2017年冬季アニメ序盤の感想(その2):elDLIVE/ACCA13区監察課/CHAOS;CHILD/クズの本懐

アパホテル

 アパホテルが、「南京大虐殺」に否定的な書籍を客室に置いているということで騒ぎになっていますね。数年前私が利用した時は田母神さんの本があったのを覚えています。人はそれぞれ様々な思想・信条を持っているものですし、それで全く構わないのですが、企業経営に露骨に持ち込むと色々不利益がありそうな気がします。ま、それを覚悟してやるんであれば、日本は自由の国ですから力尽くで阻止することはできないのですが、中国の発狂状態の抗議は見苦しいですね。「嫌なら泊まるな」と言ってやって下さいよフ○テレビ関係者(本当は言ってないそうですが)。中国人が泊まらないと経営に打撃のような気もしますが、中国人がいないなら泊まるよという人も結構いそうだからわかりませんね。海外のホテルには聖書が常備状態ですが、あれも見方によっては宗教の押しつけなのか。でも「嫌なら読むな」ですよね。私も田母神さんの著書は読みませんでした。

エルドライブ感想 

 それでは話はがらりと変わって2017年冬季アニメ序盤の感想の後半です。まずは「エルドライブ【elDLIVE】」。集英社が配信する「少年ジャンプ」のアプリケーション「少年ジャンプ+」で連載中のマンガが原作ですが、まさに少年マンガらしいというか、深夜アニメにする必然性があるのかという展開。

ドルー 

 中学生の九ノ瀬宙太が様々な宇宙人で構成される宇宙警察エルドライブに入り、地球に潜伏or来襲する宇宙犯罪者を捕らえることになりましたが、普通の中坊をいきなりスカウトするとはどんだけ人材難だエルドライブと思いきや、一応適性はチェックしていたという。それはSPH(スペース・フェロモン)という攻撃から防御まで様々な用途に使える生命の特殊な分泌物で、宙太の場合はドルーという奇妙な人工生命体が寄生していたためで、40億年以上前に繁栄して既に滅亡した宇宙人が作ったようです。

ドルーで攻撃 

 そのドルーの声を“傲嬌女王”(台湾ではツンデレを「傲嬌」と呼ぶらしい)釘宮理恵に演じさせるという無駄に贅沢な配役に驚きます。このドルーのデザインからして「子供向け」の感じがしてなりません。ま、3話にしてやっと単純な犯罪者ではない犯罪組織の影がちらついてきたので、一応視聴継続しようかな。

其方美鈴 

 本作を見る楽しみは、宙太をやけに敵視している同僚(にして同級生)の其方美鈴を演じるはやみんの数々の罵詈雑言の毒舌の嵐でしょうか。「跡形もなく~」がクセになりそう。中2なのにやけにプロポーションが良く、パンチラまでこなすお色気要員ですが、もしやパンチラがやりたくて深夜アニメにしたのか。

美鈴のパンチラ 

 戦闘時は天使のような姿に変身。ラブリーマイエンジェルはやみんですな。今後宙太にデレても良し、ツンのままでも良し。宇宙人との戦闘でエロい声を出してくれるとなお良し。

エンジェルモードの美鈴 

 次は「ACCA13区観察課」。ドーワー王国は13の国が統一されて成立した国ですが、征服した以外の旧国家(今では区となっています)は独立指向が強く、以前12の区が結束してクーデターが起きた際に、大幅な自治を認めるなどした経緯があります。その際に誕生したのがACCAです。

ACCAタイトル 

 ACCAは政府から切り離された民間組織で、警察局、消防局、医療局などを傘下に置いています。各区で独自運用されていますが、本部が各区のACCAをまとめ、ACCA支部の業務を監視するために監察課があります。主人公のジーンはこの監察課の副課長を務めています。

貰いタバコのジーン 

 高級マンションに住み、高額課税がなされるが故に金持ちしか楽しめないタバコを自由に行っているジーンですが、マンションには管理人として住んでおり、タバコはどこからともなく貰っているという、通称「貰いタバコのジーン」。

バカ王子 

 そのジーンには、視察で各地を飛び回って水面下で策動されているという新たなクーデターのパイプ役を担っている疑いが持たれており、様々な人々から注目されています。それを知ってか知らずかジーンは眠そうな顔で今日も各地に視察に赴くのでした。

ACCA5長官 

 ACCAの長官(5人もいる)はそれぞれ別の思惑を持っており、ジーンの友人のニーノは内務調査課の覆面職員で長官の一人の命により密かにジーンを調査中。王位継承権を持つ王子は専制政治を目論んでおり、即位の暁にはACCAを解体しようと考えています。「幼女戦記」ほどではないけどおっさん声優が多いですね。悠木碧が出演しているのも似ていますが、化け物扱いされる幼女を演じている「幼女戦記」とは違い、普通に可愛いジーンの妹のロッタを演じています。しかし王子に見初められたようなので今後どうなるやら。

モーヴ本部長 

 あとACCA本部長のモーヴを演じているのは田中敦子。実にいいですなあ。こういう大人な美女をどんどん演じて欲しいものです。様々な勢力の思惑や陰謀が渦巻いている中、本心を見せないジーンは一体何を考えているのか?作品全体の雰囲気もお洒落で大人っぽくて素敵です。あとやたらと食べ物が出てくる作品でもあります。

ロッタ ケーキとロッタ

 続いて「CHAOS;CHILD」。視聴打ち切り作品が出たときの「補欠」扱いでしたが、結局見てます。私が注目する声優の一人であるブリドカットセーラ恵美がメインキャラを演じているので。

来須乃々 

 そのブリちゃん、「ハルチカ」の穂村千夏とか「艦隊これ」の重巡熊野や軽巡夕張など、ちょっとポンコツが入ったキャラを演じると非常に嵌まるのですが、本作では生徒会長にして整った容姿と文武両道な立ち居振る舞いの“女帝”来須乃々を演じています。このキャラにはポンコツ感はないのですが、こういう正統派ヒロインもいいですね。

ブリドカットセーラ恵美と力士シール 
 

 2話ラストでいきなり暴漢に刺されて安否が心配されましたが、なんとか生きていました。けどパジャマが血で染まっているぞ。傷口が開いちゃってるんじゃないか心配。入院しなくていいのか?ブリちゃんの弱々しい声の演技がまたいいんだけど。

刺された乃々 

 名作「STEINS;GATE」も属する「科学アドベンチャーシリーズ」の一作で、第1作「CHAOS;HEAD」の直系作品で
す。ですが…未見なんです(笑)。そんな私のような情弱野郎のためにか、初回放送は1時間スペシャルで、前半の第0話は「CHAOS;HEAD」のダイジェストとなっていました。

パジャマの来須乃々 

 「CHAOS;HEAD」から6年後の2015年、当時発生していた不可解かつ凄惨な連続猟奇事件「ニュージェネレーションの狂気」の再来とされる連続猟奇事件が発生します。新聞部長宮代拓留は「ニュージェネレーションの狂気の再来」に強い興味を抱き、新聞部員達と共に事件の謎を追いますが、彼の周囲には次々と奇怪な事件が発生し、事件を追っていたはずが、逆に事件に迫られているような状況になってきています。

こっちみんな事件 
 

 とにかく発生する事件がエグイです。ネットで「未来が見える」と豪語して話題になっていた動画サイトのユーザーが、生放送中に自身の右腕を食べて失血死する「こっちみんな」、人気ヴォーカリストが、趣味のストリートライブ中に歌いながら死亡するが、死因はなんと自身の腹部にスピーカーを入れた事による失血死という「音漏れたん」とか。

音漏れたん事件
 
 
 拓留が遭遇した「回転DEAD」事件は、ラブホテルの一室の回転ベッドの上で、男性がロープにより絞殺されていたもので、文化祭で対談予定だったカリスマネット記者は、舞台上で突然大量の「力士シール」を嘔吐して死亡します。これは「ごっつぁんデス」と呼ばれ、被害者の胃の中にはおびただしい数のシールが詰め込まれていました。

力士シール 

 この「力士シール」という力士の顔のように見える不気味なデザインのシールは、事件現場周辺で必ず発見されるので、何らかの関係があると思われますが、その意味などは一切不明です。今後も起きるんだろうな猟奇的事件。

宮代拓留 
 
 拓留は情報強者を自称していてリア充を気取っていますが、親しくない人物の前では挙動不審になる小心者で、ネットで仕入れた知識をひけらかしては情報通ぶっているだけのようです。乃々とは姉弟のような間柄ですが、今では家を出て一人暮らしをしています。

回転DEAD事件ごっつぁんデス事件

 乃々がしきりに拓留に事件に首を突っ込まないでと懇願していますが、何かを知っている気配がありますね。でももう引き返せないところまで踏み込んでしまった様子。乃々以外にも可愛い女の子がいっぱい出てくるので、被害が及ばないかおじさんは心配。なるべく女の子は殺さないで欲しいですが。

クズの本懐タイトル 

 最後に「クズの本懐」。「舟を編む」に続くノイタミナ枠ですが、作品の傾向が違い過ぎて笑います。「舟を編む」が好きな人が続けて見たらぶっ飛ぶんじゃないかと。私はまあ平気ですけどね。

エロいシーン続出 

 なぜ深夜アニメに?と言いたくなる「エルドライブ」に対し、これぞ深夜アニメと言いたくなる本作は、微エロの嵐です。18禁ではないのだけれど、雰囲気がやたらいやらしい。もの凄くエロいアニメを見ているような気分になるんです。

夢使い1巻 

 これは何かに似ているなと思ったら…ああわかった!!植芝理一の「夢使い」だ(マンガの方)。あれは18禁でも何でもない一般向けマンガでしたが、内容はロリ&エロといった感じでした。独特の表現もあいまって、「亜人ちゃんは語りたい」的に言えばサキュバスの佐藤先生にぶつかるくらいにエロかったなあ。

こういう独自表現  

 安楽岡花火と粟屋麦は一見理想の高校生カップルですが、実は2人とも他に好きな人がいます。花火は幼い頃からお兄ちゃんと慕っていた鐘井鳴海を、麦は昔家庭教師をしてくれた皆川茜が好きなのですが、二人とも花火たちの高校の新任教師になり、しかも鳴海と茜は惹かれ合っている様子。指をくわえてその様子を見ているしかない花火と麦は、お互いに似たところがあるのを感じ、お互いを好きにならないこと、どちらかの恋が実ったら別れること、そしてお互いの身体的な欲求にはどんなときでも受け入れることを条件に付き合っている振りをすることになります。

茜と鳴海 

 花火には唯一といっていい友人である絵鳩早苗がいますが、彼女は花火に恋愛感情を持っていて、百合上等状態。また麦には幼馴染みの鴎端(かもめばた)のり子(自称“最も可愛い”の略であるモカ)がいて、麦に好意を寄せています。この二人は、花火と麦の関係に疑問を抱いています。「誰かの代わりなら私でもいいじゃん」が早苗、「なんで麦じゃなきゃいけなかったわけ!?盗らないでよ!私には麦しかいないんだよ!」がモカ。

花火と早苗の百合シーン 
モカの叫び 

 マンガ原作ですが、まるでマンガのようなコマ割りを入れたりと独特な表現をしています。が、そんなことはどうでもいいんだ。

マンガ的コマ割りシーン 

 とにかく花火と麦の濡れ場(あえて言おう)がエロい雰囲気満載です。本番までは行っていないのだけど、むしろそれが故にいやらしい感じが。リアル明里パパンは、花火役が花澤香菜だと思ったそうですが、違います。多分ハナザーさんはこういう役は受けないんじゃないかな。

安済知佳 

 花火役は安済知佳。「クオリディア・コード」で千葉都市首席の千種明日葉を演じていた人です。明日葉役は終始けだるそうな不機嫌そうな声色で演じていたのでわかりませんでしたが、本当はとっても綺麗な声の人声優さんですね。

色を知る歳かッ 
続々エロシーン 中坊時代の不純異性交遊

 声優さんは、自分の出演した作品は当然視聴するんでしょうが、こういう場合は見ててかなり恥ずかしいんじゃないでしょうか。「ガーリッシュナンバー」では共演の声優と一緒に見るという場面がありましたが、本作でこれをやったらどんな羞恥プレイかと。範馬勇次郎じゃないけど「色を知る年齢か!」と言いたくなる。

色を知る歳か! 

 花火視点で物語が進んでいるせいで、花火の毒舌がぶちかまされています。特に鳴海を奪った茜に対して強烈に。“長い髪…ダッサイベージュのカーディガン…わざとらしいくらいのシャンプーの香り…控えめのナチュラルメーク”“(…迂闊だった!!まさか、あんなぽっと出の冴えない芋っぽい年増女にぃぃ…!!”等々。

茜先生 

 花火にとっての仇役の皆川茜先生ですが、女子アナ風清楚ファッションはそりゃあ男子全員大好物ですがな。中身も外見のままだったら花火に勝ち目は全くないのですが…

他の男と現れた茜 

 夜のファミレスに男連れで現れた茜と出くわします。“えっ…何こいつ…男連れ!?こんな時間に!?しかも何か若くない!?”と、「麦と一緒なお前が言うな」と突っ込みたくなるモノローグをぶちかます花火。麦は自分と同じ家庭教師時代の教え子だと言いますが、それにしてはイチャコラしてました。

んなワケあるかーい 

 “何か深夜呼び出されて、相談にでも乗ってたんだろ”と何故かポジティブな麦に対し、「んなワケあるかーい!!」な表情の花火。恋は盲目か麦。むしろNTRを憂慮すべきところだろうが。

先生と直談判 
火花散る女の戦い 

 意を決して茜と直接対決に臨む花火。「昨日一緒にいた人、先生の彼氏?」「えぇ?やだぁ。友達です」とすっとぼけられますが、花火だけに火花散る女の戦いがドロドロしててよろしい。昨日と同じ服で、微かにタバコの匂いがする茜。その友達ってえのはもしやセフレって奴なんですかい?

