ファミコン探偵倶楽部PartⅡうしろに立つ少女:ホラーテイスト満載のミステリーアドベンチャー

本日は全国的に雛祭りな訳ですが、昨今はきちんと年中行事としてやっているんでしょうかね。カラフルなひなあられはともかく、ちらし寿司とか蛤のお吸い物というのはちと地味な感じがしますね。菱餅はそのままでは食べないし、白酒はアルコールが入っているから女の子に飲ませる訳にはいかないし。それでひなケーキなんてものが登場してきたのか。

ケーキはいつ食べてもおいしいですからね。こどもの日とかにも出したらいいんじゃないでしょうか。…と思ったら、なんと!

ちゃんとあるんですね、こどもの日ケーキ。兜や鯉のぼりをかたどったりして努力賞ものです。それならいっそお彼岸にもケーキを出したらどうでしょう。正月には鏡餅の代わりに三段ケーキとか。

本日のゲーム昔語りは名作「ファミコン探偵倶楽部PartⅡ うしろに立つ少女」です。ファミコンのディスクシステム用アドベンチャーゲームとして、1989年5月23日に前編が、同年6月30日に後編が発売されました。前年に発売された「ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者」が好評を博しての続編ということになりますが、時系列的には「消えた後継者」の3年前の物語ということになっています。

主人公が空木探偵事務所で助手として働くことになったいきさつや、同じく助手の橘あゆみとの出会いなどが描かれています。ファミコン探偵倶楽部は事件と怪談が結びつけられているのが特徴で、「消えた後継者」でも死人の蘇り伝説が登場しましたが、今回は女子高生殺人事件に、古くから学校で噂されてきた怪談「血染めの少女の霊」の話が結びつけられています。

個人的には横溝正史的なホラーミステリーは大好物でしたし、「消えた後継者」も「うしろに立つ少女」の出来が良かったので続編を大いに期待していたのですが、サテラビューというスーパーファミコン周辺機器(BSアナログ放送で実施されたスーパーファミコン向け衛星データ放送サービスを受信するためのデータ放送受信端末)用に第三弾となる「BS探偵倶楽部 雪に消えた過去」が発売されて以降は途絶えてしまいました。サテラビューなんて誰も手を出していないもので発売してしまったのが運の尽きだったんでしょうか。「雪に消えた過去」では橘あゆみはCV皆口裕子、空木俊介はCV速水奨という豪華なキャスティングがされていたので、ぜひプレイしてみたいんですが…

「うしろに立つ少女」はシリーズ10周年を記念して、1998年4月1日にスーパーファミコンのニンテンドウパワー専用ソフトとしてリメイクされ、書き換え専用ソフトとして発売されました。当然とはいえ、スーファミなのでグラフィックが大幅に強化されていますが、女の子が可愛くなったのが何よりですね。実はこちらは未プレイなんですが、98年だとさすがにメイン機がプレステやサターンに変わっていて、スーファミはお蔵入りしていました。その後はゲームボーイ、wii、3DSなどにも移植されています。

殺害された女子高生の遺体が河原で発見され、空木探偵事務所にも調査の依頼が来ましたが、空木探偵は手がけていた時効寸前の「金田源治郎殺害事件」の捜査に専念するため、主人公に事件調査を託すことに。警察が私立探偵に調査の依頼をするとか現実にはちょっと考えられませんが、そこは金田一シリーズとか少年探偵団のノリで多目に見ましょう。


殺された小島洋子の親友が橘あゆみで、二人は丑美津学校で「探偵クラブ」というサークルを起ち上げていて、高校に古くから伝わる怪談話「うしろの少女」の噂を調べていたのでした。丑美津高校では15年前に浅川しのぶという女生徒が行方不明になるという事件が起きており、怪談の噂はその頃から語り始められたようですが…


あゆみは以前、洋子から丑美津高校の廊下の突き当たりにある大鏡の前で「うしろの少女は、本当にあなたのうしろに立っているかもしれない」と言われたことがあり、また丑美津高校OBでもある葉山教諭からは「うしろの少女」を初めて目撃したのが葉山自身であることを知らされます。葉山は、「金田源治郎殺害事件」の発生した15年前の11月10日に学校で「うしろの少女」を目撃したのです。


