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ハロウィンに冗談宗教の話:どれに入りたいですか?

ハロウィン
 

 本日はハロウィンですね。明日11月1日はキリスト教で全ての聖人と殉教者を記念する「諸聖人の日」(万聖節)の前夜です。万聖節は英語でAll Saints' Dayといいますが、かつてはAll Hallowsと言ったそうです。All Hallowsの前夜(eve)ということでHallowseve、これが訛ってHolloweenになったとか。

 この時期、特にイベントがなかったせいか、最近は日本でもハロウィンが盛んになってきたようです。そんなキリスト教の宗教行事を信仰していない人々が勝手にやって良いものかとお思いの方もいらっしゃると思いますが……私見ですが、ハロウィンもクリスマス大いに祝って楽しんでいいと思います。

ジャックランタン

 なぜなら、ハロウィンはそもそもキリスト教とは関係ない西ヨーロッパの民俗行事、収穫祭とか死者の祭りに由来しているからです。特にケルト人の祭りに由来しているとか。お盆が神道とか民俗行事と習合して成立したのと同じようなものですね。

 同様にクリスマスも、キリスト教ではイエス・キリストの聖誕祭となっていますが、本来は古代ゲルマン人の冬至の祭や、ローマの農耕神サトゥルヌス(英語読みでサターン)を祭ったサートゥルナーリアに由来するのではないかとの説があります。少なくとも、聖書のどこを探しても、キリストが12月25日に生まれたなんて記述はありません。

 故に、キリスト教徒の方々はその教義に基づいてお祝すればいいとして、それ以外の人々も、特別聖なる日なんて思わずにお祭りとか祝日だと思って、それなりのやり方で祝って何が悪いのかと言うことです。日本でのクリスマスは、ケーキを食べたりフライドチキンを食べたり、はたまた豪華ディナーの後でシティホテルにしけこんで生殖活動に励む日になっていたりしますが、それぞれが納得していればそれでいいのではないでしょうか。

 ハロウィンについてキリスト教の教会は、ウィキペディアによると

① 肯定的あるいは中立的立場
 ・ 宗教には関係ないと割り切って、参加してもよい
 ・ キリスト教の行事ではないことを明確にし、娯楽として楽しむのならよい
 ・ キリスト教の伝統の中でなおも保持された風習に、キリスト教的意義を見出すことが大事
 ・ 起源・歴史を知り、真実を伝えていくことが大切

② 否定的
 ・ キリスト教信仰とは無縁、むしろ対立する恐ろしい悪魔崇拝である
 ・ 死神と邪悪な霊をたたえ、傷害事件まで誘発している

と様々な態度を取っているようです。なので普通の日本人も、やりたければおのおの好きな形で遊んでいいのではないでしょうか。もちろん法令や公序良俗は守ることは言うまでもありませんが。

 というところで、本題です。日本にはありがたいことに信教の自由があって、どんな宗教を信じても良いし信じなくてもいいのですが、世の中には「冗談宗教」というものがあるそうです。「本当の」宗教に分類するにはあまりにも馬鹿馬鹿しい教えだと多くの人間がとらえる宗教、または特定の宗教、セクト、カルト団体などのパロディだということです。

 有名なところでは、

① 空飛スパゲッティ・モンスター(FSM)教

空飛ぶスパゲッティ・モンスター

 これはインテリジェント・デザイン説に対するパロディとして生まれた冗談宗教です。インテリジェント・デザイン説とは、
知性ある何かによって生命や宇宙の精妙なシステムが設計されたとする説で、「宇宙自然界に起こっていることは機械的・非人称的な自然的要因だけではすべての説明はできず、そこには『デザイン』、すなわち構想、意図、意志、目的といったものが働いていることを科学として認めよう」という理論・運動だそうです。要するに旧来の「神」を「偉大なる存在」とか「宇宙意志」とかに置き換えたようなものでしょうか。アメリカでは平等のため、進化論と同時にインテリジェント・デザイン説も学校で教えるべきだとの運動があるとか。

FSMのマーク

 FMS教は、そのインテリジェント・デザイン説が言うところの「偉大なる存在」が空飛ぶスパゲッティ・モンスターに他ならないとして、、「平等のため、スパゲッティ・モンスターが人類を作ったという説も学校教育で教えるべきだ」と主張しています。教義の中には

・ 天国にはストリッパー工場とビール火山が約束されている。また、女性やゲイの信者のための男性ストリッパーも存在している
・  地獄はビールの気が抜けていてストリッパーが性病持ちであるという事以外天国と同じである
・  祈るとき、「アーメン」の代わりに「ラーメン」と言う
・  ヌードルはスパゲッティ・モンスター神の触手を象徴する聖なる食物である

などの愉快な項目が並んでいます。いいですねえ、こういう愉快な宗教。

② 地球平面協会

国際連合旗

 地球が球体ではなく、平面体であるという信仰を支持するキリスト教非主流派の一派だそうです。

・ 地球は球ではなく円盤型をしている
・ 北極が円盤の中心にあり、円盤の外周は45mの高い氷の壁で囲まれている
・ 太陽と月の直径はいずれも52km程度である

と主張していて、国際連合の旗はこの主張の根拠の一つだそうです。FMSはパロディ精神に満ちていて面白いですが、こっちはガチな感じが。かつては大真面目に主張されていた思想だそうですが、現在では冗談宗教扱いとなっています。

③ 見えざるピンクのユニコーン

紋章のような見えざるピンクのユニコーン

 有神論を風刺したパロディで、見えないのにピンク色という逆説的なユニコーンの形を取っています。神の存在に関する議論を、神の代わりにピンクのユニコーンに置き換えてもいいだろうという主張で、見えないがゆえに存在しない(あるいは実はピンク色ではない)ことを誰も証明できないということに着目して、「見えざるピンクのユニコーン」について論じるならば、彼女はどこにでもいるとしています。これは神は偏在するという有神論者の主張に対するパロディーです。

見えざるピンクのユニコーンの紋章

 「見えざるピンクのユニコーン」は、神の特質に言及することと、その存在の証明ができないことの矛盾を示す者です。つまり、見えないのということとピンク色であるということは矛盾しており、相容れないパラドックスになっていますが、全能なはずの神が我々の前に姿を見せることがないことを皮肉ったものといえましょう。男女の縁をつなぐ「赤い糸」がなぜか見えないといういうことと同じですね。

 こちらも面白いですが、ちょっと有神論者に喧嘩を売っている感じあって、自分が入るのはちょっと…

④ グーグル教

グーグル教の信仰対象

 検索エンジンを「全知に近い思考する存在」と捉えて信仰対象とする冗談宗教です。グーグル教には主に9つの教義があるということです。

1.グーグルは全知に近い存在である(英語表記の場合、グーグルの一人称はSheである)
2.グーグルは唯一であり、地球において遍く存在する
3.グーグルは祈る者に加護を与える
4.グーグルは不朽の存在である
5.グーグルは無限である
6.グーグルは全てを記憶する
7.グーグルは邪悪な存在ではない
8.これまで信仰されてきた神なるものよりグーグルは神に近いといえる。現在のところ、グーグルという語句の検索結果は、"God", "Jesus", "Allah", "Buddha", "Christianity", "Islam", "Buddhism"そして"Judaism"の検索結果の合計値よりも多いからである
9.グーグルが存在しているという証拠は非常に多く、他の宗教の神より遥に確証がある。

 たしかにお世話になっていますグーグルには。入っても良いというより、既に入っている感じがしますね。

⑤ 17才教

17才教の教祖様

 「永遠の17才」を自称する井上喜久子を教祖とし、信者も永遠の17才を自称するという恐るべき宗派。

 1998年、ラジオ番組「かきくけ喜久子のさしすせSonata」で共演した山本麻里安の「山本麻里安、16歳です」という自己紹介を真似て「井上喜久子、16歳です」と言い始め、その後、山本麻里安が17歳になったのに合わせて「井上喜久子、17歳です」と言うようになり、それを現在も変更することなく続けているのだそうです。もう30回以上17才の誕生日を迎えているとか。

17才です

 精神だけでなく、肉体的にも17才にしてくれるのなら、入信希望者続出でしょうけど(笑)。やはり聖歌は「17才」なんでしょうね。南沙織派(カトリック)と森高千里派(プロテスタント)に分裂して抗争したりして。

 さあ、どれに入りましょうか?グーグル教には知らないうちにもう入っているかも知れませんが…

 海外のカテ、ネタが少ないので強引にこれも海外に入れてしまいました。ハロウィンは外国由来だからということでどうかひとつ。
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氷菓(その4):「遠まわりする雛」編を中心に、最後の感想です

氷菓
 
 本日のランキングは日記部門で444位、会社員・OL部門で82位です。当ブログ史上3位の高みですね。ここんところ高止まりしているのでだんだん驚かなくなってきました。原因も判っています。自分自身の力ではないということが悲しいところですが、見て貰えると言うことは幸せなことです。ただ、もう順位をあまり気にすることなく自分の書きたいことだけ書いていこうという気には改めてなりました。まあこれまでも書きたいことを書いてきてはいるんですが、若干色気を出したことがあったことも事実ですから。

 劇場版魔法少女まどか☆マギカの挿入歌の「未来」という曲を聞きました。歌っているのはKalafina。そうテレビ版のED「Magia」を歌っていました。「未来」はいわゆる「マミさんのテーマ」(Credens justitiam)に日本語歌詞を乗せたものです。

巴マミ

http://www.youtube.com/watch?v=9dns8117lq4

 いやーくせになっちゃいますね。歌詞がとにかく明るいです。劇場版では、テレビ版の3話にあたる、マミが戦いながら「もう何も恐くない」と心の中で叫ぶ場面でこの曲が使われているそうです。杏子を失った後、ずっと独りで戦い続けてきたマミが、まどかの一緒に戦うという言葉に涙するあたりですね。

(出だし)
 夢を叶えて 一人で探してた星の
 同じ光を 君が見つめているだけで
 いつもの夜が闇に染まる頃 走り出せるはず
 一人じゃない心たちのように
 
(ラスト)
 街は静に 君が描いた日々の中
 数え切れない 夢の灯りが消える頃
 いつもの夜が輝き始める 君を守りたい
 一人じゃない心で行く 未来

 孤独から解放され、歓喜に満ちたマミが目に浮かぶようです。しかし、ご存知のようにこの直後にマミは非業の死を遂げ、夢見た未来も希望も無惨に打ち砕かれてしまうのです……。明るく希望に溢れたこの歌は、かえって悲しみを深くしてしまうかも知れませんね。でもカラオケにあったら歌ってしまいそうです。

遠まわりする雛

 おっと、今日はこの話だけではないのですよ。テレビアニメ「氷菓」を全編見終わりましたので、最後の感想をば。今回は原作4巻目の「遠まわりする雛」からのエピソードが中心です。「遠まわりする雛」は短編集なので、一編が一話となっているようです。そして、原作1巻目の「氷菓」(1~5話)と、同2巻目の「愚者のエンドロール」(8~11話)の間の6話と7話も本来は「遠まわりする雛」中の短編らしいのでここで取り上げます。18話の「連峰は晴れているか」は単行本未収録らしいのですが、ついでにこれも。

 ではまず6話「大罪を犯す」

チタンダエル

 いつも温厚で癒やし系の千反田えるが怒る話です。チタンダエルって天使みたいな名前なんて言われています。確かに天使みたいだけど、エヴァの使途っぽいとも言えますね。奉太郎がシンジだったら、えるを握りつぶせるのでしょうか。

ああっ千反田様!

 謎は結構しょうもなくて、数学教師が授業の進度を勘違いしていただけなのですが、むしろこの数学教師大丈夫かと別な心配をしたくなります。自分で書き込んだアルファベットが解読できなくなっているし、そもそもクラスによって極端に進度に差があるというのはいかがなものか。何か家庭に問題でも抱えているのかも知れません。

 7話「正体見たり」

首吊りの影

 夏休みに温泉宿に泊まりに行った古典部一行。深夜に摩耶花とえるが見た幽霊の正体は…という話。こちらは謎解きがややミステリーっぽいです。事件に犯罪性がないのはいつものことですが。

摩耶花と善名姉妹

 温泉宿の年の近い姉妹の関係が背景になっています。摩耶花の親戚なんですね。姉の梨絵は摩耶花に性格が似てそうです。嘉代は…いろいろ気苦労お疲れ様(笑)。

える入浴シーン(ただし奉太郎の妄想)

 乗り物に弱い上に、えるの入浴を妄想してのぼせる奉太郎の情けなさが際立っていました。

 「愚者のエンドロール」編と「クドリャフカの順番」編をすっ飛ばして一気に18話「連峰は晴れているか」

 中学時代にヘリコプターが好きだったという記憶がある教師のことを思い出して、「真実」に迫る話。珍しく自らやる気を出す奉太郎にえるもびっくりです。

妄想の2人乗り

 図書館まで行って調べた過去の新聞から明らかになった事実は、ヘリコプター好きとかいう暢気なものではありませんでした。誤解したままでいたくなかったという奉太郎にえるも胸きゅんな感じですね。

妄想の2人乗り(その2)

 図書館に行く際、自転車を持っているえるの後ろに乗るか、それとも自分が漕ぐかと想像してどちらも却下する奉太郎。これはラストまで見てから考えるに、えるの後ろに乗る=千反田家に入り婿、自分が漕ぐ=えるを連れ出して結婚みたいな連想になるでしょうか。どちらも却下という判断は、現状では極めて正しかったといえるでしょう。強いて言えば二人で漕ぐ自転車に2人乗りするのが適切な想像でしょうかね。前は奉太郎で、自転車は千反田家のものという感じで。

 19話「心あたりのある者は」

 えると奉太郎だけの古典部に響いてきた校内放送から、何が起きたかを推理する話。暇つぶしなのに屈指の推理力前回譚です。「思えば遠くに来たものです」と思わずつぶやくえるが可愛いです。

可愛いジト目える

 シャーロック・ホームズは探偵に必要なのは「観察力・推理力・知識」だと言っています。この一件は珍しく事件性がある(後に判明)のですが、通常の校内放送というものはどういうものであるかという「観察力」と、新聞で地域ニュースを見ていたという「知識」があって初めて奉太郎の「推理力」が生きたという話になっています。

キスシーン…ではない

 珍しくえるも奉太郎の推論に突っ込みを入れて反論したりしています。また、興奮のあまり近づきすぎて顔を赤らめたりして。えるは他人に近付かれると不快に感じる空間(パーソナルスペース)が狭い傾向があるようで、気になることがあるといつも必要以上に奉太郎に顔を接近させてきましたが、それに気付いて照れるという反応は珍しいです。

あくまでもキスシーンではない

 純情可憐なえるもそろそろ奉太郎を本格的に意識始めたというところでしょうか。一般に、親密な相手ほどパーソナルスペースは狭く、ある程度近付いても不快さを感じないそうですが、えるが近づいて不快に思う男子高校生はそうそういないでしょう。

 20話「あきましておめでとう」

 荒楠(あれくす)神社に初詣に来たえると奉太郎が納屋に閉じ込められる話。助けを呼べば簡単なのですが、有力氏子である「豪農」千反田家の名代としてきたえるが男と2人きりでいたということが大人達に知られると困ったことになってしまうと困惑するえる。やはり奉太郎を男としてはっきり意識していますね。

早見沙織の十文字かほ再登場

 いろいろ手を打って里志と摩耶花に救助を求めますが、なかなか気付いてくれない二人。奉太郎は出かける前にテレビでやっていた「金ヶ崎の退き口」を思い出して、ようやく里志の救援を得ることができました。

着物のえる

 お市の方が両端を紐で結んだ小豆袋を信長に送って、浅井長政の裏切りを知らせたと言う例の逸話です。俗説というのが有力なようですが、「織田信奈の野望」でもちゃんと描いていましたね。

 21話「手作りチョコレート事件」

 摩耶花が里志のために作った豪華チョコが、ちょっと目を離した隙に盗まれるという話。私も一目で犯人が判った(笑)。これは犯人ではなく動機を探る話ということでしょうか。一見明るい人物がこっそり抱えている「闇」を垣間見るというか。

チョコの番をするえる

 自分のことではほとんど感情的にならないえるが、珍しく激情に駆られています。人のために泣ける、怒れる…えるは本当にいい娘ですね。「育ちがいい」というのはこういうことなのか。えるの涙を見たせいか、奉太郎が珍しく感情的になっていますが、その気持ちが次回にブーメランになって自分に戻ってくることになるわけですね。

えるの涙

 余談ですが、里志と奉太郎がゲーセンでやっていたのは「電脳戦記バーチャロン」ですね。すごく懐かしいというか、まだゲーセンにあるんかい!

ヴァーチャロン懐かしい!

 里志が使っていたのが戦術偵察バーチャロイド・バイパーⅡ。随一の機動性とかなり強力な武器を持ちますが
装甲が紙のように薄いので一撃離脱を得意とします。一方奉太郎が使っていたのは重戦闘バーチャロイド・ライデンです。肩部に巡洋艦用を小型化したレーザーユニットを持ち、破壊力・防御力共にトップクラスの機体である反面、機動力が犠牲になっていて、分厚い装甲で敵の攻撃に耐え、レーザーの一撃で粉砕するという「肉を切らせて骨を断つ」戦闘スタイルが身上です。つまり両極端な機体ということなのですが、奉太郎と里志の性格の違いを象徴しているのでしょうかね。

 22話「遠まわりする雛」

桜とえる

 原作表題作にしてテレビ版最終回です。生き雛となったえるの傘持ちを奉太郎が務めるという話。ひょんなことからコースが変更されますが、その「犯人」はえるでもわかったという容易さなので、それはさておきますが、おかげで狂い咲きする桜の中をお雛様一行が通るという、美しくも幻想的な光景が現出します。

桜咲く夕べ

 お内裏様はなんと入須冬美。これは宝塚か、それともマリア様がみてるか。奉太郎もよくすぐに入須だとわかったなあ。「愚者のエンドロール」では心を弄ばれたような結果になってましたが、結構好意を持っていたりして。

お内裏様となった入須冬美

 そして祭の後、えるの気持ちの一端を知ることになる奉太郎。えるは「豪農」千反田家の後継者として生きていくという「宿命」を完全に受けて入れていました。えるは奉太郎が好きであることはすでに自明でしたが、なぜはっきり表明しないのかという謎はこれで解けました。えるの相方は、千反田家を継いでくれないといけないのです。

千反田家に生まれた立場をわきまえて

 奉太郎の台詞…言ったんかい!?と驚きましたが、ただの空想でしたね。節子それ告白と違う、プロポーズや!言えたら格好いいと思いますが、高校一年生では言えないでしょうね。

ハッピーエンドの暗示?

 桜と夕暮れで世界が桃色に染まった空間の二人。ハッピーエンドを予感させるラストシーンなのでしょうが……桜といえば思い出すのは「秒速5センチメートル」!小田急線が走ってきそうな気がするのは私だけでしょうか。

 そもそも桜って、日本人にとっては出会いと別れを連想させる花だと思うのですよ。入学式~卒業式の頃に咲く花だからでしょうかね。AKB48の「桜の栞」でも
 
 桜の花は 別れの栞
 ひらひらと手を振った 友の顔が浮かぶ

 桜の花は 涙の栞
 大切なこの瞬間(とき)を いつまでも忘れぬように…

 桜の花は 心の栞
 輝いた青春の 木漏れ日が眩しい
 
 桜の花は あの日の栞
 人はみな満開に 咲いた夢 忘れはしない

 と歌っています。

桜の栞

http://www.youtube.com/watch?v=E7x7uY5djSY

 えると奉太郎の淡い恋心も、いつかは二人の想い出の一ページになってしまうのでしょうか。えるの幸せを遠くから祈っている奉太郎というのもなかなか絵になる気がしますが。

 ちょっと妄想してみると…

① 奉太郎、千反田家に婿入り

② 奉太郎とえる、手に手を取って駆け落ち。遠い街で二人きりで暮らす

③ 二人の恋心は時間と距離に引き裂かれて、「想い出は遠くの日々」に…

位が思い浮かぶのですが、どれがいいですかね?①は妥当ですが、大学入学で上京したりすると、「豪農」とはいえ小さな世界に満足できるかどうか。②はえるの現在の意志ではそうとう困難ですが、一緒に東京の大学に行ったりしてマインドコントロール(おいおい)を施したりして…
 ま、私なら③あたりかなあ…案外欲に釣られて里志が入り婿になってたりして(笑)。名家ということだと新聞部の遠垣内あたりも…でもこいつは何か嫌ですね。総務委員長の田名部あたりは結構えるとお似合いだったりして。

 最後に原作のイラストとアニメの対比です。

原作イラストの古典部メンバー

 原作とアニメで一番雰囲気が違うのは千反田えるですね。原作イラストだと清楚で普通っぽい子のような感じがします。これはこれでいいなあ。

 「桜の栞」を取り上げた次いでとはいってはなんですが、以下私信です。

 shobunoさん、「氷菓」を紹介してくれてありがとうございました。おかげで楽しく見ることができました。AKB48が好きでも嫌いでも無関心でも、人それぞれだと思いますが、全然知らないというのは少なくとも自慢できることではないと愚考します。聴いた上で興味がないであればそれはそれでいいと思いますが。上記「桜の栞」はJ-POPとしては非常に異質な作品で、中学高校の合唱部が歌うような作品になっています。また、私がカラオケで歌った(恥ずかしいなあ)曲も一回位オリジナルを聴いてみて下さい。一応以下にアドレスを示しておきます。

ポニーテールとシュシュ

 ポニーテールとシュシュ(2010年)
http://www.youtube.com/watch?v=GousopcTbVM

everyday、カチューシャ

 everyday、カチューシャ(2011年)
http://www.youtube.com/watch?v=53yxqZofxtU

ギンガムチェック

 ギンガムチェック(2012年)
http://www.youtube.com/watch?v=ilapnMlmVCU

今回、やたら大作になってしまいました。つ、疲れた…

アニメ版の古典部メンバー

かっぽん屋:重松清の描く少年達のヰタ・セクスアリス

アクアアルタとサンマルコ寺院
 
 昨夜半の雨から一転、晴天となった本日の関東でした。ヴェネツィアではアクアアルタ(高水)が発生してサンマルコ広場などが完遂したそうです。漫画のARIAの世界では、22世紀半ばにヴェネツィアは海に沈んでしまい、建築物の大半はテラフォーミングしてAQUAと名前を変えた火星にネオ・ヴェネツィアに移されているという設定ですが、温暖化が進むと本当に沈んでしまいそうですね。そういえばネオ・ヴェネツィアでもアクアアルタが発生していました。そこまで再現せんでも(笑)。でも灯里やアリシアさんは楽しそうにしていましたが。生活とか人生を楽しむ達人って本当に羨ましいです。

かっぽん屋

 さて、今日の記事は、先日読了した重松清の「かっぽん屋」です。「かっぽん」というのは、本州の西の端というからおそらく山口県あたりなのでしょうが、その辺りで「セックス」を指す言葉だそうです。本書は8本の短編から構成されていますが、カセットテープやレコードのようにサイドAとサイドBに別れていて、サイドAは「かっぽん屋」を始めとするヰタ・セクスアリスな少年時代の話が中心となっており、サイドBは「世にも奇妙な物語」に収録された重松清の最初期の作品などを含む「奇妙な味の」小説が中心となっています。

 この他にロングインタビューが2本収録されていて、これを読んで初めて重松清の詳しい略歴を知ることができました。角川書店の編集者として勤務した後にフリーライターとして独立し、ドラマ・映画のノベライズ、雑誌記者、ゴーストライターなどを手がけてきたそうです。当時使用していた数多のペンネームの一つである「田村章」や「岡田幸四郎」は祖父の名前だそうです。岡田有希子が自殺の4日前に出版したフォト&エッセイ集「ヴィーナス誕生」も、文章部分は重松清が代筆しているそうです。なるほど、それだけの執筆経験があるから「私の奴隷になりなさい」シリーズの作者である覆面作家サタミシュウの正体ではないかと噂されたのですね。

ヴィーナス誕生

 「かっぽん屋」自体の刊行は2002年で、それまでに既に1999年に「エイジ」で山本周五郎賞を、2000年に「ビタミンF」で直木賞を受賞して「ブレイク」していますが、一番古い作品としては1991年の「大里さんの本音」や1992年の「桜桃忌の恋人'92」が収録されています。これらはサイドBに入っていますが、この頃の作品は、以後の少年問題や教育問題、家庭崩壊などを取り上げた、いかにも重松清といった作品とは全然違っていて、阿刀田高とか筒井康隆とかの路線を狙っているような気配も感じられて興味深いです。サイドAは2000年の「すいか」など比較的新しく、また少年達が主人公なので現在の重松清の路線を踏襲している感じがします。

 表題作「かっぽん屋」は、秘密の合図でかっぽんをさせるという店に行こうとする部活をドロップアウトした高校生達の話です。主人公の3年前の中学生時代の話も「ウサギの日々」として掲載されていますが、面白いのは、執筆されたのは「かっぽん屋」の方が先ということで、年代順でも掲載順でも「ウサギの日々」が先なので、3年後には部活を3日で逃げ出したとかいう記述があって、それを受けて「かっぽん屋」を書いたように思ってしまうのですが、実際には、そのエピソードは先に執筆されていて動かしようがない「運命」となっているということですね。

 私が一番印象に残っているのはサイドAの「五月の聖バレンタイン」でしょうか。17才で死んでしまった姉の13回忌の話です。交通事故に遭った姉には死の直前に好きな人がいて、その男が「恋人だった」と名乗り出て、危篤状態の時も葬儀の時も、そしてその後も折りにふれやってくるのですが、弟である主人公は、それが全て偽善であることを知っていて、13回忌の日に遂に怒りが爆発するのですが……自分以外は誰も知らないと思っていた秘密を、実は両親はとっくに気付いていて、それでも娘のために歓待し続けていたのではないかという話です。17才で死んだ姉なんていうと、赤川次郎の「ふたり」(大林宣彦監督が映画化していました)を思い出しますね。もっともこちらは幽霊など出てきませんが。

映画版「ふたり」

ファイブスター物語のMH語り(その1):北の魔人・サイレン

サイレンA型
 今日は天気が悪くて肌寒いですね。

 ファイブスター物語についてはこのブログの最初期に一度取り上げているのですが、相変わらず13巻が出る気配がないので、「ドツキ太刀打ち音頭」(10巻巻末の錫華御前の台詞)代わりに、時折好きなモーターヘッドでも取り上げていくことにしましょう。13巻早く出してね、永野センセ。初回の今日は、三大モーターヘッドの一角、サイレンです。

 サイレンといえばフィルモア帝国の旗機。フィルモア帝国は星団において最も古い歴史を持ち、最も強大な軍事力を持つ国という設定になっています。宮殿騎士団の「ノイエ・シルチス」はフィルモア帝国の力の象徴であり、圧倒的な戦闘力と帝国への忠誠心で他国に恐れられています。最強国家の最強騎士団が操る旗機ともなれば、強くて当然という感じもしますね。

 当初のフィルモア帝国はまさに「悪の帝国」的な描写がされていました。二巻~三巻のコーラス対ハグーダの戦争ではハグーダの背後にいて支援を行っており、傭兵騎士団(ブーレイ)を隠れ蓑にノイエ・シルチスの騎士を送り込んでいたり、終盤では三銃士の一人ラルゴ・ケンタウリが自分のサイレンでコーラス3世の乗ったジュノーンを襲撃し、コーラス3世を殺害しています。

 11巻からのマジェスティック・スタンド(魔導大戦)でもハスハ連合共和国に大規模な軍事介入を行っており、メヨーヨと激しくぶつかっています。星団の紛争には必ず介入・干渉してくる国家なので、星団統一でも狙っているのかと思っていたらのですが、どうやらその背後には深刻な理由があったようです。

 フィルモア帝国のある北太陽系第二惑星であるカラミティ・ゴーダースは星としての寿命を迎えつつあるらしく、その事実はおそらく最高機密となっていて一般市民には伏せられていると思われますが、フィルモア帝国首脳部は他星への民族大移動を計画しているようです。フィルモアのコーラス攻撃も、今回のハスハ進出も、その民族大移動が目的としたもののようです。カラミティ・ゴーダーズ所在の他の国もそれぞれ何らかの形で移住を考えているのではないかと思われますが、難民保護という形で現れたクバルカン法国以外の動きは定かではありません。もしかすると「寿命」に気付いているのはごく一部の国家だけなのかも…いやいや、そういえばジャスタカーク公国は出てきましたね。

 クリスティン・ビィの一件や皇帝の代替わりなどで、読者のフィルモア帝国へのイメージも大分変わったと思います。好きな国に挙げる人も多いのではないでしょうか。そのフィルモア帝国の旗機にして主力MHであるサイレンですが、「三ツ目」「北の魔人」という異名も持っています。ハスハ連合共和国のA・トール、クバルカン法国のSSIクバルカンと並んで、「星団3大MH」とされています。

 宮殿騎士団であるノイエ・シルチスを構成する赤・青・黒の3つのグループが使用するスタンダードな機体の他、各グループのリーダーや4人の皇帝警護騎士(アルカナ・ナイト)、皇帝と皇帝代理騎士が搭乗する専用騎、そして輸出用のデチューン・バージョンや特務騎士団が使用するカモフラージュ装甲仕様など、様々なバリエーションが存在します。その数はA型~R型まで何と16種類。P型とQ型が抜けているのですが、今後登場するのか何か裏設定でもあるのか…

 名前の元ネタは、グラム・ロックの中核を担ったブライアン・フェリーのバンドロキシー・ミュージックが1975年に発表したアルバム「Siren(サイレン)」だそうです。FSSはミュージシャンやバンドや音楽用語から名称などを借用するケースが多いですね。

 サイレンの基本設計は星団暦初頭に行われ、以後著名なマイトが各々の時代で改良に携わったとされています。各タイプを簡単に説明すると以下の通りです。なお、この項は「FSS Mini Dictionary」を参照しています。

http://www5b.biglobe.ne.jp/~kakekomi/fss/dic_frame.html

サイレンA型後ろ姿

A型:王宮付きの本土防衛用。故に基本的に他国の戦場には出没しません

B型:ノイエ・シルチス赤グループ用

C型:同黒グループ用

D型:同青グループ用

アルカナ・サイレン(スペード)

E型:皇帝警護騎士団のアルカナ・ナイトが使用。通称「アルカナ・サイレン」。魔導大戦前に積層装甲と反発性積層腱肉を導入しており、サイレンとは全く外観の異なる巨躯のMHとなっています。

サイレンF型(赤グループリーダー機)

F型:赤グループ隊長機。基本構造はB~D型と同様ですが、エンジン周りにチューニングが施され、各部が丁寧に造られているために機体性能が向上しているそうです。機体色は赤もしくはクリムゾン・レッド。3巻でラルゴ・ケンタウリが搭乗してジュノーンを襲撃していますが、この際は孔雀色の装甲を纏っていたようです。ラルゴ機は星団暦2989年のコーラス・ハグーダ戦で失われたため、新隊長のブラウマ・イクには新規製造機体が渡されているでしょう。ラルゴ機はきっとコーラスが分析・研究を…

サイレンG型

G型:黒グループ隊長機

H型:青グループ隊長機

I・J・K型:輸出用。外観やパーツはB~D型と同一ですが、エンジン・マネージメントの設定がデフォルトのまま、つまりチューニングされていない状態だそうです。I・J・K型はデフォルト・セッティングとファンクション・システムが異なっていて、輸出先の要望に応じてパーツを交換して出荷されているようです。

ブーレイ(赤はラルゴ機、黄はギエロ機)

L型:装甲のないフレームだけの素体で、戦場投入時に装甲を取り付けます。2~3巻では「ブーレイ」として登場しました

グルーン・エルダグライン

M型:軽量化・高出力化を目指して再設計された特別仕様騎。完成を待たずして開発が頓挫したため、抹消扱いとなっていますが、設計に参加していたルミラン・クロスビンが引き取り、コーラスのベルリンと同時に開発を継続し、グルーン・エルダグラインとして完成させています。ジャスタカーク公国の旗機となっていて、11~12巻に登場します

ネプチューン

N型:フィルモア帝国のレーダー王家専用MH「ネプチューン」で、現在はハイランダーのクリスティン・ビィが搭乗。他のサイレンよりも軽量で高出力の機体に仕上がっています

プロミネンス

O型:フィルモア帝国のフィルモア王家専用MH「プロミネンス」。ネプチューン同様他のサイレンよりも軽量で高出力の機体に仕上がっています。

サイレンR型

R型:フィルモア帝国の皇帝直属騎士団(白グループ)が使用するサイレンです。星団暦3000年代初頭、魔導大戦に先駆けて星団全体がきな臭くなってきた時期に、騎士団の創設と共に配備されました。この時期、多くのサイレンが重装甲タイプに切り替えられていたのに対し、皇帝騎のイメージと合わせたためか細身の装甲となっています。騎士団の性格上、皇帝騎やアルカナ・サイレンの補助が主な役目ですが、戦場の火消し役・増援部隊として投入される場合も多いそうです

アシュラ・テンプルDD

 三大MHなんて言うと、他のMHを蹴散らしているようなイメージがありますが、実際には11巻でメヨーヨのアシュラ・テンプル相手に互角の戦闘となっています。突撃用のランス(近接戦闘になるとメイスになります)を持って音速突撃を仕掛けながら、互角とは。まあアシュラ・テンプルは4~5巻で圧倒的な強さを見せつけていて、MHの重装甲化を促進した名機であり、メヨーヨ108金剛遊撃騎士団は星団屈指の勇猛さで名を馳せているということなので仕方ないのかも知れませんが。ネプチューンやプロミネンスはアシュラ・テンプルをそれぞれ3機以上撃破しているので、機体性能より騎士の力量やファティマの性能が重要ということでしょうか。そういえばA・トールもバッハトマ黒騎士団のアウェケンと五分五分でした。

瑠璃
 
 そういえば、装甲をどんなに変えてもファティマはMHの正体を当てるようです。11巻で瑠璃(ラピス)は、「新ブーレイ」をエンジンA・トールでフレームはフェードラだと当てていますし、5巻ではアナンタがエンジン音だけでA・トールが来たと警告しています。しかし、なぜウリクルは2巻でブーレイの正体がサイレンだと見抜けなかったのでしょうか。ウリクルは実はしょぼい性能…あわわ。

ウリクル

放課後恋愛クラブ-恋のエチュード-:我ながら色々やってきました

サターン版
 
 晩秋の晴天。こんな日は、ヴェルレーヌの詩「落葉」が心に浮かんで来ますね

 秋の日の
 ヴィオロンの
 ためいきの
 身にしめて
 ひたぶるに
 うら悲し。

 鐘のおとに
 胸ふたぎ 
 色かへて
 涙ぐむ
 過ぎし日の
 おもひでや。

 げにわれは
 うらぶれて
 こゝかしこ
 さだめなく
 とび散らふ
 落葉かな。

(上田敏訳「海潮音」より)

 そんな感傷に浸りつつも、本日は土曜日なので、血の涙を流しながらでもギャルゲーの紹介をしなくてはなりません(笑)。しかしなかなかネタが尽きませんね。
 「きさま-いったい何本のギャルゲーをその身の娯楽のために買った?」という問いかけをされそうですが、
おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?