そしてこの表情である 

 そして別れ際のこの表情である。残念、茜はビッチケテーイ!!なんだよクソビッチだったのかよ茜先生。清楚な女子アナ風の雰囲気が素敵だったのに。裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったな!!こうなってくると花火的には鳴海の目を覚まさせようとする行動に端っていくんでしょうかね。でも案外鳴海にもクズ要素が顕現したりして。実は花火ママンとできているとかね…

モカが一番まともだったりして 

 センスとか色々とアレですが、モカが一番まともだったりして。ただ、花火と別れても麦がモカを振り向いてくれるかといえば…。何しろ中坊の頃から不純異性交遊まっしぐらでしたからなあ。
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眠りの森:恋と職務の狹間で苦悩する刑事・加賀恭一郎

大寒の侯

 大寒の候、寒い日が続いておりますが、昨日から気温が上がって、今日は晴天で風もなかったおかげで春が来るかのような陽気でした。肩の力が抜けるような気がしますが、一度暖かくなってからまた寒くなるともっと辛いんですよねえ。インフルエンザも流行の気配ですし。

文庫版眠りの森 

 本日は東野圭吾の「眠りの森」を紹介しましょう。加賀恭一郎シリーズの第2作です。加賀恭一郎シリーズは既に第1作の「卒業」(旧題「卒業―雪月花殺人ゲーム」)、8作目の「新参者」を紹介しております。また第3作「どちらかが彼女を殺した」も読んでおりますが、ここでは加賀恭一郎は主役ではなく、脇役として登場しています。

 「眠りの森」は1989年5月8日に講談社から単行本が刊行され、1992年4月15日に講談社文庫から文庫版が刊行されています。デビューしてから潜伏期間十数年。いい作品を描きながらもなかなかヒットせず、人気が低迷していた時代の作品ですが、ビッグネームとなって以降は当時の作品も続々と増刷されています。特に「眠りの森」は後述しますが2回もテレビドラマ化されており、評価の高い作品といえるでしょう。可憐なバレリーナとの悲恋という展開がロマンチックなのがいいんじゃないかと思います。

旧版文庫版眠りの森 

 「卒業」では剣道学生日本一とはいえ一大学生に過ぎなかった加賀恭一郎は、本作では警視庁刑事部捜査一課の刑事となっています。「卒業」の頃は教師か警察官になろうと考えた加賀恭一郎は、一旦は教師になったものの、自ら「教師としては失格」と判断して教師を辞めて父親と同じ警察官となったようです。

 「新参者」では日本橋署で勤務するようになっていますが、ある事件の裁判で弁護側の情状証人として出廷し、そのせいで本庁から所轄に異動となった旨が記されていました。おそらくそれは「眠りの森」の被疑者に対してだと思われます。

眠れる森の美女の城 

 それにしても加賀恭一郎、「卒業」では高校・大学を共に過ごした相原沙都子にプロポーズしていましたが、どうやら上手くいかなかったようですね。「眠りの森」では沙都子から年に1、2回手紙が届くと記されていますが、恭一郎はそれを“過去からの手紙”と考えているようで、特に未練とかはないようです。おっと遅くなりましたが例によって文庫本裏表紙の内容紹介です。

眠れる森の美女 

 名門バレエ団で男が殺された。被疑者は居合わせたバレリーナ。正当防衛を主張するが、その証拠は見つからない。事件が昆明をきわめる中、「眠りの森の美女」を模した殺人事件が起こる。捜査にあたる加賀恭一郎は、被疑者の親友のダンサーと出会う。気丈に稽古に励む彼女に惹かれながらも、辛い決断の時が迫る。

高柳バレエ団 

 ということで、高柳バレエ団事務所に侵入した正体不明の男が、たまたま居合わせたバレリーナの斎藤葉瑠子に花瓶で殴られて殺されます。強盗ということなら正当防衛が順当ですが、バレエ団の事務所に金目のものはなく、何者で何が目的で侵入したのか全く不明なので正当防衛とも殺人とも決めかねる事態となります。

バレリーナ 

 葉瑠子の幼馴染みでルームメイトでもある浅岡未緒は、そんな事態を憂慮しながらも、公演が迫る「眠りの森の美女」の練習に余念がありません。バレリーナはバレエが全て。その他の全てを犠牲にしても踊るべく宿命付けられた存在のようです。

悪の妖精カラボス 

 捜査陣の一員である加賀恭一郎は、もともとバレエには興味がありませんでしたが、上司に押しつけられたお見合いの際に高柳バレエ団の「白鳥の湖」を見たことがあり、黒鳥オディール役を演じた浅岡未緒の演技に魅了されたことがありました。その未緒に再会したことでときめきを覚える恭一郎。

白鳥の湖ののオディール 

 「白鳥の湖」のヒロイン・オデット姫のライバルというか恋敵役のオディールは、オデットを白鳥に変えた悪魔ロットバルトの娘で、オデットと恋仲のジークフリート王子をたぶらかすために魔法でオデットに似せており、まんまとジークフリードを騙します。

オデットとオディール 

 オデットとオディールは白鳥と黒鳥で対比されるとおり正反対の性格なのですが、通常は一人のバレリーナが両方演じるようです。ですが高柳バレエ団では分けて演じさせたようですね。オディールには32回連続のフェッテという超技巧を必要とする難役ですが、未緒はド素人の恭一郎が驚くほどに上手に演じたようです。

Xの悲劇の凶器

 捜査によって被害者の男の身元は判明しましたが、高柳バレエ団との接点がなく、動機は全く不明のままです。そんな中、第2の事件が発生します。バレエ団のバレエ・マスターで演出家兼振り付け師の梶田康成が、最終リハーサル中に死亡します。凶器は発見されませんでしたが、針を使ってニコチンを体内に注入するという殺害方法で、恭一郎は「Xの悲劇」での凶器であるコルク球(一面にニコチンを塗った針が無数に刺してあり、どこを触っても刺さる)を連想します。いや、「Xの悲劇」と名指しはしていませんが、思い浮かべた凶器でそれと知れました。

フロリナ王女と青い鳥 

 この第2の事件は高柳バレエ団の内部犯行でしかあり得ないのですが、第1の事件との関連性が判りません。偶然の連鎖か?かろうじて第1の被害者と第2の被害者に2年前のニューヨーク渡航歴という接点を見いだした警察は、その細い糸を辿ろうとしますが、葉瑠子と恋仲の柳生というダンサーが独自にこの件を調査しようとしたところ、ニコチン入りのコーヒーで危うく殺されそうになります。しかし濃度は前回より薄く、本気で殺害を企図していたのか疑われるほど。これら一連の事件の真相はいかに?

6人の妖精 

 謎が謎を呼ぶ背景には、高柳バレエ団の「バレエバカ一代」的んs体質がありました。いや、このバレエ団だけでなく、全てのバレエ団、バレリーナに共通しているのかも知れません。バレエに全てを賭け、他の全てを犠牲にしてひたすら踊るバレリーナ達。楽器の練習は1日休むと元に戻すのに3日掛かるなんていいますが、バレエも似たようなところがあり、「1日休むと自分にわかり、2日休むと仲間にわかり、3日休むと観客にわかる」というそうです。原則的に稽古は一日たりとも休まず、1日5~6時間をレッスンに当てているようです。でも収入は多くなく、かといってアルバイトする時間も取れないことから、無名のバレリーナは実家からの仕送りが必須とか。

キスで目覚めるオーロラ姫 

 そんなバレリーナの中でも、可憐な姿で華麗に踊り、清楚な暮らしぶりの未緒に惹きつけられていく恭一郎。未緒も恭一郎を憎からず思っており、デートまがいなことをしたりもします。しかし、恭一郎の隙のない鋭い観察眼は、次第に事件の真相に到達していき、やがて哀しい結末を迎えることになります。何年かかってもいい、いつか結ばれて欲しいのですが…

加賀恭一郎と未緒 

 可憐なバレリーナとの恋というロマンチックな展開のせいか、2回もテレビドラマ化されています。最初は1993年9月11日にテレビ朝日「土曜ワイド劇場」枠で「眠りの森の美女殺人事件」のタイトルで放送されました。加賀恭一郎役は山下真司、浅岡未緒役は原田貴和子(原田知世の姉)でした。

テレビドラマ版眠りの森 

 2回目は2014年1月2日にTBS系列で「新春ドラマスペシャル “新参者”加賀恭一郎『眠りの森』」のタイトルで放送されました。阿部寛が加賀恭一郎を演じる2010年4月期の同局系列ドラマ「新参者」のシリーズの続編となっています。浅岡未緒役は石原さとみ。石原さとみにバレリーナ役をやらせるとは、わかってるなあ。とはいえ両方とも例によって未見です。アニメばっかり見てんなよ(笑)。

結ばれるといいですが 

記憶に残る一言(その79):スカリー捜査官のセリフ(X-ファイル)

稀勢の里優勝

 筑波嶺の…否、茨城の星・稀勢の里優勝おめでとうございます。いつかなるいつかなると言われながら長かったですなあ。正直もうダメなんじゃないかと思ってましたが、天災は忘れたことにやってくる的な。千秋楽の白鵬戦は、相手に攻めさせて押させておいて土俵際で逆転するという、正に若手に胸を貸す横綱のような相撲だったと思います。まるでアントニオ猪木の「風車の理論」です。

高安関 

 今回弟弟子の高安(敢闘賞おめでとう)の援護射撃も大きかったと思いますが、高安関もやはり茨城の星。目指せ大関。

X File 

 本日は記憶に残る一言です。懐かしの「X-ファイル」からスカリー捜査官の有名なセリフを紹介しましょう。「X-ファイル」は、1993年から2002年にかけてアメリカで製作されたテレビドラマで、シーズン9まで放映された後、2016年に久々にシーズン10が制作されましたが、日本で放映されるかどうかは未定だそうです。そんなにやってたんかい!?シーズン1~3くらいしか覚えていないぞと思ったら、シーズン4以降はBS・CSでの放送だったんですね。道理で。

モルダーとスカリー 

 UFO、UMA、オカルトなど科学では説明の付かない超常現象のまつわる事件に、日本だったら漫画雑誌(某少年マ○ジ○)の編集者がMMRと称して取り組んでいましたが、流石スケールが大きいアメリカでは、なんと連邦捜査局(FBI)が取り組んでいたという。

UFOのサーチライト 

 「X-ファイル」とは、FBIの未解決事件を集めた資料のことで、その中には常識では考えられないような不可思議な事件が記録されています。FBI捜査官のモルダーとスカリーは「X-ファイル課」の専任捜査官として、様々な事件を捜査していきます。

モルダー捜査官 

 フォックス・モルダーは突出したプロファイリングの才能を持つ優秀なFBI捜査官ですが、幼少期に妹を異星人に誘拐されたことが切っ掛けで超常現象に執着するようになり、「X-ファイル」ばかりを取り扱うことで変人扱いされるようになっています。オカルトに関する知識と造詣が深く、UFOやUMAに限らず、民間信仰や魔術、都市伝説といった多岐に渡る広範な知識を持ち、「人智を超えた力の存在」とか「国家的陰謀」という切り口から真相に迫っていきます。これはキバヤシと話が合いそうな人ですね。

銃を構えるスカリー 

 一方ダナ・スカリーは元々一人で「X-ファイル課」を取り仕切っていたモルダーの監視のために送り込まれたのですが、モルダーの真実を探求する姿勢に共感し、彼を信頼して捜査を助けるようになっていきます。医師免許を持つ科学者なので、自分自身が超常現象に巻き込まれてもあくまで一科学者としての立場を崩さず、検死解剖や検査といった科学的に立証可能な証拠をもとに捜査を行います。

ヤバイ人を見るような目 
僕は狂っていないぞスカリー 

 そういう訳で、相互の信頼関係とは裏腹に、オカルトビリーバーなモルダーとスケプティックなスカリーの方針の違いは多くの場合まず衝突しますが、番組の展開的には必然的にモルダーの見解の方が正しいことが多いという。

キバヤシとノストラダムス 

 で、超常現象に傾倒しまくって、何でもかんでもノストラダムスの大予言に結びつけるキバヤシのように、何でもかんでも政府の秘密組織と宇宙人の陰謀にしたがるモルダーに対し、MMRの他のメンバーのように「な、なんだってー!!」とは言ってくれないスカリーが、何もなかったことにしようとして言う決めセリフが今回の記憶に残る一言です。

モルダー、あなた疲れてるのよ 

 なんだかんだスカリーは優しいですよね。本当ならミルコ・クロコップの如くこう言いたかったに違いないのに。

おまえは何を言っているんだ

 なお、Xファイルの日本語音声にはビデオ・DVD版、テレビ朝日版があり、それぞれ台詞に微妙な違いがあり、ビデオ・DVD版ではこのセリフを聞くことができないと言われていますが、おそらくテレビ朝日放映版で使われていたのだと思われます。実際テレビ放映で聞いた記憶がありますし。DVDにテレビ朝日版の日本語音声は収録されていないので、いくらDVDを見ても聞くことはできないという。まるでスカリーのセリフ自体がX-ファイルだぜ。

疲れてるのよその2 

 なおこの二人、あまりにも「人智を超えた力の存在」とか「国家的陰謀」に首を突っ込みすぎたせいか、モルダーは宇宙人に拉致されて終盤はあまり登場しなくなり、スカリーまで宇宙人に拉致されたりします。しかもスカリー、妊娠が判明して終盤は産休に入ります。子供の父親は明確には提示されていませんが、モルダー(まあわかる)か宇宙人(!!!)のどちらかであるように描写されているそうです。宇宙人ってあんた!まさかの異種姦…?

