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記憶に残る一言(その127):サラリーマンとフリーターのモノローグ(白○屋コピペ)

曼珠沙華

 秋の彼岸に入りました。暑さ寒さも彼岸までと言います。確かに今日は暑さも収まって過ごしやすいのですが、昨日はやたら暑かったですね。もう冷房は使いたくないんじゃ~とぼやきながらエアコンのおやすみタイマーを入れましたよ。あれが冷房の使い納めならいいんですが。

フリーター

 本日は「記憶に残る一言」ですが、ネットでよく見かけるコピペを紹介したいと思います。2000年初頭のフリーター全盛期に誕生した通称「白○屋コピペ」です。本来は実在の居酒屋の名前が入りますが、問題なのは居酒屋ではないので、多分バレバレでしょうけどあえて伏せ字にしました。それにしても今回は全然「一言」じゃないですね。

フリーター賛歌の映画も

 バブル景気の頃は、高度成長期のようなガムシャラに働くサラリーマンにはなりたくないと、自由を求めてフリーターになった人が沢山いました。メディアも有名俳優を起用してフリーターのドラマを作ったりして、当時は「カッコイイ、オシャレな生き方」としてもてはやされたりしていたのです。何しろ景気がいいので職探しに困ることがなく、バイトで金を貯めてある程度貯まったら海外を放浪し、金が無くなったらまたバイトして稼げというようなことも余裕で出来たようです。

格安居酒屋

 しかし、その後バブル景気はあっけなく崩壊し、その後は想像以上に社会が不景気に陥り、正社員になりたくてもなれないという就職氷河期が到来します。このコピペが登場したのは、“バブル景気から10年”といった時代です。もう青春が終わろうかというサラリーマンとフリーターの話ということになります。まずはサラリーマン視点。

白○屋広告

なあ、お前と飲むときはいつも白○屋だな。
一番最初、お前と飲んだときからそうだったよな。

俺が貧乏浪人生で、お前が月20万稼ぐフリーターだったとき、おごってもらったのが白○屋だったな。

「俺は、毎晩こういうところで飲み歩いてるぜ。
金が余ってしょーがねーから」
お前はそういって笑ってたっけな。

俺が大学出て入社して初任給22万だったとき、
お前は月30万稼ぐんだって胸を張っていたよな。

「毎晩残業で休みもないけど、金がすごいんだ」
「バイトの後輩どもにこうして奢ってやって、言うこと聞かせるんだ」
「社長の息子も、バイトまとめている俺に頭上がらないんだぜ」
そういうことを目を輝かせて語っていたのも、白○屋だったな。

あれから十年たって今、こうして、たまにお前と飲むときも
やっぱり白○屋だ。

格安居酒屋の料理

ここ何年か、こういう安い居酒屋に行くのはお前と一緒のときだけだ。
別に安い店が悪いというわけじゃないが、
ここの酒は色付の汚水みたいなもんだ。
油の悪い、不衛生な料理は、毒を食っているような気がしてならない。

なあ、別に女が居る店でなくたっていい。
もう少し金を出せば、こんな残飯でなくって、本物の酒と食べ物を出す店をいくらでも知っているはずの年齢じゃないのか、俺たちは?

でも、今のお前を見ると、
お前がポケットから取り出すくしゃくしゃの千円札三枚を見ると、俺はどうしても「もっといい店行こうぜ」って言えなくなるんだ。

お前が前のバイトクビになったの聞いたよ。お前が体壊したのも知ってたよ。
新しく入ったバイト先で、一回りも歳の違う、
20代の若いフリーターの中に混じって、 使えない粗大ゴミ扱いされて、それでも必死に卑屈になってバイト続けているのもわかってる。

だけど、もういいだろ。
十年前と同じ白○屋で、十年前と同じ、努力もしない夢を語らないでくれ。
そんなのは、隣の席で浮かれているガキどもだけに許されるなぐさめなんだよ

格安居酒屋店内

 20年近く前の古いコピペなんですが、今なお破壊力抜群という噂です。正直白○屋に対する熱い風評被害という感じもしないではないです。“ここの酒は色付の汚水みたいなもんだ”“油の悪い、不衛生な料理は、毒を食っているような気がしてならない”なんてあたりはちょっと表現が酷すぎる気がします。というかこのサラリーマン、10年でずいぶん変わったんですね。

居酒屋天狗

 私も白○屋ではありませんが、昔「天狗」というやはりチェーン居酒屋が大好きで、「10年経ったら入って5万、座って10万の銀座の高級クラブとかで飲んでるのかなあ」なって夢想したりしたものですが、10年経ってもやはり「天狗」で飲んでました。が、別にイヤじゃなかったし、出てくる酒や料理を「色付きの汚水」とか「油の悪い不衛生な料理」とか思ったこともありませんでした。これは10年経っても生活水準が変わらなかったということなんでしょうかね(涙)。安西先生に言われてしまう。

まるで成長していない

 有名なのはここまでなんですが、最近フリーター視点からのコピペがあることを知りました。以下のようなものです。

なあ、お前と飲むときはいつも白○屋だな。
一番最初、お前と飲んだときからそうだった
あの頃は浪人生でバイトもロクにできないお前に良くおごってやったっけ。
良い大学出て良い会社入る事だけが幸せか?
俺は目の前で得れる金しか興味ないって言うと、苦笑いしながら哀れんでたな、おごって貰ってる身分で。
お前が入社した頃はまだ景気も良くてバイトの俺のが稼いでたな。
あれから十年たった時も、たまにお前と飲むときもやっぱり白○屋だった。
ここ何年か、こういう安い居酒屋に来るのは俺と一緒のときだけだとお前言っていた。
俺が頼んだ安いツマミには一切手を付けず、ジョキのビールさえ飲まずお前は瓶ビールだけを飲んでたな。
何が入ってるか判らない、これは本物の酒と食べ物じゃないと訳の判らないことを言っていた。
一流企業に入社して残業が大変なのかノルマが厳しいのか知らんがちょっと神経質、いや精神病気味に見えて心配したもんだ。

チューハイ各種

 確かにサラリーマンの白○屋をディスっている部分は病的な感じがあって、フリーターの言うことももっとものような気もします。それにかつてはフリーターに奢って貰っているんですよね。浪人時代はきっと「色付きの汚水」や「油の悪い不衛生な料理」を美味い美味いとむさぼっていたはずです。それを考えたら、こんな安い居酒屋イヤだというのなら、強いて割り勘にしないで高級店連れていって奢ってやれよと思ってしまいます。

 まあこのコピペのキモはそこではなく、末尾の「十年前と同じ白○屋で、十年前と同じ、努力もしない夢を語らないでくれ」という部分なんだろうと思います。そして、ここが現在のフリーターにも刺さるのだろうと思います。

モラトリアム型フリーターリクオ

 もちろん一口にフリーターといっても何種類か類型があって、大まかには「モラトリアム型」「夢追求型」「やむを得ず型」の3タイプとなるそうです。「モラトリアム型」は最も多いタイプで、「フリーターとなった当初に明確な職業展望を持っていなかったもの」を指します。春アニメ「イエスタデイをうたって」の主人公リクオなんかがこれですね。フリーターになる直前に所属していたのが教育機関であったか、職場であったかによって、さらに「離学」と「離職」に分けられます。ならリクオは離学モラトリアム型フリーターだ。なんか格好いいぞ(笑)。

夢追求型フリーター木ノ下

 「夢追求型」は、「芸能関係の職業、もしくは職人・フリーランス型の職業につきたい」という、明確な目標を持っているタイプで、やはり「イエスタデイをうたって」でいえばバンドをやっている木ノしたさんが該当すると思います。目指す職業のタイプでさらに「芸能志向型」と「職人・フリーランス志向型」に分けられます。木ノ下さんは芸能指向型ですね。

プライベートトラブル型フリーターハル

 最後の「やむを得ず型」は、「本人の意欲とは別の、労働市場の悪化や家庭の経済事情、トラブルなどの事情からフリーターを選択」したタイプです。「イエスタデイをうたって」でいうとヒロインのハルがこれに近いでしょうかね。フリーターになった事情から「正規雇用志向型」「期間限定型」「プライベート・トラブル型」に分けられるということで、ハルはまさに「プライベート・トラブル型」。

フリーターの類型

 2016年の調査では一番多いのがモラトリアム型で5割近く、次がやむを得ず型で4割強、一番少ないのが夢追求型で1割弱となっています。夢追求型は2000年の調査では3割近くを占めまいたらしいので、激減しているんですね。日本には夢がなくなったのか…。コピペのフリーターはどのタイプだったんでしょうか。「努力もしない夢を語らないでくれ」というセリフから、夢追求型だったのかな、なんて感じますが、いつしか夢を追う努力を忘れてしまったのか。