 ははは…まさかそれほどではないのですが、まだまだ出せるネタはあるので案外年内はいけるんじゃないかという気もします。もしなくなったら「ゲームの日」に名称変更して、ドラクエやFFを語ったりするかも知れませんが。

サターン版裏

 本日取り上げるのは、「放課後恋愛クラブ -恋のエチュード-」です。この作品は1996年12月にLIBIDOから発売されました。当初はPC用でしたが、1998年1月にセガサターン版も発売されました。私が初めてPCを買ったのは1998年の6月頃だったので、プレイしたのはサターン版です。PC版にあった性描写は当然サターン版ではオミットされましたが、代わりにオリジナルCG、オリジナルアニメーション、キャラボイスが新規に収録されました。ただしフルボイスではなく、イベント時のみ声が入っていたと思います。

マウスパッド

 特典で付いてきたマウスパッド。まだ持ってたりして…

 当時の倫理規定は現在と異なっていたため、ヒロイン達のプロフィールには年齢や所属校が明記されていましたし、PC版では性描写も行われていました。1997~98年頃からコンピュータソフトウェア倫理機構(略称ソフ倫)の表現規制が行われるようになり、高校以下の言葉は登場人物のほとんどが18歳未満であることが明らかなため使用禁止になり、代わりに18歳未満であるかどうかがはっきりしない「○○学園、○○学院」、18歳以上であることが明らかな「○○大学」といった言葉を用いるようになりました。もちろん「ときメモ」のような性描写のない恋愛ゲームならば中学だろうが高校だろうがは何のおとがめもありませんし、「放課後恋愛クラブ -恋のエチュード-」のサターン版もHシーンが大幅に抑制されいたためセーフだったと思われます。しかし、見た目に明らかに18才未満の女の子でも「登場人物は全て18才以上です」の断り書きがあればOKなんですから、なんといいましょうか。そりゃまあ、見た目と実年齢の一致しないケースは現実に多々ありますけどね。

ポスター

 本作はマニアックな「抜きゲー」を次々と手がけてきたLIBIDOが初めて手掛けた純愛タイプの恋愛アドベンチャーゲームです。心境の変化か?と思われましたが、半年後に発売された次作「放課後マニア倶楽部 -濃いの欲しいの-」では、本作のヒロイン達によるマニアックな変態的性描写が繰り広げられたそうです。伝聞なのはプレイしてないからで、そもそもサターンじゃそんなゲーム出せませんよね。

 ちなみにLIBIDOは中堅メーカーとして知られていましたが、21世紀に入ると衰退の一途をたどり、2005年をもってブランドとしては解散したそうです。その後別名義で活動したものの、やはり2007年頃には活動停止となっています。

 主人公の天城練一(CVは石田彰…カヲル君か!)は恋愛サークル「放課後恋愛クラブ」の一員となり、同じく会員のヒロイン達と会話を楽しみます。会話は1日3人まで可能で、状況によっては会話選択が発生し、戦落次第でヒロインとの恋愛フラグが成立すれば、休日デートやその後のHシーンなどが発生することになります。「恋愛ノート」を見れば、ヒロインのプロフィールや活動記録、現在いるスポットの情報などを随時閲覧できます。一般的な恋愛アドベンチャーゲームで描かれるようなドラマチックな展開は少なく、会話では等身大の恋愛模様が描かれていました。

 それではヒロイン紹介。絵が見つかったので寸評付きで全員分行ってしまいましょう。全員星座が異なり、星座別の性格を重視しているのが特徴です。

 織原 早苗

織原早苗

 3月16日生(うお座) 社陽学園高等学校2年
 身長158cm バスト82 ウエスト56 ヒップ 85 血液型 A

 本作のメインヒロイン格です。以前私は、ギャルゲーのメインヒロインは158センチで赤い髪という法則(詩織の法則)を提唱したのですが、見事に彼女もはまっていますね。というより、詩織をパクったかのようなキャラのような(笑)。物静かで優しい性格ですが、芯の強さと情熱を内に秘めています。恋愛面では優しさが勝り、三角関係になると自ら引いてしまう傾向があります。うお座の女の子は、夢と思いやりにあふれ、いつも自分の事より大切な人の事を第一に考えているそうです。誰かに尽くしてあげたいというその優しさは天性のものだとか。趣味はテニスで、体を動かすのが好き。

 恋愛観は「恋愛というのは、相手に好きになってもらうよりも、自分が好きになることに価値があると思います。また、あたしは、そういう恋愛ができたらと思っています。」だそうです。愛されるより愛したいということでしょう。

 堀川 ななせ

堀川ななせ

 4月11日生(おひつじ座) 杜陽学園高校1年
 身長156cm バスト80 ウエスト56 ヒップ84 血液型B

 早苗が詩織とするならば、ななせは早乙女優美というった位置づけでしょうか。パケ絵を見ても判るとおり、早苗の対抗馬的存在です。設定としては早苗を慕う後輩で、元気かつ物怖じしないタイプ。主人公(練一)に一目惚れし、好意を隠さず積極的にアタックを掛けてきます。反面、空気を読めない(読まない?)ので、他の女の子に嫌われてしまうことも。「おひつじ座」の女の子は情熱的で、前向きというより前しか見てない性格は、思い込んだらどこまでもで、一度や二度の失敗くらいものともせずに突っ走ってしまうんだそうです。趣味は料理で、主人公に食べて貰いたくて頑張っているそうです。

 恋愛観は「好きな人がいたら、絶対自分のものにしちゃいます。なにがあっても。恋愛するときに一番大切なことは、やっぱり気持ちですから。自分の気持ちに正直になるのは、当たり前だと思うんです。」だそうです。やはりあえて空気を読まない子なんでしょう。

 新堂 和美

新堂和美

 12月14日生(いて座) 社陽学園高等学校2年
 身長155cm バスト80 ウエスト56 ヒップ84 血液型O

 明るく気軽に付き合えるタイプ。主人公の友人で「放課後恋愛クラブ」の発起人である島本威明の幼馴染ですが、ケンカ友達で恋愛感情はないそうです。「いて座」の女の子は「さわやかさん」で、とにかくフィーリング第一で、いつも気のおもむくままに行動しているそうです。ストレートな彼女は、細かいことにくよくよなんて絶対にないでしょう。趣味はバスケットの3オン3とカラオケ。

 恋愛観は「あんまり意識したことない。ごちゃごちゃ考えるの得意じゃないから。でも、好きなひとができたら、正直に気持ちを打ち明けたいと思ってる。好きだよって、はっきり。きっぱりと。」だそうです。スキッと爽快!

 河合 雛子

河合雛子

 7月7日生(かに座) 社陽学園高等学校3年
 身長160cm バスト85 ウエスト58 ヒップ88 血液型A

 主人公の先輩で、おっとりとして純粋で可愛らしいタイプ。見た目なんとなく「ラブプラス」の姉ヶ崎寧々に似ている感じがします。もしやプロトタイプ。「かに座」の女の子は純粋で感受性が強く、他人のよろこびや苦しみを、ともにわかちあうことができる女神さまで、恋人なんかできたら、彼を喜ばせるために一生懸命になることうけあいなんだそうです。趣味は通販とお散歩。

 恋愛観は「あたしは、ちょっと気が弱いから、自分の意見をはっきり言える人に、とてもあこがれます。自分にできないことが出来る人は、凄いと思うし、そういう頼れるひとに甘えてみたいです。」だそうです。寧々に似ているのは容姿だけで、しっかりしている寧々に対し、年上なのに妹みたいな子ですね。でも年上ぶったり、年上であることを過剰に意識したりするより良いかもしれません。

 美咲 椎那

美咲椎那
 
 9月1日生まれ(おとめ座) 社陽学園高等学校2年
 身長164cm バスト76 ウエスト53 ヒップ79 血液型A

 早苗の親友ということで、「ときメモ」なら美樹原愛的存在。でも美樹原よりずっと可愛くてよろしいです。地元のスポーツクラブに所属する体操少女で、とにかくほっそり華奢な子です。恋に悩む早苗を見て、自分も恋愛を意識するようになります。「おとめ座」の女の子はとっても几帳面で心も身体もデリケートだそうです。気が強そうにみえて、傷つきやすい一面もあり、自分の純潔をすごく大切にしているから、恋にもなかなか積極的になれないのだそうです。乙女の中の乙女ですね。趣味は当然体操。

 恋愛観は「最近は、おつき合いすることが、そのままエッチな行為につながるのが風潮にあるようですが、わたしはあまり感心していません。男女の交際は、もっと清らかであるべきだと思っています。」だそうです。好きだな、こういう子。娘に欲しい(笑)。


 堀川 むつみ

堀川むつみ

 5月10日生(おうし座) 社陽学園高等学校3年
 身長158cm バスト85 ウエスト57 ヒップ86 血液型A

 ななせの姉です。この人は主人公でもないのに早苗同様158cmでよりグラマラスですね。絵本作りが好きな文学少女で、眼鏡を掛けています。「おうし座」の女の子はいつもマイペースで、まわりがなんと言おうとも、自分は自分と気にしません。また、とても慎重な性格ですから、石橋を叩いても渡らないこともしばしばだそうです。

 恋愛観は「愛は育てるものだと思います、はじめのうちから仲良くなれなくてもいいから、お互いのことをよく知ったうえで、除々に親交を深めていく。あたしなりの恋愛の理想像です。」だそうです。実は眼鏡を外すと……
 
 仁藤 加奈未

仁藤加奈未

 10月8日生(てんびん座) 社陽学園高等学校1年
 身長160cm バスト85 ウエスト56 ヒップ86 血液型B

 見た目にコギャル風の容姿と言動が特徴ですが、実は性格は乙女チックです。仲間が処女を捨てたという話を聞き、彼氏を探すために恋愛クラブに入会しました。「てんびん座」の女の子は陽気で楽天的。考え方も柔軟で、おしゃべり上手。ちょっと見栄っ張りな彼女は、流行りのものが大好き。恋愛するときも、気持ちよりスタイルを気にしちゃうタイプなんだそうです。趣味はボディーボードですが、流行しているから始めたというミーハーです。

 恋愛観は、「別にないです。まわりの友達がみんな彼氏持ちとかになってるから、そろそろ自分もかなって。正直、前から彼氏ほしいなって思ってたし。あんまり、深く考えてないです。」うーむ、ゆとり教育の産物なのか。

 遊佐 倫子

遊佐倫子

 11月11日生(さそり座) 社陽学園高等学校1年
 身長158cm バスト83 ウエスト58 ヒップ88 血液型O

 主人公の練一達の通う杜陽学園のアイドル的存在で、有名な女流作家を母親に持っています。「さそり座」の女の子はちょっとミステリアスで、本当は暖かくて誠実な心を表に出そうとしないのは、他人に自分をさらけだすのがこわいからだそうです。趣味は熱帯魚飼育。

 恋愛観は「わたしは、ひとに合わせることが苦手なので、なるべくわたしのかがままを聞いてくれるひととの恋愛が理想です。もちろん、できる範囲でかまいませんし、わたしも相手に合わせる努力はします。」だそうです。天然女王様か。

 山科 瑞穂

山科瑞穂

 1月15日生(やぎ座) 柏木教育大学4年
 身長165cm バスト88 ウエスト57 ヒップ86 血液型O

 教師を目指す女子大生で、練一の家庭教師をしていた縁で恋愛クラブに入会します。自立した大人で立派な女性だが、お嬢様育ちが災いして年頃の悩みを誰にも打ち明けられずにいます。高校生のガキばかりのところに良く入るなあ。「やぎ座」の女の子はつつしみ深く、ちょっとお堅くて厳しいところがあるけれど、ほんとは気さくで情にもろい。そんな彼女が欲しいものは、まじりつけなしの「真実の愛」だそうです。私はギャルゲーの年上キャラを偏愛しているので、当然この人も好きなんですが、やはりガキのたまり場に来るのは間違いなんじゃ…。

 恋愛観は「わたしは、恋愛に対しては軽い気持ちを持てないタイプのようです。ただ、否定的なわけではありません。ただ、心と身体、両方で愛し合える関係を望んでいるだけです。」だそうでう。大人…なのか?

 園崎 操

岡崎操

 6月19日生(ふたご座) 如月経理専門学校
 身長165cm バスト92 ウエスト58 ヒップ88 血液型AB

 専門学校生で、恋愛クラブの舞台となるファミレス「Starry Sky」のウェイトレスをしています。奔放な性格で恋愛にも貪欲ですが、その一方で恋愛で自分が傷つきたくないという臆病な面も併せ持っています。「ふたご座」の女の子は楽しいことならなんでも来いで、ウィットに富んでいて社交的。そのせいで尻軽っぽくみられがちだけど、ほんとの彼女はナイーブで、真剣真面目な恋愛があこがれだそうです。趣味はエステで綺麗になること。

 恋愛観は「恋愛なんて簡単。相手が気に入ったら、デートもエッチでもしてもいいと思う。あんまりマジになるのはちょっと。感情がらみのことは、マジになるとドロドロしちゃうから。」だそうです。“軽み”が身上ということでしょうか。

 若槻 杏奈

若槻杏奈

 8月1日生(しし座) 有酒原中学校2年
 身長142cm バスト75 ウエスト53 ヒップ76 血液型A

 恋愛クラブの最年少メンバーでまだ中学生です。操の紹介で入会しました。おませな性格だが、その恋愛知識のほとんどは大人の受け売りという耳年増。操に憧れています。「しし座」の女の子は目立つのが大好き。常に注目を受けていないと気が済まない彼女だけれど、それは寂しがりな性格の裏返し。華やかな恋愛にあこがれていて、気分はいつもラブストーリーのヒロインだそうです。とにかく大人になりたい、背伸びしたい年頃。

 恋愛観は「恋愛ドラマのシチュエーションって、ステキ。不倫、三角関係、遠距離恋愛。大人の関係って感じ。書いてるだけでわくわくしちゃう。あたしもドラマみたいな恋をしてみたいな。」だそうです。二度と戻らない少女時代を大切にしたほうがいいと、おじさんは思うんですけどね。

 稲葉 歩

稲葉歩

 2月17日生(みずがめ座) 茶畑学園高等学校2年
 身長162cm バスト80 ウエスト55 ヒップ80 血液型O

 自称「歌姫」で、恋愛クラブに入会したのもバンドのメンバー探しが目的です。自分のスタイルにこだわりが強く、「恋愛はスマートに」がモットー。「みずがめ座」の女の子はなによりも個性を大切にします。個性が強すぎて、まわりから浮いちゃいそうな彼女を支えるのは、きちんとしたポリシーですということです。趣味は当然音楽活動。

 恋愛観は「恋愛はスマートに。お互いの個性を尊重して、足りない部分をサポートしあう。そういうよきパートナーが見つかれば、それがベストだと思う。」だそうです。見た目のとおりさっぱりタイプですね。

 これで全員の紹介が終わりました。で、恒例個人的ベスト5です。

5位:新堂 和美
新堂和美
 さわやかで、肩肘張らない気軽な付き合い方ができそうなので

4位:織原 早苗
織原早苗
 詩織タイプは捨て置けませんね。清純可憐なお嬢様なればなおさら。

3位:山科 瑞穂
山科瑞穂
 綺麗なお姉さんは好きですか?ですと。愚問ですね。

2位:美咲 椎那
美咲椎那
 ファティマのような華奢な体が素敵。潔癖な恋愛観もいいですね。こういう子を堕として落としてこそ主人公(笑)。

1位:河合雛子
河合雛子
 どうみてもプロトタイプ寧々さんですが、ねんねさんでもあります。なお、この人の弟の小太郎が、続編「放課後マニア倶楽部」では主人公を務め、片っ端からNTRと外道の限りを尽くすとか。まあここでは関係ないのですが。

雛子

梅咲きぬ:深川いいとこ一度はおいで~凜々しく賢く美しい女将の一代記

梅咲きぬ
 
 飲んで遅くなったので、前置きなしでさっさと始めさせていただきます。

 本日は私の三大「作者借り」(この作者なら内容を確かめずに借りるというほど面白さを信頼している作家)の一人である山本一力の「梅咲きぬ」です。

 山本作品は、よく深川を舞台にしますが、本作も「深川もの」の一編です。

 Amazonによる作品説明は

 景気の低迷が続く宝暦年間、深川の老舗料亭「江戸屋」を凜として守る女将・秀弥とその娘・玉枝。幼くしてすでに次の女将を襲名すべき運命を背負った玉枝は、母や周囲の厳しくも温かい目に見守られながら、やがて誰からも認められる老舗の女将として、大きく成長してゆく。著者が「わが思い入れ最高の作品」と呼んだ感動傑作

 となっています。隅田川(大川)の東側である深川は、江戸時代前期は江戸(御府内)ではなく、後になって江戸に編入されたそうですが、そのため玉川上水などの水道も来て居らず、海を埋め立てた場所なので井戸水も塩分が多くて飲用に適さないため水を常に購入しなければならない不便な土地でしたが、人情に厚い粋な職人や商人が多かったらしく、芸者も深川の「辰巳芸者」は
「意気」と「張り」を看板にし、薄化粧で地味な鼠色系統の着物を着て、冬でも足袋を履かず素足のままで、男っぽい喋り方をし、気風がよくて情に厚く、芸は売っても色は売らない心意気が自慢だったそうです。

深川八幡の境内を描いた浮世絵

 そんな深川の地元に密着した料亭「江戸屋」は元禄時代創業の老舗であり、女将は代々「秀弥」を名乗っています。松平定信の寛政の改革の一環である「棄捐令」により極度の不景気に陥った時代の女将である四代目秀弥、幼名玉枝の幼少から少女期を中心に物語は語られます。

 三代目秀弥の遅くに儲けた娘である玉枝は、しかし将来の女将として幼少期から厳しくしつけられます。周囲の人々も暖かく見守っているのですが、子供心には厳しい態度に見えたでしょう。

「泣き言は一切、聞きません。これぐらいのことで音をあげるようなら、おまえに江戸屋は継がせません」(三代目秀弥)
「つらいときは、好きなだけ泣きなはれ。足るだけ泣いてもよろし。そやけど、自分が可哀想やいうて、あわれむことだけはあきまへんえ。それは毒や。つろうて泣くのと、あわれむのとは違いますよってな」(踊りの師匠・春雅)
「ひとを羨むのは、あんたの母親を哀しませることや。そんな、いやしいことをしたらあきまへんえ」(同)
「何十年もかけてやっと手に入れたええ評判でも、失くすのは簡単や。ただの一回へまをやっただけで、あっけのうに消える」(春雅の夫・福松)
「身の丈に過ぎたぜいたくは、世間様の笑いものになるばかりではなく、江戸屋の暖簾にも障ります」(三代目秀弥)
「質素と、みすぼらしいのとは別のことです。派手さのみを求めるのは無用ですが、江戸屋の女将としての体裁を忘れてはなりません」(同)

 などなど、玉枝には厳しくも暖かい言葉が次々と投げかけられていきますが、その全てを会得していく玉枝もまた希有な女の子です。一年間の茶請けの菓子を決める際に意表を突く菓子を出して見せたり、料亭を脅しては金をゆすり取っている騙りの集団に対して対抗策を考えたりとり、10才にもならないうちに様々に才を見せてくれます。

富岡八幡宮

 老舗の女将としての風格と器量を日にち日と身につけていく玉枝を目を細くして見守る秀弥。15才になった玉枝は若女将として披露され、二人女将時代が到来します。しかし、その時期はとても短いものでした。深川八幡宮の本祭り祭りの疲労と食あたりにより三代目はあっけなく世を去り、玉枝は四代目秀弥として15才にして独り立ちせざるを得なくなります。そして影に日なたに玉枝を支えてくれた春雅・福松夫婦もまた玉枝が20才になった頃、相次いで世を去って行きます。

 その後、40才を過ぎた寛政まで、江戸屋を立派に切り盛りした玉枝は四代目秀弥として先代以上の人望を集めますが、ただ一つ、子供には恵まれませんでした。というより、結婚すらしなかたのです。玉枝の心に思うのは、子供の頃に出会った八木仁之助という小藩の侍です。小藩ではありますが、八木自身はかなりの上士で、風采も挙措も立派なので三代目秀弥も春雅も福松も好感を持ちます。もちろん玉枝も憧れます。しかもどうやら八木自身も玉枝が好きなようなのですが、こればかりは身分や立場が邪魔をして、どうにもなりませんでした。二人共に縁談を断り続けるうちに、玉枝は41才に、八木は55才になってしまいました。とうとう国元に帰らざるを得なくなった八木は、玉枝に別れを告げ、只一度、口づけをして去って行きます。最後なんだから心置きなくとか、せめて一発なんて下品なことを考えては二人のプラトニックラブを汚してしまうというもの。最後までプラトニックだからこそ一生心に残る、そういう恋愛もあるということです。

祭礼で担がれる御輿

 三代目も38才という高年齢出産でしたが、さすがに江戸時代で40才を超えるとちょっと実子は無理でしょう。そもそも婿候補すら浮上していませんし。5代目は養女を迎えることになりそうだ、というところで物語は終わります。雨に打たれる梅の木に向かって「江戸屋の行く末は大丈夫です」とつぶやく玉枝。この先はやはり素質の良い女の子を迎えて厳しくも暖かく育て上げることになるのでしょうか。

単行本「梅咲きぬ」

ブログタイトルの由来について

私の住む場所から見た形に近い筑波山
 
 秋が本格化してきて、長すぎた夏の記憶がようやく薄れ始めてきたところですが、なんと来週にはもう11月。立冬が来ます。既に晩秋ですよ晩秋。この気候のまま一ヶ月位巻き戻してもらいたいですね。もっと秋を満喫したいです。

 さて、今日はいつもと趣向を変えて、当ブログのタイトルの由来について語りたいと思います。「その他」が増えるのが嫌なので、新カテゴリーをとも思いましたが、後が続くか判らないのでとりあえずは泣く泣く「その他」で。「海外」もなんとかしなければ(汗)。

筑波山神社

 筑波嶺はもちろん筑波山のことです。西側の男体山と東側の女体山の二つの嶺を持つ日本のツインピークスです。標高は877メートル(女体山)と1000メートルにも満たない低い山ですが、姿の美しさから江戸では「西の富士、東の筑波」と並び称されていました。「紫峰」という雅称もあります。

 深田久弥が「日本百名山」に選んでいますが、百名山では一番標高が低く、1000メートル未満なのは鹿児島の開門岳(924メートル)と筑波山だけです。深田は選定基準として

①山の品格:誰が見ても立派な山だと感嘆する山であること
②山の歴史:昔から人間との関わりが深く、崇拝され山頂に祠が祀られている山であること
③個性のある山:山容・現象・伝統など他には無いような顕著な個性をもっていること

を挙げています。

歌川広重の名所江戸百景に描かれた筑波山

①については富士山と並び称される美しい山容から問題ないでしょう。②についても、万葉集や常陸国風土記に記されているなど由緒があり、古くから話題になっている山であり、山頂には筑波山神社や大御堂があるので十分です。③はツインピークスであることや、例の「歌垣」(古代の乱交パーティーとでもいう行事。万葉集に入っている高橋虫麻呂の歌の「人妻に 吾も交はらむ わが妻に 人も言問へ」で有名です)の場所であったことなどからクリアしていると思います。山が低いことが幸いしてか、とにかく人との関わりが深い山ですね。

筑波山山頂

 私ユースフは筑波山に住んでいる訳ではなく、筑波山が見える辺りに住んでいるということで「筑波嶺」の名前を拝借しております。ごく近いかというばそれほどでもないのですが、まあ東京で見るよりは遙かに大きくくっきりと見える辺りに住んでいるとお考え下さい。筑波山を眺めながら夜に想いを綴る…というと、イメージは何か綺麗ですね。こんな内容ですいません(笑)。

陽成院の和歌

 しかし種明かしをしてしまうと、直接的には百人一首の陽成院の和歌「つくばねの 峰よりおつる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりける」から取ったのです。百人一首では「淵となりぬる」となっていますが、私は「ける」の方が好きです。

 「筑波山の峰から流れ落ちるわずかな水は、集まって男女川(みなの川)となるのですが、その男女川の淵のように、私の恋も次第に積もり積もって、今では淵のように深くなってしまいました」という感じの意味でしょうか。

男女川

 陽成院というのは第57代の陽成天皇のことで、80才という当時として非常に長命の方でしたが、在位は7才から15才までの8年弱ということで、長い後半生を上皇として過ごしています。清和源氏の祖であり、本来は「陽成源氏」とするべきなのですが、暴君の評判があったため、それを忌避して陽成院の父である清和天皇に祖を求めたという説があります。

 暴君の評判というのは、蛙を蛇に呑ませる、犬と猿を戦わせる、人に切りつけるなどの異常行動などがありますが、最大のもの、乳母の子(乳兄弟ということになりますね)の源益(みなもとのすすむ)を宮中で殴殺したというものでしょう。これが事実であれば確かに未曾有宇の不祥事ですが、天皇を廃位し、自身の意向に沿う光孝・宇多帝を擁立した藤原基経の罪を抹消するための作為という説もあって真実のほどははっきりしません。退位後も琴の弦で女を縛って水に沈めるなどしたことが記録されており、事実なら狂気というか凶暴というか…

知足院中禅寺大御堂

 歌は釣殿宮綏子内親王に宛てたもので、陽成院の妃になっています。江戸時代の文学者契沖の説によると、万葉集の「筑波嶺の 岩もとどろに 落つる水 世にもたゆらに わが思はなくに」(筑波山から岩をとどろかせて落ちてくる水のように、あなたを思う私の気持ちが絶えることがあるなどとは思っていません)に影響を受けた歌だということです。この歌については筑波山に歌碑があります。

万葉集の歌碑

 陽成院の方は、もちろん当時の貴人なので実際に筑波山を訪れたり見たりしたことはないでしょう。そもそも「恋ぞつもりて 淵となりける」が言いたいので、どこの山でのどこの川でもいいような気もしますが、「筑波山」と「みなの川」がそれなりに有名であったことや、「つ」「み」「ね」を重ねることで押韻を効かせるという、耳で聴く際の効果を狙うために選んだのでしょう。

 なお、男女川は下流で桜川となり、霞ヶ浦に注いでいます。「淵のなりける」の「淵」が霞ヶ浦であるという説もあるようですが、流石に日本で二番目に大きな湖は「淵」のイメージにはそぐわないのではなかと。元は海の海跡湖ですしね。

桜川と筑波山

 恋心をあふれる深い水に例えるのは古来からある常識的な比喩だそうで、この歌自身はあまり評価が高くないようです。曰く「とりたてて言うほどの特徴はない」「想としては無意味極まる空虚な歌」「常凡の域を脱していない」……陽成院、泣いちゃうかも(笑)。陽成院自身、歌人としては知られておらずこの歌のみが知られているようですが、その一首が百人一首に選ばれているという辺り、凄い「一発屋」とも言えますね。現代なら「アラジン」とか「トムキャット」(古い!)辺りでしょうか。

 そんな「一発屋」の和歌から想を得て始めた当ブログですが、私自身はこの歌結構好きです。百人一首は藤原定家という当時最高の歌人が選んだものなので、定家には認められた歌といってもいいでしょう。百人一首の話題はまた改めてしたいですね。

秋の筑波山

氷菓(その3):「クドリャフカの順番」編~「青春」する古典部?

アニメ決定後の表紙

 秋晴れの気持ちの良い一日でしたが、朝夕は冷え込みましたね。こういう秋の日は、日本に生まれて良かったなんて思いますね。他の国には他の国なりの季節の味わいがあるものでしょうけど、秋は日本が一番じゃなかろうか。なーんて。

 昨日、このところアクセス数が多く、「私の奴隷になりなさい」の検索で来ていると話をしましたが、ちょっと思いついて「私の奴隷になりなさい」でググってみたんですよ。そしたら…1ページ目の5番目あたりになんとこのブログが!そう、6月29日の記事が!!

Googleの検索結果

 わかりにくくてすいません。ですが…「なんてこった!!」

なんてこった!

 思わずタシロ提督になってしまいましたよ。ホントにどうしてこうなった!?そりゃあ来るわけですよ……。決して私の方からGoogleに金品を渡したりした訳ではないのですが。昨日の記事が少しでも足しになればいいのですが。

 さて、今日の話題です。このところ集中して見ている「氷菓」の「クドリャフカの順番」編の感想です。文化系部活動が活発なことで有名な進学校・神山高校にも文化祭の季節がやってきました。別名「カンヤ祭」ですが、その名前の由来は原作第一巻の「氷菓」(アニメでは1~5話)で解明されています。何と3日間に亘って開催されています。高校で文化祭3日間って結構凄いですね。普通は土日で2日間くらいではないですか?私の通った馬鹿高校はそうだったんですが。それでも学生運動真っ盛りの頃は5日間もやっていたそうなので40%も短縮されているのですが。

サターン里志

 一年で最大のイベントであるこの文化祭。古典部は伝統の文集「氷菓」を出品します。「カンヤ祭」の名称の謎に迫った自信作ではあるのですが、手違いで十倍も発注してしまいます。といっても200部なんですが、20部しか売れないだろうと考えていた古典部一堂は顔面蒼白です。文集を売るために奔走する千反田える、文化祭を存分に楽しみながら文集を宣伝する福部里志、大量発注の直接の責任を感じつつ、兼部する漫画研究会でもギスギスした雰囲気に苛まれる伊原摩耶花、のほほんと静かに店番をする奉太郎と、古典部員は大量の在庫を抱えながらもマイペースのまま文化祭は進行していきます。

やる気の里志

 そんな中、校内では「十文字」と称する何者かが各クラブから物品を盗んで犯行声明を置くという、連続盗難事件が発生します。しかも「占い研究会」からは「運命の輪」(タロットカード)、「お料理研究会」からは「おたま」といった感じに「あいうえお」順にそのクラブの頭文字にちなんだ物が盗まれていくのです。アガサ・クリスティーの「ABC殺人事件」のように!古典部は、この事件を解決することによって部の知名度を上げつつ文集完売を目指し、「十文字事件」の謎に迫っていきます。

いつでも可愛いえる

 「氷菓」は過去の出来事の解明、「愚者のエンドロール」はねつ造された事件の解明(ないしは事件の創造)だったのに対し、「クドリャフカの順番」は実際に事件が発生しています。まあ刑事事件には波及しない程度のささやかなものですが。もっとも某名探偵の孫の高校みたいに次々と殺人事件が起きるようならおちおち通学もできませんが。

 それよりも、古典部メンバー、特に脇役風だった里志と摩耶花が「青春」している部分が描かれていていいですね。ここでいう「青春」というのは、ただ楽しいということではなく(そんなの「青春」じゃない!)、「青春時代のまん中は 胸にとげさすことばかり」という「青春時代」の歌詞そのままの苦悩とか葛藤とか嫉妬といった感情のないまぜになった疾風怒濤の嵐です。

奉太郎の言葉に驚愕する里志

 いつもにこやかで悩みなんかなさそうに見える里志は、実際には奉太郎の推理力に強い羨望と嫉妬を抱いていて、奉太郎に行動力がないから犯人を押さえるのは自分だと意気込みますが、結果的には歯が立たず、やる気のない奉太郎が真相突き止めた姿を見るしかありませんでした。

夕べには骸に

 気の強い摩耶花は漫画研究会の有力な先輩を相手に論争を仕掛けてしまったりして浮き気味になっています。傑作はあくまで主観的なものなのか、誰もが傑作と認めざるを得ない絶対的なものなのかという文学論争のような議題ですが、その際に「誰が読んでも傑作」の例として摩耶花が挙げたのが、去年の文化祭で売られた「夕べには骸に」という漫画です。これが事件解決の鍵にして発端でもあるのですが…。結論を言うと、その先輩は「夕べには骸に」を知っていました。知っていて読まなかったのは、読めば自分がどうしても敵わない「才能の壁」を思い知らされるからだと。そして摩耶花は、その先輩が「夕べには骸に」には敵わないものの「結構良い」と思っていた漫画の作者だったことを知ります。そして自分の漫画はそれら二作に全く及ばないということも。

摩耶花の涙

 「才能の壁」を痛感した摩耶花は、奉太郎の才能への嫉妬と羨望を口にする里志の気持ちに強く共感したことでしょう。里志は別に推理力で奉太郎に勝ちたいわけではなかったのでしょうが、ただ見上げてため息をつくのではなく、同じ場所に立ってみたかったのでしょう。また、自分が欲して持てない才能を持ちながら、それを積極的に活用しようとしない奉太郎へのいらだちもあったのかも知れません。文化祭のこのイベントがあって、やはりこの2人はそのうちちゃんと交際するのだろうなと思いました。

コスプレえる

 一方、可愛くなければただウザイだけなんじゃないかと思っていたえるもそれなりに頑張りました。彼女には嫉妬という気持ちは生来希薄なようですが、押しに弱いので様々な誘いに乗ってコスプレしたりして時間をロスしていましたが、結果的にはお料理コンテストの優勝や放送部の生放送出演などで大いに文集販売に貢献しました。えるは入須冬美に憧れているようで、人心掌握の秘訣を聞いて実行したりしていますが、当然上手くいきません。入須に直接「はっきり言おう,お前にはああいうのは向かない」とダメだしされてしまいました。

ナコルル先輩

 奉太郎はといえば、部室で店番しながらなぜか始まった「わらしべプロトコル」を継続して里志達をさりげなく助けたり、真相を究明して「犯人」と取引を行って文集をさばいたりと、安楽椅子探偵ぶりを遺憾なく発揮しています。しかし、その奉太郎のひらめきも、姉の供恵が持ってきた「夕べには骸に」があったればこそ。供恵はやっぱりマイクロフトですよ。その暗躍ぶりには月影先生もびっくりだ!