そこで空木が手がける「金田源治郎殺害事件」がクローズアップされてくる訳ですが、殺害された金田はスナック経営の傍らで違法な高利貸しや詐欺行為を行っており、恨む人間は数知れず。最有力容疑者とされた内田輝彦は事件発生直後に自殺体として発見され、その後も容疑者は特定できず、凶器も発見されていませんでした。金田には一人息子の五郎がおり、地元の不良仲間とスナックに入り浸っていましたが、その時に金田の自宅で五郎の帰りを待っていたのが浅川しのぶであったといいます。


金田五郎は源治郎の遺産を食いつぶしている遊び人でしたが、最近なぜか金回りが良くなったとされますが、主人公が彼に話を聞こうとした矢先、何者かに刺殺されてしまいます。源治郎から多額の借金をしていた用務員の田崎、なぜか主人公に睡眠薬入りのコーヒーを飲ませるあゆみ、そして犯行を自供する遺書を残して突如自殺する校長の浦辺など、謎は謎を呼ぶ展開の末、真犯人が判明します。


もう古い作品なのでネタバレしても差し支えないと思いますが、犯人は小島洋子の担任の日比野でした。日比野は本当は内田輝彦の息子で、15年前に自殺直前に最期の電話をしてきたことで源治郎に恨みを抱きいて彼を殺害し、犯行を目撃したしのぶは逃げようとした矢先に駆けつけた浦部の車に轢かれてしまいました。


浦部はまだ息のあったしのぶと日比野を車に乗せ学校へと向かいましたが、しのぶは息を吹き返し、窓の外にいた葉山に助けを求めようとしたため、日比野は教室にあった花瓶でしのぶの頭部を殴打し殺害しました。また、最近になって事件の真相を知った洋子から問い詰められた日比野は洋子の首を絞め絞殺、さらに浦部が事件に関与していた事を知った五郎が脅迫していることを知って、五郎をも刺殺したのでした。


すべてを告白した日比野は主人公とあゆみを廊下の行き止まり、大鏡の前に追い詰める。二人に襲い掛かった日比野のナイフが大鏡に突き刺さると、鏡にヒビが入り砕け散り、中からセーラー服を着た白骨死体のしのぶが飛び出し、日比野に覆い被さりました。錯乱した日比野は駆けつけた警察官に取り押さえられ、事件は解決します。


しかし後日談として、しのぶの白骨死体の頭部には殴打された痕跡がなく、車ではねられた際にすでに死亡していた事が判明します。それでは、葉山が見た血染めの少女は一体…?またあゆみによれば、洋子はまるでしのぶに取り憑かれたかのように事件について知りすぎていたそうです。美術室に残されたしのぶの肖像画を見ると、洋子によく似ていますが、実は洋子としのぶは親戚だったとか。この辺はファミコンではどうにもなりませんが、リメイク版だと説得力があるような。


それにしても描写力の貧弱さに定評があるファミコンであっても、真犯人登場から白骨ドサーまでの怒濤の展開の怖かったことといったらなかったですね。しかしリメイク版の画像はそれはそれは美しい。想像力で補っていたといはえ、やはり画像はいい方がいいに違いありません。

なお、2017年にファミ通.com上で行われたゲームのジャンル別ランキング作成企画の際、アドベンチャーゲーム総選挙では18位に本作が入っていました。ちなみに1位は「シュタインズ・ゲート」。私のプレイした作品では、「かまいたちの夜」が6位、「Ever17 -the out of infinity-」が9位、「この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO」が12位、「スナッチャー」が13位、「ポートピア連続殺人事件」が15位、「イヴ・バーストエラー」が17位に入っていました。

うーむ、いずれも名作ですね。今から思えばかなりしょぼい「ポートピア」にはコンシューマー機におけるアドベンチャーゲームの嚆矢という記念碑的な位置付けがありますが、ランキングにおいてはそれに次いで古いのが本作です。やはりおどろおどろしいホラーは雰囲気とラストの衝撃的展開が記憶に残っているのでしょう。

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