよく知られています。映画「ホームアローン」でも使用されました。 こんな曲です。

 


  

 多治見少年少女合唱団が日本語で歌っています。 

 
 

 ニコニコ動画ですが、お姉ちゃんたちが歌い踊るど派手なステージをお楽しみ下さい。

 神聖なる賛美歌…なんですが、素人が聞くと、何となく曲が重々しくてちょっと怖い感じがしませんか?そこに目をつけたクトゥルー信者達の牙城「H.P.ラヴクラフト歴史協会」(The H.P. Lovecraft Historical Society)は、この「鐘のキャロル」のメロディに乗せ、クトゥルー神話に登場する「旧支配者」をモチーフにした実に罰当たりな(笑)替え歌を作ってしまいました。それが「旧支配者のキャロル」です。 

 では旧支配者のキャロルの歌詞を見てみましょう。なんと旧支配者からの大サービスで対照和訳付きですよ。

旧支配者のみなさん 

  Look to the sky, way up on high
  蒼穹を仰げ いと高き処を
  There in the night stars are now right.
  星々は整然と 夜空に輝く

 
  Eons have passed: now then at last
  永劫は過ぎ去り 今この瞬間遂に
  Prison walls break, Old Ones awake!
  封印は砕け散り 旧支配者が目覚める!
  They will return: mankind will learn
  彼らは戻るだろう 彼らが降臨せし日に
  New kinds of fear when they are here.
  人類は未知なる恐怖を思い知らされるだろう
  They will reclaim all in their name;
  彼らは全てを恣(ほしいまま)に取り戻す
  Hopes turn to black when they come back.
  彼らが復活した時、希望には暗雲が立ちこめ
  Ignorant fools, mankind now rules
  無知で惰弱なる人間の支配は仮初めであったことに気付かされる
 
      Where they ruled then: it's theirs again
  再臨の日 森羅万象は再び彼らのものとなる
  Stars brightly burning, boiling and churning
  燦然と燃え上がり 激しく揺れ動く星々は
  Bode a returning season of doom
  我らに課された運命の予兆なのだ
  Scary scary scary scary solstice
  恐怖の極致よ
  Very very very scary solstice
  究極の恐怖よ
  Up from the sea, from underground
  海中から這い寄り 地中から這い上がり
  Down from the sky, they're all around
  天空から降り立ち 彼らは甦る
  They will return: mankind will learn
  彼らは再臨する 彼らが降臨した日に
  New kinds of fear when they are here
  人類は未知なる恐怖を思い知らされるだろう
  Look to the sky, way up on high
  蒼穹を仰げ いと高き処を
  There in the night stars are now right.
  星々は整然と 夜空に輝く
  Eons have passed: now then at last
  永劫は過ぎ去り 今この瞬間遂に
  Prison walls break, Old Ones awake!
  封印は砕け散り 旧支配者が目覚める!
  Madness will reign, terror and pain
  狂気と恐怖と苦悶と悲嘆
  Woes without end where they extend.
  終わりなき哀哭が全てを支配する
  Ignorant fools, mankind now rules
  無知で惰弱なる人間の支配は仮初めであったことに気付かされる

          Where they ruled then: it's theirs again
  再臨の日 森羅万象は再び彼らのものとなる
  Stars brightly burning, boiling and churning
  燦然と燃え上がり 激しく揺れ動く星々は
  Bode a returning season of doom
  我らに課された運命の予兆なのだ
  Scary scary scary scary solstice
  恐怖の極致よ
  Very very very scary solstice
  究極の恐怖よ
  Up from the sea, from underground
  海中から這い寄り 地中から這い上がり
  Down from the sky, they're all around.
  天空から降り立ち 彼らは甦る
  (Fear)
  (畏怖せよ)
  Look to the sky, way up on high
  蒼穹を仰げ いと高き処を
  There in the night stars now are right.
  星々は整然と 夜空に輝く
  They will return
  彼らは戻ってくるだろう

  ボーカロイド巡音ルカが歌うバージョン。クトゥルーだけに「たこルカ」になっています。

 
 
 

スローにして気味の悪い素敵な画像を載せたものです。


 

 直訳だと意味は判るけどそのままじゃ歌えないよ、日本語で歌いたいよと願う皆さんのため、メロディに乗せやすい日本語詞をプレゼントしましょう。

 ジョークから誕生したボーカロイド派生キャラ「重音テト」(VOCALOIDとは異なる技術を用いた音源データ)が歌う日本語版です。
テトがやたら怖い…

 

 日本語で歌い人のための字幕入りバージョン。



 

 和英対照はこんな感じ。完全な意訳ですが気分は出ていると思います。
 
 
 Look to the sky, way up on high
 天仰げ 空高く
 There in the night stars are now right.
  今宵 星戻り
  Eons have passed: now then at last
  目覚めよ 我が主よ
  Prison walls break, Old Ones awake!
  封印は 既になく
  They will return: mankind will learn
  主が戻る 人よ知れ
  New kinds of fear when they are here.
  新しき 怖れを
  They will reclaim all in their name;
  真の名を 主は示す
  Hopes turn to black when they come back.
  闇を望め 希望はない
  Ignorant fools, mankind now rules
  無知なる 人から
  Where they ruled then: it's theirs again
  主は 取り戻す
  Stars brightly burning, boiling and churning
  星々が 破滅する
  Bode a returning season of doom
  運命(さだめ)の 時が今
  Scary scary scary scary solstice
  至上の 星辰と
  Very very very scary solstice
  至高の 恐怖よ
  Up from the sea, from underground
  遍く 全てより
  Down from the sky, they're all around
  海からも 空からも
  They will return: mankind will learn
  主は戻り 人は知る
  New kinds of fear when they are here
  新しき 怖れを
  Look to the sky, way up on high
  天仰げ 空高く
  There in the night stars are now right.
  今宵 星戻り
  Eons have passed: now then at last
  永劫は 終わった
  Prison walls break, Old Ones awake!
  我らの 主の目覚め
  Madness will reign, terror and pain
  狂気と 恐怖と
  Woes without end where they extend.
  苦痛と 悲嘆と
  Ignorant fools, mankind now rules
  世のどこにも それが
  Where they ruled then: it's theirs again
  満ちぬ 場所はない
  Stars brightly burning, boiling and churning
  星々が 破滅する
  Bode a returning season of doom
  運命(さだめ)の 時が今
  Scary scary scary scary solstice
  至上の 星辰と
  Very very very scary solstice
  至高の 恐怖よ
  Up from the sea, from underground
  遍く 全てより
  Down from the sky, they're all around.
  海からも 空からも
  (Fear)
  (怖れよ)
  Look to the sky, way up on high
  天仰げ 空高く
  There in the night stars now are right.
  今宵 星戻り
  They will return
  主は来る

  先ほども言ったとおり、海外ではポピュラーなクリスマスソングなので、海外でこの曲を耳にしても、「旧支配者のキャロルだ!」と騒いだりしないように。クトゥルー信者であることがばれるといろいろと困ったことになるかも知れませんよ。もちろん、欧米のクトゥルーファンの集まりなら問題ありませんが。

バイアキー



 ちなみに「魔宴」に登場した怪物は後付けでバイアキー(バイアクヘー、ビヤーキー)【Byakhee】だとされています。これは旧支配者の中でも大物の、四大元素中「風」の邪神達の首領であるハスター(這いよれ!ニャル子さんではハス太として登場していた彼です)の奉仕種族で、蜂蜜酒を飲んで石笛を吹き、呪文を唱えると召喚することができます。

 呪文は……いあ いあ はすたあ! はすたあ くふあやく ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ! あい あい はすたあ!

 「いあ いあ」はクトゥルー系で連呼される「ビバ」的意味合いのかけ声なので、適当に旧支配者につっくけて叫ぶといいでしょう。「いあ!いあ!クトゥルー」とか「いあいあ! ニャル子さん!」とか。これで旧支配者の機嫌を損ねることはまずないと思われるので、もし出逢ったら取りあえず「いあいあ」の連呼で(笑)。

ニャル子さん



 ただし旧支配者の名前を間違えるとえらいことになるかも知れませんよ。クトゥルーの目の前で「いあ!いあ!はすたー」なんて言っちゃった日には……

好きな声優さん(その13):斎藤千和~演技の幅広さは驚異的な「泣きの千和」

斎藤千和
 
 今日は晴れのはずだったんですが…雲が多い一日となりました。気温は相変わらず低めですが、風がないせいか散歩しても楽でした。以前はわりと近所にあった酒屋が遙か彼方(といっても隣の市ですが)に引っ越してしまい、今日初めて散歩がてらに移転先まで行き、お正月用の酒として久保田の千寿を買い求めました。

久保田 千寿

 千寿はポピュラーなのでどこでも売っていますが、この酒屋で買うと安いんです。四合瓶が1092円でした。これは製造元の朝日酒造の定価なんですが、どこでも大抵もっと高い値段を付けています。ついでに「はこだてわいん」のワイン&ブルーベリーも買ったりして。

 さて前置きをこれくらいにして、今年最後の声優さんのご紹介をしましょうか。本日は演技の幅がすさまじく広い声色の魔術師・斎藤千和です。

ラジオ収録中

 斉藤千和は埼玉県出身。1981年3月生まれの31歳です。声優志望のきっかけが変わっていて、お母さんにファッション雑誌「ViVi」を頼んだら間違って声優雑誌を買ってきたからだそうです。平積みの一番上は立ち読みされていたりするので、なるべくきれいな本を取ろうと下のものを取ったら声優雑誌だったらしいです。

 声優としての活動は1999年からですが、2002年頃から仕事が来なくなり、廃業も考えたそうです。2003年の最後に受けたオーディションに合格したので廃業は回避されましたが、声優業について改めて深く考えさせられ、世界観が変わっていったそうです。

マスコットを持つ千和

「これが最後」と思ったオーディションに合格して良かったですが、声優界にはそこで落ちて廃業していった人も数多いるんでしょうね……

 ツンデレとか元気な女の子がはまり役だったそうですが、最近は暁美ほむらや戦場ヶ原ひたぎのようなクールな役も多いようですね。泣きの演技に定評があって通称「泣きの千和」とも言われているそうです。暁美ほむらは終盤泣き通しになってましたが、それが故のキャスティングだったのでしょうか(笑)。確かに見事な演技でした。

 ファミコン16連射で一世を風靡した高橋名人に似ているという噂が…

高橋名人に似ている?

どうですか、似てますか?これはだいぶ前の写真だと思います。最近はだいぶ垢抜けたとかなんとか。

 それでは私が知っている斉藤千和の役柄を。例によってだいたい年代順です。

 ジェニファー(魔界戦記ディスガイア)

ジェニファー

 2003年のプレイステーション2用ソフトで、シミュレーションRPGです。魔王の座をめぐる魔界でのバトル展開の中、中盤に突如登場するアメコミのような一行。ジェニファーは37代目の地球勇者ゴードンの助手で、10歳で博士号を取得した天才科学者です。万能ロボットサーズデイを5歳の時に製作したそうです。養父は地球防衛軍のカーター総司令。

ジェニファーフィギュア

 古のマーシャルアーツ「カンフー」の使い手でもある。主人公である魔王の息子ラハールがどん引きするほどのナイスバディで、格好は水着そのまま。ラハール達を「ちゃん」付けで呼びます。2006年のアニメ版でもジェニファー役を務めています。

 山口真美(マリア様がみているシリーズ)

山口真美

 主人公の祐巳や「私の嫁」志摩子と同学年の新聞部部長。「リリアンかわら版」を発行しています。スールの姉にあたる前新聞部長の築山三奈子がゴシップ色の強い編集方針を取ることで、学園内や山百合会に騒動を巻き起こしていたのに対し、真美は山百合会と良好な関係を保って協力を得ることで、生徒達に話題を提供するというスタンスを取っています。

山口真美設定資料

 優良な記事を求めて精力的に活動していますが、運動能力や体力だけはサッパリです。

 藍華・S・グランチェスタ(ARIAシリーズ)
 
藍華

 主人公水無灯里のアクアにおける最初の同世代の友達にして親友です。ウンディーネ界の老舗大手「姫屋」の跡取り娘です。藍華が仕切る灯里・アリスとの合同練習はARIAの日常風景でした。口癖は「恥ずかしいセリフ禁止!」を始めとする「○○禁止!」。びっくりしたときは「ぎゃーす!!」と叫びます。

恥ずかしいセリフ禁止!

 幼少期、落ち込んでいた時にアリシアに元気付けられたことを契機にウンディーネを目指すようになり、アリシアに強い憧れを抱いています。その一方、周囲からお嬢様扱いされる中、厳しくも遠慮なしに付き合ってくれる晃に対しては、反発しながらも尊敬の念を強く持っています。

藍華とヒメ社長

 当初はアリシアに会う口実を増やすために灯里と友達になりましたが、すぐに仲良くなり、会社が違うにもかかわらずよく一緒に行動しています。負けず嫌いで勝気な性格である反面、涙もろかったり、怖がりだったりします。終盤でアリスがプリマに昇格したのを機に晃から昇格試験を実施することを告げられ、無事合格し、「薔薇の女王(ローゼン・クイーン)」の通り名をを名乗ります。また同時に姫屋が設けた新支店の店長に就くこととなり、毎日のように会っていた灯里とも離ればなれになりました。

髪を切った藍華

 アリシアのようなウンディーネになれるようとの願いから髪を長く伸ばしていましたが、中盤でバーベキューの最中に髪を燃やしてしまい、晃からアリシアを真似てもアリシアにはなれないと言われたことをきっかけに髪の毛を短くして、誰の真似でもなく自分独自のウンディーネになることを誓いました。

 原作最終話の灯里の近況報告によると、姫屋の若き支店長として多忙ながら充実した日々を送っており、支店長としての貫禄もついてきたということです。ARIAは本当にいい作品なのでマンガでもアニメでもぜひ一度ご覧下さい。

 月館千代(Strawbwrry Panic)

月館千代

 小柄な1年生で、幼稚園からミアトルに通っている生粋のミアトルっ娘です。ミアトルには、1年生は高学年生(高校生に当たる4~6年生)の雑用をこなす「お部屋番」という妙なしきたりがあり、千代は渚砂と玉青のお部屋番になりました。渚砂が主催する「お茶会」参加者の1人でもあり、渚砂に強い憧れを抱いています。

月館千代設定

 ミーナ(ブレイブストーリー)

ミーナ

 ネコに似たネ族の少女。サーカスのエアロガ・エレオノラ・スペクタクルマシン団に在籍し、空中ブランコの達人です。ガサラの町で主人公ワタルに助けられて以来、ワタルの旅の同行者になります。ワタルに好意を寄せるていて、ワタル自身もミーナには好意を持っています。

シリアスミーナ

 斉藤千和が演じたのは映画版の他、ゲーム版の「ブレイブ ストーリー ワタルの冒険」(プレイステーション2)、「ブレイブ ストーリー 新たなる旅人」(PSP)です。「新たなる旅人」のミーナはちょっとシリアスタッチですね。

 戦場ヶ原ひたぎ(化物語シリーズ)

戦場ヶ原ひたぎ

 シリーズのメインヒロインで主人公阿良々木暦の彼女。ですが、全然出番のない話もあり、素行の悪さも併せて「名ばかりヒロイン」「ヒドイン」などと自嘲することもあります。

アンリミテッドステーショナリーワークス?

 母親が悪徳宗教団体に入信した事から、中学卒業間際に教団幹部から強姦されそうになり、その事をきっかけに怪異「おもし蟹」に行き遭うことになりました。その後、5人の詐欺師に立て続けに騙されたことから攻撃的かつ用心深い人格が形成されました。 かつては実家は裕福で豪邸に暮らしていましたが、今では莫大な借金を抱え、両親は離婚し、安賃アパート「民倉荘」で、父親と二人暮らしをしています。

ひたぎフィギュア

 成績は優秀で羽川翼に次ぐ学年2位ですが、それは羽川翼が化け物的存在だから仕方ないでしょう。第一期「化物語」では髪は腰まで伸ばしており、儚げな美貌と難病という身の上からクラスの中では「深窓の令嬢」という位置づけでした。暦とは高校の3年間同じクラスですが、「ひたぎクラブ」まで交流がありませんでした。

私服のひたぎ

 本性は相当な毒舌家で、しゃべり出すと橋田壽賀子ドラマばりの長セリフを延々と続けます。怪異の影響下にあった頃は体重が異常に軽くなったため、重しや武器としてホッチキスやカッターナイフを初めとした文房具を大量に常備していましたが、暦の尽力により怪異の影響受けなくなってからは持ち歩かなくなりました。その後、暦に告白して正式に交際を始めましたが、恋仲になっても相変わらず毒舌は続けています。

文房具で武装するひたぎ

 暦曰く「デレないので、ツンデレというよりツンドラ」だそうですが、実際には暦に深い信頼と愛情を抱いています。しかし異常に攻撃的で嫉妬深く、独占欲も強いせいか、時期は不明ですが羽川翼によって人格更生プログラムを受けさせられたらしく、第二期「偽物語」では、翼のことを極度に恐れる様子を見せています。

ペンシルタワーとひたぎ

 第二期「偽物語」では髪を短くし、暦に対しても過剰なまでにデレる(暦曰く「ツンドロ」)ようになり、暦を携帯電話の恋人割引に加入させるなどバカップルぶりを披露しています。
笑顔のひたぎ

 ひたぎはまさに斉藤千和の演技力の神髄を見せつける役柄といえるでしょう。

 暁美ほむら(魔法少女まどか☆マギカ)

暁美ほむら

 私が斉藤千和を知る契機となった役柄です。主人公鹿目まどかのクラスに転校してきた魔法少女で、なぜか一人暮らしをしています。容姿端麗・学業優秀・スポーツ万能。まどかに対して、謎めいた警告と助言を繰り返します。

盾がないほむらフィギュア

 過去の経験から他人から理解されるということを諦めており、寡黙でクールな性格を演じ、他人に対して非情に接するが、根本的な優しさを捨てきれずにいる部分があります。劇中でその内面や過去などの秘密が明かされていくと共に、印象が二転三転していきます。

盾付きほむらフィギュア

 正体は別の「時間軸」から来たまどかの友人です。元の時間軸では、病弱かつ引っ込み思案な少女でしたが、魔法少女として戦うまどかに憧れました。まどかが人々のために勝ち目のない最強の魔女「ワルプルギスの夜」に一人で立ち向かい、戦死するのを目の当たりにして、「まどかとの出会いをやり直し、彼女に守られる人間から彼女を守る人間になりたい」という願いのもとにキュゥべえと契約を結びました。

わたしの、最高の友達

 第10話「もう誰にも頼らない」では、その後幾度も時間を遡り、まどかの悲劇的な最期を阻止するための戦いに身を投じる中で、魔法少女の本質やキュゥべえの正体を知るようになり、かつてまどか自身と交わした約束により、まどかがキュゥべえと契約を結ぶことを阻み続けてきました。過去には眼鏡をかけ、髪を三つ編みにしていましたが、他の魔法少女たちに事情を話して協力を求めてもまどかは救えないという結論に至って以降は、まさに「もう誰にも頼らない」という決意と共に、眼鏡を外し髪型も変えています。

三つ編みほむら

 ソウルジェムの色は紫で、魔法少女の衣装は学校の女子制服にも見える比較的地味目なものです。左腕には砂時計とドラえもんの“四次元ポケット”のような機能を有する円形の盾を装備し、これを用いて「時間操作」の魔法を操ります。操作できるのは1か月分のみで、砂の流れを遮断して時間を止める「時間停止」か、砂時計の上部から砂がなくなった時点で時間を1か月前まで逆行させる「時間遡行」しかできず、上部の砂がなくなると時間停止もできなくなります。

ほむらとまどか

 他に攻撃魔法や魔法を用いた武器を持たないため、純粋な魔法少女としての戦闘力は高くありませんが、膨大な努力と戦闘経験により並外れた実力を見せています。暴力団事務所や軍基地などから盗み出した銃火器や爆弾の数々を、時間操作能力と組み合わせて用いており、ゲームで言えば無属性攻撃を展開します。

此岸の魔女

 まどかに対する想いは当初は単なる友情であったが、失敗を重ねて同じ時間を何度も繰り返すうちに後に引けなくなり、全ての価値観をまどかの生死のみに置くようになっています。しかしほむらの努力は、結果的にまどかを最高の魔法少女にして最悪の魔女となる素質を持つ女の子にしてしまうことになってしまいました。状況を把握したキュゥべえにその事実を伝えられた後に臨んだワルプルギス戦において、今までの自分の行動が却って事態を悪化させていたという事実を受け入れて絶望した結果、ソウルジェムの穢れが急激に増加し魔女化する寸前になりました。ちなみにゲーム版ではほむらが魔女化すると「此岸の魔女」になりますが、その時点でゲームオーバーになってしまいます。

ラストシーン

 最終話「わたしの、最高の友達」では、まどかによって再構成された新たな世界でも以前の世界の記憶を維持しており、時間制御能力は失った代わりに、本来のまどかの能力を継承し、彼女の武器であった弓を使うようになっています。ラストの「たとえ、魔女が生まれなくなった世界でも、それで人の世の呪いが消え失せるわけではない。世界の歪みは形を変えて、今も闇の底から人々を狙っている。悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だけれど。だとしてもここは、かつてあの子が守ろうとした場所なんだ。それを、覚えてる。決して、忘れたりしない。だから私は、戦い続ける」というほむらのモノローグは泣かせます。

ほむらの翼

 遙かな未来、荒廃した世界でなお闘い続けるほむら。新たな敵・魔獣はむしろ僧侶のように神々しい雰囲気があり、対峙するほむらの翼は悪魔のように黒く禍々しくなっています。孤独なほむらの心に聞こえるまどかの「がんばって」の声。微笑むほむらは弓をつがえて魔獣を迎え撃ちます。

弓をつがえるほむら

 「魔法少女まどか☆マギカ」のもう一人の主人公あるい真のヒロインともいうべき存在の暁美ほむら。斉藤千和は脚本を担当した虚淵玄の勧めでオーディションを受けて抜擢されたそうです。やはり「泣きの千和」が評価されたのでしょうか。クールで凛々しい面と泣き虫で引っ込み思案な面の二面性を持った難しい役を見事に演じ分けています。オーディションの際は、周りが自分よりも年下の女性声優ばかりでかなり緊張したそうです。大丈夫、水橋さんがいるから(笑)。

ピンクのマフラーをかけた千和
 
 すっかり実力派の定評を得ている斉藤千和。この調子でますますのご活躍を祈念します。そういうことで私の好きな声優さん、13人揃いました。私の13人衆、EX13の完成です。え?それは何だ、ですか?まあググってみたら判るかも知れません。

 能登麻美子・皆口裕子・早見沙織・井上喜久子・小倉唯・花澤香菜・伊藤静・堀江由衣・中原麻衣・國府田マリ子・後藤邑子・岩男潤子・斎藤千和……おおっとなんとも豪華なすごいメンバーだ!!しかしなお「あの声優はどうした」「彼女が入っていないのはおかしい」などの声もあることでしょう。来年も引き続き好きな声優さん紹介を続けて、32人になったら例のグラップラー刃牙の「全選手入場」をやりたいなあとか思ってます。

ラングリッサーⅤ:シリーズ完結編はファンタジーからSFに

ラングリッサーⅤ
 
 この冬は土曜日に雨が降ることが多いような気がします。関東だけでしょうか。雪が降ってもおかしくないくらい寒かったんですが雨に留まりました。積もらないなら雪の方がいいのですが。

 さてギャルゲーの土曜日、今年最後にお贈りするのはラングリッサーシリーズの最終作、「ラングリッサーⅤ」です。ラングリッサーⅤ〜The End of Legend〜」は1998年6月にセガサターン版がリリースされ、1999年1月には「ラングリッサーⅣ&Ⅴファイナルエディション」がプレイステーションからリリースされました。プレステ版については、2009年11月にゲームアーカイブス(PS3・PSP対応)で配信が開始されています。私はかつてサターン版をプレイしたほか、わりと最近にプレステ版をPSPでプレイしました。

 さてシリーズ最終作と言うことで、これまでの設定の謎などが明らかになったりするのですが……

キバヤシ

 ラングリッサーはファンタジーじゃなくて本当はSFだったんだよ!!

な…なんだって-!!

 という感じがするものになっています。もっと言うと、

キバヤシ

 アルハザードは異星人の作った武器だったんだよ!!

な、なんだってぇー!!