下水道の怪物 
人体発火現象? 

2017年冬季アニメ序盤の感想(その1):風夏/セイレン/幼女戦記/亜人ちゃんは語りたい

マップ6-1
マップ6-2 

 またまた艦これ速報。最後の海域である中部海域の一面である6-1を何とか突破しました。現在6-2に突入していますが、それよりも勲章が欲しいので3-5の攻略を優先しているところです。でもこっちも結構大変ですねえ。

マップ3-5 

 1-5と2-5はコンスタントに攻略できるようになったので、勲章は月に2個のペースで入手できるのですが、出来れば月に4個(=改装設計図1枚)のペースにしたいんですよね。五航戦姉妹、Bismarck、利根型姉妹など、改二のレベルに到達しているのに改装設計図がなくて改装できない艦娘が溜まっているもので。

金剛型四姉妹改二 妙高型四姉妹改二

 設計図なしで改装できる艦娘は、金剛型四姉妹と妙高型四姉妹を改二に改装済みです。でも立て続けに改装したら資源が底を着いたりして。まあゆっくりプレイするしかないですね。

風夏タイトル 

 本日は2017年冬季アニメ序盤の感想です。まだ3話まで放映していない作品もあるのでその1ということで。まずは「風夏」。ジェットコースターのように展開が早いのが特徴。姉二人に妹に囲まれた主人公榛名優は内気でコミュ障気味でしたが、明るく元気な秋月風夏に振り回されている間にだんだん元気になってきたような。

主人公の優 

 売れっ子アイドル氷無小雪に憧れてバンドを組もうということになり、クラスメイトの三笠真琴(ウホッな人らしい)と3人で、楽器を買うために担任の友美先生に紹介された海の家でアルバイトをします。実は海の家のマスターや友美先生は、優や風夏が子供時代に憧れていた伝説のバンド「ヘッジホッグス」のメンバーだったことが発覚したり、なんかやたらご都合主義的です。バンドって素人がそんな簡単に組めるものなのか。でも絵が綺麗だから許す。

小雪 
東城綾 

 しかも、アイドル小雪は優の幼馴染みで、引っ越しにより離れ離れになったのがTwitterで再会を果たすという、秒速患者的には許せん展開(笑)。風夏は「いちご100%」で例えるなら(なぜ例える)西野つかさ、小雪は東城綾という雰囲気なんですが、だとすると優はやはり風夏を選ぶのでしょうか。小雪を演じるはやみんが、「ラブプラス」の高嶺愛花以来の甘い声を炸裂させているので、個人的には小雪一択です。

風夏 
西野つかさ 

 実は…Wikipediaを見たら今後もの凄い展開になるらしいのですが、アニメはそこまで描くのか、それともその直前あたりで止めるのか。艦これやってるからピンと来たのですが、キャラの姓がやたら旧海軍の軍艦に由来しているような。榛名、秋月、三笠…他にも那智とか矢矧とか。

風夏と小雪 

 お次は「セイレン」。「アマガミ」の舞台となったと輝日東高校の9年後の世界らしいですが、「アマガミ」の時代設定が20世紀末くらいだったので、未来という感じはありません。「セイレン」でも10年くらい前かも。

セイレンタイトル 

 「アマガミ」同様ヒロインは6人いるのですが、全12話のため、3人だけに焦点を当てているようで、現在「常木耀(ひかり)編」の3話まで放映。「アマガミSS」は6人×4話で24話、第2期の「アマガミSS+」は6人×2話で12話やりましたが、人気ゲームという背景があったアマガミに対してセイレンはオリジナルアニメなので1クールなのは仕方ないかも知れません。ぜひ2期もやって残りのヒロインにも脚光を当てて欲しいです。

アマガミヒロインズ 

 で、トップバッターとなった常木耀なんですが…ルックスは確かにいい。いいのですが、品がないんですよねえ。CVの佐倉綾音も常木耀のキービジュアルを見た際「下品!」と思ったとラジオで言っておりました。「アマガミSS」のトップバッターだったラブリー(森島はるか)と比較すると、品格という点で比べものになりませんな。“清廉”の名が泣くぞ。

常木耀のキービジュアル 

 まあ品がない分、男の部屋に入り浸ったり、水着を着て男湯に入ったりと凄まじい萌え萌え展開を繰り出してきてますが。主人公の嘉味田正一が、アマガミの主人公橘純一と比べると変態紳士ぶりがまだまだ足りないので、女の子がこれくらい押してくる必要があるのかも知れません。
男の部屋に夜這い 男湯に入ります

 なおアマガミでは妹の美也を以外に隠しキャラ込みで7人ヒロインがいましたが、セイレンは姉の十萌も入れてヒロイン6人。これはあれか、姉も攻略対象なのか!?……私は一向に構わんッッ

十萌お姉ちゃん 

 続いて「幼女戦記」。何気に悠木碧と早見沙織の「あおい・さおりの新番組」コンビですな。第二次大戦の欧州戦線に魔導士が登場という展開は、前季の「終末のイゼッタ」に似ていますが、こちらでは魔導士はもっと普遍的な存在で沢山おり、航空機の代わりに魔導士が編隊を組んで飛んでいます。

ターニャ少尉 

 1話はいきなり戦闘状態からスタートし、2話が事実上のプロローグでした。やけに世知辛い幼女主人公のターニャは、実は日本のサラリーマンで、元同僚の逆恨みにより命を落としたところ、神を名乗る存在(ターニャは「存在X」と呼ぶ)から、信仰心がないことを批判され、苦境の中で反省しろと異世界で孤児の幼女へ転生させられたのでした。

幼女の前世 

 幼女になってもリーマンの記憶を保持し続けており、自身のキャリアのために出世し、後方で安全な勤務をすることを望んでいますが、「存在X」の悪意により、前線にばかり送られることになってしまいます。

士官学校に幼女 
レルゲンとターニャ 

 サラリーマン時代同様、どんな過酷な内容でも仕事と割り切って着実に実行し、自己保身のために努力を厭わず、軍法や国際法令などの抜け道に精通し、部下は道具とみなして使えれば権限を与えて活用するが、無能であれば躊躇なく捨て駒にすると、合理主義に徹しています。その姿に参謀将校のレルゲンには「化け物」と畏怖されていますが、そりゃあ見てくれは幼女だけど中身はおっさんだから(笑)。何気にレルゲンとサラリーマン時代の幼女は似ていますな。

少佐時代のレルゲン 

 軍のお偉いさん役にはビッグネームのおっさん声優が並んでおり、悠木碧と早見沙織が紅二点状態ですが、楽しくアフレコやれてんのでしょうか。悠木碧のおっさん的演技は凄いですね。さすが「こども先生」(命名杉田智和)。絵は非常にあくがありますが、ミリタリー物は結構好きなところ、良い感じに描写しています。
山のようにおっさんの群 
魔導士空中戦 

 神を自称する「存在X」ですが、信仰を強要したり案外露骨に正解に介入したりと結構無茶苦茶やってます。新約聖書の神ではなく、旧約聖書の神的な存在のようですが…愚劣な下級神ヤルダバオートなのでしょうか。

はやみんのヴィーシャ 
おっさんだけどロリ 

 最後に「亜人ちゃんは語りたい」。前季の「亜人」のイメージを引き摺りますが、こちらは「亜人」と書いて「デミ」と読みます。ヴァンパイヤ、デュラハーン、雪女、サキュウバスと、伝説の怪物・妖怪とされた存在が、実はちょっと特徴のある人間だったという世界です。

亜人ちゃんは語りたいタイトル 

 かつては迫害されたりしたこともありましたが、今では個性として認められ一般社会に溶け込んでいます。実は亜人は社会的な弱者である場合が多いので、特徴に沿った生活保障がなされ、若者たちには亜人のことを「デミ」と可愛く呼称するまでになっています。

高橋先生 

 主人公の高橋先生は大学生の頃から亜人に興味をもっていましたが、亜人は稀少な存在なので実際に出会ったことはありませんでした。ところが新学期に、いきなり四人もの亜人と遭遇することになりました。亜人の体質は遺伝より突然変異によって生じることが多いようで、双子でも一方が亜人、もう一方が普通の人間といった例も存在します。

亜人三人娘 

 キャラがとにかく可愛いですね。高橋先生だけはごついですが、心優しいので亜人(全員女性)から好意を持たれている天然タラシです。「ガーリッシュナンバー」で聞いた本渡楓の声が気に入って、また聞きたくて視聴を始めたのですが、結構面白い学園コメディーだと思います。日曜日の癒し。

ヴァンパイヤの小鳥遊ひかり 
デュラハーンの京子 

 亜人ちゃんたちは皆可愛いですが、ヴァンパイヤのひかりは貧血になりやすく日射や暑さに弱く、デュラハーンの京子は分離した頭を持たなければならないので色々面倒。雪女の雪は4話で本格的に紹介されるようなので後回しにします。

雪女の雪 佐藤さん入浴中

 サキュバスの佐藤先生は24歳の妙齢の美人ながらとにかく相手を催淫させてしまうため、人里離れた一軒家(借家)から朝夕のラッシュを避けて始発終電で通勤するなど非常に不便な生活を送っています。佐藤さんは「亜人」にも登場しましたが、あっちの佐藤さんは不死の亜人であることを堪能していましたが、こっちの佐藤さんは無茶苦茶苦労しています。というか、先生という職業選択は正しかったのか?せめて女子校なら…

亜人ちゃんは祝いたいより 

 高橋先生役の諏訪部順一は、「GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」以来のハーレム王状態ですが、若い女性声優さん絡みにくかったりしないんでしょうかね。佐藤先生役の日笠陽子が救いかも。そういえばひよっち、「風夏」では友美先生やってるし、なんか先生づいてますね。

泣くな道真 -太宰府の詩-:菅原道真と小野小町の意外な邂逅

蜜蜂と遠雷

 私のお気に入り作家の一人である恩田陸が、19日に第156回直木賞を受賞しました。受賞作「蜜蜂と遠雷」は何と6回目の候補作ということで、遂に遂にでしたね。個人的には2000年刊行の「ライオンハート」あたりで受賞してもおかしくないと思うんですが、取りあえず受賞して良かったです。

祝恩田陸直木賞受賞 

 本日の澤田瞳子の「泣くな道真 -太宰府の詩-」を紹介しましょう。澤田瞳子の本は今回初めて読みました。

泣くな道真 ー太宰府の詩ー 

 澤田瞳子は1977年生まれで京都府出身。ママンは作家の澤田ふじ子です。同志社大学大学院文学研究科博士課程前期修了し、時代小説のアンソロジー編纂などを行い、2010年に「孤鷹の天」で小説家デビューしました。これが翌年、第17回中山義秀文学賞を最年少で受賞しました。

澤田瞳子 

 2012年刊行の「満つる月の如し 仏師・定朝」で第2回本屋が選ぶ時代小説大賞と第32回新田次郎文学賞を受賞し、2015年刊行の「若冲」で第153回直木賞候補となり、第9回親鸞賞を受賞しています。デビューから7年でこの受賞ぶり。直木賞受賞も遠くない感じですね。

孤鷹の天 

 「泣くな道真 -太宰府の詩-」は2014年6月30日に集英社文庫描き下ろしとして刊行されました。例によって文庫本裏表紙の内容紹介です。

満つる月が如し 

 右大臣だった菅原道真が大宰府へ左遷された。悲憤慷慨する彼にお相手役の保積もお手上げ。そこへ美貌の歌人恬子(しずこ)が現れ、博多津の唐物商へ誘う。道真は、書画骨董の目利きの才を発揮し、生気を取り戻す。その頃、朝廷に出す書類に不正が発覚し、府庁は窮地に。事態を知った道真は、自ら奇策を……。朝廷を欺き、意趣返しなるか!日本史上最も有名な左遷された男の活躍をユーモアのなかに描く歴史小説。

若冲 

 道真の太宰府左遷は昌泰4年(901年)。受験の時の年号暗記の時は「暮れ行(901)く秋の太宰府を見る」と覚えたものでしたが、左遷されたのは年初早々だったんですね。幼少から詩歌や学問に才能を示してとんとん拍子に出世し、祖父・菅原清公以来の私塾である菅家廊下を主宰し、朝廷における文人社会の中心的な存在となりました。

菅原道真カード 

 宇多天皇の信任が厚く、また時の権力者であった関白藤原基経が亡き後に有力者がいなかったことから要職を歴任することとなりました。これは藤原氏への牽制という側面もあったようです。宇多天皇が醍醐天皇に譲位した後も昇進を続けましたが、道真が中央集権を主張したのに対し、朝廷への権力の集中を嫌う藤原氏などの有力貴族の反撥が表面化するようになりました。右大臣にまで昇りましたが、家格を超えた昇進として妬みを買ったようで、醍醐天皇を廃立して道真の娘が妃となっている斉世親王を皇位に就けようと謀ったと誣告されて大宰員外帥に左遷されました。長男の高視を初め、子供4人も流刑に処されました。この事件(昌泰の変)については、左大臣藤原時平の陰謀とする説から、宇多上皇と醍醐天皇の対立が実際に存在していて、道真が巻き込まれたとする説まで諸説あります。

