好きな声優さん第5期(その7):安済知佳~ショートカットが似合う麗人声優


 いやあ梅雨明け前というのにアツゥイ!ですね。夏季アニメも続々と開始されていますが、リアル明里パパンが「アホガール」を勧めてきました。リアル明里ちゃんも見ているならば見ずばなるまいと第一話を見たのですが…ヒロインの花畑よしこは想像の斜め上を行くとてつもないアホでした。

容赦なくジャーマン 

 その特大のアホを早大卒のインテリ声優悠木碧が演じています。相方(ツッコミ)の阿久津明は杉田智和。杉田は悠木碧を「こども先生」と呼び、天敵的存在だとしていますが、そのせいかツッコミのキレが凄まじい気がします。まあ本当に仲が悪いわけではないと思いますが、もしはお気に入り声優のやみんが演じていたとしたら同様のツッコミが入れられるかどうか。見かけは可愛い女の子にもの凄い暴力を振るっていますが、よしこは特大のアホだからしょうが無いかなと思ってしまいます。

安済知佳その1 

 本日は一ヶ月にぶりに「好きな声優さん」です。今回は「クズの本懐」でちょいエロ演技とともにその声質が好きになった安済知佳を紹介します。

安済知佳その2 

 安済知佳は1990年12月22日生まれで福井県出身。小学5年生の頃に声優の存在を知り、中学生の時にエイベックス・アーティストアカデミーに応募し入所しました。当初は福井県から東京まで通っていましたが、15歳で単身上京し、籍を置いている福井県の高校に通うため月に1度福井に帰郷するという生活を送っていました。月イチの通学で大丈夫だったんでしょうかね?

御子神ナギサ 

 2009年、テレビアニメ「あにゃまる探偵 キルミンずぅ」のメインキャラクター、御子神ナギサ役でデビューしました。2014年には、テレビアニメ「棺姫のチャイカ」のチャイカ・トラバント役で初主演しています。しかしどちらも見てないんですよね…

チャイカ・トラバント 

 趣味はショッピングと散歩、ゲーム攻略本の熟読だそうで、特技はブラインドタッチとサスペンスの犯人当て、跳び箱のネックスプリング(首跳ね飛び)。福井出身ということで「ちはやふる」では、主要登場人物で福井出身の綿谷新の幼馴染・由宇を演じた他、福井弁の方言指導を担当しました。2013年の「ちはやふる2」及び2016年の実写映画版でも方言指導を務めているという。

クズの女子会 

 安済知佳が井澤詩織と一緒にやっていた「クズの本懐」の番宣ラジオ「クズの女子会」は、内容が大変面白かっただけでなく、声質の素晴らしさを見せつけてくれたなあと思います。そのわりに、私が視聴した役は結構やさぐれていたり、ひねたような声での演技が多く、彼女の魅力に気付かなかったんですが、読めなかった、このリハクの目をもってしても!!

海辺ナナコ 

 それでは私が知っている安済知佳の演じたキャラです。例によっておおむね年代の古い順です。まずは「生徒会役員共」の海辺ナナコ。

海辺ナナコその2 

 三葉ムツミが部長を務める柔道部の部員で、手首を捻挫してドクターストップしたことにより、聖地会長の天草シノが代理で練習試合に出場することになっていました。またインターハイ出場に際しての壮行会では挨拶を担当しましたが、緊張のあまり噛みまくっていました。

由有 

 次に先に話題にした「ちはやふる」の由宇。なんと姓は不明。綿谷新の隣家の女の子で、幼馴染です。千早が見かけはやたら都会的美人なのに対し、いかにも純朴な田舎娘的風貌です。

由宇その2 

 千早に競技カルタを教えた新がカルタを辞めたと聞いて福井まで駆けつけた千早と太一にその理由を説明しました。家が隣で同じ高校(藤岡東高校)に通っていてクラスも一緒。まるで福井の藤崎詩織ですが、この子はいつも一緒に帰ってくれそうです。なお安済知佳は太一の彼女ほか多数の脇役を受け持っています。

高坂麗奈 

 「響け!ユーフォニアム」の高坂麗奈。やっと来た主要にして美人キャラです。担当はトランペットで、パパンがプロの音楽家ということもあって、それに触発されて幼少時からトランペットを吹いていたので部では一番のトランペッターです。同時に一番の美少女かも。

高坂麗奈その2 

 主人公の黄前久美子とは同じ中学で同じく吹奏楽部に所属していましたが、コンクールでダメ金をとった時には悔しさで落涙していた麗奈に、余計な一言を言ったために溝ができていました。高校では一気に親しくなって、もはや百合を疑うレベルに達しています。

百合っぽい二人 

 といっても麗奈ノンケで、吹奏楽部顧問の滝昇を敬っており、滝が赴任するのを知ったことをきっかけに名門校の推薦を蹴って北宇治高校へ入学したほどを選ぶほど愛しています。

レイプ目になった麗奈 

 コンクールを前にした合宿で、滝の大学時代の友人であるフルーティストの新山聡美が指導に来た時は、二人の仲の良さを目の当たりにしてレイプ目になっていました。

中世古香織 
斎藤葵 

 クール美人の見た目とは裏腹に性格には激しい部分があり、喜怒哀楽がかなりはっきりしていてラテン的気質かも。どうでもいい話ですが、お付き合いするなら中世古香織か斎藤葵あたりがお勧めです。はやみんが演じた部長の小笠原晴香はルックスがちょっと残念なので…

千種明日葉その1 

 「クオリディアコード」の千草明日葉。千葉都市の首席でランキングはダントツ1位の天河舞姫に次ぐ2位。兄で次席の霞に作戦立案や出撃準備を丸投げしており、自分は寝転びながら漫画を読んでいることが多いというぐうたらぶりを見せています。

二丁拳銃の明日葉 

 普段は言動がけだるげですが、戦場においては二丁拳銃で縦横無尽に駆け回るトリガーハッピーになります。〈世界〉と呼ばれる特殊能力は物質の運動制御で、銃撃との相性が良く、物体を制止させる形で多用しています。

明日葉と霞 

 霞に対しては普段はぞんざいな扱いをしていますが、本心では大切に思っており、霞を殺害しようとした大國真昼には怒りと殺意を向け、遺体の欠片も残さず焼き尽くしました。

怒りの明日葉 

 ママンは人類軍(「よはねす軍」に改称させられていますが)総司令の千草夜羽。ちなみに「よはねす」は夜羽の仇名です。別れた時が幼かったため、夜羽のことはをほとんど覚えておらず、再会した際には接し方に戸惑っていましたが、夜羽の負傷を契機に自分の母であることを実感していました。

夜羽と明日葉 

 最終決戦では人類を裏切った八重垣青生と交戦。<世界>が使えない状態にされて圧倒されますが、最終的に絞め落として勝利しました。安済知佳にも兄がいて、結構兄ラブなんだそうなので、ぴったりの配役かも知れません。

安楽岡花火 

 「クズの本懐」の安楽岡花火。主人公なんですが、タイトルの「クズ」とは実はクソビッチ先生こと皆川茜だったんではないかと思います。本懐遂げてたし。高校2年で成績優秀で特進クラスに属しています。ひたむきで家庭的な性格。

麦と花火 

 母子家庭で、鐘井鳴海を幼いころからお兄ちゃんと慕っていました。教師として花火の学校に赴任し、しかも担任になって超ラッキーだったんですが、鳴海は茜に恋心を抱き、距離を縮めて行きます。花火は、昔から茜が好きだった粟屋麦と互いに似たところがあるのを感じ、お互いを好きにならないこと、どちらかの恋が実ったら別れること、そしてお互いの身体的な欲求にはどんなときでも受け入れることを条件に付き合っている振りをすることになります。

喘ぐ花火 

 麦とのカップルは周囲から「お似合い」と思われる美男美女同士で、しかも絵鳩早苗からは真剣な百合愛を寄せられています。一見爆発すべきリア充なんですが、本人的には唯一欲しい鳴海が手に入らないという。

花火百合シーン 

 “お互いの身体的な欲求にはどんなときでも受け入れる”という条件の流れで、麦とはいわゆるウッフンシーンが多く、また早苗とも百合シーンが続出。喘ぎまくる花火の声は花澤香菜に似ていたともっぱらの評判でした。確かに声質は似ているけど、ざーさん(と事務所)がこういう役を受けるとはちょっと思えなかったので、最初から違うと思っていましたよ。

勝者と敗者 

 この役を演じるにあたっては、心に期するものがあったと思いますが、演技力の高さをしっかりと見せてくれたと思います。モノローグが非常に多い花火でしたが、その声がとっても綺麗で。

桜と花火 

 色々あった挙げ句、最後は“本物”を探して生きて行こうと決意した花火。なんだかんだ言ってもB止まりだったのでまだ処女。「処女のお通りだよ!!」(by日笠陽子)

緑川真希 

 最後にまだ放送中ですが「サクラクエスト」の緑川真希。東京では小劇団に所属し、2時間ドラマ「おでん探偵気休め事件簿」に脇役で出演したりしていました。しかし芽が出ず、故郷である間野山に戻ってきました。

ログハウスで暮らす真希 

 大学を辞めて芝居の道に進んだことから父と不和で、実家には戻らずログハウスで寝起きしています。間野山では「おでん探偵」としてそこそこ有名ですが、言われるのは好みません(そりゃそうだ)。売れない女優だったせいで数々のバイトを経験しており、裁縫からテントの組み立てまで一通りこなします。そのため町おこしガーズルの中では「ガテン大臣」に任命されます。

由乃と真希 

 当初はかなり斜に構えていましたが、他の4人もそうですが、町おこしに奮闘する間に次第に変わっていきます。後輩女優の澤野萌からはカムバックを期待されていますが、今後どうすることやら。町おこしガールズの活動は、国王である小春由乃の在任期間のみと思われるので、その後は女優に復帰するかも知れませんね。

安済知佳その3

 けだるげ、やさぐれ系女子を演じる機会が多いような気がする安済知佳ですが、地声は花澤香菜系の綺麗な声なので、ぜひ生粋の清純系の役なんかもやって欲しいです。

クズの本懐の脚本を持つ安済知佳 

氷平線:愛しの北海道の“暗黒面”

七夕といえば天の川

 昨日は七夕で、例年梅雨の真っ最中で天気が良くないのですが、今年はわりと良かったような。願うならば、九州の豪雨を半分なりと引き受けたいところなんですが。

氷平線 

 本日は桜木紫乃の「氷平線」を紹介しましょう。桜木紫乃の作品は今回初めて読みましたので、令によって著者紹介からです。

桜木紫乃 

 桜木紫乃は1965年4月19日生まれで北海道釧路市出身。現在は札幌市に隣接する江別市に在住です。中学生の頃に文学に目覚め、高校卒業後に裁判所でタイピストをしていましたが24歳で結婚退職し、専業主婦になりました。2児出産後に小説を書き始め、2002年に本書収録の「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞しました。

ラブレス 

 水平線ならぬ「氷平線」は2007年の短編集で、単行本デビュー作でもあります。2013年に「ラブレス」で第19回島清恋愛文学賞、そして「ホテルローヤル」で第149回直木三十五賞を受賞しました。ちなみにホテルローヤルは父の開業したラブホテルの名前だそうです。

ホテルローヤル 

 ゴールデンボンバーだそうで、直木賞受賞の記者会見ではメンバーの鬼龍院翔が愛用しているタミヤロゴ入りTシャツを着用したそうで、後にラジオ「鬼龍院翔のオールナイトニッポン」で鬼龍院翔と初対面も果たしたそうです。

鬼龍院翔と桜木紫乃 

 作品のほとんどが北海道、特に釧路市近辺を舞台としているということで、直木賞受賞を機に2013年9月25日、釧路市観光大使に任命されています。「新官能派」のキャッチコピーでデビューした、性愛文学の代表的な作家ですが、描写は過激ではなく、人間の本能的な行為としての悲哀に満ちた描き方をしています。