 ということになります。しかもリモコン機能付き。

ラングリッサーⅢのOP

 これはラングリッサーⅢのOPの冒頭シーンです。剣にアルテミュラーの顔が映っていますがこの際それはどうでもいいです。ここに青い月と赤い月が登場しており、赤い月が青い月によって「食」の状態になっていることがわかります。ゲーム本編をやっていると空がどうなっているのかは一切関係ないのであまり気にしていませんでしたが、ラングリッサーの舞台が二つの月を持った惑星である=地球ではないということが明らかになった場面ですね。今回問題になるのがこの二つの月です。

サターンパッケージ裏

 実は人類が登場する以前、この惑星は「赤き月」クリムゾからやってきたクリムゾ人が支配していたのだそうです。クリムゾ人は外見は人間とほとんど変らず、幼少時代には成長速度が人間と同じであるため見分けがつきませんが、人間よりも高い魔力と技術力を持つ上に、数百年の寿命を有しています。クリムゾ人の支配は、赤い月に住む王侯貴族達から成る支配階級である「クリムゾニア」と、地上に住んで搾取され続けた労働者階級を中心とする「クリムゾランダー」が大戦争を行った結果、地上に壊滅的な被害をもたらした上、赤い月も軌道が狂ってしまうこととなりました。そうこうしている内に、地上の主導権は高い繁殖力を持つ人間に奪われたということです。

チラシ

 魔剣アルハザードは、本来クリムゾ人の王の専用武器であり、ラングリッサーは労働者階級であるクリムゾランダーが作り出したアルハザードのコピーを、ラングリッサーⅢにおいてルシリスがジークハルト王の魂を融合させて改造したものということになります。

チラシ裏

 ここで思い出して欲しいのがⅣの主人公ランディウスです。ラングリッサーⅡでリアナとラーナによってアルハザードとラングリッサーは融合して賢者の水晶となり、天界のルシリスの宮殿ネオグロリアで保管されていましたが、カオスに成り代わって闇の盟主になろうとした邪神ゲンドラシルがこれを盗みだし、ルシリスの追撃を受けて賢者の水晶は地上に落下しました。これをレクリオ村のクリムゾランダーが回収し、ランディウスとエミリーの母親が管理していたという事実がⅤで明らかになります。そう、ランディウスは光輝の末裔でないばかりか、人間ですらなく、異星人=クリムゾ人だったのです。

ポスター

 そしてレクリオ村を壊滅させた大洪水は、クリムゾニアの強硬派が実行したものであったことが明らかになります。また、Ⅳの稀代の悪役・ギザロフ元帥は改造人間やクローン技術の開発、古代兵器修復を手掛けていましたが、いくら彼が天才でもオーバーテクノロジー過ぎやしないかと思っていたら、やはりクリムゾニアから技術支援を受けていたのでした。

ヒロイントリオ

 そういった背景が明らかになりながら、ストーリーはギザロフの改造人間シグマが目覚めるところからスタートします。同時に目覚めた感情の乏しいラムダとともに、記憶や知識が欠如するなか、何故か襲撃されて逃亡を余儀なくされますが、クリムゾニアとクリムゾランダーの確執や魔族の陰謀、さらには人間の野望などが複雑に絡み合う中、自分探しを含めて真実に到達するまでの物語となっています。
 
サントラ

 それはそうとⅢとⅤでは1000年も経過しているらしいですが、かろうじて光輝の末裔の血筋は残っているようです。それからジェシカも皆勤賞達成ですが、今回はNPCとしての登場で寂しいです。時間的にはⅣのラスト付近からⅤが始まっているので、いくら不滅といってもカオスもボーゼルもさすがに倒されたばかりなので登場してきません。

両手に花

 それからⅣのキャラも多数登場しますが、予算の関係か(それを言っちゃあおしまいですが)大半がNPCであり、CVがありません。非常に残念です。ストーリーも分かれ道はなく一本道で、ヒロインセレクトも3人だけと寂しさは否めませんね。システム的には一番精練されていて遊びやすいのですが。

 ⅤのOPです(HD有り)。これまでの熱さではなくクールさが伝わってきますね。

シグマ×レインフォルス

http://www.youtube.com/watch?v=rr6cHcDgSzQ

 それではキャラ紹介を

 シグマ(CV緑川光)

 シグマ

 本作の主人公。ギザロフによって改造された存在で、開発コードは「Σ-066」。彼がギザロフの魔導研究所で目覚めるところから物語は始まります。当初は記憶と知識が欠如していますが、これはクラレットに殺された後、蘇生・生体改造されたことが原因のようです。

 実は光輝の末裔であり、カルザス帝国リグリア地方領主エギル公爵の一人息子で、母親はカルザス皇帝の妹で、つまり皇帝の甥でした。子爵の位を持っており、カルザス帝国近衛騎士団長を17歳で拝命したほどの卓越した実力を有しています。
 
 伯父である皇帝の信頼も厚かったのですが、皇帝と二人きりの時にヴェルザリアの三魔将の一人「死人使いグロブ」の奇襲を受け、皇帝殺しの容疑者とされてしまいます。両親が処刑された後、追手を逃れてイェレスに渡りギザロフの私兵となりましたが、その時点で既に自暴自棄になっており、追ってきたクラレットに抵抗せずに刺殺された後、ギザロフによって蘇生処置と改造を施されることとなりました。

 父方からⅢのアルテミュラーとファーナ、母方からはⅢのルナやⅠのランスの血を引いているということで、なかなかに豪華な血筋です。外見もファーナとルナが混じったような顔をしています。年齢は23歳で、シリーズ最年長の主人公ですが、これまでの主人公は年齢の割に老け顔だったのに対し、若く見えます。

 ラムダ(CV皆口裕子)

ラムダ

 シグマ同様ギザロフの手によって強化されており、開発コードは「Λ052」。当初は無感情、無表情で主君であるギザロフの命令を最優先するという典型的な「綾波タイプ」でしたが、シグマとの逃避行の中で少しずつ人間らしい感情を取り戻していきます。甘い声の皆口さんが冷たく演じるのが異色なこともあり、ラムダのままが良かったという声も実はかなり強いのですが……

無表情のラムダ

 実験によって魔力キャパシティを増幅させられているため、ほぼすべての魔法を覚えることが可能で、魔法防御力も高くなっています。物語中盤でマクレーンの妹のマリアンデール(通称マリー)であることが判明し、ジェシカの術で記憶を取り戻すことができました。

マリアンデールの家族写真

 作中に登場した戦禍で廃棄された実家の様子から、富裕な家のお嬢様であったようです。外見は少女のようですが、OPにも登場する実家に残されていた家族の肖像から、ラングリッサーIV開始時に28歳であったマクレーンとは精々数歳しか離れていないものと思われます。つまりⅤスタート時点で24-5歳程度ということになり、ティーンばかりだった歴代ヒロインの中では最年長ということになるかも知れません。本作のメインヒロイン扱いなのでBBAとか言わないように。

ラムダアップ

 なお、後継作品である「グローランサーⅣオーバーリローデッド」には、ラムダをイメージしたとみられる使い魔D-MD型が登場しています。「MD」はマリアンデールの略でしょう。

使い魔D-MD型

 クラレット(CV川上とも子)

クラレット

 カルザス皇帝の一人娘で、シグマの従妹でもあります。光輝の末裔でルナ、ナーム、シェリーと続くカルザスの直系子孫です。4年前、シグマを慕っていましたが、父である皇帝殺しの犯人となったことにショックを受け、シグマをイェレス大陸まで追いかけてきて自ら刺し殺しました。

クラレットのフィギュアパッケージ

 3年前からは魔族討伐への助勢を請うためジェシカを探しに単身出奔し、その間に帝位を簒奪されることとなってしまいました。当初はワガママで無責任・他力本願な面が目立つものの、物語が進むにつれ精神的な成長を遂げてゆきます。イメージ的にはルナというよりは完全にシェリータイプです。ヒロイン候補の一人です。

ほとんど下着姿に見えるクラレット

 クラレットの声を演じていた川上とも子さんは、惜しくも2011年6月に41歳の若さで逝去されました。ご冥福をお祈りします。

告白シーンのクラレット


 ブレンダ(CV富沢美智恵)

ブレンダ
 
 女ばかりの傭兵団を率いる女性で、月の民クリムゾ人の被支配階級の末裔であるクリムゾランダーの一族です。姉御肌で面倒見がいいので部下からは慕われています。レインフォルスとはかつて恋仲にありましたが、彼が故郷の村(レクリオ村)を滅ぼしたと誤解をしています。シグマ一行の窮地を助け、そのまま雇われる形で同行することになります。声はⅡでソニアの声を演じた富沢美智恵ですが、印象が全然違うのは流石です。ヒロイン候補の一人です。年齢はかなり高そうですが……

女傭兵ブレンダ

 アルフレッド(CV岩永哲哉)

アルフレッド

 レーゲンブルク連邦レイノルズ地方領主ロックウェルの次男で、お坊ちゃん育ちなために世間慣れしておらず、他人を疑うという事を知らないお人好しです。父親殺しの汚名を着せられ逃亡中に、面識のあったシグマに助けられ、以後同行することとなります。

 ランフォード(CV安井邦彦)

急に偉そうになったランフォード

 Ⅳから引き続き登場。ギザロフ亡き後、レーゲンブルグ連邦の元帥となりました。魔族の策略により投獄されるも、エミリーとその弟であるランディウスの助力で脱獄し、魔族討伐の志を同じくするシグマ一行に加わります。

 ヴィラージュ(CV松野太紀)

ヴィラージュ

 クリムゾランダーのリーダー格で、ブレンダの兄貴分です。古代の知識に詳しく、いくつかの古代兵器も所有しています。地上の民に災いをなそうとするクリムゾニアに対抗すべく、シグマたちに助力します。

 ジェシカ(CV前田愛)

ジェシカ

 魔族の手に奪われた聖剣ラングリッサーと魔剣アルハザードを取り戻すため、また混乱するエルサリアを救うために、光輝の末裔であるシグマたちに助勢します。NPC参加のため操作はできません。

 マクレーン(CV神谷浩史)

マクレーン

 Ⅳで活躍した改造人間。カコンシスで将軍職に就いていましたが、想いをよせるジェシカを追ってエルサリア大陸に渡ってきました。Ⅳで旅をしていた本来の目的である妹、マリアンデールとの再会を果たします。彼も残念ながらNPC参加。

 ギザロフ(CV柴田秀勝)

再登場ギザロフ閣下

 大いなる野望に燃え、連邦元帥の地位を悪用して全世界を混乱に陥れた男です。Ⅳで倒されましたが、死後のⅤでもなお大きな影響力を振るっています。シグマたち強化兵士の主です。

 レインフォルス(CV速水奨)

レインフォルス

 レーゲンブルク連邦ロシュフォール地方領主で、知勇に優れ、ギザロフの反乱に乗じてアルヴィンスらと三国同盟を結成し、ギザロフの研究所で眠っていたシグマたちを手に入れるべく付け狙います。

 超イケメンであり(リア充爆発しろ!)、実は赤き月の民クリムゾニアの皇太子であり、祖国を救うために世界樹と対話できる素体(=ラムダ)を必要としています。ギザロフに技術供与を行っていたのもそのためと見られます。クリムゾニアの皇太子であるにも拘らず、人間やクリムゾランダーに対しては友好的で、人間も公平に扱い、自ら率先して部下の救助に当たったり、規律ある行動を旨とするため、領民や兵士の支持及び士気は極めて高いものとなっています。

 オメガ(CV堀秀行)

オメガ

 シグマやラムダ同様ギザロフの手で造られた強化兵士で、開発コードは「Ω137」。ΩタイプはΣタイプの完成系ですが、ギザロフ配下ナンバー1の地位をシグマに奪われたことでプライドを傷つけられ、己の優位を証明するためにシグマたちと敵対し、利害の一致するレインフォルスに加担します。実はマクレーンとマリアンデールをギザロフの人体実験の材料として掠った張本人でもあったりします。

 アイゼル(CV岸野幸正)

アイゼル

 レインフォルスの腹心で、地上人でありながらレインフォルスを慕い、高い信頼を得ています。レクリオ村を壊滅させ、レインフォルスとブレンダに誤解を与え、破局させてしまった張本人でもあります。

 エミリー(CV満仲由紀子)

エミリー

 Ⅳの主人公ランディウスの姉で、今作で本名がエミリエルで実はクリムゾランダーであるという出自が判明しました。そのせいか絵もグレードアップ。現在は将軍職にあり、魔族の策謀にいち早く気づいてランフォードを脱獄させています。恋人でもあり上官でもあるランフォードとの仲は順調な模様です。

 ランディウス(CV置鮎龍太郎)

ランディウス

 Ⅳの主人公で、Ⅴではカコンシス王国の大使として登場します。姉のエミリー同様クリムゾランダーの一族であることが判明しました。被支配階級のクリムゾランダーのはずですが、クリムゾ王の専用武器アルハザードやそのコピーであるラングリッサーを操れることから、ランディウスとエミリーは王族内の反主流派の末裔である可能性もあります。なおクリムゾニアの皇太子であるレインフォルスはアルハザードと王族専用武器の強襲型魔光剣を使用できますが、クリムゾランダーであるブレンダは全く使用できません。

 魔将軍ガイエル(CV稲葉実)

ガイエル

 Ⅲに登場したリグリア帝国将軍で、アルテミュラー配下でしたが1000年前よりヴェルゼリアの三魔将に加わりました。Ⅳでボーゼルが倒されていますが、その後も暗躍し、聖剣ラングリッサーと魔剣アルハザードをジェシカの手から奪い、さらには魔剣の真の力にも気づく事となります。1000年たっても新参扱いを受けているため、他の魔将(死人使いグロブ、変幻のフェラキア)とは反りが合わず、ボーゼルやカオスに対する崇拝の念も薄く、自らの野心を露骨に示します。

露出で勝負する姉御
告白シーンのブレンダ

 ラングリッサーシリーズはこれで完結。ですが、うるし原キャラは、後継作品「グローランサーシリーズ」で引き続き活躍するのでした。グローランサーでは傭兵システムはなくなり、キャラが単体でノンストップで戦闘に入るというスタイルになっていますが、Ⅲでは時期尚早でできなかったことをようやく実現したともいえるでしょう。グローランサーシリーズはⅠとⅣしかやっていませんが、機会があれば紹介したいと思います。

木と語るマリー
告白シーンのマリアンデール

 来週は都合によりギャルゲー紹介はお休みします。来年はどんなギャルゲーを取り上げましょうか?そろそろネタ切れではないかという声もありますが……

交代寄合伊那衆異聞シリーズ:佐伯泰英の幕末スペクタクル大活劇

交代寄合伊那衆異聞
 
 今日は冬至。一番昼の時間が短い日ですね。カボチャを食べたり柚湯に入ったりとやや地味ながらイベントもあります。これからは次第に昼の時間が長くなる一陽来復ということになりますが、当面は短日な日々が続きます。

 明日から三連休という方も多いのではないでしょうか。

ワシもじゃみんな!!

 この前と同じやんと怒られそうですが

わたしは一向にかまわんッッ

 またこれかいッッ!

だがそれがいい

 いいかげんにせい、私(笑)。

第1巻「変化」

 しかし同じ三連休といっても、金土日よりも土日月の方が嬉しい気がするのは私だけでしょうか。金曜日の出勤でもさほど嫌ではない(まあ仕事の状況にもよるかもしれませんが)のに対し、月曜日の出勤は世界共通でブルーになるみたいです。その月曜日はお休み。鬱から躁へのパラダイムシフト。やはりその気分の差は金曜日を凌ぐのではないでしょうか。まああんまり嬉しくて時計を職場の机の上に忘れてきてしまった私はちょっとどうかしてますが。

第2巻「風雲」

 さて本日の先日読み終えた「交代寄合伊那衆異聞シリーズ」の16巻目「断絶」です。というかシリーズ全体を概観した方がいいでしょうね。

佐伯泰英

 作者の佐伯泰英は1942年2月生まれの小説家です。スペイン滞在経験があり、スペイン語圏を舞台にした冒険小説や国際謀略小説などを執筆していましたがヒットに恵まれず、作家として生き残りを図るべく時代小説へ転身しました。1999年以降、「密命」シリーズをはじめ、数々の人気シリーズをかかえ、「月刊佐伯」の異名をとるハイペースで作品を発表する人気時代小説作家となっています。「居眠り磐音 江戸双紙シリーズ」はNHKでドラマ化されているので知っている人も多いかも知れません。

居眠り磐音 江戸双紙

 「交代寄合伊那衆異聞シリーズ」のあらすじですが…

第3巻「雷鳴」

 舞台は幕末。開国か、攘夷か。黒船来襲に揺れる安政年間。信州伊那谷で剣の腕を磨きあげていた若者・藤之助は、地震の報に、旗本座光寺家の江戸屋敷へ駆けつけます。止むに止まれぬ理由から主殺しを敢行した彼は、代わって座光寺家の当主となり、代々受け継ぐ「首切安堵」(将軍切腹の事態が来たときに介錯を務める)の役目も継承します。激動の中、剣の腕を買われて老中首座堀田正睦の命により、長崎に向かった藤之助は、運命のヒロイン玲奈と出会い、運命を大きく転換していくのでした……

第4巻「邪宗」

 というところでしょうか。藤之助は上海に出かけて中国人やイギリス人らと様々な邂逅を果たし、武装した高速クリッパー船を手に入れて貿易の端緒についたところで、幕府から至急の呼び出しを受けます。それは政権を掌握した大老井伊直弼からの「座光寺家断絶」と「当主切腹」の命でした…というところで16巻目の「断絶」に入ります。

第5巻「阿片」

 ここで交代寄合という聞き慣れない用語について説明します。これは江戸幕府における旗本の家格の一つで「参勤交代を行う寄合」という意味になります。寄合とは3,000石以上の上級旗本(大身と呼ばれます)の内、役職に就いていない(無役)の者の家格です。交代寄合については3,000石以下でも寄合の家格となります。

第6巻「攘夷」

 旗本は将軍直属の家臣団の中で石高が1万石未満で、お目見え以上とされています。直属である以上、一朝事あらば駆けつけなければなりませんから、旗本は通常江戸を離れることはできません。しかし、交代寄合は旗本なのに参勤交代をするという特殊な家柄です。

第7巻「上海」

 どうしてこうなったのかと言えば、江戸幕府成立により、1万石以上の侍は大名となったものの、それ未満で大名の家臣となっていない侍を全て旗本として取り込んでしまったことによります。通常旗本というと将軍直参、つまり昔から徳川家に仕えていた侍と思われがちですが、1万石未満の侍には中世豪族の生き残りや大名になりきれなかった戦国武将、外様大名の分家、没落した名家の末裔なども含まれていたのです。そして彼らは自家が大名待遇であることを誇示するために自主的に参勤交代を始め、それが定着したことにより、幕府も「交代寄合」という家格を後から認めることとなりました。

第8巻「黙契」

 タイトルにもなっている伊那衆は、那須衆、美濃衆、三河衆とともに「四州」と呼ばれ、その多くは中世以来の豪族の子孫です。石高は比較的小禄で、多くは本来の寄合の家格である3,000石に達していないのですが、領内統治に関しては大名同様完全に領主権を行使することができました。

第9巻「御暇」

 座光寺家は実際にあった交代寄合衆で、小説の座光寺家は1,413石となっていますが、実際には途中で300石を分地しているので1,115石だったようです。

第10巻「難航」

 で、本来藤之助は座光寺家の家臣の一人で、実家は神社の宮司をしています。信濃一傳流という戦国の気風を色濃く継承した剣術の達人であり、養子として迎えた不行跡の先代・左京を自ら倒して後継者となりました。もちろん一存でしたのではなく、座光寺家の重臣達の意向を受けてのことですが、そういう下克上が起きていること自体、幕末らしい物々しさといえましょう。

第11巻「海戦」

 この藤之助、剣を取っては無敵の腕前の上、女性にはやたらにもてて、そのもてぶりと濡れ場をストーリーの本筋にする小説であっても主役を務められそうですが、本人は玲奈以外には見向きもしていません。身持ちはいいんです。そればかりではなく、射撃も超一流となり、長崎や上海の異人達の間でも「サムライ・トウノスケ」は勇名を馳せていきます。

第12巻「謁見」

 そして相方の高島玲奈は、長崎の貿易を独占してきた長崎会所の実力者・町年寄の高島家の孫娘で、父親はスペイン人というハーフで、群を抜く美貌を持ち、射撃や馬術や操船を得意と、語学にも秀でているというスーパーレディです。

第13巻「交易」

 こんな二人が東シナ海や太平洋で海戦を行ったりアメリカ領事ハリスの護衛をしたりと八面六臂の活躍をするのがこのシリーズで、本当にこんな人がいたら高杉晋作や坂本龍馬すら比較にならないほどの有名人になったことでしょうが。

第14巻「朝廷」

 「断絶」では、江戸を引き払った座光寺家一統は故郷の山吹に戻り、途中合流した藤之助は主立った若い者を連れて長崎に向かいます。直接命令を受けていないことを理由に切腹命令はガン無視です。もう幕府に見切りを付けているということと、先ほど書いたように、元々が独立した豪族であったため、江戸幕府の旗本でなくなっても領地は残っているのでいきなり路頭に迷うこともありません。なによりも藤之助は武装商船団の司令官となっているので、早く船団に戻りたいし家臣もスタッフに加えたいのです。藤之助と座光寺家の家臣団がジャンク船に乗って長崎を離れ、上海に向かうところで16巻は終了します。

第15巻「混沌」

 この先はどのような展開になるのかは判りませんが、藤之助・玲奈組に対抗できる敵は出てきそうにない気がします。16巻現在現在藤之助は既に幕府の将来に見切りを付けており、列強に追いつくことと、そのための貿易振興に関心を集中されているので、大老井伊直弼の勧誘には乗らない気がしますし、そのうち桜田門外の変で倒れることになるでしょう。明治維新以降も活躍するのか、戊申戦争に介入して架空戦記ばりに「もう一つの日本」の歴史でも作っていくのか判りませんが、すかっとした冒険活劇を読みたければぜひこのシリーズをお試し下さい。

第16巻「断絶」

 本当は第17巻「散斬」も出ているのですが、まだ図書館にはありません。あっても引っ張りだこかも知れませんが。

夜明けの街で:東野圭吾初の「不倫恋愛」小説

角川文庫版
 
 昨日よりは寒さは緩んだ感じがしますが、宴会や追い込みの残業などでノロウイルスやインフルエンザにの脅威にさらされやすい日々が続きます。明るく穏やかな正月を迎えるためにも皆さんご自愛下さい。

 本日紹介するのは私の贔屓作家の一人、東野圭吾の「夜明けの街で」です。本書は2007年6月に単行本が刊行されました。東野圭吾といえばミステリーという印象が強いですが、本作ではミステリーの部分もありますが、基本的には不倫を主軸としており、東野作品としてはこれまでにない新境地の作品といえるでしょう。

映画の壁紙

 文庫版の表紙裏の内容紹介は

 不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた。ところが僕はその台詞を自分に対して発しなければならなくなる―。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の仲西秋葉と不倫の恋に墜ちた。2人の仲は急速に深まり、渡部は彼女が抱える複雑な事情を知ることになる。15年前、父親の愛人が殺される事件が起こり、秋葉はその容疑者とされているのだ。彼女は真犯人なのか?渡部の心は揺れ動く。まもなく事件は時効を迎えようとしていた…。

となっています。

DVD.jpg

 読書をするとき、主人公を好きになれるかかどうかは重要だと思います。例え悪人が主人公であっても、その人の心情に共感出来る場合は好きになることができるのですが、本書の主人公渡部に関してはどうにも好きになれませんでした。彼自体はごく普通の人間なのだと思います。故に良い格好しながら臆病になったり、言葉の裏に存在する狡猾さとかも、普通の中年が不倫すれば、そりゃそうなるよなという感じはあるのです。そして東野圭吾もそういうヒーロー的でない男を意図的に作り出していると思われるのですが……あまりにも不倫に不適な人物像になってしまった感じがあります。また、不倫の契機となる問題なんかが家庭とか仕事にでも存在すればいいのですが、主人公の場合はそういったものは一切なく、たまたま職場に美人がやって来て偶然が重なって恋に落ちたところまではともかく、一回こっきりの浮気ではなく本気の不倫に陥っていく過程にやや無理があるような。

 まあ秋葉が抱えた闇(それが何なのかは徐々に判明していくのですが)に苦しんでいる姿を見かねてということなのでしょうが、主人公には同情と愛の区別がつかなくなっているというか。

 オチを言っては何ですが、主人公は妻と別れて秋葉と一緒に生きる決意をするのですが、その希望は叶いませんでした。しかし仮に希望が叶ったとして、妻に離婚を切り出した場合どうなるかと考えると、とても幸せになれるとは思えませんね。100%夫有責で妻が離婚に同意しない場合は、離婚自体が非常に困難でしょうし、離婚が成立するにしても慰謝料養育料などは莫大な額になるでしょう。主人公は一介の会社員なので、そうした償いを行った後、秋葉と生計を立てることが可能なのかどうか。秋葉にも慰謝料請求はあり得ますね。こちらはお父さんが裕福そうだから援助を求める余地はありそうですが。

恋に落ちる和夫と秋葉

 まあ読みどころはそんな処ではなく、セックスしなければ浮気ではないとか、浮気してもちょっとした火遊びだ本気じゃないと自分に言い聞かせながらどんどん深みにはまっていく主人公の姿なんでしょうね。クリスマスイブは計略で秋葉と過ごした主人公ですが、さすがに正月を一緒に過ごすなんて無理です。秋葉がカナダに旅行に行くというので助かったと思いますが、実は主人公の精神的負担を軽減するための嘘で、一人きりで自宅に籠もっていたことを後で知る……こういうことが恋心を燃え立たせるのでしょう。また、秋葉も秘密にするならずっと秘密を保てばいいのに、ぽろっと言ってしまう辺りにずるさというか本当は理解して欲しいという欲望が見え隠れてしています。不倫は許さない、殺すなんて最初は言っていたのになあ。

仲西秋葉役の深田恭子

 で、秋葉の抱える闇ですが、15年前に、秋葉の父達彦の秘書兼愛人が秋葉の家の居間で殺されるという事件が起きており、当時自宅にいた秋葉(二階の自室でクラリネットを練習していた)と、直後に訪ねてきた叔母の浜崎妙子に容疑が掛かっているというものです。その1年前に秋葉の母は離婚しており、3ヶ月前に自殺をしています。警察はこの自殺と秘書兼愛人の死が関連していると考えており、父と秘書の不倫→父と母の離婚→母の自殺→復讐という絵図面を描いているようです。そして秘書兼愛人の妹もなお事件を追究しています。

渡部和也役の岸谷五朗

 主人公は秋葉の叔母や刑事や被害者の妹らと次々と会って話を聞いて行く中で、「秋葉が殺人者であっても愛することができるのか」という命題を突きつけられていきます。「何の罪もない妻と娘を捨てられるのか」という不倫の命題とともにダブルの十字架を背負い苦悩する主人公。私は主人公に好感が持てなかったので全然同情できませんでしたが。

マダム・カラフル浜崎妙子役の萬田久子

 時効成立直後、秋葉は真相を語ります。それは誰もが思ってもいなかった結末で、なぜ今まで伏せていたかと言うことも含めて秋葉の“復讐”だったのですが、返す刀で主人公との不倫も、復讐の一環だったとして恋のゲームオーバーを宣言します。実際当初はそういう意図があったのかも知れませんが、次第に本気で不倫の恋にのめり込んでいたのは秋葉も同じだったと思いますが、離婚した夫妻の子であった過去もあり、本気で主人公の家庭を壊す気はなかったのでしょう。不倫の精算は身を切るように辛かったと思いますが、それを自らしてのけた点、秋葉には好感が持てます。

渡部有美子役の木村多江

 それにしてもラスト、何も知らないと思っていた妻が何もかも知っていたことを示唆するシーンが鬼気迫っていてぞくっとします。東野圭吾は映画(後述)の公式サイトで「この小説を書く時、面白くて、甘く切なく、そして少し怖い話にしようと思いました。」と言っていますが、「甘く切なく」の部分にはやや疑問は残る(秋葉側からすればそういえるのですが、主人公はどうしても狡猾さが気になって)ものの、面白いことは間違いなく、少しどころでなく怖い話でした。ラストまでは別に怖くなかったのですが(笑)。

秋葉の父役の中村雅俊

 例によって私の知らないところで映画化されていました。2011年10月に角川系で公開されています。主人公の渡辺和也を岸谷五朗が、仲西秋葉を深田恭子が演じています。主人公は40前なので、岸谷五朗では10歳位年長になるのですが、まあ俳優さんは若作りだからいいでしょう。深田恭子は逆にやや年下になってしまいますが、数歳位は女優さんにとっては何でもないのでしょう。しかしフカキョンが相手ならそりゃあ本気になりますよね。

 秋葉の父は中村雅俊、叔母のマダム・カラフルは萬田久子です。青春ドラマの主人公だった中村雅俊もそういう役が似合うようになっているのですね。時の流れは速いなあ。そして渡部の妻有美子は木村多江。何も知らない振りをして実は何でも知っている恐ろしい妻役にはふさわしそうです。映像ならアレを握りつぶすシーンも入っているんでしょうね。

映画チラシ

 なお、前述の公式サイトでの東野圭吾のコメントの続きは、「現在不倫を画策中の人に警告です。まずは、この映画をみてください。それでも尚かつ不倫をするというのなら、もう止めません。どうぞ甘い地獄に堕ちてください。」となっています。作者の意図がやはり不倫はいかんよということなら、主人公に好感が持てなかった理由もうなずけます。主人公に好感が持てるようなら不倫是認になってしまいますからね。

 不倫は犯罪ではありませんし、なりゆきではまってしまうこともあるのでしょうが、「甘い地獄」って、言うほど甘美なものではないと思います。「甘い」部分があるのは救いかも知れませんが、基本的に地獄は地獄ですから。

 なお、末尾におまけとして「新谷君の話」が付いています。作中口を酸っぱくして主人公を諫める新谷君の身に何が起きたかが描かれています。そりゃあこんな経験したら「不倫はやめろ教」の伝道師になりますわねえ(笑)。

単行本

 

大江戸遊仙記:江戸時代の魅力を描く「大江戸」シリーズ第3弾

大江戸遊仙記

 こんばんは。昨日と一転して冷え込みましたね。三寒四温なんて言葉がありますが、この時期は四寒三温かしらん。三温もない感じがしますが。

 このところ昔読んだ本を再読する機会が多いです。自らの意志で、というのなら別にいいのですが、読んだことを忘れて借りてきて途中まで読んで「あ、前に読んだ本だ」と気付くトホホな展開なので、情けないったらありゃしないです。

 今日紹介する石川英輔の「大江戸遊仙記」もそんなトホホシリーズです。もちろん気付いても読み始めた以上は最後まで読みました。何よりも面白いんですよ。

大江戸神仙伝

 「大江戸遊仙記」は、石川英輔の「大江戸」シリーズの3作目です。石川英輔はこのシリーズを執筆する過程で江戸時代にはまり、江戸時代の生活事情など、明治政府により歪曲されてきた江戸時代の実態を研究したノンフィクションも刊行しています。著者によれば「江戸時代はリサイクルが発達した、理想的なエコロジー社会であった」ということで、執筆当時にソ連や東欧の崩壊が重なったこともあって、短命に終わった人工的な社会主義を批判をすることも多いです。社会主義だけが嫌いというわけではなく、統制的な全体主義や進歩至上主義、教条主義などを嫌悪しており、対照的に封建的とされる江戸時代は天保の改革などの一時期を除けば権力による統制も緩やかであったと主張しています。

 石川英輔は江戸時代が何でもかんでも良いのだといっている訳ではありませんが、経済成長が頭打ちとなり、科学の発展と引き替えに自然を犠牲にしてきた反省が強まっている現代から見ると、江戸時代のシステムに見習うべき点が多いという主張には含蓄があります。