天神菅原道真 

 その道真が幼少の子供二人を連れて太宰府に流されてくるのですが、太宰府の長官(帥)の官位相当は従三位なのに、道真はそれを越える従二位というとんでもない高官。「員外帥」ということで当然実権は全くないし、政務に関わることも許されませんが、貴人だからぞんざいに扱うこともできません。当時帥は空位で、太宰府を仕切っていたのは次官である太宰大弐に就任している小野葛絃(くずお)ですが、大弐の官位相当は正五位上。位は懸絶しています。

太宰府跡 

 しかもやってきた道真はほとんど半狂乱状態。突然の失脚といい、護送中の扱いの悪さといい、そうなっても仕方がないかも知れませんが、インテリ学者の面影もありません。とりあえず暇そうにしている太宰少典の龍田穂積(ほづみ)を相手役にあてがったりしましたが、全然役に立ちません。

小野小町カード 

 道真の気分を変えたのは、小野葛絃の姪である恬子(しずこ)。25歳の美女ですが、当時25歳といえば姥桜というか行かず後家というか。いや、私がそう思っているのではなく、あくまで当時の時代背景的にです。ところで恬子の祖父、そして葛絃の父に当たるのは小野篁(たかむら)です。従三位の参議にまで昇った人で、小倉百人一首では「参議篁」とされています。政務能力に優れ、漢詩では屈指の詩人で和歌にも秀で、書も天下無双と呼ばれる才人でしたが、反骨精神に富み、「野狂」と称されました。

小野篁 

 篁は日中は朝廷で働きましたが、夜は地獄で閻魔大王の補佐をしていたという逸話があり、東山の六道珍皇寺が出入り口だったとされています。また若い頃遣唐使に任ぜられていますが、それを知った白居易は篁に会うのを楽しみしていたといいます(結局は行けませんでしたが)。

小野篁カード 

 なお、息子の小野葛絃はWikipediaに独立記事を載せて貰えない程度で、太宰大弐で終わったぱっとしない人でしたが、その子はさすが篁の血を引くと言いたくなります。つまり小野好古と道風です。好古は天慶の乱を起こした藤原純友を追討し、従三位参議にまで昇って小野家を復活させ、道風は能書家で、中国的な書風から脱皮して和様書道の基礎を築いた人物と評され「三蹟」の一人と称されています。俗では、花札の11月(雨)で柳に飛びつこうとする蛙を見ている貴族の絵柄が道風です。

花札の雨 

 恬子はその好古、道風の従姉妹ということになりますが、何と実は六歌仙の紅一点・小野小町その人なんです。小町の詳しい系譜は不明ですが、数々の資料や諸説から小町の生没年は天長2年(825年)- 昌泰3年(900年)の頃と想定されるため、これが正しいとすると小野篁の孫とするには年代が合わず、道真の太宰府左遷時にはもう故人となっていることになってしまうのですが、そこはまあ小説なんで大目に見ましょう。

小野小町20170121 

 太宰府は大陸に近く、交易の中心ということもあり、舶来品もそんなに珍しくないという土地柄。貿易商の店に行くと様々な舶来品があるのですが、足りないのは目利き。目利きがいないと粗悪品を高値で買ってしまったりする訳ですね。そして道真は高い教養と京都で様々な本物の逸品を見てきた人。目利きには最適ということで、身分を隠して働き始め、新たな生きがいを見いだして行きます。

古書店 

 古書の世界には「せどり」というのがあります。辞書では「競取り」という漢字が当てられており、本来は“”同業者の中間に立って品物を取り次ぎ、その手数料を取ること。また、それを業とする人”というブローカーを指す言葉でしたが、一般的には「掘り出し物を第三者に販売して利ざやを稼ぐ」商行為を指します。特に古書分野においては、「古書店等で安く売っている掘り出し物の本を買い、他の古書店等に高く売って利ざやを稼ぐ(転売)」ことを指します。

骨董品店 

 この競取りは舶来品とか骨董品の世界でも可能で、要するに目利きの人が、目利きでない店に行って掘り出し物を見つけて安く買い、目利きの店に持っていって高く買って貰うということをすれば、利ざやが稼げる訳ですね。道真なら容易いことです。

会計検査院 

 そんな中、太宰府の会計に不正発覚。京都から来た算士(会計士みたいなもの)が数年に亘って巨額の横領を行っていました。正直に言うのが一番いいと思うのですが、責任者である太宰大弐の小野葛絃の経歴に傷が付くということで、なんとかばれずに収めようとします。そこで道真が一肌脱ぐことになります。

菅原道真カードその2 

 競取りで稼ぐのか?と思いきや、もっと思い切ったことをやる道真。なんと高価な舶来品を自ら作ってしまうという。しかし一見無謀ですが、なにしろ当代きっての教養人である道真が本気でやるのですから。

雷神道真 

 そんなこんなで太宰府で新たな生き方を見いだして行く道真ですが、残念ながらそれから1年半ぐらいで亡くなってしまうのですよね。本書ではそこまで描かれていませんが、享年59歳。

日本三大怨霊 

 菅原道真といえば天神様、ということで、太宰府天満宮とか北野天満宮で祀られて、今では学問の神様となっています。しかし、本来は日本三大怨霊の一角だったんですよね。三大怨霊は道真の他、平将門と崇徳天皇なんですが、一番古いのが道真です。

平将門カード 

 道真死後、政敵だった左大臣藤原時平が909年に39歳で病死したのを始め、失脚に関わったとされる人々が次々と亡くなっていきます。さらには930年、朝議中の清涼殿に落雷があり、道真失脚に関与したとされる大納言藤原清貫をはじめ朝廷要人に多くの死傷者が出ました。おまけにそれを目撃した醍醐天皇も体調を崩し、3ヶ月後に崩御してしまうという。道真の祟りだと恐れた朝廷は、道真の罪を赦すと共に贈位を行い、流罪にされていた道真の子供たちも赦免されて京に呼び返されました。

雷神と化した道真 

 清涼殿落雷事件のため、道真の怨霊は雷神と結びつけられ、以後百年ほどは、大災害が起きるたびに道真の祟りとして恐れられました。道真を天満宮の「天神様」として信仰する天神信仰は全国に広まり、災害の記憶が風化するに従い、道真が生前優れた学者・詩人であったことから、雷神から学問の神として信仰されるようになっていきました。

将門の首塚 

 平将門は神田明神などで祀られていますが、大手町にあって今なおはばかられている首塚(ビル街の一角にあっても、隣接するビルで働いている会社員達は、首塚にお尻を向けないように座っているとか)があったりして怨霊としてはまだまだ現役です。そして崇徳天皇に至っては「我、日本国の大魔王となり、天皇家を呪う」というとんでもない宣言をしたことから、日本最大の怨霊として怖れられ、明治維新にあたっては、崇徳天皇の御霊を四国から京都の白峯神宮に移し、国家の守り神として奉るということをしています。

白峯神宮 

 人々を脅かすような天災や疫病の発生を、怨みを持って死んだり非業の死を遂げた人間の「怨霊」のしわざと見なして畏怖し、これを鎮めて「御霊」とすることにより祟りを免れ、平穏と繁栄を実現しようとする日本独自の信仰が「御霊信仰」ですが、天変地異を勝手に怨霊と結びつけているという感じもあったりして。崇徳天皇も「今鏡」なんかではそんなに恨みを持っていたようには描かれていませんし、災害やら社会不安やらの原因として勝手に決めつけられてしまったのかも知れません。落語の「崇徳院」は崇徳天皇の上皇時代の和歌「瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ」の歌を題材にしたものですが、直接ネタにしている訳ではないとはいえ、落語に使われても特に祟りがあったという話はないので、いずれにせよ一般ピープルは特に怖れる必要はないと思われます。

崇徳院カード 

 話は戻りますが、物語に登場するもう一人の有名人、恬子こと小野小町も、長年宮中に出仕していたものが、仕えていた姫が亡くなったことで世をはかなんで叔父を頼って太宰府に来ていたのですが、新しい道を見つけつつある道真を見て、自分も踏ん切りをつけようと生まれ故郷である出羽国に旅立ちます。伝承によると秋田県湯沢市で生まれたそうで、晩年もそこで過ごしたとする言い伝えがあるそうです。お米の「あきたこまち」もこれに由来しているのでしょうが、実は小野小町の生誕地は他にも沢山あって、京都説福井説福島説熊本説神奈川説と各地に点在しています。

壇蜜のあきたこまち

 ずいぶん昔に読んだ筒井康隆の短編「雨乞い小町」では、在原業平や良岑宗貞(僧正遍昭)、文屋康秀といった六歌仙連中とつるんでだべっていた小町ですが、なぜか大伴黒主だけは仲間外れにされて馬鹿にされていましたっけ。古今和歌集の仮名序で「大伴黒主はそのさまいやし。いはば薪を負へる山人の花の陰にやすめるが如し」と評された作風が性格に反映しているのかな?未来からやってきた「星右京」の名が笑わせます。

丕緒の鳥:「十二国記」シリーズ最新刊(4年前刊行ですが)

サムゥイ20170118

 アツゥイ!!ならぬサムゥイ!!と言いたくなる昨今です。暑いのは大嫌いですが、寒いのもそれはそれで厳しいですね。筑波嶺は雪がないだけましですが、金曜日は雪の予報も。

丕緒の鳥 文庫版 

 本日は小野不由美の「丕緒(ひしょ)の鳥」を紹介しましょう。「十二国記」シリーズの最新刊ですが、小野不由美も「十二国記」シリーズも当ブログで取り上げるのは初めてだったりして。いや読んでるんですよ「十二国記」。実は文庫化されていない「漂舶」以外は全て読みました。でもブログ開始前だったんですねえ…

小野不由美 

 小野不由美は1960年12月24日生まれで大分県中津市出身。京都の大谷大学文学部仏教学科に入学し、在学中に京都大学推理小説研究会に所属しました。同時期には、ミステリー作家となる綾辻行人・法月綸太郎・我孫子武丸がいました。綾辻行人とは1986年に結婚しています。

綾辻行人 

 小説家になろうと積極的に考えたことはなかったそうですが、大学時代に書いた小説を読んだ編集者に勧められ、1988年に「バースデイ・イブは眠れない」で講談社X文庫ティーンズハートからデビューしました。翌年から開始した「悪霊シリーズ」は足掛け5年つづく人気シリーズとなり、後にコミック化やテレビアニメ化されました。

バースデイ・イブは眠れない 

 そして1992年、「十二国記」シリーズの第1作「月の影 影の海」を発表し、同シリーズは小野不由美はの代表作となっていますが、25年を経た現在もなお未完です。実は1991年に発表した「魔性の子」も十二国記シリーズの一編なんですが、他のシリーズの作品と異なり、「十二国記」の世界が現実世界の人間社会に干渉したときの恐怖を、現実世界側からの視点で描いたホラー色の濃い物語となっています。

魔性の子 

 当初は単独作品だった「魔性の子」ですが、小野不由美はこれを執筆する際に背景となる世界を作り、地図や年表、図表なども作っていたということで、講談社の編集者からこの想定世界自体をファンタジー小説化するように勧められ、「十二国記」シリーズが生まれたのでした。

残穢 

 文学賞にはノミネートされるものの縁遠い状態が続いていましたが、遂に2013年に長編ホラー小説「残穢(ざんえ)」が第26回山本周五郎賞を受賞しました。本作は映画化され、2016年1月に「残穢 -住んではいけない部屋-」というタイトルで公開されています。

月の影 影の海(上) 

 「十二国記」シリーズは、ラノベ系の文庫レーベルである「講談社X文庫ホワイトハート」から刊行されていましたが、ファンタジーながら緻密な設定や骨太な内容はラノベらしからぬ風格があり、改めて講談社文庫からも刊行されています。ラノベだと大人が手に取りにくいので、この措置は賢明だったと思います。

 「十二国記」シリーズを語るととても一回では終わらないのですが、端的に説明すると、天帝なる存在が混沌としていた世界をリセットして再構成した世界で、不老不死の神仙や妖魔が跋扈する世界に、整然と配置された12の国が舞台となっています。各国では神獣である麒麟が資質のある人間を選んで王となし、神仙となった王は諸侯を封じ、高官を任命して政治を行います。王は不老不死なので永遠に統治しうるのですが、天が定めたとされる絶対のルールを破ったり、何らかの理由で充分な統治ができなくなったりすると麒麟が病み、麒麟が死ぬと王も死んでしまいます。

十二国の地図 
 
 この世界では生物は木から生まれるので、女性は出産しません(多分生理もない)。だったらセックスも必要ない気がしますが、なぜか性欲はこの世界にも存在し、売春宿とかもあったりします。また世界は球形をしていないようで、外海(虚海)に船出した者は二度と帰って来ません。しかしなぜか現実世界の日本とか中国とは繋がっているようで、「蝕」と呼ばれる現象が起きると二つの世界を往来することがあります。

 現実世界とはかけ離れた構造の世界ですが、そこでも不幸や不条理は絶えることはなく、一般市民は様々な辛酸を嘗めることになっています。それに世界の構造そのものの不自然さに気づく者もいて、敢えて「天帝」とか天命なるものに挑戦するような振る舞いを行ったりもしています。

 ランス世界の地図

 この世界を誰が何のために創ったのか…という話になるのかと思っていたのですが、どうやらそういう世界の謎を解き明かす方向には行かないようですね。個人的にはアリスソフトのランスシリーズの世界観に近いんじゃないかと思ったりするのですが。