単行本氷平線 

 「氷平線」は2007年11月に文藝春秋から刊行され、2012年4月10日に文春文庫から文庫版が刊行されました。「雪虫が」が2002年の作品なのに単行本が5年も後になって刊行されているのは、文庫版解説によると寡作だった訳ではなく、書いても書いても雑誌に掲載されないという不遇の時代があったからだそうです。本書では冒頭の「雪虫」と「海に帰る」以外は描き下ろしとなっています。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

氷平線の彼方 

 真っ白に海が凍るオホーツク沿岸の町で、静かに再会した男と女の凄冽な愛を描いた表題作、酪農の地を継ぐ者たちの悲しみと希望を牧草匂う交歓の裏に映し出した、オール讀物新人賞受賞作「雪虫」ほか、珠玉の全六編を収録。北の大地に生きる人々の哀歓を圧倒的な迫力で描き出した、著者渾身のデビュー作品集。

札幌大通公園周辺 

 北海道といえば私も2年ほど暮らしまして、すっかり北海道ラブで、札幌ロスに今も尚苦しんでいるところなんですが、桜木紫乃の描いた北海道は、私が見てきたライトサイドとは全く異なるダークサイドです。まあ札幌の集合住宅に短期間住んだリーマン風情には判らない深層を、北海道が秘めているのは当然でしょう。

十勝平野 

 「雪虫」。日高山脈の東の十勝平野の牧場から札幌に出てきて不動産会社を始めた達郎は、高校のクラスメイトだった四季子と深い仲になっていましたが、弟の死により実家を継ぐために四季子が十勝に戻って結婚し、その二年後、達郎もバブルが弾けた影響で破産し、すごすごと実家に戻ったのでした。婿を迎えて人妻となり子供を産んだ四季子ですが、戻ってきた達郎とはまた関係が再会され、要するに不倫関係を続けていましたが、いつまでも結婚しない達郎に業を煮やしたパパンは、女衒と契約してフィリピンからじゃぱゆきさんを迎えます。

根室明治公園のサイロ 

 まるで中学生のようなマリーはろくに日本語も話せず、コミュニケーション不全のままの達郎は再び四季子との不倫関係を再開しますが…。そもそも勝手に嫁取りを進めるなとはねつければいいようなものですが、尾羽打ち枯らしてすごすごと実家に戻った達郎にでかい態度が取れるはずも無く。しかし平成の世になっても女衒とかいるんですね。300万円で買われたマリーが可哀想ですが、まあなんとか関係が深まりそうな希望が生まれたところで終了します。それにしても入り婿とはいえ、四季子の夫がよく黙っているなあと思います。そのうち包丁持ってやって来そう。エッチ描写もありますが、牧草の匂うに満ちていて、不倫なのに官能的というより健康的です。

釧路の霧 

 「霧繭」。釧路の和裁師真紀は、38歳にして師匠である千代野の後継者となります。病に倒れた千代野は、最後の弟子であるやよいを真紀に託します。自分がそうして貰ったように、やよいを一人前にしなければと思う真紀ですが、感情表現が下手同士でぎくしゃくしがちな日々。真紀は釧路の呉服屋「かのこ屋」専属となりましたが、実はかのこ屋の顧客部長山本と関係を持っています。しかし山本はかのこ屋の女将ともつきあっていた過去があり、なおも切れていない様子。仕事と恋と、どっちを選ぶのか?

和裁士 

 仕事をする女性は素敵だなあと思います。特に一流の腕を持っていて充分に自活できる人であればなおさら。あなたに男なんていりませんよと言ってしまっては失礼になるでしょうか。でも和裁にひたむきな真紀は本書で一番素敵に見えます。

牧草を刈る 

 「夏の稜線」。東京から十勝平野の牧場農業実習にやってきた京子は、そのまま牧場に嫁ぎましたが、楽しく過ごしたのは最初の一年だけ。あとは姑のタキやそのいいなりの夫に悩まされる日々を送っています。テンプレな嫁姑問題ではありますが、東京から来た京子は近隣の集落の人々ともうまく打ち解けられていません。いつも「東京者は…」という目で見られ、プライバシーもなにもない生活です。

牧場はのどかだが 

 最初の子が女児だったこともあり、男を産め産めという農家特有の攻撃を受け続ける京子。しかしある日ふと気付きます。東京には実家があることを。本作では京子だけが生粋の北海道人ではない主人公ですが、娘と逃げるのも無理はないかなあと思います。別に北海道の姑がタキみたいなのばかりではないのでしょうけど、一見広大で清々しさすら感じる牧場生活も、一皮剥けばいろいろあるんですねえ。イメージだけで憧れるとえらい目に遭うかも。

釧路市 

 「海に帰る」。師匠の後を継いで釧路で理髪店を始めた圭介。出だしは「霧繭」の真紀みたいですが、圭介はまだ25歳。趣味はコーヒーを入れることと商売物の剃刀や鋏を研ぐことという、極めてエコノミーな若者です。独立開業後、初めての客は水商売の絹子でした。圭介の腕と若さに惹かれたか、頻繁にやってくる絹子と圭介はすぐにわりない仲になりますが…

理容師 

 圭介は若いだけに7歳も年上の絹子の身体に溺れていき、絹子が来ない夜は悶々とするようになっていきますが、絹子も「夜の女」としての生活があり、さらにはどうやら夫がいるようでもあります。美しい年上の女性に翻弄されるというのはある意味男の一つの夢ではありますが…一言だけ言わせて貰えばなぜ避妊しないのだ圭介(笑)。なおラブホテルを開業する前、桜木紫乃の実家は理容室だったそうです。だから理容室の描写はお手の物なのか。

女性歯科医 

 「水の棺」。釧路の歯科医院に勤める良子は35歳。30歳の時に院長の西出にスカウトされ、あれよあれよという間に抱かれて愛人のような関係に。同僚というか部下の形の衛生士達は良子のことをすっかり院長の情婦だと思っています。5年経っても結婚という動きもないまま、閉塞状態の良子は、オホーツクの町で歯医者を募集していることを知り、これまでの関係を清算しようとこれに応募して独立していきます。

冬の摩周湖 

 西出医院は保健のきかない高額治療をしきりに勧める歯医者でしたが、オホーツクでは可能な限り保険診療に努める良子。その良心的な姿勢のせいで人気も上々、患者も良く来て魚介類を差し入れられたりします。そんなある日、連絡もなくやって来た西出は、不健康に痩せていましたが、関係を再燃させることもなく去って行きました。直後、西出が脳梗塞で倒れたという知らせが。高額診療が攻撃され、悪評から火の車になった西出医院は廃業を余儀なくされますが、良子は西出を伴ってオホーツクに向かいます。歯科医院経営にギラギラしていた西出ですが、元愛人にして部下だった女性に養われることをよしとするんでしょうかね?

岩見沢駅 

 「氷平線」。海は通常水平線が見えるわけですが、冬のオホーツク海は流氷が押し寄せるので、水平成ではなく氷平線が見えるのです。貧しい上に人望がない飲んだくれの漁師の息子だった誠一郎は、独学で東大に合格し、卒業後は財務省勤務に。無論キャリア官僚でしょう。数年後、岩見沢の税務署長となった誠一郎は、故郷に錦を飾るわけですが、彼には高校生時代、関係を持った友江という年上を女性がいました。友江は中学生時代に祖父に引き取られてやって来ましたが、そのまま客を取らされるようになり、ずっと売春をやっていると噂をされていました。

さいはての凍土 

 その噂は真実でしたが、再び友江と関係を持った誠一郎は、友江を伴って岩見沢に帰ります。友江と結婚しようと考える誠一郎ですが、愚かな父親は息子が税務署長なのを悪用して脱税指南するとか行って詐欺行為を行っていることが判明。このままでは誠一郎の将来が危ういというところで、姿を消す友江。そして故郷では実家が焼失して遺体が二つ出たという知らせが。うーん、せっかく努力をして出世したのだからここまで悲しい話にしなくてもという気になるのですが…どうも北海道はハッピーエンドよりバッドエンドが似合ってしまうような。一番救いのない話になっています。

釧路ロイヤルイン 

 なお直木賞受賞作「ホテルローヤル」で思い出しましたが、私は釧路に行くたびに泊まっていたのは駅前の「釧路ロイヤルイン」。もちろんラブホテルではなくビジネスホテルですが、とにかく朝食が豪華でした。ついついお腹いっぱいになるまで食べてしまうのでした。

釧路ロイヤルインの朝食 

大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう:女性版「大江戸神仙伝」

福岡で豪雨

 7月に入ったばかりだというのにもう台風の洗礼。空梅雨気味だったところに一気に雨が降りましたが、何事もほどほどというのがいいんですけどね。今日になっても豪雨の福岡や大分では大雨特別警報が出ています。はげしかれとはいのらぬもの。

大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう

 本日は山本巧次の「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」を紹介しましょう。山本巧次の作品は初めて読みましたので、例によって作者紹介から。

 第13回このミス大賞

 山本巧次は1960年生まれで和歌山県出身。中央大学法学部出身で、鉄道会社に勤務。2014年、宝島社の第13回「このミステリーがすごい!」大賞に応募した「八丁堀ミストレス」が最終候補作に残り、大賞は逃したものの、編集部が「賞をとれなくても作品にしたい」という原稿に与える「隠し玉」という宝島社賞(編集部推薦賞)に選ばれました。

チーム・バチスタの栄光 

 「このミステリーがすごい!」大賞は、2002年に宝島社、NEC、メモリーテックの3社が創設したノベルス・コンテストで、大賞に1200万円が、優秀賞に200万円が贈呈されるという金額ではかなり高額な新人文学賞です。「エンターテイメントを第一義の目的とした広義のミステリー」を大賞としており、私が読んだ作品としては海棠尊「チーム・バチスタの栄光」(第4回大賞)、七尾与史「死亡フラグが立ちました」(第8回隠し玉)があります。また「組織犯罪対策課 八神瑛子」シリーズを読んだ深町秋生も「果てしなき渇き」で第3回大賞を受賞しています。なお第13回の大賞は降田天の「女王はかえらない」でした。

死亡フラグが立ちました! 

 「八丁堀ミストレス」は加筆修正後、2015年8月20日に「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」と改題して宝島社文庫より刊行されました。選考委員からは面白さを前選考委員から評価されながらも、話の展開がシリーズ化にふさわしいから、隠し玉として売れ線を狙った方がよいと判断され、“全会一致で隠し玉に決定された”たということですが…別にシリーズ化にふさわしくったって大賞貰ってもいいんじゃないですかね?

女王はかえらない 

 ただしシリーズ化にふさわしいという選考委員の評価は間違いではなく、既に「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」シリーズは「両国橋の御落胤」「千両富くじ根津の夢」と既に3作が刊行されています。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

薬種問屋 

 江戸の両国橋近くに住むおゆうは、老舗の薬種問屋から殺された息子の汚名をそそいでほしいと依頼を受け、同心の伝三郎とともに調査に乗り出す…が彼女の正体はアラサー元OL・関口優佳。家の扉をくぐって江戸と現代で二重生活を送っていたのだ―。優佳は現代科学を駆使し謎を解いていくが、いかにして江戸の人間に真実を伝えるのか…。ふたつの時代を行き来しながら事件の真相に迫る! 