大江戸妖美伝

 話を戻して小説についてですが、大江戸シリーズはこれまでに7作出されており、第1作「大江戸神仙伝」は1979年、最新刊の第7作「大江戸妖美伝」が2009年の刊行なので、30年という息の長いシリーズになっています。私が読んでるのは3作目の「大江戸遊仙記」までなので、まだ4作読みうる訳ですね。これからの生きるよすが出来たと言うべきか、図書館さっさと購入してと言うべきか。

 シリーズは、主人公速水洋介が突然文政5年の江戸時代にタイムスリップしたことから始まります。洋介は20年近く連れ添った妻に先立たれた40半ばの科学評論家で、以前は製薬会社の研究所に勤めていました。女性編集者の流子と恋愛して再婚を考えているという時期の突然の「蒸発」(実際流子の目前にタイムスリップしました)になってしまうのですが、江戸時代では親切な医師に助けられ、江戸の生活に触れるようになります。辰巳芸者のいな吉(本名「はる」)と仲良くなり、化学の知識を利用して脚気の治療薬を作ったりして、江戸時代を満喫するようになります。その過程で目にする江戸時代の実態は、目を見張る豊かさでした……というのが「大江戸神仙伝」の大まかなストーリーです。

大江戸仙境録

 洋介は再び現代に戻るのですが、2作目「大江戸仙境録」以降は任意に時を渡る能力(シリーズでは「転時」と読んでいます)を身につけて、現代と江戸時代を往来し、現代では妻となった流子と暮らしつつ、文政時代ではいな吉と江戸ライフを楽しむという、羨ましい生活を続けます。もっとも「転時」能力は自分では自由に発揮できず、強く発現したり消えてしまったりを繰り返しているようですが。

 文政5年は1822年です。俗に「化政文化」といいますが、11代将軍家斉の治世下の文化・文政期(1804年~1829年)は町人文化が発展し、絶頂期を迎えた時代です。江戸時代前期の町人文化である元禄文化は、上方が文化の中心でしたが、化政文化は江戸を中心としており、まさに「江戸っ子」の文化だったといえましょう。

 で、本書「大江戸遊仙記」は、「大江戸神仙伝」から4年後の文政9年に転時しつつ、洋介がいな吉(出逢った時は16歳で、19歳になっています)達と花見・花火(川開き)・蛍狩り・月見・枯野散策といった江戸時代の庶民のレジャーを楽しみまくるものとなっています。江戸っ子は半径10キロ程度のエリアを知るだけで生涯を終えることも多かったということですが、100万都市といいながらちょっと遠出をすれば自然がいっぱいに広がっており、平和で治安がいいのでみんなのんびり暮らして様々に機会を作っては遊び倒しているという世界は、なかなか魅力的です。

 この時代の隅田川は大きく清く美しく、江戸湾では美味しい魚がいくらでも獲れ、上野辺りまで行けば蛍が乱舞しているという、今となってはおとぎ話のような信じられない好環境だったそうです。文明と引き替えに失われたものが何と多いことでしょう。まあ日本以外の世界の歴史が着々と動いている以上、例えペリーが来航しなくてもいずれは江戸時代は終わったのでしょうが、本書を読んでいると惜しいなあという気がしてきます。 

 洋介の妻流子は時を超えた洋介の浮気を知るよしもありませんが、無意識にいな吉の存在を感じ取っているのか、だんだん妖艶で若々しくなっていきます。そして洋介が流子と交わっている時に、しばしばいな吉と入れ替わるという超常現象が本作から発生しています。現代で一日過ごすと江戸時代でも一日が経過しており、時差は全くないという非常に都合のいい設定なのですが、その現象が起きている時いな吉は夢の中で洋介と交わっているということで、いな吉自身は待乳山の聖天(大聖歓喜天、ヒンズー教のガネーシャを起源とする象頭人身の仏教の守護神。夫婦和合や子授けの神として信仰されています)を信仰したおかげだと思っています。

大聖歓喜天

 どうやら4作目からはいな吉が現代にタイムスリップしてきたりするのではないかという雰囲気で本書は終わりますが、実際のところはどうなるのかはこれから機会を得て読みたいと思います。

単行本版

コミック版秒速5センチメートル(その3):映像版第2話「コスモナウト」相当部分を読む②

秒速5センチメートル2巻
 
 今日は比較的暖かかったです。たまにはこういう日もないといけませんね。夕方からは霧雨もぱらつきましたが、傘を差すほどではなかったのが救いです。

 今週は先週までよりアクセスが多いような気がします。なぜだろうと考えて、はたと思いついたのが「冬休み」。そうなんですか、学生さん達?それは羨ましい限りですねえ。そういう時期が私にもありました。まあ遥か昔のことですが。もちろんお時間があればいらっしゃって下さい。ついでにコメントや拍手をいただけると大変喜びます。女子の皆さんも来ないかなとは思いますが、内容的に期待薄なので、多くは望みません。

 さて、それではコミック版秒速5センチメートルを読むことにしましょうか。いよいよ2巻に入りまして、第6話「君のいちばんに…」です。映像版第2話「コスモナウト」相当部分の最後ということになります。第2巻は映像版第3話「秒速5センチメートル」相当部分を中心に、かなり大胆な変更を行われており(というか、第3話はそうしないとマンガになりませんが)、映像版を先に見ると違和感を感じる部分も多々有ります。そしてその兆候は今回のエピソードで既に顕れているのです。

 表紙をめくると桜の花の下で振り返るセーラー服姿の明里の笑顔が。これは中学生時代の明里ですね。これだけでもう胸が締め付けられます。さらにめくって第6話の扉絵。笑顔で手を振る花苗。貴樹でも見つけたんでしょう。でもなぜでしょうか、花苗が泣いているようにも見えるのですが…

 秋も近づき海も冷たくなってくる中、花苗のサーフィン修行は続きます。再び波に乗れたなら、その時は貴樹に告白すると自分自身に誓っていたのですが、遂に波乗りに成功!その後はお弁当も上の空でにやついています。

波乗りに成功した花苗

 しかし放課後となると高まる緊張。トイレで身だしなみを確認しながら「どこかひとつ歯並びでも爪の形でもなんでもいい どうか私のどこかが彼の好みでありますように」と願う花苗。その健気さにおじさんマイッチングです。そうこうしている間に貴樹とばったり出くわし、いつものように「一生に帰ろうよ」と誘われます。

 さて、例の売店。ヨーグルッペには見向きもせずに貴樹と同じコーヒー(ただし小ぶり)を買う花苗。ヨーグルッペは犠牲になったのだ。

犠牲になったのだ

 いよいよ意を決し、貴樹のシャツの後ろを掴む花苗。しかし振り返った貴樹の表情が花苗を怯えさせます。貴樹は何も言いませんが、花苗には確かに貴樹の心の声が聞こえてくるのです。

 「何も」「言うな」

 俯いて「ごめん…なんでもない」という花苗。必死に勇気を振り絞ろうとしたのに、いつもの臆病な花苗に逆戻りです。この貴樹の心の声、これは実際に口に出している訳ではないのですが、映像版を見て貴樹の心情とシンクロしている(つもりの)私からすると非常に違和感がある部分です。花苗の勝手な解釈と捉えてもいいのですが、コミック版の貴樹の表情は無表情というにはあまりにも冷たい感じがします。

 花苗のカブはスパークプラグの寿命のようで、二人は歩いて帰ります。貴樹の背中を見つめながら歩く花苗のモノローグが続きます。

 「勘違いだったのかな…勘違いのわけない。これが現実」 

やはり花苗にとって貴樹の表情は拒否以外の何者でもなかったようです。しかし、その傍らわざわざ一緒に歩いて帰ってくれる貴樹。その優しさは却って花苗の心を傷つけます。

 「遠野くん…なにを思っているの…なんで優しくするの…遠野くん…遠野くん…どうして…」

お願いだから優しくしないで

 とうとう泣き出す花苗。
 
 「お願いだから…もう私に…やさしくしないで…」

ロケットを見上げる二人

 声に出して言おうとした瞬間、地響きを立ててロケットが飛び立ちます。思わず見上げる二人。涙も止まった花苗ははっきりと自覚します。

 「本当はずっと前からわかってた。見ないふりをしていた。遠野くんはやさしい。とても優しくてこうして私の歩調に合わせて隣を歩いてくれるけれど……私をみてなんかいない。遠野くんはいつも私のずっとむこう…ずっと遠くの何かを見ている。この先もずっと私を見てくれることはない」

上昇していくロケット。噴煙が隔てる光と影に注目

 貴樹と別れ、家ではことさら明るく振る舞う花苗。布団に横たわって、愛犬カブに話しかける花苗。涙が止まりません。

 「ねぇカブ…終わっちゃったんだ…終わっちゃった…終わっちゃった…終わっちゃったよ~…」

 号泣する花苗。やがて泣き疲れたように眠りに衝きますが、それでも。

セクシーというより健康的な花苗セミヌード

 「それでも私は明日も明後日もその先も遠野くんが好き。やっぱりどうしようもなく遠野くんのことが好き、遠野くんのことがずっと…ずっと好きです」

 それが本当の恋ってもんだよ花苗!!自分の気持ちさえ自分の思いどおりには出来ないなんて、人はなんと不自由な生き物であることか。それでも前に進まなければならないなんて。

 それにしても花苗、健気でとっても可愛いんですけどねえ。こんなに慕ってくれるならもう花苗でいいじゃないと貴樹に言いたいところなんですが…そして他の作品とかなら実際言っちゃってるところなんですが…この作品についてだけは、「桜花抄」の明里を見ているのでとても言えません。明里ラヴ。

 そういえば明里は「貴樹くん」、花苗は「遠野くん」と呼ぶんですね。その呼びかけ方の違いが貴樹との距離の差なのでしょうか。

 ということで、花苗視点で話が進行した映像版第2話「コスモナウト」相当部分はここまでです。次回はいよいよ問題の映像版第3話「秒速5センチメートル」相当部分に入りますよ。これがまたきついんです。

yell:同名タイトル曲では一番マイナー?高橋由美子もいいですよ


 
 12月の曇天。雪模様かと思いきや関東平野部では小雨でした。氷雨というには細かすぎて。日中はかなり寒く感じましたが、夕方以降はそうでもありませんでしたね。

 昨日は一昨日を超える448アクセスという当ブログ過去最高のアクセスをいただきました。その結果ランキングも日記全体で296274人中297位、会社員・OL部門で31848人中52位となりました。一昨日の55位から3ランクアップです。しかしさすがに50位の壁は厚いようですね。50位あたりにA.Tフィールド並の「越えられない壁」があるのかも知れません。

 本日は高橋由美子の「yell」です。「yell」という曲はコブクロとか「いきものがかり」とかEXILEがそれぞれ別個の歌を歌っていますが、その中では一番マイナーでしょうね。この曲は1993年11月リリースの高橋由美子12枚目のシングルで、日本テレビ系ドラマ「もうひとつのJリーグ」の挿入歌になっていました。

 この年はJリーグ発足の年ということで、「もうひとつのJリーグ」はJリーグのというか、育成リーグであるJサテライトリーグの選手達の青春を描いたものでしたが、サッカーブームにも関わらず視聴率が極めて低迷したため、11話予定のところ5話で打ち切りとなってしまいました。高橋由美子も主役の恋人役として登場していた関係で挿入歌を歌ったものと思われます。

 そういうことでドラマはあえなくぽしゃってしまった訳ですが、「yell」はなかなかに良い歌です。恋人同士が別々の道を追って行く、という話は先日の岡村孝子の「電車」のように往々にして別離を招いてしまいますが、「yell」の恋人達は離ればなれになっても別れずにお互いにエールを送り続けようという内容になっています。

 仕事で重大なミスでもしたのか、泣きたいほど辛いことがあった夜。家に帰り着くまでは泣くまいとしている彼女ですが、家路がはるか遠くに感じます。

 辛い夜には声が聞きたい
 けれどもあなたは
 決まってわざとキツイ言葉ネ
 あなたがくれるエール きっと抱きしめて
 涙も乾いていくの

 
彼はドラマの挿入歌らしく、サッカー選手ということでいいでしょう。彼女は彼のために何も出来ないことをもどかしく思って

いますが、彼が彼女の前でだけ弱い部分を見せてくれることを嬉しく感じています。

 あきらめないで どんな時も
 前を向こうとする
 あなたのままで大好きだから
 誰より熱いエール 送り続けるわ
 すべての想いこめて


 そして二人励まし合ってそれぞれの夢を叶えようと、さわやかに締めくくります。

 歩いて行こう どんな時も
 一人じゃないから
 別々の夢 追いかけてても
 誰より強いエール 送り続けてる
 そんな二人でいようね


PV版です。水族館でロケしていますね。解像度悪し。

PV版「yell」

http://www.youtube.com/watch?v=AmjpNuixJW8

LIVE版です。妙なステージ衣装を着ています。こちらも解像度が……

LIVE版「yell」

http://www.youtube.com/watch?v=OrDVMJcr5tk

 まあこの歌のように純粋で真摯な気持ちでいる二人も、いずれは時間と距離によって徐々に引き裂かれ、目の前を小田急線が疾走することになるのでしょうがね……くっくっく。「秒速5センチメートル」の呪いは恐ろしいのだ。

 とはいえ、曲も非常に明るいし、この曲を聞くとつかの間元気になります。そしてその後そんなエールをくれる女性がいないことに絶望するわけですが。いやいやそんな暗い方向にばかり行ってはいけません。

高橋由美子

 高橋由美子は1974年1月生まれのもうすぐ39歳。1989年に女優として、そして1990年に歌手デビューしています。「20世紀最後の正統派アイドル」と評され、芸能マスコミでも彼女のキャッチフレーズとして扱われていました。その名のごとく、90年代前半のメジャーアイドルでしたが、この時期というのは通称「アイドル冬の時代」といわれ、従来の販売戦略が上手くいかなくなり、当時のアイドル達は大変な苦労をしました。そんな中、高橋由美子はCoCoと共に良く健闘していたと思います。なにしろ90年から99年までの10年間にシングルを24枚も出しています。CoCoは94年にシングル14枚を出して解散し、91年からソロデビューした「残党」で一番人気があった三浦理恵子も2001年までに14枚しかシングルを出していません。

SINGLE COLLECTION

 ドラマの方も90年代には主演を多く務めており、女優としてもかなりの売れっ子でした。愛称は「Good-P」。熱帯魚のグッピーとGood Personality の略を掛けたものらしいですが、当時はてっきりグッピーみたいに小さくて可愛いからだと思っていました。背は154㎝と小柄ですが、歌唱はアイドルとしてかなり声量があって上手です。他にも「友達でいいから」とか「Good Love」とかいった聞かせる曲から「Fight!」「アチチッチ-fire version-」のような元気いっぱいの曲まで色々歌っていますので、「SINGLE COLLECTION 」とか「ゴールデン☆ベスト」あたりいかがでしょう?決して損はしないと思いますよ。私は「SINGLE COLLECTION」を持っています。

ゴールデン☆ベスト

好きな声優さん(その12):岩男潤子~元アイドルの歌唱力は抜群

岩男潤子
 
 本日は総選挙。皆さん投票には行きましたか?どこに投票するかはそれぞれの意志のままに。でも投票には行きましょう(これはノンポリのポリシーの範囲内で大丈夫ですよね)。何より選挙特番見るときにその方が面白いですから。

 昨日のアクセスはカウンター設置以来最多の429でした。先週は418アクセスあったのにランキングの更新がなくて順位は不明でしたが、今日は更新がありました。日記ジャンルで380609人中316位、会社員・OL部門で 37734人中55位となり、久々に記録更新となりました。50位以内も狙えるのかも知れません。ブログを始めた頃はそんな事態は想定していませんでしたが。年末年始、もしお暇でしたぜひ。でもランキングの更新は通常通りされるんでしょうかね?

1995年頃の岩男さん

 日曜日は声優の日ではないといいつつ、本日も声優さん。今回は岩男潤子です。

CDジャケットの岩男さん

 岩男潤子は大分県別府市出身。1970年2月18日生の42歳。声優のほか歌手もこなしていてシングルを12枚もリリースしています。ところでこの「岩男」という名字、本名のようですが凄いですね。

 「ところで俺の名字を見てくれ こいつをどう思う?」

こいつをどう思う?

 「すごく…男らしいです…」

すごく…大きいです…

 何しろ英語にすればロックマンですよ。何回やっても何回やってもエアーマンが倒せないあのロックマンです。

ロックマン
エアーマン

 岩男潤子は小学5年生の時、合唱で「翼をください」を歌った事で音楽に目覚め、13歳の時に初めて受けた歌のオーディション合格をきっかけに単身上京。芸能事務所に所属し、「いわお潤」の芸名で養成期間を経て86年にセイントファーの新メンバーとして妹分としてデビューしました。

新生セイントフォー。左端が岩男潤子(当時は「いわお潤」)

 セイントフォーというのは我々からすると非常に懐かしいキワモノのアイドルグループで、プロモーションに40億円かけたとされる、曲間にバック宙するなどアクロバティックなパフォーマンスをすることで話題になりました。84年にデビューしてシングルを4枚出しました。また同年の「ザ・オーディション」という映画に出演し、セイントフォーそっくりのグループ「レイカース」のメンバーを演じました。主演は世良公則でしたね。私にはこの映画を公開当時見に行ったという黒歴史があります。ホントにどうして見たんだろう?

旧セイントファー
ザ・オーディション

 しかし、パフォーマンスがあまりに色物だったためか、まだ車田正美の「聖闘士星矢」が始まっていなかった(86年です)ためか、いまいち人気が出ず、また所属事務所とレコード会社の路線対立により、85年以降はレコードが出せない状況になってしまいました。そうした中、86年3月にメンバーの一人板谷祐三子が脱退したため、岩男潤子は「いわお潤」が新メンバーとして加入することになりました。ですが、岩男潤子が参加したセイントフォーはシングルをリリースすることなく87年に解散することになってしまいました。

ねぇ、お父さん

 その後「潤」の名前で「ねぇ、お父さん」という石井光三とのデュエットソングで初シングルを出します。童謡歌手、子供ショーの司会、教育番組のお姉さん役などとしての活動しましたが、一時は引退も考えたそうです。94年のNHKのアニメ「モンタナ・ジョーンズ」のオーディションに合格し、ヒロインのメリッサ・ソーン役を射止めたことで、起死回生の声優デビューを果たしました。人気が出るまではアルバイトで生計を立てていたとか。
モンタナ・ジョーンズ
メリッサ・ソーン

 岩男潤子の公式HP(http://www.junkoiwao.jp/profile/index.html)のプロフィール欄にはセイントフォーのメンバーだったとか、人によっては黒歴史として封印したくなるかも知れない事実もきちんと公表しており、芸能活動をする上でのこの人の姿勢を良さが現れているなと思います。公式ブログ「J.I room」はhttp://ameblo.jp/iwaojunko/ です。 
公式HP
公式ブログ

 ちなみにアイドルから声優に転身して成功した人には、岩男潤子の他に日高のり子、佐久間レイ、櫻井智(レモンエンジェル)などがいますね。

日高のり子
佐久間レイ
櫻井智

 95年にはソロ歌手としてもデビューし、ソロコンサートも開催しています。声優業では、声色の豊富に定評があり、幼女から大人の女性、明るいタイプの女性、おとなしい女性、気が強い女性、母親役、少年役、動物キャラなど、様々なタイプのキャラクターの声を演じています。歌手としては、恋愛を中心とした切なさを生み出す雰囲気の歌、バラードを中心に歌っています。優しくしっとりとした歌声はまさにそういった歌にぴったりでしょう。最近はアニソンのカバーも行っており、2011年10月にリリースした「Anison Acoustics」はアニソンのカバー集となっています。

Anison Acoustics

 YouTubeにアップされているものをちょっとだけご紹介。

 残酷な天使のテーゼと魂のルフラン

残酷な天使のテーゼを歌う岩男潤子

http://www.youtube.com/watch?v=aAneMMu5YNg

 微笑みの爆弾

微笑みの爆弾を歌う岩男潤子

http://www.youtube.com/watch?v=U5pMe-I0Ch4

 さすがに上手いですね。ボサノバにとても適した歌声だと思います。

 さて、それではアニメやゲームで私が見た岩男潤子演じるキャラです。例によって原則古い順です。

 洞木ヒカリ(新世紀エヴァンゲリオン)

洞木ヒカリ

 シンジやアスカ・レイのクラスメートで学級委員長を務める真面目でしっかりした女の子。アスカと仲良しです。クラスメートの鈴原トウジにはいつも説教ばかりしているが、淡い恋心を抱いていました。アスカから諭され、彼のために弁当を作ったのですが、その時トウジはエヴァンゲリオンのパイロットに選ばれており、しかも機体は使徒に乗っ取られるて他のエヴァンゲリオンと戦闘になるという事態になってしまい、渡すことはできませんでした。テレビ版ではなんとか生還したトウジを見舞っていますが、映像出見る限り左足を失っている模様です。

洞木ヒカリ2

 ヒカリという名前はと新幹線からのようで、姉に「コダマ」妹に「ノゾミ」がいます。新幹線三姉妹。97年に出たセガサターン版のゲーム「新世紀エヴァンゲリオン 2nd Impression」では展開によってはシンジとキスすることも。番外編なんですが、なんという展開だ(笑)。

 法条まりな(EVE burst error)

法条まりな

 岩男潤子が演じたのはセガサターン版です。まりなは「EVE」シリーズ全体で主人公を務める一人です。内閣調査室所属の1級捜査官で、任務達成及び検挙率が99%を誇るスーパーエージェントです。明るく奔放な性格で、趣味は恋愛(笑)。ただし渋い中年男性にしかときめかないとの事です。「burst error」では桂木源三郎と恋に落ち、婚約までに至るが、死別と言う形で実る事はありませんでした。岩男潤子が参加していないPC版では濡れ場も描かれたそうですがサターン版はちょっと匂わす程度の表現でした。ちなみにサターン版では特典映像でインタビューやアテレコ風景を見ることが出来ました。

 シェルファニール(ラングリッサーⅣ)

シェルファニール

 昨日紹介したばかりのラングリッサーⅣのカコンシス王国の双子姫のお姉さんです。強力な魔法使いで聡明で感情を心の奥に秘めるタイプです。判明コスはど派手で1キロ先からも視認可能なような。序盤に一行が暗殺されそうになる場面があるのですが、きっとこの人のどでかい帽子のせいでしょう(笑)。

策士シェルファニール

 双子とはいえ長女という立場上、国王に背けず主人公一向に敵対することもありましたが、とにかくしゃべり方が穏やかでしとやかなので憎めませんでしたね。メインヒロイン格の妹アンジェリナを差し置いて、私は真っ先にこの人に告白してしまいました。

 大道寺知世(カードキャプターさくら)

大道寺知世

 主人公さくらの同級生にして一番の親友です。資産家大道寺家の一人娘で典型的なお嬢様です。見た目はおっとりしたお嬢様で長い黒髪が特徴的です。「〜ですわ」などのお嬢様口調で喋ります。歳に見合わぬ落ち着いた性格で思慮深いのですが、とにかくさくらが大好きで、自分の作った服を彼女に着てもらい、撮影した映像を観ることを至上の喜びとしています。

原作の知世

 コーラス部所属で、発表会などではソロで歌うこともあるほど歌が得意です。この辺りを考えての岩男潤子起用なのでしょうか。さくらのバトルコスチュームを手作りしたり、「さくらの勇姿は1秒たりとも逃さない」という信条からビデオカメラを片手に彼女を応援しています。本人に魔力はありませんが、洞察力が非常に高く、人を包み込んだり励ましたりする保護者のような側面もあります。

 ミント・アデレード(テイルズ オブ ファンタジア)

ミント・アドネード

 ヒロインの法術師で18歳です。白ずくめの衣装が印象的。彼女の一族は代々神官の家系で、母メリルが仲間と共に魔王を封印して以降は魔王の封印を守るという使命も課せられていますが、当初、彼女自身はその事を全く知りませんでした。物静かでおっとりとした性格で、年下でも相手を「さん」付けで読んでいます。

ミントのフィギュア

 聖獣ユニコーンに出会える清らかな女性(つまり処女)ですが、反面恋愛には相当疎いです。胸の大きさには定評があるのですが。法術はすべて補助・回復技なため、攻撃手段は杖で殴るのみですが、後衛に置くと回復役として重宝します。というか、バックアタックを受けた場合以外で彼女を前衛にするようでは主人公失格。

 早乙女和子(魔法少女まどか☆マギカ)

早乙女和子

 まどか達の担任の先生で、担当教科は英語です。まどかの母である詢子とは昔からの親友ですが独身であるため、婚期を焦っていますが、彼氏運がないせいか交際は長続きしないようです。恋の破局はホームルームや授業の内容にも反映され、それがシリアスで思い展開を緩和してくれているような気もします。一見頼りない感じですが、第11話では詢子と大人の悩みを打ち明け合う場面が描かれており、生徒達のことを気遣っていることが窺えます。

 六花の母(中二病でも恋がしたい!)