創造神ルドラサウム 

 ランスシリーズの世界は、巨大な白鯨に似た姿の創造神ルドラサウムは、自分の無聊を慰めるために自身の身体から三超神を生み出して世界や管理者の神や天使、観察の対象となるメインプレイヤー(今は人間)、その敵である魔物を作らせました。人間達が様々な思惑からドラマチックに行動し、そこから生み出される苦しみ、憎しみ、哀しみ等の負の感情を心地よく思い、それを生む死や破壊を愛好し、悲劇と混乱の観賞をこの上ない愉悦としているそうです。なんという外道!と言いたいところですが、実は世界全ても人間の魂もルドラサウムの一部に過ぎず、言うなれば暇な人間が鼻毛を抜いているようなものなのです。

十二国記 

 「十二国記」の天帝はそれほどド外道ではないかも知れませんが、作中においてほとんど記述されず、王の即位の儀式においても姿を現さず、実在が疑問視されているので、案外下界の混乱を眺めて喜んでいたりなんかして。或いは引きこもりニートの「ぼくがかんがえたさいこうのせかい」的な妄想だったり…。

 「丕緒の鳥」は2013年6月26日刊行。最新刊というわりに4年近く経過してから手にすることになりましたが、図書館で借りているから仕方が無い(笑)。短編四編から構成されています。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

十二国記の最新刊

 「希望」を信じて、男は覚悟する。慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮していた。希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか―表題作ほか、己の役割を全うすべく煩悶し、一途に走る名も無き男たちの清廉なる生き様を描く全4編収録。 

 タイトル作「丕緒の鳥」は、シリーズの中心人物である陽子が慶国の女王に就任する前後の話です。鵲(かささぎ)に似せた陶鵲を射る「大射」という儀式があり、その準備をするためだけに存在する下級役人が丕緒です。かつては創意工夫をこらして陶鵲を作っていた丕緒ですが、王の暴政で親しい人を失ったことでやる気を失っていましたが、新王に自分の思いを込めた陶鵲を見せるべく、大射に臨みます。行事は成功し、丕緒は新王に呼び出され、「今度は二人で見たい」と丕緒に語りました。丕緒は今回の一件で満足して官を退く気でいたが、陽子の言葉を聞いて、波を越えて矢をかわして彼女の下に飛び込む1羽の陶鵲を思い描きます。三代続いて女王で、しかも短命だったことで慶では女王を喜ばない風潮がありますが、陽子は多分明君になるんじゃないでしょうかね。

十二国記の人々 

 「落照の獄」は、120年続いた法治国家柳国の話です。最近どうも王に統治をする気が失せてきており、国が沈む予感に満ちている柳国。そんな気配故か、犯罪が特に少ない国でしたが、最近は凶悪犯罪が増えてきています。3度の前科がある上に16件・23人もの人間を無惨に殺した男が捕らえられます。当然死刑…と言いたいのですが、王は長年死刑を停止していました。今回も王が死刑はなしと勅令をだせばいいのですが、なぜか意欲を失っている王は「司法に任せる」としか言いません。判決を下す司法府の3人は審理に詰まり、直接犯人に面会しますが…。現実世界の死刑制度の是非に直結するような作品で、作中の議論はファンタジー世界とは思えない重さを持っています。

 「青条の蘭」は雁国の話。雁は現王の治世が500年にも及び、北方で最も豊かな国となっていますが、それ以前は先王の圧政とその後の長い空位により、国が荒れ果てていました。そんな中、山の生物を養い、保水作用により災害を防いでいたブナが石化するという奇病が発生します。山々を見回る地方官の標仲は、疫病の薬となる草木を探し、特効薬となるらしい「青条」を発見します。しかし、青条は人の手では育てるのがやっとで殖やす事は出来ませんでした。奇病が一向に収まらない中、新王が即位したという話を聞いた標仲は、王に願い出て青条の卵果を実らせてもらうため、厳冬の雪の中、王宮まで青条を届けようとします。しかし、荒廃した国土や官吏の横暴などの妨害により、その道のりは長く険しいものでした…。途中で力尽きた標仲ですが、手助けをしたのは理由も知らないままの一般市民でした。なんとなく「走れメロス」を彷彿とさせる作品です。立った王が明君で良かったことです。

十二国記の人々その2 

 「風信」も陽子即位直前の慶国の話。先王は嫉妬に狂い、国からすべての女を追い出すよう布告しましたが、蓮花の住む街では、女たちは目立たぬように外出を避けつつも家に留まり続けていました。しかし、軍隊がこの街を襲い、蓮花は両親と妹を殺されてしまいます。蓮花は生き残った女たちと共に故郷の街を脱出しますが、途中で幼馴染みが絶望から自ら命を断ったりします。途中の摂養の街で王が死んだという知らせを聞いて、女たちは故郷に戻っていきましたが、蓮花はそこに留まることを選び、暦を作る保章氏の嘉慶の園林である槐園で下働きとして暮らすことにしました。嘉慶やその部下たちは浮き世離れして暦作りに専念していましたが、蓮花はそこでの生活を楽しんでいました。ところが、偽王という噂のある新王が出現し、これに与する州の軍が、新王に恭順しない摂養の街を襲撃しました。蓮花は外の凄惨な現実に目を背けて何もしない嘉慶らの浮世離れした生活を罵りますが、嘉慶は自分たちは暦を作らないといけないし、それしかできることがないと蓮花に語り返します。摂養の街はすぐに恭順したため、街の被害は比較的軽く済みました。そして蓮花は、嘉慶の部下である候風の支僑の手伝いで燕の巣と卵の調査を行い、雛が増えていることから本当の王の即位を予感し、自分の未来を飛び立つ燕に重ね合わせるのでした。

十二国記の妖魔 

 本作については、王と麒麟の物語が主軸を占める他の作品とは違い、比較的下級の官吏や一般市民の姿を描いています。それにしてもいくらファンが多いシリーズとはいえ、12年ぶりという新刊は、あまりに遅くないですかね。それに内容が重いんですよ。特に「落照の獄」なんかは「十二国記」シリーズでやる必要があるのかと思います。シリーズの“行間”を描いた作品群ということになるのでしょうが、どうして不老不死の身になっても金銭欲や権勢欲が絶えないのかとか世界の抜本的な謎について言及して欲しいなあと思います。でも次の長編で終わりだという話が。おそらく泰麒と泰王の話に決着を付けるものとなるのでしょうが、世界の謎には食い込めるのでしょうかね。

饕餮 

好きな声優さん第5期(その4):速水奨~男も堕ちそうなホスト声声優

寒い日曜日

 お寒うございます。さすが寒中ですね。もうすぐ大寒だから今を真冬と呼ばずしていつが真冬か。寒いのは日本だけではなく、昨年末には北米に、最近は欧州に大寒波が来ているようです。温暖化じゃないの?

速水奨その2 

 本日は久しぶりに「好きな声優さん」です。前回雨宮天を取り上げてから3か月、番外の肝付兼太を取り上げてからでも2か月経ってしまいました。今回は銀河万丈に続く二人目の男性声優として速水奨を紹介しましょう。

速水奨その1 

 速水奨は1958年8月2日生まれ、兵庫県高砂市出身です。中高でバレーボール部に所属していましたが、身長が伸び悩んだことで退部し、その頃、地元で行なわれた青年座の舞台に感銘を受けて俳優を志しました。高校卒業後に上京し、昼は貿易会社で働きつつ、夜は青年座の養成所で芝居を学び、劇団四季に所属しました。

速水奨その3 

 22歳だった1980年10月10日に「アマチュア声優・ドラマ・コンテスト80」に応募し、グランプリを受賞したことを切っかけに声優デビューしました。芸歴は36年を越えているわけですね。色々な事務所に所属しましたが、2013年に声優&アーティスト事務所の(株)Rush Style(ラッシュスタイル)を立ち上げ、その代表に就任しています。声優にして社長なんですね。

ダブルはやみん 

 声質は穏やかで柔らかいバリトンで、ホスト声とも呼ばれています。素の声で話しているにもかかわらず「エロい」「孕んだ」などのコメントが付いてしまったりします。このため、主として正統派の二枚目や美形のライバル役を演じることが多かったのですが、最近は中年男性役や黒幕的人物を演じる事が増えたため、主人公キャラを演じることに憧れているとか。

五十嵐麗 

 奥さんはやはり声優の五十嵐麗。個人的には「ときめきメモリアル」の鏡魅羅役で存じております。妻が鏡さんとか、どんなリア充だと思ってしまいますな。余談ですが鏡さん、高校生離れしたグラマラスなスタイルの持ち主で、学校では親衛隊を引き連れて女王然としていますが、実は母子家庭で6人もいる弟たちの面倒をよく見るなど、家庭的な人だったりするというギャップ萌えな人でした。ときメモの家庭的キャラというと真っ先に虹野沙希が思い浮かぶのですが、対抗できるのは意外にも鏡魅羅なのです。

鏡魅羅20160115 

 速水奨自身も「ときめきメモリアル Girl's Side」で隠しキャラ・花椿吾郎役で出演しており、夫婦揃ってときメモの攻略キャラを演じたことになります。花椿吾郎はオネエ口調の世界的ファッションデザイナーということで、多分全キャラ攻略を目指そうとしなければ攻略しないキャラなんじゃなかろうかと。

花椿吾郎
 
 2006年に亡くなった義姉の子供(甥)である速水秀之を養子に引き取っています。この人も声優になっており、まさに声優一家です。

速水秀之 

 カイザーという猫を飼っており、朝四時にご飯をねだるのに困っているとか。料理に凝っており、味噌汁は毎朝自分で作っているほどのこだわりがあり、さらに掃除・洗濯もするそうです。メシマズ嫁というものが跋扈する昨今、嫁より速水奨が家にいてくれた方が良かったりして。趣味はアンモナイト鑑賞だそうですが、ニッポニテスのような異常巻きアンモナイトより、正統派(?)のアンモナイトが好みのようです。

若い頃のマックス
 
 それでは私の記憶に残る速水奨の演じたキャラをご紹介。まずは超時空要塞マクロスのマックスことマクシミリアン・ジーナス。主人公一条輝の部下ですが、バルキリーの操縦をはじめとする、あらゆる技能に秀でた「天才」でした。しまいには敵(ゼントラーディ人)のミリア・ファリーナ(エースのミリア)と史上初の星間結婚をすることになります。

マックスとミリア
マクロス7でのマックス 
 
 キャラとしては、従来のテレビアニメのヒーロー的存在でしたが、主役の一条輝をごく普通の青年に描くため、対極として脇役に美形天才を配したのだとか。マックスとミリアの天才パイロット同士の空中戦はまさに板野サーカスの見せ場となりました。同時に一条輝の部下となった柿崎速雄があっさりと戦死したのに対し、マックスはその後の「マクロス7」などにも登場しています。

バーン・バニングス 

 「聖戦士ダンバイン」のバーン・バニングス。主人公ザマ・ショウのライバルキャラで、二枚目かつ勇猛果敢かつ忠義一筋の騎士でした。しかし、自信過剰ゆえの詰めの甘さや功を焦っての勇み足、軍を預かる指揮官としては器量が小さく人望がないという欠点があり、戦功欲しさに裏切りや抜け駆けを平然と行うなど、騎士道にもとる行為も行っていました。

黒騎士バーン・バニングス 

 失敗を重ねて更迭されますが、後半は仮面を被って黒騎士を名乗って登場しました。作中ではその正体はごく一部の者達にしか明かされませんでしたが、視聴者にはバレバレでした。素顔を隠したのは、過去の挫折を恥じて正体を隠しているに過ぎなかったみたいです。しかしその後も敗北を重ね、仮面を外し涙するという醜態も見せました。最終決戦では仮面を脱ぎ捨ててバーン・バニングスとして白兵戦でショウと刺し違えるという最期を遂げました。

桂木桂 

 「超時空世紀オーガス」の桂木桂。主人公にして長髪二枚目、しかもスケベで女性関係に節操のないマイペースな自由人でした。リア充爆発しろ!!戦闘機パイロットだったこいつこの人が独断で時空震動弾を起爆させたことにより時空破壊が引き起こされ、自身も混乱時空の元凶である「特異点」となり、各陣営から狙われることとなります。

モームと桂木桂 

 混乱時空のせいで実の娘であるアテナと戦うはめになったり、性懲りも無くヒロインキャラのミムジィを婚約者から寝取って孕ませたり、幼女型ロボットモームに「ご主人様」と呼ばれたりと実にいろいろやらかしているキャラでしたが、私のお気に入りキャラだったモームの最期の際には本気で涙していたので許しちゃる。

ハイ・シャルタット 

 「機甲界ガリアン」のハイ・シャルタット。主人公ジョジョの敵であるマーダルの親衛隊長で、ライバルキャラです。マーダルへの忠義は一途で、マーダルの命令ならいかなることでも実行します。反面自尊心が異常に高く柔軟性に欠けて短慮なところもあって、作戦を失敗することもあり、精神的には子供じみたところも見られました。17歳だそうなので仕方がないかもしれませんが。

ハイ・シャルタットその2 ハイ・シャルタットに似ているキリコ

 実は「装甲騎兵ボトムズ」の主人公キリコ・キュービィに似ているという噂も。外見はキリコだけど内面はむしろイプシロンに似ているような。原作・監督は同じ高橋良輔で、「ガリアン」は「ボトムズ」終了直後の作品なので、実際キリコとイプシロンの影響を受けてるんじゃないかと。

ギャブレット・ギャブレー 

 「重戦機エルガイム」のギャブレット・ギャブレー。主人公ダバ・マイロードの宿敵で長身長髪で20歳のイケメンです。田舎貴族の出身で、立身出世を夢見て出てきました。天然ボケで、本人は大真面目なのですが、傍から見るとやることなすことドジで間が抜けていました。キザでクールなのだか熱血漢なのだかよく分からない難儀な男で、喜怒哀楽の激しいコミカルなキャラクターでした。