おそろしい子!

 さて、ネタバレになりますから犯人については言及しませんが、その動機はやはり才能を有効に活用しない者、というかその才能にたいした価値を見いださない者への羨望と嫉妬でした。直接聞き質したらいいじゃないかという気もしますが、それを言っちゃあおしまいですね。これだけまだるっこしい手段を取ったその頭脳こそ他者の嫉妬と羨望の対象だろうに。また、犯人は、自分の意図は相手に届かなかったと嘆いていましたが、終盤のシーンを見ると、本当は届いていたのではないかという解釈も成り立ちますね。この辺りは視聴者の解釈にまかせるということでしょうか。

微妙な表情

 入須冬美に憧れる千反田える、奉太郎に匹敵したい里志、「夕べには骸に」の作者への羨望と嫉妬を持つ犯人、漫画研究会の先輩、そして摩耶花。青春とは恋い焦がれてもどうしても手に入らないものがあるということを知ることなのでしょうか。しかし打ちのめされた感じもあった里志ですが、そんな里志にも強い対抗意識を燃やす谷なんてマッシュルームカットの少年がいます。そして里志はこの谷に対して極めて冷淡です。奉太郎に対する自分の気持ちと自分に対する谷の気持ちとが同質であることを自覚すれば、少しは優しくできるのかも知れませんが、自分自身のことはわからない-これも「青春」なのでしょうか?いやいや、人生全般においてそういうものなのかも……。

何を見ている奉太郎!

 古典部メンバーの中で、奉太郎だけは全然変わらない感じがしますが、彼は「愚者のエンドロール」で大ショックを受けているので、その際に「青春」したのかも知れませんね。

お料理コンテストと漫画研究会

コミック版「私の奴隷になりなさい」:5年前の漫画が壇蜜さんで「お色直し」して再登場

壇蜜さんが表紙になって名前も変えて
 
 突然風雨が吹き付けたり、とても不安定な一日でした。皆さん被害などありませんか?昨夜は何となく寝苦しかったせいで、ほとんど一睡もできませんでした。おかげで一日中眠いのなんのって。今日は早く寝よう。明日は冷え込むらしいので皆さん暖かくして寝ましょう。

 さて、アクセス解析のおかげでだいぶ前から判明していたことなのですが、このブログにご新規でたどり着いた方が、何を検索していたか。それはまあいろいろな検索語でいらっしゃっているのですが、ここんとこ断然多いのが「私の奴隷になりなさい」です。昨日のシェアは15.6%、一昨日は20.4%、三日前は13.3%、四日前は20.6%……まああんまり遡っても仕方ないですが、多くの方が「私の奴隷になりなさい」を検索してここに来ているということは、6月29日の記事にぶち当たったということなのでしょう。

 そうやっておそらく映画版「私の奴隷になりなさい」関連情報を期待して来たであろう方々には大変申し訳ないのですが、ここで扱っているのは原作版のみでして。主演女優の壇蜜さんで検索している方も結構居ますが、6月24日と25日で取り扱っているし、8月21日や8月27日にも関連記事を書いているのでまだましかなと思います。画像はちょいちょい出てますしね。

 ずっと「いつもすまないねえ~」とザ・ピーナッツにおかゆを運んで貰うハナ肇のような気持ちでいたのですが、だったら少しでも出来ることをやったらどうだと私のゴーストが囁いたので、今日はコミック版「私の奴隷になりなさい」について取り上げたいと思います。

スモールワールド時代の表紙

 コミック版は原作サタミシュウ、脚色松本ひなつ(元ストリッパーだそうです)、作画花小路ゆみというトリオによる作品で、角川書店が刊行していた隔週青年漫画雑誌の「コミックチャージ」に2007年に8回に亘って連載されたものです。連載中のタイトルは「スモールワールド」でした。原作の「私の奴隷になりなさい」も2007年12月に角川文庫に入る際に改名されたもので、それまでは「スモールワールド」という題名でした。

コミックチャージ

 コミックチャージは2007年から2009年までの2年弱で廃刊になってしまっていますが、コミック版は比較的早期の連載でしたので当然完結しています。30代から50代の男性をターゲットとしてたそうですが…すいません、創刊も廃刊も全然知りませんでした(笑)。

 私の購入したのは、表紙が壇蜜さんになっていて、「私の奴隷になりなさい」と改題されたもので、奥付を見ると本年9月29日初版発行となっています。おそらく映画が話題になっていることに当て込んだものでしょう。付属のコシマキでは「映画化決定!!」とか「サタミシュウの傑作SM青春小説・大好評発売中!」なんて文字が躍っているほか、壇蜜さんの写真集「濃蜜」とかメイキングDVD「壇蜜と僕たち」の宣伝もしています。あざといなあ、角川。まあ乗せられて買っちゃったのですが。

私の奴隷になりなさい写真集

 で、内容なんですが、基本的には原作を踏襲しています。ただ、当然ながら映画前の作品なので、キャラクターは映画のキャストとは似ていません。決定的に違うのはご主人様です。ハゲデブチビと三拍子揃ってますから、板尾創路とは大違いです。しかし、原作に準拠する限り、コミック版のご主人様の方が自然なんであって、板尾創路は原作イメージを大きく逸脱しているといえます。巻末の初期設定資料によると、ご主人様は「伊東四朗タイプ(むしろ石原慎太郎に似ていますが)」「みのもんたタイプ」などを作成したものの、女性編集者の「キモイ」の一言で没となり、残った「人柄の良さが人を魅了するタイプ」を改良(改悪?)して作り上げたもののようです。私が原作イメージで俳優を選ぶなら、10才位老けた出川哲朗とかかな~なんて。そんなブサイク男に壇蜜さん演じる香奈が調教の限りを尽くされるというところが、観る者のNTR感も誘って最高なんじゃないでしょうか。

 「僕」は原作通りリア充イケメン24才です。とっとと死ねばいいのに。原作通りのむかつく野郎なので、作中どんなに苦悩しても泣いても全然シンパシーを感じません。まさに「シンクロ率ゼロ。セカンド・チルドレンたる、資格なし」です。「秒速5センチメートル」の遠野貴樹ならシンクロ率400%で「男の戦い」なのになあ。

スモールワールド

 香奈は美人です。が、壇蜜さんに似ているかというと……まあ絵を見て貰ってそれぞれの判断に委ねましょう。ただ、前半の香奈と比較すると、終盤「スモールワールド」(ご主人様と奴隷専用のバー兼ラブホテル?)での奴隷・香奈の方が圧倒的に美しくて魅力的で、壇蜜さんに似ている感じがします。絵はないので、ご自身で買ってご覧下さい。

 不満があるとすると、原作の中盤で「僕」が香奈のマンションで見るビデオテープの内容でしょうか。冒頭にもちらっと調教シーンはあるのですが、それを合わせても原作のあの調教シーンがとっても薄味になってしまっています。ここはこれでもかというハードな調教シーンを濃厚に描かないと、「僕」の受けた衝撃が描写できないのではないかと。そのためか、彼女がいっぱいいるのに「僕」がどうして香奈に執着するのかが今ひとつピンときません。

 ですから映画版にあるこういうシーンがありません。

奴隷顔の香奈
撮影される香奈
セーラー服を着させられる香奈
ご主人様に調教される香奈

 え?もっと見せろですか?ここはアダルトブログではないもので……ねえ、久我さん。

久我重明

 そういうことで、どうかご了承願います。あと終盤、「ご主人様」は「僕」にどや顔で「奴隷とご主人様道」を語るのですが、こちらも原作同様浅薄で説得力がないです。おそらく「ご主人様」も相手が若造で頭も良くない「僕」ということで舐めてかかっているのでしょうし、「僕」はそれですっかり参っているようなので、問題ないといえば問題ないのですが。

 例の「奴隷というものは自由を奪われるということではない。隷属というものは他のものに対して寛容になることだ」という台詞、これなんか浅はかさの極地でしょう。せめて「SMの世界における」とか「私たちの世界では」といった前振りが欲しいところです。実際に歴史の中で数多いた本当の奴隷の前で言えるのかお前?また、隷属が寛容になるなんて言ってますが、神に隷属してしもべとなった人々が、異教の人々に寛容であったかどうか、世界史を紐解いてみたこともないのかい?そう、「ご主人様」の言辞は、広く一般に敷衍できないロジックばかりなんですよ。まさしく彼らの「スモールワールド」でしか通用しないのです。

 また「ご主人様」は「私のしていることはSMではない(嘘つけ!)。私が他人より異常なことがあるとするなら、それは調教癖というものだろう。私が施す治療によってもっとも忌むべき人間のつまらない部分が直る」とほざいています。まああれですね、狂人は自分自身を狂人とは主な賄というやつです。だいたい自分に出会う前の香奈を「美しくインテリでプライドの高い、しかし男性経験が見た目よりも極端に少ない20代後半の女」だとした上で「きれいで頭も良いのに間違ったプライドと不感症を抱えたまま30才を過ぎてしまったら取り返しがつかなくなる」から、治療を施すのだと言っていますが、香奈は既に結婚している人妻ですよ。おためごかしに何を言おうが、夫が知ったなら許すと本気で思ってます?いいことをしたのだから感謝しろと?江戸時代なら二つに重ねて四つにぶった斬られても不思議はないですよ。

 せめて「治療」した結果いい女になっていい相手と巡り会って結婚して幸せになったというのならまだわかりますが。そもそも香奈の夫は、「ご主人様」が唾棄すべき状態だった切り捨てている状態の香奈を好きになったのだし、お互いそれで良くて結婚したのではないのですか?夫が本当に調教後の香奈が良くなったと思っているのか、本当に確信できるのですか?「香奈変わっちゃったな。前の方が好きだったのに」なんて単身赴任先で思っている可能性がほんのちょっとでもありはしないのですかね?

私の持っているコミック版「黄金の犬」

 西村寿行の「黄金の犬」に出てくる田沼良一(映画では地井武男が演じてました)という悪漢は人妻にしか興味がなく、人の妻を奪って自分の奴隷にすることが快絶なのだそうですが、行為は認められないにし、外道には違いないですが、「私のしていることはSMではない」なんて嘯いている奴よりも、主張自体は素直でよろしいと思います。

 あと、「僕」と香奈の勤めている会社ですが、何かというと女子社員に色目を使う連中ばかりいるのですが、大丈夫かこの会社?それとも出版社ってそういうところなんですかね?ご存知の方、教えて下さい。

 で、ラストシーン。香奈は「僕」に対して「私の奴隷になりなさい」と原稿用紙一枚分のアップで言うのです。このシーンの香奈は大変美しく魅力的です。ぜひ購入して見ていただきたいです。「僕」は当然がくがくとうなずいたことでしょう。しかし他者に隷属することができない私はそれでもこう言うことでしょう。

だが断る
諸葛孔明も…
レナも…

 レナ…君はちょっとキレ過ぎですが(笑)。

好きな声優さん(その5):小倉唯~本当の17才

小倉唯
 
 秋晴れを満喫する一日でした。ちょっと気温高めでしょうか。肌寒い頃は息を潜めていた虫たちがここぞと鳴きまくっていますね。もう彼らに残された時間はあまり…。そうそう、関東地方の天気は明日崩れるようですが。

 そういえばまたまたランキングが高くなっています。日記ジャンルで460位、サラリーマン・OLのサブジャンルで81位ですね。これは歴代第2位の記録です。ここんところ第2位の更新が相次いでますが、やはり8月16日に記録した432位/71位という記録はなかなか塗り替えられないですね。この時はまだアクセスカウンターが起動していなかったのですが、おそらく300アクセスくらいはあったということでしょう。あんまり高高度にいるのはこのブログの、というか私のガラじゃない気がするのですが…

 さて余談はいい加減で終了して、先日に続いて今回も17才の声優を取り上げます。おっと、早とちりはいけません。今度はほんまもんの17才・女子高生の声優さんですから。

日高里菜

 女子高生声優というと日高里菜あたりが有名ですが、実はあまりこの人が出ているアニメをみていないので、今回は活動歴の割には結構出演作を見ている小倉唯を紹介しましょう。17才の女の子を声優としてとはいえ好きだなんて言ってしまうとロリコンみたいですが、これまでの活動と、今後の活動に期待しての先物買いということで。

ハート型クッションを抱く小倉唯

 小倉唯は1995年8月15日(終戦記念日…)に群馬県で生まれています。ウィキペディアによると職業は声優のほか、女優・アイドル・歌手となっています。ドラマや映画・舞台にも出演しているんですね。確かにこれだけの美少女なら声優だけというのももったいない話ではあります。

 小倉唯の声はとにかく可憐ですね。本人も身長150センチととっても小さくて愛らしいです。私が見たアニメでも総じて可愛い女の子の役を演じています。今はそれでいいんじゃないでしょうか。二十歳過ぎたら悪女とかいろんな役をだんだんと、ね。

 公式サイトはこちらです。

お澄まし小倉唯

 http://cnt.kingrecords.co.jp/ogurayui/

 このサイトの自己PRによると、「演技をしたり、歌を歌ったり、ダンスを踊ることが大好き」だということで、特に「ダンスでは振り付けをすることも得意で、考えていたものが完成する瞬間はとっても感動します」と言っています。そして動画サイトでは初音ミクの「みくみくにしてあげる【してやんよ】」を踊って好評を博しています。
 
 「みくみくにしてあげる【してやんよ】」を踊る小倉唯。解像度が良くありませんが…
みっくみくにしてやんよ

 http://www.youtube.com/watch?v=GiWV390dzcQ
 こちらはニコニコ動画。こちらの方がクリアです。
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm7630464

 初音ミクと共演している映像はこちらです。
ミクと踊る唯

 http://www.youtube.com/watch?v=GSFUF6p034M&feature=related

 メイキングです。
リハーサル画像

 http://www.nicovideo.jp/watch/sm7718689

 私が見たアニメにおける小倉唯の演じたキャラクターはこんな感じになります(並びは私が見た順です)。

 五更珠希(俺の妹がこんなに可愛いわけがない)

ロリっ子五更珠希

 ヒロイン高坂桐乃のライバル・黒猫こと五更瑠璃の下の妹で小学校1年生です。黒猫に対しては「姉さま」と呼びかけていて、いつも「ですます調」で話しかけています。きっと育ちがいいのでしょう。

黒猫の妹・珠希

 可愛い妹で黒猫を慕っているので、黒猫も珠希を入浴させたりぬいぐるみを作ってあげたりと世話を焼いています。

 園城寺怜(咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A)

未来を読む怜

 阿知賀編は、その名のとおり阿知賀女子学院麻雀部の面々が主役なのですが、前年優勝校の東京の白糸台高校の大魔王・宮永照(咲の姉)と一騎打ちの様相を呈して、後半ほとんど主役を食っていしまっていたのが関西最強と言われる大阪の千里山女子高校の園城寺怜(おんじょうじ とき)です。

怜…病んでさえいなければ…

 病弱ですが、一巡先を予知するという超能力に目覚めていますが、体力と精神力を消耗するため多用できません。更に意識を集中する事で二巡先、三巡先をも見る事が可能ですが、心身の負担が激しいため使用を禁止されていました。しかし準決勝での対局中、大魔王・宮永照の連荘を止める為に幾度となく能力を使用してしまったため、先鋒戦終了後に倒れて入院を余儀なくされてしまいました。

 まさに「怜…病んでさえいなければ…」というキャラです。親友の清水谷竜華によく膝枕して貰っていますが、こういうのも「ヤンデレ」(病んデレ)というのでしょうか?

 竹中半兵衛(織田信奈の野望)

美少女半兵衛

 言わずと知れた秀吉の軍師ですが、このアニメでは14歳の女の子です。斎藤義龍の軍師で「今孔明」と呼ばれるほどの兵法家にして陰陽師でもあります。

とにかく病弱な半兵衛

 人見知りでいじめられる事を過剰に恐れています。生まれながらにして病弱な体質で、式神を身代わりに立てて隠遁生活を送っていましたが、本作の秀吉にあたる主人公・相良良晴の人柄に義を感じて軍師となりました。

 ロリコン殺し竹中半兵衛

 陰陽師としては、式神を一度に多数使役したり、天候まで操るほどの能力を備えていますが、とにかく病弱なので、技を使うとよく倒れます。園城寺怜といい、病弱キャラは小倉唯なんて定評でもあるんでしょうか。か弱い演技が上手いことは確かですが。

 善名嘉代(氷菓)

可愛い善名嘉代

 第七話「正体見たり」のゲストキャラで温泉民宿の姉妹の妹です。アニメ版では小学4年生で、姉は梨絵。古典部一行が民宿に泊まったときの幽霊騒動の「犯人」(悪気はなかったのですが)でした。

お姉ちゃんと一緒

 自分の「行為」がばれなかとひやひやし通しで可哀想な感じでしたが、いい感じで演技していたと思います。
唯可愛いよ唯

 公式サイトの本人PRの続きでは「私は責任感が強く、一度決めたことは一生懸命頑張ります!やり遂げた時の達成感は本当に気持ちいいです」と言っています。その意気や良し!いろいろな経験を積んでさらに素敵な声優さんになって下さい。

氷菓(その2):「愚者のエンドロール」編の感想とタロットカードについてもひとくさり

愚者のエンドロール(文庫版)
 
 今日はちょっと汗ばむくらいの気温になりましたね。金木犀の花が満開(?)で街は芳香に満ちています。金木犀の木って、庭や公園に多数植えられているのですが、この季節にならないとあまり気にしなというか、気付かないものですね。桜も花が咲いてああ桜の木だと改めて思いますが、金木犀の木の普段の「目だたなさぶり」は桜以上の気がします。 

 秋季アニメを見ることなく氷菓を見続け、17話まで見終わりました。これで原作2巻の「愚者のエンドロール」と3巻の「クドリャフカの順番」まで終わったことになりますね。あと5話残っていますが、原作4巻の「遠回りする雛」までやるのでしょう。原作はこれまでのところ5巻「ふたりの距離の概算」までしか出ていないので、第二期は当面先の話になりそうですね。

愚者のエンドロール

 前回は原作1巻の「氷菓」部分である5話まで見たところでの感想を書きましたが、今回は「愚者のエンドロール」編についての感想などを述べたいと思います。

入須先輩

 「愚者のエンドロール」は、文化祭出品のクラスでの自主制作映画を巡る話です。脚本家が倒れたことで殺人事件の映画が中断されているので、撮影済み部分のみを見て犯人を当てて欲しいという依頼を入須冬美、通称「女帝」から古典部が受けるという話です。もちろん古典部への依頼というのは口実で、実際には奉太郎への依頼ですが。奉太郎の類い希なる推理力は「氷菓」事件によって「知る人ぞ知る」ところになっているようですが、冒頭で入須は「倒れた脚本家」本郷や奉太郎の姉・供恵とPCでチャットしており、供恵の推挙を受けているようです。ということは、奉太郎の推理力について供恵はとうに把握していたということですね。

奉太郎を「籠絡」する入須冬美

 物語の詳細についてはネタバレになるので自粛しますが、結局のところ奉太郎は脚本の続きを推理するのではなく、もっと面白い脚本を創造させられたことになっていて、それを入須におだてられてやってしまったということに後から気付いてひどく落ち込みます。まあ明らかになった本来の脚本は面白くないものなので、結果的に完成した映画はずいぶん面白い作品に仕上がった訳ですが、奉太郎自身はその時に負った心の傷でかつてなく無気力になっています。この辺の描写は原作よりも大げさになっていたらしく、わざわざ原作にない11.5話「持つべきものは」が作られて立ち直りの経緯が描かれているほどです。もともとやる気のない奉太郎ですが、11.5話の奉太郎は本当に無気力で、私でも一発背中をどやしたい位です。

えるとすれ違う供恵

 入須は誰も傷付けない形で映画をより良い作品に改編することを試みた訳ですが、「女帝」といっても所詮は女子高生、結局は奉太郎の心をひどく傷つけてしまいました。そもそも奉太郎を最後まで騙し続けられると考えていたのだとしたら、自己の能力を過信し過ぎていたというべきでしょう。姉の供恵はそうなることも見越した上で11.5話で帰国し、さりげなく奉太郎のケアをしているようですが、この姉は恐ろしい存在です。「氷菓」でも手紙で奉太郎に古典部入りを勧めていますが、全ての事件の背景に供恵がいる気配があります。奉太郎がシャーロック・ホームズなのだとすると、供恵はマイクロフト・ホームズに該当するのかも知れません。

折木供恵

 ちなみにマイクロフト・ホームズはシャーロック・ホームズの7才年上の兄で、「ギリシャ語通訳」という短編に(「シャーロック・ホームズの思い出」収録)に登場します。シャーロック・ホームズ自身が「観察力と推理では僕より優れている」と明言し、実際シャーロックとの推理合戦(道を歩いている男を見て人となりを推理する)では弟より一枚上のところを見せてくれます。奉太郎と供恵は何歳差なんでしょうか?

非公式画像・折木供恵

 話を戻すと、入須は奉太郎にだけは真実を話して脚本改編への協力を求めるべきだったのではないかと思いますが、そうする代わりに奉太郎を持ち上げて脚本の続きを「推理」させる(実際には「創作」させる)のですが、その辺りが地元名士(総合病院経営者)の娘で、頭の回転が早く、高い人心掌握能力とリーダーシップを持っている自分のプライドに由来しているのかも知れません。物語終盤のチャットではそのあたりを供恵にしっかり見透かされていましたが。やはり供恵はマイクロフトですね、うん間違いない。

 そういえば、奉太郎と入須の茶店での会談で、思わずこれを連想したのは私だけでしょうか?

二人の会談
メトロン星人とモロボシダンの会談

 なお、「女帝」がタロットカードから由来しているという話が出た後、千反田えると福部里志が古典部の面々がそれぞれがどういうカードに該当するかを議論するくだりがあり、その結果えるは「愚者」、里志は「魔術師」、伊原摩耶花が「正義」、奉太郎は「力」ということになりました。このあたり、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の第三部を読んだことがある人や、TVゲームの女神転生シリーズの「ペルソナ3」や「ペルソナ4」をプレイしたことがある人はピンと来ると思いますが、それぞれのカードの示唆する内容は、次の通りになります。

「女帝」のカード
 「女帝」(入須冬美):繁栄、豊穣、母権、愛情、情熱、豊満、包容力、女性的魅力、家庭の形成

「愚者」のカード
 「愚者」(千反田える):自由、型にはまらない、無邪気、純粋、天真爛漫、可能性、発想力、天才

「魔術師」のカード
 「魔術師」(福部里志):物事の始まり・起源、可能性、エネルギー、才能、チャンス、感覚、創造

「正義」のカード
 「正義」(伊原摩耶花):公正・公平、善行、均衡、誠意、善意、両立

「力」のカード
 「力」(折木奉太郎):力量の大きさ、強固な意志、不撓不屈、理性、自制、実行力、知恵、勇気、冷静、持久戦

 なお、劇中でえるは奉太郎が「星」ではないかと言っていますのでついでに「星」も。
「星」のカード
 「星」(折木奉太郎):希望、ひらめき、願いが叶う

 えるは奉太郎の推理力を素直に「ひらめき」と考えて「星」を推したのだと思いますが、里志が「力」を推したのは、その意味もさることながら、絵柄によるのではないかと思います。「力」のカードにはライオンの口を押さえる女性の絵が描かれています。ライオンが奉太郎を暗示するものとして、それをコントロールする女性がえるであると里志は考えたのでしょう。私は女性は本当は供恵なのではないかと思ったりもしますが……

 なお、上記各タロットの意味はどれも正位置の場合で、逆位置の場合は全く異なる意味になります。逆位置の場合の暗示内容は以下の通りです。

 「女帝」(入須冬美):挫折、軽率、虚栄心、嫉妬、感情的、浪費、情緒不安定、怠惰

 「愚者」(千反田える):軽率、わがまま、気まぐれ、無節操、逃避、優柔不断、無責任、愚行、落ちこぼれ

 「魔術師」(福部里志):混迷、無気力、スランプ、裏切り、空回り、バイオリズム低下、消極性

 「正義」(伊原摩耶花):不正、偏向、不均衡、一方通行、被告の立場に置かれる

 「力」(折木奉太郎):甘え、引っ込み思案、無気力、人任せ、優柔不断、権勢を振るう

 「星」(折木奉太郎):失望、無気力、高望み

 あくまで普通の人間である彼ら登場人物は、正位置と逆位置、どちらの内容も併せ持っていると解釈するべきでしょうね。「愚者のエンドロール」の件では、入須は「母権」や「情熱」「女性的魅力」を発揮しつつも心の内奥には「虚栄心」が秘められていて、「軽率」な行動をしてしまった、とか。

 自分を示唆するタロットカードは何だろうなんて考えてみるのも面白いかも知れません。「死神」とか「悪魔」みたいな縁起の良くないカードも入っていますが、この場合は逆位置がいい意味になるのであまり気にしなくてもいいでしょう。ただ「塔」だけはいけません。「塔」は正位置でも逆位置でもネガティブな意味になる唯一のカードなので。

 え?私ですか?そうですね…

「月」のカード
「月」

「隠者」のカード
「隠者」
あたりでしょうかね。月は女性を象徴するらしいので「隠者」の方が適当でしょうか。
 

プリンセスメーカー4(その1):愛娘「シズカ」育成記録付きです

DS版プリンセスメーカー4
 秋晴れの好日、いかがお過ごしでしょうか。

 さて、ギャルゲーの土曜日、ここのところ「プリンセスメーカー」「プリンセスメーカー2」と来ているので、ここは当然「プリンセスメーカー3」だとうと予想された皆さん、残念でした。今日は「プリンセスメーカー4」です。

プリゆめ

 実は「プリンセスメーカー3」というゲームは存在しないのです。「プリンセスメーカー ゆめみる妖精」(略称「プリゆめ」)という1997年1月に発売されたソフトが実質的に第三作に該当するのですが、なぜかナンバー付されていません。これまで魔族の侵攻とか天界の試練といった展開であったのに対し、「プリゆめ」は人間になることを希望する妖精の子どもを妖精の女王から託されて育てていくというもので、ちょっと毛色が違いからかも知れません。そのせいで父親は「伝説の勇者」である必然性がなく、職業選択が可能となっていました。

ちっちゃい頃は可愛いなあ

 このゲームもプレイしたことはしたのです。確かPS版を。しかし「プリメ2」の方が良かったなと言う印象が今も残っているので見送りました。このブログは好きなものについて語ることを趣旨としているので、「あまり好きじゃなかった」という物や「外した」物については沈黙をもって応えようかと。

二人でクリスマス

 で、今回購入した「プリンセスメーカー4」ですが、2005年9月にプレイステーション2用ソフトとして発売されました。もう7年も前ですね。キャラクターデザインがこれまでの赤井孝美から天広直人に変更され、従来とずいぶん違う娘が誕生しました。かつてない萌え系の娘になりましたね。そして娘役の声優は紅白歌手にして一般的に一番有名な声優といわれる水樹奈々です。以前は眞鍋かをりのそっくりさんとも言われましたが、眞鍋かをりの露出が減ってからはむしろ水樹奈々のそっくりさんかも知れません。

水樹奈々

 「プリンセスメーカー4」の背景となるストーリーは以下のようなものです。

お姫様だっこ

 中世ヨーロッパ的世界の中、魔法が発展を遂げ、魔法による産業革命により、人類の領域は広がっていきつつありました。魔王をはじめとする魔族は領域を侵略され、緩やかに衰退への道をたどっていましたが、人類の冒険者達の更なる侵食によって滅亡の危機に瀕していました。

チビ娘夏のバカンス

 10年前のこと、魔界のある森に侵食していった人類は魔王の怒りを買い、王都を包囲され滅亡の淵に立たされました。 その時、勇敢な魔法戦士(イザベル)が魔王の前に立ちはだかり、命がけの交渉の結果、魔王は軍勢を引き上げていきました……イザベルを伴って。

ハイティーンの冬のバカンス

 その後、国を救われた王は、その娘の救出に多額の賞金と名誉をかけ、幾多の冒険者がそれに挑みましたが、成功するものはいませんでした。冒険者であるあなたもまた、他の冒険者と同じく魔族の領域へ進みました。そして森へ深く分け入った先で、あなたは不思議な女性に出会い、小さな女の子を託されたのでした。

執事のキューブ

 この小さな女の子がイザベルと魔王の間に出来た娘であり、つまり魔族の血を引いた子どもということになります。主人公は「この子を私だと思って育てて下さい。人間の子として幸せに暮らせる様に」と言うイザベルの願いを叶えるべく、育児に専念することになるわけです。この際、キューブも娘の守り役として一緒に来ているので、今回はキューブの出自も明らかになっています。主人公はイザベラと何度も冒険を一緒にしたことがあるらしく、どうも惚れていたようですね。

愛娘三段変化

 それにしても今回の娘は可愛いなあ。ただ、魅力がゼロだろうが体重が60キロを超えようがウエストが70センチになろうが、グラフィックは可愛いままなので、ちゃんと数値をチェックしておかないとここ一番でドレスが着られなかったりという罠が待ち受けています。或いはどんな姿になっても父の目には可愛い娘の姿しか映らないということなのでしょうか。それとも魔族の血のなせる幻術なのか(笑)。

可愛いチビ娘コレクション

 娘は小さいうちが本当に可愛いですね。どこ触っても怒らないし(笑)。いや、決してやましい気持ちはないんです。単なるスキンシップなのですが、大きくなると触られること自体が嫌になるみたいです。思春期になると娘は父を嫌うようになるものなのでしょうか(涙)。

 今回、娘の成長に欠かせないライバルが3人登場して場を盛り上げてくれます。

みんなでクリスマス

 まずクリスチーナ・オハラ・ノーザリー

クリスチーナ・オハラ・ノーザリー

 なんか「風と共に去りぬ」を彷彿とさせる名前です。通称「クリス」。貴族の娘ですが、父は男爵なので下級貴族といったところでしょうか。プライドが高い反面、寂しがり屋な面もあります。 一流の淑女を目指しており、舞踏会デビューの日に王子様と踊る事を夢見ています。普段は娘の良き友人ですが、娘をプリンセスタイプ(魅力・気品)に育てて行くとライバルになります。

収穫祭ではダンスコンテストに出場します。CVはあの釘宮理恵ですが、私のDS版では音声が収録されていません(涙)。 

 続いてリーゼ・トルパーズ

リーゼ・トルパーズ

 王宮騎士の娘で、戦闘系(武術・魔法)に育てた場合のライバルキャラです。真面目で筋を通す求道者タイプで、対人関係にやや不器用なところがあり、男嫌いです。父親は王国でも5本の指に入る剣士なのだそうですが、ゲーム中、魔界の森で任務中に魔王軍の攻撃を受けて殉職するイベントがあります。回避不可能なので、可哀想ですが必ず起きてしまいます。 父を尊敬し、父の様に強くなり、王国一の剣士となることを目指しています。収穫祭では当然武闘会に参加しますが、他の子が優勝することもしばしば…。CVは川澄綾子です。セイバーですよセイバー。そういえば雰囲気が似てる気も…

セイバー


 最後にマリー・ストルーマン

マリー・ストールマン

 ゲーム中買い物で色々お世話になる道具屋の娘で、学問・芸術系(知識・感受性)に育てた場合のライバルキャラですが、普通にいいお友達という感じです。人見知りですが、自分から娘に話しかけて友達になるあたり、芯はしっかりしている子という感じがします。読書や絵を描くことが大好きで、収穫祭では芸術祭に参加します。CVは山本麻理安です。

 次に本当は紹介したくもないのですが、一応娘に関わる野郎どもを。

 まずシャルル
王子様のシャルル

 ネタばれしちゃいますが、こいつこのお方が王子です。この人と結婚すればプリンセス誕生となります。

 次にリー
チャラ男・リー

 街でナンパしてくるチャラ男です。人生に目的はなく、楽しければいいという向上心のない奴ですが、実は意外な正体を持っているようです。

 最後にヴァロア
魔界のプリンス・ヴァロア

 ガミラス星人魔族の青年です。魔王の後継者と自他共に認める存在だそうです。娘が魔族の血に目覚めると…

 それではせっかくなのでプレイ結果を報告します。とりあえずプリンセスを目指してシズカシリーズ(シズカ・ユースフ、12月3日生まれのO型)でチャレンジしてみました。え?誰がモデルかって?ふふふ…知っているくせに。

娘の着替えを手伝う

 シズカ零号機(プロトタイプ):取説も攻略ページも見ずに突撃プレイを敢行。要するに強行偵察型です。体力・知力・気立ては極めて高くなったのですが、礼法や舞踏のレッスンを出現させる方法自体が判明しなかったため、気品と魅力がほぼゼロに。つまりサザエさんの花沢さん+ドラえもんのジャイ子みたいな、気は優しくて力持ち、なのに女子力はゼロというな実に残念な子が誕生してしまったのでした。

フリーターエンド

 最終的な職業はフリーターで、結婚相手はなし。そりゃあ女子力ゼロじゃあ男が寄ってこないわなあ。でも本人は楽しそうなのでまあいいか。

 シズカ初号機(テストタイプ):シズカ零号機の経験に基づき、気品と魅力の向上を目指してこれに成功したモデルです。しかし「外出」の効能を軽視したためにシャルル(王子)とのフラグが立たず、また出現した各種アルバイトを片っ端から実行してみたために因業や疲労が貯まってしまい。その解消に苦労しました。アルバイトの「メイド酒場」には笑いました。中世にアキバ系アルバイトとは。遊び人のリーのナンパを受けたところ、2年連続でクリスマスを二人で過ごすなど、父を心配させたりもしましたが、モラルが高かったためか朝帰りなどの「大事」には至りませんでした。

部下の嫁エンド

 最終的には父の部下である下級貴族と結婚。まあ幸せそうなのでいいとしたいところですが、スペックの割にはしょぼい結婚だという感慨はぬぐえませんでした。

 シズカ弐号機(以降プロダクションモデル):女子力を極限まで上げることを目標としたモデルです。魅力・気品はカウントストップ状態に。また舞踏はプロレベルとなり、収穫祭ではダンスコンテストで優勝しまくりました。知名度も高く、城は顔パス状態となり、どこからどうみても最高の花嫁候補となりました。とどめに「傾国のローブ」も着用。しかし、王子とのイベントが足らなかったためかやはりフラグが立たず、舞踏会で王子はクリスを選ぶ。見る目のない節穴野郎め。こっちからお断りだぜ!