六花の母

 最新作。第10話「聖母の…弁当箱(パンドラズ・ボックス)」に登場しました。名前は不明です。控えめで大人しい女性で、夫(六花の父)の死後、六花と十花を夫の実家に置いて出て行きました(この辺詳細は不明ですが、十花は怒ってないようなので事情があったのでしょう)が、今ではこれを後悔しているようです。姉の十花が海外転勤するに際し、代わりに六花と住む事を考え、学園祭に現れますが、合わせる顔が無いとして、手作りのお弁当を勇太に託しました。

アンミラの衣装を持つ岩男さん

 芸能活動歴は26年を超えるという、年齢にそぐわぬキャリアの持ち主ですが、その優しい声でこれからも歌手として声優として活躍して欲しいものです。

ライブ中の岩男さん

ラングリッサーⅣ:露出は控えめ、キャラは多めになりました

ラングリッサーⅣ
 
 雨模様の土曜日ですね。その代わり気温は上がるとか言っていたような気がしますが、全然暖かくない!本当に寒い12月ですね。

 そうそう、アクセスカウンターが2万を超えました。皆さんご訪問ありがとうございます。3ヶ月半で2万ということは、一日190弱のアクセスということになりますが、最近の一日平均は200アクセスを超えているので、右肩上がりで誠にありがたいことです。

 さて、師走という位で12月は何かと忙しいので、とっとと本題に入りましょう。

 本日はラングリッサーシリーズの4作目、「ラングリッサーⅣ」です。問題作・ラングリッサーⅢのほぼ一年後の1997年8月にセガサターン版がリリースされました。Ⅴと併せた「ラングリッサーⅣ&Ⅴファイナルエディション」は99年にプレイステーション版として発売されています。私はもちろんセガサターン版をプレイしましたが、わりと最近PSPでゲームアーカイブスからダウンロードした「ラングリッサーⅣ&Ⅴファイナルエディション」もプレイしました。こちらはⅤのゲームシステムをⅣに導入して、ゲーム環境をより快適にしたものです。

Ⅳ&Ⅴ

 「ラングリッサーⅣ」ではボーゼルを超えるシリーズ最大のエゴイスト・ギザロフがラスボスとなります。普通の人間なのですが、この人の存在は続編のⅤにも大きな影を投げかけています。カオスはボーゼルは魔族の世界を目指していますが、人間の敵ではあっても必ずしも「悪」とは断定できない存在であるのに対し、ギザロフはもはや絶対悪的存在で、シリーズでも異彩を放っています。

 Ⅲは一番始まりの物語でしたが、ⅣはⅡの200年後の世界となっています。これまで戦いの舞台であったエルサリアの西方にあるイェレス大陸が舞台となります。戦闘システムは基本的な部分はⅡに回帰していますが、敵味方共に傭兵と指揮官は行動量によって行動を制限されています。またストーリーの分岐もあり、三つのルートに分岐するようになっており、ヒロインセレクトはルートによって対象が変わります。

パッケージ裏
 
 基本的には魔族と組む組まないをめぐって、魔族との同盟を拒否するとCルートへ。魔族を倒した後にギザロフを倒すことになります。これはストーリー的にⅤにつながる正規ルートです。魔族と同盟したのち、完全にボーゼルと手を組めばBルートへ。かつての仲間達と血で血を洗う戦いを繰り広げる凄惨なルートです。そして、一旦は魔族と結ぶんでギザロフを倒したのち、ジェシカの説得を容れて魔族と手を切って倒せばAルートです。一番ハッピーなエンドとも言われますが、正規ルートにはなりません。

 登場する国はカコンシス王国とレーゲンスブルグ連邦です。強大な軍事国家であるレーゲンスブルグ連邦に対して圧倒的に小国のカコンシスは、王族の人質を送る事で和平条約を結んでいましたが、人質が死亡してしまったため、連邦は新たな人質としてカコンシスの双子の姫を要求してきます。そんな中、連邦の小さな村ゴタールは、村に安置されている「賢者の水晶」を狙った連邦の将軍ギザロフによって重税を課され、無理矢理反乱に追い込まれます。主人公ランディウスはゴダールの村長に拾われた養子でしたが、ギザロフの襲撃で死んだ村長の意志を継ぎ、掠われた義妹レイチェルを奪回するべく動き出します。カコンシスの双子の姫を暗殺の危機から救ったことでカコンシス王国に身を寄せ、カコンシス王国対レーゲンスブルグ連邦の戦いに巻き込まれていきます。一方、連邦内にも躍進めざましいギザロフを疑いの目で見ている者達が存在するのでした…

チラシ表

 「賢者の水晶」は、Ⅱの光輝ルートのラストでリアナ・ラーナ姉妹により封印されたラングリッサーとアルハザードの融合形態です。ルシリスが天界に保管していたはずですが、200年後にはなぜかゴダール村に安置されていました。真の力は封印を解除した時に発揮されますが、そのままでも魔力の発生・増強装置としては最強クラスの性能を有するため、ギザロフが己の野望のために奪取を試みたのです。

 Ⅱ以降、タイトルになっている聖剣ラングリッサーは魔剣アルハザードに存在感で押されっぱなしですが、Ⅳでもギザロフの狙いはアルハザードで、賢者の水晶分離後にラングリッサーはランディウスのものになっています。それはなぜか、はⅤで明らかになります。

主人公ランディウスとヒロイン達

 本作もヒロインセレクトが可能で、5人のヒロイン候補がいますが、ルートによって告白可能かどうかが別れます。Aルートでは双子姫とセレナ・レイチェルに告白可能で、闇と手を組むBルートでは告白が不可能となっています。まあみんな敵になって倒していますからね…。Cルートでは双子姫にレイチェルと魔族の女リスティルに告白可能です。

 それではキャラ紹介。まずは主人公一行から。

 ランディウス(CV置鮎龍太郎)

ランディウス

 ラングリッサー史上、唯一の光輝の末裔ではない主人公です。水害で全滅したレクリオ村出身で、隣村ゴタール村の村長の養子として育てられました。物語スタート時点で17歳です。母親の形見で村の宝として管理されていた「賢者の水晶」を狙うギザロフの陰謀で、反乱に追い込まれ追い詰められるも、マクレーンに救われ、暗殺の危機から救ったアンジェリナ達の助力を得てからはカコンシス王国の部隊長として働き、先鋒や遊撃などの任務で活躍します。

 レイチェル・リッキーは村長の実の子供なので、義妹義弟という関係になります。それは全員最初から知っているので、レイチェルがヒロインになっても「野郎、タブー中のタブーを…」ということにはなりません。本当の姉であるエミリーはランフォード将軍の副官となっています。現実主義者で、この世界では珍しく「光=善」「闇=悪」という考え方をしていません。これはランディウスが本当な人間ではない(!)ためかもしれませんが、それゆえボーゼルには気に入られていました。

 リッキー(CV石川英郎)

リッキー

 ランディウスを育てたゴタール村長の実子でレイチェルの弟で、物語スタート時点で14歳です。やけに気障な性格で、よくマクレーンに玩具にされています。シェルファニールに一目ぼれし、アタックを繰り返しますが、ランディウス、レイチェルとアンジェリナの3人には頭が上がりません。

 レイチェル(CV住友優子)

レイチェル

 ランディウスを育てたゴタール村長の実子でヒロインの一人です。物語スタート時点で15歳。ひたすら甘えん坊の「お兄ちゃん子」ですが、見かけによらず(笑)強力な魔力を秘めていたため、実験材料としてギザロフに狙われます。何度救出しても掠われる完全ヒロイン体質ですね。

お兄ちゃん大好きレイチェル

 ランディウスに対してとそれ以外の人に対してでは口調がまるで違うます。例:ランディウスに対して「な~に?お兄ちゃん」、リッキーに対して「何?リッキー」。ランディウスに対してはとにかく甘え口調が目立ちます。血は繋がっていないんだし、こんなに慕ってくれるんならもうレイチェルでいいじゃんと思ってしまいます。

操られてるレイチェル

 制服のような民族衣装のようなコスチュームが特徴的です。Ⅳはこれまでのシリーズに比べると女性キャラの露出が全般的に控えめですが、レイチェルは特にガードが堅いようです。ただし、ギザロフに洗脳されて巨大兵器ガイフレームに搭乗した際は、こういう格好になっています。これはギザロフの趣味なんでしょうか?

マクレーン(CV神谷浩史)

マクレーン

 ギザロフに改造された改造人間で、物語スタート時点では28歳です。一緒に誘拐されたまま消息不明となっている妹を探していた中、ギザロフの追手からランディウスとリッキーを助けたことから仲間になります。ギザロフからは失敗作と切り捨てられていますが、 肉体の機械的強化が行われており、パワーと魔法防御力は常人を大幅に上回っています。

 ランディウスが気に入っており、ランディウスが人類と敵対するBルートでも最後まで同行してくれます。生き別れの妹はⅤで登場します。年齢は3-4歳しか違わないはずなので、妹の年齢も大体……。皆勤賞の女魔術師ジェシカに好意を抱き、Cルートではカコンシスやレーゲンブルグへの将軍就任を断り、ジェシカを追っていったことでⅤにおける戦乱に巻き込まれることになります。

 カコンシス王国

 アンジェリナ(CV桑島法子)

アンジェリナ

 カコンシス王国の双子姫の妹でヒロインの一人です。物語スタート時点では16歳で、男勝りの武術の腕を持ち、凛々しい印象がありますが、好きな男性には甘えたがりな一面もあります。幼少時代に森で遭難、偶然出会ったやはり幼いランディウスと協力して脱出した過去があり、その時ランディウスが落とした母親の形見のペンダントを肌身離さずに持っています。ということで、設定的にはメインヒロイン格なのですが……

 ヒロイン中最もランディウスとの繋がりが深くCルートではランディウス達を抹殺しようとした父に愛想を尽かし、姉のシェルファニールと敵味方に分かれます。王位継承の必要も無いが故の自由さ…と言ってしまっては酷でしょうかね。

 シェルファニール(CV岩男潤子)

シェルファニール

 カコンシスの双子姫の姉でヒロインの一人です。アンジェリナと同様16歳で、正規ルートであるCルートの終盤では女王に仮即位します。初期クラスはウォーロック、隠しクラスはプリンセスとハーミット。 温和な性格で、父であるカコンシス王の我儘に憤るランディウス達に頭を下げる役割を強いられています。おっとりした言動をしているが、カコンシス王のランディウス抹殺指令で内戦が起こった際、ランディウスに恋心を抱いているアンジェリナをランディウス側に遣り、どちらが勝っても王家が生き残るように取り計らうなど、策士というか戦略眼があります。

 とにかくそのコスチュームがインパクト大です。魔法使いのコスプレをしている人にしか見えません。頭の帽子が巨大すぎます。正規ルートのCルートではカコンシス王の命令でランディウスを襲撃しますが、この際魔族との同盟に反対意見を述べたにも関わらず、女魔族のリスティルを仲間にしているランディウスに怒りと嫉妬心を見せます。はっきり言いませんが、彼女も当初からランディウスに好意を持っていたのでしょう。リッキーがアタックしてますが、意に介していません(笑)。

 ウィラー(CV野島健児)

ヤン…もというウィラー提督

 カコンシス軍の全権を任された提督。本来提督って海軍の将軍とか艦隊の司令官という意味なので、Ⅳでの将軍の上位の役職というニュアンスはないのですが、まあ仕様なので我慢しましょう。

 某銀英伝における同盟の不敗の魔術師そっくりです。頭は切れますが剣の腕はからっきしです。軍師としては非常に有能ですが国王が無能な上、優秀な部下も少ないため苦労してきました。ランディウス達が協力してからは破竹の快進撃を続けます。連邦の将軍ランフォードとは士官学校時代の親友ですが、敵対している今では、最も苦手な相手となっています。ランフォードは武技も一流ですから。

 セレナ(CV浅田葉子)

セレナ将軍

 ウィラー配下の女将軍で25歳です。カコンシスでは唯一まともな将軍で、男勝りながら女性らしさも兼ね備えています。大人の魅力に溢れた女性で、ウィラーに好意を抱いていますが、全然気付いて貰えません。Aルートでは彼女にも告白して寝取ることが可能です。NTRが寝取られなら、寝取りはNTLなのでしょうか。

 カコンシス王(CV青野武)

カコンシス王

 カコンシス王国の王でアンジェリナとシェルファニールの父です。よくぞこの父から美人姉妹が生まれたものです。国王としての実務能力は低く、元々は小心者ながらも普通の親らしい様子も見せていましたが、連邦との開戦と予想外の勝利で調子をこきまくり、レーゲンブルグに逆侵攻という無謀な決断をしますが、大敗北を喫します。その後は人格破綻というか狂気的な言動を行うようになり、正規ルートであるCルートではブルーノ(の体を乗っ取った魔神グラーズ)に殺害されます。

 カコンシス王妃(CV青山美帆)

カコンシス王妃

 カコンシス王国の王妃でアンジェリナとシェルファニールの母。二人の美貌は完全に母親譲りです。温厚な性格で積極的に国政に口を挟むことは差し控えているが、夫よりは戦略的な眼力に長けています。王の死後、空位となった王位に就くよう進められるが辞退し、娘のシェルファニールに王位を託します。

 ブルーノ将軍 (CV中井和哉)

ブルーノ将軍

 温和な言動の多いカコンシス王国の将軍です。実は数年前から魔神グラーズに憑依されているため、正規ルートであるCルートではカコンシス王を煽って無茶苦茶な戦略を実行させて、カコンシス王国とフレデリック派の兵力を壊滅寸前にし、正体を見破られたためカコンシス王を殺害し王城と首都を制圧してランディウス達と激突します。本来の性格は温厚で責任感の強い性格であったようです。

 レーゲンスブルグ連邦

 ランフォード(CV安井邦彦)

ランフォード

 レーゲンブルグ連邦王国の将軍で、物語スタート時点では26歳です。連邦の有力貴族の次男ですが、人を身分で差別することはしない主義で平民や下級貴族出身の友人も多く持っています。連邦の要人の中では明白にギザロフを嫌っており、ギザロフのゴタール村殲滅作戦の時にはランディウスとリッキーを逃がす手引きをしてくれます。 正規ルートであるCルートではフレデリック王子を擁して反乱を起こしますが、王子暗殺で反乱軍は空中分解し、仕方なくギザロフの命令でカコンシス王国攻撃に向かうが、エミリーに憑依した魔神グラーズに襲われたところをランディウスにエミリー共々助けられ、最終決戦ではランディウス側の一員としてギザロフに立ち向かいます。

 エミリー(CV満仲由紀子)

副官エミリー

 ランディウスの生き別れの姉で、ランフォードの副官(実際には副司令官)を務めています。物語スタート時点で21で、 レクリオ村を襲った洪水で、母親や弟とかなり離れた所に流されてしまい、孤児院で育てられ士官学校へと進みました。正規ルートであるCルートではアンジェリナの持っていた母の形見のペンダントと情報からランディウスが弟であると知って苦悩します。その後魔神グラーズに寄生されますが、ランディウスによって救われ、直後にランディウスに姉弟の告白をし、最終決戦後はランフォードの婚約者となります。

 ローゼンシル (CV豊嶋真千子)

ローゼンシル姫

 ローゼンメイデン(嘘)。レーゲンブルグ連邦王国大王クレオネスの娘で後に女王に即位します。野心や悪意はありまえせんが、ギザロフに扱いやすい道具として目を付けられ、クルーガーに籠絡させられてしまいます。女王即位後も結婚したクルーガーに国政を全面的に委任してしまったため、結果として国を二分する内戦を招いてしまいました。それにしても本作、うるし原キャラとそうでないキャラの絵の落差がすさまじいですね。

 ギザロフ一味

 ギザロフ(CV柴田秀勝)

ギザロフ

 レーゲンブルグ連邦王国の将軍から元帥に昇格します。 魔法力、技術力、戦闘力、政治力、戦略構築能力全てに優秀な天才であり、同時にシリーズ最凶のエゴイストで、目的のためには平気で他人を使い捨てにします。

 秘密裏に改造人間やクローン技術の開発、古代兵器修復を手掛けています。元々は病気の母親を助けるために必死で働く親孝行で優しい青年でしたが、母の死にショックを受けていた時に戦争に負け、敗走の途中で出会った邪神ゲンドラシルに野心を刺激されて性格が変貌してしまったようです。

 クルーガー(CV高塚正也)

クルーガー

 ギザロフの息子でギザロフ一味の実働隊長です。陰湿で他人を道具扱いする男であるが、親を大事にする心情もあって、ギザロフに似ています。それもそのはずギザロフのクローンでした。

 ローゼンシル姫を籠絡して結婚し、レーゲンブルグ連邦の大王に収まります。 正規ルートであるCルートでは自身がギザロフのクローンであることを知り、使い捨てにしたギザロフに仕返しをすべく邪神ゲンドラシルと手を組みますが、体を乗っ取られてしまいます。

 邪神ゲンドラシル(CV稲田徹)

邪神ゲンドラシル

 ルシリスやカオスより格下の神で、過去にカオスに挑んで返り討ちにあっています。カオスに復讐する力を得るため、30年前にルシリスの下から賢者の水晶を盗み出しますが、ルシリスの追撃を受け戦闘不能状態に陥ったしまったため、その魔力と知識でギザロフを助けています。正規ルートであるCルートではクルーガーを唆してアルハザードを回収し、その力を使ってクルーガーの体を乗っ取りギザロフに挑戦しますが、ガイフレームに敗れてギザロフに吸収されてしまいます。なお、ラングリッサー世界における邪神は「強力な魔族が神の力を得た存在」と定義されています。

 魔神グラーズ(CV坂本正吾)

 ゲンドラシルの右腕で、人間の影に取り付いて肉体を乗っ取る力を持っています。本作で一番活躍したキャラかも知れません。 正規ルートであるCルートではブルーノ将軍に数年前から取り付いており、リスティルに正体を気づかれたため、カコンシス王を殺害した後、宰相に憑依してフレデリック王子を暗殺、さらにその場に居合わせたエミリーに憑依するも、ラングリッサーを持ったランディウスによってエミリーの体から追い出された揚句に倒されてしまいます。女神転生シリーズなら魔神が邪神の手下なんてことはあり得ないんですがね…

 ヴェルセリア

 リスティル(CV満仲由紀子)

リスティル

 魔族の中堅幹部でそれなりに実力はありますが、任務失敗が多く、ボーゼルからは問題児扱いされています。 ボーゼルの配下としてレーゲンブルグ王国宰相派、フレデリック派に協力しており、カコンシス王国に同盟を持ちかけます。 正規ルートであるCルートでは同盟に危惧を現したランディウスを恨んで襲撃をかけるも、敗北して降服し、配下として働くことになります。ランディウスの配下になってからは告白可能なヒロインとなります。これはボーゼルからNTLということか……

 ボーゼル(CV塩沢兼人)

ボーゼルさん

 カオスの代理人で闇の貴公子とも称される、お馴染みのライバルキャラクターです。魔術師フェアラートと名乗ってギザロフと敵対します。ランディウスが仲間になるBルートではやたらひ弱になっていますが、これは一体…。敵の時は強いが味方になると弱くなるという少年ジャンプマンガの法則が?

 アイヴァー(CV井上隆之)

自称天才軍師アイヴァー

 自称天才軍師。しかしアミバ同様口だけで彼の采配に関わった結果は散々なものとなります。立場を転々としていき、最後に行き着いたのが魔族でした。それにしてもこんな敗北請負人を受け入れるなよボーゼル(笑)。


 天界

 ジェシカ(CV前田愛)
ジェシカ

 シリーズ皆勤賞のお姉さん魔術師。年齢的には超BBAなんですが…。ボーゼルはⅤで痛恨の不出場なので、単独トップです。今回はどう見ても悪人顔のギザロフに加担するという驚きの展開を見せてくれますが、どうやら狙いは天界から奪われた賢者の水晶の奪回のようです。

策士シェルファニール

 いやいや、今回キャラ多すぎですね。これでもカットしているんですが。で、ギャルゲーのキモであるヒロインセレクトですが、一回目はシェルファニールでした。聡明で温厚な女性が好きなもので。何よりもリッキーがお熱なので、奪い取ってやりたいという欲望がふつふつと(笑)。二回目はレイチェル。住友さんの「お兄ちゃーん」やられました。ギザロフに拉致されてあんなとこやこんなことをされていないか心配ですね。次はセレナ将軍でしたかね。大人の女性が好きなのと、ウィラーから寝取りたいという気持ちがry)。

セレナNTR

次回いよいよシリーズ最終作「Ⅴ」です。異色の展開と驚愕の真実に刮目せよ(笑)。

六の宮の姫君:芥川龍之介の言葉をめぐる知的な冒険

六の宮の姫君
 
 こんばんは。今日は地下鉄を乗り間違えるというお馬鹿なミスをしてしまい、帰宅がさらに遅くなってしまいました。年末って人を馬鹿にするのでしょうかね。それとも私だけ?

 気を取り直して早速本題に入りましょう。本日は、北村薫の「六の宮の姫君」です。北村薫は1949年生まれの男性推理作家ですが、高校の国語教師をしながら1989年に「空飛ぶ馬」で覆面作家としてデビューし、1991年に「夜の蝉」で第44回日本推理作家協会賞(連作短篇集賞)を受賞した際に素性を明らかにしました。直木賞最終候補作には6度も選ばれながら、残念ながらまだ受賞はなっていません。私は「時と人」三部作の「ターン」(第118回直木賞候補)を読んだことがありました。なんと第118回直木賞は「該当作なし」だったそうです。それなら「ターン」でいいんじゃないかというくらい面白かったんですが……

 北村薫のミステリーには、「日常の謎」に分類される作品が多いようです。これは、殺人のような重大な犯罪事件ではなく、日常生活の中にあるふとした謎とそれが解明される過程を扱った小説作品のことを指しており、このジャンルに該当する作品では、謎が解明される過程で、日常生活に潜む人間心理なども同時に解明されることが多く、本格推理小説に分類されることが多いそうです。そしてWikipediaによると、「日常の謎」の著名な作品としては、北村薫の「円紫さんシリーズ」や加納朋子の「駒子シリーズ」などがあるとされていますが、「六の宮の姫君」は、その「円紫さんシリーズ」の中の一冊です。

 「円紫さんシリーズ」は、大学で日本文学を学ぶ名前の出てこない「私」(この辺り、「人類は衰退しました」みたいですね。よーし、それなら以後マイちゃんと呼びます)が、知遇を得落語家の春桜亭円紫に身の回りで起こった疑問・謎を円紫に示し、円紫は、自らそれを解決したりマイちゃんにヒントを与えてマイちゃん自身による解決を促したりするものです。

 「六の宮の姫君」は、この「円紫さんシリーズ」の4作目であり、それまでの三作(デビュー作の「空飛ぶ馬」、第44回日本推理作家協会賞受賞作の「夜の蝉」、「秋の花」)に続くものですが、日常の謎とは少し離れて、マイちゃんが卒論のテーマにしている芥川龍之介の短編「六の宮の姫君」の創作の意図を解き明かすために、芥川の交友関係などをを探っていくという文学推理もので、シリーズの中にあっては番外編ともいえる作品です。

 実はこのシリーズ、読むのは今回が初めてでして、そして最初に読んだのが第四作でしかも番外編という、恩田陸の「水野理瀬シリーズ」同様(いやそれ以上)のヘマをやらかしています。しかし、それでも本書はとても面白かったのですよ。

 文庫版裏表紙の内容紹介では、

 最終学年を迎えた「私」は卒論のテーマ「芥川龍之介」を掘り下げていく一方、田崎信全集の編集作業に追われる出版社で初めてのアルバイトを経験する。その縁あって、図らずも文壇の長老から芥川の謎めいた言葉を聞くことに。「あれは玉突きだね。…いや、というよりはキャッチボールだ」―王朝物の短編「六の宮の姫君」に寄せられた言辞を巡って、「私」の探偵が始まった…。

となっています。「円紫さんシリーズ」はマイちゃんが大学2年生の頃からスタートしているようですが、4作目にして4年生となり、卒論だの就職だのがちらついています。が、マイちゃんをめぐる日常は非常に平和的で、大学の先生から紹介されたアルバイト先の出版社で、そのまま就職が内定してしまったり、友達と磐梯山にドライブ旅行に出かけたりと、青春を満喫しています。まあそれもマイちゃんが勉強やアルバイトに実に真摯に取り組んでいる故といえるのですが。

 そう、主人公のマイちゃん、非常に好感が持てる人です。文学の研究をしたくて文学部に入り、好きな作家である芥川龍之介を掘り下げる…大学での勉強なんて本来そんなもんだと言えば言えるのですが、「やりたい勉強に真剣に取り組む」ということが実践できている大学生の割合ってどれくらいなんでしょうかね。就職を考えて学部を選んだりとか、学業そっちのけで趣味やサークルやバイトに励んだり。それを悪いと断じることは私にはできないのですが、マイちゃんの勉学姿勢・環境などは本当に羨ましいです。同じ状況に置かれたとき、自分は彼女と同じようにすることができるのか、と自問したとき、人間としてずっとマイちゃんの品格の方が上等なのではないかという気がします。

朗読CD

 「六の宮の姫君」というのは芥川龍之介の短編で(芥川は大半短編ですが)、1922年8月に発表されました。いわゆる王朝物に属す作品で、「今昔物語集」の「六宮姫君夫出家語」(巻十九)を直接の素材としています。

 そのあらすじですが、六の宮の姫君はぱっとしない貴族の箱入り娘でした。誰にも知られずひっそりと箱入りのまま過ごしているうちに姫は非常に美しく成長しましたが、両親が相次いで亡くなり、頼る者もないまま天涯孤独になってしましました。

 唯一の身よりというべき乳母は、ある中級貴族の息子に身を任せて生活を安定させることを提案し、姫は泣く泣くそれに従うのですが、実はその男、思いの外イケメンの上にナイスガイだったので、姫の生活も安らかになったのでした。

 ところがある日、男の父は陸奥守に任ぜられ、男も同行しなければならなくなりました。実は姫を妻にしたことは父には内緒にしていたので、一緒に行くわけにはいきません。「5年待って」と言って男は去って行きます。姫は涙に暮れるのでした。

 しかし約束の年月が過ぎても男は帰ってこず、姫は再び窮迫するようになります。乳母と二人で貧乏生活を耐えていると、乳母はあの男のことは忘れて別の男に縋ってはどうかと提案しますが、姫はただ老い朽ちたいと願います。

 その頃男は陸奥国で父の勧める女を妻としていました。9年が過ぎてようやく京に戻った男は姫の行方を捜しますが、屋敷の辺りは廃墟となっていました。京の町中を姫を探して回った男は、朱雀門前で尼と病気の女を見つけます。その病気でやつれた女こそ、かの姫で、尼は乳母でした。男が姫を呼ぶと、男を一目見た姫は容態が急変し、今にも死にそうになります。乳母が乞食法師に経を読んでくれと頼むと、法師は姫に「自分で阿弥陀仏の御名を唱えなされ」と言います。法師は一心に仏の名を唱えなさいと言いますが、姫は「何も、――何も見えませぬ。暗い中に風ばかり、――冷たい風ばかり吹いて參りまする。」と言い残して亡くなってしまいます。

 数日後、ある侍が朱雀門を通ると、女の嘆きの声がどこからともなく聞こえます。侍が刀を抜こうとすると例の法師が制して「あれは極樂も地獄も知らぬ、腑甲斐ない女の魂でござる。御佛を念じておやりなされ。」と言います。侍がその法師を見ると、それは、空也上人の弟子の中でも高徳で知られた慶滋の保胤という人でした。

 芥川龍之介はなぜこの小説を書いたのか、原典との違いはどうして生じたのか。オチの法師の存在はどういう意味があるのか。若き日の老作家に言ったという「あれは玉突きだね。…いや、というよりはキャッチボールだ」という言葉の意味は。そういった作家をめぐるあれやこれやをマイちゃんが様々な本を読んだりして追求していきます。そして円紫さんもそれにさりげなく手を貸すのです。

 マイちゃんの探索の中で判明する芥川龍之介の交友関係や、菊池寛らとの友情と裏腹の葛藤などが非常に興味深く、浮き世離れしたテーマながら読む手を止めさせません。これをそのまま卒論にしてもいいんじゃないかという位に調査研究しているのですが、マイちゃんに言わせると「一部は卒論にも使える」という程度だそうで、どれだけ壮大な卒論を書く気なのかとあきれる想いです。修士論文級だったりして。

 色っぽい話はほとんどありません。マイちゃん、多分まだ処女だし、そもそも恋愛経験もないかも知れない。でもとっても生きる姿勢がチャーミングです。こういう人がいてもいいなあというより、女子大生にたくさんいたらいいのにと思ってしまうのでした(でも多分そんなにたくさんはいないでしょう)。文学に興味のある方、とっても面白いのでご一読をぜひ。
単行本

江戸あやし物語:江戸時代の「世にも奇妙な物語」


 日の沈む時間の早さがピークを越えましたね。これから徐々に日没が遅くなっていきます。日の出はまだまだ遅くなりますから、冬至が一番昼間が短いことには変わりありませんが。夏至の昼の長さは嫌いなのですが、昼が短すぎるのもなんですね。10月末くらいが一番いいな。

 筑波嶺夜想曲とかけて大飢饉と解く。そのこころは、「コメが全然無いでしょう」。と書こうと思っていたら、とーりすがりさんのコメントが来ていました。ありがたやありがたや。ああコメが欲しい。さもなくば拍手が欲しいよー。

 まあそれはさておき(おくのかい)、昔から怪談が好きです。幽霊がどうしたとかいう話ばかりではなく、奇妙な話全般が好きなんです。それで子供の頃はオカルト大好き少年になっていて、ブログでも初期に恐怖新聞を取り上げました(5月21日)が、つのだじろうにははまりました。恐い話の漫画家ということでは楳図かずおとか日野日出志なんていう方々もいて、もちろんそれらもびびりながら読みましたが、完全なフィクションと「事実だ」とする主張の差なのか、つのださんの方に惹かれました。

 まあオカルトにどっぷりとはまっていたわりに中二病的なものには罹らず、今ではすっかり懐疑派というものになってしまいました。「信じない者がいると結果に影響する」なんて主張が出るに至っては科学的なアプローチを拒否しているとしか思えません。それとも量子力学の観測問題でも持ち出しているんでしょうか。

江戸あやし物語

 さて、懐疑派になったといっても、怪談系が嫌いになったわけではありません。ことに昔の話は大好きです。ということで、本日は原武男の「江戸あやし物語」です。

 例によってAmazonの内容紹介。

 長谷川平蔵のたくみな裁き、娘に化けた狐、老儒者の友となった狸、殿様になれると騙された商人、猫の声の謎、まもなく寿命が尽きると占われた男の運命、不可解な夢の意味したこと…。江戸時代の知識人たちが折にふれて書きとめた不思議な事件、奇怪な出来事のかずかず。遺された膨大な文献を渉猟した碩学が、興味深い話を精選し、わかりやすくまとめた江戸の奇談集。

 この本は、江戸時代の人々が「本当にあった話」として採集したエピソードを集めたものです。恐い話ばかりではなく、奇妙な話や機転の話など様々な話が取り上げられています。宮部みゆきの「霊験お初捕物控」シリーズに登場する南町奉行の根岸鎮衛が、天明から文化にかけて30余年間に書きついだ随筆「耳嚢(みみぶくろ)」も入っています。これは根岸が同僚や古老から聞き取った珍談、奇談などを記録したもので怪異譚ばかりではなく、将軍の賛美、奉行の逸話、信心や仏縁にまつわる話、治療法や治療薬の紹介、実際の事件を脚色したものなどが含まれています。