ギャブレー君その2 

 すったもんだの挙げ句、ポセイダル軍中屈指の精鋭で構成される「13人衆」に末席ながらも叙せられるなど、能力は高かったのですが、行く先々で問題を起こすので、上官や部下にとっては頭痛の種になっていました。後半ストーリーはシリアスになっていくのですが、そんな中でもコメディリリーフとしての地位を保ち続けていました。

遠坂時臣 

 80年代から一気に飛んで「Fate/Zero」の遠坂時臣。Fateシリーズのヒロインである遠坂凛と間桐桜の父親で、魔道を奉じる生粋の魔術師です。イケメンで、奥さん(葵)も美人で娘達も美人というリア充爆発しろキャラです。

綺礼に殺される時臣 

 聖杯戦争の監督役と裏で繋がり、万全の準備で聖杯戦争に臨みますが、召喚したアーチャー(英雄王ギルガメッシュ)の規格外の能力や振る舞いに翻弄されます。鈍重で退屈な姿勢と不忠が原因でアーチャーに見限られ、弟子である言峰綺礼に殺害されます。知らなかったとはいえ、その父の敵に師事していた凜…

タカヒロその2
 
 「ご注文はうさぎですか?」の香風タカヒロ。チノのパパンでラビットハウスのオーナーです。バータイム(夜)にマスターを務めています。とてもダンディな容姿と性格ですが、反面可愛らしいお弁当を作ったり、うさぎ柄のネクタイを喜ぶなど、ファンシーな事物を好んでいるようです。

タカヒロ 

 チノによるとかつて経営難だったラビットハウスを得意のジャズで盛り上げて救ったことがあり、リゼの父親とは戦場での昔馴染みという関係であるなど、過去は色々ある模様ですが、一切明かされていません。タカヒロとチノのみが、ティッピーがチノの祖父(タカヒロにとっては父)であることを知っており、ココア達が大騒ぎしている傍らでティッピーと会話したりしています。

速水奨のハーレム世界 

 この他にも「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」のギニアス・サハリンとか、「ドラゴンボール」のザーボンさんなど、沢山の役を演じていますが、何しろ芸歴が長いので紹介しきれません。速水奨は「ごちうさ」のイベントでは黒一点となりハーレム状態となっていましたが、流石に男が一人きりなのは寂しかったでしょうね。若い声優さんばかりなのでジェネレーションギャップもあろうし。でも野郎ばかりの(はずの)ごちうさファンには非常に好意的に受け入れられていたようでなによりです。

黒笑小説:“○笑小説”シリーズを読了しましたが…

寒波襲来

 寒波襲来。筑波嶺は「さみーな、チクショーメ!!」程度で済んでますが、雪の地域はさぞや大変なことでしょう。身に覚えがあるので、心からお見舞い申し上げます。またセンター試験ということで、受験生も大迷惑を被ってたりするんでしょうが、受験といえば寒波が来るのではなく、寒波が来る時期に入試をやっているんじゃないかという。欧米のように9月新学期というのもありなんじゃないですかね。

 本日は東野圭吾の「黒笑小説」を紹介しましょう。東野圭吾のブラックさを多分に含んだユーモア短編集“○笑小説”シリーズの第三弾で、これで全四冊をコンプリートしたことになります。例によって順番はバラバラに読んでますが。

黒笑小説

 「黒笑小説」は2005年4月26日に集英社より単行本が発行され、2008年に集英社文庫版が発行されました。文庫版では単行本とは収録順序が変わっていますが、これは次作「歪笑小説」が小説家とか出版業界の内幕を暴露する連作短編集になっていることと関連していると思われます。

 つまり、「黒笑小説」に既に先駆けとなる小説家をテーマとした短編が収録されており、文庫版ではそれをひとまとめにして前半に置いているのです。登場人物も共通なので、集中させた方がわかりやすいだろうという配慮でしょう。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

単行本黒笑小説 

 作家の寒川は、文学賞の選考結果を編集者と待っていた。「賞をもらうために小説を書いているわけじゃない」と格好をつけながら、内心は賞が欲しくて欲しくてたまらない。一方、編集者は「受賞を信じている」と熱弁しながら、心の中で無理だなとつぶやく。そして遂に電話が鳴って―。文学賞をめぐる人間模様を皮肉たっぷりに描いた「もうひとつの助走」をはじめ、黒い笑いに満ちた傑作が満載の短編集。 

 正直、いつもなら連作ものを順番に読まなくても「図書館になかったんだよわっはっは」で済ませるのですが、本作と「歪笑小説」だけは順序よく読みたかったです。その方が絶対面白いので、これから読まれる方は、第一作「怪笑小説」、第二作「毒笑小説」はともかく、第三作「黒笑小説」→第四作「歪笑小説」だけはぜひ順番どおりに読みましょう。

 もうひとつの助走

大いなる助走 

 明らかに筒井康隆が文壇を風刺した記念碑的作品「大いなる助走」を意識したタイトルですね。直木賞とおぼしき文学賞に五度目のノミネートとなった小説家寒川心五郎の受賞を待つべく、レストランに集まった各出版社の編集者達。寒川はどうせダメだ的なことを言いつつも本心では賞が欲しくてたまりませんが、受賞を信じていると言う編集者達は内心「無理だな」とつぶやいています。そんな時に主催者の編集者宛に電話が掛かってきますが…。「歪笑小説」の「引退発表」に登場する寒川先生の初登場作ですが、いきなり風向きが良くありません。寒川先生の姿は、長い間売れなかった東野圭吾の不遇時代の投影でしょうか。

 線香花火

線香花火 

 灸英社(名前のモデルは明らかに集英社)の小説灸英新人賞に応募した「撃鉄のポエム」が、見事受賞した新人作家の熱海圭介。受賞したことで有頂天になった熱海は、友人や親戚縁者にちやほやされて有頂天になりましたが、仕事では上司の反応は相変わらずで、取引先からも馬鹿にされてばかり。キレた熱海は…。「歪笑小説」で「夢の映像化」「罪な女」「ミステリ特集」「戦略」と、何と四編で主役を張る俗物にしてダメ作家の熱海圭介初登場作品です。最初から笑えるなあこの人は。しかし新人賞を与えておいてやたらぞんざいな扱いをする灸英社の編集者も結構ムゴい。

 過去の人

過去の人Tシャツ 

 新人賞を受賞して一年後、作家達が集まる受賞記念パーティに招待された我らが熱海圭介。小説灸英新人賞は灸英新人賞に一新され、虎馬文学賞、灸英功労賞と合わせて灸英三賞と呼ばれるようになっています。一年遅ければ盛大なパーティーで祝福されたのにと思う熱海ですが、それでも受賞に誇りを持ち、目立とうと頑張ります。「作家 熱海圭介」の名刺には笑いました。裏面がまた大笑い。見たことないわそんな名刺。なお、今回の新人賞受賞者は、「歪笑小説」の「序ノ口」「天敵」「職業、小説家」で主役を張るもう一人の若手作家唐傘ザンゲです。ペンネームは突拍子もないですが、編集者達の評価は熱海圭介と大違いで非常に高いのです。新人賞を受賞した後はもう「過去の人」という編集者のセリフがキツいです。

 選考会

芥川賞選考会 

 新設された「第1回灸英社推理小説新人賞」の選考委員になった寒川心五郎先生。とうとう賞とは無縁でしたが、選ぶ側になったことに大喜びです。同様に選ばれた作家の友引三郎と轟木花子とともに選考を始めますが、それぞれの意見は全く異なり大激論に。しかし、これは架空の賞であり、出版社には別の恐るべき目論見があったのでした…。三人の作家はそれぞれが推す作品が異なって激論(かなり低レベル)を行いますが、揃って「ダメ」としたのが唐傘ザンゲの「虚無僧探偵ゾフィー」。しかしこれこそは灸英社の編集者達がイチオシとする傑作だったのです。ここまでの四編が「歪笑小説」に直結していきます。

 巨乳妄想症候群

巨乳の人 

 肉マンやはげ頭など、巨乳に近い形のものがなんでも巨乳に見えてしまうという巨乳妄想症候群に陥ってしまった私。友人の精神科医タムラに見て貰い、投薬治療を行うが、今度は症状は別の方向に出てしまいます。なんと女性が全員巨乳に見えてしまうという。でも見えるだけで、触ってみれば貧乳はやはり貧乳なんですが。見てるだけでいいやとウハウハに喜んでいた私ですが、そこに素敵な巨乳の彼女が出来ます。でも本当に巨乳なのかが…

 インポグラ

これはバイアグラ 

 飲むとインポテツになる薬「インポグラ」が発明された。そんものいるかという男達の声の中、夫の浮気対策として女性陣には大好評で、売れ行きは順調に伸びていきますが、なぜかある時から全く売れなくなってしまいます。その理由は…。結論だけ言うと女ってコワイ。そして男ってバカだ。

 みえすぎ

恐怖のスギ花粉 

 突然、空気中のチリやホコリなどの微粒子がはっきり見えるようになってしまった俺。当初は驚いていたが、慣れると案外面白くなくなってきました。しかしその能力が次第に強まっていき、ありとあらゆる微粒子が見えるようになってしまいます。度なし眼鏡で対応できるのですが、ある日壊してしまったら…

 モテモテ・スプレー

フェロモン香水 

 性格もルックスもそこそこなのに、女性には「お友達のままで」と言われ続けるタカシ。なんとかもてたいと怪しげな研究所を訪ね、もてる薬を手に入れます。しかし、タカシの「もてない度」はただ事ではありませんでした。MHC(主要組織適合遺伝子複合体)という、理系の東野圭吾ならではの単語が登場してきます。ガリレオシリーズで扱ってもいけそうな話ですが、MHCは免疫反応に必要な多くのタンパクの遺伝子情報を含む大きな遺伝子領域で、これが自分と形が異なる異性が“モテる”のだそうです。生まれてくる子供が両親のMHCからいいとこ取りできうるという。しかしタカシは、MHCがほぼフラット、つまりメリットが何一つないのでモテないのだという

 シンデレラ白夜行

堀北真希の雪穂 

 継母や義姉達にいじめられまくるシンデレラ。ですが、シンデレラが「白夜行」のヒロイン雪穂だったとしたら、という異色作。セルフパロディなのでどこからも苦情は出ませんね。雪穂は美貌と頭の良さを兼ね備えている人でしたが、それがシンデレラならなんとも凄い展開になります。いや、展開はほぼシンデレラなんですが、何もかも計算尽くかだったのかという女の怖さを感じます。12時に魔法がとけてもなぜガラスの靴は残ったのかという長年のツッコミへの回答とも言えますな。

綾瀬はるかの雪穂 

 ちなみに雪穂役は、映画版では堀北真希が、テレビドラマ版では綾瀬はるかが演じていますが、なかなかにナイスなキャスティングですな。ガッキーもいいかも知れない。“純白の闇”という雰囲気が雪穂にはよく似合います

 ストーカー入門

ストーカー 

 唐突に華子にふられた僕。理由もわからないのでしばらく冷却期間を置こうと思っていたら、華子から苦情の電話が。好きならストーカーになるものじゃないのかと。仕方なくストーカーのまねごとを始めますが、華子からはダメ出しばかり。ですがお仲間のストーカーは他にもいて…。これからはストーカーの一人もいないといい女扱いされない時代が来るのか?私は根性がないからストーカーは無理ですね。

 臨界家族

魔法少女グッズ 

 魔法少女のアニメにはまりまくった娘に、グッズをせがまれる川島哲也。甘やかさないぞ、絶対買わんぞという姿勢を見せますが、結局は娘の無視に負けて買わされるハメに。しかし、川島の知らないところで、彼の一家は玩具メーカーに目を付けられていたのでした。プ○キュアとかにハマる娘さん達をもったパパは人ごとではない話ですな。

 笑わない男

ホテルのベルボーイ 

 まったく笑いを取れなかった出張先で、先方の手違いで豪華ホテルに泊まることになったお笑いコンビの拓也と慎吾。最初は喜んでいましたが、明日も受けなければクビということに。とりあえず全く笑わないホテルのボーイを笑わせようと悪戦苦闘しますが…。オチがブラックすぎます。もうホストにでもなれや二人とも。

 奇跡の一枚

ココア奇跡の一枚 

 父親似で美貌に不自由する女子大生遥香は、ゼミ合宿の際の写真に、自分でも自分とは思えないほど綺麗に移った写真を見つけます。写真をせがまれていたメル友の男性につい送ってしまったところ、男性は大興奮。是非会いたいと言われますが…。オチはともかく、息子は母親似、娘は父親似なんて言いますが、本当なんでしょうかね?