フリーターの類型その2 

 なんとさらに続編があって、前出のコピペからまた10年が経過した後のサラリーマン視点です。

仕事帰り、信号待ちでふと目をやると若者ふたりが騒いでいる。
どうやら後ろに見える白○屋から出てきた友人同士のようだ。
ふたりとも、顔を赤くして悩みのなさそうな笑顔を浮かべている。

そんな光景が俺を10年前の白○屋に連れ戻す。
向かいに座った友人は30代にしてフリーターを続け、
先の見えない人生を送っていた。
思えば、彼は俺が貧乏学生の頃にメシをよくおごってくれた。
それは彼にとって自己顕示欲を満たすためのものだったかも知れないが、それでも
貧しかった当時の俺には本当にありがたかった。
だが俺はその頃仕事が軌道に乗り、ちょっとした「勝ち組」気分に浮かれ、目の前で現実に打ちのめされたような友人を見下し、侮辱し、突き放してしまった。
彼はヨレヨレの千円札3枚をテーブルに置くと「はは、そういえば仕事があった…」
と呟くように言い、恥じるような、堪えるような表情で席を立った。

夜の町

それから彼には会っていない。もっていた携帯も解約されたようだ。

若者コンビがこちらを指さしながら変わらぬ笑顔で騒いでいる。
これからの人生はきっと平坦ではないだろうけど、
それでも今を楽しむことに罪はない。
俺はきっと10年前のあの日を後悔している…

信号が青になり、我に返った俺はアクセルを踏み込む。
ガヤルドのエンジンから強いトラクションを感じつつ鋭く加速する。
白○屋の看板と若者コンビはあっと言う間に遠ざかる。
目の端に映るミラーの中で点になったのはあの頃の俺達だった。

ランボルギーニガヤルド

 ガヤルドってランボルギーニ…。どんだけ成功したんだサラリーマン。いや、独立して成功した青年実業家といった感じでしょうかね。しかし乗れないから僻んで言うわけではありませんが、40過ぎて乗りたい車でしょうかね。ベンツとかアウディ、BMWあたりの高級セダンならともかく。なおガヤルドは2013年で製造終了となって、後継車種はウラカンになっているので、2013年頃までに作られたコピペなのかも知れません。

ランボルギーニウラカン

 「10年前のあの日を後悔している」ということですが、「目の端に映るミラーの中で点になったのはあの頃の俺達だった」の「あの頃の俺達」は、20年前の貧乏浪人生時代のことでしょうね。

俺、正社員になる!

 フリーターでも一人扶持くらいはなんとか稼げるんでしょうが、生涯賃金とか福利厚生とかがサラリーマン(まあブラック企業とかもありますから一概には言えないんでしょうが)とだいぶ違うし、大体フリーターだと結婚とか家族を養うとかがかなり苦しそうです。岩田剛典が「一緒に暮らそう。俺、正社員になる!」と叫んじゃう訳です。前もツッコみましたが、「なる」じゃなく「なって」から言えよと思いますが。
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記憶に残る一言(その126):菊川仁義のセリフ(男坂)

ヤマゴボウ

 今日もちょっぴり秋の気配。筑波嶺の原野にはヤマゴボウ(ヨウシュヤマゴボウ)が色づき始めています。

ヤマブドウ

 私はかつてこれをヤマブドウ(上の画像)だと思い込んでいたんですが、全然別種でした。ちゃんと比較すれば確かに違いますね。そりゃヤマブドウが道ばたにはねーよな(笑)。それどころか、ヤマブドウの偽物というだけでなく、有毒だし果汁は肌や衣服に付くとなかなか落ちないし、いいところがない帰化植物でした。なるべく近寄らないようにしましょう。

菊川仁義

 本日は記憶に残る一言です。車田正美の「男坂」から主人公菊川仁義のセリフを紹介しましょう。作中最後のセリフでもあります。

風魔の小次郎

 車田正美は今も執筆活動を続けている現役の漫画家ですが、若い頃は大ヒット漫画家でした。20代で「リングにかけろ」が大ヒットし、その後も「風魔の小次郎」「聖闘士星矢」と黄金期のジャンプの看板漫画家の一人として活躍していました。

リングにかけろ

 「リングにかけろ」は序盤は地味で現実的なボクシング漫画でしたが、途中から路線を大きく変更し、現実のボクシングとはかけ離れた必殺技を撃ち合う技荒唐無稽な超人ボクシング漫画になってしまいました。「しまいました」なんて言ったらしくじったみたいに聞こえますが、実際には大成功で、ジャンプの看板漫画になり、車田自身が「集英社ビルが改装出来たのも『ジャンプ』が300万部突破出来たのも『リンかけ』人気のおかげ」とネタで言い放つほどでした。

ギャラクティカマグナム

 私はジャンプのバトル路線の嚆矢は「アストロ球団」だと思っていますが、必殺技の応酬という展開を確立したのは「リングにかけろ」だと思います。大ゴマや見開きが多いせいで、20ページ近くあってもすぐに読み終わるとか、最初の頃は一応原理を説明しようとしていた必殺技(スーパーブロー)も、そのうち技名を叫ぶだけで問答無用で相手を吹き飛ばすようになったりと、当時からネタとしていましたが、嫌いだったかといえばそんなことはなく、大好きでした。

男坂全3巻

 「男坂」は1984年から85年まで連載されました。前作は「風魔の小次郎」、後作は「聖闘士星矢」というビッグネームに挟まれています。単行本は全3巻。それってつまり…と言いたくなる気持ちは判ります。そう、はっきり言って打ち切りでした。

男一匹ガキ大将

 連載にあたって車田は「構想10年」「この作品を描くために漫画屋になった」と言い切るほどの意気込みを見せていましたが、わずか半年ほどで打ち切り。学ラン忍者が超人的忍術や聖剣で戦う「風魔の小次郎」、聖闘士が超人的奥義を繰り出す「聖闘士星矢」に比べ、本宮ひろ志の「男一匹ガキ大将」に近い喧嘩バトルの本作は、非常に地味に映りました。やはり車田漫画にはファンタジーが必要なんですよ。

JWCの皆さん

 少年達が世界中で軍団を作っていて、トップをドンと呼び、世界各国のジュニアのドンがジュニア・ワールド・コネクション(JWC)というのを結成していたりと、荒唐無稽さは他作に劣らないのですが、「男一匹ガキ大将」的世界はやはり80年代では古くさくなっていたということでしょうか。

武島将

 仁義のライバル、西日本最大の勢力を持つ武島将という「リングにかけろ」の剣崎順っぽいキャラも登場しましたが、最終的な決着を見ることなく終了。

島村春菜

 当時車田作品のパロディ漫画(「リングにまねろ」とか「風魔のセ小次郎」とか)を伝説のアニパロ雑誌「ファンロード」で書いていた島村春菜という人がいたのですが、同姓同名のキャラが仁義の幼なじみのヒロインとして登場していました。ジャンプ読者の9割以上は知らなかったでしょうけど、こういう公私混同がいけなかったのか(笑)。

未完

 西日本を手中にしている武島将に対抗すべく、勢力がまとまっていない東日本統一を図る仁義でしたが、関東、会津と押さえて東北・北海道のドン神威に会いに行くというところで物語は終わるのですが、最終回最後の見開きに書かれたセリフが今回の記憶に残る一言です。「オレはまだのぼりはじめたばかりだからな。このはてしなく遠い男坂をよ…」。そして傍らには「未完」の文字。

聖闘士星矢

 その後ファンタジー色満点で連載した「聖闘士星矢」が大ヒットした車田御大ですが、その次の「SILENT KNIGHT翔」は13週で打ち切りということになり、以後車田御大はジャンプとの専属契約を解消し、他社各誌で連載するようになりました。

SILENT KNIGHT 翔
neverEnd.gif

 「SILENT KNIGHT翔」はあまりにも「聖闘士星矢」の二番煎じ色が強かったからなあ…

再開男坂

 なお「未完」から30年が経過した2014年、ウェブコミックでまさかの連載再開となっています。連載当時の時代設定は踏襲されているので、相変わらず冷戦体制下の世界で男坂を登りまくっている模様。

まどか坂

 それではパロディを。まずは「魔法少女まどか☆マギカ」編。2011年の本放送当時、東日本大震災により、終盤の11話と12話が放送延期となりましたが、もし10話で打ち切られていたらこうなったんじゃないかという。確かにほむらのまどか坂も果てしなく遠かった…

便秘坂をよ
便秘坂

 便秘改善に苦労している人の漫画のラスト。嫌な坂だなあ…

弓塚さつき

 Fateシリーズの大ヒットですっかりビッグネームになったTYPE-MOONが同人サークル時代に制作した「月姫」の脇役・弓塚さつきらが、正ヒロインの座を巡って下剋上を起こす「路地裏さつき ヒロイン十二宮編」というアドベンチャーゲームのオチ。「真月譚 月姫」でTYPE-MOONの存在を知ったなあ…(遠い目)。