化政文化その1

 ミステリー好きで、そのせか友人達からは女子力が低いと評されてきた関口優佳は、祖母の死に際して秘密を打ち明けられます。何と馬喰町にある祖母の家は、およそ200年前の江戸に繋がっているというのです。祖母はちょくちょく江戸に出かけていたそうです。ぱっとしないOLにも倦んでいた優佳は祖母の家を相続し、OL生活に別れを告げて東京と江戸の二重生活に入ります。

 化政期の文化人

 江戸ではちょうど文政年間。1818~30年というところです。その前の文化年間(1804~18)と合わせて文化文政時代と呼ばれます。江戸を中心に町人文化が発展(化政文化)し、一般に現代に知られる江戸期の町人文化の全盛期にあたります。

大江戸神仙伝 

 私が好きな石川英輔の「大江戸神仙伝」シリーズも、文政5年にタイムスリップする男の話でした。この時代が選ばれるというのも、寛政の改革(1787年)と天保の改革(1841年)の狹間にあって町人文化の最盛期であり、現代に通じる江戸時代のイメージがこの頃に確立したからだろうと思われます。ペリーの来航(1853年)以降は幕末となって騒がしくなりますが、ロシアのレザノフが来たりフェートン号事件が起きたり、無二念打払令が出されたりしているものの、化政期は全般的に平和な時代だったと思われます。第11代将軍家斉が隠居後も大御所として実権を握り、幕府自体は構造疲労が本格化していますが、まだまだ権威は充分でした。

定廻り同心 

 江戸の方から見ると、ちょっと前まで年配の女性が住んでいた気がする仕舞屋に若い女が住みだしたけど、顔が似ているから娘なんだろうという認識で、謎の女には違いないのですが特に悪さをするでも騒ぐでもないので放任されているという。このあたり、「大江戸神仙伝」の受け売りによると江戸は人別帳(宗門人別帳)がかなりしっかりしているはずなので、身請け人がいないと色々厳しいんじゃないかという気もしますが…。

銭形平次は岡っ引き 

 で江戸で「おゆう」になった優佳、元来ミステリー好きなもので八丁堀の定廻り同心・鵜飼伝三郎の捜査に首を突っ込み、なんやかやと役に立ったことで知遇を得ています。今回は鵜飼伝三郎の方から紹介されたということで、薬種問屋藤屋が殺された息子・久之助の汚名をそそいで欲しいと依頼してきました。

南町奉行所跡 

 ちょうどその頃、江戸では薬効がほとんどない偽薬が安く出回っており、南町奉行所の見立てでは久之助が家の薬を横流ししていたのではないかということになっていました。鵜飼伝三郎はこの見立てに反対でしたが、何しろ上司の見立てなのであからさまに反対できず、おゆうに調べさせようという魂胆でした。

ピル 

 いいように使われておかんむりのおゆうですが、実は男前で妻を亡くしている伝三郎には惹かれていて、いつ男女の関係になってもいいと思っていたりしています。避妊のため予めピルも飲んでいる用意周到さ。ということで伝三郎を助け、同時にポイントも稼ごうと捜査に加わります。

両国橋 

 で、このおゆう、完全に江戸暮らしをしている訳ではなく、折々東京にも戻って優佳になっています。東京には高校時代の同級生で理系の分析オタク宇田川がいて、優佳は江戸時代から持ち帰った様々な証拠物件を宇田川に分析・鑑定させて(しかも只で)、その結果を聞いています。現代科学で事件の詳細をつかんでいく訳ですが、それをそのまま江戸の人間に伝えても理解して貰えません。ではどうやって伝三郎達同心や岡っ引き達に捜査の方向性を示唆していくかが、おゆうの腕の見せ所ということにもなります。

スタンガン 

 宇田川をこき使う(ただし宇田川も面白い素材を持ち込んでくる優佳を心待ちにしている模様)一方、おゆうも現代の物品をこっそり持ち込んで捜査に役立てています。スタンガン、双眼鏡、盗聴器、ルミノール試薬…もちろん見つからないように注意を払わなければなりませんし、「床下に潜り込んだ」とか「ちょっとした手妻(手品)だ」とやや苦しい言い訳もするので、くのいちばりに身体を張った捜査をしているのかと伝三郎を不安にさせたりもしています。

ルミノール試薬 

 当初は久之助殺害犯の究明でしたが、容疑者と思われるならず者達が一気に毒殺されたり、事件は二転三転していきます。その結果、事件の全貌は某藩や幕閣中枢にも及びそうな気配が出てきます。事件の解決を目指す傍ら、伝三郎の誘惑にも余念が無いおゆう。江戸では周囲から22、3歳とみられていますが、実際はアラサー。しかも結構性欲が強いらしく、張り込みしながら自慰をしかける始末(おいおい)。なので伝三郎を押し倒しかねない勢いなのですが、いつもいいところで邪魔が入ったり伝三郎が気を変えてしまいます。

懐中電灯 

 実は伝三郎にも秘密があって、なんとこの人も時間遡行者で、実は終戦時に見習い士官だったのが、なぜか江戸時代にタイムスリップしていたという。「大江戸神仙伝」でも現代と江戸時代を意識的に往復することができる転時能力者が他にもいましたっけ。でもおゆうの場合は祖母の自宅がタイムトンネル状態なので、誰でもそこを通れば江戸と東京を自由に行き来出来てしまいます。留守中に誰から迷い込んだりしないものか。

盗聴器 

 「大江戸神仙伝」シリーズを書いた石川英輔は、リアルな江戸社会の描写のために江戸時代を研究し、それが嵩じて江戸時代の生活事情を研究したノンフィクションも刊行するまでになり、堂々たる江戸文化研究者になっていますが、本作の作者の時代考証とかはかなりいい加減です。ま、ラノベと思えば許せますけど。

日本橋 

 いいように便利使いしていたはずの宇田川には江戸時代に行っていることがばれ、伝三郎には自分のように未来から来た女なのではないかと疑惑を持たれているおゆうですが、自分が何かをすることで歴史を変えてしまうのではないかと恐れていたところ、宇田川にお前が江戸に行って色々した結果が現代に繋がっているのではないかと言われ、俄然やる気になってきています。というところでシリーズ化するんですね。江戸の伝三郎、東京の宇田川とそれぞれの時代でラブロマンスを展開ということでもいいんじゃないかと思いますが…それじゃあますます「大江戸神仙伝」だ。

深川万年橋 

 ところでおゆう=優佳、仕事を辞めてどうやって生活しているんでしょうか。祖母の家を継承しても金目のものはなかったろうに。今回謝礼として80両からゲットしたので江戸での暮らしは心配ないですが、東京にも持っていって換金するんでしょうかね。

小判ざくざく 

2017年春季アニメの感想(その2):エロマンガ先生/正解するカド/ソード・オラトリオ/「すかすか」

リング上でアツゥイ!

 本日は久々に30度を超えて真夏日到来。あえて言おう「アツゥイ!」であると。明日はもっと暑いらしいのですが、その後はまた梅雨空に戻る予報が。まあ関東地方ではまだまだ梅雨明けには早いですよね。

エロマンガ先生感想 

 本日は2017年春季アニメの感想の二回目です。三回に分けようかとも思ったのですが、既に夏季アニメも始まっているので一気に終わらせましょう。まずは今季一番人気との呼び声も高い「エロマンガ先生」。

和泉正宗 

 「俺の妹がこんなに可愛いわけがない(俺妹)」に続き兄妹関係を軸とした物語ですが、両親は再婚同士で、父の連れ子である正宗と母の連れ子である紗霧ということなので、「みゆき」を彷彿とさせる義理の兄妹です。「俺妹」では実の兄妹で恋愛するという展開がありましたが、義理なら恋愛でもその先でも問題はないような。

和泉紗霧 

 「俺妹」や「みゆき」と違い正宗は平凡な男子高校生に留まらず、いっぱしのラノベ作家です。そうとは知らずにコンビを組んでいたイラストレーター「エロマンガ先生」が引きこもりの義妹・紗霧であったことに気付き、紗霧愛に満ち満ちた新作「世界で一番可愛い妹」をひっさげて、新進気鋭の作家用のプロジェクト「ラノベ天下一武闘会」に参加し、見事一位を獲得して文庫化に漕ぎ着けました。

正体がばれる紗霧 

 お互いのことが好きなのに、なぜか擦れ違う二人の気持ち。紗霧は引きこもりに加えてコミュ障の気があり、正宗もまた鈍感なのでこの二人の関係だけ見るとかなり鬱陶しいですが、周辺の人物(大半女の子)が加わることで面白さが出てきています。それにしても山田エルフ、千寿ムラマサなど中学生で売れっ子ラノベ作家がたくさんいるというのはスゴイ。将棋の藤井四段、卓球の張本智和など、現実世界にも驚異の中学生がいますが、天才中学生というのがトレンドなんでしょうか。

山田エルフ大先生 
中二病のエルフ先生 
水着のエルフ先生 

 私のお気に入りは山田エルフ大先生。ぶりぶりのロリータファッションで固めたお金持ちで、著作が売れているせいで金があるのかと思っていましたが、実家が大富豪でした。当初はわがままでさぼり魔であることが強調されていてあまり好きではありませんでしたが、正宗に対し好意を抱き、真名(エミリー)を教えたり、料理の腕を披露したりと率直なモーションかけぶりで一気に好きになりました。

エルフ役の高橋未奈美 

 CVは声優界の「たかみな」こと高橋未奈美。「杉田智和のアニゲラ!ディドゥーーン」にゲスト出演した回(2013年11月14日)のテンションの高さや杉田智和からいじられまくる際のリアクションぶり(「やめろやめろ!」「ヘイヘーイ!」など)が非常に面白く、いつか好きな声優さんで取り上げたいと思っていましたが、ようなく演じたキャラも充実してきたので近日紹介できそうです。

ほぼ変質者の紗霧 

 紗霧がなぜ不登校で引きこもりになったのか、再婚したはずの両親はどこに行ったのかなどは謎のままですが、「俺妹」で知られる人気ラノベ作家伏見つかさ原作なので、確実に二期は制作されると思われるので、そこのでの展開に期待しましょう。原作は既刊9巻のところ、一期では3巻までしか使われていないので、即制作可能ではないかと。OPが「俺妹」と同じくClariS、EDが声優ユニットTrySailというのもキャッチーでした。

正解するカド感想 

 続いて後半の急展開に虎将仰天だった「正解するカド KADO:The Right Answer」。異世界ファーストコンタクトものとして始まり、40次元という超高次元世界の存在であるヤハクィザシュニナと外務省のタフネゴシエーター真道幸路朗による交渉という名のコミュニケーションや、もたらされたアイテムをめぐる日本と世界の葛藤といったものを描いていました。

カドのある風景 

 無料かつ無限の電力を供給する「ワム」、寝ないで行動できるようになる「サンサ」、異方(本作では高次元世界をこう呼んでいる)の感覚を得られる「ナノミスハイン」といった、世界の構造を根本から変えてしまう力を持つ異方のアイテムにより変わっていく人類と世界…といったものを描こうとしているのかと思いきや、9話からまさかの急展開。

ホモドラマか 

 人類を異方に連れて行くことが本来の目的だったことを明かすヤハクィさんに対し、もう一人の異方存在・徭(つかい)沙羅花登場。この人、外務省の国際交渉官で、異方側交渉官となった真道幸路朗の相方となる日本側の交渉官であり、登場は早かったのですがただのツンデレ美人だと思っていました。しかし実はこの宇宙の管理者である異方存在で、おそらく地球に生命が誕生して以来この世界に入り込み、いろんな生物に転生し続けていた模様。それにしてはふ、伏線が足りなすぎるような。

魔法少女沙羅花 

 異方とこの宇宙を繋ぐ変換機構でもあるカドにより、高次元世界での能力をほぼ保ってやってきたヤハクィさんに対し、この世界に住むことを選択した沙羅花の方はこの世界へ来るにあたって高次元世界での能力の大半を失っており、ヤハクィさんにまともに対抗することは出来ませんでした。真道と沙羅かはヤハクィさんをなんとかしようと共闘することになりますが。

トキとアミバ 

 本来の目的を明らかにして以降のヤハクィさんは、見事にがっかり存在になってしまいました。例えるなら、8話までがトキだとすれば9話以降はアミバ。もはやヤハクィアミバと呼びたい。「ジャンプ」で「北斗の拳」の連載を読んでいた頃、前号までは明らかにトキだったはずなのに、アミバと判明するやいきなり目付きが怪しくなってトキと似ても似つかぬ姿になったのには笑いました。きっと作画の原哲夫も知らされていなかったに違いない。一説によると、本者のトキのはずだったのに、「伝承者候補をみんな悪役にするのもどうか。トキ良い人だしキャラ変えよう」というようなやり取りが原作者と編集者の間で交わされたとか。