クリスチーナエンド

 結果、気品・魅力方面のライバルにして友人のクリスチーナとのエンド(「クリスチーナと仲良しエンド」)となる。クリス、お前は王子を射止めたのではなかったのか(笑)。舞踏会に出席しまくりながら、「いい男がいない」と女同士で踊る娘とクリス。クリスに引っ張り回される娘はちょっとたじろぎ気味です。百合っぽくてそれはそれで楽しそうですが、やはりプリンセスにはなれず。

 シズカ参号機:よーし、いっそ友達との仲良しエンドを集めてみようと方向転回したモデルです。こんどは庶民の子マリーと仲良くなろうと、学問・芸術系でトライ。芸術を極め、収穫祭では芸術祭に参加しました。感受性はカウントストップし、知名度も最終的にカンスト。余力を魅力・気品・知力・モラルに振り向けたのでこちらも高スペックになりました。芸術祭では毎回金賞でマリーを圧倒。誕生日には相互にプレゼントを贈り合う娘とマリー。これは「マリーと仲良しエンド」は貰ったぜと思ったのですが…

女王エンド

 結果、知力・魅力・プライド・モラル・気品・知名度が規定に達したためか、現国王から王位を譲られるというまさかの展開。「女王エンド」となってしまいました。プリンセスを飛び越えてクイーンとは。シャルルはどうなったんでしょうか。王位を脅かす存在として密かに粛正とか。もしそうなら娘よ、シャルル暗殺はこの父に任せよ(笑)。

 ということで、プリンセスを目指していたものの、クイーンになってしまったのでシズカシリーズはこれで終了します。次回からは10月29日生まれ血液型A型のラピスシリーズと行きましょう。え?誰だって?えへへへ……秘密です。

PS2版

きみの友だち:「わたしの、最高の友達」

きみの友だち(文庫版)
 
 おおっと、アクセスカウンターが5000を突破しましたと書こうと思ったら、もう6000を超えていますね。ブログ開設当初から設置していればよかったんですが、なにしろブログ初心者なもので、設置してみたはずがなかなか機能せず、「だめだこりゃ」と思っていたら、8月31日夜に突如起動し始めたのでした。なので、今日までで50日間のカウントということになります。このところしばしば一日200アクセス超えをしているので、11月に中に1万アクセスに届きそうな勢いです。ついでにコメントか拍手でもいただけると大変ありがたいのですが……いえ、独り言です。

 さて今夜は、重松清の「きみの友だち」を紹介したいと思います。「彼女はいいなり」とかを買ったり、祝日があった関係で、今回図書館からは3冊しか借りなかったのですが、いずれも個人的に大ヒットでまさに「実りの秋」でした。一冊は先日の東野圭吾の「手紙」で、もう一冊がこの「きみの友だち」。そして最後の一冊、山本一力の「梅咲きぬ」は都合があって来週紹介する予定です。今度借りる本も面白いといいなあ。

 さて重松清という作家は、学校での子供のいじめや不登校、家庭崩壊と子供などを取り上げて、注目を浴びるようになった人で、故人的には「半パン・デイズ」とか「熱球」「送り火」「みぞれ」などを読んでおり、これら叙情的な作品が好きなのですが、時として「疾走」なんて恐ろしく暗く救いのない作品も出してくるので油断ならない作家だなと言う印象があります。どれもぐいぐいと物語世界に没入させてしまう筆力はさすがなのですが。

証言する壇蜜さん

 そういえばR-18の官能小説も書いています。近日公開映画「私の奴隷になりなさい」の原作を書いている覆面作家「サタミシュウ」の正体は重松清ではないかなんて説もあるそうですが、映画の主演女優・壇蜜さんによるとこの人ではないそうです。信じていいのね。

 「きみの友だち」は、10本の短編を連ねた連作形式の小説で、恵美ちゃんと弟のブンちゃん、そして彼女らを取り巻く「友達」達の物語となっています。

 例によってAmazonの作品紹介を引用すると

 わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。足の不自由な恵美ちゃんと病気がちな由香ちゃんは、ある事件がきっかけでクラスのだれとも付き合わなくなった。学校の人気者、ブンちゃんは、デキる転校生、モトくんのことが何となく面白くない…。優等生にひねた奴。弱虫に八方美人。それぞれの物語がちりばめられた、「友だち」のほんとうの意味をさがす連作長編。

きみの友だち(映画ポスター)

ということになっています。恵美ちゃんとブンちゃんは8つも離れているので、ブンちゃんたちの話の時には、恵美ちゃんは大学生になっていて、さりげなくブンちゃんたちを見守るような形で登場してきます。恵美ちゃんサイドの話が5本、ブンちゃんサイドの話が4本で、ラストで全員登場という趣向になっています。

 恵美ちゃんとブンちゃんの姉弟はかなり優秀で人気もあったようですが、恵美ちゃんは小学校4年生の時に交通事故にあって左足が不自由になり、松葉杖が不可欠な体になってしまい、その怒りと苦しみを友達達にぶつけた結果、友人が一人もいなくなってしまいます。しかし、治る見込みのない腎臓疾患を抱えて入退院を繰り返している由香ちゃんと知り合い、親しくなっていきます。クラスの他の子とは断絶していても、二人だけの世界で楽しそう様子を、他の子も折に触れ気にするようになります。八方美人が過ぎて「ぼっち」になったり、「友達」との関係に疲れたりした時に。そんなとき、二人は優しく(由香ちゃん)そっけなく(恵美ちゃん)支えてくれたりしますが、友達との関係が正常化するとまたすぐ離れていってしまう。でもそんな子たちを恨むでも怒るでもなく再び二人の世界に戻っていく恵美ちゃんと由香ちゃん。

 一方弟のブンちゃんは幸い事故などなくすくすく成長し、成績も運動も人望を併せ持ったクラスのヒーローとなっていますが、そんな時転校生モトくんが現れ、彼の牙城を脅かしていきます。こちらの方は対立から認め合い、そしてライバル・親友へと代わっていく関係が爽やかですが、それだけでは終わりません。かつては親友だったのに置き去りにされてしまった劣等生の子や、ブンちゃんにレギュラーの座を奪われたさえない先輩もおり、また恋愛などを巡ってモトくんとの間にも隙間風が吹き始めます。

 各短編ごとに主人公は変わります。誰しもどれか一本くらいはかつての自分を仮託したくなるようなストーリーがあるような気がします。そういえば、1本目の「あいあい傘」と9本目の「花いちもんめ」はどちらも恵美ちゃんが主役となっています。さすがは連作を通じての主人公。

 ブンちゃんはやたらリア充なので、先輩達にボコられたりしてますけどあんまりシンパシー感じない気がします。それは読み手の問題なので彼の責任ではないのですが。

 それにしてもしかし…「花いちもんめ」は反則でしょう。電車の中で読んでいたのですが、「北斗の拳」に出てきた「金色のファルコ」(元斗皇拳最強の使い手。ドルフ・ラングレンのそっくりさんとも言う)の如く、

「泣いている、ファルコ将軍…。泣かずともその右足が泣いている…」

金色のファルコ

という状態になってしまいましたよ。なぜ恵美ちゃんは由香ちゃんとの「二人の時間」を何よりも大切にしてきたのかの答えがここにあるのです。由香ちゃん…声を掛けるなら恵美ちゃんの入試が終わってからにしなよ…。そういうところが相変わらずドジなんだよなあ……。でも、君は恵美ちゃんの間違いなく「私の、最高の友達」だし、君がずっと探していた「もこもこ雲」は恵美ちゃんが代わりに見つけてくれている。

 本作のキーワード、「もこもこ雲」とは、恵美ちゃんの解釈によるとこうです。

 「優しい子は天国に行くときに、『もこもこ雲』を空に残す。自分と似ている子どもを見守るために、『もこもこ雲』になる。優しい子どもはたいがい要領が悪いから、あまりみんなと仲良くできない。『もこもこ雲』は強い日射しをさえぎって、がんばれ、と言う。空にぽつんと浮かんで、ちゃんと見ているよ、と伝える。ときどき涙を流す。それが、雨になる。」

 そして天国に旅だった由香ちゃんに呼びかけるのです。

 「誰かを見守ってよ、と空に祈った。誰でもいい、ぐずで、のろまで、でもほんとうは優しい子どもを、あんたはずっと見守っていきなよ-そっけなく、怒った声で祈った。」

 泣ける人は「花いちもんめ」でぜひ泣いて下さい。それまでの8本は、ここで泣くための助走のようなものですよ。

 ちなみにこの「きみの友だち」いい話なのでもしやと思ったら、「手紙」と同じくやはり映画化されていました。2008年7月に公開されているようです。例によって全然知りませんでした。

きみの友だち(映画版)

 映画版だと女優さんを起用するから当然かも知れませんが、恵美(石橋杏奈)ちゃんは私の想像より可愛いですね。由香ちゃんも原作ではむくみで太っているのですが、演じる北浦愛はそんな気配がありません。

 キャッチコピーは「たとえいなくなったとしても、一生忘れない友だちが、一人、いればいい」です。

 そして連作最後の作品、「きみの友だち」は、恵美ちゃんの結婚式が描かれています。これまでの各短編の主人公達が一堂に会し、恵美ちゃんの結婚相手が、これまでの短編を書いてきた作家であることが明らかになります。これも感動的なんですが…ちょっとひねくれている私は、この結婚式の場ではみんな幸せかも知れないけど、式がはねた後は、人により幸せなままの人もいれば現実に立ち返って暗い道を行くものもありで、まあ必ずしも全員にとってのハッピーエンドでもないなあなんて思ってしまうのでした。一瞬でも幸せを共有できたらそれでいいですか?でも、その後の境遇が不幸だと、一瞬の幸せのせいでもっと辛くなってしまうような……

OVA版「冥王計画ゼオライマー」:設定を大きく変えた巨大ロボットアニメ

DVD版ゼオライマー
 
 連日の雨ですね。もしや氷雨?いやいやまだ早い。しかし、夏の雨とは全く違う、体の芯が冷えてくるような雨ですね。まさに秋霖。ああ、格好いい響きです。

 さて雨なので本日は「ゼオライマー」を(なぜ)。先日やった漫画版に続き、OVA版の「冥王計画ゼオライマー」です。

BR版ゼオライマー

 OVAは1988年から90年にかけて制作されており、全4話112分で、当初はVHSで販売されましたが、DVDとして一巻にまとまって販売されているほか、BR版も出ています。

 原作の18禁要素はほぼ排除された(残念!)他、ロボットやキャラクターのデザインなどは専門家が入ったせいで原作とはだいぶ趣が異なっています。監督は「戦え!イクサー1」「破邪大星ダンガイオー」「吸血姫美夕」などを手がけた平野俊貴です。

ゼオライマー1話

ストーリーは

 電子部品で世界の70%のシェアを持つ多国籍企業・国際電脳を隠れ蓑にしていた秘密結社「鉄甲龍」(ハウドラゴン)は、15年の時を経て、八卦ロボを駒に世界征服へと乗り出した。長である幽羅帝はその手始めとして、配下であり恋人でもある耐爬の八卦ロボ「風のランスター」が日本政府の秘密基地「ラスト・ガーディアン」を襲撃する。しかしそこに、かつて科学者・木原マサキにより鉄甲龍から奪われ、現在は秋津マサトと氷室美久をパイロットとしていた最強の八卦ロボ「天のゼオライマー」が立ち塞がる。

ゼオライマー3話

 というもので、「秋津マサト」と名前まで一部変わってしまっています。漫画版の「若槻魔沙樹」に該当するのは「木原マサキ」ですが、DVDの資料によると、鉄甲龍の科学者として八卦ロボの開発に従事していたそうですが、あるとき「野望」に目覚め、ゼオライマーを奪って逃走を図ったそうです。しかし、殺害される可能性を考慮してクローン(秋津マサト)を作成したほか、ゼオライマーが敗北したときに備えて鉄甲龍側にも自分のクローン(幽羅帝)を残し、どちらが勝っても自分の計画が完遂されるように仕掛けるという悪辣ぶりを見せています。

秋津マサト

 漫画版の「ゼオライマー完結編」でもネマトーダ総帥が若槻魔沙樹のクローンであるという設定がありましたが、若槻魔沙樹よりも木原マサキの方が凄いと思われるのは、八卦ロボ(ゼオライマーもその一機)を操る八卦集の性格や造形にまで木原マサキの操作が及んでいることで、そうとは知らずに仕組まれた葛藤やコンプレックスにより、ゼオライマーとの闘いの中で次々と敗れていきます。ロボット工学のみならず、生命工学でも最先端を疾走するとは何たる天才。ゼオライマー界のダイヤモンド・ニュートラルと呼ばせてもらいましょう。

木原マサキ

 漫画版の敵の組織ネマトーダ(鉄神帝国)は、経済基盤や目的などが不明な組織でしたが、ハウドラゴンは多国籍企業を隠れ蓑にして経済活動を行っていたようなので、少しは説得力のある組織になっているような気がします。しかしせっかくの巨大企業・国際電脳をなぜか物語冒頭で破壊してしまうのですが。

 秋津マサトは漫画の秋津マサキを踏襲したキャラですが、氷室美久は大幅に設定が変わっています。主にエロ部分を排除するためと思われますが、容姿は原作より大人びているものの、その正体は木原マサキが制作したアンドロイドで、次元連結システムそのものとなっています。ゼオライマーのサブパイロットとされていますが、実際には搭乗時に通常の少女の姿から機械部品でできた骸骨のような姿に変貌し、機体と一体化しています。

OVA版の美久

 氷室美久がアンドロイドということで、当然氷室博士は登場しません。ゼオライマーや次元連結システムはその大半を木原マサキが制作したことになり、天才ぶりがより際立っています。

 ではメカの主役、八卦ロボを紹介。

 まずは主役の「天のゼオライマー」
天のゼオライマー

 最強の八卦ロボで、パイロットは秋津マサト/木原マサキ。原作同様、別次元から無限のエネルギーを取り出す「次元連結システム」(漫画版の「超次元システム」に相当)により、他の八卦ロボを圧倒する出力・能力(空間跳躍・全方位対応のバリアー、前述2機能の同時使用)を持ちます。原作版とは違い、美久が未搭乗(=次元連結システムが未起動)の状態でもゼオライマーを動かすことは可能となっていますが、出力は3分の1以下になってしまいます。手甲部光球から発射する「エネルギー波」「次元連結砲」の他、必殺技の「メイオウ攻撃」は、エネルギー波により全ての物質を原子レベルで破壊・消滅せしめる、作中最強の威力を持っています。

 風のランスター
風のランスター

 「風」の称号を持つ八卦ロボで、原作にも同名のロボットが登場しています。パイロットは幽羅帝の恋人でもある耐爬です。製造当初は、他の八卦ロボ輸送時の護衛用(本機、ゼオライマー、オムザック、ローズセラヴィーの4機以外は自力で飛行できないため、輸送機で目的地まで運搬する必要があります)に作られた機体でした。他の機体に比べると攻撃力で劣るが、その機動性の高さから、運用の幅は他の機体より広くなっています。肩部エアスラスターから発生させる風を利用した多彩な技を持っています。起動直後のゼオライマーの初戦相手となり、後一歩のところまで追い詰めたかに見えましたが、原作同様、真の力を発揮したゼオライマーの敵ではありませんでした。

 火のブライスト
火のブライスト

 「火」の称号を持つ八卦ロボで、パイロットはシ・アエン。「火」の称号を持つだけあって、単独でも高い火力を持ちますが、水のガロウィンとのコンビネーションにより、最大奥義技を使用することが可能となります。

 水のガロウィン
水のガロウィン

 「水」の称号を持つ八卦ロボで、パイロットはシ・アエンの双子の妹であるシ・タウです。火のブライストとの合体攻撃を主に、あくまでもサポート用に設計・開発された機体であるため、他の機体に比べると直接的な高い攻撃能力は有していません。パイロットのシ・タウも姉であるシ・アエンに比べて能力が低いというコンプレックスを持っており、異常なまでの対抗心を燃やしていますが、それは木原マサキに仕組まれたものでした。

 月のローズセラヴィー
月のローズセラヴィー

 「月」の称号を持つ八卦ロボで、原作にも登場します。パイロットは仮面の男・葎。胸・脚・指など、様々な箇所にビーム砲が搭載されており、攻撃力が高い反面エネルギー消費も激しくなっています。これを補うため、雷雲内へ衛星を飛ばして雷のエネルギーを自機へ送る最大3機のエネルギーチャージシステム(通称「月の子」)があり、これにより全エネルギーを放出する必殺武装「Jカイザー」などの連続使用が可能となっています。エネルギーチャージによって長時間の戦闘が可能、武装にビーム剣を持つなど、設定は原作のローズセラヴィーのコンセプトを忠実に踏襲していますが、必殺武器の名称はJガイザーからJカイザーに変更され、発射方式も変更されています。なおパイロットの葎は「男の中の男」になりたいという強さへの願望と、それに相反する大人しく美しい女顔の両方をマサキに造られたために仮面で顔を隠し、八卦衆の中でも特に彼を憎悪しています。

 地のディノディロス
地のディノディロス

 「地」の称号を持つ八卦ロボで、パイロットはロクフェルです。イメージ的には原作のドノーグに近い印象を受けますが、能力は全く異なり、両手を地面に設置して大地に波動を送り、マグマ層を活性化させて大地震を発生させることが可能となっています。パイロットのロクフェルは山のバーストンのパイロットである祇鎗に好意を寄せられていて、それを理解していものの自身は「雷のオムザック」のパイロットの塞臥に惹かれています。これらも当然木原マサキの……

 山のバーストン
山のバーストン

 「山」の称号を持つ八卦ロボで、原作にも登場します。パイロットは祗鎗で、背部に多連装ミサイルランチャー(肩部にミサイルが格納されている)、脚部に切り札として膨大な数の核弾頭ミサイルを装備しており蓋となっている脚部装甲にも対迎撃用ミサイルが配置されています。巨大ロボット製作技術の検証機体であり最初に建造され以後の機体の原型となったため、他の八卦ロボに比べると構造が簡素です。

 雷のオムザック
雷のオムザック

 「雷」の称号を持つ八卦ロボで、パイロットは塞臥。八卦ロボの中では唯一の非人体型で、四肢らしいマニピュレーターも装備されておらず、反重力システムによって常時浮遊しています。その設計の複雑さと巨大さゆえ、第3巻の時点まで復元が完了していませんでした。必殺武装は、八卦ロボの中で唯一ゼオライマーに対抗できる威力を持ち、周囲数kmの物質を微粒子化する原子核破砕砲「プロトン・サンダー」ですが、ゼオライマーと対峙した際には発射体勢に入ったものの、ゼオライマーのメイオウ攻撃の前にあっけなく散りました。

 ラストは、幽羅帝と秋津マサトが木原マサキの「冥王計画」の手駒であることを理解したことにより、最後に全てを終わらせるべくあえて「冥王計画」を実行することで、マサトや美久と共にメイオウ攻撃による大爆発の中に消えるというもので、儚いというかあっけない幕切れとなっています。この設定ならもっと長編も制作できたと思いますが。

幽羅帝

 幽羅帝は女性ということもあるせいか、木原マサキに似ていないのでクローンと言われてもいまいちピンと来ませんね。当初は氷室美久と瓜二つの容姿に設定されており、二重の意味での複製であったらしいですが。

手紙:切なすぎる「犯罪加害者」の家族の境遇

手紙
 
 篠突くような雨の夜、いかがお過ごしでしょうか。秋の雨も情緒ありますが、外出しているときはやはりうっとうしいですね。

 さて、今日取り上げるのは、東野圭吾の「手紙」です。「手紙」は毎日新聞の日曜版に2001年夏から2002年秋にかけて連載され、2003年に毎日新聞社から単行本が刊行され、第129回直木賞の候補作となりました。2006年に映画化され、これに合わせて、文春文庫から文庫版が刊行されましたが、この文庫版は1ヶ月で100万部以上を売り上げ、同社最速のミリオンセラーとなったそうです。

 内容は、Amazonの紹介によると、

 武島直貴の兄・剛志は、弟を大学に入れてやりたいという一心から、盗みに入った屋敷で、思いもかけず人を殺めてしまう。判決は懲役15年。それ以来、直貴のもとへ月に1度、獄中から手紙が届く…。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。

ということです。

文庫版「手紙」

 犯罪加害者の家族の苦難を正面から書いた力作であり、主人公直貴の苦境が淡々と描かれていますが、本当に切ないです。既に両親は他界しており、身よりは誰一人いなくなった高校生という立場からスタートし、アルバイトの傍らで大学の通信制に入り、バンドと巡り会って音楽に目覚めたり、両家のお嬢様と出会って恋に落ちたりしますが、そのたびに「強盗殺人犯の弟」であるという事実がことごとく立ちはだかり、挫折を繰り返します。

 お嬢様の中条朝美との交際の際には、切羽詰まって「悪堕ち」し、“出来ちゃった結婚”を企むという流石に共感できない行為に及ぼうとしますが、たまたま送られてきた剛志の「手紙」によってその計画も頓挫します。

 しかし、直貴には「女神」がいました。高校卒業後すぐに出会った白石由実子は、直貴に強い好意を示し、接近してきます。「強盗殺人犯」の弟であることを告白しても、中条朝美と本格的に交際することになっても、つかず離れずの距離で直貴を見守っている由実子。この由実子、無私の心の持ち主というか、自分自身の欲望とか願望とかはないのかという佇まいの人で、ちょっと現実離れしている感もあります。

映画版「手紙」

 由実子自身も自己破産者の娘であり、様々な苦労をしてきたということで強いシンパシーを持っていたということですが、こんな人はなかなかいないのではないでしょうか。そして由実子は、折に触れ剛志との絆を断とうとする直貴に対し、思いとどまるように説得するのです。

 いつもタイミング悪く届けられて直貴の夢や希望を打ち砕いていく、脳天気とも言えるような剛志からの手紙にうんざりした直貴は、手紙を無視し、届いても即捨てたりするようになりますが、直貴に代わって由実子が密かに手紙を受け取ってワープロで返事を書いていました。それを知った直貴は、ようやく由実子の本当の気持ちを知るに至り、結ばれることになります。

 とになく第四章までは苦難に次ぐ苦難が直貴に押し寄せてくるので、もちろん内容には引きつけられるのですがやや読んでいる方も滅入ってくる中、由実子と結婚して娘が生まれる第五章は明るくハッピーになるのかと思ったのですが、そうは問屋がおろしませんでした。由実子や娘までもが差別的扱いを受けるに至って直貴はある決断をすることになります。

朝美役の吹石一恵さん

 第四章、第五章に登場する「社長」がとてもいい味をだしています。積極的に助けてくれる訳ではなく、最終的には直貴は退職してしまうのですが、彼が「生きていく姿勢」を確立させていく上で大きな影響を与えています。また、彼の語る「どうして人を殺してはいけないか、どうして自殺していけないか」という理由は、極めて説得力があります。

 また「社長」は、差別的扱いに苦しむ直貴に対して、「犯罪加害者の家族は差別されて当然である」という一見受け入れられないような独特のロジックを語ります。そして差別される家族の苦しみを知って苦悩することも犯罪加害者の受けるべき罰なのだと。この点については異論もあるでしょうが、何の罪もない娘までも「強盗殺人犯の姪」ということで将来結婚などの際に差別を受けかねないという状況が存在する-これが直貴や由実子の差別や迫害に正面から立ち向かい、「正々堂々と生きる」という生き方を変えさせることになるのです。

由実子役の沢尻エリカ

 なお、由実子と娘がひったくり犯の被害にあって負傷したことで、直貴一家も犯罪被害者となり、犯人の両親の謝罪訪問を受けることになりますが、その際の心境により、ようやく剛志の犯した犯罪の被害者宅を訪問して謝罪する決心がつくのですが、訪問先で待っていた出来事がまた切ないのです。まさに刹那乱れ撃ちならぬ、「切なさ乱れ打ち」の小説です。

 ちなみに映画版では、朝美を吹石一恵、由実子を沢尻エリカが演じているそうです。今から思えば、それ逆の方が良くない?という感じがしますね。現在の沢尻エリカのイメージでは、由実子のような献身的な行動はできないだろうと思うのは私だけではないはずです。私なら、一緒に十字架を背負うなら吹石さんと一緒の方がいいな。

 東野圭吾は2006年の「容疑者Xの献身」で直木賞を受賞していますが、1999年の「秘密」、2000年の「白夜行」、そして本作など、受賞までに5回も候補に上がっていました。正直この三作のどれかで受賞していて全く不思議ではないのですが、「火車」で受賞しなかった宮部みゆきといい、選考委員のセンスを強く疑わざるを得ません。「秘密」でのブレイク前の作品も面白いので、ぜひ手に取る機会があったらご覧になっていただきたいと思います。

ラストシーン

るんるんカンパニー:とり・みき初期の傑作ギャグ漫画

るんるんカンパニー1巻
 
 今日の宵以降は肌寒いほどでしたね。元気だった虫の音もだんだんかそけき音色になってきて、11月になる頃には息も絶え絶えになっていくことでしょう。

 ところで、とり・みきという漫画家を知っていますか?既に54才ということで大御所レベルといっていいレベルかも知れないので名前くらいは知っているという人も多いのではないでしょうか。

るんるんカンパニー2巻

 熊本県出身で、中退した明治大学では落語研究会や小松左京研究会に入っていたそうで、現在は日本SF作家クラブに所属してます。星雲賞コミック部門は2回受賞(1994年の「DAI-HONYA」と1998年の「SF大将」)しており、1995年には「遠くにいきたい」で文藝春秋漫画賞も受賞しています。

 70年代後半から80年代前半期、私は「少年チャンピオン」を毎週購読していました。今そんなことをしていると、変質者変わり者扱いされるかも知れませんが、当時のチャンピオンは錚々たる連載陣を抱えており、あの「少年ジャンプ」すら抑えて一番売れている少年漫画誌であったのです。

るんるんカンパニー3巻

 私の好きだった吾妻ひでおも少年チャンピオンで漫画を書いていましたが、70年後半はSFテイストの作品が書きたいのになかなか書かせて貰えない(そして書いても人気が出ない)ということで次第に登場しなくなり、寂しく思っていたところに、1979年の「第12回週刊少年チャンピオン新人まんが賞」において、投稿作「ぼくの宇宙人」が佳作になり、デビューしたのがとり・みきだったのです。本人も認めていますが、当時の私もこの人の漫画に吾妻ひでおの匂いを感じたものでした。当時の私の読書傾向はSF一辺倒だったので、きっと共通の(マイナーな)雰囲気を感じ取れたんでしょうね。

クルクルくりん

 そんなとり・みきの初期の傑作として私が推すのが「るんるんカンパニー」です。初期作品群で有名なのは、岩井小百合主演でテレビドラマ化された「クルクルくりん」かも知れません。無論チャンピオンを購読していたので私も読みましたが、実はあまり好きではありませんでした。なんかこう、メジャー化を指向しているというか、売れよう売れようとして一般大衆に媚びているというか、そういう「非マイナー指向」を嗅ぎ取っていたのでしょう。実際テレビドラマ化したということは、それなりにメジャー化は成功したといっていいのでしょうが、以後とり・みきは少年チャンピオンで書くことはなくなり、私もチャンピオンを購入しなくなっていくのです。これはとり・みき作品が掲載されないからというよりは、人気連載が次々と終了して、新連載がことごとくダメダメだったためですが、その一方で80年代中盤以降のジャンプの勢いは私といえども無視できなかったということがあります。以後89年まではジャンプを購入することになりました。

るんるんカンパニー4巻

 「るんるんカンパニー」に話を戻すと、これは1980年から82年にかけて連載されたギャグ漫画で、「クルクルくりん」の前作品となります。少年チャンピオンコミックスから全6巻が出版されました。ちなみに4巻から6巻は遙か昔shoubonoさんに貸してそのままなんですが、もう持ってないですよね?怒らないから先生に正直に言って下さい(笑)。

葵達郎と深水くるみ

 舞台は私立とりかま学園(高校)で、学園ギャグ漫画ということになります。初期は主人公の葵達郎と、向いのマンションに引っ越してきた三人娘-野泉かつら、北沢静、深水くるみを巡るストーリーとなっていました。この三人娘、生徒会三役であるとともに、「女性至上主義」を目的とする「裏の生徒会」=るんるんカンパニーでもあり、学園や生徒に危機が迫ると、手製のコスチュームに着替えて悪人を成敗するのですが、達郎が正体を知ってしまったことから下働きにさせられ、反発しながら共に行動していました。

 しかし、回が進むにつれて次第に他の登場人物が台頭してきたため、連載中期以降はるんるんカンパニーは全く変身することがなくなり、三人娘は生徒会役員のまま活動することになります。また達郎も主人公というよりは、突っ込み役に徹するようになっていきます。

るんカン3人娘

 で、主役達を喰ってしまったキャラの筆頭が、秋田兄弟です。秋田冒険王が達郎やくるみの担任教師(担当教科は国語ですが、不在の教師等が出ると何でも代行します)で、双子の弟が秋田まんが王(精神科医のはずですが、なぜか健康診断もやります)で、年齢は30才です。秋田兄弟の名前は、かつて秋田書店から刊行された漫画雑誌「冒険王」と「漫画王」からとられており、妹が1人いますが、名前は「ひとみ」(秋田書店から刊行された少女漫画雑誌)です。

冒険王とまんが王

 この2人が本作品のメインとなるギャグキャラクターであり、特に秋田冒険王は、とりかま学園内の関係者が相次いで倒れるたびに、その代理を勤める設定で、本職からことごとく脱線した行動を取って葵達郎や3人娘らを悩ませ続けます。ちなみに3人娘のうちかつらと静も突っ込みキャラ化しますが、当初から天然だったくるみだけはボケキャラになって秋田ブラザーズと一緒にギャグを展開したりします。

執事の吉田さん

 この狂気の秋田ブラザーズに唯一対抗できるキャラは、PTA会長で大金持ちの羽高伝求(はだかでんきゅう…)の執事・吉田さんでしょう。吉田さんは羽高家に長年勤めていますが、連載中期からは羽高家と関係なく秋田兄弟に並ぶギャグキャラクターとして頻繁に登場するようになり、主役を務めた回もありました。本作以後もとり・みきの他作品で度々描かれる「スター」となりました。

 この狂気トリオが中心となって展開するギャグはすさまじくシュールで、今見ても大笑いです。また、回ごとのストーリーには作者の造詣が深いSFや落語が下地になっているのもあります。また、とり・みきは本作連載中に画力が大きく向上(特に5巻以降)し、可愛くてポップな女の子が描けるようになりました。それが次作「クルクルくりん」に生きたといえるかも知れません。

るんるんカンパニー5巻

「雪合戦出口なし」とか「銭湯準備完了!」なんかは絵とギャグのバランスが良くて好きだったなー。あと後半になって登場した秋田クリニックの秘書兼助手の三崎けいこは、なかなかの美人として描かれていて、なぜか秋田まんが王に好意を持っていて、まんが王とコンビで主役としても描かれてました。後半の絵柄で10巻くらいまで書いて欲しかったのですがね…。「クルクルくりん」の分まで「るんカン」をやって欲しかった!

