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麦の海に沈む果実:「水野理瀬シリーズ」の魅力

文庫版表紙

 はいこんばんは。「マリみて病」も抜けてきまして陋巷に戻って参りました。

 本日のランキングは会社員・OL部門で61390人中 474位、日記全体で781771人中2563位ということで、自己記録を更新しました。まあ第三次目標については前者で300位ということにしてあるので、なかなか突破は難しいと思いますが、来て頂いている皆さん本当にありがとうございます。少しでも楽しんで頂ければ幸いです。

 それでは今日の記事です。昨日読了したと書いた恩田陸の「麦の海に沈む果実」及び、いわゆる「水野理瀬シリーズ」について語りたいと思います。

 恩田陸は私と同じ大学、同じ学部で、ちょっと先輩にあたります。もしかするとキャンパスですれ違っていたかも知れません。もっともさっきWikipediaの記事を見るまで知らなかったので、同門だから贔屓して書いている訳ではないですよ。

 筒井康隆の「火田七瀬シリーズ」が「家族八景」「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」(「七瀬みたび」ではいかんかったのでしょうか?)の三部作で構成されているように、「水野理瀬シリーズ」は「三月は深き紅の淵を」「麦の海に沈む果実」「黄昏の百合の骨」の三長編が出ており、その他「睡蓮」「水晶の夜、翡翠の朝」という短編があるそうですが、未見です。あと5年くらい前から雑誌連載中の「薔薇の中の蛇」という長編があるようですが、まだ単行本として刊行されていないので終了していないのかも知れません。恩田先生、お願いしますよ。

 で、これから読む方々は、①三月は深き紅の淵を→②麦の海に沈む果実→③黄昏の百合の骨の順で読むことを推奨します。私は、シリーズものだということを知らないままに図書館で借りた結果、③黄昏の百合の骨→①三月は深き紅の淵を→②麦の海に沈む果実という妙な順番で読むことになってしまいました。

三月は深き紅の淵を

 このうち①の「三月は深き紅の淵を」という作品は非常に解説が難しい本なんですが、「三月は深き紅の淵を」という同名のタイトルの本をめぐる4章の話となっています。作品自体も4章構成となっていて、各章のタイトルは異なっているのですが、内容や構成で密接な関係があるようです。こればかりは一言では言い表せないので、ぜひ一度読んでみてとしか言えませんが、第四章で「麦の海に沈む果実」の断章が描かれており、「麦の海に沈む果実」の予告編のような働きも担っています。

 「麦の海に沈む果実」は、人煙まばらな(というかほとんどない)釧路湿原のまっただ中に作られた奇妙な学園での出来事を描いた作品で、こちらでも「三月は深き紅の淵を」という本が登場しますが、内容は①とは全く異なります。
 
 本書では、理由不明の不可避の「命令」により俗世と隔絶した学園に転校させられた水野理瀬の過ごす四季が描かれています。奇妙な校長や風変わりな生徒達の中で、友達や仲間も生まれるものの、次々と不可解な事件が発生する中、理瀬は次第に憔悴して追い詰められ、やがて生命の危機を迎える…という筋立てになっています。

黄昏の百合の骨

 私が最初に読んだ「黄昏の百合の骨」は、その2年後、学園を去って英国に留学していた理瀬が、祖母の死とその奇妙に遺言により帰国して「魔女の館」と近所から囁かれる洋館に住むところから始まり、やはり次々と奇妙な事件が巻き起こっていきます。

 両書比較して驚くのは、「理瀬が全然違う」ということです。「麦の海に沈む果実」は中学生、「黄昏の百合の骨」は高校生(まさしくリセだ、リセエンヌだ!)という時期の違いは当然なんですが、性格が全く違います。「麦の海に沈む果実」の理瀬が「白理瀬」だとするならば、「黄昏の百合の骨」は「黒理瀬」といったところでしょうか。

 「白理瀬」はおとなしくて控えめで、どこかおどおどして自信がなく、記憶障害すら抱えています。美少女ですが、美少女であることを苦にしている気配もあります。といって消極的なばかりではなく、時には思い切った行動やさえた推理を見せることもありますが。

 ところで、本書中、ある人物が「美少女は美少女であることで傷ついている」という趣旨の主張を行っており、理瀬がそうだと言っているのですが、美少女とはそういうものなんですか、経験者の壇蜜さん?