 いい人だったトキ兄さん

 確かにケンシロウとユリアに核シェルターを譲ったエピソードなど、過去のトキはいい人としか思えないので、結果的に偽者で良かったと思うのですが、それにしてもシェルターのBBAめ…。

シェルターのババア 

 核戦争前は、兄であるラオウすら凌いで北斗神拳伝承が確実視されていたトキが被爆して伝承者を諦めましたが、どうみてもこのシェルター、まだまだ人が入れそうです。というかトキとケンシロウがガキを肩車でもすればいいんじゃ。

これくらいなら説得力があった 

 もしこのくらい混み合っていたら仕方がないですけどね(笑)。ヤハクィさんが男キャラだったせいで、真道をめぐる男と女の三角関係みたいになてしまいましたが、ヤハクィさんも女性キャラになっていたらまた違ったかも。真道はノンケみたいだし、沙羅花の色仕掛けにホモじゃ勝ち目はありませんよ。

真道散る 
 
 いや話がそれまくってしまいましたが、ヤハクィアミバさんの話に戻りましょう。真道&沙羅花コンビの暗躍に気付かないお気楽天然なヤハクィさんかと思いきや、実は全て読んでいたという展開はなかなか良かったです。しかし、真道が自身の命をも囮とした最後の切り札には我々もヤハクィさんも驚かざるを得なかった。

ヤハクィアミバさん

 そのトリックはまあ説得力はあるとして、終盤恋する魔法少女みたいになった沙羅花のせいで物語がぶち壊しかよと思っていたら、恋愛モードも必要な流れだったという。しかし…高次元存在が遥かに低次元な人間と恋愛とか可能なんでしょうかね。例えは適当ではないかも知れませんが、まるで人間が昆虫(あるいはそれ以下の生物)と恋愛が可能かと。

ユキカ登場 

 まああれですか、沙羅花は神や悪魔が人間界に介入する際に取る「化身」、或いはゲームにおけるプレイヤーキャラクター、はたまたコンピューターネットワークでの自分の分身であるアバターのようなものなので、恋愛でもそれ以上でも可能ということか。異方存在であることを目をつぶれば若くて美人には違いないので真道もその気になるという。

どんどんアミバかするヤハクィさん 天才のこのオレが~

 ラストには議論があると思います。正直「がっかりだよ!」という人も多いでしょうけど、視聴者を驚かせてくれたという意味では私は「あり」だと思います。それにしても日本政府のあまりもの人材不足ぶりが悲しかったですね。キャラをあんまり増やしては…という意向もあったんでしょうけど、異方存在とのコンタクトなんて超国家レベルの案件を数人だけで回しているし、学者なんか2人しか出てこないし。自衛官に至っては下士官しかいないし。異世界との接触を描いた「GATE 自衛隊 彼の地でにて、斯く戦えり」の方がよほどリアリティがあったなあと思います。

私達結婚しました 
老けた花森 

 それにしても…主人公なのに死んじゃう真道もなんですが、後輩というだけで体感時間で16年もの歳月を犠牲にさせられた花森が哀れですね。26歳だったのに皆の視点で一瞬にして42歳になってしまった。沙羅花、色んな意味でケアしてやれよ。まあ夏目さんでもいいけどNE!

maoさん 

 「ひなこのーと」の桜木ひな子といい本作のヒロイン徭沙羅花といい、M・A・Oは美人キャラにはまりまくっていますね。もはや立派なヒロイン声優だ。「つぐもも」の金山さんはまあちょっとアレでしたが(笑)。

ソードオラトリオ感想 

 お次は「ソード・オラトリオ」。2015年春季アニメ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(ダンまち)」の外伝です。

ヴァレン某 

 正直当初はそれより「ダンまち」二期をはよ、と思っていましたが、見て見ればこっちも面白かったです。「ダンまち」のストーリー展開に対応していて、同じ事件を別の視点で眺めたり、一方その頃にはこういう事が起きていたということがわかったりして。

アイズとレフィーヤ 

 「ダンまち」では駆け出し冒険者ベル・クラネルと彼が所属する弱小のヘスティア・ファミリアを中心に描いていたのに対し、本作では剣姫アイズ・バレンシュタインと、彼女が所属する迷宮都市オラリオで屈指の実力を持つロキ・ファミリアが中心となっています。もっともアイズよりはアイズに憧れるエルフの新人魔導士レフィーヤが主人公格となっていますがね。

神無月の巫女 

 アイズをめぐってベルとレフィーヤが三角関係になるという「カド」的展開もありましたが、だから同性はこういう場合(ry。でも百合なら勝利してもいいかなと思ったりして。そういう作品もありますしね「神無月の巫女」とか…

ロキファミリア勢揃い 

 実力者揃いのロキ・ファミリアなので、狂言回しには未熟者が欲しいということでレフィーヤが選ばれたようですが、この人を見る度に「艦これ」の重巡洋艦(航空巡洋艦)熊野を思い出します。髪の色といい髪型といいクリソツだと思うのですが。

レフィーヤカード レフィーヤに似ている熊野

 ダンジョン59階層での「穢れた精霊の分身(デミ・スピリット)」とのバトルはなかなか熱くて良かったですね。美声で知られる大原さやかにあえて悪役をやらせているところといい、練達ファミリアらしいコンビネーションといい。

精霊の分身 

 本作では神々が1000年前から下界に降臨してきており、刺激に満ちた下界暮らしを堪能していますが、本来不変不滅の超越存在にも関わらず、下界ではではごく一部を除いて神の力を使うことが禁じられ、人間並みの能力にデチューンされているほか、怪我も病気もするし死ぬこともあるという。もっとも死ぬとしても天界への強制送還に過ぎませんが、そうなると二度と下界に降りられないそうなので、人間にとっては死んだも同然か。

ロキ・ファミリア決戦態勢 

 その神々でさえ全貌は知らない迷宮(ダンジョン)。では何者が作ったんでしょうかね。神々が降臨する前から存在し、モンスターが出現していたようです。冒険者は神の恩恵を得てモンスターと戦い、ステータスを上昇させてレベルアップを狙いますが、本作でのレベルアップは「クラスチェンジ」に近く、レベルが1上がると大幅な能力向上となります。オラリオはレベルアップに最適なダンジョンがあるのでレベル6、レベル7という冒険者が存在していますが、オラリオ以外ではレベルアップは非常に困難で、オラリオ外の冒険者はLv.3に到達できれば飛びぬけた存在と見做されるようです。

夜のロキ・ファミリア 

 となると、この世界自体、RPG好きな人が妄想した世界のような気がするんですが。そういう世界自体の謎には迫ったりするのでしょうか。ともあれ「ダンまち」共々二期の早期制作を期待したいですね。あと様々な神が登場しますが、いっそクトゥルー系とかもどうですかね。邪神ばっかじゃねーかと思われるでしょうが、本来ロキだって結構…ねえ。

すかすか感想 

 最後に「終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?(すかすか)」。まるでLINE乗っ取り詐欺みたいなタイトルの面白さに惹かれて視聴しましたが、私はこれを今季のナンバー1としたいです。多分大方の同意は得られないでしょうけど、でもそんなの関係ねえ!(古い)

ナイグラート 

 人間以外に様々なデミヒューマンが存在するこの世界では、正体不明の怪物である〈獣〉が地上を支配しており、人間をはじめ多くの種族が滅亡してしまっています。かろうじて生き残ったデミヒューマンは地上を離れ、浮遊大陸群(レグル・エレ)と呼ばれる空飛ぶ群島の上に暮らしています。 

ヴィレム 

 主人公ヴィレム・クメシュは、500年前に人間を滅ぼすことを決めた星神やその配下である地神達と戦う準勇者であり、彼自身は地神の一柱である黒燭公(イーボンキャンドル)と戦い、使用した禁呪の副作用で石化していましたが、探検隊(サルベージャー)たちに発見され、石化治療を受けて500年ぶりに目を覚ましましたが、自分が暮らしていた世界も守りたいと願った人々も既に失われていたと知って絶望します。

ヴィレムに貰った帽子 

 生きる目的を失って自棄になっていたヴィレムは、町でクトリという娘と出会います。浮遊大陸群では人間や人間に近いデミヒューマンは「徴なし」と呼ばれて蔑視される傾向があります。これは人間が〈獣〉を放って地上を失った元凶とみなされているからですが、可哀想なのでクトリのために頭を隠す帽子を買ってやることに。

グリック 

 その後、ヴィレムは、彼を救出したサルベージャーの一人で緑鬼族(ボーグル)のグリックの紹介で、妖精倉庫で兵器管理の仕事をすることになります。かつて正規勇者を目指していたヴィレムは、かつて地上に存在したほとんどすべての武器武芸に精通し、〈獣〉に唯一対抗できる武器である聖剣(今では製法が忘れられ、地上から発掘するしかないので「遺跡兵装(ダグウェポン)」と呼ばれています)の本来の扱い方や調整法を知っているので、適当かと思われましたが…

妖精倉庫 

 実は兵器とは、〈獣〉の脅威から浮遊大陸群を守るべく聖剣を振るい、最後には自爆することを運命付けられている使い捨て同然の妖精兵のことでした。黄金妖精(レプラカーン)と呼ばれる妖精兵は、少女ばかりで、クトリもその一員でした。

戦うクトリ 

 クトリは予知された〈獣〉から浮遊島を守るべく、自爆(“妖精郷の門を開く”と表現される)することを決定されていましたが、それを知ったヴィレムは、クトリを始め妖精兵たちを救うため、いま自分にできることを探し始めます──

大賢者スウォン 

 かつてヴィレムと共に戦ったスウォンは自らに呪詛を施すことで不死者となり、今では大賢者と呼ばれています。そしてヴィレムの仇敵で復活した黒燭公(イーボンキャンドル)と共に、浮遊大陸群を作り、妖精兵をも生みだしました。ヴィレムには伝えませんでしたが、実は黄金妖精は厳密には生きているとは言えない死霊の一種で、自分の死を認識できないほどの幼さで死んでしまった魂から生まれた存在でした。そのため生への執着が薄く死を怖れない傾向があり、また前世である幼子の記憶が徐々に蘇る一方、現在の人格の記憶が徐々に失われていくと「前世の浸食」という宿業を抱えています。

スウォンとイーボンキャンドル 

 黄金妖精が人間にしか扱うことのできなかった聖剣を振るうことが出来るのは、人間の前世を持っているからで、浮遊大陸群では〈獣〉の脅威に対抗しうる唯一の兵器と見なされており、彼女達もそれを自覚していますが、クトリの場合、ヴィレムが聖剣の正しい扱い方と自分の命を犠牲にせずとも事態を打開できる可能性があることを示したことで自爆しなくても良くなり、次第に彼に惹かれていくことになります。

壊れたクトリ 

 が、もう一つの宿業である「前世の浸食」からは逃れられず、クトリの場合は青い髪に赤色が混ざることで端的に示されていました。一度は人格が崩壊してしまいましたが、奇跡的な復活を遂げ、もはや黄金妖精ではなくなったと見なされました。しかし「前世の浸食」は止まらず、クトリはいつか自分が消えてしまうことを覚りますが、それでもヴィレムとの“今”を生きることに幸せを感じて…

クトリを抱きしめるヴィレム 

 クトリは最強の聖剣とされるセニオリスの適合者で、髪が赤くなっていくことからヴィレムの兄妹弟子で正規勇者にしてセニオリスの所持者であったリーリァの魂を持っているのかと思いましたが、実はリーリァが命を賭して戦った星神エルク・ハルクステンで、本来不滅の存在なのですが、あらゆるものに「死」の呪詛を刻むことができるというセニオリスによって「死」の呪詛を刻み込まれたので、永い眠りについています。クトリがセニオリスに適合したのは、前世が所持者だったからではなく、被害者だったからという。