記憶に残る一言(その78):ジオンMSパイロットのセリフ(機動戦士ガンダム)

成人の日の振袖姿

 本日は成人の日ですが、昨日のうちに式典を行った自治体も多いようですね。例によってバカが暴れたりしているようです。昨日今日始まったことではないのですが、世に大バカの種は尽きまじということか。特に沖縄や北九州市では風物詩になっているようですが、きっとバカ成人は各地に出没していることでしょう。もう実名報道待ったなしなんですがねえ…

平和なジャブロー 
 
 などと日本の未来を憂慮するふりをしつつ本題へ。本日は記憶に残る一言です。今回は名もなき一兵士をセリフを紹介したいと思います。

オデッサ地方 

 もはやアニオタの中では史実同然となっている機動戦士ガンダムの「一年戦争」ですが、その終盤に「ジャブロー降下作戦」が実施されました。宇宙世紀0079年11月上旬に連邦軍はオデッサ作戦を実施しました。オデッサ作戦は、ジオン軍の生命線である、中部アジア、東ヨーロッパ間の鉱山地帯を奪還するための作戦でした。ここはジオンが地球降下作戦で真っ先に占領した地域であり、資源に乏しいジオンからこの地域を取り戻せば、
地上のミリタリーバランスを一変させることが可能でした。

オデッサ作戦の場面 
オデッサの激戦 

 作戦終了後、対する連邦軍は各地で反抗作戦を発動してその殆どを成功させ、一方ジオン地上軍は各地で敗退を重ねていました。もはやジオン地上軍は風前の灯だったのです。そんな中、11月30日にジオン軍が起死回生を賭けて実行した反撃作戦がジャブロー降下作戦でした。

ジャブロー降下作戦開始

 ジャブローは、南米アマゾン川流域の地下巨大鍾乳洞を利用して構築された連邦軍総司令部です。防衛火器類は万全で、大量の物資を蓄え自給能力を備え、強固な地盤の深地下にあるため通常兵器はもちろん核兵器による爆撃にも耐えるなど、文字通り難攻不落の要塞として完璧な防御力を誇るっていました。

コロニー落とし 

 このため、ジオンは一年戦層冒頭にジャブローを目標としたコロニー落とし(ブリティッシュ作戦)を実施しましたが失敗に終わり、再度コロニー落としを実行しようとしれ発生したのが人類史上初となる宇宙大会戦であるルウム戦役です。戦闘はMSの投入によりジオン軍の大勝利に終わり、連邦宇宙軍は事実上壊滅しました。しかしジオン軍も損害は甚大で、本来の目的であったコロニー落としを行うことは出来ませんでした。

ルウム戦役 

 その後もジオン軍はジャブローへ空爆などを実施していましたが、ほとんど効果はなかったようです。その理由は、重要施設の場所を把握していなかったからで、連邦軍のジャブロー守備部隊の方も、火砲の位置などを知られなくないので積極的な迎撃は行っていなかったようです。

ジャブローに入港するホワイトベース 

 しかし、満身創痍となったホワイトベースがジャブローに入港した際、ホワイトベースを追跡していたシャア大佐率いるマッドアングラー隊によって、宇宙船用のドックを発見されてしまいました。これにより、ジオン軍は、オデッサ作戦以降の劣勢を覆すべく、北米方面軍のほとんど全戦力といってよい大部隊を投入し、宇宙船ドックを主要な攻撃目標としたジャブロー攻撃を敢行します。これが29話「ジャブローに散る!」で描かれたジャブロー降下作戦です。

ガウから降下するグフ 
ガウから降下するMS 
ガウから降下するMSその2
降下中のドム 

 ジャブロー上空に到達したジオン軍航空部隊は、連邦軍の対空陣地に猛烈な制圧射撃を行いながらMS降下を実施。これに呼応してアマゾン川からはマッドアングラー隊の水陸両用MSが上陸を開始しました。しかし、ジオン軍の攻撃が本格的であると判断した連邦軍は、全力で迎撃を行います。そしてジオンはジャブローの堅牢さを身を以て体験することになったのです。

 ジャブローの対空砲火ジャブローの対空砲火その2

 この作戦にジオン軍が投入した戦力は、ガウ攻撃空母が18機、MSが50~60機、それに護衛のドップ戦闘機でしたが、地上に到達できたMSはおよそ半数の28機に過ぎませんでした。ガウ攻撃空母も8機が撃墜され、ドップ戦闘機も大きな損害を出したようです。

お、降りられるのかよ 

 この時、初めて本気を出したジャブロー対空砲火網を見たジオンのMSパイロットのセリフ「お、降りられるのかよ!」が今回の記憶に残る一言です。実はテレビ本編ではなく、劇場版第二作の「哀・戦士編」でのものなのですが。

迎撃されるザク 
直撃されるザク 直撃されるドム

 ザク・グフはもとより重MSであるドムさえも一撃で撃ち抜かれる対空砲火の凄さから思わず洩れたセリフですが、彼は無事に降下できたのでしょうか?しかし、降下に成功したとしてもその前途は明るいものではありませんでした。

降下したザク 降下に成功したMS
奮戦するMS 

 地上に辿り着いたジオンMS部隊は、制圧目標である宇宙港を目指したものの、深いジャングルに行く手を阻まれ、友軍同士の連携もままなりませんでした。しかも地上では既に量産が開始されていた連邦軍のMSジムを始めとする大量の連邦軍防衛部隊が待ち受けていました。このため、降下部隊の大半は宇宙港に辿り着く事すら出来ず、僅かに施設への突入に成功したMSも防衛部隊によって即座に制圧されたのでした。

GMに迎撃されるザク 

 作戦に参加したジオン軍MS部隊はほぼ壊滅し、生還したMSはシャアのズゴックなどほんの数機に過ぎませんでした。作戦は大失敗に終わったのでした。

ズゴックに直撃 
一人気を吐くシャア 

 シャアが不敵に笑っていたり、ジムを一撃で葬ったりしてたいのでつい見過ごしがちですが、シャアなどが搭乗する水陸両用MSズゴックをなぜか空中から降下させるという意味不明な作戦行動もあり、ジオン軍の作戦計画や指揮系統、編成には大きな欠陥が見受けられます。もはやオデッサ作戦以降のジオン軍地上部隊は末期的状況だったのかも知れません。

好きなアニメキャラ(その86):久我山八重(ガーリッシュナンバー)

雨の日曜日

 三連休だというのに雨の日曜日。明日は成人の日ですが早めに止むといいですね。最近ウォーキングが終わると膝とか踝が痛くて。これが年か…。札幌で転倒した時に買ったのびのびサロンシップをガンガン使っています。強いて良かった探しをするならば、使用期限前に使えて良かったな、と。

久我山八重プロフ 

 本日は「好きなアニメキャラ」です。前回の片倉京に続いて「ガーリッシュナンバー」から久我山八重を紹介しましょう。2016年秋季アニメからの「好きなアニメキャラ」はこの二人だけだったりして。

ロリ巨乳八重 

 久我山八重は、片山京と共に主人公のクズ声優烏丸千歳のサイドキックを務めている若手声優で、千歳とは声優養成所同期でもあります。この三人娘はともにナンバーワンプロデュース(略称ナンプロ)所属です。

あざとい笑顔の八重 

 原作者の渡航曰く“はわわ系クズ”とのことで、急いでいる時は「えっほ、えっほ」、驚いた時は「はわわ」という、マンガなどでは良くあるけど実際に言う人いるんだというオノマトペを本当に口に出す人です。男受けは最高だと思いますが、そのあざとさが一部女性に嫌われているようです。

キュートな笑顔の八重 

 媚びるためにやっているのではなく、天然らしいのですが、計算ずくでやってるんだろうと思われていて、多の声優からは「腹黒い」「お腹の中は真っ黒」などとと半ばネタのように言われ続けています。

水着の八重 

 小柄でロリ顔ですが、反面はっきりわかるほどの巨乳で、ロリ巨乳というのもまた判りやすいあざとさですね。ただ、太りやすい体質らしく、年柄年中ダイエットに勤しんでいます。

はわわの八重 

 千歳と比べると作品に対する関心は高く、仕事にも意欲的に取り組んでいるようで、千歳が主演で八重と京がサブヒロインを務めた「九龍覇王と千年皇女(クーロンはおうとミレニアムスレイブ)」(通称:クースレ)以後も仕事は得ているようです。 

酔っ払った八重 

 本作においては千歳以外はモノローグ(心の声)が発せらていないので、何を考えているのかは言葉として発せられたセリフで推測するしかないのですが、千歳がとにかくクズモノローグを連発するので、他の声優さんもそれなりにドロドロな本音を隠し持っているのだろうなとは思ってしまうのですが、八重の場合は天然なので言葉の端々に現れたりして。

千歳を励ます八重 

 それを以て腹黒と言われるのは仕方が無いかも知れませんが、むしろ腹に一物がないから素直に思ったことを口に出してしまっているという感じが。ただ酔っ払うと理性の箍が外れるのか、かなり黒い本音を言いまくりますね。6話は沖縄で酔って東京でも酔って本音をぶちまけてて笑いましたね。

全然黒くない八重 

 大したことがないことでも何かというと「すごーい!!」を連発するので、言葉がインフレを起こしていて、本当に褒めていても社交辞令としか思って貰えなかったします。実は八重自身それを認識しており、11話で千歳が闇堕ちしていた時、マネージャーで千歳の兄である悟浄に「ちーちゃんは本当に頑張ってると思うんです!お芝居もずっとずっと上手くなったし、イベントだっていっつも引っ張ってくれて…」と言い、本人に言ってやってと言われた際に「それじゃだめなんです…私の言葉、ペラいから…」と言っていました。八重一番のシリアスシーンだったのではないか。

私の言葉、ペラいから… 

 続けて「でも烏丸さん(悟浄)の言うことなら、ちーちゃんも聞いてくれると思うんです。あの…ちーちゃんのこと、宜しくお願いします」と言います。ビジネス友達なのかと思いきや、八重は本当に千歳を友達だと思っていたんですね。なんだよ、いい子じゃないか!!

ちょっとバカなだけだから 

 ただしその後、声優仲間と飲んでいる時に「ち…ちーちゃんは、やる気ないとかプロ意識ないとかそういうんじゃなくて…ちょっとバカなだけだから」と口走り、自分の言葉に慌てて「あ、えっと!そういう意味のバカじゃなくて!純粋というか…純粋にバカというか…」と追い打ちを掛けていました。やはりバカだと思っていたのね(笑)。まあ思うわな、普通。

ちーちゃん大好きな八重 

 でも「馬鹿な子ほど可愛い」とか言いますし、バカだと思っているのと好きだということは両立する訳で…八重は本当に千歳の事が好きみたいですね。

本渡楓その1 

 CVは本渡楓(ほんど かえで)。1996年3月6日生まれで愛知県出身。なんとまだ20歳。声優デビューは2015年というバリバリのフレッシュ声優です。愛称は「えーでちゃん」。

本渡楓その2 

 高校時代は演劇部に所属していましたが、身長の低さや童顔を理由に演じられなかった役があったということで、見た目に左右されない声優の道を目指すようになったそうです。

小雪の友人達 

 結構沢山のアニメに出演しているのですが、まだまだ端役が多く、「魔法少女育成計画」でも主人公スノーホワイト(姫河小雪)の友人であるスミレを演じていましたが、全然気づきませんでした。艦これでも「親潮」を演じていますが、それは現在入手不可…

小鳥遊ひかり 

 が、今年は既に冬アニメで「亜人ちゃんは語りたい」でヒロインで吸血鬼の小鳥遊ひかりを、「風夏」で主人公の妹の榛名知歳を演じているので、今後も露出が多くなりそうです。

千歳と八重 

 久我山八重役は年齢的にも性格的にもぴったりだというのが周囲の声優からの評価ですが、えーでちゃん的には、「意外と近いかもしれない」と思いつつも、あそこまであざとい女の子は見たことがなかったので、誰もがうざいと思う感じで言ったとのことです。(女性から見て)うざいセリフはアドリブでばんばん入れてたようです。千歳役の千本木彩花に相談し、「うざい! 採用!」と言われたとか。私はむしろ可愛いなあと思って見てましたが…孔明ならぬ八重の罠に嵌まっていたのでしょうか?

 本渡楓その3

 この人の声質が凄く好きなので、ぜひ本年はブレイクして欲しいですね。「好きな声優さん」で紹介したいです。 

無理無理八重

地下鉄に乗って:ほろ苦SFファンタジーテイストの浅田次郎初期の名作


 リアル明里パパンから届いたお正月のリアル明里ちゃんです。相変わらず食欲旺盛のようですね。たくさん食べて元気に育って欲しいけど、フードファイターへの道はどうかなとかおじさん思ってしまいますよ(杞憂)。

地下鉄に乗って 文庫版 

 本日は浅田次郎の「地下鉄に乗って」を紹介しましょう。「地下鉄」と書いてメトロと読みます。浅田次郎は様々な職業を遍歴しながら投稿生活を続け、1991年に小説家としてデビューしましたが、当初は悪漢(ピカレスク)小説を中心とした作家として認知されていました。1995年刊行の本作が吉川英治文学新人賞を受賞したことで、初めて新聞に著作の広告が載ったそうです。

鉄道員20170107 

 さらに1997年に「鉄道員」で直木賞を受賞して地位を確固たるものとしました。その後も、2000年に「壬生義士伝」で柴田錬三郎賞、2006年に「お腹召しませ」で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、2008年に「中原の虹」で吉川英治文学賞、2010年に「終わらざる夏」で毎日出版文化賞、2016年に「帰郷」で大佛次郎賞と、数々の受賞に燦然と輝く、日本を代表するベストセラー作家の一人となっています。その源流が鉄道関係というのもは何かの縁なんでしょうか。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

永田町駅 - コピー 

 永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは30年前の風景。ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れた。さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会う。だが封印された“過去”に行ったため……。思わず涙がこぼれ落ちる感動の浅田ワールド。吉川英治文学新人賞に輝く名作。

銀座線旧車両 

 主人公の小沼真次は40代半ばの冴えないおっさんで、スーツケース一杯に詰め込んだセクシーなランジェリーなどを水商売のお姉様方に売り歩く営業を行っています。オイオイしがないな~と「上から目線」になりそうになったのですが、実は妻子持ちながら会社のアラサー美人デザイナーと情事を重ねているという、なんなんだよこのリア充はよー!と文句を言いたくなる境遇(べ、別に羨ましい訳じゃないんだからねッ!!)。
丸の内線旧車両 

 しかーし、真次のリア充ぶりはただ事ではないのです。なんと父は一代で大企業を築き上げた立志伝中の人物で、旧華族の豪邸に住み、一流高校に通っていました。じゃあなんで落魄した生活をしているのかと言えば、その父があまりに家族に対して暴君で、兄が父と衝突した挙げ句に自殺した夜の父の態度があんまりだったので家を飛び出しているんですね。

昔の地下鉄 - コピー 

 謝って帰宅すればすぐ大企業の役員になれそうですが、真次にはその気は全くなく、むしろ父が倒れて重態だと知っても病院に行こうともしません。母も家を出てしまい、弟だけが父の会社の副社長となっていますが、収入は高くても家庭は崩壊状態となっています。

コミック版地下鉄に乗って - コピー 

 そんな一族バラバラな小沼一族ですが、兄の命日、真次は不思議な体験をします。地下鉄の出口を上がったら、なぜか30年前、兄が死を選んだその夜にいることに気づいたのです。生前の兄に遭遇した真次は、兄を説得して家に帰します。これは過去改変か?バックトゥザフューチャーか、はたまたSTEINS;GATEなのかと思いましたよ

闇市 

 ですが、元の世界に戻ってみたら、別に世界は変わっていませんでした。ただの夢だったのか?それとも運命線はそう簡単に変わらないのか?ですが、タイムスリップはその後も続き、なぜか真次の愛人であるみち子までもが巻き込まれるようになります。戦後の闇市の銀座、戦中の新橋での出征風景、さらには戦前のモボモガが闊歩していた銀座と、果てはソ連軍進行中の満州と、様々な時代を体験する二人ですが、共通して登場するのがどうやら父の若き日の姿であることに気づきます。これは何者の意志なのか?そして目的は?