路地裏さつき

 アニメでは生存していましたが、ゲームでは殺害されて吸血鬼化しました。専用ルートが用意されるはずが、諸般の事情でカットされてしまった不幸キャラで、不遇キャラとしてたびたびネタにされています。良いキャラなんですけどねえ…

記憶に残る一言(その125):大魔王バーンのセリフ(DRAGON QUEST -ダイの大冒険-)

夏将軍

 処暑も過ぎたら残暑も多少は和らぐのではないかという儚い希望は脆くも崩れ去り、来ましたね猛暑。夏将軍のアルデンヌ攻勢…ならいいのですが。こういう日は運動を避けるべきと言われますが、避けて通れないならなるべく暑くない時間にということで、今日は9時過ぎにウォーキングに出発しました。後は冷房の効いた部屋で流すぞ。

ダイの大冒険

 本日は記憶に残る一言です。懐かしの「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」から大魔王バーンのセリフを紹介しましょう。「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」は1989年から1996年まで週刊少年ジャンプで連載された、ジャンプの平成初期を代表する作品の一つです。単行本の累計発行部数は4700万部以上。

ダイの大冒険単行本

 人気RPG「ドラゴンクエスト」シリーズの世界観・設定を元にしていますが、ストーリー自体は完全オリジナルで、ゲーム作品との接点はありません。当時のジャンプはドラクエシリーズを常にバックアップしており、漫画でのメディアミックス企画として本作が登場しました。予想以上の成功を収め、テレビアニメや劇場版アニメも制作されました。

初期のダイ

 連載初期時は「宿屋に泊まって体力・魔法力を回復」「魔法使いは力が弱く、打撃・武器による格闘は不得手」「冒険の最中での転職」など、ゲームを踏襲する設定や台詞が随所に現れていましたが、後には作品独自のストーリー展開やキャラクターの技・魔法、台詞回しに重きを置くようになっていきました。

初期のポップ
成長するポップ

 主人公は勇者ダイですが、魔法使いのポップが事実上ダブル主人公となっています。弱虫で臆病、ダメダメキャラだったポップが冒険の中で雄々しく成長していく物語とも言えるのですが、連載初期には編集から「いらないから早く殺せ」と言われたこともあったとか。残しておいて大正解。

大魔王バーン

 物語中盤、大魔宮バーンパレスの中へと向かおうとするダイ一行の前に登場する魔王軍総帥・大魔王バーン。ダイたちを舐めまくり、自分一人で全員を相手してやると告げます。

メラゾーマ対メラ

 ダイはバーンに突撃していくが一瞬で返り討ちにされます。ダイに火の玉を放つバーンに対し、ポップは火炎系最強呪文メラゾーマで抑え込もうとします。しかしバーンの小さな火の玉は、ポップの放つメラゾーマの炎の激流をあっさり掻き消してしまいます。

火柱に飲まれるポップ

 それどころかポップに着弾するや火柱がポップを飲み込みます。かろうじてダメージを抑えたポップですが…

焦るポップ

 「あっ…あんな小さな火の粉なのに…大魔王のメラゾーマはおれの何倍の威力もあるってのかよ…!!!」大魔王の底知れぬ魔力に震えるポップでしたが、バーンの答えは意外なものでした。

今のはメラゾーマではない

 「…今のはメラゾーマではない…メラだ…」。
 これが今回の記憶に残る一言です。フリーザの「私の戦闘力は530000です」に匹敵する、敵に絶望感を受けるセリフだと思います。ドラクエシリーズの火炎系魔法はメラ系と呼ばれ、メラ、メラミ、メラゾーマと強くなっていきます。今ではメラガイアーなんてのもありますが、当時のメラ系最強魔法はメラゾーマでした。しかもポップもこの頃には大魔法使いとなっており、その最強火炎呪文を弱小呪文で打ち破るという、圧倒的な実力差を端的に示した名シーンですね。

ドヤ顔バーン

 大魔王様によると、「同じメラでも魔力の絶対量によりその威力ははるかに異なる」ということですが、これは当時のゲームのドラクエでは考えられないものでした。というのは当時のドラクエの呪文は唱える者が誰であるかに関わらず、同じ呪文はほぼ一定のダメージしか与えられなかったのです。

バーンネタ

 2004年に発売された「ドラクエ8」では、賢さや魔力量によって攻撃呪文の威力が変わるようになり、以後のシリーズはそのシステムを継承するようになりました。さすが大魔王、ゲームシステムを先取りしたのか、或いは製作陣に大きな影響を与えたのか(人それを逆輸入という)。

暴れる夏将軍

 今日の暑さを「…今のは猛暑ではない…残暑だ…」なんて言われたら夏将軍に勝てる気がしなくなってしまいますね。

記憶に残る一言(その124):ザンジバルのブリッジクルーのセリフ(機動戦士ガンダム)

ネコもぐったり

 昨夜から今朝まで一晩中エアコン付けっぱなしにしてしまいました。今日は昨日よりはましな気もしますが、厳しい暑さですね。引きこもりならずとも引きこもりになってしまいます。

バニラモナカジャンボ

 こう暑いとついつい手が伸びてしまうのが氷菓。井村屋のあずきバーは定番ですが、最近おいしいと思ったのは森永のバニラモナカジャンボ。有名なチョコモナカジャンボの姉妹品ですが、チョコモナカジャンボが“アイスミルク”なのに対し、バニラモナカジャンボは“アイスクリーム”。その差は何かと言えば、乳固形分と乳脂肪分で、バニラモナカジャンボの方が味わいが濃厚なんですね。もちろん好き好きですし、どっちもおいしいのですが、個人的にはバニラモナカジャンボの方が一層好きかな。

ブリティッシュ作戦

 さて本日は記憶に残る一言です。8月というと原爆やら“終戦(敗戦と言え)”やらで何かと太平洋戦争の話題が出てきますが、実際に経験していないのでガンダムの一年戦争の話題を。もちろんこれも実際に参加した訳ではありませんが、リアルタイムで視聴したという意味で思い入れがあるもので。

宇宙要塞ア・バオア・クー

 一年戦争は宇宙世紀0079年1月3日に始まり、0080年1月1日に終結しましたが、最期の戦いが連邦軍が「星一号作戦」と呼ぶ宇宙要塞ア・バオア・クー攻略戦でした。ア・バオア・クーは、月面のグラナダ基地とともにジオンの最終防衛線で、ここを抜かれるとジオン本国が危機にさらされます。本来はグラナダ攻略戦も描かれる予定でしたが、全52話(4クール)の予定が打ち切りになって43話に短縮されてしまった影響で、本編では連邦軍はグラナダを無視するという形になってしまいました。

ソーラ・レイ

 スペースコロニー自体を巨大なレーザー砲とするジオンの最終兵器ソーラ・レイにより、連邦宇宙艦隊はその三分の一が消滅し、最高指揮官レビル将軍も死亡しますが、なおも攻略作戦は強行されます。実はもっといい照準を選択すれば連邦艦隊の半数を消滅させることも可能だったようですが、ギレン総帥は自身に無断で和平交渉に赴いたデギン公王を亡き者にすることを優先したのでした。

ゲルググ
空母ドロス

 ジオン軍は、新型モビルスーツ・ゲルググや大型宇宙空母ドロスなどを投入します。ギレン総帥の的確な采配もあって、一時は連邦軍を圧倒したようで、この時ギレンは「圧倒的じゃないか、我が軍は」とイキっています。

圧倒的じゃないか、我が軍は

 しかし妹のキシリアが、戦闘の最中にも関わらず、父殺しを理由にギレンを射殺してしまいます。

ギレン殺害

 キシリアはギレンに取って代わって指揮を引き継いだものの、指揮系統に混乱を引き起こしてしまいます。この機に乗じた連邦軍はドロスを沈め、モビルスーツがア・バオア・クーにとりつき始めます。一気に敗色濃厚となるジオン軍。

エギーユ・デラーズ

 一時的な指揮系統の乱れがこうも影響するとは…後付けになりますが、「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」では、総帥直属艦隊司令を務めていたエギーユ・デラーズが、ギレン戦死の報を聞くや否やそれをキシリアによる暗殺と看破し、麾下艦隊を率いてSフィールドから戦場を離脱したということになっています。なるほどそういうことがあったのなら戦力がごそっと減って一気に敗勢になるのもむべなるかなとは思います。

機動巡洋艦ザンジバル

 そこでキシリアはア・バオア・クー脱出を企図、機動巡洋艦ザンジバルの用意をさせます。ザンジバルはジオンの新鋭艦で、連邦軍のホワイトベース(ペガサス級強襲揚陸艦)に対応するような艦種だったと思われますが、連邦軍艦艇が迫ってくる中、脱出自体が容易なことではありません。そんな中、てんやわんやで脱出準備をするザンジバルのブリッジクルーのセリフが今回の記憶に残る一言です。

ザンジバルに乗るキシリア

ジオン兵G:「外には敵がうようよいるんだ」
ジオン兵H:「ドム中隊をまわせ。いくらなんでもザンジバル1隻じゃあ」
ジオン兵I:「冗談じゃないよ、死にに行く訳じゃないんだ。護衛機をまわせ。ザクでいいザクで!