赤くなった髪が血みどろに見えるクトリ 

 劇中の様々な示唆から、〈獣〉は人間が姿を変えたものであることがヴィレムにも判ってきます。決定的なのは、10話で妖精兵のノフトが使用していた聖剣デスペラティオが同族だけを殺すことに特化した剣、すなわちつまり人間が人間を殺すことにしか使えない剣であることが判明した時でしょう。ノフトは黄金妖精ですが前世持ちだからいいとして、つまり〈獣〉は…

獣の皆さん 

 そもそもOPといい、開始直後から終末感とか悲劇感が漂っていた本作、黄金妖精の正体が正体だけにラストが悲しいものになるだろうことは予測できたのですが、10話ラストでヴィレムがクトリにプロポーズしたところで最終回にしたかった。

ダイナミックおやすみなさい 
星神エルク 

 ヴィレムやリーリァは人間を救うために星神や地神と戦いましたが、そもそも世界を壊そうとしていたのは人間の方で、それを防ぐために地神が人間を滅ぼそうとしたという。しかしリーリァが星神を倒したことで人間を止めるものがいなくなり、人間達は獣へと変わって全てを滅ぼしたという酷い真相もなかなか来てますが。

戦うレン 
限界を超えたネフレン 

 地上調査隊の救助に来たする飛空挺が〈獣〉に襲撃され、妖精兵は奮戦しますが最年少のネフレンは限界を超えてしまいます。もう自爆が不可避ということでヴィレムの手をふりほどいて落下するネフレンですが、それを追うヴィレム。

ネフレンと心中か 

 そしてほぼ真っ赤に染まった髪で目覚めたクトリもまた飛空挺を飛び降り、ヴィレムとネフレンを無事着地させると〈獣〉の群に向かいます。

目覚めたクトリ 
クトリ無双 

 「今の私は誰が何と言おうと、世界一幸せな女の子だ!」と思いながら、ノフトの聖剣で無双をした挙げ句、〈獣〉の触手に貫かれまくるクトリ。妖精郷の門を開いて周辺の〈獣〉を道連れにヴィレムの目の前で消滅してしまいます。

串刺しクトリ 妖精郷の門を開く

 妖精兵の所属する護翼軍では二人の遺影が飾られています。ネフレンも助からなかったのか…。何気にすごくいい子だったので多分死ぬだろうなと予感させていたクトリよりもショックかも。

二人の遺影 
鼓動探知 

 し、しかしですね!大賢者スウォンの鼓動探知に二つの反応があったんですよ。ということはヴィレムとネフレンなんじゃ。

クトリ誕生 
クトリの生まれ変わりか 

 そして新たに出現した黄金妖精の赤ちゃん。青い髪のこの子はもしやクトリの生まれ変わりでは。……いや、クトリが生まれたときの、つまり過去の映像なのかな。二人の女の子も見ない顔だし。

クトリの回想の先輩妖精兵 

 そういえばチビクトリが慕っていた先輩妖精兵が似ている様な気がします。やっぱり過去かぁ。でも「世界で一番幸せな女の子」と心の底から確信して逝ったのだから彼女自身としてはいいんでしょう。「すかすか」原作3巻でのクトリの表情がそれを物語っているような。それでも見ているこちらはやはり悲しいのですが。

牙を見せるナイグラート 

 私の好きなキャラ。クトリは別格としてまずはナイグラート。この人も「徴なし」ですが人間ではなくトロール。「喰人鬼」と書いてトロール。かつてはヴィレムを救出したサルベージャーの一員で、今は妖精倉庫で黄金妖精の管理人をしています。可憐な姿だし少女趣味の服装だし声はお姉ちゃんだしもう最高。最終回では髪を切ったんですね。

素敵ナイグラートさん 

 きっこさんにはこういう役をもっともっとやって欲しいんですよね。クトリが恋のライバル視していたのも当然ですが、ナイグラート自身、さらっと告ってましたから、クトリの危惧は決して絵空事ではなかった。

イカ娘風ラーン 

 続いて8話から登場のラーントルク。通称ラーン。14歳。本好きで理知的な性格で考えごとに熱中すると周囲が見えなくなることがよくあります。妖精兵きってのインテリですが、頭がイカ娘風。

ラーントルクとクトリ 

 クトリ(15歳)より年下ですが知的なせいか大人びています。知識が豊富なせいで人間の悪行についてもよくご存知。故にヴィレムにはきつく当たります。ツンデレのデレ抜き。

堕ちたラーン 

 ヴィレムのマッサージでイカされるシーンは最高ですね。お高く止まった娘ほど堕ちるのは早いという。その色っぽさはヴィレムにも伝わったらしく、ネフレン曰く「邪念を感じる」。クトリもちょいおこになってましたが、彼女(クトリ)の見ている前で別の女(ラーン)を(マッサージで)イカせるというのはどういうプレイなのか。

荒浪和沙 

 CVは荒浪和沙。プロフィールみたらやたら美人の画像があってびっくりしました。 

ヴィレムとレン 

 そしてヴィレムのペット要員ネフレン。通称レン。13歳ですが成体妖精兵扱いとなっています。無口無表情ですが気遣いができる性格で、他者の心や痛みに敏感です。

毛布になるネフレン 

 ヴィレムとは相性がいいようで、レン曰く「放っておくと壊れそうだから」ということで、何かと彼の傍に居ようとします。時には毛布代わりになって一緒に寝てたりして、ほぼ猫かなにかみたいです。最終回、ヴィレムは我が身を犠牲にしてもレンを救おうとしていたので、彼もレンのことをとても大事に思っていたようです。

ドレスアップネフレン 

 もしかしたら言うところの「バブみ」があるキャラではないかと。体力がなくスピード型なので、飛行しての戦いが得意ですが、最終盤では飛べない飛空艇内部での戦いを余儀なくされ、限界を超えて魔力を使ってしまい、前世の浸食も進行して自爆寸前に。

瞳が黒くなるレン

 最後の最後にクトリが手をかざしたらレンの瞳が赤から黒に戻っていたので、クトリが救ったと思いたい。だからヴィレムと共に実は生存しており、それが鼓動探知の二つの反応ではないかと。そうじゃないと悲しすぎる。

上原あかり 
ワシミミズクの助手 

 CVは上原あかり。「けものフレンズ」で助手ことワシミミズクをやっていた人です。この人も可愛いですね。

アルマリア 

 ラストに出番があまりにも少なかったアルマリア。500年前のヴィレムの彼女的存在ですが、おそらくヴィレムが保護していた孤児院のお姉さん的存在。CV佐藤聡美の優しい声はルックスにドはまりしていました。もっとしゃべって欲しかった…

クトリマッサージ 

万能鑑定士Qの事件簿Ⅱ:「力士シール」に隠された驚愕の真相とは

七月ですなあ

 7月に入ってしまいました。2017年という年が既に半分消え去ってしまったという現実に驚くばかりです。なんという時の流れの速さよ。

万能鑑定士Qの事件簿Ⅱ 

 本日は水曜日の記事の続編、松岡圭祐の「万能鑑定士Qの事件簿Ⅱ」を紹介します。一つの物語の前後編ということになり、日本の襲った真贋鑑定不能な偽札によるハイパーインフレ事件が解決します。

 前編「万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ」はヒロイン凜田莉子が「万能鑑定士Q」の看板を掲げるまでと、週刊角川の編集者小笠原悠斗が持ち込んだ「力士シール」の鑑定、そしてひょんなことから嗅ぎ付けた犯罪計画の未然阻止と、それが日本をジンバブエ化してしまうハイパーインフレを引き起こしたということころまで描かれていました。

ハイパーインフレ発生 

 本書では持ち前のロジカルシンキングを発揮した偽札の製造元が沖縄にあると睨んだ莉子が、有り金を叩いて沖縄行きの飛行機に乗り、家族の協力も得て真相究明に乗り出します。片や東京で独自に探索に動いていた小笠原悠斗はストーカー容疑で拘束(笑)。一方、莉子の知人で早稲田大学理工学部准教授の氷室拓真は、当選しているはずなのに銀行で門前払いされた宝くじの鑑定を莉子から受けようとしていた女性と出会います。これが真相究明の決め手になるとは誰も気付かなかったでしょう。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

 『週刊角川』記者・小笠原は途方に暮れていた。わずか2日で、コンビニの弁当は数千円から数万円に、JRのひと区間は九千円以上になり、いくら金があっても足りないのだ。従来のあらゆる鑑定をクリアした偽札が現れ、ハイパーインフレに陥ってしまった日本。だが、まだ万能鑑定士・凜田莉子の鑑定がある! パーフェクトな偽札の謎を暴き、未曾有の危機から国家を救うことができるのか!? 書き下ろし「Qシリーズ」第2弾!

知の宝庫莉子 

 突如として出現した精巧な偽札により、金融市場で完全に信用を失った日本は一気にハイパーインフレに陥ります。当初は莉子が不法侵入を未然に防いだせいかとも思われましたが、結果的には全く関係ありませんでした。

竹富島 

 莉子の鑑定や氷室の科学的分析を以てしても真贋の見分けがつかない偽札。その鍵は沖縄にあると睨んだ莉子は苦労の末実家のある波照間島に戻りました。地元の知人が竹富島に怪しい男がいるという情報をもたらし、莉子は駐在さんと共に向かいます。 

八重山諸島地図 

 竹富島は石垣島のすぐ傍ですが、波照間島からはやや遠いですね。通常ならどうということはない距離ですが、なにしろハイパーインフレにより漁船のガソリン代も馬鹿にならなくなっています。伝手を求めてなんとかガソリンを入手して向かった先には怪しい男と印刷機が。おっかなびっくりで腰が引けながらも勇気を振り絞って向かって行く莉子が可愛いです。「さすが美由紀様です!」と言いたくなる「千里眼シリーズ」の万能ヒーロー岬美由紀よりも、私は凜田莉子のファンです。正直岬美由紀にはYOU、西村寿行流ハードロマンの餌食になっちまえYO!とか思ってしまうのですが、莉子には無事でいて欲しいし、なにか手伝ってあげたいという気になります。
西表島 

 結局は全くの空振りでしたが、今度は西表島に不審な兄弟がいたという話を聞きつけ、西表島に向かう莉子。こっちで調べた謝花兄弟は、なんと力士シールの制作者らしいことが判明しますが、やはり偽札作りとは関係ないようです。ロジカルシンキングを駆使しながら外しまくる莉子がドジ可愛くていいですね。

アンニュイ莉子ちゃん 

 何の収穫もなく東京に戻った莉子は、小笠原の釈放(この人も空振りしまくっていた)に一役買って事務所に戻ったところで氷室に出会います。そして当選しているのに銀行が受け付けてくれない宝くじの話を聞き、一挙に真相に辿り着くことになります。

 「力士シール」は偽札と無関係ではなく、「力士シール」で実証したことを偽札で実行したという流れになっています。それでは何者が何のために犯行を行ったのかということですが、真実は莉子にとって非常に苦いものとなりました。

山ほど力士シール 

 莉子や氷室を以てしても真贋の区別がつかなかったのも当然。実は偽札は偽札ではなかったのでした。もちろん偽札に見えるようなトリックはありましたが、そこに気付いて集中的に調べないと判明しないものでした。そしてハイパーインフレは実際のところ、枯れ尾花に驚いて自ら尻餅をついたようなものだったのでした。真相が判って急速に収束することでしょう。

 犯人にも犯人なりに動機というか理由はあったのですが、それが引き起こした混乱を考えるととても正当化はできないでしょうね。「Qシリーズ」は「人が死なないミステリ」を標榜しているし、実際莉子が死体に遭遇することもないのですが、この混乱ではヒャッハーになった暴徒によって殺傷事件とかも起きてそうですし、ハイパーインフレによって診療を受けたり薬を買ったりすることが出来なかった人も多数いたと思われます。見えていないところでどれだけの人が迷惑を被ったか…

ジンバブエの位置 

 なおハイパーインフレというえばジンバブエという印象があり、本書でもジンバブエ化という表現が使われています。ジンバブエでのハイパーインフレは2000年に発生。ムガベ大統領が内戦状態になったコンゴに派兵したことで経済や医療、教育などが悪化したのに対し、大統領が批判を避ける目的で白人農場を強制収用したことで、白人地主が持っていた農業技術が失われ、第二次大戦後で世界最悪となるジンバブエ・ドルのハイパーインフレが発生しました。