 狐狸の話もたくさん入っており、19世紀にもなって信じていたんかいと突っ込みたくなる話もありますが、昭和であっても高度成長期前は田舎に行くと普通に狐狸にだまされたという話があったので、むしろ現代が世知辛すぎるのかも知れません。そんな中で大笑いするエピソードは「福を与える狐」でしょう。

 これは津村正恭という歌人の随筆「譚海」からのもので、要約すると、超貧乏な夫婦がいて、ある日奥さんが狐憑きになったところ、夫が大喜びして借金を重ねてもてなし始めます。狐がどうしてこんなことをするのかと聞いたら、夫は狐は福を授けてくれると聞いているので、裕福になれると思ってと答えます。狐は、狐には福を与える狐と福を与えない狐がいて、自分は後者だからと言って出て行こうとするのですが、こんなにもてなしたのにひどいと言われ、福を与える狐と交替するからということで話なんとか話をまとめます。さて、福を与える狐が憑いたものの、なにしろ超貧乏なので福となるきっかけになるものが何もなくて困り果てます。ようやく大昔に貧乏のあまり捨てた娘がいたことを見つけて、この娘と再会し、月に三分(一両が四分です)贈られてくるようになって生活は楽になりますが、娘は京都島原の遊郭に売られて太夫(一番位の高い女郎)になっていた……という話です。

 狐に福を与えられるのと与えられないのがいるというのも笑いますが、そもそもお前は何がしたくて取り憑いたんだとツッコミたくなります。泣き落としに負けるあたりも人がいいというか。

 化け猫の話もあります。松風庵寒流という浪人が村のおばあさんの茶飲み話を書き留めた「老媼茶話」が出典の「金花猫」は、上級武士家で長年飼っていた赤毛の猫が、とても可愛がってくれていたおばあさんを食い殺してなりすまし、世話をする女中を次々に食い殺していたという話で、正体が判明してたくさんの犬をけしかけられて食い殺されるという凄惨な話です。猫は長年飼うと必ず災いをなす動物だという出だしで始まり、赤猫は金花猫といって久しく飼うものではないで締められるのですが、一介の猫好きとしてはとうてい同意できない話です。子供の頃に飼ったことがあるのですが、こたつの中で暖まりすぎてのぼせて出てきて畳の上でひっくり返っている姿には、魔性どころか野性すらありませんでした。猫が飼い主に仇なすなんてとても考えられません。

 私が好きなのは、これとは逆に猫が恩返しする「浅草の猫」という話です。出典は「巷街贅説」という、幕府の役人かと思われる塵塚翁が書いたものです。浅草に貧乏な夫婦がいて、一生懸命に働いていましたが、老父が病気になって看病のためさらに貧しくなりました。思わず飼い猫に愚痴ったところ、その日から猫は餌を貰わなくなり、夜は老父の痛む部分の上に寝て苦痛を軽減するようになります。また訪問客が相次ぐようになり、夢に見たので猫の人形を売ってくれといいます。家にあった分は売りましたがその後も客が途切れないので、わざわざ仕入れて売ってみたところ大盛況となり、老父の病気も癒えると、猫は再び餌を貰うようになり、今では今戸焼きの猫を売って繁盛しているという話です。この猫はすごいですね。愚痴ってみるものです。私の処にも来ないかな。

 「遠野物語」は岩手県遠野の昔話を採集したものですが、この中にはよく山男とか山女というのが出てきます。山女は山男にさらわれた里の女であることも多いようですが、三好想山斎主人という人が書いた「想山著聞奇集」が出典の「山中の異女」はちょっと変わった話です。坊さんが若い頃狩人をしていた時の体験談ですが、夜の山中で夜明けを待っている彼のそばに若い女性が近づいてきます。これは尋常のものではないと、鉄砲で撃とうとしたところ、撃っても無駄だからまず話を聞いてくれといわれます。みれば16,7歳の美少女で、話を聞くと、13年前に川に洗濯に行ったところ、因縁があって山の神になったということです。両親はねんごろに供養してくれているのだが、これが却って仇となっている。今度昇進して鈴鹿山の神になるのだが、13回忌の供養をされるとそれが障って昇進できなくなるので、どうか供養は一切してくれるなと伝えて欲しいと頼みます。約束した狩人は山を下りて両親を訪ねてこれを伝えると、娘が生存していることを大いに喜んだということで、狩人もこれをきっかけに発心して僧になったということです。山の神は神道になるんでしょうかね。仏教の供養が邪魔になるというのが興味深いです。本地垂迹説とかあったと思いますが。また、山の神に出逢ったのに僧侶になってしまう狩人も「?」ですね。神主とか修験者じゃないの?

 紹介されている奇譚はどれも短いものばかりなので、ちょっとした暇つぶしなどに好適です。たまにはこういう本もいかがでしょう。

コミック版秒速5センチメートル(その2):映像版第2話「コスモナウト」相当部分を読む①

第2話コスモナウト
 
 北朝鮮がミサイルを発射したり、尼崎のMIYOKOが留置場で死んだりと色々あった一日でした。そんな大当たりの一日に年末ジャンボ宝くじを買いました……と言いたいところなのですが、実は昨日買ったのでした。1等前後賞合わせて6億円というまさにジャンボな宝くじですが、確率は1000万分の1です。2等はいきなり3000万円とエコノミーになってしまう上に、1000万分の3という稀少確率。組違い賞(確率は100万分の1)はたったの100万円です。こりゃあ飛行機事故に遭う位に低い確率ですね。

 やや古いデータですが、1998年に世界の人口が60億人だったとき、その年1年間の飛行機事故で死んだ人は909人だったそうです。大目に見て1000人として数えたとしても600万分の1なので、宝くじの高額当選なんて本当に飛行機事故並だといえると思います。その年の自動車事故死は日本だけで1万805人だそうですので、自動車事故死(事故後1ヶ月以内の死亡)の確率は1000分の1くらい……自動車こわっ!

 そういう訳宝くじの購入金は寄付したつもりにしておきつつ、本日の記事はコミック版秒速5センチメートル第1巻の残りについてです。一昨日12/10に映像版第1話「桜花抄」を取り上げましたので、映像版第2話「コスモナウト」中、第1巻収録部分についてということになります。ちなみにコミックでは第1話「桜花抄」部分が3話分、第2話「コスモナウト」部分が3話分、第3話「秒速5センチメートル」部分が4話分となっています。

澄田花苗

 第4話「カナエの気持ち」

 扉絵は種子島に着いたばかりらしい貴樹。プロペラ機を背景に、心細そうな表情をしています。

 映像版同様、主人公は澄田花苗です。早朝からお姉さん(高校の教師をしています)に送って貰いながらサーフィンの練習をしていますが上手く波に乗れません。学校に行くと貴樹が弓道の朝練をしています。ちょっとした言葉を交わしただけで大喜びの花苗がいじらしいです。反面、高校3年生になってみんな進路を考えている中、花苗の将来は漠然としままです。友達に「遠野君のことだけだね」なんてからかわれていたり。

 放課後のサーフィンも上手くいかず、学校に戻った花苗は、部活を終えた貴樹と偶然を装って出くわし、カブで一緒に帰ることに成功します。この辺り、ちょっと石川ひとみの「まちぶせ」みたいですね。そして始まる花苗のモノローグ。中2の時に転校してきた貴樹に一目惚れし、同じ高校に入りたくて一生懸命勉強しました。恋に落ちた中2の花苗が可愛い!もちろん種子島なので「邪王真眼」とか言いませんよ(笑)。
 
 そんなに好きなのにろくに話しかけることもできなかった花苗は、高校1年生の文化祭で合同でお化け屋敷をすることになり(花苗の友達のサキちゃん、ナイスだ!)、これをきっかけに話ができるようになりました。そうしたらますます好きになってしまうという辺り、花苗の純情極まれといった感じです。渚カヲルなら「花苗はいいねえ。花苗は心を潤してくれる。リリンの生み出した可憐の極みだよ。そう感じないか?」とか言うことでしょう。

花苗はいいねえ

 「昨日を更新していく強さで好きになって…怖くて、毎日が苦しくて、でも嬉しくて、会えるたびに幸せで、自分でもどうしようもなかった」

 というモノローグに、ああ花苗も貴樹とは違う形で恋の呪いに縛られているんだなあと感じます。

 帰り道の売店(コンビニという感じじゃないので)での寄り道では、映像版同様ヨーグルッペ(90円)を買う花苗。貴樹はいつもコーヒー一択のようですが、花苗はいつも真剣に選んでいます。しかし牛乳はがさつ、コーヒーは狙ってるみたいでためらわれ、スコールは男っぽい、フルーツミックスは可愛いけど味が好きじゃないということで結局はヨーグルッペ。これ実在の飲料なんですね。

ヨーグルッペ

 迷った分、貴樹から遅れて店を出ると、貴樹が携帯でメールを打っているのを見ます。「それが私あてのメールだったらいいのに」と思ってしまう花苗。健気だなあ。花苗は貴樹のメアドも知らないのです。

 大阪の大学を受けるという噂の佐々木さんと親しげに話す貴樹を見て落ち込む花苗。二人は学年1位と2位だそうです。勉強できるんだなあ、貴樹。おせっかいなサキちゃん達が佐々木さんに確認すると、付き合ってないとのこと。塾の先生と交際しているらしい。進んでるぞ佐々木さん。佐々木さんに言わせると、貴樹は「男も女も区別していない「「みんなに平等で穏やかで優しくて、でも本心はよくわからない」のだそうです。サキちゃんも文化祭の時にそう思ったとか。

※ ちなみにこの佐々木さん、映像版と新海さんの小説版では東京の大学に行き、ノベライズ版では明里と同じ大学に行き、学生結婚し、一年休学してハワイに言っているそうです。色々凄いぞ佐々木さん!(笑)

 今日も今日とてサーフィンが上手くいかない花苗。岸に上がってくると貴樹の姿が。いきなりのことに思わず隠れる花苗をよそに、貴樹は花苗のお姉さんと会話してます。再び練習に戻る花苗。波の上に立てたらその時は……!

待ち伏せる花苗

 第5話「コスモナウト」

 扉絵は坂道でいつものコーヒーを飲もうとしている貴樹に後ろから笑顔で近づく花苗。これだけ好きになってくれているんなら、Hei You、花苗をつきあっちゃいなYo!と言いたいところなのですがね。明里のことを知らなきゃ……。

 いつもより早く部活を終えた貴樹、いつも通り待ち伏せ作戦の下見に来た花苗を鉢合わせ。花苗には用のない部室棟前での遭遇に「私怪しすぎるよーっ」と焦る花苗ですが、貴樹は一向に頓着せず、「一緒に帰ろうか」といつもの優しげな表情です。例の寄り道の売店前のポストを見て忘れてた暑中見舞いのはがきを出す花苗。中3の時に転校した友達宛です。これを切っ掛けに「東京の友達と手紙やりとりしたりするの?」と尋ねる花苗。無言・無表情になった貴樹にうろたえます。謝る花苗に貴樹は怒るでもなく、「最初はしてたよ。お互いだんだん返事が遅くなって今はもう途絶えているけど……」と話ます。

 これは明らかに明里との文通のことでしょう。他にも文通していた男の友達がいた可能性もゼロではありませんが、明里なき後は「本当の意味では一人だった」と言っている貴樹ですから、明里より長く文通を続けられたとは思えません。この話題になってから貴樹は明らかに表情が沈んでいます。遙か遠くに思いを馳せるように。

花苗とお姉さん

 場面は変わって放課後の花苗。進路希望を出していないと担任の先生に叱られます。成績的には短大か専門学校か就職しかないようです。めげずにサーフィンに明け暮れますがやっぱり上手くいきません。担任の先生はお姉さんに相談しろと言われましたが、お姉さんは何も言わずに送迎してくれるばかりです。

 エンジンの掛かりの悪いカブで例の売店で一人ヨーグルッペを飲む花苗は、貴樹のカブに気付きます。草原の丘の上に座っている貴樹を見つけて思わず駆け寄る花苗ですが、真剣な表情でメールを打っているのをみてプライバシーに踏み込んではいけないと引き返そうとします。そこを貴樹の方が気付いて話しかけます。一緒に帰れなかったから会えて嬉しいという貴樹。無意識に花苗の心をオーバーキルです。

 丘に並んで座って語らう二人。貴樹は東京の大学に行くと言います。「明日のこともよくわからない」という花苗に対し、自分もそうだと花苗にとっては意外な返事をする貴樹。「できることをなんとかやってるだけ。余裕ないんだ」という貴樹に、自分と一緒だと嬉しくなる花苗。進路希望を記入する紙で飛行機を折って飛ばします。

 帰り道。二人のカブの前を横切る巨大なH-Ⅱロケットのコンテナ。「時速5キロなんだって」という花苗の何気ない言葉に驚愕する貴樹。それに似た台詞をかつて明里が!!突然の雨の中、再び帰途につく二人。お風呂から上がって花苗は夕食。お姉さんは教師やって花苗の送迎やって夕食作ってと八面六臂の活躍です。進路のことで迷惑掛けてと謝る花苗に、「ゆっくり決めればいいの」というお姉さん。素敵だこの人。きっと進路については思うところがあったのでしょう。

貴樹のメアドは知らない花苗

 場面は変わって貴樹の部屋。長いメールを打ち終わって、保存を…しません。ベッドに横たわって、「出すあてのないメールを打つ癖がついたのはいつからだろう」とひとりごちています。そして明里との文通についての回想。なんと回想自体をメールで打っています。

 「手紙を出すのを止めたのはどちらだったのかはっきり覚えていない。それ自体重要なことではなかった。もう手紙に意味はなくなっていたから。互いの現在を掴みかねて、繋がりを断つような核心に…二人の絶対的な乖離に触れるのを避けて、当たり障りのない空疎な言葉を並べただけのものになっていたから。僕らはずっと一緒だと思っていた。もう二度と会えなくてもこの想いだけは変わることはないと思って」

 この文章も保存しない貴樹。これらのコマの合間合間に例の不思議な惑星での明里の姿のコマが挿入されています。

 ラスト。「another side」が2ページ。校舎裏で男子生徒の告白に「ごめんなさい」と言う明里。てっきり断られたかとおもう男に対し、「違うの。返事待ってくれないかな…」と言います。その夜、自室で貴樹宛の手紙を書こうとする明里。途中でやめて突っ伏します。このシーンは映像版第3話でちらっと写っていましたね。便せんの端に「こんなこと書けるわけないよね」の文字が。告白されたことの相談なのだとしたら、当たり前田の明里さん!

突っ伏す明里

 そして明里のモノローグ。

 「貴樹君、ここには貴樹くんがいません。岩舟駅に着くと貴樹くんの気持ちを感じます。でも、それもだんだん薄れてしまいました。貴樹くん、好きな人はいますか?私の知らない場所で何を思っていますか?私達はもう、想い出なんでしょうか」

 あの桜の古木に頭をつけて寄り添う明里。時間と距離に引き裂かれていく二人の想い。悲しい。悲しすぎます。こんな時だが、セーラー服が似合っているよ、明里(笑)。

 映像版ではわかりませんでしたが、コミック版ではあの雪の夜もコートの下はセーラー服だった明里。公立高校なので中高一貫ではないと思いますが、奇しくも明里は中高ともにセーラー服だったんですね。今時セーラー服は絶滅危惧種のような感じですが、栃木ではまだまだ繁栄しているのでしょうか。そしてこの告って来た男、もしや映像版第3話でちらっと出てくる

あの男?

 この男なのでは?付き合ったのか明里!陥落したのか明里!!
 でも私のシナリオではロストバージンは大学2年の秋なので、きっと体は許していないはず。

 第2巻はまた今度。来週以降ぼちぼちやっていく予定です。比較的映像版に沿っていた第1巻に対し、第2巻は大胆な解釈変更が行われているので、一話ずつ丁寧に拾おうかなと思います

電車:岡村孝子が歌う「儚くしたたかな者たち」

電車
 
 朝起きるのが辛い季節ですね。夜はイルミネーション華やかで綺麗なのですが、一旦布団にはいるともう動きたくありません。しかし、ご飯を食べていくためには出て行かねばなりません。そこが人生の辛いところです。

 そうそう、辛いといえば本日は岡村孝子の「電車」をご紹介しましょう。岡村孝子は愛知県出身のシンガーソングライターですが、大学生時代に同級生と組んだデュオのグループ「あみん」でデビューし、ファーストシングルの「待つわ」は1982年のオリコン年間売上1位となる大ヒットを記録しました。「あみん」は83年にシングル4枚で活動を休止し、岡村孝子は85年にソロとして再デビューします。

あみん

 以後「はぐれそうな天使」(86年)、「夢をあきらめないで」(87年)、「Blieve」(88年)などがヒットし、OLが多い同世代の感性を表現した歌詞と曲が若い女性を中心に強い支持を集め、90年代初頭には「OLの教祖」などと称されたりしました。私は94年にリリースしたシングルコレクションの「イストワール」を買いまして、外地で聞いていましたが、名だたる名曲に混ざって特に強い印象を受けたのが「電車」でした。

イストワール

 「電車」は87年7月にリリースした6thシングル「迷路」のカップリング曲でしたが、同年12月に7thシングルとして改めてシングルカットされました。松田聖子の83年のシングル「SWEET MEMORIES」は、元々「ガラスの林檎」のカップリング曲でしたが、ビールのCMソングに起用されたことで大ヒットし、「ガラスの林檎/SWEET MEMORIES」と両A面になりましたが、「電車」は「迷路」と両A面になったわけではなく、別のカップリング曲「リベルテ」と君で再発売されています。これは珍しいケースだそうです。

 歌詞は、「OLの教祖」らしく、キャリアウーマンの仕事ぶりを描いています。主人公はラッシュの電車ですし詰めになって会社に出かけ、悲しい夜ばかりを過ごしていても、オフィスではいつも明るく振る舞っているという気丈な女性ですが、実は自分の生き方がまだ定まっておらず、何を目標に生きていけばわからずに、「私は変わらずに私でいるしかできない」と嘆いています。

 これだけなら、あまり深く考えずに就職した若手サラリーマン・OLにありがちな光景と言うこともできるのですが、比較的淡々と進んできたメロディが、ラストで大きく盛り上がるとともに、意味深長な歌詞が歌われます。

「電車」を歌う岡村孝子

http://www.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&v=xtxWiuaRzvo

 あなたを失くしてまでも決めた道を
 悔やむほど弱くなった私をしかって

 あなたを失くしてまでも決めた道を
 悔やむほど弱くなった私をしかって

 あなたを失くしてまでも決めた道を
 進むほどずるくなって明日を変えたい


 彼女は目的もなく「でもしか」で現在の仕事を選んだわけではなかったのです。やりたいこと、なりたいものが歴然として存在し、それは以前付き合っていた恋人と別れてまで手に入れたかったものだったのです。

 かつての恋人「あなた」は何を求めていたのでしょうか。専業主婦となって支えて欲しかったのか、家業とか自分の仕事を手伝って欲しかったのか。そういったシチュエーションで恋人や夫の支えになることを選択する女性も多いでしょう。それは安易にいい悪いと第三者が判断することではありませんが、少なくともこの歌の主人公は、自分の目標を「あなた」の希望よりも優先し、その結果別離を選択したようです。

 おそらく彼女は彼を相当深く愛していたのではないかと思いますが、最愛の彼を失ってまでも求めた道が、仕事に追われる日常の中でだんだん見えずらくなっていっている。それが人生の難しさだなあとしみじみ思います。

 「秒速5センチメートル」の第3話(その名もずばり「秒速5センチメートル」)で、貴樹はモノローグとして

 「この数年間、とにかく前に進みたくて、届かないものに手を触れたくて、それが具体的に何を指すのか、ほとんど脅迫的とも言えるようなその思いがどこから湧いてくるのかも分からずに、僕はただ働き続け……」

 「気付けば、日々弾力を失っていく心がひたすら辛かった。そしてある朝、かつてあれほどまでに真剣で切実だった思いがきれいに失われていることに僕は気づき、もう限界だと知った時、会社を辞めた」

 と言っています。「電車」の主人公も、恋愛以上の強い希望を持ちながらも

 何を求めて明日を探せばいいのか
 大きな海を漂う木の葉のようだわ


 と貴樹同様に苦悩しています。こういった悩みに男女差はないのでしょう。ただ、貴樹と違って「電車」の彼女はまだ希望を失ってはいません。もう一度歌詞のラストに注目して下さい。

「電車」PV

http://www.youtube.com/watch?v=PyKyFCVC_3M

 進むほどずるくなって明日を変えたい

 と言っています。経験と知識と(そしておそらくコネとか貯金とかも含めて)増やすことで、狡猾に社会の荒波を渡って「明日」という未来を自分の思い通りの方向に変えたいという意志を抱き続けています。もし文字どおりに実現することができるとするならば、まさに彼女は貴樹以上にしたたかでしなやかな人物であるといえるでしょう。

 願わくば、貴樹のように弾力を失わずに生きて欲しいです。そしてそういった生き方で幸せを感じられる人であって欲しい。別れた彼もきっと彼女が幸せを感じて生きていることを願っているはずですから。Coccoの歌う「強く儚い者たち」が男であるとすれば、この女性は「儚くもしたたかな者たち」であって欲しいです。

岡村孝子

 それはそうと、「秒速」第3話の貴樹の

 ただ生活をしているだけで、悲しみはそこここに積もる。
 日に干したシーツにも、洗面所の歯ブラシにも、携帯電話の履歴にも。


 というモノローグが最近心に沁みて仕方ありません。ちょうどこんな感じです。

 「ジャック…キャビン環境コントロール・システムを点検してくれないか」
 零はヘルメット・バイザを上げて、こぶしで頬をぬぐった。
 「妖風が目にしみる。涙が止まらない」

(「戦闘妖精・雪風」第四話「インディアン・サマー」より)

コミック版秒速5センチメートル(その1):映像版第1話「桜花抄」相当部分を読む

秒速5センチメートル1巻
 
 いや、今年の12月はしばれますね。霜柱ガチガチです。京都では雪が降って金閣寺もうっすらと雪化粧白していたり。

 さて、今日からしばらく、不定期で非リア充を死に誘うと言われる禁書中の禁書であるコミック版の「秒速5センチメートル」について語ってみたいと思います。映像作品については6月に語り尽くした感があるのですが、コミックの方は映像版の補足的にしか扱ってこなかったきらいがあるので、一度きちんとコミック自身を取り上げておきたいと思います。

 コミックは1巻2巻で完結していますが、1巻は5話構成で、映像版の第1話「桜花抄」と第2話「コスモナウト」の途中までが取り上げられています。今日はこのうち第1話「桜花抄」分を取り上げます。

第1話「桜花抄」
 巻頭カラーでいきなり踏切ですれ違う貴樹と明里。そこから時間は一気に戻って踏切を渡って学校に向かう明里親子の後ろ姿と、それを見つめる貴樹が描かれます。小学校4年生で転校してきた明里と3年生で転校してきた貴樹は、転校族同士すぐに仲良くなります。似た境遇が親近感を持たせるとはいえ、小学4年生くらいで異性同士がこんなにすぐに打ち解けるなんて羨ましい。私なんて女の子をどう扱って良いのかわかりませんでしたよ(まあ今でもそうか)。

 ストーリー展開は映像版を踏襲していますが、より丁寧に描かれているので細かいディテールが判ります。例えば
① 貴樹は音痴だけど明里は歌が好き
② 貴樹はぜんそく持ちで明里は運動は逆上がりができない。共に運動が苦手
③ 例の黒板に書かれた相合い傘を消して二人で走るシーンですが、走って走って校舎の外の渡り廊下で明里が力尽きるまで走ります。手を握っていたことに気付いて照れる貴樹
④ 明里は動物園の飼育係、貴樹は宇宙飛行士になりたいと思っていた
⑤ 5年生では別のクラスになってしまうが、同じクラブ(科学クラブ)に入る
⑥ 6年生で再び同じクラスに。Vサインする明里が可愛い
⑦ 中学受験を相談する。私立の西中(私立とは思えない名前だ。私の通った公立中も西中でした)を一緒に受けようと言う。明里は算数が苦手らしい
⑧ 映像版に出ていた生徒会の先輩の女子学生は出てきません。明里と貴樹の文通の中で種子島転校が語られます

 …しかし考えてみると、仮に明里が岩舟に転校せず、一緒に西中に通ったとしても、二年進級時に貴樹が種子島に転校してしまうのだから、一緒の中学生時代はたったの一年だけということになったのですね。この一年間というものの有無は彼らの運命に影響を与えたのでしょうか?

叶わない願い

第2話「焦燥」
 転校前に岩舟に行って明里と会うことにした貴樹の旅が描かれます。その前に、第2話に入る前の余白のページに、お母さんらしき女性と料理を作る明里の姿が描かれています。これは岩舟駅に持ってきたお弁当を作っているところなのでしょうか。

 第2話の扉絵は、貴樹からの手紙を読む明里の姿が描かれています。縁側に座る明里は半袖のセーラー服姿なので、初めて貴樹に出した手紙の返事を貰ったところなのかも知れません。中学生になった明里はこの扉絵で初お目見えです。第1話では手紙文の文字だけでした。

 そしてご存知、名残雪による列車の遅延。貴樹の表情はまるで地球滅亡が迫っているかのようです。そしてコートのポケットに入れていた明里への手紙が突風に掠われて飛び去っていきます。立ち食いそばの匂いにつられて、せめて暖かい缶入りドリンクでもと思った矢先の痛恨の一撃。貴樹、大事なものは鞄に入れておこうよ。

動かない両毛線

 動かない両毛線の中、人気のない車両のボックス席に座って貴樹は明里の手紙に思いを馳せます。
 「手紙から想像する明里はなぜかいつも一人だった」
 これは映像版でも流れる貴樹のモノローグですが、コミック版には続きがあります。

 「そして多分僕も同じように 本当の意味では一人だった 明里がいなくなった町で ちゃんとやっていけるつもりだった 出も違うんだ この姿が本当の僕なんだ」

 これは映像版ではうかがい知れないかなり重要な「告白」です。明里を失ったあとの半年、貴樹はサッカー部に入って体を鍛えたり、充実した日々を送っていたように思えました。そして明里から手紙が来るまで、貴樹から手紙を出そうとはしていなかったので、てっきりそれなりにリア充していたと思ったのですが、どうやら違ったようです。「雪の一夜」を迎えるまでもなく、既に明里なしでは生きられない体になっていたのか貴樹(笑)。

 そしてようやくたどり着いた11時過ぎの岩舟駅。もちろん待合室には明里の姿が。再会に涙する二人。貴樹のコートをぎゅっと握りしめる明里がいじらしいです。

第3話「想い出は遠くの日々」

 さて「雪の一夜」キター。その前に第3話扉絵前の余白ページには、手紙を書いているらしい明里とそれを見守る駅員さんが描かれています。長いこと待っているので心配してくれたのかも知れませんね。親切ついでに待合室で夜明かしさせてあげればよかったのになあとも思いますが、明里の家にでも行くんだろうと思ったのでしょうね。

 第3話の扉絵は雪の中を走ってくる明里の姿です。これは映像版の第3話でも描かれていましたね。「One more time,One more chance」が流れてきそうです。

 例の桜の古木に向かう道すがらの貴樹と明里の会話は映像版にはないものでしたね。貴樹が体力をつけるためにサッカー部に入ったように、明里はバスケット部に入りました。同じようなことを考えていたことを明里は「ああやっぱり」と思ったそうです。その気持ちを疑問に思う貴樹に対し、明里は答えます。

 「貴樹君の好きな本は私も好きだったでしょ」
 「だけど…中学には貴樹君がいないんだから変わらなきゃダメなんだって思ったの。貴樹君もそうだったのかなって」

 貴樹はその気持ちに同意しつつも、
 「同じだけど…正直まだそれが自然だって思えないんだ」

 こうしてみると、貴樹より明里の方が変化に対して前向きな姿勢のように思えますね。

 そして桜の木の前でのキスと、物置(?)での一泊。鹿児島とは聞いていたけど種子島とは初耳の明里。しかし明里は貴樹の小学生時代の夢「宇宙飛行士」を覚えていました。勉強になるじゃないと我が事のように喜ぶ明里に対し、貴樹はちょっと憂鬱そうです。
 
 「そんな本気で応援してくれるの 明里くらいだよ」
 「貴樹君ならなれるよ 宇宙飛行士じゃなくたって 何にだってなれるよ」

 うわあ…明里の「呪縛」の詠唱は既に始まっていたのでした。 

 ラストは後朝(きぬぎぬ)の別れです。とは言ってももちろん「事後」じゃありませんよ。貴樹にもたれて眠る明里がちょっと大人っぽい感じです。ファイブスター物語風に言えば「あの一夜だけ明里は本当にお前のものになったのさ」というところでしょうか。
 上りの両毛線に乗り込む貴樹に対し、明里の言葉。

呪縛となった言葉

 禁呪の詠唱完了!その威力は「死黒核爆裂地獄」か「暴凶飢餓地獄」かそれとも「超原子崩壊励起」なのか…!