キシリアさん 

 おそらくア・バオア・クーの司令部との会話でしょう。キシリアの脱出は他の兵に気づかれないように密かに進められたようですが、流石に護衛機なしではヤバすぎたのでしょう。

リック・ドム

 性能なら新鋭機のゲルググが一番高いのですが、パイロットが学徒動員だったせいか期待したほどの戦果を上げられませんでした。ドム(リック・ドム)はこの頃ジオンのモビルスーツの中核となっていたようで、直前にホワイトベースを擱座させています。

ザクでいいザクで

 しかし戦局が切羽詰まる中、理由の判らない艦の出撃に戦力を回す余裕はない訳で…それをよく承知している故に発せられたのが「ザクでいいザクで!」なんでしょう。昔結構使いましたね「コーラをくれ」「ドクターペッパーでいいドクターペッパーで!」とかね。

終盤のザク

 一年戦争緒戦で新兵器として華々しく登場し、連邦軍を圧倒したザクですが、この頃にはすっかり旧式化しており、まるで太平洋戦争における零戦を思わせます。太平洋戦争は3年半以上続いたので、零戦が旧式化するのも当然なんですが、一年足らずで旧式化してしまうザク(涙)。終盤はもっぱら画面の景気づけにあちこちで爆発していたようなイメージがあります。

ザンジバルにバズーカを構えるシャア
私の手向けだ
バズーカ発射
バズーカで首チョンパ

 キシリアはア・バオア・クーから離陸直後にシャアに撃たれて首チョンパ(古い)して死亡。シャアはドムの主兵装であるジャイアント・バズによく似た武器を使っていますが、ビーム兵器のような輝きを放っています。

出向するザンジバル
連邦艦に砲撃される

 ブリッジが大破したもののそのまま脱出を続けるザンジバル。しかし上空には既に蓮歩軍艦艇が押し寄せており、指揮系統を失ったザンジバルをあっさり撃破されて墜落・爆沈してしまいました。ザクなりドムなりの護衛機が来ていた様子がないので、待ちきれずに単艦発進を強行したのかも知れません。この状態だと、シャアが攻撃していなくても生き残れなかった可能性大ですね。

もろくも爆沈するザンジバル

 それにしてもザンジバル…シャア指揮下ではワッケイン座乗のマゼランと撃ち合って勝利したこともあるというのに。もっとも、巡洋艦のくせに戦艦に打ち勝ったこっちの方が問題だという声もありますが。

最終決戦仕様

 この戦いでガンダムは大破することになりますが、出撃にあたってはハイパーバズーカ2丁持ちで出撃しました。ビームライフルやシールドは背中に背負っており、アムロは戦いが長丁場になることを想定してなるべくエネルギーを温存しようとしたのだろうと思います。アムロの腕ならバズーカでモビルスーツを墜とせるでしょうし。後に最終決戦仕様と呼ばれるようになり、後発作品では、次の戦いを考えなくていい最終決戦において、全ての武器・装備をてんこ盛りにして出撃するというパターンが生まれました。どんどんド派手になっていった後発作品の演出に比べれば、ガンダムの最終決戦仕様はごくごくおとなしいと思います。

記憶に残る一言(その123):聖帝軍モヒカン男のセリフ(北斗の拳)

猫の開き

 梅雨が明けるやいなや猛暑襲来。昨日は立秋でしたがこれからがいよいよ夏本番といった感じです。秋が早く来てくれるなら8月中は多少は仕方ないかなとも思いますが、どうなんでしょう。今日は比較的凌ぎやすいので助かります。猛暑でも、合間合間に涼しい日があるといいんですけどね。

タイチ

 本日は記憶に残る一言です。暑いときこそ熱いものをということで、ある意味熱い男のセリフを紹介しましょう。昨日プロレスを見てたら、タイチというレスラーが出てきたのですが、愛を捨てたとか「天翔十字鳳」という技とか、ちょいちょい聖帝サウザー的な言動が目に付きました。

滅びるがいい愛とともに

 もしやと思ってWikipediaを見たら、やはりサウザーの技名や台詞をギミックの一部に取り入れているそうで、ニックネームは「愛を捨てた聖帝」。聖帝十字陵という名の関節技も持っているそうな。サウザーなら心臓の位置と秘孔の位置が通常と逆という例の体質もなんとか表現して欲しいですね。

聖帝様の親衛隊

 支配地域を視察中のサウザーの露払いとして「さがれ!道をあけろ~!!聖帝様の御視察だ~っ!!」とやってきたのは火炎放射器を持ったモヒカン男。「北斗の拳」が描く核戦争後の世紀末世界では、水は非常に貴重品とされるのに対し、ガソリンは妙に大量に残っている印象です。軍勢の移動にはバイクが使われたり、こういう火炎放射器が出てきたり。

なぜか出てくるじじい

 群衆が慌ててひれ伏す中、なぜかふらふらと出てきてしまう老人。聖帝様の邪魔をするとは許せんということでモヒカン男のサングラスが光ります。

汚物は消毒だ

 そして火炎放射器から火炎を浴びせながら発したのが今回の名言「汚物は消毒だ~!!」です。

消毒されてえか 

 その後も「消毒されてえかー!!」とイキりまくるモヒカン男。しかし、その栄光の時間はあまりに短かった。

火炎放射器を持ったケンシロウ

 突如現れたケンシロウに火炎放射器を奪われ、「おまえのいうとおりだ 汚物は消毒すべきだな…」と言われます。

モヒカン男の最期

 焦るモヒカン男ですが、ケンシロウは非情にも火炎放射器をスイッチオン。秘孔を突かれた訳でもないのに「うわぢゃ~~!!」と印象的な悲鳴を残して退場。今なら「アツゥイ!!」と叫んで欲しいところですが。

でかいババア

 出番はこれだけで、名も無い雑魚モヒカンなんですが、「汚物は消毒だ~!!」のセリフのインパクトから他の雑魚とは一線を画す知名度を誇っています。個人的には「でかいババア」と双璧ではないかと。

ケンシロウのツッコミ

 「でかいババア」の場合はケンシロウのクールなツッコミがツボにはまったことで印象に残るのですが、消毒モヒカンは存在が自己完結しているところが更にエラいと思います。

アニメ版汚物

 以後、ゲームなどで火炎放射系の武器や技で敵を焼き尽くす場面が出てくると、ほぼ必ずといって良いほどこのコメントが発せられるとか。



 こちらアニメ版。どうやら老人は恍惚の人だった模様。止めようとした男もろとも“消毒”してしまうモヒカン男が酷い。しかし火炎発射時には「この野郎どかねえか~!!」と叫んでおり、「汚物は消毒だ~!!」と言っていないのが残念です。



 こちらは劇場版「真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章」。この動画では、モヒカンは誰も焼き殺すことないままにケンシロウに“消毒”されてしまっています。

何も殺さなくても

 これだと、「ひ…ひどいよ、何も殺さなくても」(by鹿目まどか)という気持ちになってしまいますね。こっちのモヒカン男なら、尻に火を付けて「アツゥイ!!」と走り回らせるくらいで許してやってや。

改心したモヒカン男

 世紀末じゃないけどコロナ禍で世紀末的な雰囲気漂う昨今、改心したらしいモヒカン男が登場。「手洗いしろ!感染してぇかー!」と口調は乱暴ながら手段は穏当。これならケンシロウに奪い取られても大丈夫ですね。

コロナは消毒だ

 正直コロナウイルスにはこうしてやりたいところですが…。いわゆる“自粛警察”がモヒカン男化しないことを祈るばかりです。

記憶に残る一言(その122):人類補完委員会仏代表のセリフ(新世紀エヴァンゲリオン)

長梅雨

 今年は長梅雨で、昨日今日あたりは肌寒くて長袖を着てしまいました。7月に長袖を着たという記憶も最近はないのですが、それよりも長期予報では平年以上に暑い夏だとか言っていた記憶はあるんですが、梅雨にこんなに雨が降るなんて話は出てなかったような。

見知らぬ、天井

 さて本日は「記憶に残る一言」なんですが、新型コロナ禍、九州の水害などなど、復興には多額の費用がかかる見込みというところで思い出したセリフです。元ネタは「新世紀エヴァンゲリオン」の第弐話「見知らぬ、天井」。