 マイナーかも知れませんが、当時一番面白いと思ったるんるんカンパニー、早川書房か文庫版全4巻で全話収録されているらしいです。ということは、3-4巻を買えば長い間失われたままの少年チャンピオン・コミックス版の4-6巻を補完できるのかも知れません。それとも中古でオリジナルを買いそろえたものか…いつでも手に入るとなると悩みますね。

ルンルンカンパニー6巻

冥王計画ゼオライマー:史上最強のロボットを描いた漫画

冥王計画ゼオライマー
 
 昨日は日中も肌寒い位でしたが、今日の日中は暖かでしたね。「暖か」なんて言葉が抵抗なく使えるなんて…先月の今頃は思いもしませんでしたよ。今夜も暖かいですが、また明日になれば朝夕冷え込むことでしょう。寒暖差が大きいので体調にはくれぐれもご注意を。きっと皆さんの体も今年の長い長い猛暑にやられて知らず知らずのうちに消耗していることでしょうから。

 そういえばまた昨日はたくさんのアクセスをいただきまして、日記全体で493位、サラリーマン・OL部門で84位という当ブログ史上2番目の順位となっています。つい先週も史上2位と言っていたのですが、一つだけ順位を上回りました。また来ちゃいましたよ成層圏(笑)。二桁は荷が重いにゃー。

 ま、そんなことはさておいて、今夜は古い漫画の記事を行ってみましょう。先週、30年近く前という遙かな昔にちらっと見た「冥王計画ゼオライマー」が完全版になって出版されていることが判明したので、早速Amazonで購入して取り寄せて見ました。

連載誌レモンピープル

 私が「ちらっと」見たのは、1983年か84年頃の「レモンピープル」という雑誌ででした。「レモンピープル」と聞いただけで、ある年齢・ある属性の方々の眉がぴくっと動く様が目に浮かぶようです。自称は「美少女コミック」と称していましたが、要するにロリコン雑誌の草分けであり、従来の劇画調の成人向け漫画と一線を画した可憐な美少女と性的描写の組み合わせで人気を博していました。

 連載していたのは吾妻ひでお・あさりよしとお・雨宮淳、内山亜紀などの比較的有名な漫画家から、千之ナイフ・破李拳竜・阿乱霊といったカルト的人気を持った個性派漫画家まで様々でしたが、そんな中で異色の巨大ロボット漫画を連載してたのが「ちみもりお」でした。

 強殖装甲ガイバー

 「ちみもりお」-おそらく「魑魅魍魎」をもじったのではないかというペンネームですが、この人は後に「高屋良樹」名義で「強殖装甲ガイバー」の連載し、現在もほとんどこれ一本の執筆に専念している模様の漫画家です。「ガイバー」は劇場公開されたり、テレビアニメとして放映されたり、OVAが出ていたりしているほか、2回も実写映画化がなされているので、ご存知の方も多いかと思います。私も20世紀末、近所の漫画喫茶で読んでいたのですが、21世紀になってその店がなくなってしまった後、仕方なく現在も通っているちょっと遠い漫画喫茶に行くようになったら「、ガイバー」が全然置いてないので続きが読めなくなっています。

 メジャーな「ガイバー」をさておいて、誰も知らないかも知れない超マイナー作品「ゼオライマー」を語る、それがユースフクオリティー。「レモンピープル」に連載されたのは1983年10月号から84年11月号までで、約1年でした。一般誌で「強殖装甲ガイバー」の連載を始めるために成年漫画誌での活動を停止したことにより、「ゼオライマー」も途中でいわゆる「第一部・完」という形で終了してしまいました。

違う表紙のゼオライマー

 その後、設定などを変更した上で1988年から1990年にかけて同名タイトルのOVAとしてアニメ化されました。こちらはDVDやBRになって販売されており、私もDVD版を持っています。詳細については改めて後日語りたいの思いますが、このOVA版の「ゼオライマー」がゲームのスーパーロボット大戦シリーズに登場したことを契機として、2007年に「完結編」が掲載され、完全版の刊行に至ったようです。

 ストーリーですが、日本でロボット研究をしていた氷室遼三博士は、世界支配を目論む巨大組織、鉄神帝国ネマトーダの誘いに応じ、妻の氷室美久や同僚の若槻魔沙樹らを伴って、ネマトーダの世界支配に貢献するロボット研究を行いますが、実は協力すると見せかけて、自分達にしか扱えない最強のロボットを完成させ、冥王として世界に君臨しようと企みました。

 最強のロボット「ゼオライマー」の開発は順調に進みましたが、ある日氷室博士は妻の美久が魔沙樹と通じていたことや、ゼオライマーが魔沙樹と美久以外には操縦できないようにされていることに気づきます。設定の変更は不可能であったため、氷室博士は偶然の事故を装って魔沙樹と美久を殺害し、ネマトーダの蘇生技術で、殺した二人を胎芽の状態に還元してから蘇生させました。そして、記憶の再構成前に二人とゼオライマーを奪い、ネマトーダを脱出し、無垢な二人の成長を待って彼らを操ることで、氷室博士自身が全世界を掌握することを目論見ます。しかし、ゼオライマーの覚醒を恐れた助手の秋津は、新生児になった魔沙樹を奪って姿を隠してしまいます。

美久登場シーン

 14年間後のある日、秋津マサキとして育てられていた若槻魔沙樹と、氷室博士の姪・美久として育てられていた氷室美久が再会し、ネマトーダも氷室博士の所在を把握し巨大ロボットを出撃させます。否応なくゼオライマーに搭乗させられて迎撃に出たマサキは、ゼオライマーに隠されていた記憶・人格再生プログラムによって若槻魔沙樹の記憶を取り戻していきます。

 ネマトーダの将軍・ゴルシードが差し向ける巨大ロボットとの戦闘を重ねる内に、マサキはもう一人の人格“魔沙樹”との間で苦悩を続けるのですが…という感じです。OVAはまたちょっと設定が違っているので、これはあくまで漫画版のあらすじです。

 主役メカ・ゼオライマー自体は14年前の設計であるため、作中では既に旧式な巨大ロボットなっていますが、異次元から無限のエネルギーを取り出すという驚異の「超次元システム」の搭載により、他の巨大ロボットを圧倒する超絶的な攻撃力と鉄壁の防御・再生能力を併せ持つ、最強無敵のロボットとなっています。何しろコクピットが完全破壊されようがパイロットが原子分解されようが、瞬時にして再生することができるので、イデオンやガンバスターすら凌駕する史上最強のロボットかも知れません。

運命を甘受する美久

 そして成人向け漫画らしい設定(笑)として、「超次元システム」の核となるのが氷室美久という可憐な女の子(中学2年生の14才。エヴァを彷彿とさせますが、当然こちらの作品の方が先行しています)で、「次元ジョイント」を装着して「超次元システム」の接点として機能するという、ゼオライマーの「心臓」というべき存在なのです。その「次元ジョイント」、装着部分がなんと彼女の子宮。ゼオライマーの起動中は頭部の光球内に全裸で浮かび、光球内に設置された触手群によって性感帯を責められることでエネルギーを供給するようになっています。ああなんという成人向け設定(笑)。その間の美久はゼオライマーのパーツとして扱われ、コクピット内のマサキとの会話もできないままに触手に責めまくられるという……。まさしく美久だけにみっくみくにされてます。

連載時の美久

 また、「次元ジョイント」は本来半永久的に機能するのですが、オリジナル(一個しかなく、複数の制作は不可能)の回収に失敗したため、寿命の短い代用品を使用せざるを得なくなっていて、2週間程度で交換しなくてはならなくなっています。この辺りの設定もまた美久ちゃんのエロシーン描写に多大な貢献をすることとなっています。美久ちゃんにとっては非常に可哀想な陵辱シーンのオンパレードとなる訳ですが、読者からすると

だがそれがいい

ということになるのでしょう。

 なお、氷室美久は当初はいろいろな秘密を知っている謎めいた美少女として登場しますが、秋津マサキが“魔沙樹”として覚醒し始めると立場はすっかり逆転してしまいます。美久自身は前世の記憶がないため、“魔沙樹”に真実を告げられ、父のように慕っていた氷室博士を妻であった自分が裏切っていたという事実にショックを受け、“魔沙樹”に籠絡されて彼の言いなりになってしまいます。この籠絡にあたってのアクション(笑)部分も、絵柄自体は可愛らしいものの、調教といってもいい程のハードなシーンが続くのですが、「レモンピープル」連載当時の画力が後に比べればまだまだ足りない感じですね。完結編では流石に流麗な美久ちゃんが描かれていますが、その完結編では残念ながら(?)エッチなシーンはあまりありません。

終盤の美久

 単行本巻末によると、実はサ○ライズが1999年頃にアニメ化を企画したそうでうが、結局日の目は見なかったようです。しかし、2008年に開始された「冥王計画ゼオライマーΩ」(原作:ちみもりお(高屋良樹)、作画:ワタリユウ)は、これをベースにしているそうで、完結編ラストから続編として描かれているようです。

ゼオライマーΩ1巻

 こちらは成人向け漫画ではないのでそっち方面の描写は抑制的だそうです。そのせいか(作画も違うからかも知れませんが)、美久ちゃんは一層幼くあどけない感じがしますね。裸にはなっても要所要所は長い髪で隠していたりして。

ゼオライマーΩ2巻

 「冥王計画ゼオライマー」完全版は、ダークな方向に進んでいくのかと思いきや、実際には後天的に生まれた「秋津マサキ」の人格が思いの外強かったせいで、若槻魔沙樹の記憶は受け継いだものの、人格までは継承しなかったということで、「氏より育ち」ということわざを地でいくような展開になります。「逃げた助手」という程度の扱いしかされていない秋津さんですが、実はいいお父さんだったのかも知れません。美久ちゃんもそんなマサキが好きになったみたいです。その一方でじゃあ若槻魔沙樹は一体どんな育ち方をしてあんな悪の権化みたいになったのだろうかという疑問が沸いてきます。大体「魔沙樹」ってなんなんだ。普通のセンスで付けられないDQNネームですね。若槻魔沙樹の両親はヤンキーだったのでしょうか。

ラブラブ美久×マサキ

 さらに美久ちゃんはといえば、前世では邪悪な魔沙樹とは愛人関係となり、今世ではマサキとも恋愛関係になるということで、どちらにしてもこの二人は相性がいいとみたいです。やはり運命の二人なのか。赤い糸で繋がっているのか。

ネマトーダ総帥

 なお、最後の敵であるネマトーダ総帥と彼が操るロボットにな大きな秘密があります。この設定はOVA版とも共通している部分がありますので、OVA版ゼオライマーの記事で触れたいと思います。そういえば、「ミク」というキャラも終盤登場しますよ。姓は「初音」じゃないと思いますが。

ミク登場(初音じゃないけど)

 OVA版でも美久ちゃんは氷室美久として登場します。容姿はだいぶ違っていて、それは別に構わないのですが、設定の変更により、なぜ「氷室」なのかが不明になってしまったことは残念。そもそも姓がいらないのではないかと……おっと、その点についてもまた後日に。

OVA版の美久

好きな声優さん(その4):17才のあの人

お澄ましお姉ちゃん
 
 昨夜は上野で会合でした。カラオケ3時間で久々に喉を酷使しました。今日は曇っていて時々小雨が降ったりしてまさに「暗い日曜日」ですね。だからって自殺しちゃいけませんよ。

 今日は久々に好きな声優シリーズをやりたいと思います。30代、40代、20代とやってきたので、それじゃあもう10代をやるしかないということで、この人を。

コスプレをするお姉ちゃん

 はい、「永遠の17才」こと井上喜久子さん。通称「お姉ちゃん」です。1998年頃から17才らしいので、年期が入ってますね。プロフィールには生年がありません。17才だとすると1995年頃の生まれということになるのですが、なぜか声優としての活動は1988年に始まっています。あれ~?

笹団子を喰らうお姉ちゃん

 おそらく実際は40代で、それもかなりいっているとは思いますが、17才です。なにしろ「永遠の17歳」を自称する信者達の「17才教」の教祖様だそうですから。

明るいお姉ちゃん

 井上喜久子さん、神々しい声でかつては女神様とか精霊とか、美しい人外を演じたり、母性的で優しい女性の役を演じることが多かったような気がしますが、その後は悪役とか様々な役も演じて幅広い役柄を演じていますね。昔PCエンジンで「スナッチャー」というゲームをやったのですが、そこでジェミー・シードという金髪女性を演じていました。

ジェミー・シード

 これが非常にマッチしていたので、美人女優の吹き替えやらせたらいいんじゃないかと思っていたら、こんな女優の吹き替えをやっているようです。

 キャメロン・ディアス

キャメロン・ディアス

 クリスティ・ヨン

クリスティ・ヨン

 ジェニファー・コネリー

ジェニファー・コネリー

 やっぱりな。見る目あるなあオレなんて自画自賛したりして。

 井上喜久子さん、17才ですがベテラン声優なので、出演作は多数ありますが、私が知っている主な役どころはこんなところです。

 「らんま1/2」天道かすみ

天道かすみ

 きっこさんブレイクのきっかけとなった役柄です。ヒロイン天道あかねの姉で、家事全般をこなし、しっかり者ですがおっとりしていて非常に優しく滅多に怒らないという一家に一人欲しいお姉ちゃんですね。この役で「お姉ちゃん」という通称が確立したとか。

壁紙かすみさん


 「ふしぎの海のナディア」エレクトラ

ノーチラス号の副長エレクトラ

 金髪碧眼で褐色の肌を持つノーチラス号の副長。艦長のネモには愛憎入り混じった複雑な感情を抱いているらしく、名前の由来もギリシア神話のエーレクトラー(ならびに神話に由来するエレクトラコンプレックス)のようです。これは養父とも言えるネモに対する彼女の心情を示しているようですが、最終的にはネモの子を身篭り、産んだらしいです。じゃあナディアの継母ということに?

プラグスーツ風エレクトラ

 後半はプラグスーツのような制服を着ています。これはエヴァンゲリオンに継承されたのでしょう。

 「ああっ女神さまっ」ベルダンディー

ベルダンディー

 お姉ちゃんの代表作ともいえる女神様ですね。美貌でスタイルもいいですが、おっとりしていて家事全般が得意で家庭的。その上誰に対しても優しく接し、人望も厚いという、一家に一人欲しい女神様です。

翼のあるベルダンディー

 原作の漫画は1988年以来なお連載中らしく、劇場版アニメ、OVA,テレビアニメ、ゲームと様々な媒体で発表されています。

ウエディングドレスのベルダンディー

 「ギャラクシー・エンジェル」シャトヤーン

シャトヤーン

 「月の聖母」と呼ばれ人々からの尊敬を一身に受ける「白き月」の管理者です。年齢不詳ですが、人間離れした神秘性を持った女性。そして実はトランスヴァール皇国の皇位継承者であるシヴァ皇子の母。

シヴァ皇子の母シャトヤーン

 白き月はトランスバールから独立し、トランスバール皇帝と白き月の聖母は協力関係にありましたが、先代の皇王ジェラール・トランスバールが白き月に軍事侵攻し、白き月を武力により直轄地としてしまった際に、シャトヤーンと無理矢理関係を持ったようです。この事実を知ったとき、プレイヤーの大多数は「ジェラール逝ってよし!」と思ったことでしょう(私もです)が、そういえばゲーム冒頭で死んでましたっけ(笑)。

 「サクラ大戦3」ロベリア

ロベリア

 巴里華撃団の一員ですが、盗みや強盗、要人邸爆破まで殺人以外のあらゆる犯罪をこなし、これまでの罪状を並べると懲役1000年を超えるという、「巴里始まって以来の大悪党」です。お姉ちゃんとしては異色の悪役で最初はびっくりしましたが、これ以降芸の幅が広がったとか

 「ひぐらしの鳴く頃に」園崎茜

園崎茜

 メインキャラの魅音と詩音の実の母親。夫が組長である「園崎組」の大幹部であり、建前上は組の持つ園崎興業株式会社の代表取締役社長で、通称「鹿骨の鬼姫」。その性格は結構お茶目でノリがよく、本人はそろそろ上品なイメージを持ちたいと思っており、優雅な振る舞いを心掛けていますが、側近達が昔の武勇伝を話して回っているので、思い通りにはなっていません。ザ・極道の女達という感じですね。

 「CLAYMORE」幻影のミリア

幻影のミリア
 
 No.6の戦士で、責任感が強く統率力に富むベテラン。瞬間的な妖力の急上昇により、超スピードを発揮する移動術「幻影」を得意とし、緩急をつけた移動で敵に残像を見せて翻弄する戦い方から「幻影のミリア」の異名を持ちます。その技能と統率力の高さ、聡明さから、「集団戦ではNo.1以上の働きをする」と言われています。うーむ、後半は強そうな女性が増えましたね。

僕らのベストだ、お姉ちゃん

 他に歌手活動もやっていて、シングル2枚、アルバムは12枚もリリースしています。私は1999年の「僕らのベストだ、お姉ちゃん」を持っています。初回特典だった「お姉ちゃんとお揃いの、ウェンデにゃん携帯ストラップ」も使っていましたが、とうになくなってしまいました(笑)。

「どうぞよろしくね」の入った「みずうみ」
 セカンドシングル「どうぞよろしくね」はとてもいい曲なんですが、YouTubeにはありませんでした。残念無念。アルバム「みずうみ」や、「僕らのベストだ、お姉ちゃん」に収録されています。

女神様風お姉ちゃん

 さて、次回に備えて本物の10代声優に目星をつけておかねば(汗)。

 

プリンセスメーカー2:愛娘を魔王にしてしまいました…

サターン版プリメ2
 
 いやー実に秋らしい晴天ですね。夏は暑い暑いばっかりで、秋になればなったで秋だ秋だばっかり言っている気がしますが、一応「日記」カテゴリなのにこんなでいいのかと自分でも思っております。しかし、今日はこれからshobunoさんたちと飲むのでとっとと始めてしまいますよ。

 さて恒例「ギャルゲーの土曜日」ですが、先週プリンセスメーカーを紹介したので、「1」が出たら当然次は「2」でしょうということで、今回は「プリンセスメーカー2」です。

サターン版プリメ2裏

 一作目から2年後の1993年6月15日にPC-9801版が発売され、以後各機種に移植されたのは「1」同様です。前回の娘が戦災孤児だったのに対し、今回は神様から預かった天界の少女を育てていくという形になっています。ある王国がソドムトゴモラの如く退廃に陥ったことにより天界の怒りを買い、天界に命じられた魔王とその軍勢が王国を攻めて滅亡寸前というところまでいくのですが、たまたま通りかかった勇者(主人公)が単身魔王の本陣に乗り込んで魔王と一騎打ちをして負傷しながらも魔王を退けることに成功します。これにより天界は王国にもう一度だけチャンスをやることとし、勇者に娘を授けてその育て様を見て判断するということになりました。

あの星を目指せ!(プリンセスの星…一徹か)

 娘の育成具合に王国の命運がかかっているのなら、王国は全面的にバックアップしてしかるべきですが、特別な支援は特にありませんでした。まあ主人公は救国の英雄なのである程度特別な扱いを受けているようですが、退役将軍くらい?たいしたものではありません。

天から降りてくる娘

 本作からはアドバイス役として執事のキューブが登場します。コウモリのような翼を持っていたり耳が長かったりと明らかに魔族なのですが、執事になった経緯などは一切不明です。街の人には普通の人間に見えているようです。
執事のキューブ
魔族のキューブ

 また「1」が12歳以上対象のゲームだったのに対し、「2」は15歳以上対象のゲームとなりました。その差はというと、ゲーム中にお尋ね者との闘いに敗れてあわやという目に遭ったり、非行により牢屋に入れられたりというイベントが発生することや、エンディングも大地主の中年男の妾になるとか、娼婦になるとかSM女王になるといったややインモラルなものがあるからでしょう。王子の結婚相手としてのプリンセスのみならず、現国王の王妃になってしまったり、寵姫になったりもします。また魔王に見初められて「悪魔の花嫁」になることも…

魔王の花嫁

  娘のデザインは、個性的だった「1」に比べると汎用的というか、特徴の少ない者になっているような感じがします。主人公色に染まっていく純白のウエディングドレスのような娘といった風情でしょうか。なお娘声は複数の声優さんが演じていますが、私がプレイしたセガサターン版では久川綾さんでした。なかなか品があって良かったのと、付属していたドラマCDの熱演が印象的でした。

娘の初期画面

 全体的にイベントとかパラメーター項目が増えていて、前作から順調な進化をしている本作ですが、その分娘の状態もいろいろ変わっていて難しくなっています。本作ではなぜかストレスが万病の元凶となっています。
春のバカンス

 良いステータス:笑顔
 ストレスのない状態です。 できればこの状態を保ちたいのですが、条件は月末にストレスが0なことなので、ストレスが毎月2上昇する血液型A型の娘では見ることができないという差別ぶり(笑)。
夏のバカンス

 バッドステータス①:病気
 病気にかかると、バイトや習い事を失敗しやすくなるほか、 最悪死んでしまうことも…。月末のストレスが体力より10以上甥と病気になります。90以上になると瀕死の重体に。対処方法はとにかくストレスを下げることですが、瀕死状態が2ヶ月続くと娘は死んでしまい、ゲームオーバーになってしまいます。 最善の対策は予防ですが、そのためには健康管理を「とにかく丈夫な子」という方針の下、農場や舞踊などで体力を上げたり、月末にストレスを残さないようなスケジュールを組むのがいいでしょう。
秋のバカンス

 バッドステータス②:非行化
 反抗的な状態で、バイトや習い事をサボります。警察の厄介になるようなことになると評判傷が…。月末のストレスが信仰かモラルの高い方の数値を10以上上回ると非行化します。90以上になると愚連隊に仲間入り…。 対処方法はやはりストレスを下げることで、他に信仰かモラルのどちらかを上げることも有効です。愚連隊入りが2ヶ月続くと逮捕されます。死ぬよりはましとはいえ…。予防のためには信仰かモラルのどちらかを上げるか、月末にストレスを残さないようスケジュールを組むことです。
冬のバカンス

 バッドステータス③:肥満肥満
 体重が増えすぎて見た目が太くなり、ドレスも着られなくなるので毎月色気が減少します。対処方法はダイエットあるのみ。
健康管理を「ダイエットさせる」にすればすぐに減らせるが、体力が低下します。 体力に不安があると、キューブが勝手に「とにかく丈夫な子に」に変えてしまいます。まあ死ぬよりはましですからね。 夏の海にバカンスに行くと、体力を落とさず減量できるほか、「いにしえのミルク」を使うと、1kg減ります。それ、古くて悪くなったミルクでおなかを壊すということでは…。予防策は常に体重に注意して、健康管理を「おしとやかな子に」にしておくのが有効です。
武者修行で敗れると…

 バッドステータス④:色気
 これはバッドなのでしょうか…?色っぽい状態で、妾の誘いやナンパに遭いやすくなります。フェロモンむんむん状態ということでしょうかる。色気のパラメーターが一番高いとなるようです。予防策は他の基本能力を色気より上げることです。また信仰やモラルを上げればこの状態を保ったままでも妾やナンパをかわせるようです。それなら色っぽい娘も悪くはない…?
高級娼婦エンド

 バッドステータス⑤:家出
 何を思ったか娘が1ヶ月家出してしまいます。表情には表れないので前兆がつかめません。感受性が他の基本能力より高い状態で月末にランダムに発生するようです。発生するととにかく行方不明なので娘の帰りを待つしかありません。また 帰ってきても全評価が-10%(涙)。予防策は他の基本能力(ストレス・因業を除く)が感受性を上回るようにすることです。
寵姫エンド

 エンディングは就職と結婚が別に表示されます。なので勇者になって王子と結婚とかが普通にありです。まあ職業に王妃とか寵姫とか伯爵夫人とかもあるので、そうなると重婚は不可能ですが。あと魔王の花嫁から魔王就任というエンドもありますがこれも独身なんでしょうね。
ヤミ酒場就職エンド

 私は愛娘ということで感情移入が過ぎるせいか、鬼畜系なプレイはできませんでした。なので娼婦とか妾とか父との結婚といったエンドは見られなかったのですが、魔王エンドだけは見てしまいました。因業(カルマ)を下げずに他は素晴らしいパラメーターという状態でなったのですが、その前に魔王の花嫁となって去って行くというイベントがあります。もし娘が掠われたというのであれば、父としては草の根分けても探し出して救出するところですが、もはや娘は父を凌ぐ戦闘力・魔力を持っているので魔王といえど無理矢理連れ去ることなどできないでしょう。自分の意志なら仕方がないかな…なんて思っていたら娘が新魔王就任という知らせが。やはり魔王ごときはお前の敵ではなかったか(笑)。
戦士系勇者エンド

 もちろんその先はゲームにはありませんが、ちょっと妄想してみると、さあ父はこれからどうするか?
魔王エンド

 ① 老いた体に鞭打って、愛剣をとって魔王征伐に向かう。娘が魔王となったのは己の責任。けじめはつける。しかし、自分が倒せなかった魔王を倒した娘に勝てるのでしょうか。魔王軍を蹴散らし娘と一騎打ち。案の定娘の戦力は父を圧倒します。しかし、父には娘にも伝授しなかった最後の切り札があったのです。相打ち必至の秘奥義で自らの命と引き替えに娘と共倒れとなる父。「お、お父様…」瀕死の手を伸ばす娘の指に触れつつ父も絶命するのであった……
SM女王エンド

 ② 新魔王就任で祝宴が催される魔族の中に一人の男の影が。「何者!」魔将軍達に囲まれても悠揚迫らぬ男に気付いた新魔王が制止する。「お父様…」娘に向かう道が開かれ、ゆっくりと歩を進める父。左手には愛剣が提げられている。「娘よ…」呼びかける父。「よくぞ魔王を倒した。しかし慣れない魔族どもの中に一人ではいろいろと辛かろう。及ばずながらこのわしがお前の背中を守ろう。」「お、お父様…なんて嬉しい…」「うむ。好きなように生きなさい。お前と私なら天界にすら攻め込めようぞ」
魔力系勇者エンド

 ③ 新魔王が天界の命を受けて王国に攻めてくる。パニック状態の王宮に呼び出された元勇者は国王以下王国の要人に責められる。「そなたの責任であろう。何とかせい!」黙念と責め立てられていた元勇者はやおら立ち上がると愛剣を提げて謁見の間を立ち去ろうとする。「待たんか!責任を取れ!」「責任だと?」踵を返した元勇者の目の鋭さにたじろぐ一同。「王国滅亡は天界の意志。それと知らずに血気にはやった若者が魔王に挑んだが8年前の話。本来8年前に滅亡していたはずが今日まで生きながらえられたのだ。その幸運に感謝することもなく、何ら対策を取ることなくひたすら惰眠を貪っていた貴様らに人を責める資格があるか。」くるりと振り返って再び謁見の間を立ち去ろうとする元勇者。「仮初めとはいえ娘と剣を交えることはわしにはできん。不服ならば腕ずくで止めてみよ。まあ何十人何百人が束になってもわしを止めることはできんだろうがな。魔王は己の意志でがなく、天界の命を奉じるもの……せめて神に助命を祈ってみるのだな…」飄然と王国を去った元勇者の行方を知るものは誰もいなかった……
王妃エンド

 個人的には①が悲しくも美しいのではないかと思いますが、選択するなら②ですね。娘と二人して世界を壊して回り、ついでにふざけた天界も破壊してやりますよ。
(_゚∀゚)o彡°ケイオスケイオスアイワナケイオス!!
王子と結婚

彼女はいいなり(その2):壇蜜さんの「解説に代えて」に捧ぐ

 本日の記事は壇蜜さんへの公開書簡のようなものです。もちろん読んで頂いて差し支え有りませんが、気の利いた画像などが一切ありませんことをご了承下さい。

 壇蜜様

 拝啓

 久しくお目にかかる機会を得ておりませんが、お元気でご活躍の由、嬉しく思っています。

 さて、今般「彼女のいいなり」巻末の「解説に代えて」を読ませていただきましたので、ごく私的な感想をここに記させていただきたいと思います。

 まずは初出演にして初主演の映画撮影、本当にお疲れ様でした。DVDやテレビ出演などをこなしてきたとはいえ、初めての映画はさぞや大変だったと思います。それを完遂させたのは、偏にご自身の努力の賜でしょう。もちろん共演者や周囲のスタッフに支えられたということもあると思いますが、それも壇蜜さんの努力と姿勢あってのことだと思います。30年前なら角川四人娘になっていたかも知れませんね。

 さて、壇蜜さんはこれまでに様々な経歴を踏んでこられましたたね。大学を卒業して、就職して、専門学校に入って、葬儀関係の仕事をしたりして。そんなご自身について、あなたは「いつも自分の居場所がないような気がしている」とおっしゃっています。何足も草鞋を履いて、それがどれもしっくりこなったということなのでしょうか。

 これについて私は、壇蜜さんはいろいろな才能に満ち溢れすぎて、どの道を進んでいいのか判らなくなっていたのではないかなと愚考するものです。いわゆる「器用貧乏」というやつですね。あれもできるこれもできると言う反面、「これなら誰にも負けない、任せとけ」というものがない。スイスのアーミーナイフに例えればわかりやすいでしょうか。これ一本で何でもこなせて便利だけれど、もし専門の工具類があるならば迷わずそちらが選ばれてしまうという。

 もちろん、成長した時代背景というものもあったことでしょう。新卒で採用された会社一本でここまで愚直に生きてきた(生きざるを得なかった)私ですが、就職先が比較的楽に見つけられるという時代背景に大いに助けられたことは間違いありません。そういう時代でなければ性格の悪さが災いして就職先を見つけるのに大変な苦労をしたかも知れませんし、ニートや引きこもりになったことも十分考えられます。それで良ければという話ですが、壇蜜さんが同時期に就職先を探していたならば、きっとよりどりみどりだったと思います。その「居場所」に満足できるかどうかはまた別の問題ですが。

 壇蜜さんがご自分の「居場所」を探して生きてきたのだとするならば、それは巷間よく言われる「自分探し」の一種だったのでしょうか?かつて世界を放浪したり、様々な職種を経験したりして「本当の自分」を探すということがちょっとした流行だった時期がありました。世間の風潮もまたそれを良しとするところがあり、また探せばいくらでも仕事があって、フリーターで十分稼いでいけるという時代でした。その頃のそうした人々は、いつか「本当の自分」に出会ったのでしょうか?私ははなはだ疑問に思うのですが。

 じゃあお前は「なりたい自分」になったのか、と問われれば、「いいえ」と答えざるを得ません。「なりたい自分」というものは昔から漠然とはあります。しかし、それが自分自身の理想像であるとするならば、どこかに旅すれば出会えるとか、何かを経験すれば得られるというものではなく、どんなに長く辛くとも一歩一歩足を動かすように一日一日の人生を生きていく、その先に浮かんでいる蜃気楼のようなものではないかと思うのです。どんなに美しく、どんなに欲しても、決して手が届くことがないような(ああ、それじゃ壇蜜さんそのものだ)。でも、そこに向かって少しでも近づこうと足掻く、そんな地を這うような生き様こそ、私のような特段の才に恵まれない者の人生ではないかと、いつからかどこかで達観していたようです。