 最後の必殺呪文を喰らった貴樹のモノローグがもの悲しいです。

 「君が遠ざかっていく きっといつか僕は 埋めようのない距離と時間に負けて 君の声も顔も忘れてしまうだろう」
 「それに抗う力は どうしたら得られるんだろうか どうすればまた君に会えるんだろうか」

 “どうすればまた君に会えるのか”……その気持ちだけがその後の貴樹を駆り立てていくんですね。

貴樹を見送る明里

 以下はまた次回に。 

好きな声優さん(その11):後藤邑子~健康回復を心より祈念します

後藤邑子

今日も良い天気でした。しかし日が暮れるのが早すぎですね。もっと布団に陽を当てたいのですが。

 そういえば昨日は418もアクセスがありました。アクセスカウンター設置以来、そしておそらく当ブログ開設以来の新記録だと思います。じゃあランキングはと思ったら、7日の9時以来更新がされていませんでした。もしかしたらランキングの新記録だったかも知れないのに(涙)。

 日曜日は声優の日じゃないといいつつ、今日も11人目の声優さんの話題を展開してしまいます。本日は優しい声が特徴的なゴットゥーザ様こと後藤邑子です。

浴衣姿の後藤さん

 後藤邑子は愛知県出身。当初は公務員、後に字幕翻訳家を目指していたそうですが、大学時代にテレビ局のADのアルバイトをしていた際に声を褒められたことをきっかけに声優を目指したそうです。大学を中退して上京し、直接プロダクションの面接を受けて合格しました。声優デビューは1999年。趣味はオートバイ、声優界屈指の酒豪と、声のイメージとかけ離れたキャラのようですね。ところが現在、彼女は病床におられます。

 2007年には喉の手術をしているほか、自己免疫疾患という持病を持っているそうです。この病気は、本来異物を認識・排除する免疫系が、自分自身の正常な細胞や組織に対して攻撃を加えてしまうもので、女性に多いそうです。理由は明らかではありませんが、ホルモンが関与しているという説があるそうです。中学生時代には死を宣告されたほどで、声優になってからも毎週病院に通って血液検査をしていましたが、人気が出て忙しくなると無理を重ねるようになって症状が悪化し、2009年以降は我慢できないほどの全身の痛みに襲われるようになり、2011年に入ると一人で階段の登り降りができないまでに悪化してしまったそうです。

バイク乗りの後藤さん

 2012年に入って所属事務所の強い勧めで入院し、全身性エリテマトーデスと診断されたそうです。これは、全身の臓器に原因不明の炎症が起こるという自己免疫疾患の一種で、膠原病に分類される疾患です。1950年代には、診断後、多くは5年以内に死亡していたという恐るべき疾病ですが、現在では治療法の進展により、90%以上の患者が10年以上生存し、多くの患者は比較的症状も安定しているということです。

 5月に所属事務所が無期限の休養を発表して以降、現在まで入院中ですが、10月に開始された「ひだまりスケッチ×ハニカム」で活動を再開したそうです。これらのエピソードは、ご本人のブログ「TSUBUYAKI(後藤邑子オフィシャルブログ)」に掲載されていたものです。

ブログタイトル

 http://ameblo.jp/goto-yuko/

 何の力にもなれませんが、一日も早い健康回復と退院を心より祈念しております。

ギターを弾く後藤さん

 それでは私の知っている後藤邑子の演じたキャラです。例によって基本的に古い順です。

 プリンセスレイン(ふしぎ星の☆ふたご姫)

プリンセスレイン

 「ふしぎ星の☆ふたご姫」はふしぎ星の光を取り戻すべく使命を受けて東奔西走する「おひさまの国」のふたごのプリンセス、ファインとレインの物語で、2005年4月から1年間放映されたほか、続編の「ふしぎ星の☆ふたご姫 Gyu!」が2006年4月から1年間放映されました。

正装のプリンセスレイン

 プリンセスレインは双子のお姉さんにあたるそうです。文字の綴りはRainではなくReinで、清楚」「穢れていない」などの意味があります。年齢は8歳で身長117cm。さすがにスリーサイズは設定されていないようです(笑)。

魔法を使うレイン

 父親譲りの青い髪に合わせ、青い服を基調にした服装をしています。髪型は通常は毛先を絞ったポニーテールで、変身後は1つに束ね巻きつけた髪が途中から数本に分かれています。おっとりとしており優しい性格ですが、芯は強く、意外に強気でしっかり者です。お洒落やアクセサリーが好きです。

プリンセスレイン(左)とプリンセスファイン

 ファインとレインは、巷で「ふしぎ星始まって以来、最もプリンセスらしくないプリンセス」と言われており、本人達もそれを自覚していますが、他人に指摘されると落ち込みます。髪の色も性格も対照的ですが、色違いでおそろいの服装をしていることが多く、双子のためか姉妹といっても上下関係は無く、互いに「レイン」「ファイン」と呼び捨てで呼びあっています。

 芙蓉楓(SHUFFLU!)

芙蓉楓

 「SHUFFLE!(シャッフル!)」は、2004年1月に発売された18禁恋愛アドベンチャーゲームですが、アニメはこれを原作として第一期が2005年7月から2006年1月までの2クール、第二期が2007年1月から3月までの1クール放映されました。神族・魔族が人間界で共存する世界の平凡な高校生が、神界・魔界のプリンセスに惚れられることで巻き起こる波乱万丈に満ちた物語ですが、もちろんヒロインセレクトで様々なエンディングが待っています。

芙蓉楓2

 芙蓉楓(ふよう かえで)は、主人公の幼馴染みで、8年前に稟の両親と母親が同じ交通事故で死亡し、父親は海外に出張しているため、現在は主人公と2人暮らしをしています(人工生命体のプリムラが来てからは3人暮らし)。容姿端麗・成績優秀・スポーツ万能・家事抜群と才媛でありながら性格は控え目で、セミロングの髪は橙色でしかも主人公とは幼馴染みという、これでもかというほどのヒロイン属性を詰め込まれたキャラです。

可愛い楓

 母親と主人公の両親の交通事故死に関し、主人公を憎悪していました。誤解が解けるまでは凄まじいいじめを展開していましたが、それ以降は主人公に尽くすことが生き甲斐だと思っており、主人公の身の回りの世話は全て彼女が世話をしています。

ヤンデレ楓

 楓は、「誠死ね」でおなじみ(笑)の「School Days」に登場する桂言葉とともに、ヤンデレの嚆矢とされるキャラです。ヤンデレとは、精神的に病んだ状態にありながら他のキャラクターに愛情を表現する様子や、好意を持ったキャラクターが、その好意が強すぎるあまり、次第に精神的に病んだ状態になることを指しますが、楓は主人公が好きなあまり、空の鍋をかき回したり、主人公が好意を寄せている女性に「あんたなんて死んじゃえばいいんだ!」と面罵する様子が視聴者に大きなインパクトを与えてくれました。その一旦はYou Tubeでも見ることができます。

あんたなんか、死んじゃえばいいんだ!!

http://www.youtube.com/watch?v=nFGDMhU1E2Y

目が恐い楓

 これだけ見ると、こんなに楓が尽くしてくれているのに他の女を好きになるなんてひどい主人公だと思えますが、実際には誠のような外道ではありません。

 朝比奈みくる(涼宮ハルヒの憂鬱)

朝比奈みくる

 「涼宮ハルヒの憂鬱」は第一期が2006年4月から7月までの1クール14話と、2009年4月から10月までの2クール28話(ただし14話は第一期の再放送)が放映されました。平凡を厭い非日常に憧れる涼宮ハルヒが結成したSOS団(世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団)と、それに巻き込まれた結果、ありとあらゆる超常現象に遭遇する自称平凡な高校生キョンの物語は非常に有名だと思います。

涙目のバニーみくる

 朝比奈みくるはハルヒやキョンの一年先輩の高校2年生です。ハルヒが「ロリで巨乳な萌えマスコット的キャラ」として拉致してきました。外見は童顔で小柄なのにグラマーで、舌っ足らずな喋り方をします。「朝比奈さんを泣かせることは学校の半分(=男子全員)を敵にする」と言われるほどの超美少女で、高校のアイドル的存在ですが、ハルヒからは徹底的におもちゃにされています。

「朝比奈ミクルの冒険」のメイドみくる

 性格は真面目で優しく素直で、シャイで気が弱いところがあります。ハルヒにバニーガールやメイドなど様々なコスプレを強要されているほか、ハルヒの思いつきに振り回される被害者です。ハルヒも性格はともかく外形は美少女といっていいキャラなのですが、みくると一緒にいると往々にして食われてしまうので、それがハルヒのみくるに対する嗜虐性を一層強めているような気がします。

メイド服のみくる

 正体は、遥か未来から来た未来人でハルヒの監視係ですが、見習いレベルでほとんど権限が無く、未来人の組織から命令を受ける時も情報を与えられていないことが多く、しばしばパニックに陥ります。長門有希や古泉一樹と違い、能力的には殆ど普通の人間です。たまに数年後の成長した姿のみられる「大人モードの朝比奈さん」が登場します。現在より背が伸び、スタイルもさらに良くなり、落ち着いた物腰で口調も大人らしくなっているその姿は、キョン曰く「見る者全てを恋に落とす美貌を持つ」ほどです。

大人みくる

 なお、第一期1話は文化祭出品作品としてハルヒが監督を務めた「朝比奈ミクルの冒険 Episode00」が何の説明もなく放映されるという意表を突くものでした。みくる(後藤邑子)が歌う「恋のミクル伝説」は、無理矢理歌わされている感を良く出した傑作です。

恋のミクル伝説

http://www.youtube.com/watch?v=FbYAMYxQl6k

 ゴットゥーザ様(らき☆すた)

「らき☆すた」に登場したゴットゥーザ様

 声優杉田智和が命名したという後藤邑子の愛称(?)ゴットゥーザ様ですが、「らき☆すた」23話の「らっきー☆ちゃんねる」に出演しました。ちなみに杉田智和は高橋美佳子にも「ミカコング先輩」と命名しており、ほとんど声優界の有吉弘行となっています。

無理矢理和解させるゴットゥーザ様

 愛車はCB750FC改(実際に後藤邑子が持っているのは青いCB400SF)で、白い特攻服には「音舞羅(ねぶら)」の刺繍が入っています。らっきー☆ちゃんねるを滅茶苦茶にした登場人物二人の仲を取り持ち、アニメ業界の今後を託しました。

バイクを転がすゴットゥーザ様

http://www.youtube.com/watch?v=W9g8XLScrD8

 鹿目潤子(魔法少女まどか☆マギカ)

鹿目潤子

 願いを叶えた代償として「魔法少女」となり、人知れず人類の敵「魔女」と戦うことになった少女たちに降りかかる過酷な運命を描いた本作はあまりにも有名なので多くを語りませんが、鹿目潤子は主人公でなかなか魔法少女にならない鹿目まどかのお母さんです。やり手のキャリアウーマンで、社長の座も充分に狙えると自己分析しています通常の家庭とは異なり、父の知久が専業主夫、母の潤子が稼ぎ手となっています。

まどかと語らう潤子

 言葉遣いは良くありませんが、鹿目家の大黒柱として家族全員に深い愛情を抱いており、まどかも尊敬しています。酒好きで、将来大人になったまどかと酒を飲みながら語らい合う日を楽しみにしています。朝が弱く、毎朝まどかに起こしてもらっています。

まどかと潤子

 まどかの担任である早乙女和子とは昔からの親友同士で、彼女の恋愛を気に掛けています。11話のワルプルギスの夜の襲来時に、避難所を出ようとするまどかを強い態度で引き留めますが、その決意が強固であることを確かめると彼女を見送りました。ここは憧れの対象だった母との決別と自身の運命の選択が描かれており、本作のハイライトの一つではないかと思います。

まどかママこと鹿目潤子

 まどかの願いによって新たに再構成された世界では、まどかという娘が存在した記憶もありませんが、かすかに「まどか」という名前を懐かしむ気持ちだけは残っていました。またほむらが髪に結んだまどかの赤いリボン(1話でまどかのために潤子が選んだもの)を非常に気に入っている描写もあり、もの悲しい気持ちにさせます。

 双葉理保(ドリームクラブ他多数の作品に登場)

双葉理保

 ディースリー・パブリッシャーというゲームメーカーが発売する各種のコンピューターゲームに登場する架空のグラビアアイドルです。2001年4月発売の恋愛シミュレーションゲーム「Love Songs アイドルがクラスメ〜ト」における攻略対象キャラクターとして初登場し、アンケートで最も高い人気を集めたことをきっかけに、数々の作品において端役やチョイ役から主役まで40本以上のゲームに登場しています。

Love Songs ADV 双葉理保14歳

 元々は恋愛シミュレーションゲームのヒロインでしたが、その後の出演はアドベンチャーやシミュレーション以外のジャンルで登場するほうが多く、スポーツゲームや格闘ゲームの操作キャラクターとしても登場しています。また双葉理保が主役となる「LoveSongs♪ADV 双葉理保14歳~夏~」「LoveSongs♪ADV 双葉理保19歳~冬~」も発売されています。

Love Songs ADV 双葉理保19歳

 2009年8月発売の「ドリームクラブ」でもブレイク寸前のアイドルという設定で登場しています。次回出演する映画でホステスの役をやることとなり、役作りのためにドリームクラブで働いていると称しています。お酒を飲んでいるので20歳を超えているのでしょう。

「ドリームクラブ」の双葉理保

 身長 160cm、スリーサイズはB95・W59・H85㎝となっていますが、これは初出演作「Love Songs アイドルがクラスメ〜ト」での高校生の理保のものであり、作品によっては年齢やスリーサイズなどの数値に若干の差異があるそうです。

双葉理保のアルバム「LOVE LETTERS」

 実はこのキャラは「ドリームクラブ」で知りました。といってもゲームをプレイした訳ではなく、ニコニコ動画でのプレイ映像や、カラオケを歌う映像を見ただけです。“ピュアな心の持ち主だけが入店できる大人の社交場”「DREAM C CLUB」の会員となり、1年の間に店で働く「ホストガール」との恋愛をすることが目的という恋愛シミュレーションですが、まあゲームでわざわざやらんでも現実にですね…ゲフンゲフン。

「絶対アイドル宣言」を歌う理保

 まあこの話題はナシということで、映像自体は非常に素晴らしく、さすがはXBOX360だなあと思いましたが、PSP版も出ているんですね。しかしレビューサイトで見たら平均点が59点。この前買った「アマガミ」が77点、ジャンルは違いますが最近買った「グローランサーⅣオーバーリローデッド」が75点なので、ちょっと考えどころですねえ。

ドリームクラブ

 とにかく今は健康回復を最優先にご自愛いただきたいと思います。そして健康を回復して元気になったら、また癒やしの甘い声を聞かせて貰いたいです。潤子のような大人の低い声のキャラも悪くないですが、個人的にはみくる系の声を強く希望します。

ドレスアップした後藤さん

ラングリッサーⅢ:本作によりシリーズ全体をギャルゲー認定しました

サターン版パッケージ 

   こんにちは。今日はおだやかな良い天気でしたね。しかし昨日の地震には参りました。揺れはさほど大きくはなかったものの、あの揺れの長さ。去年の3.11の悪夢を思い出しました。大きな被害がなくて本当に良かったです。電車もおおむね動いていたし。あんな大地震は生涯に一度でもう十分です。

 さて、ギャルゲーの土曜日の今日、先週に引き続きラングリッサー・シリーズを取り上げます。本日はシリーズ中の「問題児」とされる「ラングリッサーⅢ」です。

アルテミュラーとエマーリンク版 

 「ラングリッサーⅢ」1996年10月にセガサターン版が発売されました。2005年10月にはプレイステーション2版も出ていますが、私がプレイしたのは当然サターン版です。本作は、ラングリッサー・シリーズの時系列では一番最初に位置しており、聖剣ラングリッサーの誕生や、闇の皇子ボーゼルの誕生が描かれています。

 本作の登場によって、ラングリッサー・シリーズはギャルゲーの性格を帯びるようになったといってよいでしょう。ⅠやⅡも、うるし原智志のデザインした女性キャラによりギャルゲーチックな雰囲気は漂っていましたが、やはり正統派S-RPGの域ははみ出していませんでした。Ⅰでナームがいいなあと思っても主人公レディンはクリス一択でしたし、Ⅱのエルウィンもどんなにプレイヤーがソニアやシェリーの方が好きであってもリアナ一択でした。しかもⅡでは往々にして孤独になったりして。

ソフィアとルナとリファニー版 

 本作ではヒロインセレクトという機能が追加され、複数いるヒロイン候補からヒロインを選択することができるようになりました。このシステムは賛否両論でしたが、ームの本質ではないものの、このヒロインセレクトは「ときメモ・シリーズ」とか「同級生シリーズ」における「彼女選び」と同質のものであり、ギャルゲーであると認知される所以となりました。以後のシリーズでもこのヒロインセレクトは継承されているので、賛否両論あるとはいいながらも大方では好評だったといってよいでしょう。

  もう一つ、戦闘システムも異色でした。S-RPGは通常「自軍ターン」→「敵軍ターン」と将棋のように交互にユニットを動かしていくのですが、本作においてはターンという概念がなく、すべてのユニットが同時に行動を開始しました。そのため敵の進軍を妨害するには、敵の進路を先読みして味方を移動させなければならないなど、ある程度の戦略性を要求するものとなっていました。ただし全ユニットが同時に動くためゲーム機の負荷が重く、長時間の読み込みが必要だったり、しばしばフリーズするなどのトラブルが発生しました。多分プレステ2なら問題ないと思いますが、サターンにはちょっと荷が重かったみたいです。結果、このシステムは大方に不評で、以後の作品は再びターン制に戻されています。

ティアリスとソフィア版 

 ストーリーですが、小国ながら豊かであったラーカス王国は、強大なるリグリア帝国の奇襲を受け、それまでラーカスを守ってきた古代遺産「浮遊城」と超兵器「魔導砲」を破壊されてしまいます。すると、帝国のみならず周囲の国々も次々に侵略を開始し、魔導砲に頼りきりだったラーカス軍は太刀打ちできず、王都ラーカシアまでもが陥落してしまいます。

 帝国軍襲撃の際、見習い騎士のディハルトは浮遊城で騎士叙任の式典に臨んでいましたが、落下する浮遊城からからくも脱出し、滅亡寸前まで追い込まれたラーカス復興を目指し、叔父のレイモンド子爵の下、別働隊の隊長として兵を率い、仲間たちとともに戦いに臨むことになります。

パッケージ裏 

 本作は声優陣が実に豪華なのですが、お金がかかったせいなのか、複数のキャラを演じさせて元を取ろうとしている気配があります。モブキャラも思わぬ人が声を当てていたりして。 
 ラングリッサーⅢのOP

抱きしめられて照れるルナ

ラングⅢOP 

http://www.youtube.com/watch?v=8a15hgb7MsE

 

それではキャラ紹介。女性キャラだけ紹介したいのですが、必要最小限の男キャラも紹介しなければなりません。これが結構多くて参ります。

  まずはラーカス王国

攻略本 

 大地の恵みと、交易によって大陸随一の豊かさを持つ国で、光の女神ルシリスの恩恵を受けているため、この地に魔物は侵入することはできません。主人公ディハルトの母国でもあります。

  ディハルト(CV神谷明)

ディハルト 

 本作の主人公で、ラーカス王国の騎士です。父は外交官ですが、それにそぐわない野性的な雰囲気の17歳です。バーラル王国のフレア姫とは幼馴染ですが、11歳で見習い騎士として修行に入ってからは会っていません。浮遊城陥落後は叔父のレイモンド子爵の下に逃れ、子爵の挙兵後はラーカス再興に向けて別働隊を率い戦います。

レオン 

 Ⅱに登場するレオンはディハルトの子孫にあたります。またⅠの主人公レディンとⅡの主人公エルウィンもディハルトの血を引いています(子爵の息子でディハルトの従弟のルインが直系の先祖となりますが)。公式イラストでディハルトが背中に提げている日本刀は、レオンが腰に帯刀しているものと同じの名刀「虎徹」です。

 なにしろ声優さんが声優さんですから、熱血かつ野性的なキャラとなっています。髪型が尋常じゃありません。
  ティアリス(CVかないみか)

ティアリス 

 浮遊城の最高責任者の娘で11歳です。身長145cm、3サイズは上から65・52・68㎝。 天真爛漫な元気っ子ロリキャラですが、ディハルトがあの顔で17歳だからロリコンとは言えないでしょう。ディハルトを兄のように慕っており、父を殺された悲しみと憎しみを抱えて別働隊に参加します。

業火の中のティアリス 

 魔法の才があり、戦いの中でその才能を開花させていきます。ヒロインセレクトの対象の一人です 固有エンドのあるヒロインの一人ですが、ディハルトと結ばれなかった場合はディハルトの従弟のルインと恋仲となり、後に王位に就いた彼に嫁ぎ王妃となりますが、この場合Ⅰのレディン、Ⅱのエルウィンは彼女の直系の子孫になります。

  リファニー(CV椎名へきる)

リファニー



 貴族の娘の16歳です。身長164cm、3サイズは上から82・56・83㎝。王都を脱出してきたところをディハルト達に救助され、そのまま別働隊に参加します。きまじめで頭もよく、魔法にも精通していますが、おっとりした性格でお嬢様育ちなためにかなりの天然です。しかしそれが却って戦いに張りつめる仲間たちの心をほぐしたりもします。ヒロインセレクトの対象の一人です。

修正部分 

 一見セクシーな衣装ですが、よくみると首から下は全身タイツのようなものを着ていることが判ります。だから白のレオタードがハイレグでもあまり問題はないと思うのですが、プレステ2版ではハイレグを修正されたとか。トイレに行くときはどうするのかとか余計な心配をしてしまうコスではありますね。

椎名へきる 

 ちなみに演じる椎名へきるは、90年代に國府田マリ子と人気を二分するアイドル声優でした。

  ルナ(CV笠原弘子)

ルナ 

 大陸全土に名を知られる知将トーランド男爵の娘で15歳です。身長170cm、3サイズは上から86・60・87㎝。父譲りの知謀を持ち、武勇にも優れ、礼節を重んじています。ディハルトの副官兼軍師として活躍します。一見すると冷静沈着・才色兼備な女性ですが、一行の中ではティアリス(11歳)、ルイン(14歳)に次ぐ若さです。感情表現が苦手なことに悩んでいる一面もあり、恋愛には奥手です。

ナーム
シェリー

 

 ヒロインセレクトの対象の一人で、Ⅰのナーム、Ⅱのシェリーは彼女の子孫にあたるほか、Ⅴにも子孫が登場します(その紹介は後日)。

ルナ型の使い魔D-LN型 

 また、ラングリッサーの後のシリーズであるグローランサーシリーズでは、ルナをモデルにした使い魔が登場しています。

  ソフィア(CV水谷優子)

ソフィア 

 光の巫女の16歳です。身長164cm、3サイズは上から82・56・83㎝。対魔族結界の要であるルシリス・ゲートの四方門の一つ、南門を守護しています。人に優しく、魔族に厳しい性格です。ラーカス王国の混乱に乗じて土地を奪還しようとする原住民のシカ族に捕らえられ、儀式の生贄にされかかているところをディハルト達に救われます。また聖剣ラングリッサーと魔剣アルハザードを封印・解放できる唯一の存在でもあります。

ゲートを開くソフィア 

 光の巫女の伝統に則って(?)へそ出しルックです。もしやルシリス様が決めた掟なのでしょうか。シリーズの時系列上一番最初の人であるためか、露出も一番のような気がします。この人もヒロインセレクトの対象の一人です 。Ⅱのリアナとラーナは彼女の子孫にあたります。 

Ⅱのヒロイン・リアナ
ダークプリンセス・ラーナ 

 ジェシカ(CVさとうあい)

ジェシカ 

 若い風貌ながらも豊富な知識を持ち大魔術師と称されるシリーズ皆勤賞の女性。女神ルシリスの地上代行を使命とする化身で、数百年という永い時を転生の術を繰り返すことで生きてきました。さらに本作の時代から後、千年以上を生き、聖剣ラングリッサーの行く末を見守ることになります。 

 リグリア帝国

販促ポスター1 

 ラーカス王国の北に位置する強大な国。人口は増加傾向にあるものの、国土のほとんどが凍土であるため十分な農作物が育たず、民衆は困窮しています。過去に豊かなラーカスにたびたび侵攻するものの、浮遊城に備わる古代兵器「魔導砲」により阻まれ続けてきました。

  アルテミュラー(CV塩沢兼人)

アルテミュラー 

 19歳の若さながらリグリア軍元帥であり、大公の爵位を持ち、王位継承権も第二位という帝国の要人です。帝国四将軍の筆頭でもあります。指揮官として優れるのみならず、戦士としても軍師としても第一級の能力を持っています。国民が飢えと寒さに苦しんでいることに心を痛めており、豊かなラーカスの地を手に入れるべく、浮遊城に奇襲をかけます。

 終盤、愛するファーナを奪われた怒りから魔剣アルハザードに魅入られ、闇の王子ボーゼルと化します(ああ、だから塩沢兼人さんを起用しているんですね)。ファーナやエマーリンクの説得を行った上で聖剣ラングリッサーでとどめを刺すと、元のアルテミュラーに戻すことが可能で、この場合は他条件も揃っていれば真エンドルートへと進みますが、説得に失敗した場合はアルテミュラーは死亡し、ファーナも後追い自害してしまい、通常エンドに流れます。Ⅴの最重要人物のご先祖様です。

  パウル(CV塩沢兼人)

パウル王子 

 現皇帝の嫡男で、王位継承権第一位の皇子です。自己顕示欲と権力欲が強く、全てにおいて秀でたアルテミュラーを妬むと同時に恐れてもおり、陰湿な策謀をめぐらせて蹴落とそうとしています。おやおや、この人も塩沢兼人ですよ。ということは…… 

  ファーナ(CV井上喜久子)

ファーナ 

 帝国四将軍の一人で、アルテミュラーの副官を勤める才色兼備な女性です。声優さんも本人も17歳です(笑)が、やたら大人びて見えます。というか、どんなに優秀でも17歳で将軍はありえないでしょう。もっともアルテミュラーもああ見えて19歳ですからねえ。地球とは違う世界なのでよしとしましょう。

 アルテミュラーに恋心を抱いています。終盤、ガイエルの放った矢からアルテミュラーを庇って死亡しますが、その後一時的にボーゼルとなったアルテミュラーの魔力で蘇生します。真エンド後は闇の魔力の供給を絶たれ徐々に衰弱していたが、共に旅に出たアルテミュラーが「生命力を注ぎ込むことのできる剣」を手に入れたことで命長らえます。アルテミュラーと結ばれたのなら、彼女もⅤの最重要人物のご先祖と思われます。

  エマーリンク(CV岡野浩介)

エマーリンク
  

 帝国四将軍の一人で18歳です。戦士としてもさることながら、戦略・戦術に優れ、騎馬隊を中心とした機動的な戦い方を得意とします。アルテミュラーの生き方や行動に共感し、忠誠を誓っています。プライドが高く生真面目で、騎士道に基づいた振る舞いを好みます。