目覚めるシンジ

 第一話「使途、襲来」でいきなり呼び出されて訳も分からないままに巨大ロボット(エヴァンゲリオン初号機)に乗せられたシンジ君、使途に一方的に攻撃されて絶体絶命のピンチというところで気を失います。目覚めると見知らぬ天井の下のベッドで、どうやら気絶している間にエヴァンゲリオン初号機が暴走して使途を倒した模様。

ゼーレの人達

 これに関してシンジパパンのゲンドウと人類補完委員会メンバーが会話します。大体ゲンドウが苦情を言われているのですが、知らない人はその人類補完委員会とは一体何だという話ですよね。設定では、国連直属の極秘諮問機関で、業務はゲンドウ率いる国連直属の超法規的武装組織NERV(ネルフ)の監督とその予算確保です。

ゼーレの人達その2

 構成員は5名で、画像上から奇怪なバイザーをしているのが議長で独代表のキール・ローレンツ。ライトのせいでガミラス星人みたいな顔色になっているのが露代表。やはりライトのせいで黄色い顔色で眼鏡をかけた痩せ気味の男が仏代表。赤いライトのせいで赤ら顔に見える顎が特徴的な面長の男が英代表。緑のライトを受けてガトランティス人みたいな顔色の眼鏡をかけた髭の男が米代表です。

人類補完委員会

 これにゲンドウを加えて6人で人類補完委員会を構成していますが、ゲンドウ以外の5人は太古より世界を裏から支配していると云われる秘密結社ゼーレの最高幹部の一員でもあり、キールはゼーレにおいても首魁を務めています。

人類補完委員会その2

 ゲンドウと冬月(ネルフ副司令)の会話においては、人類補完委員会とゼーレは別物として扱われており、委員会については「文句を言うことだけが仕事」の「下らん連中」などと見下していました。しかし、実際にはゲンドウ以外の委員は全員がゼーレの最高幹部なので、実質的に“人類補完委員会=ゼーレ”ということであり、本来なら見下すことなどできないはずです。

ゼーレの紋章

 しかし、当初の補完委員会は、キールを除いては到底ゼーレのシナリオや使徒の実態をきちんと把握しているとは思えない発言を繰り返しており、ゼーレの思想の実現を目指すといった宗教的な態度は見られませんでした。

左様の人

 その端的なセリフが仏代表の「零号機に引き続き君らが初陣で壊した初号機の修理代、国が一つ傾くよ。」です。彼がゼーレのことを全く知らない人であったなら、このセリフも大変ごもっともなんですが。

後のゼーレ

 しかし後半になると、この仏代表「われらゼーレのシナリオとは大きく違った出来事だよ」(弐拾話)と発言し、完全に人類補完委員会=ゼーレであることを明らかにした他、第弐拾参話ではモノリスが委員達の声で喋り出すようになります。

劇場版のゼーレ

 おそらく原作の中で両者の区別が曖昧だったせいだろうと思います。アニメ作品ではよくあることなんですが、最後まで見た後でまた最初から見直したりすると、発言の矛盾が明確になってしまうのですよね。こうした矛盾の再発を防ぐためなのか、新劇場版では人類補完委員会は登場せず、物語の序盤からゼーレのモノリスが出てきています。まあ人類補完委員会=ゼーレであるならば、分けて描く必要はありませんからね。

モノリス04

 ただ、この仏代表の甲高い声による「国が一つ傾くよ」はやはり名言だと思うのです。「コロナ禍に引き続き九州での大水害、国が一つ傾くよ」なんて。或いは「左様。今や周知の事実となってしまったアベノマスク、Go toキャンペーン、規制緩和、給付金の運用は全て適切かつ迅速に処理してもらわんと困るよ。」とか。政府の上にゼーレみたいな組織があって、アベちゃんが度々呼び出されて苦言を呈されているなんて…陰謀論者は大喜びしそうな設定でしょうかね。

人類補完計画

 この仏代表、先ほども使ったように、よく誰かの発言を引き継いで「左様。」と言ってから自分の発言をすることが多いのですが、この「左様」がやたら耳に残るんですよね。当時ちょっとしたマイブームで、何かというと「左様」と言っていましたっけ(黒歴史?)。なおモノリス化した後は、04のプレートから仏代表の声がするそうです。



 私以外にも物好きな人がいたらしく、こういう動画が作られていました。CVは冬月副司令役の清川元夢だったんですね。全然気がつきませんでした。舞台俳優が本業が、落ち着いた、含みのある低い声質なんですが、こういう兼ね役もこなすとは流石は声優。

テム・レイ
ガーゴイル

 ガンダムではアムロパパンのテム・レイ、「ふしぎの海のナディア」では敵であるネオ・アトランティスの首領ガーゴイルを演じていました。ご本人を見ると、冬月の容姿のモデルにもなっているようですね。

清川元夢

 「ご注文はうさぎですか?」ではもふもふしたアンゴラウサギのティッピー(通常チノの頭に乗っている)を演じていますが、エヴァの仏代表役の経験が生きたような気がするのは私だけでしょうか。

テイッピー
チノのティッピー

記憶に残る一言(その121):次回予告のセリフ(装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ)

武蔵改二参上

 また「艦これ」の話題で恐縮ですが、本日戦艦武蔵をレベル89まで育て、改二にしました。必要素材は弾薬9900、鋼材9600に加えて、改装設計図×3、戦闘詳報×1、新型砲熕兵装資材×3。1回の改造で改装設計図を2つ以上、また新型砲熕兵装資材を要求する改二は初ということですが、改装設計図は勲章4個と引き換えなので、つまり勲章12個分。私の場合勲章は月3個ゲットがせいぜいなので、4ヶ月分ということになります。婚約指輪は月給3ヶ月分が相場なんて話がありますが、これを上回ってくるとは。

試製51㎝連装砲
15m二重測距儀+21号電探改二
10㎝連装高角砲改+増設機銃

 それだけお高い艦娘だけあって、持参装備は豪華です。試製51㎝連装砲、15m二重測距儀+21号電探改二、10㎝連装高角砲改+増設機銃、新型高温高圧缶。そして戦艦としては初の5スロ。新型高温高圧缶を装備してもなお低速ですが、改良型艦本式タービンを追加したら高速化できるようになりました。

武蔵改二装備

 高速戦艦武蔵爆誕!!…と思いきや、艦種としては低速戦艦のまま。いくら装備でステータス上高速化しても艦種としては低速のままのようです。なので任務で「高速戦艦」が指定された場合、高速化した武蔵は受け付けられず、金剛型のようにもとから高速である高速戦艦を編成しなければならないという。

武蔵改二

 それでも「艦これ」内ではまさに日本最強戦艦でしょう。僚艦大和にまだ改二設定がされていないので、単独一位。大和もぜひ、と言いたいところですが、手持ちの勲章がゼロになってしまったので、しばらく待ってつかあさい(笑)。

ペールゼン・ファイルズ1巻

 それでは本日の本題に。前回が竜宮レナの「嘘だッ!!」だったので、嘘つながりで今回は「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ」の次回予告を紹介したいと思います。「ペールゼン・ファイルズ」は2007年から2008年にかけて全12話で制作されたOVAで、2009年には劇場版も公開されています。

ペールゼン・ファイルズ 2巻

 1983~84年に放映された「装甲騎兵ボトムズ」の前日譚にあたり、「吸血部隊」と呼ばれて敵味方に恐れられたレッドショルダー部隊の創設者であるヨラン・ペールゼンから250億分の1の遺伝確率で生まれる「異能生存体」と呼ばれたキリコが過酷な戦場に送り込まれます。

レッドショルダーの群れ

 キリコが属するバーコフ分隊の5人全員がケタ外れの生存率を持つ「異能生存体」とされ、「不死の分隊」として結成されましたが、実際には異能生存体はキリコだけでした。

キリコと仲間達

 「装甲騎兵ボトムズ」は、監督の高橋良輔が自ら書いたとされる次回予告がとにかく毎回格好よくて、
しかも読み上げるのが銀河万丈だからたまりません。千葉繁が回を追う毎にボルテージを上げ、仕舞いには血管ぶち切れそうにシャウトしていた「北斗の拳」と並んで次回予告の双璧ではないかと思います。そしてそれを踏襲した「ペールゼン・ファイルズ」第2巻PVおよび第3話「分隊」予告に登場した一文が今回の記憶に残る一言です。

スコープドッグ・ターボカスタム

言うなれば運命共同体。
互いに頼り、互いに庇い合い、互いに助け合う。
一人が五人の為に、五人が一人の為に。
だからこそ戦場で生きられる。分隊は兄弟、分隊は家族。

嘘を言うなっ!