モボ・モガの時代 

 過去改変によるハッピーエンドものなのかと思いきや、実は全然違ったという良い意味での裏切りがさすがは浅田次郎だと思います。結局過去改変はないのかと言えば…実はあるんですが、その結末は非常に苦いですね。ほろ苦いけど、結局はそれでいいのかなあ…。いや、個人的にはやはりちょっと納得できんなと思ってしまいます。過去改変は自分自身に対してしか可能ではないのでしょうか。あんまり書くとネタバレになってしまうし、結末を知らないで読んだ方が絶対いいと思うのでこれ以上は止めておきますが。

時空を超えて 

 それでも敢えて言わせてもらえばですね……これって本当にいい話なのかな?誰かを犠牲にした幸せって本当の幸せなの?それに、そういうの(意味深)って、昔はタブーじゃなかったみたいですよ。あんまり気にしなくてもいいんじゃないですかね、当事者が良かったら(さらに意味深)。あとSF者的には思いっきりタイムパラドックスが発生していまっせ。

地下鉄に乗って 映画版 

 本作は2000年にミュージカルとして舞台化され、2006年には映画化がされています。さらにテレビ朝日系で「もういちど地下鉄に乗って」というタイトルでアナザーストーリーがドラマ化されています。例によってどれも未見なんですけどね。

ミュージカル版地下鉄に乗って 

好きなアニメキャラ(その85):片倉京(ガーリッシュナンバー)

正月休み明けの症状

 正月休みもあっという間に終わって、明日から平常出勤です。ある程度まとめて休んだ後の休暇明けは月曜日以上に憂鬱ですね。週末三連休なので、それを頼みになんとか出勤しましょう。

片倉京プロフィール 

 本日は一ヶ月ぶり、今年最初の好きなアニメキャラです。「ガーリッシュナンバー」から片倉京を紹介しましょう。「京」と書いて「こと」と読みます。京→京都→古都ということなんでしょうね。でも大阪府出身というのはどういうことだ(笑)。難波京辺りを思い浮かべるべきなんでしょうかね。

八重と京 
ナンプロ三人娘 

 「九龍覇王と千年皇女(クーロンはおうとミレニアムスレイブ)」(略称クースレ)のヒロインの一人を演じることになりましたが、同じ事務所(ナンバーワンプロデュース、略称ナンプロ)の後輩であるクズ声優烏丸千歳がメインヒロインを射止めたため、やはり同じ事務所の若手声優久我山八重と共にサイドキック的なポジションにいます。

ウインク京ちゃん 

 20~21歳の千歳や八重に対し、京は26歳。自称アラサーですが、アラサーという言葉は28歳位から使うっていることでいいんじゃ…。売れていないのでバイトを掛け持ちしており、今回メインキャラが取れなかったら実家に帰って婚活しようかと思っていたそうです。実家に要求されている訳ではなく、あくまで自分の意思でのことだそうですが。

驚き京ちゃん 
水着の京ちゃん 

 年齢相応に精神的にも大人でかつ常識人で、本作で最もまともな声優と思われます。先輩を先輩とも思わない千歳に対して嫌な顔も見せずに「ちー様」と呼んで常に立てる態度を取っています。また、売れっ子ながら役者指向で意識高い系の言動を繰り返す柴崎万葉に対しても何かと気遣いを示すなど、コミュ力の高さを見せていました。

京ちゃんのシマパン 

 大阪人らしく、ノリ突っ込みも得意。元々アニメ好きだったようで、作品や声優に関する知識が広く、千歳からはアニメ博士扱いされていました。が、オタクという程ではないようで、自宅は綺麗に片づいていました。まあ汚部屋はオタクとは限らないようですけど、部屋が綺麗な女性は素敵ですね。千歳にシマパンを物色されて焦っていましたが。

京ちゃんの昔の写真 
昔付き合っていたんかい 

 千歳の兄で今ではナンプロのマネージャーとなっている悟浄とは声優デビュー同期であり、辞めるのは自分の方が先だと思っていたそうです。今ではお互い立場をわきまえた態度に徹していますが、昔は付き合っていたのかな?と思わせる描写がありました。声優同士の結婚……結構ありますけど、売れっ子同士ならいざ知らず、安定感に欠けるような気がしないでもないですね。リーマンとか公務員あたりと結婚した方がいいような気も(余計なお世話ですが)。

しょんぼり京ちゃん 

 背水の陣で望んでゲットした役だけに、クースレの作品としての成功に賭ける思いは人一倍だったようです。しかーし、プロデューサーがクズだったせいでキャラクターデザインや脚本が原作から勝手に変更されるというトラブルから発した原作側と制作会社側の対立を全く解決できず、スケジュールがひっ迫した結果、第1話から千歳すら絶句するほどの作画崩壊状態で放映されてしまいました。

お怒り京ちゃん 

 原作側と制作会社のトラブルに関しては「SHIROBAKO」でも描かれていましたが、とにかく原作側を立てざるを得ない様子を描いていた「SHIROBAKO」に対し、ガーリッシュナンバーでは制作サイドがかなりのゴリ推しをしていました。どっちもデフォルメして描いているのかも知れませんが、力関係は作品によるんでしょうかね。「ガーリッシュナンバー」の原作はラノベ作家の渡航なので、原作側が非常に冷遇されているようにあえて描いているのか。

がっかり京ちゃん 
ヤケ酒京ちゃん 

 メンタルが安定している京もさすがにクースレの惨状に、こんなんじゃ売れないとヤケ酒モードに入っていました。やはりメインキャラを務めた作品がの評価が高いって重要ですよね。特に売れてない声優にとっては。

ネコ口の京ちゃん 

 しかし、クースレでメインキャラを取った後も努力を重ねてオーディションを受け続けたせいか、以後はそこそこ役を取れているようで、結構忙しそうにしていました。「それが声優!」では、中途半端に忙しいとバイトに専念できず、収入的には一番辛かったりするという描写がありましたが、そこを抜けないと声優として大成できないという。

石川由依その1 

 CVは石川由依。舞台を中心に子役として活動していた人で、声優としては2007年頃にデビューしています。2013年の「進撃の巨人」のミカサ役でブレイクし、2014年には第8回声優アワード助演女優賞を受賞しています。

宇多良カナリヤ 

 1989年5月30日生まれで兵庫県出身。演じた時は京とほぼ同年齢ということで、よく京が口にする年齢ネタはそのまま自身の心に刺さったらしいです。昨年のアニメ作品では「クオリディア・コード」で宇多良カナリア役も演じていましたね。

雪見時雨 

 愛称は「ゆいっしー」。2015年の「終わりのセラフ」では脇役ですが、雪見時雨という役もやっていたんですね。気づかなかった、この海のリハクの目をもってしても。

石川由依その2 

 女優と声優の二足の草鞋のせいか、アニメ出演作品はさほど多くありませんが、今後は是非アニメ出演を増やして欲しいですね。

自撮り記念写真 

視聴予定の2017年冬季アニメ:今季は手探り気味ですが…

2017年元旦

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。それにしても一年が経過するのは本当に早いですね。以前は大晦日といえば「行く年来る年」まではしっかり起きていたのですが、最近は大晦日の10時過ぎには寝てしまうようになってしまいまして、年を取ったなと実感します。元旦も酒飲んでだらだらしていたらあっという間に一日経過してしまいました。この分じゃぼーっとしているうちにまた一年が経過してしまいそうです。

2017年冬季アニメ一覧 

 年が明けると始まるのが冬季アニメですね。ぼーっとしているとあっという間に始まって、あっという間に終わってしまうので、本日は視聴予定の作品を決めておきましょう。順番はあいうえお順です。

 ① ACCA 13区監察課

ACCA.jpg 

 スクウェア・エニックスの「ビッグガンガン」で連載中のオノ・ナツメのマンガを原作とした作品です。13の自治区に分かれた王国、その平和を守る巨大統一組織“ACCA”を舞台に、「もらいタバコのジーン」の異名をもつ主人公ジーン・オータスら食わせ物ぞろいの男達がみせる粋様(いきざま)を描く。おっさん成分の多さがいいですね。萌えキャラもいいけど、こういうのも押さえておきたいなと。

 ② エルドライブ【elDRIVE】

エルドライブ 

 「少年ジャンプ+」に連載中の天野明のマンガを原作とした作品です。不思議な声が聞こえるために周囲から変わり者扱いされてきた主人公・九ノ瀬宙太が宇宙警察・エルドライブにスカウトされ、未知なる世界に挑む姿を描きます。何となく80年代中盤のB級SF映画「スター・ファイター」を彷彿とさせる気がします。ヒロインに早見沙織が起用されているので「はやみん枠」でもあります。

 ③ クズの本懐

クズの本懐 

 ノイタミナ枠。前作「舟を編む」が面白かったので継続視聴します。これも「ビッグガンガン」で連載中の横槍メンゴのマンガを原作としています。誰もが羨む評判の高校生カップル、安楽岡花火と粟屋麦が抱いている、誰にもいえない秘密を描く“あまりにも純粋で歪んだ恋愛ストーリー”。

 ④ セイレン

セイレン 

 一目絵を見て「これは…『アマガミ』!!」と視聴決定してしまいました。海のリハク並の目の私にしては正解で、「キミキス」「アマガミ」のゲームデザイナー高山箕犀による初のオリジナルTVアニメ作品です。しかも「アマガミ」と同じ「輝日東高校」を舞台としており、「アマガミ」キャラの妹や弟が登場するらしいです。個人的に「アマガミ」は最後のギャルゲーなので、思い入れもひとしおなんですが、相変わらずキャラの造詣が現実に近い感じでいいですね。ちなみにセイレンは漢字変換すると「清廉」だそうです。“心が清くて私欲がなく、後ろ暗いところのないこと”を意味しますが、それでは今回の主人公は変態紳士ではないのでしょうか?
 
 ⑤ 亜人ちゃんは語りたい

亜人ちゃんは語りたい 

 「亜人」のパロディものかと思いきや、全然違っていて、「ヤングマガジンサード」で連載中のペトスのマンガを原作とした作品です。バンパイアやデュラハンといった人間とちょっとだけ違う「亜人(デミ)」ちゃんたちと、彼女たちに興味津々な高校教師・高橋鉄男が繰り広げる学園コメディ作品です。

 ⑥ 風夏

風夏 

 「週刊少年マガジン」で連載中の瀬尾公治のマンガを原作とした作品です。内気で人付き合いが苦手な高校生・榛名優と、不思議な魅力をもつ少女・秋月風夏の出会いから始まる青春ストーリーです。早見沙織がメインキャラの一人で、主人公の幼馴染み役を演じるので、これも「はやみん」枠です。

 ⑦ 幼女戦記

幼女戦記 

 カルロ・ゼンの同名小説を原作とした作品です。魔導と銃火器が存在する異世界を舞台に、帝国軍の航空魔導師士官である金髪碧眼の幼女、ターニャ・デグレチャフが地位と権力を得るために戦う姿を描きます。タイトルと、キャッチコピー「其れは、幼女の皮をかぶった化け物-。」のインパクトに惹かれました。

CHAOS CHILD 

 これで7本。もう充分なんですが、視聴打ち切り作品が出る可能性もあるので、補欠として「CHAOS;CHILD」。Xbox One用ゲームが原作で、「STEINS:GATE」も含まれる「科学アドベンチャーシリーズ」の一作です。ジャンルはSF+サスペンスホラーだそうです。2015年、渋谷。6年前に起きた大災害「渋谷地震」から復興した街に新設された私立高校「碧朋学園」に通う少年、宮代拓留は、自身が設立した新聞部の活動の一環として「ニュージェネレーションの狂気の再来」と称される連続殺人事件を追っていた…ということで、中二病枠に相応しい感じです。
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