ラインハルトとキルヒアイス 

 この人とアルテミュラーの関係はまさに銀英伝のライン○ルトとキルヒ○イスそのままです。声優さんもクリア後のコメントで言及していました。

  ガイエル(CV稲葉実)

ガイエル 

 帝国四将軍の一人で、飛空艇団を率いています。正面から戦うよりも策謀で敵を陥れる戦い方を得意とし、勝つためには手段を選ばないタイプです。自分より年下で実戦経験も少ないアルテミュラーの命令に従わなねばならないとに不満を持っています。

 こんな奴を画像付きで紹介したくはないのですが、ストーリー終盤ではパウル王子の策略に加担し、アルテミュラーの刃に討たれるもカオスの魔力で復活します。またⅤではヴェルゼリア三魔将の一人として登場してきます。しかし、ⅠやⅡではなぜ出てこなかったのか不明です(笑)。

 ボルツ(CV檜山修之)

ボルツ 

 帝国四将軍の一人で、戦災孤児で上がりで己の腕だけで将軍まで上りつめました。豪放な性格で部下思いで、部下だけを危険にさらすことをよしとせず、自らも陣頭で戦います。こういうタイプの敵はシリーズを通じて必ず一人は登場します。

販促ぽすたー2
 
 バーラル王国

  ラーカス王国の南に位置する王国で、それほど豊かではありませんが、ラーカス王国とは同盟を結び、友好関係にありましたが、リグリア帝国のラーカス侵攻に呼応して出兵します。

  フレア(CV吉田古奈美)

フレア姫 

 バーラル王国の姫で16歳です。剣の腕は男勝りで、芯の強さと優しさから国民や部下からの信望は厚いものがあります。父であるウィルダー王がラーカス侵攻を始めると、悩みながらも自ら陣頭で軍を率い戦います。

 ディハルトとは家族ぐるみの付き合いがあり、幼馴染の間柄にあるディハルトへの恋心と父に対する思慕との狭間で葛藤します。ヒロインセレクトの対象の一人ですが、ストーリー展開によっては自害してしまいます。真のエンドを見るためにはディハルトが彼女を再三説得し続け、かつ好意を抱かせる行動、選択肢を選び続け、生存させた上で仲間に加えなければなりません。 

 ヴェルゼリア

  ラーカス王国の北東、リグリア帝国の東に位置する魔族の支配地域です。人間を制圧し魔族の世界を築こうとしているが、ルシリス・ゲートの結界に阻まれて侵攻できずにいました。しかし、ラーカス王国の浮遊城が陥落し情勢が大きく動いたと見るや、暗躍を開始します。

  ボーゼル(CV伊藤栄次)

初代ボーゼル 

 ヴェルゼリアを統治する魔族の王。闇の王子と称されます。「誰?」と思った方、あなたは正しいです。このボーゼルはⅠやⅡやⅣに登場するボーゼルとは別人です。

 「ボーゼル」とは魔剣アルハザードに認められた者の称号のようなものであり、三魔将を従え、人間たちを争わせて疲弊させ、その隙に乗じて征服を目論みます。見ての通り壮年風の面持ちで、いつものボーゼルの先々代にあたります。

3代目ボーゼル 

 彼がディハルト達に倒され、次にボーゼルとなったのがアルテミュラー。さらにその次にパウル王子がボーゼルとなり、彼こそが他シリーズに登場するボーゼルと同一人物となっています。

  変幻のフェラキア(CV小粥よう子)

変幻のフェラキア

 

 三魔将唯一の女性キャラなので特別に紹介します。妖艶な美女の姿をしていますが、自由自在に姿を変えることのできる能力を持っています。他人に化けるなどして人心を惑わし楽しむいやらしさと、高飛車な性格を併せ持っています。

 うねうねな衣装はキモいですが、これを脱げばいけそう(?)な感じですね。しかし残念ながら味方になるコースはありません。

  天界

 地上とは異なる空間にある、神々の住まう地です。 


  ルシリス(CV井上喜久子)

ルシリス様

 

 秩序を司る女神。ラーカス王国では光の女神として広く信仰されています。ルシリス・ゲートを通じ、その力でラーカスの地を魔族の侵略から守ってきました。

 多分年齢は永遠の17歳です。ルシリス様ご自身が深いスリットから美しいおみ足を見せていることから、巫女達のコスが大胆なのもきっと女神様のご意志なのでしょう。

  カオス(CV笹岡繁蔵)

混沌の神カオス 

 混沌を司る神です。魔族が信仰していることから邪悪な神として考えられがちですが、進化が停滞した時にそれを変化させようとする存在であり、本質的には善でも悪でもないそうです。メガテンシリーズのLAWとCHAOSのようなものでしょうか。ということはですよ、カオスと対立するルシリスも別段善とはいえないということになりは……

  さて、問題のヒロインセレクトですが、私は淡泊な性格のせいか、フレアを見殺しにしてしまい、最初は通常エンドだったのですが、選んだのは…

私のイチ推し・ルナ 

 はいこの人、ルナでした。賢くて奥ゆかしい女性が好きなもので……。2周目をやったのか記憶が定かでは無いのですが、もしやるとすれば、選ぶのは……

ファーナ 
 
① ファーナ(アルテミュラーから寝取る)

ジュリオールとレイラ 

② レイラ(ディハルトの先輩騎士ジュリオールの婚約者。先輩から寝取る)

変幻のフェラキア 

③ 変幻のフェラキア(ボーゼルから寝取る)

ジェシカ 

④ ジェシカ(ルシリス様から寝取る) 

 ……選べるかww!! 次回は「ラングリッサーⅣ」を予定しています。もうちょっとだけ続くんじゃ。

最後にサービスカット。見たい人だけクリックして下さい。

ヒロイン裸版
 

I Love you, SAYONARA:チェッカーズ中期の名作

I Love you, SAYONARA
 
 こんばんは。何か風邪の引き始めという感じで喉が痛いです。葛根湯系の風邪薬を買ってきて飲んだのですが、早めに休んだ方がいいようです。昨日は拍手を一気に3つも貰ってハッピーだったのですが…。

 ということで早速本題に。年に数回地獄絵図と化すカラオケに一緒に行くK君は、いつも必ずチェッカーズといえば「ギザギザハートの子守歌」を歌います。中高生時代荒れた雰囲気はみじんもなかったので、なぜこの歌を熱唱するのか謎です。もちろん何を歌おうが個人の自由なので文句があるわけではありません。きっと何か強い思い入れがこの歌にあるのでしょう。

 それはさておき、チェッカーズといえば80年代前半から90年代前半までの約10年間を大人気ロックバンドとして駆け抜けたグループで、ヒット曲も多数あります。もちろん私も沢山聞いています。「ギザギザハートの子守歌」はデビュー曲であり、アイドル色の強かった前期の代表曲の一つですが、私がカラオケで歌うとすれば、チェッカーズ中期の代表曲の一つである「I Love you, SAYONARA」でしょう。

 この曲は1987年3月5日にリリースされたもので、作詞藤井郁弥 作曲大土井裕二 編曲THE CHECKERS FAM.ということで、完全にチェッカーズの中で完結している作品でもあります。SEIKOの腕時計「アベニュー」のCMソングになったほか、同年の紅白でも歌われています。

 さて、この歌詞に基づきシチュエーションを脳内妄想していきたいと思います。

 主人公「俺」は売れない芸術家か歌手でしょう。ミュージシャンという可能性もありますが、多分ソロで活動しているんじゃないかと思います。そんな「俺」の才能に惚れ込み、きっと売れると信じているのが「おまえ」です。おそらく二人はあらゆるしがらみを振り切って、手に手を取って逃避行したのでしょう。見知らぬ都会の片隅で結婚し、ひっそりと暮らしています。

 何年が過ぎたことでしょう。「俺」の才能を信じている彼女は、「俺」が芸に没頭することを望み、「俺」に代わって生計を担います。もちろん若い女の細腕で二人分の生活を支えるとなると容易なことではありません。彼女は手っ取り早く稼げそうな水商売に手を染めます。キャバクラ嬢あたりでしょうかね。もちろん結婚していることは隠し、毎夕セクシーで派手な服に着替えてネオン街に向かうのです。

 慣れない酒や男達のあしらいで、純情可憐だった彼女は次第にやつれていきます。心配する「俺」に、彼女は「私が自分で決めたことだから」と微笑んで、才能の磨くよう頼むのです。息抜きも必要だからと酒や博打も容認して、「俺」の着古した革ジャンにはいつも金がなくならないようにそっと紙幣を押し込んで。

 しかし「俺」はもう気付いていました。「俺」には世に出るほどの才能はないのだと。あんなにも彼女を感動させ、魅了したもの、それは一瞬の蜃気楼だったのです。「俺」はこの街に流れ着いた頃を思い出します。何もなかった、けど夢と希望に満ちていた頃の二人の姿。それはもう遙かに遠ざかって二度と戻りません。

 「俺」は知っています。彼女が店の得意客に惚れ込まれていることを。実りのない努力へのいらだちから夜の街を徘徊し、彼女の勤める店を覗いてみたことがあるのです。男はかなりの年上ですが、裕福で紳士でもあります。ほどほどのセクハラが日常茶飯事である彼女の勤めるにあっては上客中の上客といえるでしょう。男は心底彼女に魅了されていて、様々に口説きかけていますが、決して不埒なまねはしません。

 もちろん彼女は決してよろめいてはいません。しかし男の真情は伝わるのです。決して体は赦しませんが、反面ノルマを消化するために同伴やら指名やらを頼むことだってしょっちゅうです。男はいつも快諾してくれ、決して不満は漏らしません。彼女の心は次第に男に対してのすまなさで一杯になっていきます。

 「俺」は思います。悔しいがあの男は彼女にお似合いだ。ヒモのような「俺」がいなくなれば彼女は幸せになれる。だが彼女は意地でも自分からは別れようとしないだろう。それなら……「俺」から別れを切り出すしかない。

 「俺」は自分の左手の結婚指輪を見つめます。すさんだ生活の中でもうすっかり傷だらけです。なのに、それなのにどうして別れを決心した今になってこんなにも輝くのだろう。

I Love you, SAYONARA

 もう俺のために 笑うなよ Baby
 馬鹿だね女って
 
 嫌いと言うしかなかったよ Baby
 馬鹿だね男って

 辛いと涙を見せなよ Baby
 馬鹿だね女って

 嫌いと言うしかなかったよ Baby
 馬鹿だね男って

 I love you だけど I love you I love you
SAYONARA
 

YouTubeの動画です。

http://www.youtube.com/watch?v=w2rtB7ukUy0

メッセージ

 ……いや~切ないですね。女の幸せのためにあえて嫌われ者を演じて去って行く男の背中が見えるようです。それを全てわかっていながら涙で見送る女。

 ただ、本当に好きな人のためにする苦労は、その人にとって単なる苦労なのでしょうか?彼女はやつれたかも知れません。疲労困憊していたかも知れません。しかし、彼女は不幸だったかといえば一概にはそうとは断定できないでしょう。第三者には不幸に見えたかも知れませんが、本当の答えは彼女しか持っていないでしょう。

 ところが、彼女を愛する「俺」からすれば、ふがいない自分のためにどんどんやつれていく彼女の姿を見ることは、愛していれば愛しているほど辛かったといえるでしょう。いっそヒモという名の寄生虫に堕していればまだしも、「俺」の精神はそこまで落ちぶれてはいないのです。「俺」のために頑張る彼女の姿を見る「俺」は、最初の頃はともかく、才能の限界を思い知るほどにどんどん幸せから遠ざかっていたことでしょう。別れは、彼女のためのみならず、「俺」を救済して再スタートさせるためにも必要だったのかも知れません。

大和物語抄

 この歌を聴くと、なんとなく二人の将来が「蘆刈」のようになる気がしてなりません。能となった「蘆刈」ではなく、「大和物語」の方の「蘆刈」です。以下は口語訳の要旨です。お時間がある方はどうぞ。

 摂津の国の難波のあたりに夫婦がいて長年共に暮らしていたが、ここ数年暮らし向きが思わしくなくなって、どうにも苦しくなった。男は「自分はどのようにしてでも生きることぐらい出来るでしょう。でも女のあなたがこんなに若いうちにみすぼらしい暮らしをしているのは見ていられません。京に上って宮仕えをして、今よりもましな状態にでもなったら、私を訪ねてください。私も人並みの暮らしが出来るようになったら、必ずあなたを訪ねて行きましょう」と約束して泣く泣く別れた。

 京に上った女はある身分の高い人に宮仕えした。生活の不安がなくなったので、顔かたちもたいそう美しくなった。そうこうするうちに、この家の細君が亡くなり、女は主人に格別思いをかけられていたのでとうとう妻となってしまった。

 傍目には結構そうな様子で暮らしていたが、人知れず思うことは「あの人はどうしているだろう。暮らしはどうなっているだろうか。」ということだったので、ある日女は「津の国という所がとても景色がよいそうなので、行ってみたいと思います」と言って出かけていった。

 以前家のあったあたりを見ると、家もなく人もいない。女が車を停めて悲しくもの思いにふけっていると、蘆をになっている男で乞食のような姿をした者が、女の車の前を通り過ぎた。その男の顔を見ると、自分の前の夫に似ていた。

蘆刈

 この男を呼んでその顔をよく見ると、まぎれもなく夫であった。男も女を見つめると、自分の妻に似ている。顔も声も間違いなく妻だと分かると、自分の姿がどうしようもなくみすぼらしいことにいたたまれなくて、蘆もうち捨てて走り去ってしまった。

 女が供の者に男を連れてくるよう命じると、男は硯を所望して手紙を書いた。それには、

 君なくてあしかりけりと思ふにもいとど難波の浦ぞ住みうき
  (あなたがいなくなってから、暮らしは思うにまかせず、蘆刈りまでして苦しい日々を過ごしてきたと思うにつけても、いよいよ難波の浦は住みづらいことです)

と書いあった。女はこれを見て泣き、着ていた着物を脱いでその包みに手紙など書き添えて男にやって、京へ帰っていった。

 あしからじとてこそ人の別れけめなにか難波の浦も住みうき
  (別れることで悪くはなるまい、と言ってあなたは私とお別れになったのでしょうに、どうして今になって難波の浦が住みづらいのでしょうか)

 ※ 能の「蘆刈」はストーリーが変わって女は貴族の妻になっておらず、ハッピーエンドとなるのですが、原作のほうが悲しくてリアルでちょっと「秒速5センチメートル」っぽくていいなあと思います。
 

源内万華鏡:清水義範が描いた「非常の学問芸人」

源内万華鏡
 
 今日は日中はかなり暖かかったのですが、夕方以降は一転して風が冷たくなりました。日暮れが一番早い時期ですね。冬至より今の方が日暮れが早いようです。日の出はこれからさらに遅くなりますが、来週後半以降は日暮れが徐々に遅くなっていきます。

 今日のお題は清水義範の「源内万華鏡」です。清水義範のいわゆる「パスティーシュ」の手法を用いた小説は昔から大好きで、図書館で見かければ即手に取ることにしています。

平賀源内

 パスティーシュとは、文体や雰囲気などを、先駆者に影響を受けて作風が似ることや故意に似せることを指しますが、広義ではパロディもパスティーシュの範疇にはいるそうです。清水義範はパスティーシュの天才といえるでしょう。ジュブナイル中心でSFも相当書いているようですが、すいません、清水義範のSFは一冊も読んだことがないようです。自称SF者(「キリスト者」みたいですな)として正直、スマンカッタ。

正直、スマンカッタ

 パスティーシュ系は結構漁っているんですよ。もはや古典の「永遠のジャック&ベティ」とか「国語入試問題必勝法」に始まって、短編長編色々読んでいます。しかし…近著はいけてません。こちらも正直(ry。

 今回読んだ「源内万華鏡」は2001年10月発行で、何と私が読んだ一番新しい清水義範作品ということなります。ようやく21世紀、しかし10年以上前の作品というのが非常にトホホなところなのですが、どんなに嘆いてこれしかないのでいっちゃいましょう。

 本書はタイトルから判るとおり、平賀源内の一生を描いたものです。江戸時代きっての奇人ともいうべき源内の肩書きは、本草学者、地質学者、蘭学者、医者、殖産事業家、戯作者、浄瑠璃作者、俳人、蘭画家、発明家(Wikipediaによる)と凄まじい物になっています。

火浣布

 家は讃岐高松藩の足軽クラスで、3石一人扶持だったそうです。大江戸捜査網の隠密同心が「30俵2人扶持の低い身分」とナレーションされてましたが、受け取りでいうと実質1石=1俵になるので、隠密同心の十分の一の俸禄ということになりましょうか。これじゃとても食っていけませんが、傍らでやっている(というかこっちが本業かも知れませんが)農家としてはかなり裕福で、幼少期から学問に触れる機会はあったようです。

 源内は学問に精進するため、そして江戸に出て名を挙げるために家督を妹に譲って隠居となり藩の職も辞して一介の浪人という学問をするには自由な身分を手に入れ、長崎、大阪、京都に学んで江戸に出てきます。この源内の一連の行動を講談のようにユーモラスに描いているのが本書となります。
源内焼

 若い頃の源内は自信過剰の気があってちょっと鼻持ちならない感じもしますが、結果的には全然自信過剰ではなく、むしろ自分の才能を正当に評価していたと言うことになるでしょうか。当時の位置中の学者や芸術家と交わり、湯島の聖堂に寄宿したり、賀茂真淵に師事したり、杉田玄白から慕われたり。あまりにも様々な才能に恵まれた反面、一徹に取り組む領域がなく、器用貧乏な感もあります。

 源内の業績を上げてみますと

西洋婦人図

・ 日本人で初めて量程器(万歩計のようなもの)や寒暖計を制作する
・ 後の万博に近い物産博覧会を開催する
・ 日本人で初めて油絵を描き、遠近法など西洋絵画の技法を伝授する
・ 石綿を発見し、火浣布を開発する
・ 「土用丑の日」のキャッチコピーを考案するなど、日本におけるコピーライターのはしりとも評される
・ 人形浄瑠璃の台本を多数執筆(江戸浄瑠璃の創始者)
・ 源内焼(焼き物)の作成
・ 静電気発生装置エレキテルの紹介

エレキテル

などなど、極めて多彩です。これだけ色々やれば大金持ちではないかと思うのですが、実際には裕福ではなかったようです。それは、源内が最も力を入れたのが「山師」だったからです。現在では山師といえば詐欺師とか投機的な事業で金儲けを企てる者を指しますが、本来の意味は鉱山技師です。つまり金山や銀山を発見・採掘する職業です。

 これがどうして現在では詐欺師を指すようになってしまったかといえば、鉱山は当たれば大きい儲けを産みますが、初期投資がかなり必要であることと、結果は掘ってみないとわからないということにあります。つまりどうしても金を集めるために甘言を弄することに成り、夢物語を散々吹聴した上に失敗すれば全く利潤が出ないということから、詐欺師的手口と似ているというように判断されたのでしょう。

タルモメイト(複製)

 源内は長崎で鉱山技術を学び、秋田佐竹藩では鉱山開発の指導を行って感謝されていますが、自身の事業として行った秩父での金山や鉄山開発は失敗し、借金を抱えたりしています。これは製鉄のために確保していた木炭を江戸で売ることでなんとかチャラにしていますが、上記の様々な業績で得た金を生活や鉱山開発資金に充てていたのでしょう。

 清水義範の筆による源内はとても明るく軽く、「学問芸人」としての一生を楽しく描いています。実は源内は人を殺傷して投獄され、破傷風で獄死するという暗い最後を遂げるのですが、清水義範の手にかかると、一生を学問芸人としておもしろおかしく過ごせたことに満足して笑って死んでいっています。そして案外これが真実に迫っているのではないかと思わせてくれます。

平賀源内の著作

 ただ終盤、人を殺す段付近で、「もともと癇癪持ちの傾向があった」と記述しているのですが、そんな気配はこれまで全然なかったし、あなたも描いてないじゃないのとツッ込みたくなります。そういえば、実は獄死ではなく、田沼意次の知遇を得ていたことから、田沼の保護下に天寿を全うしたという説もあるそうで、その最期ははっきりとはしていないそうです。

 杉田玄白は回想録である「蘭学事始」において、源内との対話に一章を割いているほか、源内の墓碑を「嗟非常人、好非常事、行是非常、何死非常」(ああ非常の人、非常のことを好み、行いこれ非常、何ぞ非常に死するや)と記しています。意味は、「あなたは常識を超えた人で、常識を超えたものを好み、常識を超えたことした。だからといって常識を越えた死に方までしなくても良かったのに」とでもいうところでしょうか。玄白が源内の才能に驚嘆し、その死を惜しんだことが伺われます。

 「非常の人」平賀源内、江戸時代のレオナルド・ダ・ビンチと呼んでもいいのではないでしょうか。

沈んだ歌姫:Sound Horizonを知っていますか

Chronicle 2nd
 
 こんばんは。今朝は電車の中から富士山を見ることができました。すっかり雪化粧して神々しい美しさでしたね。その後筑波山も見えました。こちらは近いのでいつでも見えるんですが、白富士と紫峰の両方を一度に見られると得した気分になります。

 さて、今日は昨日の続きのStrawberry Panicの話ではないのですが、ラストで言及した「沈んだ歌姫」を取り上げたいと思います。

Revo.jpg

 「沈んだ歌姫」は、Sound Horizonが2004年3月19日に発売した6枚目の自主制作アルバム「Chronicle 2nd」に収録された楽曲です。ところで皆さんはSound Horizonをご存知でしょうか。オフィシャルサイトでは、「幻想楽団Sound Horizonは、サウンドクリエイター「Revo」(作詞/作編曲)が主宰するアーティスト集団である」としていますが、Wikipediaでは「サウンドクリエイター、Revoを唯一のメンバーとする日本の音楽ユニット」と定義しています。この点についてオフィシャルサイトでは、「幻想的な物語を音楽的に表現する為に相応しい楽団員を、その都度必要な人数を集めて編成するという希有なスタイルのグループであり、歌い手・語り手の人数・性別も限定はしていない」と説明しています。

あらまり

 特徴を一言で言うならば、詩、歌、語り、効果音等を情景に合わせて駆使した物語描写を行う「物語音楽」ということになるでしょう。アルバム1枚が一つの組曲として構成される「組曲形式」となっています。「Chronicle 2nd」はSound Horizonの6枚目の自主制作アルバムで、2004年3月にリリースされました。ファーストアルバム「Chronicle」の世界観をベースに、新たに楽曲を追加してリニューアルしたもので、これを発表した約7ヵ月後に「Elysion 〜楽園への前奏曲〜」でメジャーデビューしたため、本作が同人時代最後のアルバムとなりました。

霜月はるか

 まあえらそうに言っても、私はニコニコ動画でアイドルマスターのキャラクター達が「沈んだ歌姫」をオペラのように演じる動画を見て初めて知ったので、Sound Horizonに精通しているわけでもなんでもないのですが。とりあえず「沈んだ歌姫」を聞いてみて下さい。

YouTubeで聴けます。

http://www.youtube.com/watch?v=_yhH1EAKjm0

アイドルマスターのキャラが演じているバージョンです。

アイドルマスター版沈んだ歌姫

http://www.youtube.com/watch?v=_9L2g1_7KT8

赤の歌姫・春香

 聞いての通り、「Chronicle 2nd」「Chronicle」という題名のとおり、イタリアと思われる王国(作中ではイタニア)の年代記となっており、「沈んだ歌姫」はイタニア暦312年に国王となったアレッサンドロ一世が、イタニア最高の歌姫を王妃として迎えるという勅令を発布したことに端を発しており、野心を抱いた地方領主や門閥貴族が各々歌姫を立てた中、最後に残ったフィレンツァ領主 フィレンツァ公爵家の令嬢ロベリア・マリア・デッラ・フィレンツァ(「紅の歌姫」)と、ミラーナ領主ビスコンティエ公爵家の令嬢ジュリエッタ・シモーネ・デル・ビスコンティエ(「蒼の歌姫」)の争いを描いています。

蒼の歌姫・雪歩

 「紅の歌姫」ロベリアはあらまり(Aramary)が、「蒼の歌姫」ジュリエッタは霜月はるかが演じていますあらまりはSound Horizonの第一期正式メンバーでしたが、、インディーズ時代からの古参メンバーであったが、2004年に脱退しています。霜月はるかはボーカリストとして様々なゲーム・アニメ作品の主題歌を担当しており、以前紹介した「アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女」(7月28・29日)でもオリカ・ネストミールの歌を担当しています。

三浦あずさ

 聞いての通り、イタリア語の巻き舌が凄まじいですが、もちろん二人とも日本人です。アイドルマスター版ではロベリアを天海春香が、ジュリエッタを萩原雪歩が演じています。歌詞中、「色惚の年増娘(ロベリア)が望むには…」という部分がある(ジュリエッタがディスっている)ので、16歳の春香には可哀想な気もしますが、さすがわ春閣下、見事に演じています。一方のジュリエッタについては、ロベリアが「田舎貴族の娘(ジュリエッタ)が望むには…」と罵っていますが、雪歩は確かに純朴そうなのでぴったりですね。

如月千早

 まあ私なら、「色惚けの年増娘」ということで、アイドルマスターから選ぶならロベリア役に「三浦あずさ」を推したいです。あずさは色惚けという感じではありませんが、一番色っぽいし、相対的に「年増」なので。ジュリエッタ役には「蒼の歌姫」の異名から、如月千早がいいのではないでしょうか。都会的な顔立ちですが、持ち歌「青い鳥」からも「蒼の歌姫」のイメージにぴったりです。

今井麻美(左)とたかはし智秋(右)

 そしてこの二人を選んだのは、中の人つまり声優さんの歌がとても上手いということもあります。三浦あずさ役のたかはし智秋(この人こそ一見色惚け風です)と如月千早役の今井麻美の歌の上手さは「アイマスレディオ」の「歌姫楽園」で堪能できます。ニコニコ動画で恐縮ですが聴ける方はぜひ。271分あります。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm6769149

紅の歌姫・源千華留
髪を解いた玉青

 さて、昨日の話題は私の嫁同率一位の源千華留と涼水玉青に「沈んだ歌姫」を演じて欲しいと言うことでした。もちろん「紅の歌姫」ロベリア役は千華留、「蒼の歌姫」ジュリエッタ役は玉青です。二人の争いはロベリアの勝利となり、陰謀にはまったジュリエッタは、弑逆を謀った逆賊としてデル・ビスコンティエ一門と共に処刑されてしまうのでした。千華留大勝利。

勝利の千華留

 しかし…物語の結末は「歌姫ジュリエッタの沒後…王妃ロベリア在位僅か三年にして寵妃ビアトリジェ・宰相ガレアッツォらの共謀により 歴史の闇に沈む…」となっています。ロベリアの栄光はたった三年に過ぎませんでした。しかも歌姫を擁しての王妃争い自体が国王の遊戯に過ぎなかったという救われないオチが付いています。最後に末尾の台詞をお贈りします。誰にとか何にとは言いません。読んだ方がそれぞれ好きなように解釈して下さい。

沈む玉青

 君よ驕ることなかれ 我等
 
 歴史という大海に漂う小舟に過ぎぬ
 
 盛者必衰 沈マヌ者ハナシ…

Strawberry Panic(その2):百合共ご紹介(含む「私の嫁」)

転校前の制服を着た渚砂と「エトワール」花園静馬
 
 こんばんは、早速昨日の続きを語りましょう。「Strawberry Panic」のその2、キャラ編です。

3校生徒会長達

 「Strawberry Panic」には女性しかでてきませんので、出来れば全員紹介したい位なんですが、全員が好きというわけでもないので、とりあえず主要キャラとご贔屓キャラの発表ということで。

 最初は聖ミアトル女学園から。

 まずは主人公の蒼井渚砂(CV中原麻衣)

元気な渚砂

 両親が海外に転勤したことをきっかけに、ミアトルOGである叔母のつてでミアトルに編入した変わり種です。4年生ということで、高校一年からの編入ということになります。

女同士なんですけど

 明るく元気で積極的ないかにも主人公らしいキャラですが、エトワールこと花園静馬の押しには身動きができなくなってしまいます。

水着の渚砂

 他校の生徒とも積極的に関わり、スピカの此花光莉や南都夜々らとは自室で時おり「お茶会」を開いています。この辺はいかにも女の子という感じで良いのですが。

お似合いの二人

 最終的には花園静馬と結ばれる(?)のですが、個人的にはルームメイトの涼水玉青とカップルになるほうが絶対いいと思います。だってEDはいつも中の人2人で歌っていたじゃない。

 花園静馬(CV生天目仁美)

性同一性障害としか思えない花園静馬

 6年生(=高校3年生)。腰より下にまで伸びる銀髪をポニーテールにしています。ぱっと見は女性らしいのですが。2年前に桜木花織と出会い、恋人関係となってエトワールに就任しますが、彼女の死によって何事にも無気力になっています。

今は亡き静馬の相方・桜木香織

 寂しさをまぎらすように学園の女生徒たちとの刹那的な関係に溺れるようになっています。一人でエトワールの地位に留まっていますが、公務をすっぽかすのが日常茶飯事になっており、エトワール奪還に燃えるスピカ生徒会からしばしば攻撃されています。

 ちなみにミアトルの生徒会長六条深雪は親友です。結局なんだかんだと渚砂を連れ去って結ばれています。室町時代から続くという旧家は途絶えるけどいいのか?