猜疑に歪んだ暗い瞳がせせら嗤う。
無能、怯懦、虚偽、杜撰、
どれ一つ取っても戦場では命取りとなる。
それらを纏めて無謀で括る。     
誰が仕組んだ地獄やら。      
兄弟家族が嗤わせる。     

お前もっ!
お前もっ!
お前もっ!
だからこそ、
俺の為に死ねっ!

俺達は、何のために集められたのか。



 冒頭の心に響く熱いフレーズを「嘘を言うなっ!」と自ら全否定するという、これもノリツッコミの一種なのでしょうか。そして醜い現実を突きつけて、「俺が生き残るためにお前は死ねっ!」という身もふたも無い本音で締めくくという。

レナの嘘だッ

 「嘘を言うなっ!」の部分を竜宮レナの「嘘だッ!!」に差し替えても面白いかも知れませんね。空々しい綺麗事とか理想論とかを聞いた時についついこのフレーズが思い浮かんでしまいます。ただし日常会話の中で、下手に迫力を込めて言うと、知らない人には「痛い奴」と見られてしまいかねませんので要注意です。まさに「自爆、誘爆、御用心」なわけですね。

キリコ・キュービィ

 キリコといえば無口・無表情・無愛想で、主人公なのに画面に映っても喋らないことが少なくないのですが、彼の独白や劇中ナレーションは、非常に詩的な言い回しをしています。おそらくこれも高橋監督のせいなんでしょうが、そのせいでファンからは「脳内ポエマー」呼ばわりされてしまったり。例えば…

キリコ・キュービィ2

○ そこは俺にとって、懐かしい匂いのするところだった。手には冷たい鉄の肌触りしかなかったが、慣れ親しんだ温もりが蘇ってきていた。

○ そう、これは迫り来る地獄のプレリュードに過ぎないのだ。

○ 何かを求めて戦場に来る者。その日のメシにありつくために引き金を引く者。そして硝煙と死臭の中でしか生きられない俺。ここは神の住処じゃない。ただの瓦礫の山だ。

○ 愛…。かつて俺が愛のために戦っただろうか…。

○ 凶器のようなやつの闘志。それに比べて俺の心は燃えはしない。俺が敢えて受けて立つのは、その憐れな闘志を癒すためかもしれない。

○ 予感。そうだ、俺だけが知る闇からの予感だ。」

ターボカスタムのキリコ機

 これらのセリフは心中でしか語られないので、作中登場人物は知るよしもないのですが、口に出していたら中二病呼ばわりされてたりして。というか、世の中二病の諸君も、どんなに痛いセリフや臭いセリフでも、心中でだけ語っていれば良かったのですが。口に出さずにいられるかどうかが、異能生存体かただの中二病患者かの分岐点だったりして(笑)。 

記憶に残る一言(その120):竜宮レナのセリフ(ひぐらしのなく頃に)

まゆゆ引退

 まゆゆこと渡辺麻友が芸能界を引退しましたね。当ブログでは、ちょうど8年前の2012年6月7日の記事(https://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-28.html)で次のエースだと言っているほか、2013年9月19日の記事(https://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-496.html)で写真集「最後の制服」を取り上げており、以前はこの人及びAKBに結構関心があったはずなのですが、今や新規ゲットした艦娘の後塵を拝してしまう有様。いや~本当にAKB系列に興味がなくなってしまいました。心は変わるものだ…

「なつぞら」の渡辺麻友 

 渡辺麻友については、NHKの朝ドラ(でも見るのはいつも昼の再放送)「なつぞら」に出演していたのを見ていましたが、アイドル時代の面影がすっかりなくなっていました。もちろん女優としてキャラを演じているのでアイドルオーラを出してはいけないですが、それにしてもなあ…と思っていましたらこういうことに。「神7」初の芸能界引退者ということですが、今や「神7」が死語になっていたりして。

レナの嘘だッ

 さてまたも「記憶に残る一言」なんですが、本日は「ひぐらしのなく頃に」の竜宮レナのセリフを紹介しましょう。とっくに取り上げていておかしくなかったのですが、まだやっていなかったことに気づいたので押っ取り刀で。

ひぐらしのなく頃に

 私はアニメで視聴したのですが、原作は同人サークル「07th Expansion」によるコンピュータゲーム(サウンドノベル)でした。同人ゲームとしては異例の10万枚を売り上げて知名度が一気に上昇し、その後商業作品としてドラマCD化、漫画化、アニメ化、家庭用ゲーム機への移植、小説化、実写映画化などがなされました。

原作のレナ

 アニメは第一期が2006年4月から2クール、第二期(ひぐらしのなく頃に解)が2007年7月から2クール放映されました。原作の絵柄は非常に個性的というか癖がすごいものでしたが、アニメでのキャラデザインは非常に洗練されて万人受けするものになっていました。

可愛いレナ

 最初に視聴した時は、4話で主人公が死亡してしまい、どうするんだこれからと思いましたが、5話では何事もなかったように1話開始時点に戻っていました。原作は寒村で起きる連続怪死・失踪事件を扱った連作式のミステリーで、謎を提示する「出題編」4編と、事件の真相と謎に対する解答を示す「解答編」4編で構成されており、アニメでも各編を再現していたんですね。

オヤシロモードのレナ

 つまりアドベンチャーゲームをプレイしてバッドエンドに行き着いてしまったらまたリスタートさせるという、あれをアニメでやっているのです。つまり各編はパラレルワールドになっていて、惨劇が起きる度にリセットされるという。ゲームの場合はプレイヤーが知識を蓄積していくので繰り返す度にクリアに近づいていけるのですが、主人公達はいわばゲームのキャラなので、何度リセットされても知識も経験も身に付きません。なのになぜパラレルワールド構造になっているのかがシリーズ全体の最大の謎だったりするのですが、それもちゃんと説明され、最後の最後にハッピーエンドにたどり着きます。

恐いレナその2
恐いレナその1
恐いレナその3

 しかし出題編4編と解答編の前半2編が放映された第一期は基本鬱展開でした。その凄さはぜひ一度視聴して欲しいのですが、今となっては古いでしょうかね。短絡的な行動は基本悲劇しか呼ばず、他者を信頼し悩みを打ち明け、可能な限り穏当な解決手段を採用すること(過激な手段は往々にして過激なリアクションを励起するので)の大切さが理解される様になっていきます。

私服の竜宮レナ

 本日のセリフを発するのは竜宮レナ。本作のメインヒロインで、出題編の「鬼隠し編」のヒロインで回答編の「罪滅ぼし編」の主人公を務めます。昭和57年時点で14歳の中学生で、可愛いものが大好きで特技は料理。毎朝学校へ行く時に主人公・前原圭一の家に迎えに来たりと、見た目も言動も女の子らしいキャラです。本名は「礼奈(れいな)」ですが、過去の嫌な一件から「レナ」と自称し友達や他人にもそう呼ばせています。

制服の竜宮レナ

 心優しく献身的な性格で、善意の塊のような女の子ですが、普段のほわーっとした少女らしい部分と、沈着冷静でリアリスティックな大人の女性のような部分を併せ持っています。普段は優しくて大人しいだけに、怒ると別人のように凄まじく怖いのですが、それが端的に示されたのが「鬼隠し編」でのこれです。



 そしてこの「嘘だッ!!」が今回の記憶に残る一言。この動画は短すぎて前後の経緯が良く判らないかも知れませんが、後ろの木に止まっていた鳥が一斉に飛び立つレベル。CV中原麻衣の演技の凄まじさがおわかりいただけるのではないかと。

漫画版嘘だッ

 このレナの豹変ぶりは視聴者に強烈なインパクトを与え、それまで牧歌的だったストーリーは一気に緊迫していくことになります。鬱展開と恐怖展開が交錯する「ひぐらしのなく頃に」という作品のその後の展開を想像させるものでもあり、竜宮レナ、ひいては「ひぐらしのなく頃に」の代表的な台詞のひとつとされています。


 実は「嘘だッ!!」はレナの専売特許ではなく、主要キャラが口走っています。でもやはりレナのが一番インパクトがありますね。一瞬出てくる実写版のレナがひどい(笑)。

パチスロ版嘘だッ

 「鬼隠し編」だけ見ていると、レナには「狂気の少女」というイメージがついてしまいますし、「罪滅ぼし編」では殺人まで犯してしまうので、ヤンデレ扱いされることもありますが、「鬼隠し編」のレナの言動は、既にある病(雛見沢症候群)により狂気を帯びていた前原圭一の目を通してのもの(圭一にはこう見えたけど、実際にはかなり違っていたはず)であり、「罪滅ぼし編」でのレナの凶行は、レナがその病を発症していたが故なので、ヤンデレというのとは違います。強いて言えばヤンデル?