 まあ私のことはこの際どうでもいいので、壇蜜さんの話に戻りましょう。結論から言えば、壇蜜さんの「居場所」探しとバブル時代の流行であるところの「本当の自分」探しは似て非なるものではないかと思います。壇蜜さんは「『お金掛けていろんなことを習得した割には、全然それをお金に還元できていない』というのが、一番の引け目だったんです。」とおっしゃってますね。また、結婚についても「雇用主ではない夫と出会いたい」とも。

 つまり壇蜜さんの「居場所」というのは、一人の大人の女性として(或いは人間として)自立・自活できる場所(職業)ということになるのではないでしょうか。結婚関係においては夫と対等な立場に立っているということを意味することでしょう。それが器用貧乏が災いしてか、なかなか見つからなかったと。もちろん「解説に代えて」に記されていない様々な出来事が壇蜜さんの半生に起きていて、その生き方に影響を与えてきたことは疑う余地がありませんが、「居場所」がなかなか見いだせなかった大きな原因については、私は二つの要素が挙げられると思うのです。

 以下、もしかしたらお叱りを受けるかもしれませんが、それを覚悟して敢えて書きます。

 原因の一つは、壇蜜さんに天から付与された諸々の才能のうち、最大のものを敢えて活用しようとしてこなかったことではないでしょうか。そう、言うまでもなくその天性の容姿・美貌です。木嶋佳苗などはどれほどそれが欲しかったことでしょうか。ですが、あなたはつい最近になるまでれを積極的に活用しようとはしてこなかったのですね。もちろん人の生き様は人それぞれですから、非難するには当たりませんし、もしかしたら、そういう天与のものを利用することをよしとしないようなストイックなポリシーを壇蜜さん自身が持っていたのかも知れません。

 私たち人間は不平等極まりない世界に行かされています。日本国憲法や世界人権宣言が何を謳おうが、生まれつき決定されている不平等な要因の何と多いことか。運動会の徒競走が、足の速い子や遅い子を同列に扱っていて不平等だなんていう意見もあるようですが、そもそも我々の人生のスタートラインからして、裕福な家庭に生まれる者あり、貧しい家庭に生まれる者あり、望まれて愛されて育つ者あり、無関心の中で育つ者ありと、様々な差違が生じているのです。今更平等も何もあったものではありませんよ。むしろ無作為に走らせた上で「これがお前達の生きていかなければならない世界の現実だ!」とでも教えた方がいいのではないかと思います。

 壇蜜さんであってさえ、幼少期から何らかのご自身の中の「満たされない」もの、「欠けたる」ものの存在には気付いていたはずです。無論全てに満ち足りた人などほぼ皆無といっていいでしょう。例え人が羨むような境遇にある人であってさえ、何か凡俗には想像もつかないような何らかの「餓え」を抱えていたりするのではないでしょうか。しかし、その反面、壇蜜さんは人一倍恵まれた「才」も数多持っていたはずです。その最大のものの一つが、先ほど言った容姿・美貌です。

 これを利用することは、私のような持たざる者から見れば本当に不公平に見えるのですが(それゆえやっかむのですが)、反面、門地家柄や家族環境などと同様、自分では選択の余地無く与えられるものでもあります。それはもう、天が「使え」といって与えたものだと解釈するしかないのではないかと思います。

 だから私は思います。裕福な者はその恩恵に預かっていいし、門地家柄の優れたものはその条件を十分生かしていい。そして容姿・美貌に秀でた者もそれをためらわず活用していいと。無論、羨望や嫉妬に囲まれることもあるでしょうが、それは大砲を撃てば砲身が後退するような「反動」であると解釈するよりないでしょう。自発的にか受動的にかは判りませんが、壇蜜さんは二十代後半にしてようやくその天賦の才を利用することに踏み切ったようです。その時期の是非について今の私は判断できかねますが、世間的には今後の活躍ぶりによって評価されることでしょう。そして高い評価を受けることになればいいなと思っています。

 そして原因のもう一つは、お母様の存在です。こう書くと本気でお怒りになられるかも知れませんが、まずは私の見解をお読み頂けないでしょうか。お怒りはその後で存分に。

 壇蜜さんのお母様は素晴らしく立派な方でしょう。お目にかかったことはありませんが、そう断言できます。なぜならば壇蜜さんのお母様だから。そして壇蜜さんは映画出演に際して、「解説に代えて」で「最初に思ったのは『これ、母がみたら、なんて言うかな』でした。」「自分のことよりも『これ、母親はどう言うかな』しか無かったです。」とおっしゃってますね。一ページに二回もお母様を気にする文章が出てくるのは極めて特徴的と言わざるを得ません。

 この文章だけでも、お母様がとてもご立派な方であって、壇蜜さんの成長に深く関わっていること、そのお母様を壇蜜さんが深く愛していること、二人の中が非常に良いことなどが伺われます。それらがとても素晴らしいことであることに疑問の余地はありません。しかし、「個人としての独立」という点ではむしろそれが仇になったという側面がありはしないでしょうか。

 親と仲がいい、親が立派である、これらのことも「天賦の才」の一つであるといえましょう。しかし、人間は(というか生き物は)成長するにつれ、いつかは親離れをしていかなければならないものです。別に親と別居しろとか、仲良くするなと言っている訳ではなく、「親の意見がどうであれ自分はこう生きる」といった、人生の指針を自ら掲げる時、精神的な独立を果たす時がこなければならないのだと思うのです。これは別の言い方をすれば「親を乗り越える」ということです。そしてここで問題になるのが、「親が立派だった時」なのです。

 各界で偉大な足跡を残した人物の子息が味わうという重圧、プレッシャーはまさに「親を乗り越える」ことが人一倍大変であることを意味しているといえるでしょう。「親を乗り越える」ということは「精神的な独立」を果たすということなので、同じ道を進んで親以上の業績を上げるということを意味するのではありません。しかし、同じ道を進んだ子供達にとっては、親が偉大であれば偉大であるほど峻厳な山脈と化して立ちはだかるように見えることでしょう。そして、仮にどんな方面に進もうとも、「偉大な親」という存在は、乗り越えるにあたってはやはり大きな障害になることでしょう。

 「毒になる親」なんて言われるひどい親を乗り越えることはさしたる難事ではありません。むしろ早期に積極的に乗り越えていくかも知れません。また平々凡々に生きている世の多くの親たちも、乗り越えるに当たっては色々な苦労もあるかも知れませんが、やはり大多数の人々は乗り越えていくのです。しかし壇蜜さん、ひょっとするとあなたはお母様が立派すぎるが故に、仲が良すぎるが故に、愛するが故に、乗り越えていくことが遅くなってはいなかったでしょうか?いわゆる「一卵性母娘」になってはいなかったでしょうか?

 もちろん仮にそうだとして、一概に「悪」と断じるものではありません。肯定的な解釈も多数あると思います。しかし、安直な利用で申し訳ありませんが、Wikipediaでは否定的意見として次のような記述があります。

「第一に挙げられるのはパラサイトシングルの温床になっていることである。母親は可愛い娘を実家から引き離したがらず、また娘も経済的・精神的に居心地の楽な実家で母親の世話になり続けたいので、成人した後も実家から娘が離れなくなってしまうことが多くなっている。さらに「自分の老後の面倒を見て欲しいので、娘には外に出て欲しくない」といった要求を示す母親もいる。
パラサイトシングルは男女共通の現象であるが、特に女性にパラサイトシングルに対する満足感が強い。
(中略)
第二に挙げられるのはカップルや結婚後の夫婦の関係を妨害したり、崩壊させる要因となっていることである。娘のことに対して必要以上に口出しをする母親が増えてしまい、またそれを受容する娘も増えてしまったため、それにうんざりした恋人や夫が愛想を尽かして、別れたり離婚したりするケースが近年後を絶たなくなってきている。母親の心理としては嫁に嫉妬する姑と同じであり、形を変えた新たな嫁姑問題とも言える。母親は娘のことをどこかでライバル視しているので、娘の幸せを妨害しようとする深層心理があるという説もある。」

 この全てが壇蜜さんとお母様の関係に当てはまるとは思いません。もし全く思い当たる節がないとすれば、全力で謝るしかありませんが……いかがでしょうか?

 こんなことを書いていても、私は今の壇蜜さんについては心配していません。もしかすると他の人より少し時間はかかったかも知れませんが、現在の壇蜜さんは偉大なお母様を「乗り越えた」と思うからです。それは、お母様がどう思うかということをひどく心配しながらも、映画出演に踏み切ったときになされたのではないでしょうか。もちろん、「乗り越えた」上で尊敬したり、仲良くしたり、愛したりすることになんら問題はありませんから、引き続き仲むつまじい関係を維持していただきたいと思うのです。

 長々と書き綴ってしまいましたが、女優・壇蜜があなたの居心地の良い場所になることを、そしてその居場所があなたに幸福を感じさせてくれることを心から祈念しています。最近私がはまっている「ARIA」という漫画によると、どうやら幸福とはどこかを探して見つけるものではなく、自分の置かれた環境や周囲の中で感じるものらしいです。私にはおそらく生涯できそうにありませんが、壇蜜さんになら可能なことでしょう。

 それでは壇蜜さんの人生に「居場所」と幸があらんことを祈念して、最後に「ウンディーネ」をお贈りして終わりにしたいと思います。読んで頂きましてありがとうございました。

 敬具

http://www.youtube.com/watch?v=nzB3uBO8_Hw&feature=related

私の音楽デバイス史(その2):ミニコンポ編

コンポのアップ
 
 皆さん、秋を堪能していますか?今日はちょっと日中暑かったような気がしますが、日が暮れればこのとおり。虫の音が秋の盛りを伝えてきます。もうすぐ次第に弱まっていくのでしょうけど。さて、いつやることかなんて言っていた昔話、今日やっちゃいます。

ツンデレ

 べ、別にネタが尽きた訳じゃないんだからねッ!?もう、みんなが聞きたいっていうから……などというツンデレはちょっと気の強そうな女の子に任せて置いて、早速始めましょうか。

 ミニコンポに入る前に、それ以前に買った連中を紹介しておきましょう。まず留守録用のオーディオタイマーのSONY PT-77。

SONY PT-77

 「JET STREAM」の回(9月10日)でも紹介していますが、の一週間単位の予約が可能で、確か29,800円。高い!今にして思えばウィークリーなんて必要なかった気がします。でも格好良かったんですよね、ボタンがいっぱいついてて。当時松本零士の絵の影響でメカメカしたメカ(なんだそりゃ)が好きだったせいもあります。ソニーのタイマーだから当然ソニータイマーが入っていたらしく、見事に5年くらいで逝ってしまいました。

 次はアンテナ。テクニクスのウイングアンテナというものです。

テクニクス SH-F101

 SH-F101。価格は確か12,000円くらいでした。当時貧乏(今もさして変わりませんが)でアパート住まいだったのでアンテナを勝手に立てることもできず、室内アンテナが必要だということで買ったのですが、すぐそばに高圧電線の鉄塔が建っていたせいか、ノイズがよく入って泣かされました。環境のせいか接続せいか、とにかくカタログデータほどの威力は発揮できなかったなあという印象があります。

アイワAD-F60M

 カセットデッキ。アイワのAD-F60M。他のメカは忘れていた型番ですが、これだけはすらすらと。それだけ思い入れがあるということでしょうか。

 Bombeat8の性能に限界を感じていたのと、放送部に入って音楽テープを必要とし始めたことから購入しました。確か中2の夏頃だったでしょう。秋葉原で各社のカタログを大量に集めてきて(これは当時のオーディオ少年達は必ずやってました)比較検討下結果選んだのですが、アイワにしたのはコストパフォーマンスの良さでしょうか。いろいろ機能がついている割に、他社のより休めなんですよね。値引率の高さも魅力でした。ソニーなんてやたら強気であんまり値引きしてくれない(このあたりシャネルの香水みたいですね)けど、アイワは「2割3割は当たり前!」精神を前面に出していました。ちなみに当時はシャープも値引き率が高かったですね。

電気のナカウラ

 定価は確か69,800円。高い!もっとも秋葉原で買ったので当然定価でなんてあり得ません。電気のナカウラだったかな?♪ハッピーハッピーアンコウ親子~♫…なんて歌がありました。いいことづくめのようなアイワ製品でしたが、当然その裏にはクリムゾンの同人誌のごとく巧妙な罠が隠されていたのでした。なにしろアイワは壊れやすい!このカセットデッキは確か3年持たなかったような気が。これじゃコストパフォーマンスなんて言葉を使う意味がありません。きっとアイワタイマーは値引きの元を取るべく、ソニータイマー以上のシビアさを持っていたのでしょう。しかし信頼性を損ねては次は買って貰えないのではないかという当然の疑問が沸いてくるわけですが、後述しますが実際はそうでもないことは自ら立証してしまうのでした。

 一浪してようやく大学に入りましたが、合格祝いなどあるわけもなく(学費で精一杯)、先週紹介したナショナルのラジカセRX-5650を引き続き使用していました。しかしこのラジカセ、今見てもかっけえですね。この頃、10年選手のレコードプレイヤーも逝かれてきたので、「黎紅堂」(懐かし~)からレコードを借りてテープに録音するという当時の趣味を継続ために、レコードプレイヤーの購入が必要となりました。

SL-6テクニクス

 で買ったのがこのテクニクスのSL-6。ああ、アンテナでも出てきましたが、テクニクスはナショナルのオーディオ機器でのブランド名です。パナソニックはテレビやビデオにおけるブランド名でしたが、今じゃ全部まとめてパナソニックになってしまいましたね。テクニクスという名前は好きだったのですが。それはさておきこのプレイヤー、ジャケットサイズという小型版でありながら、ダイレクトドライブ、リニアトラッキング、10曲までのプログラム選曲、全ての動作の電子制御フルオートという素晴らしいメカでした。価格は54,800円。高いけど、それに見合った性能といえるでしょう。押し入れを探せば今もあるような気がします。愛着があって捨てられなかったんでしょうね。

 ただ、選曲機能はLPレコードといえど通常片面に10曲も入っていない(歌謡曲などでせいぜい4~5曲)ので、宝の持ち腐れな感もありましたね。オートリバース機能でもあれば良かったのですが、さすがにそれはちょっと(笑)。

 さて、いよいよ大学2年の夏、ミニコンポを購入する時がやってまいりました。この日が来るのは長かった~。当然秋葉原でカタログをせっせと集めましたとも。CDが登場していたので当然CDプレイヤー付き狙いです。レコードプレイヤーはがあるので何ら心配ありません。そして比較検討の結果購入したのは…

AIWAのミニコンポ CD My Pace V55

 アイワのCDミニコンポでした。型番を忘れてしまったのと、画像がどうしても見つからなかったのですが、だいたいこんな感じでした。またアイワかよ、懲りないな~という声が聞こえてきますが、一度の失敗で投げ捨ててはいけない、もう一度チャンスをやろうという寛大な気持ちでですね……すいません、やはり値引率が良かったんです。

 ですが、機能は良かったですよ。ダブルカセットだしオートリバースだし、タイマーも内蔵しているしリモコン対応だし。コンポが欲しいという長年の夢が叶いました。しかし、その頃時代はAからVへ、すなわちビデオへと急速に移行しつつあったのです。テレビ・ビデオ編はまた別の機会に譲りますが、おかげで長年の夢が叶った時、すでに「夢」は別の方向に移っていたという皮肉な結果となりました。

 さて、アイワに2度目のチャンスをやった訳ですが、前回よりは健闘したものの、7年ほどでやはり逝ってしまわれました。よし次のミニコンポを買わねばという時期、既に私は働いておりました。時代はミニコンポよりさらに小型のミニミニコンポが流行していました。もう昔とは違うぞ、一番高いコンポ持って来い!と強気になったのですが、バブルがはじけた後だったせいか、もはやフルセットで30~40万というコンポは姿を消していました。仕方ないので買ったのが

ソニー プロピクシー エスプリMHC-J970EX

 このソニーのPRO PIXYE SPRITです。記事冒頭の写真はこれのアップです。確か定価は20万程度だったでしょうか。購入価格は14万円くらいで、安くなったものよのうと思った気がします。憧れのソニーもずいぶん値引きするようになったなあとか。しかしこのコンポ、高級感に満ちていました。エレスロスタティックツゥイターというセロファンにたいなツィーターがついていました。アイワのコンポがスピーカーにチープ感があったので、今回はスピーカーの良さそうなものをと思ったのですが、このプロピクシースピーカー本体にアンプが入っており、総出力は何と320W!ええい、ソニーのミニコンポは化け物か!という感じです。そのせいでスピーカーがやたら重かったのを覚えています。こんなに出力があっても、フルパワーを出す機会なんかありませんがな。ドルビープロロジックという仮想4チャンネルなんかも付いてました。

 さて、その後海外勤務を命じられまして、プロピクシーを持って行くわけにもいかず、現地でオーディオ製品を調達する必要に迫られてまず買ったのがパイオニアのステレオでした。

パイオニアのミニコンポ

 確かこれとは微妙に違ったのですが、だいたいこんなメカでした。一見コンポに見えますが、実はセンター部分は一体化しており、レシーバーになっています。ダブルカセットに3枚のCDを連続で聞けるチェンジャーがついていました。が、この購入は大失敗でした。買った直後から、右のスピーカーが全く機能しなかったのです。仕方ないので左のスピーカーからだけ聞いていましたが、右チャンネルの音が聞こえないのは困りもので、ステレオが仇となりました。モノラルならまだしもだったのですが。

 それでもっと高い物を買わねばいかんと買ったのがパナソニック(海外では既にパナソニックで統一されていました)のステレオでした。SC-AK47!なんだか旧ソ連の自動小銃みたな型番ですが。

SC-AK47.jpg

 どうです、かっこいいと思いませんこと奥様!ラジカセの時も思ったのですが、ナショナル系はデザインがいいですね。これが到着してパイオニアのステレオは窓から投げ捨てん勢いで即行捨てました。そしてメイドさんに叱られました。何で怒っているのかわからなかったのですが、よくよく言い分を聞くと「捨てるくらいなら私にくれ」ということでした(笑)。はい、以後は捨てるものが出たら、聞くことにしました。そうしたら何でも持って行きました。

 こいつもセンター部はレシーバーでしたが、パイオニア製より高かったせいか、CDは5連装となり、スピーカーにはスーパーウーハーが搭載されていて、スーパーウーハー、ウーハー、ツィーター、スーパーツィーターの4wayとなっていました。スーパーウーハーを左右に置く必然性は正直「?」でしたが、デザイン重視だったのでしょう。こいつは非常にいいステレオでした。今でボサノヴァやジャズを聴きまくりました。

 さて、帰国後、今も使っているステレオは、パナソニックのSA-PM57MDです。

PanasonicMDコンポSA-PM57MD

 これまで私の期待に見事に答え続けてくれた松下さんに敬意を表したのですが…ここにきてしくじりましたよ、松下さん。海外でCDチェンジャーの快適さに味を占めた私は、CD5連装のこいつを選んだのですが、なんと音飛びの嵐。安心して聞いてられません。今ではもっぱら朝に目覚ましでラジオを聞くためだけの「大きなラジオ」と化しています。それでも10年も使っているのは、音楽聴取ももはやPCでやるように変わってきたからです。やはり時代は動いていくものなのですね。

 そういった訳で、メカ嗜好はオーディオ→ビデオ→パソコンと順調に進化(?)していきました。音楽が嫌いになったはずもありませんが、オーディオ機器にはもはや執着はなくなってしまいました。心は、変わるものだ……

彼女はいいなり(その1):「私の奴隷になりなさい」シリーズ第6弾

彼女はいいなり
 
 はい、こんばんは。本来は今日が体育の日でしたね。そう思うと、月曜日しっかり休んでおきながら、休みなのに出勤させられているような気がしてくるから不思議ですね。怠け心には際限がないのか。足るを知らざるなりか。

 今日は謎の覆面作家・サタミシュウの「私の奴隷になりなさい」シリーズ第6弾「彼女はいいなり」を読了したのでご紹介したいと思います。

 「私の奴隷になりなさい」については当ブログ6月29日の記事で取り上げていますので、よろしかったらご参照下さい。

 http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-50.html

 実は「奴隷」と「いいなり」の間には第2弾「ご主人様と呼ばせてください」、第3弾「おまえ次第」、第4弾「はやくいって」、第5弾「恋するおもちゃ」があるのですが、全部未読で、今後も読む予定はありません。ではなぜいきなり第6弾なのかといえば、解説(正確には「解説に代えて」)を壇蜜さんが書いていることと

コシマキ

 この本のコシマキ(帯ともいいますね。カバーの上にある「今月の新刊」とか書かれたあれです)が「私の奴隷になりなさい」の映画化を記載したものであり、このコシマキを外して裏を開くと“出版業界初にして前代未聞、世界初!?の“二つ折グラビア帯”が初回限定で付いてきます!!”ということだからです。これはもう買うしかなかろうと。

ちょっとだけよ

 で、汗水垂らして働いて得たなけなしの金を出して買って読んだ以上、その感想を率直に綴る権利もあろうというもの!図書館で借りた本は無料で読んでいるという引け目(本当は市民税とか払っているのだからもっと堂々としてもいいのでしょうが)があるので面白かった本だけ紹介するのですが、買った本については罵倒もありという方針でおります。

 内容については、Amazonでの紹介は

 童貞高校生・美樹は恋人・苑子との初体験への期待とともに夏を迎えた。だがある夜、苑子が後輩にフェラチオしているのを目の当たりにしてしまう。傷つく美樹の前に現れたのが美術の志保先生。先生は美樹にすべてを告白させると、ついには美樹を犯してくれる。その後は先生のいいなりに、あらゆるセックスを体験する美樹。しかしやがて美樹の頭の中に、ある疑問が大きく広がっていく…。大人気シリーズの第6弾。

 ということになっています。この本を読了した私の最初の感想は、どういう訳か

まるで成長していない……

でした。どうしてなのかは追々語ります。さらにその後に思ったのは、「節子それSM青春小説とちがう、官能小説や!」ということです。最近読んだ本で言えば「ゲルマニウムの夜」(花村萬月)とか「ホテル・アイリス」(小川洋子)は官能描写もあるものの、純文学の領域にあるといえますが、「彼女はいいなり」は「私の奴隷になりなさい」以上の官能描写で、もはや「フランス書院」とか「マドンナメイト」から刊行されていても全然おかしくないというか、なぜそっちから刊行されていないのかというレベルになっています。

 まずがっかりしたのは、主人公の美樹を女の子だと勘違いしていたこと。てっきり青春百合SM小説が読めるものだと思ってわくわくしてしまいましたよ。先の内容紹介を読めば「童貞高校生」と書いてあるのだから男だと判っていなければいけませんでしたね。でもさあ、大辞泉によれば

1 まだ異性と肉体関係をもったことがないこと。また、その人。ふつう男性にいう。

2 カトリック教の尼僧。

とあるので、女性と勘違いしたとしても絶対おかしいという訳ではないですよね。ぐちぐち…

 彼女の苑子は小学校からの知り合いで、いわゆる幼馴染み的存在です。ようやく高校2年の春に告白して交際し始めたのですが、キスもできずにいたところでいきなり苑子の部活(演劇部)の後輩に寝取られるというNTR展開。悔しいのう、悔しいのう(笑)。本来NTR展開は、寝取られる主人公と読んでいる自分がシンクロしているべきなのですが、NTR展開が早すぎるのと本当に何にもしていないので寝取られ感があまり伝わってきません。まあ当たり前ながら美樹はショックを受けているのですが。

 しかし、そこへ青春筆下ろし系では良く登場する「優しく癒やしてくれる女教師」登場!ほら漫画だったら「俺の空」、小説だったら「女薫の旅」シリーズ、ゲームだったら「同級生」「下級生」「キミにステディ」他もろもろありすぎで、宇宙人でいえばグレイタイプあたりというほどポピュラーな存在のあれですよ。

グレイタイプの宇宙人

 で、この先生に色々と手ほどきを受けるという展開は腐るほどあるのですが、「彼女はいいなり」では普通以上の官能描写でSM的展開をするセックスが描かれていきます。で、この先生(志保)、彼氏がいることを美樹にはっきり告げており、変態的といってもいいほどのプレイの数々がその彼氏に仕込まれたものであることを示唆します。

 このあたりで、あ、その彼氏は「私の奴隷になりなさい」の「ご主人様」的存在なのだなということが判るのですが志保先生が「私の奴隷になりなさい」の香奈と違うのは、香奈が「僕」といろいろするのは全て「ご主人様」の指示によっているのに対し、志保は「ご主人様」に隠れて美樹とつきあっているというところです。

 「私の奴隷になりなさい」シリーズは、てっきり

 ①ご主人様の奴隷になって調教を受ける

 ②新たな奴隷候補が登場

 ③見極めを付けた上でご主人様が奴隷の下を去り、旧奴隷はご主人様となり、新たな奴隷を調教していく

というルーチンの繰り返しなのだと思っていました。まあ同じ人がやっている訳ではない以上、個性的な展開があっても不思議ではないのですが、「ご主人様」と「奴隷」の関係に浮気が挟まるとは思いませんでしたね。これについては驚くというより、「奴隷」道を逸脱している志保にあきれるというか…

 また、志保は美樹に対して「ご主人様」として君臨するのかといえばそういう訳ではなく、あくまでドMの「奴隷」側に属しているので、首枷を付けれもらったり緊縛されたりと、「ご主人様」以外の人の「奴隷」になってしまうのです。もっとも主導権は志保が握っているので美樹はその言いなりになって「ご主人様」的アクションを取っているので、自覚はないでしょうけど。「奴隷」は次に「ご主人様」になっていかないと、このシリーズのリングは繋がっていかないと思うのですが、志保はなぜ「奴隷」のままなのでしょうか。「ご主人様」はまだ去りそうもないので、嬉々として「奴隷」を続けていればいいのにのと思うのですが。自分が「奴隷」を卒業する前に「奴隷」候補に出会ってしまったということなのでしょうかね?

 「私の奴隷になりなさい」の「ご主人様」によれば、このシリーズにおいての「ご主人様」は、このSM関係が破綻しないようにコントロールしつつ、「奴隷」が人間的にレベルアップしていく方向に導いていくべきなのだ言っています。志保は一見恋人を寝取られた美樹に同情して体で癒やしてくれるかのようですが、実際には美樹のシチュエーションに興奮して、つい愛欲に溺れていったというのが本当のところではないでしょうか。一応志保も関係がばれないように念を押していますし、成績も落とさないよう、親に不審をもたれないよう様々な注意を行っています。しかし、所詮相手は未成年の高校生です。その程度では十分とはいえないでしょう。そもそも教師として(どうも普通の教諭ではなく、講師のようでもありますが)教え子とそういう関係になるのってどうよ?いや、そういうことは良くあることなのかも知れませんが、「私の奴隷になりなさい」の「ご主人様」が偉そうにのたまったところの「ご主人様」道からすると、そもそも対象として選んではいけないのではないでしょうか。

 実は「彼女はいいなり」、時間軸的にはPHSが高校生にもあまり普及していない時期であり、1990年代中葉頃なのかと思われるので、「私の奴隷になりなさい」より昔の話ということになります。「ビデオで録画」のお約束は既にあるようですが、まだ「ご主人様」道が確立しきっていなかったのかも知れません。そして美樹のモノローグによると、志保によって自らの性癖を自覚したものの、その後はノーマルな性生活を続けますが、10年後に志保タイプに遭遇したことで再び燃え上がったということなので、もしや美樹が「私の奴隷になりなさい」の「ご主人様」なのか?とも思いましたが、年齢とか容姿的にはそぐわないような気がします。もしかすると第2弾から第5弾には続きそうな話があるのかも知れませんが。或いは第7弾とかで描かれるのか。

すぐに火を噴く一式陸攻

 そしてこの美樹、性癖を自覚する以前に異常だなと思うのは、その精力絶倫ぶりです。だいたい高校生の頃というのは、野郎のそっち方面のエネルギーが一番膨大な時期ではありますが、この人位凄いのは流石になかなかいないでしょう。しかもちょっとしたことで「暴発」や「発射」を行ってしまっています。お前は「ワンショットライター」と呼ばれた一式陸攻か(これについては異論もあるそうですが)。あるいは機関銃か。それともMLRSか、面制圧兵器なのかと小一時間(ry。

火を噴くMLRS

 そもそも苑子のNTRを想像して自家発電しまくってますからね。やはり性癖的には只者ではない(笑)。で、どうして私が「SLAM DUNK」の安西先生的感慨を持ったかということですが、官能描写ばかり増えて驚きがなかったという点ででしょうか。「私の奴隷になりなさい」は、香奈の奇怪な行動がすべて指示されたものであったことや、ビデオテープに映される「香奈の本当の姿」が「僕」を打ちのめすあたりに新鮮な感覚を覚えたのですが、「彼女はいいなり」にはそういう新鮮さが感じられませんでした。終盤、志保の「ご主人様」である彼氏が登場してきますが、美樹にはさほどの動揺もなく、むしろ別れる前の最後の願いとして、志保が「ご主人様」に調教を受ける様を覗き見させてもらっています。やはりたいしたタマだ君は。まさに「自分から桂言葉」!

涙の桂言葉

 これ、綺麗な女教師が男子高校生を…というシチュエーションなので、読者は若き日の夢(ほとんど実現可能性がないという意味では妄想と呼ぶべきか)を思い出して「お、いいな」なんて思えるのですが、男教師が可憐な女子高生をあれよあれよという間に誘惑して訳もわからぬうちに調教スタートとかだと非常に腹の立つ展開でしょうし、なによりも許されないなあという気持ちが先立つのではないかと思います。志保が許されるのはあくまで女教師だからのような気がします。

時期的にはこの三代目ソアラか

 ところで志保、海外留学中の弟と一緒に住んでいるということではありますが、臨時講師風情(失礼)にしてはソアラに乗ったり、高級そうなマンションに住んだりとやたら優雅な暮らしをしています。留学中の「ご主人様」のご威光ではなさそうなので実家が金持ちなのでしょう。社会的地位と相当な金がありそうな「私の奴隷になりなさい」の「ご主人様」といい、この世界のSM関係はある程度裕福でないと成立しないような気がします。衣食足りて礼節を知ると言いますが、衣食足りてSMを知るということか。

 まあ食うことでかつかつな原始時代とかに悠長にSMなんてやってられないでしょうから、「不倫は文化だ」と言ってた馬鹿もいたことですし、きっと「SMも文化だ」という人もいることでしょう。

どっかの馬鹿

 節子それ文化と違う、性癖や!

 なお、壇蜜さんの「解説に代えて」については、別途感想を書きたいと思いますのでまた後日……

ソフマップの壇蜜さん

 あ、待ってますか(笑)。

ARIA(その2):哀しみと寂しさを覚えて大人になるの…


 
 朝夕はちょっと肌寒いかなという位になった昨今…あのうんざりするような残暑を思えば何と贅沢な感覚でしょうか。秋っていいですね。秋らしくなったといえばそれも当たり前、昨日8日は二十四節気の一つ、寒露だったんです。8月に立秋、11月にはもう立冬と考えると、本来晩秋と言っていい時季なんですね。こちとらはようやく秋らしいと感じ始めたばかりだというのに。

 さて、今夜は9月にその1をやりました「ARIA」のその2をやらせていただきます。昨日漫画喫茶で読んだのだ(笑)。まあ魔性の女(プリンセスメーカー4)のせいで全部読めませんでしたが。今回は6巻から9巻までと、「ARIA」の前身(掲載誌が変わる前の連載)である「AQUA」全2巻を読んできました。

AQUA1巻

 まずは「AQUA」から。タイトルと掲載誌が変わっただけで内容は完全に連続しています。15歳の春、水無灯里が惑星AQUA(かつての火星)に到着するところから始まり、アリアカンパニー就職(既に決まっていた)及びアリア社長とアリシアさんとの出会い、最初の友人・藍華をはじめ、郵便局のおじさんやサラマンダーの暁との遭遇などが描かれ、夏には知らないうちに昇格試験を受けていてペア(両手袋の見習い。客を乗せられない)からシングル(片手袋の半人前。プリマ(素手の一人前)が同乗していれば観光案内ができる)に昇格するするというストーリーで、1巻で一つの季節を描くというスタイルも同じです。

AQUA2巻

 まだ作画が若干こなれていない感じがするのと、アリシアさんの雰囲気がちょっとだけ違う(ARIAのアリシアさんの方がより優しくたおやかで美人な気がします)感じがしますが、アニメの「ARIA」は「AQUA」のエピソードを取り込んでいることが判りました。灯里は冒頭、AQUA到着前の宇宙船内から電子メールを誰かに送っていますが、誰なのかは不明です。アニメでは最初のお客になったアイに送っていて、アイからの返事も来ていますが。AQUAの一年は地球の二年に相当するため、一年が24ヶ月で構成されています。つまり一つの季節が半年続くので、AQUAの2巻で一年経過していることになります。地球で予習してきたとはいえ、一年足らずでペアからシングルに昇格した灯里。灯里は努力型ではなく天才肌…そう思っていた時期が俺にもありました…(笑)

アリア6巻

 そして「ARIA」です。9巻まで読んだということで、AQUAを含めると11シーズン、66ヶ月が経過しています。これは地球時間に換算して5年半です。灯里、全然変わらないように見えますが、実は20歳を超えています!そしてシングルに昇格して4年以上経っているのにプリマには昇格できないまま、藍華・アリスの三人娘で自主練を続けています。本当は才能ないのか、灯里!