 涼水玉青(CV清水愛)

私のお気に入りの玉青ちゃん

 4年生で渚砂のルームメイト。そして私の嫁一号。青い髪をシニヨンにしており、白い大きなリボンを頭の後ろに結んでいるのがキュートです。「○○ですわ」という口調が特徴で、ネットでは百合シーンが来ると彼女が「キマシタワー」と叫ぶのがお約束となっていますが、星一徹のちゃぶ台返し同様、実際には一回しか言っていません。

水着の玉青

 実に「渚砂ラブ」で、同室になるまでは一人部屋だったようです。百合が過ぎるからでしょうか?文芸部に所属しており、学園祭の三校高等部合同演劇「カルメン」の脚本を執筆しましたが、その出来映えはミアトル生徒会長の六条深雪に絶賛されたほどでした。

髪を解いた玉青

 渚砂とのカップリングでエトワール選に出馬しましたが、静馬の乱入で渚砂の本命がやはり自分ではないことを悟り、渚砂を送り出しています。大丈夫、百合の悪夢から醒めて我がもとにくるべし。ちなみに渚砂と玉青を見ていると「CCさくら」のさくらと知世を彷彿とさせますね。

 続いて聖スピカ女学院。

 もう一人の主人公とも言える此花光莉(CV松来未祐)

莉此花光

 3年生ということで中学3年生ですね。ややカールのかかった薄い金色の髪を背中の辺りまで伸ばしています。銀髪の花園静馬といい、本当に日本人かお前ら。

此花光莉

  近所でも評判の美少女で、両親が悪い虫から守るためにスピカに編入させたそうですが、女性の自立、社会進出を重視するスピカの校風からすると、はっきり言って思いっきり場違いな感じがします。ミアトルかル・リムじゃないでしょうか常考。

「誘い受け女王」此花光莉

 鳳天音と運命の出会いをして両想いとなってエトワール選に出場。渚砂・玉青組と熱戦となりますが、渚砂と静馬が「駆け落ち」したことでエトワールとなりました。

光莉危うし

 恐ろしいほどの女子力というか乙女力の持ち主で、南都夜々や剣城要から度々襲われています。ただ、この人の場合ダチョウ倶楽部の「押すなよ!絶対押すなよ!」的な風情を出しているので、リアクション芸人ならぬ「誘い受け」の達人なのかも知れません。百合声優で名高い松来さんが嬉々として演じているのが目に浮かびます。良かったですね、女子にモテモテの美少女を演じられて。

 鳳天音(CV甲斐田裕子)

鳳天音:嘘みたいだろ…女なんだぜ、これで。

 5年生ということで高校2年生。エメラルドグリーンのショートカットヘアですが、もう気にしないことにしましょう。馬術部所属しており、好みのタイプは「守ってあげたい娘」だそうです。お前が「娘」だろうに(笑)。

お姫様だっこ。してるのも女

 武道宗家の一人娘という出身のためか男前な性格です。本当はふたなりなんじゃないでしょうか。スピカ代表として光莉と共にエトワール選に出馬し、スピカの悲願であったミアトルからのエトワール奪還を実現します。

 南都夜々(CV桑谷夏子)

南都夜々

 光莉のルームメイト。黒髪のロングストレートです。やっと日本人らしい子が。しかし「真性百合」で、好みのタイプは「何も知らない初な娘」なんだそうです。お前もか。

光莉に迫る夜々

 まさに好みのタイプドンピシャの光莉に辛抱たまらずその唇を強引に奪ってしまったりします。後に渚砂と玉青の仲介により和解しますが、その後も互いに距離を置く関係となっていましたが、最終的には天音と光莉のエトワール選出馬を暖かく送り出しています。

当ててんのよ

 男に唇が奪われたとなるとNTR!という気がしますが、百合だとあまり気になりませんね。夜々、唇くらいいくらでも盗むが良い。ちなみに名前は「やや」です。「よよ」と読むとスクエア三大悪女の筆頭になってしまいます。危ない危ない。

 剣城要(CV木下紗華)

光莉をよく襲う剣城要

 5年生で黒髪のショートヘア。スピカ生徒会副会長。本当は天音が好きなようです。あてつけから、天音のエトワール選出馬を阻止すべく桃実と共に様々な策略を行います。その一環で度々光莉を襲って口説き落とそうと試みます。レイプ魔かお前は。

常に危ない光莉

 天音にテニスで勝負を挑み、入学以来の天音に対する思いの丈を全て打ち明け、それが原因で一度は桃実と破局しますが、後に「復縁」しています。

 鬼屋敷桃実(後藤沙緒里)

鬼屋敷桃実

 5年生で茶髪のロングヘアを左右で一房ずつくくっています。 スピカ生徒会書記。同室の要と共に様々な策略を行い、生徒会長である詩遠が本命視している天音の次期エトワール選出馬を阻止するために暗躍していました。その姿はほとんど情婦。

ほとんど事後

 天音と要の決闘において要の本命が自分ではなかったことを知り一旦は破局しますが、要から復縁を求められ、桃実もこれを受け入れています。後に落語家に転身して暗落亭苦来になるとかならないとか(笑)。

 最後に聖ル・リム女学校ですが、ここはたった一人だけ。

 源千華留(CV中島沙樹)

源千華留

 5年生で、長い黒髪に、蝶を象るリボンを2つつけています。「ル・リムの聖母」の異名を持ち、落ち着いた雰囲気と優しげな言動で人気の生徒会長です。

水着の千華留

 初対面の時から一貫して渚砂に対して好意的に接しており、渚砂が気に入っている様子ですが、百合的アプローチはしません。また光莉の相談にも乗るなど、世話好きな人のようです。

ミルキィホームズ…ではない

 生徒会長のほか、変身部部長や秘密部部長を兼任していますが、主要メンバーは同じだったりします。この他、思いつくままに「クッキー同好会」「一番乗り部」「喫茶部」などを立ち上げています。

カルメンを演じる千華留

 演技力があり、学園祭の合同演劇「カルメン」では主役のカルメンに抜擢されました。しかし、本番中にアクシデントが発生し足を負傷してしまう不運に見舞われる。原因は要と桃実が天音の靴に細工をし、バランスを崩した天音をかばったことにあるので、お前ら二人死刑。

千華留ピンチ

 千華留は普通にいい子なので、お嫁さんとして引く手あまたのことでしょう。もちろん私の嫁二号です。

 で、好きなキャラですが、
 4位:此花光莉

水着の光莉

 なんだかんだ言っても可愛いです。美少女です。嫁にというよりも妹にしておきたい。群がる狼たち(女性ですが)は軒並みラリアットで沈めます。女子校でこれなんだから巷には置けないという両親の気持ちも判ります。

 3位:南都夜々

報われない夜々

 光莉が好きなので結ばれない悲劇のヒロイン一票。南斗聖拳と何か関係があるのかという苗字と、親は何を考えて名付けたんだという名前がすごいです。せっかくなので翠星石みたいにしゃべって欲しかった。あるいは朝倉涼子でもいいです。え?「うん、それ無理」ですか…。

 2位:蒼井渚砂

窓を開ける渚砂

 ベタベタな名前ですが、主人公は庶民的でいい子なので好感度高いです。惜しむらくは百合の餌食となることですが、そういう作品なので仕方がないですね。中原麻衣が可愛く演じています。

 1位:涼水玉青

可愛い玉青

 玉青ちゃん最高。それほどの器量を持ちながら、なぜ百合に走る!?この人の実家もお金持ちらしいです。原作では。陰では「蒼いルシフェル」とか「堕天使」とも呼ばれており、文庫版では過去に静馬と付き合っていたらしいです。う~ん、過去のある女、影のある女も素敵だよ。

 1位:源千華留

ル・リムの聖母

 同率一位は千華留会長。リボン2つは中二病かファンタジスタかと危ぶみましたが、この人は作中一番の常識人にして一番いい人ではないでしょうか。

 カルメンを演じるときの妖婦のような表情も素敵です。文庫版では策士家で裏リーダー的な存在に見られる場合があり、「アストラエアの影の女帝」とも呼ばれているそうですが、才色兼備で結構なことです。

 そういうことで同率一位は玉青と千華留となりました。この二人で「沈んだ歌姫」をやってくれないかな…。あ、これについてはまた別途語りたいと思います。ではこれでStrawberry Panicはお開きに。いや~疲れたな……

ラストシーン

 

Strawberry Panic(その1):オノコ達の妄想が産んだ百合世界

タイトル画面
 
 この冬はよく雨が降りますね。湿度があった方がインフルエンザや風邪にはかかりにくいみたいですが。サブジャンルの順位が一つ上がって63位になりました。これで一位が60位、二位が63位、三位が64位とベスト3が60位台で固まりました。だからなんだといわれると特に言うべきことはないのですが(笑)。

電撃Gs magazineのタイトルページ

 さて本日は中原麻衣の記事(11月25日)でも少々触れましたアニメ「Strawberry Panic」について語ってみたいと思います。本作は全26話で、2006年4月より9月までtvk他のUHF局などで放映されました。多分去年の夏前あたりに壇蜜さんに「何かお勧めのアニメない?」と聞いたところ紹介された4作品の一つです。ちなみに他の三本は「シムーン」「舞-HiME」「舞-乙HiME」ですが、「舞-乙HiME」はまだ未見です。

ゲーム版主要キャラ
 
 元は「電撃G's magazine」というゲーム・漫画雑誌に連載された読者参加企画で、小説・漫画・ゲームそしてアニメと展開されたメディアミックス群の総称で、本来は「Strawberry Panic!」なのですが、アニメは「!」が付きません。

アストラエの丘

 この日本のどこかに存在するアストラエアの丘にある屈指の名門女子校「聖ミアトル女学園」「聖スピカ女学院」「聖ル・リム女学校」、そしてそのはずれにある3校共通の寄宿舎「いちご舎」を舞台に、各校の生徒たちが繰り広げる物語が描かれています。「マリア様がみてる」が女性作家が描いた少女小説であるのに対し、こちらはオノコ達が煩悩の赴くままに妄想した世界と言え、コンセプトは女性ヒロイン同士のカップリング「百合」です。アニメでは「マリ見て」以上に男性的要素が一切排除されており、まるで宝塚の男役の如き女性と娘役の如き女性の恋愛模様が綴られています。

アストラエア

 ちなみに学校関連の名称を聞くととても日本とは思えませんが、これらの単語はいずれも乙女座に由来しているそうです。アストラエア(Astraea)は星乙女を意味する正義の女神で、神と人とが共存していた遙かな昔、地上に悪行が蔓延って次々と神々が地上を去る中、最後まで地上に留まって人々に正義を訴え続けたのがアストラエアだそうです。しかし、遂に人類の堕落に失望して地上を去り、天に輝く星座(乙女座)になったのだそうです。

乙女座内の三校の位置:黄がミアトル、白がスピカ、赤がル・リム

 ミアトルは乙女座のε星ヴィンデミアトリックス(Vindemiatrix)の旧名だそうです。ちなみにヴィンデミアトリックスは葡萄を摘む女」といった意味らしいです。スピカ(Spica)は有名な乙女座α星です。星座内で一番明るい一等星ですね。ラテン語で「(穂先のように)尖ったもの」という意味で、英語のスパイク(Spike)と同義のようです。ル・リム(Le Rim)は乙女座δ星ミネラウバのバビロンでの呼び名で、カモシカという意味のようです。これらはネットサーフィンで仕入れたので完全に正確かどうかはわかりませんが。

電撃Gs magazineでの渚砂と静馬

 主人公は両親の海外転勤で、伯母の母校である聖ミアトル女学園4年に編入することになった蒼井渚砂で、広いアストラエアの丘で道に迷う中で「エトワール」と呼ばれる花園静馬と出会います。静馬に突然額に口づけされた渚砂はそのまま気を失い、気が付くと保健室のベッドでルームメイトになる涼水玉青に介抱されていました……というのが序盤の展開となります。

ミアトルの三角関係+1(左下はお部屋番の千代)

 一応用語を説明すると「いちご舎」は正式名称「聖アストラエア合同寄宿舎」で、3校合同の寄宿舎の建物が三角形状をしています。3校の中で一番古いミアトル創設時に建てられた歴史ある建物で、遠方から入学する生徒のために用意された施設ですが、集団生活を経験するために入ってくる名家の子女も多数います。ほとんどが二人部屋となっており、まさに百合の温床。夜間でも比較的自由に他校棟との行き来が行われています。

こういう目に遭うのが光莉の宿命

 エトワール(フランス語で「星」の意)は、3校の全生徒の中から1年に1回選ばれるベストカップルに与えられる称号で、この称号が与えられたカップル及びその所属校は全生徒の憧れ・敬愛の的・模範となると共に大変な名誉が授けられます。カップルなので、本来は「エトワール・エネ」(「年長の星」)と「エトワール・カデット」(「年少の星」)の2名1組で構成されるのですが、花園静馬は、カップルの相方である桜木花織の死去後も一人でエトワールの地位に留まっています。

聖ミアトル女学園

 聖ミアトル女学園は修道院を母体とし、3校の中で最も歴史がある学園です。門閥の出身者が多く、生徒達は花嫁として人気が高いらしく、その過半数が卒業前に婚約してしまうといわれています。茶道、華道、日舞などの課外授業が盛んで、新入生が部屋単位で先輩付きとなり、雑事を行う「お部屋番」と呼ばれる妙な制度があります。 なお他の2校と異なり、大学が併設されているそうです。

聖スピカ女学院

 聖スピカ女学院はミアトルに次いで創設され、女性の自立、社会進出を重視する校風を持っており、学業と共に水泳や乗馬などのスポーツにも力を入れています。馬場やプールなどの施設の充実振りは一番となっています。

聖ル・リム女学校

 聖ル・リム女学校は一番新しく、自由な校風で知られる女子校です。そのためか学年による上下関係も他の2校と比較して緩くなっています。クラブ活動が盛んで、生徒が自主的に設立した一風変わったクラブが乱立しています。クラブ・同好会は掛け持ち可能で、他校の生徒でも自由に参加出来るようになっています。

聖ミアトル女学園の制服

 ここまでで非常に非現実的な世界観だなあと思いますが、これらの学校は横浜の私立女子校御三家、横浜共立・横浜双葉・フェリスに似ているとの指摘があります。

聖スピカ女学院の制服

 3校は共に歴史あるミッション校で中高一貫の女子校で、港が見える丘に連なる山手地区にあり、校内に入れる男は親兄弟に限られる女の園で、高校での募集が無く、中学入試偏差値はこの3校が神奈川県のトップ3を占める難関校なのだそうです。横浜雙葉がミアトル(厳格な校則)、フェリスがル・リム(自由な校風)、横浜共立がスピカ(社会に出る女性)に近い校風だとか。

聖ル・リム女学校の制服

 ここまでで色々調べてたらとっても疲れたので、申し訳ありませんが私の好きなキャラなどは明日にさせていただきます。

とにかく押しに弱い渚砂


好きな声優さん(その10):國府田マリ子~超アイドルだったマリ姉

國府田マリ子

 いや寒い日が続きますね。天気が良かったのは午前中だけで後は寒々とした曇り空でした。昨日に懲りて傘を持って出かけたのですが、雨は降りませんでした。なんか残念。

 そういえばアクセスランキング、久々に二桁に入りました。日記ジャンル全体では384980人中375位、サブジャンルの会社員・OL部門では46310人中64位でした。これまでで2番目の高さですね。50位を越えられない辺りがこのブログの壁かも知れませんね。それにしても407アクセスというのは、アクセスの絶対量では過去最高でしょう。

 さて、日曜日は声優の日じゃないといいながら今日も声優さんです。本日はマリ姉こと國府田マリ子です。好きな声優もこれで10人目ですね。一応の区切りでしょうか。

犬好きのマリ姉

 國府田マリ子は、90年代中期にアイドル声優として非常に有名だった人で、今で言うところの水樹奈々みたいでした。実写映画「Looking For」で主役を務めたり、2クールに渡ってTV朝日のドラマ「せつない〜TOKYO HEART BREAK〜」に主役のDJ役で出演したり、「夕食ばんざい」に出演したという逸話はもはやレジェンド級ですね。そういえば椎名へきる(椎名林檎ではないですよ)という人も同時期に大いに売れていましたっけ。

主演映画Looking for

 そのマリ姉は、1969年9月5日生まれの現在43歳。1991年に声優デビューしてすぐに知名度が上がり、歌手活動やラジオパーソナリティなどで幅広く活躍するようになりました。2003年には自身のラジオ番組で結婚を発表し、ファンに大きなショックを与えたようです。そんなファンの嘆きが2004年に「2ちゃんねる」にアップされて評判になりました。通称「國府田マリ子コピペ」は、このようなものです。

93年のファーストアルバム「Kiss」

 國府田マリ子のおっかけをやって10余年が経過した。
 当時大学3年生だったオレはGS美神のおキヌちゃんをやってたマリ姉に出会い、
 即効でファンになった。元々合コンや女の子とは縁のない生活だったが、
 それからはマリ姉の為だけに生きてきたようなモンだ。
 毎日マリ姉の歌を聴き、毎週ラジオも聴き、もちろんハガキも出しまくって
 月3回必ず応援の手紙と詩を送った。イベントも全部行った。
 全国ツアーで一緒に全国制覇したのも二度や三度じゃない。
 ファンやって二年目、握手会で俺の名前を覚えてくれてた時には
 嬉しくて本気で涙が出た。人生で最高の喜びだと有頂天になって、帰り道一人で吼えてた。
 地元の役場の事務に就職した後も、それだけが楽しみで生きてきた。
 他の事は考えようとしなかった。結婚も、彼女も、友達も、そんなのは関係ない、いらないと思ってた。
 そして去年の9月。
 信じられないものを目にした。「國府田マリ子結婚!!」
 目を疑った。絶対ありえない、絶対ありえない。死んでもありえない。
 …なんであんな男が。ふざけんな。どこがいいんだ。
 マリ姉と釣り合わない、失礼だ。ふざけんな。ふざけんな。一週間仕事を休んだ。
 失意の内に半年が経った。もうラジオも聴いてない。会員番号2ケタ前半のファンクラブも辞めた。
 最近になってようやく、俺も自分の幸せを掴もう…そう思えるようになってきた。
 だけど俺には何も残ってなかった。20代という多感な時期に何もしなかったんだ。当たり前だ。
 マトモに他人と喋ったのはいつだっただろう。女の子とおしゃべりをしたのはいつだっただろう。
 恋について、結婚について、そして人生について最後に考えたのはいつだったんだろう。
 趣味も、特技も、人間性も、協調性も。何もありゃしない。
 残ったのはブサイクで汚い30代の中身スッカラカンな男。それだけ。
 こんなのが今更どうやって幸せ掴めってんだ。声優のおっかけは何も生み出さなかった。
 それに今まで気づかなかった俺は最高にバカだ。
 そして朝っぱらからこんなグチをネットでしかこぼせない俺は最高に惨めだ。
 是非俺を笑ってくれ。蔑んでくれ。そして自分の人生をもう一度考えるキッカケにしてくれ…

2005年のアルバム「ビタミンぱんちっ!」

 当たり前ですが、どんなアイドルも声優も、おそらくいずれかは結婚します。それ以前に恋愛だってするでしょう。彼女達は三次元の存在なので。ファンであるということは、彼女らの恋愛や結婚も受け入れることだとも思うのですが、恋心を抱くに至っていたらそういう訳にもいかないのでしょうね。過度にショックを受けたり狼狽したりしないためにも、アイドルや声優の熱狂的ファンを自認する人ほど、このコピペを心に留めておくべきでしょう。それにしても結婚した時期、マリ姉はもう33,4歳ですよ。ファンって凄いというか、恐いですねえ……

 それでは気を取り直して、私の知っている國府田マリ子のキャラです。例によって原則古い順です。

 おキヌ(GS美神)

おキヌちゃん

 300年前に15歳で死んだ村娘の地縛霊。山の噴火を鎮めるために捧げられた人柱ですが、成仏の仕方がわからず、日給30円という超薄給で美神令子の事務所の一員となりました。

可愛いおキヌちゃん

 通常巫女装束ですが、死装束として死亡時着ていたものだそうです。性格の悪い事務所メンバーの中では純粋で温厚かつ誠実な性格が際立っています。誰にでも心優しく世話好きで家事万能です。また、意外と芯は強く頑固なところがあり、自分が一度こうだと決めたら断固として譲らない面もあります。横島にはもったいない子ですが、ほのかな好意を寄せています。

23巻表紙

 漫画版は大長編で、その後生き返ったそうですが、アニメ版はそこまで行く前に終わってしまいました。視聴率は最高で18%を記録するなど悪くなかったようですが、決して低い水準ではなく、スポンサーの玩具メーカーの売り上げが伸び悩んだことで、結局当初の予定通り1年(全45話)で終了したそうです。日曜日楽しみに見てたんですが。

六道冥子

 なお、当初は、おキヌ役に西原久美子、六道冥子役に國府田マリ子がキャスティングされていたところ、ディレクターが猛反対して、役を入れ替えたそうです。

 桜木舞(同級生)

桜木舞

 以前(7月14日)紹介した「同級生」でも語っていますが、メインヒロインながらあまり人気の無かった不遇のヒロインです。

 身長はヒロイン黄金身長の158cm。3サイズは上から83/56/86。水泳部所属ですが、超お嬢様で各種の稽古事が忙しく、部には滅多に顔を出しません。学園のマドンナですが、本人はそう見られることが好きではありません。
プールサイドの舞

 人気は出ませんでしたが、私は好きでした。「高貴な女性」が好きなもので。不人気とはいいながらも、桜木舞の特徴である赤やピンク系のロングストレートの髪型(しかもなにかアクセサリーをあしらう)とか、才色兼備であるという部分は、その後のギャルゲーのキャラ設定に影響を与えたものと思われます。例えば「ときめきメモリアル」の藤崎詩織とか。

 そういう意味では、「超お嬢様」という要素がいけなかったのかも知れませんね。人気のあるメインヒロインとなった「同級生2」の鳴沢唯とか「下級生」の結城瑞穂からはその部分がオミットされており、お嬢様キャラは別に設定されていました。

舞のギリギリショット

 リアナとラーナ(ラングリッサーⅡ)

リアナ(左)とラーナ(右)

 昨日紹介したラングリッサーⅡに登場したメインヒロインで光の巫女リアナとその双子の姉で闇の巫女ラーナです。さすがに昨日の今日なので詳細はもう省略で。

 闇ルートを選択すると見みられるリアナの「洗脳」が面白いので挙げておきます。マリ姉は、リアナとラーナを演じた上で、リアナの洗脳前と洗脳後を演じ分けています。それにしても塩沢兼人の悪役は本当にはまってるなあ。

リアナ洗脳

http://www.youtube.com/watch?v=5EoCSGbmtiQ

 アン(みつめてナイト)

アンのエンドカード

 これも以前(6月9日)紹介した「みつめてナイト」で語っています。「みつめてナイト」での「私の嫁」第一位ですが、悲劇のヒロインというか、グッドエンドのはずなのにいきなりバッドエンドに変化するという

あ、ありのままに起こった事を今話すぜ!

「あ、ありのままに今起こった事を話すぜ!」といいたくなる不条理の極致です。

頬を染めるアン

 ゲーム終盤で知り合う謎の少女で、豪華客船のパーティで海に転落すれば夏に、そうでなければ秋に知り合います。主人公が何をしても謝ったり許したりと無抵抗な子ですが、それゆえに私はひどいことはできませんでした。

アンの告白

 歌を歌うことや水のある場所が大好きで、反面火を非常に怖がります。エンディングで初めてこの世のものではないことが判明しますが、正体がはっきりと言及されていないため、アンが何者であったのかと言う点については見解が分かれているようです(幽霊とか人魚とか残留思念とか女神とか)。

恋が成就したのに

 悲劇的であるせいか、専用エンディング曲「恋をすると」があり、もちろん歌っているのはマリ姉です。とっても良い曲なのでぜひ聞いてみて下さい。

むごい結末

http://www.youtube.com/watch?v=qhJzzWxvt9g

 なお、ゲームを制作したコナミが行なった「みつめてナイトキャラクター人気投票」においては1位を獲得したそうです。悲劇はハッピーエンドに勝る印象を与えるということでしょうか。

 水瀬名雪(Kanon)

水瀬名雪

 以前の堀江由衣の時(11月18日)にはこの作品の月宮あゆを紹介しましたが、マリ姉も出演していました。主人公の従姉妹で同学年の17歳です。身長は164cm、3サイズはB83/W57/H82。わりと背が高いですね。

雪の中の名雪

 片親で、母親の秋子(主人公の母の妹)によって女手一つで育てられてきました。この秋子は皆口裕子が演じています。この美声親子はたまりませんな~。

水瀬親子 右がお母さんの秋子さん

 マイペースでのんびり屋でおっとりした性格ですが、一途で芯の強い一面も併せ持っています。主人公とは同じクラスで席も隣同士。天才的な料理の腕を持つ秋子譲りの料理上手でもあります。かねがね主張しているところですが、それだけ条件が揃ってたらもうこの人でいいじゃないという感じですね。まあ従姉妹というのがネックですかね。法律的には問題ないですが。

ドリキャスのパッケージ表

 ゲームパッケージではメインヒロインの月宮あゆと並んで描かれているので、事実上ダブルヒロイン扱いでしょうか。

名雪フィギュア

 ルーヒー・ジストーン(這いよれ!ニャル子さん)

ルーヒー・ジストーン

 これはごく最近の登場作ですね。「這いよれ!ニャル子さん」も以前(7月31日)に紹介しています。本作の設定によればルーヒーはクトゥルー星人の一人ということになりますね。

背後がやばいルーヒー

 蛸の足のように別れた緑の長い髪が特徴です。ルルイエランドを運営する株式会社クトゥルーのゲーム開発部門担当で、押され気味な自社の起死回生を図り「エックスオス」(Xoth)の開発を指揮しています。これはXboxのパロなんでしょうね。主人公の母八坂頼子がゲームに詳しいということで意見を聞くために連れ去ったことでニャル子さんたちと抗争状態になります。

夜のルーヒー

 しかし頼子からダメ出しされたばかりか会社からも部門ごとリストラされてしまい、その後は通学路近くでたこ焼き屋の屋台を引いたりしていました。 登場当初はなりふり構わぬ行動が目立つ剣呑な人物でしたが、その後はクールで穏やかな大人の女性という雰囲気になっていました。

驚くルーヒー

 小遣い稼ぎのためか、ノーデンスとデパートのイベントに登場して変身ヒロインを演じたりしていたのはいいとして、終盤どういうわけか主人公達の学校に教育実習生として乗り込んできていました。クー子やハス太同様、ニャル子さんの「恋のライバル」となるのでしょうか。二期ではその辺をよろしくお願いしたいです。もし主人公の家に居候することになると、クトゥルーの四属性(風火地水)の首領クラスの邪神が一堂に会するという豪勢なことになります。

 ルーヒーは自虐ネタが入っていたような。こういうのもいいのですが、マリ姉にはいっそ思いっきりぶりぶりのアイドル役をやってもらいたいものです。もうひと花さかせましょうよ。

浴衣の國府田マリ子
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