原作版嘘だッ

 「罪滅ぼし編」で大暴れした後は、仲間の世話や揉め事の仲裁、困難な状況を冷静に分析して穏便な善処策を提案する「青い炎」と呼ばれる役目を果たしていくことになります。

鉈を振りかざすレナ
鉈装備のレナ

 レナというと連想されるのが巨大な鉈を持った姿ですが、これはレナ言うところの「かぁいいもの探し」という粗大ゴミ置き場での宝探しにの際に、邪魔なものをどけるために使用しています。圭一は「斧を提げて歩いていてもレナならいつもの日常」と語っており、特に不審感は持っていませんが、原作者によると「狂気」と「凶器」をかけた象徴的意味があるそうです。そもそもどうして粗大ゴミのようなガラクタを「かぁいいもの」と感じるのかという辺りに、彼女の過去が反映されているのですが、彼女を詳しく知りたければググっていただければと思います。

ヤンデレみたいだが

記憶に残る一言(その119):イラストの煽り文句(「なぜなに学習図鑑」第9巻「なぜなにからだのふしぎ」)

睡蓮咲く

 5月もいよいよ終わって明日から6月。もうすぐ梅雨のシーズンですね。新型コロナウイルスは太陽光線に弱いとか湿気に弱いとか、まるで吸血鬼のように弱点が一杯あるかのような報道がありましたが、実際のところはどうなんでしょう。様々な弱点の存在が指摘されながら、それでも凶悪かつ強力な不死者の王とされることが多いのが吸血鬼なので、新型コロナウイルスもそういうことなんでしょうか?

伝説のバックスクリーン三連発

 本日も「記憶に残る一言」です。バース・掛布・岡田以来の三連発(笑)。もう今回は出オチのようにいきなり登場して貰いましょう。

イルカがせめてきたぞっ 

 皆さん一度はネットで見たことがあるんじゃないでしょうか。「イルカがせめてきたぞっ」。小学館の「なぜなに学習図鑑」の第9巻「なぜなにからだのふしぎ」に収録されています。

なぜなにからだのしくみ

 「なぜなに学習図鑑」は子供からの質問に対しての回答・解説とイラストという体裁になっていて、このページの質問は「人間より、イルカのほうが頭がよいのですか。」というものでした。これに対し、回答はイルカがとても頭が良いことを説明した上で、「もし、いるかが人間と同じようにりくの上でくらすとすると、知えのほうで、きっと人間をまかしてしまうだろうという人もいます。」と締めくくっています。

直立歩行イルカ兵

 この回答に関するイラストがページの大部分を占めているのですが、どこがどうして“ボンベを背負ったイルカ兵士が光線銃と巻貝型戦車で人間世界に侵攻する”という侵略パニック映画じみたイラストに発展してしまったのか。

小松崎茂

 衝撃的イラストの作者は小松崎茂。空想科学イラスト・戦記物・プラモデルの箱絵など、挿絵の第一人者として幅広く活躍した巨匠です。戦前から戦争物や空想科学を題材にした絵を描いて評判になり、戦中には少国民向け雑誌に戦記小説の挿絵や、軍艦、戦車、飛行機などの戦争イラストを数多く発表して注目されました。戦後も自分の絵で子供達を励ます事を考え、より精力的に作品作りを行い、未知なるものへの想像力をかき立てる空想科学イラストは当時の少年達に大人気を博しました。

小松崎版ノアの箱舟
局地戦闘機雷電
宇宙コロニー

 40年代後半~50年代半ばに起きた絵物語ブームでは「少年ケニヤ」の山川惣治と人気を二分し、寝る間もない多忙な日々を送ったそうです。これが後の漫画界に大きな影響を与えることになります。この頃に小松崎茂の絵物語を愛読して影響を受けた漫画家には、石ノ森章太郎、ちばてつや、川崎のぼる、松本零士といった錚々たる顔ぶれで、藤子不二雄Ⓐに至ってはペンネームを「小松原滋」にしてサインも真似した程だったそうです。

イルカ兵フィギュア
イルカ兵ラバーストラップ

 一般的に可愛らしいイメージが強いイルカが無慈悲に人間を殺戮しているというギャップのある光景と、直立してボンベを背負う(イルカは肺呼吸なのに)イルカというシュールな絵面にも関わらず、小松崎茂の圧倒的な画力によって躍動的な印象を保ったこのイラストは、「イルカがせめてきたぞっ」というインパクトのあるフレーズと相まって、当時の少年少女に強烈な印象を残しました。現代でもなお「面白画像」としてインターネットで盛んに流布されています。

イルカがせめてきたぞ別バージョン

 実は同じ小学館の月刊学習雑誌「小学四年生」の1970年3月号には、「ショッキング画報 もしもこうなったら」という特集記事内において、「もしもイルカがせめてきたら」というイラストが掲載されていました。こちらは人間に一方的に殺され、海を荒らされたことに怒りを爆発させて復讐するために攻めて来たそうで、いきなり攻めてきた感のある「なぜなにからだのふしぎ」と違って侵攻の動機が書かれています。イラストは伊藤展安となっていて、小松崎茂とは別人ですが、ボンベを背負って直立するイルカや巻貝型戦車などのモチーフには類似性が強く、小学館の編集者がこの絵を元に小松崎茂にイラストを依頼したといった事があったのかも知れません。

なぜなに学習図鑑
原始人のプロ野球選手

 「なぜなに学習図鑑」シリーズは、1970年代に人気を博しましたが、学習図鑑という体裁を取りながらも怪しげなネタが満載なので、今よりも娯楽の少なかった当時の少年少女のエンターテイメントだったのでしょう。「原し人が今いたら、どんなしごとにつけますか。」の質問には「プロ野球のせん手」と回答していたり。身体能力が凄いということならプロレスラーとかでもいいはずですが…バッターも原始人なら守備も原始人。助っ人外人のような扱いになっていますね。これはダブルプレーになってしまうような(笑)。

日本にもきたうちゅう人

 「空とぶ円ばんは、ほんとうにあるのですか。」という質問(本当に子供が質問してるの?)に対しては、なぜか「日本にもきたうちゅう人」というイラストが。「はっきりしたことはわかりません」と言いながら、土偶が宇宙人のようだということで、「大和時代に宇宙人が来たのではないかという説」を紹介しています。大和時代って弥生時代末期から古墳時代で、飛鳥時代の前の3世紀~7世紀頃を指しますが、土偶はもっと前の縄文時代じゃなかったけ?

ジュニアチャンピオンコース
ドラゴンブックス
ジャガーバックス

 親に買って貰うほかに、当時は児童館に「なぜなに学習図鑑」のシリーズが置かれていた記憶があります。金のない貧乏な子供は児童館に入り浸ってたりして。その他、学習図鑑という体裁もかなぐり捨てた児童向けのサブカルチャー叢書としては、学研の「ジュニアチャンピオンコース」、講談社の「ドラゴンブックス」(「悪魔全書」が欲しかった)、立風書房の「ジャガーバックス」(「いちばんくわしい」と銘打つものが多く、他社との差別化を図っていた模様)などがあり、子供達に人気を博していました。これらに加えて「ノストラダムスの大予言」「エクソシスト」「恐怖新聞」等など…こうしてオカルト少年が誕生していったのです(笑)。

もしもの世界

 どれもこれもインパクトが大きかったのですが、特に印象に残っているのは「ジュニアチャンピオンコース」の「もしもの世界」でしょうかね。「もしも太陽が燃え尽きたら」「もしも地球の自転が止まったら」なんて突飛な質問(しかし子供は飛びついてしまう)を掲げ、その回答を綴っているのですが、なにしろ衝撃的なイラストが満載で。「もしも酸素がなくなったら」の女性なんかトラウマものですよ。

もしも酸素がなくなったら

記憶に残る一言(その118):キリヤマ隊長のセリフ(ウルトラセブン)

初夏の竹林

 先週は寒かったんですが今週はいかにも5月というか初夏らしい気候になってきました。いよいよ夏に向けた対策が必要になってきますね。緊急事態宣言は全国的に解除されましたが、相変わらず患者は発生し続けていて、第二波の到来も憂慮されています。前回も書いたけど真夏にマスクなんてうんざりですよね。熱中症になりそう。ニトリがNクールのマスクでも売り出したりして。

ウルトラセブン第二回

 今回も前回に続いて「記憶に残る一言」なんですが、予告通り「ウルトラセブン」の二回目です。

ジャミラ

 ウルトラシリーズには時折、単純な勧善懲悪ではない重いテーマが含まれる作品があります。ウルトラマンだと、怪物化したとはいえ正真正銘の人間であるジャミラ登場する第23話「故郷は地球」。見捨てられた母国に復讐するために帰って来たジャミラに対し、科特隊には「ジャミラが元は人間だった事実を公表せずにあくまでも1匹の怪獣として倒せ」という非情な命令が。