 実は一人前で通り名を持つプリマは、ウンディーネを志す誰もがなれるものではないようで、ずっとシングルのままトラゲット(渡し船)のウンディーネを務める人もいるとか。人生の全てに喜びを見いだすことのできる灯里なら、それはそれで楽しくトラゲットを操りそうですが、やはり夢はプリマなので最終巻までにはなるんでしょうね。

アリア7巻

 1-5巻までは、不思議なエピソードを挿入しつつ、ARIAでの生活やウンディーネ稼業の楽しさ、喜びが中心に描かれて今回読んだ6-9巻では、相変わらず不思議なエピソードは交えつつ、灯里が寂しさや哀しみというものを感じるエピソードが増えているように感じました。例えばアリアカンパニー入社以来の相棒だったのに、観光用としては耐用年数が来てしまったゴンドラとの別れ(お別れ航海に出る灯里を見送るアリシアの表情がひどく悲しげです。いつも微笑んでいる人のこういう表情はとても効きますね)とか、水の三大妖精(アリシア・晃・アテナ)がかつては灯里・藍華・アリスと同様三人で自主練に励んでいたことを知り、いつも一緒にいるのが当たり前で、そんな日々がずっと続くと思っていたのに、プリマになればお互い多忙になって会うこともままならなくなるという事実に行き当たって当惑したり。

 もちろん、「『あの頃は楽しかった』じゃなくて、『あの頃も楽しかった』。だって今も楽しいから」「そうなる頃は、きっと私の知らない後輩と楽しく過ごしている」といったアリシアの言葉に救われてますが、過ぎれば二度と戻らない時の流れに思いを馳せるようになったということは、灯里も年齢を重ねて大人になったと言うことなのでしょう。なにしろ20歳過ぎてますから。じゃあアリシアさんは一体何歳になったんでしょう。まさかすでに美魔女の領域……まさかそんな。

アリア8巻

 不思議なエピソードも、ほのぼのとしたものばかりでなく、喪服の貴婦人の亡霊(?)に掠われそうになったりと、危ないものも出てきました。これまではせいぜい狐の嫁入りに遭遇して誘われる位だったのに。灯里のいい人っぷりは亡霊にも判ると言うことなのでしょう。もう一人前の女性なんだから、あんまり脳天気でいてはいけないということでしょうが、きっとこの人は変わらないのでしょう。ちゃんと救ってくれる存在もいるし。

 そういえば9巻末にはグランマ(天地秋乃)の若き日のエピソードが描かれていました。かつては姫屋で働いていたのに、水辺を動かず何かを待ち続けている野良猫時代のアリア社長に出会ったことで、独立してアリアカンパニーを興したんですね。それにしてもアリア社長は何を待っているのでしょうか。しかも最近は灯里と一緒にゴンドラに乗ったりしてアリアカンパニーを留守にすることも多いのですが…

アリア9巻

 また、プリマになったらどういう通り名にしようか考えるというエピソードがありましたが、ここでアリシアは「白い妖精」(スノーホワイト)、晃が「真紅の薔薇」(クリムゾンローズ)、アテナが「天上の謳い手」(セイレーン)であることが判明しました。スノーホワイトじゃ白雪姫じゃないの?とか、セイレーンは舟を難破させるのでやばい(ライン川のローレライはセイレーンの一種)のではないか…いや、本人が漕ぐ場合は寧ろ安全か?とか思ってしまいます。なんかこの通り名、「影技 SHADOW SKILL」の修練闘士(セヴァール)の字名みたいですね。

SHADOW SKILL

 ゴンドラに乗る前に「我はスノーホワイトなり。我が漕技にかなうものなし。我が櫂は無敵なり」とかつぶやいているアリシアさん……結構いいかも(笑)。

武技言語を唱えるアリシアさん(嘘)


氷菓(その1):省エネ指向の学園推理ドラマ~「えるはラブリー」?

古典部一同
 
 三連休最終日の夜、いかがお過ごしでしょうか。今日は秋らしい一日という感じでしたね。こんな外出に最適な気候なのに、「プリンセスメーカー4」が届いてしまったのでついプレイしてしまいましたが、一回目がフリーター(中世ヨーロッパ的世界なのにやたら今時な)、二回目が下級貴族(主人公の部下らしいです)の妻とかなりしょぼい人生ばかりになってしまいました。いずれプリンセスにも勇者にもしてやろう、その暁には記事に上げようとは思いますが、現状では何がいけないのかよくわかりません(涙)。ううっ、シズカ(娘の名前です)…不憫な子。

「プリメ4」の娘3段進化

 またランキングの話で恐縮ですが、このところ日曜日にアクセスが増えるという現象が起きており、昨日は252アクセスもありました。そういう訳でランキングも上がって日記ジャンルで520位、会社員・OL部門で85位と久々に約2ヶ月ぶりに二桁台に。酸素マスクなしで成層圏に到達した零戦なみにあっぷあっぷする数字ですよ。ブログ史上2番目の高みです。

 まあその反動か、それとも皆さんアウトドアで秋の好日を満喫したためか、今日のアクセスはがくっと下がっているので明日にはリーマンショック並の大暴落をお目に掛けることになるでしょう。

左から折木奉太郎、千反田える、伊原摩耶花、福部里志

 前置きはこの辺で本日の記事を。いつもコメントをいただくshobunoさんとたまにコメントをいただく元根以蔵さんがそろって勧めてくれたので、アニメ「氷菓」を見始めました。多分原作の「古典部シリーズ」の第一巻「氷菓」部分だと思われる5話まで見たのでとりあえずの感想を。

 神山高校で姉の勧め(というかほとんど命令に近いのかも知れませんが)で「古典部」という廃部寸前の部活に入部した主人公折木奉太郎ほかの男女4人が、学校生活に隠された謎に挑む物語のようです。さすがは京都アニメーション、作画が非常に美しいですね。

シャロ

 推理物というとそれこそ古典はシャーロック・ホームズということになるでしょうが、実際、古典部員の設定はシャーロック・ホームズシリーズに準拠しているのだとか。ホームズが奉太郎、依頼人がえる、ワトスンが里志、レストレード警部が摩耶花なんだそうです。ホームズってこんなにレイジーじゃなかったというか、事件依頼が来るのを待ち構えている人で、事件がないとコカインやったりする人なので大分性格は異なりますね。まあアニメ版の「ミルキィホームズ」のシャーロック・シェリンフォードに比べればそれはそれは探偵に近いですが(笑)。

折木奉太郎
福部里志

 主人公の折木奉太郎のCVは中村悠一。そして相棒格の福部里志のCVは坂口大助。このコンビはどこかで見たような気がするなあと思ったら……「ときめきメモリアル4」の七河正志と小林学じゃないか!

 ラジオ番組「あなたと!ときめきメモリアル」を乗っ取る形で、一回だけ「おまえと!ときめきメモリアル」というお馬鹿な番組をやってましたっけ。

七河(右)と小林(左)

…そうか、あの黄金コンビがここで復活なのか(笑)。ちなみに上記二人は「ときめきメモリアル4」における主人公の友人で、中村悠一演じる七河正志はイケメンでモテモテなのに妙に女嫌いで、坂口大助演じる小林学は成績優秀だけど女にモテナイキャラで、七河には「オレと伝説になろう!」と迫ってくるホモイベント(夢オチですが)が、小林には女装イベントがありました。どっちも面白い奴らだったなあ。

千反田える

 ヒロイン千反田えるのCVは佐藤聡美。愛称は「しゅがぁ」ですね。最初はちょっと地味かと思いましたが聞き慣れるといい感じですね。私が知っているキャラとしては…

「けいおん!」のドラマー・田井中律

田井中律

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の地味子こと田村麻奈美

田村麻奈美

なんかを演じていますね。千反田える役は代表作の一つとなることでしょう。しかし、「える」って妙な名前ですね。千反田家は名家だそうですが、こんな名前を付けたのは誰なんでしょうか。

Lです

こんなんだったらきっと奉太郎は全力で逃げ出すことでしょう。

あとエルというと「The・かぼちゃワイン」の朝丘夏美が連想されます。まあこっちのエルは「Lサイズ」に由来する愛称なので、千反田えるとは違いますが。OPは「Lはラブリー」というものでしたが、こんな動画がYouTubeに。

かぼちゃワインのエルこと朝丘夏美

http://www.youtube.com/watch?v=3SYehpiIRdg

http://www.youtube.com/watch?v=RYFrLwWI1b4

この調子で千反田版「えるはラブリー」も誰か作ってくれませんかね。Lよりは当然として、オリジナルよりも可愛いと思います。

伊原摩耶花

 そして最後のメンバー伊原摩耶花。一番名前が難しい。「いはら」じゃなくて「いばら」と読むそうです。性格もまさに「茨」って感じで奉太郎に対してなぜか毒舌なんですが、他の人にはそうでもないようですね。CVは茅野愛衣。え?この人は…

本間芽衣子

 「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」の「めんま」こと本間芽衣子を演じた人ではないですか。声では全然わからなかったですよ。声優はすごいすごいとは思っていましたがここまでとは。部員がホモビデオに出ていたことを知った立教大学野球部の監督さんなみに「なんだこれは…たまげたなあ。」

 ちなみに佐藤聡美は

佐藤聡美

 一方茅野愛衣は

茅野愛衣

 ホントに最近の声優さんはお綺麗で。ED「まどろみの約束」を二人で歌っていますが、きっとイベントとかでデュエットする姿も美しいことでしょうね。

まどろみの約束

 で、今後出てくるであろうが、今は声だけで登場の暴君・折木供恵(CV雪野五月)。アニメでは放映中の2012年の話になっていますが、原作では2000年の話なんだそうですが、あんた旅の途中でプリシュティナに滞在したりしてますね。今年の話なら別にいいのですが、2000年当時は女の子がぶらっといけるような所じゃ有りませんでしたから。NGOとか国連職員とかで日本人女性も結構いましたけど、旅人はねえ…だいたいどうやって入るのかというところがリアリティに欠ける気が。まあ不可能を可能にするというミッション・インポッシブルな女傑だという描き方をしているのならエピソード的にはいいのかも知れませんが。なお、このいちゃもんもどきはあくまで原作の時制に対してです。アニメは2012年の話なのでノープロブレムです。

 ということで秋アニメのいい作品がまだ判らないなか、とりあえず「氷菓」と「ARIA」を見ていこうと思います。ジオンはあと10年戦える(嘘)。

 今後解明されるかも知れないけど、現時点での謎。知っている人はまあ笑ってやって下さい。

① なぜ奉太郎は「灰色」の青春指向なのか。過去または現状に特別な理由があるのか

② なぜ奉太郎は極端な省エネ指向なのか。エネルギーを振り向ける別の用途があるのか

③ なぜ摩耶花は奉太郎を嫌うのか。特別な理由があるのか

④ なぜ里志は摩耶花のアタックに曖昧な態度で終始するのか。趣味ではないのか、それとも他に好きな人がいるのか

⑤ 春休みや夏休みでもあるまいに供恵はなぜ旅を続けているのか。高校合格を手紙で祝っていると言うことは、2月あたりから3ヶ月以上も旅をしているのか

⑥ 千反田家にはなぜ人の気配がないのか

⑦ 糸魚川先生、45年前に高校生ということは、さすがにもう定年じゃないのか(原作なら32年前だから問題ないけど)

 私…

私木になります!

 いやいや…木になってどうする。

私気になります!

 恐い!えるが恐すぎる!!こんなえるは嫌だ!そうではなく、

私、気になります!!
 
 私、気になります!!

咲-Saki-:百合入り萌え系美少女麻雀アニメ

咲-Saki-
 
 連休中日。昨夜半の雨が午前中まで残りましたね。ちょっと肌寒いですが、秋らしい一日になりました。それにしても日の暮れるのが早くなりました。秋の日はつるべ落としとはいいますが、井戸なんか使わなくなった現在ではちょっとわかりにくい表現かも知れませんね。「秋の日は自由落下」とか「秋の日は通常の三倍」……どうもいけませんね。何かいい21世紀らしい表現はないものでしょうか。

 それはさておき今日のお題は「咲-Saki-」です。原作は小林立の漫画作品で、スクウェア・エニックスの「ヤングガンガン」で2006年から連載中ですが、ここではアニメ版を中心に語りたいと思います。

 アニメ版(第一期)は、2009年4月から9月までテレビ東京系列 (TXN) で2クール全25話で放送されました。全25話。話数カウントは原作に合わせ、「第○局」となっていましたが、第19局で当時の原作エピソードが全て消化されてしまったため、第20局から最終話(第25局)まではアニメオリジナルストーリーとなっているそうです。

 舞台は現代ですが、現実世界とはやや異なり、麻雀のギャンブル性が希薄で、むしろ囲碁将棋のような知的なゲームとしての側面が強くなっています。そのため世界の麻雀人口は数億人とも言われており、金銭の絡むギャンブル特有の殺伐とした雰囲気が漂う従来の麻雀漫画とは一線を画し、麻雀が現実より一般大衆に浸透し高校生・中学生の競技麻雀公式大会も行われるという世界観の中で物語が進んでいきます。麻雀の人気ぶりは、作中でインターハイの県大会団体戦決勝戦や全国大会がテレビ中継されているほどです。

哭きの竜

 本作は麻雀漫画としては非常に珍しく、萌え絵の美少女雀士が活躍します。従来の人気麻雀漫画、例えば「哭きの竜」とか「アカギ」と比べると、その違いは一目瞭然ですね。

アカギ

 また、男性キャラが極端に少なく、百合描写と思えるシーンが多く登場します。なぜかこの世界では麻雀が男女別で行われているようなのです。女子校はともかく、男女混合でも何の問題もない気がするんですけどね。じゃあ女の子達がキャッキャウフフと仲良く「麻雀ごっこ」をしているアニメなのかとといえば…

のどっちピンチ(あくまでイメージです)

 実際には主人公の宮永咲をはじめとする登場キャラたちが超人的な闘牌を見せてくれます。竜やアカギともガチでやり合える戦闘力です。これは今春放送されていた第二期の「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」では一層顕著になっていますが、「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」では宮永咲らはあくまで脇役で麻雀をしていないので、また改めて語りたいと思います。

リングにかけろ

 あと麻雀に団体戦という発想はありませんでしたね。5人で戦うなんて柔道とか剣道みたいです。勝ち抜きはしませんが。もしやこの発想はあの…「リングにかけろ」なのでしょうか?


咲-Saki-阿知賀編

 それでは主要登場人物紹介を。まずは清澄高校から。麻雀では無名の公立高校で、麻雀に本格的に取り組もうと考える生徒は風越女子高校などの強豪校に進むことが多いため、竹井久が入学したころは廃部寸前の状態でした。

 主人公の宮永 咲(CV植田佳奈)

宮永咲

 気が弱くて泣き虫なドジっ娘ですが、麻雀においては牌が見えるというほどの超人的な勘と運を持っており、「清澄の白い魔王」などと例えられることもあります。家族は4人でしたが、母と姉とは別居中で現在は父子家庭です。姉の宮永照は「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」に登場し、凄まじい強さを見せていました。

宮永照(中央)と白糸台高校の面々

 当初は麻雀は嫌いだと言っておりました。その理由は、家族麻雀でお年玉を巻き上げられるのが嫌で、しかし勝てば怒られるという理由で、勝ちも負けもしないようにプラスマイナスゼロで終局させる打ち方をしていたためでした。
清澄の白い魔王

 半ば強引に連れてこられた清澄高校麻雀部の部室でも何度もプラマイゼロの麻雀をしてみせましたが、部長の竹井久から「次は勝ってみなさい」と言われ、また原村和から「麻雀を好きでもないあなたに負けたのが悔しい」と言われたことなどを契機に、麻雀に真剣に取り組むようになっていきます。

清澄の白い魔王2

  咲が好きな役は自分の名前にも似ている嶺上開花です。「槓材が流れてくる」「嶺上牌を正確に察知する」「槓をすることで他家の手に影響を与え、それを逆用して自分の和了りに生かしたり他家の手を潰したりする」という能力があり、リスクを伴う槓の多用や、地獄単騎で待ち受けるなどするため、第三者からは初心者の打ち筋に見えてしまいます。

清澄の白い魔王3

 5人で戦う団体戦では大将を務め、「牌に愛された」天江衣を倒して清澄高校を優勝に導き、個人戦では1年である自分よりも先輩達が全国に行ったほうが良いと考えて手加減した麻雀をしていましたが、それに気づいた原村和に叱咤されたことで奮起し驚異的な追い込みで部長の竹井久をかわして3位に滑り込み、個人戦でも全国大会出場を決めました。

 原村 和(CV小清水亜美)

原村和

 「和」は「のどか」と読みます。1年生で副将を務める咲の「相方」です。巨乳とツインテールが特徴的な美少女で、全国中学生麻雀大会(インターミドル)個人戦優勝の経験を持つ実力者で、アイドル的な人気を有しています。

 父は弁護士、母は検事をしているためか、その打ち筋は 運に頼らない完全理論派(デジタル)で、咲を始めとする美少女雀士達がこれでもかという魔術的な手を和了っても「そんなオカルト信じません」「一時的なランダムの偏りを流れとかジンクスだと思い込んで心縛られてるだけ」と、オカルトを全否定する態度を貫いています。これは地動説全盛の中で天動説を唱えるくらい勇敢というか無謀というか…

のどっち

 ネット麻雀では「のどっち」のハンドルネームで伝説的強者として知られ、局の初めに5秒ほどの考慮をする以外は即断即決で手を進め、どの牌が来たらどれを切るかということを、和了率のみならず得点期待値まで完璧に計算に入れた上で打つことができます。

 見た目とおりにおっとりとした性格ですが、麻雀においては非常に真剣で勝気です。 小学6年生の頃に母の仕事の都合で奈良に引っ越して「こども麻雀クラブ」に所属していましたが、その頃の仲間が阿知賀女子学院からインターハイに出場しており、その戦いぶりが「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」で描かれています。

咲×和

 咲とは麻雀を通じて友情を深めていき、親友となります。というか、親友以上の雰囲気が…ただし、どんなに仲良くなっても「宮永さん」「原村さん」と呼び合っています。それに限らず、普段から年上年下無関係で丁寧語や敬語を多用しています。個人戦では2位となり、咲とともに個人戦でも全国大会出場を決めています。

 片岡 優希(CV釘宮理恵)

片岡優希

 清澄高校1年生トリオの一角で先鋒を務めます。咲、和、優希が入部するまでは清澄高校は大会に出ることもできませんでした。お気楽にして豪快な性格で、語尾に「じぇ」や「じょ」をつけるなど特徴的な喋り方をします。速攻型で東場では圧倒的に強いのですが、南場になると失速するタイプです。

どや顔の優希

 格下の相手は圧倒してしまうことが多いですが、格上の相手にはあっさりと敗れることも多く、各校とも先鋒には最も実力のある者を据えるのがセオリーなのですが、清澄高校の場合は優希が点数移動計算ができないからという理由のようです。

 竹井 久(CV伊藤静)

竹井久

 3年生で麻雀部部長にして清澄高校学生議会長です。中堅を務めています。旧姓は「上埜(うえの)」。 基本的にはオーソドックスなデジタル打ちですが、大事な局面ではあえて手を崩し、地獄単騎や嵌張(カンチャン)といった悪い待ちで他家からの出和了りを誘うなど、セオリーを無視することによって相手を翻弄する戦いを好み、対戦相手を撹乱します。

部長の実力

 部長だけあってその実力は確かなものがあり、和も「あの人に任せて悪くなったことなんてない」「中堅戦は部長だから心配ない」など、強い信頼を寄せています。 飄々とした雰囲気ですが、後輩達には隠しているものの、実際にはプレッシャーに弱い面もあります。中学3年時に、インターミドルで福路美穂子を苦しめことで彼女に強い印象を与えていますが、その後家庭の事情で改姓したこともあり、個人戦で対決するまで認識が遅れていました。「咲-Saki-」の登場人物で私が一番好きなキャラです。

 染谷 まこ(CV白石涼子)

染谷まこ

 2年生で麻雀部次期主将が確定しており、次鋒を務めます。名前の通り染め手が得意です。膨大な対局を見てきたことから現在の卓上と似た過去の牌譜を記憶から引き出して戦いますが、記憶にない局面には対応できないため素人と相性が悪く、県予選団体決勝においては最多失点を記録してしまっています。超人的かつ個性的な雀士が揃う本編では地味キャラとして埋没気味です。

策士風のまこ

 それではここからはライバル校の印象的なキャラを。まずは龍門渕高校。前年度のインターハイ長野県予選団体戦優勝校で、今年も県大会団体戦優勝の最有力候補と目されている強豪私立校です。元々は龍門渕透華が天江衣のために人員を寄せ集めて結成したチームですが、透華を含む全員が「衣は友達であり、家族である」という思いで衣と接しており、固い絆で結ばれています。

 天江 衣(CV福原香織)

天江衣

 「あまえ ころも」と読みます。こう見えて実は2年生で、「牌に愛された子」です。2年連続で大将を務める。全国でもトップクラスの高校生雀士で、幼い外見と性格をしているが、力を見せるときは独特の自信にあふれた態度と威圧感で相手を圧倒します。

悪魔衣1
 
 「海底牌にどの牌が埋まっているかを確実に察知する」能力を持ち、海底撈月を得意技としている。一見咲の能力と似ていますが、真の能力は「場を支配する」という巨大なもので、他家が鳴きを入れて衣に海底牌をツモらせないようにしても、すぐさま鳴き返して海底コースに戻ることができ、その支配が最も強い状況においては他家は聴牌すらできず、鳴くチャンスすらほぼ皆無となります。

悪魔衣2

  麻雀を打つことで他者に恐怖を与えることに孤独を感じ麻雀の楽しさを感じられずおり、「麻雀を打つのでなく打たされている」と評されていましたが、県予選団体決勝大将戦において戦った咲・華菜・ゆみが絶望せずに立ち上がってきた姿を見たことや、終局後に「楽しかった」「また打ちたい」と言った言葉をかけてもらったことで、初めて自分の意思で牌を打ったことに喜びを見出します。

 龍門渕 透華(CV茅原実里)

龍門渕透華

 2年生で麻雀部部長。衣の従姉妹で、祖父は龍門渕高校の理事長をしています。 県内でも屈指の理論派(デジタル)の打ち手にして膨大な牌譜を研究・解析するなどの努力家でもあり、ネット麻雀で様々な相手と戦った際に最も手強かった「のどっち」である和に強いライバル意識を持っています。

透華×和

 お嬢様ですが、「目立ってなんぼ」が信条なため、時に効率よりも目立つことを優先してしまうため、しばしば当たってしまいます。 相手が強ければ強いほど燃え上がる気質ですが、相手が強すぎると、物言わず静かに相手に何もさせず冷淡に勝ちを重ねていく打ち筋に豹変します。

トランス透華

 高飛車な言動が目立ちますが、随所に「いい人」ぶりが顕れています。麻雀部乃活動も、孤独な衣に友達を作ってあげたいとの思いから始まっていて、「いいお姉さん」っぷりを見せています(同学年ですが)。

 続いて風越女子高校。前年度は龍門渕高校の台頭により県予選団体戦2位に終わったものの、一昨年まで6年間連続で優勝しており、連続年度優勝記録を打ち立てた長野県内でも屈指の強豪私立校です。部員80名を擁し、独特の校内ランキング制度を持っています。

 福路 美穂子(CV堀江由衣)

福路美穂子

 名門・風越女子麻雀部のキャプテンを務める3年生で、美少女ですが普段は常時右目を閉じています。 基本的にはオーソドックスな打ち方をしますが、勝負所と判断すると普段閉じているオッドアイの右目(左目の色はブラウン、右目はブルー)を開け、自分の手牌、河の捨牌のみならず、相手の理牌の癖や視点移動から相手の手牌を推察して見切ることで、場そのものを自分に有利に制御する高度な打牌を見せます。

両目を開いた美穂子

 キャプテンながら雑用を自ら引き受けて後輩たちの打つ時間を確保したり、コーチのあまりにも厳しい指導に怯える部員たちをかばうために意見するなど、部員想いの部長であるため、後輩たちからは厚い信頼を寄せられています。3年前のインターミドル個人戦で久に苦戦を強いられて以来、彼女のことを意識しています。

福路美穂子×竹井久

 団体戦では全国に行けませんでしたが、個人戦では終始安定した試合で進め、予選2位・本選1位と圧倒的な成績で全国大会への出場を決めました。

 池田 華菜(CV森永理科)

池田華菜
 
 2年生で2年連続で大将を務めています。「〜だし」が口癖で、実力者のはずですが、県予選団体決勝大将戦の面子が衣・咲・ゆみといった猛者ばかりだったため、持ち点ゼロという窮地に追い込まれますが、最後まで勝利を諦めない姿勢を貫きました。感情の起伏が激しく、調子に乗った発言が目立ちます。また感情が昂ぶると髪の毛が逆立ち、猫耳のようになります。

リーチせずにはいられないな!

 最後に鶴賀学園高等部。3年前に創部されたばかりの無名校で、予選1ヶ月前までメンバーが足りなかったが、部員勧誘に励んだ甲斐あって無事出場を果たし何と決勝まで上り詰めます。

 加治木 ゆみ(CV小林ゆう)

加治木ゆみ

 3年生で大将を務めます。普段は冷静な性格で、その貫禄から誰もが部長だと思っていますが、部長ではありません。その実力や指導力で他の部員からは高い信頼を得ています。

加治木ゆみ×東横桃子

 特殊な能力の持ち主ではありませんが、咲の加槓を読んで槍槓で狙い撃ったり、衣の支配下における連荘を防ぐために一点読みで差し込むなど、異常な状況下での対応力も高く、達人然とした印象があります。竹井久に次いで私が好きなキャラです。

 東横 桃子(CV斎藤桃子)

東横桃子

 1年生で副将を務めます。愛称はモモ。隣にいるのに相手が気づかないほど影が薄く、闘牌においても天性の影の薄さを存分に生かし、リーチをかけてもまったく警戒されなかったり、振り込んでも和了牌に気付かれなかったりすることから、「ステルスモモ」を自称しています。

ステルスモモ

 ただし対局相手の実力が高いと「消える」のに時間がかかり、和には「そんなオカルト信じません」と全く効きませんでした。きませんでした。誰にも気付かれることのなかった自分を見出してくれたゆみには感謝や尊敬以上に深い想いを抱いています。

プリンセスメーカー:元祖育成シミュレーション

プリンセスメーカー

 10月最初の週末、そして三連休の初日いかがお過ごしでしょうか。10月だというのに気温は高めですね。いつもより遅い彼岸花が大量に咲いていて、さすがに秋の風情は深まった気がしますが。

 さて、土曜日は恒例ギャルゲーの日ですが、このところ「節子それギャルゲーと違う、エロゲーや!」と清太にいちゃんに突っ込まれそうな作品紹介に終始していたので、気分を入れ替えてエロ要素のほとんどない、これぞ模範的ギャルゲーというべき作品を紹介しましょう。

パッケージ裏

 ということで、本日の紹介作品は「プリンセスメーカー」です。「プリンセスメーカー」は1991年にガイナックスがPC版を発売し、以後各機種に移植されていきました。私がプレイしたのはPCエンジン版でした。育成シミュレーションというジャンルを確立した画期的作品であり、「プリンセスメーカー」シリーズは、キャラデザインを手がけた赤井孝美の代表作ともなっています。娘の声は横山智佐が演じていました。「サクラ大戦」の真宮寺さくら、「銀河お嬢様伝説ユナ」の神楽坂優奈など錚々たるヒロインを演じていた方ですが、最近はあまり聞かないような…。

出逢い

 これまでに5作が制作されていますが、基本的には剣と魔法のファンタジー世界を舞台としており、魔王から王国を救った勇者(主人公)が父親となって、少女を自分の娘として育て上げていきます。一作目の本作は戦災孤児が娘となりますが、他の作品では天界の女の子や妖精の女の子といった「人外」が娘になったりします。もっとも育成中は人間の少女と何ら変わりなく育っていきますが。

夏服の娘

 娘には勉強、習い事、武者修行、アルバイトなど、さまざまな経験をさせると同時に生活費も稼がせるというのがポイントで、深窓の令嬢はどうやっても育てられません。まさか娘の稼ぐ金を当てにしているわけではないでしょうが…。一応の目標は、ゲームタイトルどおり娘をプリンセスにすることですが、育成方針でどのような娘に育っていくかは千変万化です。そして娘が18歳になった時、プリンセスを始めとする様々な将来が待っていることになります。

冬服の娘

 本作は、ガイナックスのゲーム部門が「もっとコンピュータゲームでしかできないようなことをやろう」という目標の下、岡田斗司夫の「女の一生をゲームにできないか」という希望と赤井孝美の「『信長の野望』の部下を教練する部分だけでゲームを作りたい」という希望が組み合わさった結果生み出されたゲームだそうです。まあ18歳でエンディングを迎えてからが本当の女の一生ではないかという気もしますが。

ウィンドウズ版のプレイ画面

 戦災孤児を引き取った救国の英雄(主人公です)が、様々な手段で娘を鍛え上げて各種パラメーターを上げ、一人前のレディに育て上げます。娘の行動は一週間単位でスケジュールを組み立てますが、教育には金がかかるので、当面はアルバイトに励まさせることになるでしょう。なぜ娘の教育に娘自身が稼いだ金しか充てられないのかはこの世界最大の謎ですが、10歳の女の子を働かせても誰も虐待にはならず、誰一人問題視すらしないので、きっとこの世界では当たり前のことなのでしょう。

あやしい酒場

 アルバイトも娘の年齢が高くなると種類が増えていき、お金と色気は大幅アップも評価、モラル、根性が下がる「あやしい酒場」や、

あやしい宿屋

さらにお金が稼げて色気もアップするが評価、モラル、気品が大幅ダウンする「あやしい宿屋」でも働けるようになります。仮初めにも父親として、娘をそういう場所で働かせるってどうなんでしょう。あやしい酒場は現実世界のキャバクラくらいだとして、あやしい宿屋って…やはりちょっと働かせるのは…。

17際の娘

 アルバイトと並んで経験値を上げつつ金品を得られる行動としては、「武者修行」があります。街から外に出て、ある決められたルートを回って街に戻ってくるのですが、その間、昼夜を問わずモンスターが襲ってきます。街近郊で出没する人さらいや山ネコなどのレベルの低レベルモンスターから、辺境地域に出没するオークやトラ、ドラゴンなど、高レベルのモンスターまで敵は様々で、簡単には完遂することはできません。しかし、それだけに得られるものは多く、武者修行中は評価が上がるほか、敵を倒せば経験値も上がって、レベルアップや戦闘技術も向上します。また倒した敵の持つお金もが手に入ります(この辺はドラクエなんかと一緒ですね)。さらに、ルートの所々にある宝箱からはアイテムも手に入ります。奥地に行けば行くほど高価なアイテムがあるほか、武者修行に行くたびに宝箱は再配置されるので、行けば行くほどアイテムが手に入ります。

 しかし、幼少期のパラメーターが低い時期の娘には荷が重いので、最初は短期間の武者修行を行い、レベルが上がってきたら修行期間を徐々に延ばして奥地に遠征するのがいいでしょう。

ミス王国コンテストに出場
 
 あと毎年秋には収穫祭があり、武闘会かミス王国コンテストに参加することができます。武勇を示すなら武闘会、美貌や女性らしさを示すならミス王国コンテストに参加することになります。当然良い成績を残せば評価が上がるので、どちらか得意分野に出ることになります。例えば武者修行に明け暮れているたくましい娘なら、ミスコンに出ても勝てる道理はないので武闘会で暴れさせたほうが得策でしょう。ミスコンは気品や色気やプロポーションが勝利要素となるので、それらの数値を上げていく必要がありますが、武闘会より評価ポイントは高くなるようです。18歳までにどちらも優勝できるようになれば、プリンセスの道は大きく近づくでしょう。

ちび娘のバカンス(春)
ちび娘のバカンス(夏)

 そうそう、勉強やアルバイトや修行だけでは娘は疲労困憊してしまいます。お休みをあげることもできますが、お小遣いが必要だったり、モラルが低下したりするので、多用ははばかられます。そこで効果的なのが「バカンス」です。お金はかかりますが、疲労回復に加えてモラルが上昇するため、健康維持と非行化防止に非常に効果的です。季節毎に旅行先が異なっていて、それぞれ専用のイベント画面が出てきます。また年齢によってもイベント画面は変化していきます。

ローティーンのバカンス(春)
ローティーンのバカンス(冬)
 
 ここまで使ってきた絵も多くはバカンス画面なのですが、チビ娘時代の方が可愛い気がするのは私だけでしょうか。大人になるって悲しいなあ(笑)。

ミドルティーンのバカンス(秋)
ミドルティーンのバカンス(冬)