ジンバブエの恐怖 

 1980年に導入されたジンバブエ・ドルは、当初はアメリカ・ドルより価値が高いものでしたが、ムガベ政権の経済政策の失政から急速に通貨価値が無くなりました。新ドルを発行したりデノミを実行したりしましたがハイパーインフレは収束せず、2008年にはなんと5000億%という破天荒なハイパーインフレが発生しました。牛乳500mlで600億ジンバブエ・ドルとかパン1斤に3000億ジンバブエ・ドルなどということになり、これに対応して超高額紙幣が次々に刷られ、最終的には100兆ドルまで登場しました。

ジンバブエの100兆ドル札 

 ジンバブエ政府は2009年にジンバブエ・ドルを実質的に放棄し、2015年に公式に廃止しました。現在国内では、米ドルや南アフリカの通貨ランドなどを含めた多通貨システムを採用し、超インフレは改善しているそうですが…

5億ディナール 

 かつて私が住んでいたユーゴスラビア社会主義連邦共和国も、構成国が次々と分離独立して国連から経済制裁を受けた1990~1994年頃にハイパーインフレーションが発生しました。私が住んでいた頃はまだ落ち着いていましたが、午前と午後で桁が違ったとかいう昔話は良く聞きました。そのため国民は自国通貨を信用せず、外貨(米ドルとか独マルク)を好む姿勢は長く続いていました。私も家賃は米ドル、メイド(といっても限りなくお婆さんに近いおばさん)への報酬は独マルクで払っていました。

水商売の意味もわからず 

 現在は最強通貨と言われる円ですが、自国通貨が信用できなるなんて日が来なけりゃいいですね…。それはともかく、凜田莉子はいいですね。利他的なキャラは松岡圭祐に多いですが、美人だから黙ってると神秘的ではあっても、実際は心が純粋で天真爛漫で。沖縄時代のお馬鹿キャラは、まるで「アルジャーノンに花束」の手術前のチャーリィみたい(いやそこまでではないけど)ですが、莉子の場合は自分に適した勉強法を見いだしたことと、あとは努力の賜物なので元に戻ることはありません。

上京を誓う莉子 

万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ:素敵ヒロイン凜田莉子登場

雨を見つめる黒猫

 いかにも梅雨らしい一日でした。鬱陶しいですが、こういう日も一年の間には必要なんでしょう。7月に入る土曜日あたりから暑くなりそうですね。今年の夏は厳しい予感が…

万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ

 本日はここのところよく読む松岡圭祐の「万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ」を紹介しましょう。松岡圭祐は人気シリーズ物が多いですが、「Qシリーズ」は2010年から始まった比較的新しいシリーズで、「催眠」や「千里眼」でくどいほど言及されていた催眠に関する話は一切登場しません。

 「Qシリーズ」は第一部「万能鑑定士Qの事件簿」(全12巻)、第二部「万能鑑定士Qの推理劇」(全4巻)、短篇集「万能鑑定士Qの短編集」(既刊2巻)が刊行されています。「Qシリーズ」は「千里眼シリーズ」とともに松岡圭祐の双璧シリーズと思われます。

凜田莉子 

 キャッチフレーズは「面白くて知恵がつく 人の死なないミステリ」で、その通りシリーズを通し一件も殺人事件がなく、物語中では自然死も描かれません。私立探偵や刑事でないフリーランスの職業の、若く美人だが天然系の女性が広範な知識を武器に、少々頼りない男性助手と共に「人の死なないミステリ」を解決していきつつ、恋模様も描かれるというライトミステリ・シリーズで、三上延の「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズや西尾維新の「掟上今日子の備忘録」シリーズ等の先駆けとも言われています。

 実は「万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ」は、シリーズのプロローグであり、さあこれからが大変だというところで終わっており、事件の結末は次巻「万能鑑定士Qの事件簿Ⅱ」に持ち越されているのですが、これまで読んでいるとブログ記事に間に合わないので、一応一冊は読んだと言うことで強行紹介してしまいます。

貼られている力士シール

 「万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ」は2010年4月25日に角川文庫書き下ろしで刊行されました。その後の刊行は極めてハイペースで、第一部「万能鑑定士Qの事件簿」全12巻が2011年10月までに連続刊行されています。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

波照間島
 
 東京23区を侵食していく不気味な“力士シール”。誰が、何のために貼ったのか? 謎を追う若き週刊誌記者・小笠原は、猫のように鋭く魅惑的な瞳を持つ美女と出会う。凜田莉子、23歳──瞬時に万物の真価・真贋・真相を見破る「万能鑑定士」だ。信じられないほどの天然キャラで劣等生だった莉子は、いつどこで広範な専門知識と観察眼を身につけたのか。稀代の頭脳派ヒロインが日本を変える!書き下ろしシリーズ第1弾!!

波照間島周辺図
 
 ヒロインは凜田莉子。出身地は波照間島。九州から遥か南西にある沖縄県ですが、沖縄本島からさらに南西にある石垣島を中心とする八重山諸島の一島で、人口は490人。有人島として日本最南端の島であるとともに、民間人が日常的に訪問できる日本最南端の地でもあります。沖縄本島よりも台湾の方がずっと近いという。

波照間島地図 

 上京して5年、23歳にして万能鑑定士という凄まじい肩書きを持ち、警察や大学などにも知己を持つ凜田莉子は、相方となる「週刊角川」編集部の小笠原悠斗と出会いました。緩いウェーブのロングヘア、猫のように大きく円らな瞳を持ち、モデルのように長い手足を持つ掛け値なしの美人である莉子は、悠斗の目の前で他の依頼人による絵画の真贋鑑定を一発で、かつぐうの音もでないほど論理的に行ってその実力を見せつけます。莉子の事をよほどの大学を出た天才的慧眼の持ち主と思う悠斗ですが、ところがぎっちょんちょん。

 JK時代の莉子その2

 石垣島の高校に通っていた莉子さん、もちろん美少女JKではありましたが、体育や音楽・美術を除いてオール1という万年最下位の凄まじい劣等生だったのでした。美貌とは裏腹に天真爛漫で明るく素直で、担任の先生も卒業を含めてその行く末を心から心配しているという状態でしたが、本人はあっけらかんとコネも伝手もないままに上京すると言います。

JK時代の莉子その1 

 実は慢性的な水不足に悩む故郷の波照間島の生活環境をなんとかしたいという高邁な夢を持っており、純粋かつ真摯な莉子の姿勢に打たれた先生は、おそらく莉子の高校卒業に多大な貢献をなしたと思われ、晴れて莉子は18歳にして上京することができました。中野の三畳一間のボロアパートという、「SHIROBAKO」の新人アニメーター安原絵麻以下の住環境に甘んじながら(まさに掃き溜めに鶴)就職活動を行いますが、なにしろ一般常識も知識のないため大難航することになります。

絵麻ちゃんのアパート 
 
 上京後一ヶ月で、家賃すらままならないほど困窮することになった莉子は、不要品を売ろうとリサイクルショップを訪れます。そこの社長瀬戸内陸は、かつて牧師になって孤児院をやろうと思った人物ですが、そのためにまず財をなそうとリサイクルショップを始めたものの、人助けに追われて経営も火の車という人物でした。が、莉子にとってはまさに神様。困窮する莉子の話を聞いて援助してくれたばかりでなく、莉子に合った勉強法を伝授してくれたのでした。

瀬戸内陸 

 実は莉子、非常に感性豊かで音楽や絵画・小説にのめり込むと他の事を全て忘れて感動するタイプでした。そういう人が勉強のために淡々とクールに教科書を読むというのがそもそも間違っていたということで、まずは感性にフィットしやすい歴史や国語から攻略し、以後理数系などでも勉強法を伝授されたことで、「賢く」なることに成功します。というか莉子は本来とても賢い子だったのですが、彼女に相応しい勉強法を教えて貰えていなかったのですね。

凜田莉子と小笠原悠斗 

 あらゆる商品カタログを高速で読み込み、しかも忘れないという特異な才能を発揮しだした莉子はリサイクルショップで働き始め、鑑定士に必要な知識を身に付けていきますが、莉子が20歳になった頃、いよいよリサイクルショップの経営が危うくなり、瀬戸内は独立を勧めます。

 そして飯田橋の神田川沿いにある雑居ビル1階に、「万能鑑定士Q」の店を構える莉子。「万能鑑定士Q」の名称は瀬戸内が付けたもので、「Q」はクイーンを意味するそうですが、そのネーミングセンスは天然の莉子さえドン引くかせ、以後「Q」の意味を聞かれる度にとぼけるようになっています。なお莉子は特別な資格を持っているわけではなく、「鑑定士」はあくまで屋号ですが、絵画、骨董、宝石、ブランドは勿論、漫画や映画など広いジャンルの事柄について即座に鑑定するだけの知識、能力を有しているほか、高度な論理的思考(ロジカル・シンキング)法を駆使します。

 小笠原悠斗

 で、そうした莉子が「万能鑑定士Q」を開業するまでの過去が描かれつつ、現在小笠原悠斗が持ち込んでいる鑑定ネタが入っていきます。悠斗は編集長から最近あちこちに貼られている謎の「力士シール」の謎を追うことを命じられており、その鑑定を莉子に依頼しようとしていたのでした。

カオスチャイルドの力士シール 

 「力士シール」とな!?それは冬季アニメ「CHAOS;CHILD」に登場した不気味なアレか!「CHAOS;CHILD」では猟奇的な事件(ニュージェネレーションの狂気の再来)の現場付近に多数の力士シールが貼られているのが確認されていました。この「力士シール」、私はてっきり「CHAOS;CHILD」のオリジナル設定だと思っていたのですが…なんと実在していたのでした。

傷だらけの力士シール

 「力士シール」は、2008年頃から東京都内の壁や電柱、ガードレールなどの至るところに大量に貼られ始めたという、謎のシールで、力士の顔を二つ繋げたようなデザインをしていることから「力士シール」と呼ばれるようになりました。シールの枚数が数百枚と大量に見つかっていますが、シールの制作者が誰なのか、貼っている目的が何なのかが一切不明なことなどから、インターネット上では様々な憶測が飛び交ったそうです。き、気付かなかった…このリハクの目をもってしても(いやリハクだからだ)。

このリハクの目をもってしても(いやリハクだからだ) 

 サイズやデザインは複数のバリエーションがあり、ネットでは「海外の犯罪グループによる、薬物取引の目印説」「カルト組織による、何らかの暗号・記号説」「カラーギャングによる、縄張り争い説」などの憶測がなされていたそうです。いやあ知らなかったなあ。
 
 作中での「力士シール」は、莉子の鑑定により二種類のバリエーションがあること、描き手が異なることが判明しましたが、知り合いの早稲田大学准教授に依頼した科学的分析によると、前後関係はなく同時に描かれたもので、しかもスタンプを押すように瞬時に描かれたものであることが明らかになります。

ヒャッハーさん達 

 さあそしてどうなると注目される「力士シール」の顛末ですが、実はそれどころではない事態が勃発します。莉子と悠斗が出会って数日後、日本を未曾有のハイパーインフレが襲い、町はヒャッハーな暴徒が暴れている始末。かつての日本の姿はもうどこにもありません。どうやらそれは、莉子が察知して警察に知らせた不法侵入事件を関係があるようなのですが、その概要については明らかにされていません。しかし混乱の中、莉子は故郷である波照間島に帰ろうとしています。単なる郷愁ではなく、彼女なりの思惑があるようなのですが…以下続巻となっています。

マンガ版万能鑑定士Qの事件簿 

 「千里眼シリーズ」の岬美由紀がスーパーウーマン過ぎて「さすおに」的な気分になってちょっと辟易しましたが、凜田莉子はいいですね。スゴイ美女ですけど、感受性が強くて涙もろいし、JK時代の天真爛漫さを持ち続けています。特別タフでもないので、ヒャッハーな環境に置いておいては危ないのですが、何しろシリーズが「人が死なないミステリ」なので、雌奴隷にされたりといった西村寿行的展開はないでしょう。莉子ちゃんには「そのままの君でいて」と思ってしまいます。