 にこやか壇蜜さん

 「黒理瀬」は本来の理瀬といえましょうか。知的で活発で、大人びた雰囲気を持っているほか、「野望」と「闇」とを抱えています。理瀬の「野望」と「闇」が何なのかは、「麦の海に沈む果実」のラストで記憶を取り戻した際に明らかになりますが、「黒理瀬」と「白理瀬」の落差があまりに大きいので、本来の理瀬を知る人々からは「お前ホントに記憶ないの?わざと演技してね?」的な疑惑の目で見られ、その視線がまた理瀬を苦しめることになるのですが、「黒理瀬」は目的のためなら本当にそれくらいしかねない人なので、疑われるのも無理はないところだったり(笑)。

 「黒理瀬」と表現したからといって、別に邪悪そのものという訳ではなく、年頃の少女らしい感傷も併せ持っているのですが、普通の人生に対して憧憬と渇望を感じつつも、「野望」と「闇」に向かう人生を完全に受け入れていて、恋とか友情というプライスレスなものをも打算で切り捨てていくことにためらいがないところがあります。「黄昏の百合の骨」では、打算と人情からロスト・ヴァージンしますが(「濡れ場」は一切描かれていませんので念のため)、闇を抱えた意志堅固な美少女というのも心惹かれますね。

 ただし、「麦の海に沈む果実」での「白理瀬」も可愛くて可憐でベリーグーです。サディスティックな校長に「虐め」られたりするので、余計守ってあげたくなります。実は「白理瀬」の後の「黒理瀬」は、本来の性格に「白理瀬」の記憶が融合しているので、「灰理瀬」(或いは「グレ理瀬」)とでもいうべき性格であり、「白理瀬」前の理瀬こそが本当の「黒理瀬」でした。この「黒理瀬」には大胆不敵で無思慮なところがあって(まだ「子供」だったせいもあるでしょうが)、それ故に記憶障害に陥るはめになる訳ですが、その後の理瀬は慎重で相手を舐めてかからないようになっているので、「白理瀬」を経験した価値はあったというべきでしょう。

 ではここで「麦の海に沈む果実」のメインキャスト紹介です。イラストは借り物なのでそっとサムネイル表示とさせていただきます…。こんな絵が描けたらいいのですが。

 まず理瀬。黒髪ロングの美少女。

理瀬

 理瀬のルームメイトの憂理。女優志望のショートヘアの美少女です。男嫌いというか、女好き?

憂理

 理瀬の所属するファミリー(生徒のグループ)のリーダー格である聖。本物の男で、「白薔薇さま」ではありません。理系の天才です。

聖

 黎二。ぶっきらぼうで影がありますが、本当はとても優しい。理瀬が好き。理瀬も明らかに黎二に惹かれているようなのですが…。理瀬の「永遠の人」。

黎二

 ヨハン。理瀬が転校してきた翌日に転校してきた日本語が達者な外国人。作曲をしています。「天使の微笑み」を持つ美少年。

ヨハン

 この作品はぜひ映画化して貰いたいですね。その際のキャストは、ヤロウはどうでもいいのですが、理瀬はぜひこの

高田里穂

 「マリみて」で志摩子を演じた美少女・高田里穂に演じて貰いたいです。もう一目惚れです。DVD買おうかな… 

 せっかくですから憂理も。

波瑠

 「マリみて」つながりで。祥子を演じた波瑠にやって貰いましょう。いい感じじゃないでしょうか。

 とりとめの無い記事になってしまいましたが、水野理瀬シリーズ、ぜひ読んでみて下さい。長そうに見えても、章立てとかが配慮されてて非常に読みやすいので一気にいけます。

 残されたナゾ①:「交霊会」で理瀬に降りてきたのは本当の幽霊?それじゃオカルトになっちゃうけど。でないとすればどういう仕組みで起こしているのか?校長が薬物を利用したのか?

 残されたナゾ②:「野望」を抱える理瀬がどうしても手に入れたいものとは具体的にどういう事業・家業なのか?

 残されたナゾ③:終盤、理瀬が幻覚の中で見聞きしたものは全て「真実」なのか?それとも幻想に過ぎないのか?どうみても「真実」くさい(本編中の謎が解明されるので)のだが、なぜ幻覚が真実に迫るのか。

 残されたナゾ④:理瀬の父、お前は「聖闘士星矢」の城戸光政か!?
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