水で倒されるジャミラ

 科特隊の人工降雨弾、そしてウルトラマンのウルトラ水流で倒されるジャミラの悲鳴は赤ちゃんの泣き声のようでした。それにしても事故で水のない惑星に不時着して環境に適応して怪物化したというところまでは納得できなくもない(人間離れした適応力だけど)のですが、乗ってきた宇宙船を修理・改造して自由に姿を消す機能まで付加して地球に帰還したあたり、そもそも救助なんかいらなかったんじゃないかとツッコまずにはいられません。知能まで大幅に強化されたんだろうか。

メイツ星人と少年

 また「帰って来たウルトラマン」だとなんと言っても第33話「怪獣使いと少年」。いわゆる「11月の傑作群」の白眉で、差別や未知なるものへの恐怖心、集団心理の恐ろしさを描いていました。天涯孤独の少年と地球の調査にやってきたメイツ星人には親子のような絆が生まれましたが、メイツ星人は地球の環境汚染に蝕まれて衰弱し、彼に変わって埋まっている宇宙船を掘り返そうとする少年は宇宙人呼ばわりされて陰湿ないじめに遭います。

暴徒化する人々

 仕舞いには暴徒に殺されそうになる少年。メイツ星人が正体を現すと警官に射殺されますが、それでメイツ星人が封印していた怪獣ムルチが復活、暴れ出します。一部始終を目撃していた郷(新マン)は、人間に絶望して見捨てる決断に至りますが…。筋はいいのですが、なぜにMATの隊長が雲水姿で出てきたのかは永遠の謎(笑)。いや、まずお前がちゃんと戦えや。その後、少年は再び穴を掘り始めます。「彼は一体いつまで掘り続けるつもりだろう?」「宇宙船を見つけるまではやめないだろうな。彼は地球にサヨナラが言いたいんだ」…あまりに救いのない結末に、監督は降格され、脚本家は干されたそうです。

水着のアンヌ

 そして「ウルトラセブン」では第42話「ノンマルトの使者」。第26話「超兵器R1号」も同じくらいの問題作なんですが、こちらは機会があれば別途取り上げるかも知れません。アンヌ隊員の水着姿が拝めるからこちらを選んだという訳ではないのですが…

アンヌを説得する真市

 海底開発の基地となる海洋調査船シーホース号が突如爆発。海辺に現れる少年は「海底はノンマルトのものだから、侵略したりすると大変なことが起きる」と繰り返し警告しますが、誰も本気で相手をしてくれません。しかしダン=ウルトラセブンには「ノンマルト」という言葉に心当たりが。故郷であるM78星雲では地球人のことをノンマルトと呼んでいるのです。それまでノンマルト=人間だと思っていたダンですが、実は先住民族がいるのか?

デーモン族

 少年によるとノンマルトは本当の地球人で、先住者でしたが人間により海に追いやられてしまったのだそうです。「人間は今では自分たちが地球人だと思ってるけど、本当は侵略者なんだ」と。これが本当だとすると、ノンマルトは「デビルマン」のデーモン族、はたまた「魔王ダンテ」の先住人類のような存在ということになりますが…。

ガイロス

 その後、蛸のような怪獣が出現。ウルトラ警備隊はこれをノンマルトだと思い込んで攻撃しますが、実はノンマルトが操るガイロスでした。なおガイロスは週刊少年マガジンの怪獣デザインコンクールで銀賞を受賞した「ガイロス星人」が元になっています。金賞を受賞した「回転サイボーグ デイクロス・レイザ」は、前話「水中からの挑戦」でカッパ怪獣テペトとして登場しています。

地上を攻撃するグローリア号

 その後、ノンマルトは乗っ取ったイギリスの原子力潜水艦グローリア号で地上を攻撃。そしてガイロスも再登場。ノンマルトは海底に追い遣った人類に対し、自分達の生存をかけて戦うことを決意したのでした。ノンマルトの語源は戦いの神マルスに、否定形のノンを付け加えたもので、好戦的ではない種族を意味したネーミングだそうですが、窮鼠猫を噛むということか。

ダンを止めようとする真市
セブンと戦うガイロス

 ダンがセブンに変身しようとすると、そこに少年が出現し、変身を阻止しようとしますが、それを振り切って変身するダン。ガイロスはセブンに倒され、グローリア号はウルトラ警備隊のハイドランジャーに撃沈されます。

ノンマルトの海底都市

 そしてグローリア号が向かおうとした先にあったのはノンマルトの海底都市。その光景に、驚愕の表情を隠せないキリヤマ隊長。「もし宇宙人の侵略基地だとしたら放っておく訳にいかん。我々人間より先に地球人がいたなんて…。そんなバカな。やっぱり攻撃だ!」本部への報連相もなく関独断専行してしまうキリヤマ隊長。あんたは関東軍か。

海底も我々人間のものだ

 ハイドランジャーから発射された大型ミサイルにより、海底都市はノンマルトと共に海の藻屑と消えたのでした。その時に狂気の笑みを浮かべてキリヤマ隊長が放ったのが今回のセリフです。「ノンマルトの海底都市は完全に粉砕した!我々の勝利だ!海底も我々人間のものだ!

晩年の中山昭二

 キリヤマ隊長を演じたのは中山昭二。98年に70歳で亡くなっていますが、50年代には東宝を代表する映画スターでした。「ウルトラセブン」撮影当時は「子供番組なんて恥ずかしい」と言っていたそうですが、後年には「なんだかんだ言っても、俺の代表作はセブンなんだよな……」と語っていたとか。

キリヤマ隊長

 キリヤマ隊長は冷静沈着かつ謹厳実直だが、情に厚い一面もあり、部下や上層部からの信頼も厚いという、実に隊長らしい隊長です。強い意思と信念を持ち、地球および地球人に危害を及ぼす者に対して敢然と立ち向かう優秀な指揮官で、通常は戦いを好まないうえに冷酷でもないのですが、今回のエピソードに限っては交渉や調査より攻撃を優先しており、「ウルトラマン」でのバルタン星人の円盤破壊による20億3千万人虐殺に次ぐ大虐殺となったと思われます。ノンマルトの実数は不明ですが、バルタン星人の大虐殺はウルトラマンが行ったのに対し、ノンマルトは人間が直接手を下しています。

キリヤマ隊長に学ぶリーダーシップ

 ただし、キリヤマ隊長の攻撃命令については、既にノンマルト側から先制攻撃が行われていて多くの人命が失われているので、人間を守るウルトラ警備隊の隊長という立場からすれば、やむを得ない行動だったともいえるでしょう。もっともノンマルト側からすれば、先に自分たちのテリトリーに踏み込んできたのは人間であり、やむなく対抗したということなんでしょうけど。

ウルトラセブン1999
平成ウルトラセブンのノンマルト

 今回のセリフについては、普段の冷静さをかなぐり捨てたように勝利に酔う笑顔が醜く写る(中川昭二の演技力の賜物)ほか、後シリーズ(「平成ウルトラセブン」)において色々な波紋を残すこととなりますが、まあそれは別のお話です。

ノンマルト

 ところでノンマルト、実は作中で一言も言葉を発しておらず、基本的に少年がスポークスパーソンになっているのですが、実は二年前に既に死んでいたことが判明。なぜ彼がノンマルトの使者になったのでしょうか。ノンマルトが化けていたのか、それとも魂がノンマルトに味方したのか。「使者」には「死者」が掛けてあるのか?だとすると「新世紀エヴァンゲリオン」第弐四話「最後のシ者」みたいな感じでしょうか。

真市の墓

 今回の大虐殺の立役者であるたウルトラ警備隊の潜水艦ハイドランジャーは、極東基地に二隻が配備されており、通常は乗員3~4名で運用されていますが、1人でも操縦可能。水流ジェット推進で水上を50ノット、水中を27ノットの速度で航行し、水深430mまで潜行可能。無補給で最大720時間の連続航行が可能という高性能ぶりです。ウルトラシリーズに登場する水中メカは奇抜なデザインが多い中、ハイドランジャーは現実の潜水艦に近いデザインで、コアな人気があるとか。

ハイドランジャー

 武装はレーザー砲・魚雷・水中ミサイル・ロケット砲などと、高い戦闘能力を持っています。ウルトラ警備隊を代表するメカであるウルトラホーク1号はいろんな宇宙人の円盤を撃墜していますが、ハイドランジャーも第21話「海底基地を追え」でミミー星人の円盤を撃墜しています。しかし終盤の第46話「ダン対セブンの決闘」では、一般隊員が搭乗するハイドランジャーがサロメ星人に撃沈されおり、対宇宙人戦は一勝一敗の痛み分け。

ハイドランジャープラモ 
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