2017年春季アニメの感想(その1):つぐもも/クロックワーク・プラネット/ひなこのーと

ガクアジサイ

 気温はそれほどでもないですが、やたら湿度が高くてムシアツゥイ!ですね。こういう時に楚々とした風情のあるガクアジサイを見ると気分が少し晴れます。普通のアジサイの原種がガクアジサイだそうですが、日本原産ってスゴイですね。日本から中国、そしてヨーロッパに伝わっていったという。

つぐももその1 

 春季アニメが続々と最終回を迎えているので、本日はその感想をば。まずは「つぐもも」。土地神・くくりから怪異を調伏する「すそはらい」の任を命じられた加賀見一也と、一也をやたら振り回すやたら強気な帯の付喪神・桐葉の物語ですが、一見少年漫画的な絵面なので、なぜに深夜になるのかとも思いましたが…

つぐももその2 

 本作、やたら下ネタが多いです。やはり深夜にやるしかないか。これまでに2回アニメ化の話があったものの、いずれも流れていたということですが、そのせいじゃないでしょうか。いや、下ネタ自体はもっとスゴイ作品もあるんですが、少年漫画そのものなキャラデザインとの間に大きな落差が。一也を始め悪友達や生徒会長まで女性声優を起用しているというのにイマイチ萌えないのは、キャラがあんまり可愛くないから。

下ネタの一例 
メガテン3のキクリヒメ 

 付喪神って、名前に「神」が付いていますが、実際には長い年月を経た道具に魂が宿ったものなので、妖怪ですよね。それにしちゃあ傍若無人の限りで、力を失っているとはいえ土地神のくくり(菊理媛神)への態度が酷すぎる。キクリヒメといえばメガテンシリーズにも登場するメジャーなお方だぞ(もっともメガテンシリーズはマイナーな神や悪魔を好んで取り上げる傾向がある気もしますが)。

小山内治 

 個人的お気に入りキャラは男だけど小山内治。非常に沈着冷静で、怪異にもほとんど動じず、一也たちの中でもブレーンとしての役割を果たすほか、なにげに実家がお金持ち。ぜひお友達になりたいですな。

奈中井ななこ 
皇すなお 

 物語的には序盤部分をやったというところで終了しているので、ストーリーを本格的に展開させるには二期以降が必要なんですが、幼馴染みを始め主要女性キャラがあんまり魅力的じゃなかったので円盤が売れるかどうか。脇役の奈中井ななことか終盤登場の皇すなお辺りは可愛いかったので、彼女らをもっと登場させられていたら…

クロックワーク・プラネットその1 

 続いて「クロックワーク・プラネット」。惑星一個がまるまる時計仕掛けになっているというもの凄い設定で、電波すら聞くという異常聴覚を持つ見浦ナオトと彼が直した自動人形(オートマタ)リューズ、そして天才時計技師マリーの活躍を描く物語…なんですが。

リューズさんの壁紙 

 風や気温、重力などあらゆるものが全て歯車によって制御されているという虎将仰天な設定といい、修理不能な故障が発生した場合に、都道府県ごとに分けられている区画(グリッド)を意図的に崩落させて他への波及を防ごうとするパージを、わりと簡単に行おうとする軍とか政府の凄まじい人命軽視ぶりに唖然とします。ナオト達の行動を正当化するために悪役を押しつけられているとはいえ、無能っぷりが目にあまります。

リューズとナオト
 
 じゃあナオト達が好感が持てるかといえば、こいつらもほとんど性格破綻者なのでついていけません。特にナオトはしっちゃかめっちゃか過ぎて共感性ゼロでした。正直よく最後まで見てたなと思います。

ドヤ顔ナオト 

 加隈亜衣演じるツンデレというよりヤンデレチックなリューズの毒舌を聞くのだけが楽しみだったような。敵勢力もそれなりに魅力的に描かないといかんなあと改めて思いました。ラスボスがナオトとマリーを、地球上全ての機能を歯車で再現した時計技師Yとみなしていましたが、それは何か根拠があったんですかねえ。

ヤンデレ風味のリューズさん 

 個人的お気に入りキャラは当然リューズ。時計技師Yが1000年前に製造したというInitial-Yシリーズの壱番機で「付き従うもの」。ナオトやマリーに対する毒舌は当然すぎて爽快になる位でしたが、もしや「毒づくもの」の間違いじゃないの?

ひなこのーとその1 

 最後に「ひなこのーと」。「ごちうさ(ご注文はうさぎですか?)」難民の避難先かと思われた作品でしたが、「ごちうさ」とはまた傾向が異なっていました。

ひなこのーとその2 

 ど田舎出身で、口下手であがり症の桜木ひな子が、かつて劇を見て感動した東京の藤宮女子高校の演劇部に入部しようと上京し、喫茶店と古本屋を併設するアパート「ひととせ荘」で過ごす一年間を12話で描いていました。

バニーひなこ 

 このひな子、極端な人見知りで、緊張するとかかしのように棒立ちになってしまうのですが、最終回近くになってもなおかかし状態になっていて結構うざかったです。早とちりしがちで、悪気なく酷いことを言うクセがあったりして。ただルックスとプロポーションが非常に良く、「大家さん」こと萩野千秋とともにお色気要員になっていました。CVはM・A・Oで、「学校ぐらし!」のりーさんのようなお姉さんキャラがハマリ役かと思っていたら、こういう役もこなすんですね。

チャイナ大家さん 

 「ひととせ荘」の住人にして「劇団ひととせ」のメンバーでもある4人は、桜木ひなこ(春)、夏川くいな(夏)、萩野千秋(秋)、柊真雪(冬)春夏秋冬の季語が含まれていますが、5人目のメンバー中島ゆあのみ、アパートに住んでおらず季語も入らない、おまけに事ある事にハブられがちという不遇っぷりで全米が泣きました。OP・ED共に一緒にいるのにひどい。

お色気シーン多し 

 もうかかしはいいので、演劇やら日々の生活やらをまったりと描いてぜひ二期もお願いしたいと思います。水着回もコスプレ回もありましたが、ひな子や千秋の肉感的ボディは「ごちうさ」にはない味なので、それはそれでいいのではないでしょうか。

水着の真雪 

 個人的お気に入りキャラは柊真雪。実は主要登場人物ながら、恥ずかしがり屋で舞台には立たずに裏方ばかりやっていました。子供に間違われるほど小柄ですが、しっかりした性格で料理上手で家事全般を得意として、器用でダンスも上手いので、演劇部顧問の黒柳ルリ子(小学生なのに)からも勧誘されていました。アパートに併設された喫茶店で働いているせいかメイド服を着ていることが多いのですが、それが平気なら舞台ぐらい何でもないんじゃ。

中の人もメイド服 

 そういえば中の人(小倉唯)もメイド服を着ていましたね。天使声優がCVをやっているということになれば、やはり「好きなアニメキャラ」で取り上げざるを得まい。

エロマンガ先生も終了 
 
 あ、山田エルフ大先生がすっかりお気に入りだった「エロマンガ先生」も終了していますが、これについては次回の楽しみに。

空を見上げる古い歌を口ずさむ:ゲスモノ、マレビト、タガイモノ

藤井某のマネ

 将棋で歴代最多タイの28連勝中で時の人となっている藤井聡太四段の顔真似をした物真似タレントのツイッターが炎上して当該ツイートを削除するという騒ぎがありました。確かに顔真似は似ていましたが、バカにしたり貶めようとした印象はなかったので、削除までしなくても…とは思いますが、その一方で、芸人ならツイッターではなくテレビとか舞台で芸の一環として見せればいいのになあとも思います。ともあれ、あまり住みにくい世の中にならないといいのですが。

単行本 空を見上げる古い歌を口ずさむ 

 本日は小路幸也の「空を見上げる古い歌を口ずさむ」を紹介します。小路幸也の作品を読んだのは初めてですので、例によって著者紹介から。

小路幸也 

 小路幸也(しょうじ ゆきや)は1961年4月17日生まれで北海道旭川市出身。学生時代はミュージシャンを夢見ましたが、24歳の時に広告制作会社に就職しました。30歳の誕生日に「職業として」の作家を志し、ゲームシナリオの執筆や専門学校のゲームシナリオ科講師を務めながら小説の執筆を続け、2002年11月、本作で第29回メフィスト賞を受賞し作家デビューしました。

メフィスト誌 

 メフィスト賞は、講談社が発行する文芸雑誌「メフィスト」から生まれた、未発表小説を対象とした公募文学新人賞です。対象となるジャンルは、ミステリー、ファンタジー、SF、伝奇などを含めたエンタテインメント作品で、明確な応募期間は設けられておらず、「メフィスト」誌編集者が直接作品を読んだ上で選考を行うなどの特徴を持っています。

メフィスト賞とは 

 当初から賞金はありませんが、受賞作品はそのまま出版につながるため、印税が賞金代わりとなるほか、受賞に至らなくても編集者の興味を惹いた作品があれば応募者とコンタクトを取り、それが講談社からのデビューに繋がることもあるということで、ほぼ「持ち込み」を制度化したような賞といえるでしょう。

すべてがFになる クビキリサイクル

 基本「面白ければ何でもあり」で、まるで漫画雑誌みたいですが、受賞作家のジャンルは本格的ミステリ、純文学的作品、ライトノベル的作品など多岐にわたっています。受賞作家には、先日読んだ「群衆リドル Yの悲劇'93」の古野まほろ(2007年受賞。受賞作は「天帝のはしたなき果実」)、アニメで見た「すべてがFになる」の森博嗣(1996年受賞)、やはりアニメで見た「〈物語〉シリーズ」や「刀語」の西尾維新(2002年受賞。受賞作は「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」)、「殺人鬼フジコの衝動」など“イヤミス”の女王・真梨幸子(2005年受賞。受賞作は「孤虫症」)などがいます。

孤虫症 天帝のはしたなき果実

 小路幸也は青春小説・家族小説からミステリー・SFまで多彩なエンターテインメント作品を次々と発表しています。代表作はシリーズ化された「東京バンドワゴン」で、2013年10月から12月にかけて「東京バンドワゴン〜下町大家族物語」のタイトルで日本テレビ系でテレビドラマ化されました。

東京バンドワゴン
 
 また「東京公園」は、2011年に映画化され、第64回ロカルノ国際映画祭で金豹賞(グランプリ)審査員特別賞を受賞し、第85回キネマ旬報ベスト・テンにて第7位に選ばれました。

東京公演 

 現在は北海道江別市在住で、本、音楽、映画、スポーツをこよなく愛し、スポーツでは特にサッカー好きで、地元のコンサドーレ札幌を応援しているそうです。また、70年代のTVドラマやバラエティー番組に強い郷愁を抱いており、作品にもその影響を見ることができます。

文庫版 空を見上げる古い歌を口ずさむ 

 「空を見上げる古い歌を口ずさむ」は“pulp-town fiction”シリーズの第一作で、2003年4月に講談社から単行本が刊行され、2007年5月に講談社文庫から文庫版が刊行されました。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

 みんなの顔が<のっぺらぼう>に見える――。息子がそう言ったとき、僕は20年前に姿を消した兄に連絡を取った。家族みんなで暮らした懐かしいパルプ町。桜咲く<サクラバ>や六角交番、タンカス山など、あの町で起こった不思議な事件の真相を兄が語り始める。懐かしさがこみ上げるメフィスト賞受賞作!