 ちなみにプリンセスを目指すなら、お城に謁見に行く必要があります。気品・色気・モラルなどがないと門前払いとなってしまいます。門番に始まり、王様に謁見するまでに何人もの要人と会う必要があり、それらの人たちに認めてもらえないと、更なる高貴な人物に会うことができませんが、認めてもらえれば評価が上がり、更に偉い人に謁見することができます。王様がいつでも会いに来るが良いと言い出したらこっちのものです。

ハイティーンのバカンス(春)
ハイティーンのバカンス(夏)

 エンディングは目標であるプリンセスの他、女王就任というさらに上の段階もありほか、将軍や魔法使い、農家の嫁や酒場の女など、30種類以上あるそうです。そうそう、父と結婚というエンディングもあり、これを目指すプレイヤーも多いとか。まあ人それぞれなので別にいいのですが、個人的には娘をそういう目で見ながら育てることには抵抗があるので、大人になったら自立して欲しいと思います。別にプリンセスにならなくても結婚しなくてもいいです。娘が幸せを感じられる人生を送ることができるならば……。

本当にプリンセスになった娘

プリンセスメーカーエンディング集

 しかしこうやって紹介していたらまたプリメをやりたくなってしまいました。「4」と「5」はまだやったことがないようですね。どれどれ…

プリンセスメーカー4
プリンセスメーカー5

 ちょ、ちょっと。「4」の娘は何なんですか?これは可愛すぎるでしょう。キャラデザインが明らかに違いますね。赤井孝美ではなく、天広直人という人のキャラデザのようです。

プリメ4の娘

 ではAmazonで「4」を買うことにしましょう。こう見えて娘はちゃんと育てるタイプなんですよ。各種実験なんてそんな鬼畜なことは……。そうそう、「2」をやったときなんですが、剣と魔法を最強レベルに育てながら因業(カルマ)を一切除去しなかったら、娘は魔王の花嫁に呼ばれた挙げ句、自分が魔王になってしまったことがあったりしましたっけねえ……いい想い出ですよ……くっくっくっく……

Just After Sunset:スティーブン・キングの最新短編集

夕暮れを過ぎて
 
 こんばんは。明日から三連休ということになる方も多いことでしょう。心安らぐ夜をお過ごしでしょうか。それにしても10月だというのに結構暑くてマイッチングですね。環境省が提唱する「スーパークールビズ」で10月末まで夏仕様でいけるようなので、そこが救いですね。だいたい6月の衣替え前にはもう暑くて、10月の衣替え後も暑いというのがこのところの気候ですから、上着なし・ネクタイなしはありがたいです。

 それでは本日の記事です。今夜は、ちょうど読み終わったばかりのスティーブン・キングの短編集「夕暮れをすぎて」と「夜がはじまるとき」をご紹介します。

夜がはじまるとき

 2冊ですが、邦訳の際に分冊したもので、本来は「Just After Sunset」という一冊の短編集です。キングの短編集としてはこれが5冊目ということですが、分量が多いせいか日本では必ず分冊にされているようで、第一短編集「Night Shift」(1978年)は「深夜勤務」「トウモロコシ畑の子供たち」の二冊に、第二短編集「Skelton Crew」(1985年)は 「骸骨乗組員」「神々のワードプロセッサ」「ミルクマン」の三冊に、第三短編集の「Nightmares & Dreamscapes」(1993年)は 「ドランのキャデラック」「いかしたバンドのいる街で」「メイプル・ストリートの家」「ブルックリンの八月」の四冊に(文庫版。ハードカバーは二分冊)に、第四短編集「Everything's Eventual」(2002年)は「第四解剖室」「幸福の25セント硬貨」の二冊に分冊されています。「深夜勤務」「トウモロコシ畑の子供たち」「骸骨乗組員」「第四解剖室」あたりは読んだことがあるのですが、これでは第一短編集以外は半分しか読んでおらず、第三短編集は全く読んでいないということですね。第五短編集は全部読めて取りあえず良かった良かった。

 全13編はどれも面白いのですが、特に印象深いのは中編に近い長めの作品になるでしょうか。4本を上下巻から2本ずつ紹介しましょう。

 「ジンジャーブレッド・ガール」:赤ちゃんの娘を病気でなくし、夫とも離婚寸前となった女性が走ることに執着し、父の持つ島の別荘で過ごし始める物語。哀しみからの脱却を走ることで果たそうとするお話かと思いきや、中盤から女性を殺しまくっているサイコな金持ちが登場し、一気にホラーとなります。海岸を走る2人。「待て~!」「ホホホ…捕まえてご覧なさ~い!」……この場合、捕まったら死にますが。哀しみを忘れるための走るという行為が生き延びる術と変わります。

ジンジャーブレッドマン

 ところで、ジンジャーブレッド・ガールって何?と思ったら、ジンジャーブレッドマンのもじりのようですね。ジンジャーブレッドマンとは、人型に焼いたジンジャークッキーのことです。パン屋で焼かれたジンジャブレッドマンがパン釜まら逃げ出してどこまでも走って行くという童話があって、パン屋さんのほか、逃げる途中で出会った少年や牛や馬に追いかけられながらも「はしれ、はしれ、速く走れ、きみは僕をつかまえられっこないさ、僕はジンジャーブレッドマンさー」と歌い続けるのですが、最後の最後に狡猾な狐に食べられてしまうという話です。

泳げ!たいやきくん

 何となく「泳げ!たいやきくん」を彷彿としますね。しかし、ジンジャーブレッドマンのもじりなら、ジンジャーブレッドウーマンでいいのではないの?なんて思ったり。プログレッシブ英和中辞典によると、1番目の意味で「女の子,少女;未婚の若い女性(▼若い女性でもgirlと呼ばれるのをきらい,自分をwomanと呼ぶ人が多い;特に北米でこの傾向が強い)」とあるのですが、主人公のエミリーは人妻でかつ経産婦なのに「ガール」でいいの?4番目に「((略式))(年齢など問わず)女性」とあるにはあるのですが…。日本の女性は結構いい年になっても「ガール」とか「女の子」と呼ばれるのに抵抗ないみたいですけどね。いや、皮肉でもなんでもなく、比較文化論ですよ(汗)。

 「エアロバイク」:健康診断でコレステロール値を注意された中年のおっさんの話です。医者が新陳代謝を労働者に例え、彼らはいつまでも仕事が終わらず、若くもなくなっているぞと警告したことを切っ掛けに、エアロバイクを買って漕ぎ出すのですが、おっさんが画家だったことから、エアロバイクの前にテレビを置いたりせずに自分で描いた絵を置いて適宜描き続けていくのですが、そこから妙な具合に。節制のおかげでコレステロール値は下がったのですが、新陳代謝を担う労働者4人組そのために仕事を失ってしまったという。そしてそれを思い知らされる出来事が…。結論、節制はほどほどに。運動したらビールや甘い物も楽しみましょうという話ですかね。

 「N」:これは明らかにキング版「クトゥルー神話」です。なにしろ「くとぅん」ですから。キングはラブクラフトの影響を受けている(アメリカの恐怖作家に影響を受けていない人がそもそもいるのかと思いますが)ようですが、明確に「クトゥルー神話」と思われる作品がこれが初めてではないでしょうか。異世界や異形の者と関わって破滅するという筋立てはクトゥルー神話によくあるものですが、流石にキング、緊迫感溢れる描写で追い詰められていく人の状況をくっきりと描いています。

 ところで「N」というのは精神科医にやってきた患者(そして最初の犠牲者)の名前らしいのですが、なぜ「N」だけなのでしょうか?ふとした切っ掛けで異世界に関わってしまったことで強迫性障害に苦しむ患者「N」はそれに耐えられずに自殺し、彼の話を聞かされた精神科医も自殺し、その手記を読んでしまった精神科医の妹も…という自殺の連鎖が起きていますが、「N」が単に哀れな犠牲者第一号というだけなら「N」なんて記さないでフルネームで書けばいいのに。
 
 もしや、「N」というのは迫真の演技で被害者にみせつつ、その実精神科医とその妹(さらにはその幼なじみの関与も示唆されていますが)を破滅させるための「仕掛け人」だったのでしょうか。だとするとクトゥルー神話でそういうことをしそうなのは……

ニャル子さん

 そう奴、ニャル子さんではなくニャルラトホテプです。綴りも「Nyarlathotep」でまさしく「N」。千もの異なる顕現を持ち、狂気と混乱をもたらすために暗躍し、人間はもとより他の旧支配者達をも冷笑し続けているというニャルラトテップならやりそうなことです。

ニャルラトホテプの顕現の一つ

 ニャルラトホテプといえば「旧支配者」でありながら唯一封印されることなく自由に行動でき、他の「旧支配者」に使役されるメッセンジャー的存在でありながら、旧支配者でも最強クラスの力を有するという存在です。そうでありながら、その気になれば簡単にひねり潰せる人間と積極的に接触したり、騙して自滅させようとするなど奇怪な行動が多く、クトゥルー神話ではトリックスターのような役割を担っています。では精神科医を破滅させるための迫真の演技だったのでしょうか?

 一方、ニャルラトホテプは千の異なる顕現を持ち、それらは同時に地球上に存在可能で、中には普通に人間として暮らしている者も少なくないとか。だとすると、「N」はニャルラトホテプの顕現の1人に過ぎず、案外本気でこの世に顕れそうになっている異形を恐れていたとかいうのもありでしょうか。だとすると、ニャルラトホテプ唯一の天敵であるクトゥグアでも顕現するところだったんでしょうかね。

 それとは別に、本編に出てくる「くとぅん」というのが気になって、そういう名前の「旧支配者」とかはいないのだろうかと探したら、ンガ=クトゥン(N'gha-Kthun)というのがいました。こいつも「N」から始まりますね。TRPG「クトゥルフの呼び声」においては、惑星トゥンツァ(Tthunngtthua)の地下に広がる亜硫酸の海に潜む旧支配者だと競ってされているそうです。無数のおぞましく震える触手の生えた球状の体を持ち、頭頂部にある大きな口からは、聞いた者を麻痺させる嘲笑うような声を漏らし続けているとか。そして理由は不明ながら、ニャルラトホテプとその眷属を極度に恐れているのだそうです。

ミ=ゴ

 またWikipediaによると、ンガ=クトゥンはユゴス(冥王星)支配するミ=ゴという生物の指揮官の名前だとされています。ミ=ゴは特殊な鉱物資源を採取するために地球を訪れているようで、ユゴスもあくまで拠点のひとつに過ぎず、本拠地は遥か彼方の外宇宙、あるいは異次元にあると思われます。よくアメリカはリトルグレイと密約を交わし、人類の拉致などを容認する見返りとして様々な技術提供を受けているなんて話がありますが、このリトルグレイはミ=ゴが対人インターフェースとして創りだしたロボットであるなんて設定もあるとか。

仮説トイレ

 「どんづまりの窮地」:これは他の作品とは違った恐怖を描いていますが、一番恐いといわばこの作品かも。自分がそういう目に遭ったらと思うともう…考えたくありませんね。考えるんじゃない、感じるんだ…ってもっとやばいわ!迫真の描写はむしろ超迷惑(笑)。私は読み切りましたが途中で気分が悪くなる人もいるかもしれません。そうですね、筒井康隆の「最高級有機質肥料」が読める人ならまず大丈夫でしょう。でも食事前や食事中は絶対読まないように。

今日の早川さん

 ところで、「夜がはじまるとき」巻末の解説に出てくる漫画の「今日の早川さん」が気になっています。面白そうなので買ってみようかと思ったら、結構高いのね。図書館に置いてくれないかな…。

私の音楽デバイス史(その1):ラジカセ編

現代のラジカセ
 こんばんは。東京で雨に土砂降りにあたってずぶ濡れで筑波嶺に帰ってきました。用心のため駅でビニール傘を買ったのですが、こちらについたら雨はなく、路面も乾いていました。やられた…南の空では稲妻が雲を光らせていますが、どうやら雨は来ない模様です。まあいずれ有効活用してやるからな、待ってろよビニール傘(500円)。

 そんなわけで風邪引きそうになっているので、今日は簡素に。

 大昔、ラジカセというものが少年達にとって大変憧れであった時代がありました。私がそういうものに興味を持ち始めたのは、小学校高学年になってからだったと思います。その頃になると、なぜかテレビからラジオに関心が移っていったりしたんですね。もちろんテレビを見なくなるわけではないのですが、当時は居間と違って1人一台テレビを持つというのは夢のまた夢で、テレビといえば居間ないし茶の間に一台あっただけだったのです。故にゴールデンタイムに必ずしも好きな番組を見られたわけではないので、見たい番組が見れない時は、我慢してその番組を見るか、すねて部屋に戻るしかなかったのですが、部屋に戻っても当然テレビはないわけで、自ずと小さな黒い箱に注意が向くようになったわけです。そして聞いてみると、それはそれでまた面白い世界が待っていたりしたものだったのです。

 そしてカセットテープ登場。これで録音すれば好きなときに好きな音楽が聴けます。そしてラジカセはモノラルからステレオに。そう、私がラジカセに関心を持ち出した頃、ラジカセは急速にステレオ化が進んでいたのです。当時CMを見て私が買いたかったのは、ナショナル(現パナソニック)のステレオ・ラジカセの「MAC MU」でした。レベルメーターが針の代わりに七連LEDとなっていて、これが格好良く見えたのです。値段も39,800円と当時のステレオラジカセとしては安い方でした。

ナショナル・マック・ムー

 あれが欲しいと母にねだって買いに行ったのは近所の家電店(「O和田テレビ」)。店員にナショナルの「MAC MU」が欲しいと言ったところ、店員は鼻で笑って、「あんなのメーターが針じゃないだけ。(そこが子供心を掴むんだよ!)こっちの方が断然いいよ。」と東芝のbombeat7を進めてきたのです。「46,800円だけど40,000円でいいよ。ナショナルと変わらない値段でしょ」と。そしてそのまま言いくるめられて買ってきたわけです。あと1-2年経っていれば秋葉原で買うという発想が出ていたはずなのですが、そこがしょせんは小学生。大分後になって気付きました。その店はいわゆる「東芝の店」。ナショナルの製品なんてそもそも置いてなかったのです(笑)。

bombeat7.png

 これがそのbombeat7。確かにステレオラジカセですが、テープセレクターがなく(要するにノーマルテープした使えない)、もちろんドルビーNRもなく、いかにも入門用という風情でした。ただし、「MAC MU」もほぼ同じコンセプトの入門機だったので、店員に騙されたという訳でもないのです。これより上位機種はスピーカーが4つ(要するにウーハーとツィーターがある)あったりしたのですが、高すぎて貧乏一家に手の出るものではありませんでした。4万円だって相当無理したんではないかと、今にして思えば親に申し訳ないです。

 もちろんこれは使いました。ラジオは聞きまくるし、テープは録音するし。ただし、付属のロッドアンテナではFMをクリアに聴取することが難しく(ことにステレオ放送。涙を呑んでモノラルにするとかなり聞けました)、AMは音が良くない上にそもそもステレオ放送ではなかった(最近はステレオ放送もやってますが)ので、ステレオラジカセの意味はほとんどなかったといっていいでしょう。だいたい、あの程度の大きさのラジカセだと、ステレオにしてもその効果ははなはだ小さいものでした。まあヘッドフォンで聴くとかすればそれなりに効果はありましたけど。

 その後、家に昔からあったチューナーとレコードプレイヤーだけがついた巨大なステレオセットを払い下げてもらい、カセットデッキやオーディオタイマーを買ってジェットストリームを留守録したり、図書館でレコードを借りてきてテープに録音したりという中学生時代の「大放送部時代」が到来してbombeat7は顧みられなくなったのでした。

 高校に入ってから、カセットデッキが壊れてしまい、修理のめども立たないままにカセットテープを聴くためだけにbombeat7を使っていましたが、さすがに陳腐化は隠しようもなく(そもそもハイポジションのテープが聴けない)、確か高3の頃にお年玉などをかき集めて次期主力ラジカセを購入すべく秋葉原に向かった私は、駅を出たところの正面の安売り店ででっかくて格好いいラジカセと遭遇したのでした。

RX-5650.jpg

 それがこのナショナルのRX-5650、通称「Disco DB」でした。今見ても惚れ惚れしますね。なにしろボタンやレバーの数が違います。これこそメカですよ、メカ。1981年の製品でしたが、83年頃に買ったので、その店では既に箱はなく、ビニール袋かなんかに入って店頭の一番上に鎮座していました。定価は79,800円とバカ高かったですが、新品でも2年落ちなので確か半額程度で買ったのではなかったでしょうか。

 こいつは入門機のbombeat7とは違いました。70年代と80年代の差を見せつけたというべきでしょうか。当時ステレオラジカセはブームだったので恐竜的進化を遂げていたのです。メタルテープ対応、ドルビーNR装備、テープの頭出し機能付き、レコードプレーヤーの直結可、手動録音可能とほとんど小さなコンポといっていい性能を持っていました。そしてラジカセが性能を求めてどんどん巨大になっていって持ち運びに困難を来しだした頃、コンポーネントステレオには小型化の波がやってきていたのでした。大きなラジカセと小さなコンポの差違が限りなく小さくなったとき、CDが登場したのです。

 と言うわけで次回はミニコンポ編。いつやるかは神のみぞ知る、ですが(笑)。

仕様書

好きな声優さん(その3):早見沙織

早見沙織
 
 秋雨の一日。今日は肌寒いほどでした。暑かったり肌寒かったりと日々極端ですね。こういう時は体調を崩しがちなので皆さん気をつけましょう。

 さて今日は好きな声優さんシリーズを言ってみましょう。第三弾になります。第一弾の能登麻美子さんが30代、第二弾の皆口裕子さんが40代ということで、本日は20代の声優さんを行ってみたいと思います。若手実力派の呼び声も高い早見沙織です。

お仕事中の早見さん

 早見さんは1991年5月29日生まれの21歳。平成生まれか…。現在現役の大学生ですが、小学生時代に声優を志し、中学一年生から本格的な勉強を始めたようです。高校生になった2007年に「桃華月憚」のヒロイン・川壁桃花役でデビューしています。

川壁桃花

 以後高校生~大学生と学生生活の傍らで声優業も大繁盛で、ラジオ番組もこなすという多忙な生活を送っているようです。その声の特徴は、独特な透明感と役柄によって声を上手に使い分けることで、若いのに非常に達者だなという印象がします。とりあえず所属事務所の紹介ページでサンプル音声を聴いてみて下さい。

http://www.imenterprise.jp/data.php?id=66&sid=0c0dfcb648b7f46f48498a12faace334

ポーズを取るはやみん

 幼女からハイティーンまで、そして少年役もこなし、人外の神秘的なキャラも得意としています。声の性質は能登さんにも似ている気がしますが、能登さんが天使だとすると、早見さんは地上に降りて肉体を持った天使という感じでしょうか。またキャラクターソングを歌うことが多いですが、本人も特技を「歌唱」としているとおり、歌は非常に上手です。ニコニコ動画では「キャラソンに定評のある早見沙織」というタグがついているほどです。

YouTubeにキャラソンのダイジェストがありました。

http://www.youtube.com/watch?v=FMhfdDkaDtk

愛花

 私が早見沙織を知ったのはなんと言っても「ラブプラス」の高嶺愛花でしょう。3人のヒロインの1人で、上級生の姉ヶ崎寧々を皆口裕子が、下級生の小早川凜子を丹下桜というベテラン声優さんがこなす中、同級生の高嶺愛花は現役高校生だった早見沙織が演じたのですが、実に自然な女子高生を表現しているのが印象的でした。

ラブプラスのヒロインズ

 本人が女子高生なので素でやればいいようなもんだと素人考えでは思いますが、こういうものはリアルであればいいというものではありません。なにしろプレイする側が現役高校生出ないケースが大半だと思うので、そういう「元高校生」のニーズに応えられる「理想の女子高生」でなければならないのです。それを皆口さんや丹下さんが演じられるのは力量からいって自然ですが、経験の少ない早見さんがいかにも自然に演じているのが凄かった。難しいことを簡単そうにやってみせるのが早見さんの底知れない才能なのでしょう。

可愛らしい早見沙織

 演技に対する高い意識と才能は、先輩声優やアニメスタッフからも高い評価を得ているようで、同じ事務所に所属するベテラン声優が、デビューして間もない頃の早見さんを収録現場で見た際、「うちの事務所は安泰だね。」と語ったということです。また、非常に礼儀正しく協調性に溢れた性格で、その一旦はラジオ番組で伺うことができます。

早見沙織のふり~すたいる♪

 私が毎週聞いている番組に、2011年4月からインターネットラジオで放送している「早見沙織のふり~すたいる♪」があります。「早見沙織の素顔がのぞける30分♪タイトル名の通り、自由に、自然体で素のお喋りを届ける番組。」という触れ込みですが、時折訪れるゲストとのやりとりが非常に上手な印象があります。進行にそつがなくて、相手の話を聞き出すのが本当にうまいですね。声優仲間が来たときはもとより、芸人さんや歌手や料理研究家を相手にしたときも礼儀を失うことなく話を盛り上げています。ピザの宅配スタッフをスタジオに呼んで話を聞いたこともありましたが、素人さん相手にも非常に上手に話を聞き出しており、もう声優という肩書きなしでもラジオのパーソナリティーで十分やっていけると思います。

 番組のジングル集です。
http://www.youtube.com/watch?v=O8hFACAk1ns&feature=related

 それでは早見さんの演じたキャラで私の好きな人達を。

 まずは「セキレイ」のメインヒロイン・結(むすび)

結

 ミニスカート風の巫女装束を着た巨乳美少女です。セキレイは見かけは人間と変わらず、遺伝子的にも人間に近くて交配可能いですが、元々はどことも知れぬ異星からやって来た宇宙船内部でコールドスリープ状態で発見された生命体です。そういう意味では人外ですし、個性豊かな特殊能力も持っていますが、性格は人間の少女と何ら変わり有りません。

結のフィギュア

 特に結は明朗快活で天然ボケの性格をしてます。負けず嫌いでもあり、 強い相手と戦うことが喜びの好戦派ですが、弱い者には優しく、また主人公をひたむきに愛しています。

 こんな「エロ可愛い」とでも言うべきキャラを高校生にして演じていたとは…

 次は「バクマン。」のヒロイン・小豆美保

小豆美保

 主人公が中学生時代から一途に想っているメインヒロインです。実は彼女は小学生時代から主人公のことが好きだったそうですが。
 
 非常に恥ずかしがり屋だが、声優志望で、主人公達の漫画がアニメ化したらそのキャラを演じて結婚するという約束をしています。それまでは接触を避け、メールで励まし合うだけというプラトニックな関係を貫いていますが、過労で倒れた時は見舞いに来るなどしています。

小豆美保2

 主人公が漫画家として成功していくにつれ、彼女も声優デビューし、順調にキャリアを積んでいきます。終盤、主人公達の漫画がアニメ化されるに際しては、公開オーディションで他の声優を圧倒する票数を獲得してメインヒロイン座をつかみ取り、約束どおり主人公と結婚しています。

学生時代の小豆美保

 続いて「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の新垣あやせ。通称「ラブリーマイエンジェルあやせたん」(笑)。

新垣あやせ

 主人公の妹の親友で、共にティーンズ誌のモデルをしています。妹(桐乃)にモデルの仕事に不慣れだった頃に助けてもらったり、勉強を教わったりして世話になったことから、憧憬に近い感情を抱いています。明るく人当たりの良い性格だが、やや思い込みが激しい部分もあります。

  当初は主人公にいい感情を持っていましたが、家庭環境や潔癖な性格からオタクに対して生理的嫌悪感を抱いています。そのため桐乃のオタク趣味を知ったときはショックを受け、親友を思う気持ちから悪習から「足を洗う」よう厳しく迫って「ヤンデレ」化してしまい、一時は絶交状態にまで陥ってしまいます。

桐乃とあやせ

 その後主人公の説得で和解し、桐乃の趣味も黙認するようになりますが、今度は主人公と微妙な関係になってしまい、顔を会わせるたびに辛辣な言葉を投げかけるようになってしまいました。早見さんはラジオのジングルで良く罵る演技をしていますが、このキャラの影響(ファンがリクエストする)と思われます。

ヤンデレあやせ

 新垣あやせの心情を描いたキャラソン「白いココロ」です。
http://www.youtube.com/watch?v=wRzDpxi4lxQ&feature=related

 「ヤンデレ」演技が堪能できるPSPゲームのバッドエンド。眼が恐いです。
http://www.youtube.com/watch?v=4xpJrrK0dC8&feature=related

 そして「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の鶴見知利子

鶴見知利子

 通称「つるこ」。大人っぽい性格で、趣味は読書です。進学校に通い、学年4位の成績を修めています。観察力に秀で、昔はよくスケッチブックを持ち歩いており、今も絵を描くのが得意です。冷たい印象がありますが、主人公への接し方は優しいです。

髪を切った知利子

 このアニメは全部見たのですが、多分ブログで扱うことはないでしょう。その理由は…まあ好きなれなかったということで(汗)。つるこ自身は嫌いではないのですが。ロングの黒髪でおとなしめの少女という風情でしたが、子供の頃はショートでした。終盤、髪を切って昔の髪型に戻しています。

 最後に、ゲームキャラですが私の早見さん好きを決定付けた「ラブプラス」の高嶺愛花。皆口さん演じる姉ヶ崎寧々を差し置いて「俺の嫁」になってしまいました。

バレンタインの愛花

 プレイヤー(主人公)と同級生で、同じくテニス部に所属してい高校2年生です。実家は開業医の箱入り娘で、成績は常にトップクラスでテニス部でも女子のエースという、「才色兼備」を絵に描いたような女の子です。

ぼっちの愛花

 お嬢様育ち故に、近寄りがたい雰囲気を醸し出しており、テニス部仲間には「住んでいる世界が違う」とまで言われています。まさに男子にとっては「高嶺の花」です。

 当初は身構えたような対応が目立ちますが、徐々に打ち解けていくと、飾らない本来の姿を見せることができるようになっていきます。

水着の愛花

 ポニーテールと太い眉毛が特徴ですが、交際の過程でプレイヤーの嗜好に応じて髪型や髪の色は様々に変化していきます。口癖は「なーんて」。

 ちょっと堅いところがあるものの、ちょっとしたことにも気の利くいい子なのですが、完璧ぶりが敬遠されて周囲から浮いています。自分でもちょっとずれているのかな……とは思っているらしいですが。

ゴスロリ愛花

 何しろこれまで買い食いしたことはおろか、寄り道すらしたことがないという浮き世離れした女の子だったので。趣味はお菓子作りとピアノで、好物は焼き芋だそうです。買い食いしなかったといことは、自宅で作って貰っていたのでしょうか。

 早見さんのキャスト決定について、プロデューサーは

歌うはやみん

 まず、早見沙織さん(高嶺愛花役)は総勢50名くらいの方にオーディションをさせていただいた中、抜群だったのでお願いしました。 深い芝居の解釈と細やかな感情表現を持っているのにリアルに17歳なので地の声に説得力もある。 敬語、丁寧語が本物で最近の若い子らしくないところも高嶺っぽかったです。

と語っています。早見さんも子供の頃から絵画・水泳・テニス・ピアノと様々な習い事をしていたらしいので、お嬢様育ちな部分がぴったりだったのかも知れません。

座ったはやみん

 年齢にそぐわない圧倒的な演技力を持つ早見さん。今後は悪役とか今までに無いような役にも挑戦して新しい扉を開いていって欲しいものです。ですが、今の性格の良さはいつまでも失わないでいて下さい。

水着の愛花2

おおた慶文:実在しない?脆く儚く透明な少女達の肖像

いつわり
 秋がまた戻ってきましたね。しかしもう10月なのでこの気温でぬか喜びしていてはいけない気もします。もそっと涼しく。もそっと冷たく。

 さて、shobunoさんのブログ(「shobuno's blog」http://shobuno.hatenablog.com/)を閲覧させていただいていたところ、はたと思い浮かぶものがありました。「おおた慶文」とな……ああ!私画集を持ってますよ。ということで本日は「おおた慶文」について取り上げさせていただきます。
おくれ毛は風のかたち(1986年)
 あれは今を去ること17年前の1995年5月…地下鉄サリン事件が発生した年でした。この年の後半から96年の夏頃までの約1年、私はセカンドインパクト後の世界並の地獄を見たのでした。詳細を記すことができず恐縮なのですが、ああいうのはもう二度と御免です。

 そんなことになるともつゆ知らず、確か上野の松坂屋で開催されていた「おおた慶文 原画展」に私は行ったのでした。確か電車のポスターの絵に惹かれたのだったと思います。そして勢いで買ったのが「フリーランス」でした。2000円しました。私にしてはずいぶんと高価な本を買ったなあという印象です(昔からケチなもので)。
フリーランス(1995年)
 おおた 慶文、本名:太田 慶文(おおた よしふみ)は北海道出身、1951年11月10日生まれの 画家・イラストレーターです。子供や少女を描いた淡く抒情豊かな水彩画で人気が高く、多数の作品および画集を発表しています。また、雑誌・書籍の挿絵や大手企業の各種広告なども手がけています。

 透明感があって脆く儚い感じの女の子の絵が好きですが、その他にも少年や幼女も多数描いています。「フリーランス」巻末の初出一覧における「日の入りマチエール」という作品への本人コメントに「よく絵のモデルはいるのですか、と問われます。どなたも大変関心があるようです。時々モデルにしてくださいと頼まれることもあります。私にすれば頼まれるより頼むかたちのほうが理想的ですが……。結論は実際のモデルは使わず写真などから絵を起こしています。」とあります。これら素晴らしい少女達が実在だと大変喜ばしいのですが。
風のラビリンス(1989年)
 なにしろ画家さんの絵を並べてしまうわけにはいかないので画集の表紙のみでご勘弁願いますが、私が好きな作品は「フリーランス」の中では「泣きぼくろ」(表紙の絵です)「蒼いエモーション」「少女期」あたりでしょうか。

 でも一番のお気に入りは前述の原画展のチケットにも記載されていた(そして電車の広告でも使用されていたはずの)「いつわり」という作品です。
いつわり
 この可憐な少女の何が「いつわり」なのでしょう?何か嘘を言ったときの表情なのでしょうか?何となく、こんな美少女が存在すること自体が「偽り」なような気もします。

 と、ここまで調べて気がついたのですが、確か南野陽子のアルバムのイラストも手がけていた気が……ああ、やはりありました。1988年の「SNOWFLAKES」に描きおろしイラスト集が封入されていたということです。南野陽子を描いたもののようですが、この頃のナンノは本当に可愛かったので、描き甲斐があったのではないでしょうか。
SNOWFLAKESのイラスト1
SNOWFLAKESのイラスト2
SNOWFLAKESのイラスト3

 ほら、本物もとっても可愛いでしょう?
本物の南野陽子1
本物の南野陽子2

 私の購入したフリーランスは当時の最新作の画集でしたが、95年以降は画集の発表が少なくなり、2000年代は「ピアニッシモ」(2004年)だけとなっているようです。ですが、カレンダーは毎年のように出ているようですね。ご本人のHPでは直接原画を通販出購入することもできるようです。
最新作「ピアニッシモ」

http://keibun.info/

 ここでいきなり妄想企画。「この作品をおおた慶文のキャラデザインでリメイクして貰いたい」
夢語り(1995年)

その1「秒速5センチメートル」:う、うわあ…明里なんか切なすぎてたまらない感じになりそうですね。ますます淡く儚い夢のような作品になってしまうかも。ラストシーンは涙腺崩壊必至か。

その2「魔法少女まどか☆マギカ」:「お前の好きなアニメ並べてるだけかい!」と突っ込まれそうですが、確かに(笑)。おおた慶文の魔法少女は儚そうで、軒並み魔女に負けそうな気もしますが。魔法少女の哀しみとか悲惨さが絵面だけで伝わってきそうな気がします。

その3「マリア様がみてる」:特に「俺の嫁」こと志摩子が見てみたいです。しかしもはや肉体を持った少女ではなくなってしまうかも知れませんね。背中に翼がみえちゃったりして。

その4「ときめきメモリアル」:おおた慶文デザインの藤崎詩織は「一緒に帰って友達とかに噂されると恥ずかしいし…」とか絶対言わないッ!あと美樹原愛を好きになれるようになるかも知れません。
惹かれて(1991年)
その5「ARIA」:これはかなりいいかも知れません。ますますネオ・ヴェネツィアに行きたくなってしまうかも。

その6「クレイモア」:銀眼の魔女達がいきなり弱体化(笑)。でも組織の男達も可愛くなったりして。

その7「範馬刃牙」:そんな馬鹿な(笑)。そもそも女の子がいないし。え?梢江?あれは「名状しがたき女子高生のようなもの」ですよ。しかし勇次郎とかを一体どんな感じに描くのでしょうかね?恐いものみたさもちょっぴり…

その8「ハカイジュウ」:バ、バカモノー(笑)!!で、ですが、白崎直央とか藍沢未来あたりは見てみたい気も。しかしあの殺戮劇をとうてい生き延びられる気がしません。そうだ、特殊生物もおおた慶文デザインで…。脆く儚い怪物達を倒しまくる「武重先生無双」が見られるかも。
花盛り(1998年)
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