 旭川市中心部

 凌一・美佳夫婦の一人息子彰は、小学5年生になった春のある日、急に人の顔がのっぺらぼうに見えると言い出します。すわ病院かというところで凌一は20年会っていない兄・恭一の言葉を思い出します。恭一は姿を消す直前、「いつか、お前の回りで、誰かが<のっぺらぼう>を見るようになったら呼んで欲しい」と言ったのでした。

 電話するや否やすぐにやってきた恭一は、自分も人がのっぺらぼうに見えるのだと言い、28年前の出来事、すなわち人がのっぺらぼうに見えだした頃の話を語り始めます。本書の大半は、恭一の昔話で出来ているので、事実上の主人公は恭一ですね。

旭川市パルプ町

 恭一と凌一、そしてその家族が住んでいたのはパルプ町と呼ばれる製紙工場を中心とする町でした。実際旭川市にはパルプ町という町があり、日本製紙の工場があります。本書においては大半が製紙工場職員の社宅か系列会社の職員の住舎で構成されており、床屋や銭湯は無料だったとされています。おそらく職員とその家族への福利厚生の一環だったのでしょう。

 恭一は謎の高熱で数日寝込んだ後、人の顔がのっぺらぼうに見えるようになってしまいました。知っている人なら声を聞けば誰だかわかり、写真のような画像がのっぺらぼうの顔に張り付くので識別可能ですが、知らない人はのっぺらぼうのままです。これは一体どうしたことかと思い悩みながら秘密にしていた恭一ですが、旭川市のデパートに行った時、群衆の中にはちらほらとのっぺらぼうではない人もいることを知ります。向こうも恭一のことがわかるようで、そのうちの一人のデパガは、「こちら側にようこそ」と囁きます。

日本製紙の工場 

 そうしてパルプ町では次々と奇怪な事件が発生するようになります。自殺する警官、失踪する友人、心臓麻痺で死ぬ大人達。恭一を見張っているらしいのっぺらぼうの白シャツの男(誰だか判らない)、顔は見えるけど誰だか判らない中学生くらいの少年。やがて恭一は自分が何者なのか、そして顔が見える人達が何者なのかを知ることになり、それが家族の元を去る転機をももたらすことになります。

 恭一と凌一は6歳差で、当時はわずか5歳。恭一の抱えた苦悩を知るには幼すぎ、ほとんどが初めて聞く話でした。内容紹介では“懐かしさがこみ上げる”と言っていますが、個人的にはあんまり。なにしろ旭川だし、年代も私よりだいぶ上なせいかも知れません。

旭橋 

 ちなみに人がのっぺらぼうに見えるようになった恭一が見た、ちゃんと顔がある人の一部は、ゲスモノ、マレビト、タガイモノとされます。ゲスモノは「解す者」、マレビトは「稀人」、タガイモノは「違い者」で、作中のある人物によるプロレスでの例えによると、「解す者」は日本人レスラー(つまり善玉:ベビーフェイス)、「違い者」は外人レスラー(つまり悪役:ヒール)、「稀人」はレフェリーなんだそうです。今ではそういう構図は崩壊していますが、70年代頃までは一部を除き日本人は善玉、外人は悪玉でしたね。無論外国に行けば日本人が悪玉になるんでしょうが。

 恭一は「稀人」で、強力な「違い者」を「解す者」が倒すためには「稀人」の協力が必要なんだそうです。それじゃあレフェリーを抱き込んでいるみたいですが、「違い者」の凶器や反則をしっかりチェックすれば自ずと「解す者」が勝つということでしょうか。

BI砲 

 恭一によればおそらく先祖に「稀人」の血が流れていたのだろうということで、弟の凌一にはその気配がなく安心していたが、その息子の彰に発現したということで、今後は近くに住んで教えられることは教えるということになります。これまで遠ざかっていたことについては、恭一としてはちゃんとした理由があり、本当に正しいかどうかはともかく切ないというか悲しいというか。

 なお、恭一から顔が見えるのは「解す者」と「違い者」ばかりではないようで、それ以外のタイプもいるようです。一時行方不明になっていた(「違い者」に拉致されていた)恭一の友人の「ヤスッパ」も、救出後には顔が見えるようになっており、それまでとは違い何かに変わっていましたが、「解す者」でも「違い者」でもないようです。顔が見える人は、恭一に好意的(例えばデパガ)な人もいれば、敵意や悪意を持つ者もいますが、そういう人には近づかないようにすれば向こうも何もしないのだとか。まあプロレスに例えれば、善玉や悪玉という分類以外に、格闘技色の強いU系とかショー的要素の強いお笑い系や怪奇系、さらにデスマッチ系など様々なレスラーがいますから、デパガの言う「こちら側」にもいろんなタイプがいるんでしょう。

ブッチャーとタイガージェット・シン 

 どちらかというと物事ははっきりさせたい方ですが、よくわからないまま終わってしまう朦朧法も嫌いではありません。なおのっぺらぼうに見えるかどうかはともかく、「顔を見てもその表情の識別が出来ず、誰の顔か解らず、もって個人の識別が出来なくなる症状」を相貌失認といいます。頭部損傷や脳腫瘍・血管障害などの脳障害が後天的に相貌失認を誘発する要因となるそうですが、親しい知人の顔が突然認識できなくなるという、典型的な症状は古代ギリシャ時代から確認されています。実は先天的に相貌失認を発症するケースもあり、その確率は2%程度と推定されるそうです。……結構多いですね。ただ、人間の個体識別は顔の認識だけでなく声や着衣、体格、振る舞いなど様々な情報を総合して行われているので、顔の認識に障害があっても他の機能で代償し、日常生活に支障をきたしていないため、相貌失認を自覚していない人が相当に存在するのだと考えられるそうです。実は私達も…

相貌失認の例 

千里眼 完全版:“女流ジャック・バウアー”岬美由紀八面六臂の大活劇

夏至なんですが

 昨日は全国的に夏至だった訳ですが、関東地方は大雨&強風でミニ台風といった感じでした。一番昼が長い日が曇天というのは宿命のようなものですが、せめて梅雨らしくシトシト降って欲しいものです。そういえば昨日は北陸と東北で梅雨入りが発表されましたが…まだ入ってなかったんかい(笑)。

千里眼 完全版 

 本日は松岡圭祐の「千里眼 完全版」を紹介します。千里眼シリーズは、デビュー作「催眠」から始まる催眠シリーズに続くもので、旧版「千里眼」は1999年6月に小学館から刊行されました。旧版は小学館文庫から全12巻が刊行され、一旦完結しましたが、角川文庫で再発売する際、初期作には内容に大きく手を加えて「完全版」と銘打ち、クラシックシリーズとして一部作品は新作と入れ替えて刷新しました。さらに角川文庫からはクラシックシリーズの続編の新シリーズも刊行されています。

旧版千里眼 

 千里眼シリーズは、元航空自衛官2尉でイーグルドライバー(F15のパイロット)だった経歴を持ち、今は臨床心理士となっている岬美由紀を主人公としたミステリー・エンターテインメントで、今までに累計600万部以上を売り上げる人気シリーズですが、手にしたのはこれが初めてでした。りゅ、流行を追わない漢なもので(汗)。

映画版千里眼 

 「千里眼 完全版」は2008年11月1日に角川文庫から刊行されました。旧版から10年近い歳月が流れているということで、「催眠」同様、アップデートが行われており、旧版で描かれていた「目の動きで心理を読む」という技術は科学的根拠がないとして否定しているほか、世間の“催眠術”なるものへの偏見を様々な形で否定しています。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

東京湾観音 

 房総半島の先にそびえる巨大な観音像を参拝に訪れた少女。突然倒れたその子のポケットから転げ落ちたのは、度重なるテロ行為で日本を震撼させていたあるカルト教団の教典だった…。すべてはここから始まった!元航空自衛隊の戦闘機パイロットにして、現在戦う臨床心理士岬美由紀の活躍を描く、千里眼シリーズの原点が、大幅な改稿で生まれ変わり、クラシックシリーズとして刊行開始!待望の完全版!

ジャック・バウアー 

 「催眠」シリーズに比べ、ミステリー色よりもアクション・エンターテイメント色が強い作品で、ヒロイン岬美由紀が「24」シリーズのジャック・バウアーも仰天の不死身の活躍を見せます。解説者は本作をリアリティーが高いと評していますが、むしろリアリティーを度外視して面白さを優先したように思えるのですが。

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 防衛大学校を首席卒業し、航空自衛隊に入隊して女性自衛官として初のF-15Jパイロット、イーグルドライバーとなった岬美由紀は、被災地救援や不審船追尾で命令逸脱があったことで査問にかけられましたが、上層部は優秀かつスターである美由紀の免職を好まず、代わりに上官を失職させて決着を図ろうとしましたが、美由紀はこれに反発して自衛隊を辞め、被災地で出会った「千里眼」の異名を持つ臨床心理士兼脳外科医の友里佐知子に惹かれ、臨床心理士になりました。

GSX-R1100.jpg 

 友里が院長を務める東京晴海医科大付属病院で臨床心理士として勤務を始めた美由紀ですが、折りしも日本では社会不安が増大しています。恒星天球教を名乗る謎のカルト教団が日本全国各地で爆破テロを連発させ、その実態が皆目見当も付かないという状態が続いています。

イージス艦 

 恒星天球教のテロは、在日米軍のイージス艦をジャックして高速対地ミサイルを総理官邸に向けて発射態勢にするまでに至ります。犯人は制圧したものの、目標はパスワードでロックされています。日本政府は「千里眼」である友里に一抹の望みをかけ、犯人からパスワードを読み取ることを依頼します。美由紀は友里と共に横須賀に向かい、心理学的手法を駆使してパスワードを割り出してすんでのところで発射命令をキャンセルしましたが、犯人は米兵から拳銃を奪って自殺してしまいます。

アストンマーティンDB9 

 恒星天球教は失敗も折り込み済みだったらしく、5日の猶予を与えて日本政府に“全面降伏”を要求します。美由紀の示唆もあり、警察はようやく恒星天球教の幹部一人を割り出しますが、潜伏先に踏み込んだ時、信者十数人と共に自爆してしまいます。教祖阿吽拿(アウンナ)以下、勢力も全貌も不明のままの恒星天球教。そして催眠では犯罪や自殺はできないとの美由紀の主張とは裏腹に凶悪犯罪は自決を厭わない信者達。一体どんなからくりがあるのか。

ベレッタM92 

 事件解決の契機は、美由紀がカウンセラーを担当する幼女の行動でした。なぜか早朝東京湾観音に向かう彼女が後催眠にかかっていることに気付いた美由紀は、事件の鍵が東京湾観音にあると睨み、張り込みますが…

C4爆薬 

 物語は美由紀の行動の他、官邸の官房長官、美由紀のかつての上司である航空総隊司令官らの行動を交互に織り交ぜて進んでいきます。美由紀の相棒は、美由紀こそ恒星天球教と関わりがあるのではないかと疑っている警視庁捜査一課の蒲生警部補。最初はいがみ合っていた二人がやがて協力関係になるという展開は、その後恋仲に…と言いたいところですが、スーパーレディ美由紀の相手におっさんは務まらないのでした。

東京湾観音の後ろ側 

 あまりにも意外な恒星天球教教祖阿吽拿の正体もさることながら、終盤のアクションの連続はスゴイですね。東京湾観音に仕掛けられたジャミング装置により、羽田空港に向かう航空機がミサイルと誤認され、パトリオットPAC3による迎撃準備が行われる中、なんとか装置を止めようとする美由紀と、立ちふさがる凶暴な信者のバトル。その後F15での激しい空中戦、そして銃撃によりコクピットが破壊されてパイロットが死亡した航空機に乗り移り、なんとか空港に着陸させる…

早一ヶ月か 

 これが数時間の間に連続して発生しています。イベントと度に負傷する美由紀ですが、なぜか超人敵ミッションをこなしまくっていきます。個人的には「男塾」みたいにそれぞれのイベントの間に一ヶ月位は欲しいところだと思いますが。「早いモノじゃのう…○○からもう一ヶ月か…」的なのがないと、途中でダメージの大きさにノックアウトされていそうです。いくら元自衛隊員でも強すぎる。

B777.jpg 

 催眠では犯罪や自殺は起こさせられないにも関わらず、なぜかそれを行っている信者という矛盾。実はそれを解決していたのは、いわゆるロボトミー手術でした。側頭部に穴をあけ、前頭葉を脳のその他の部分から切り離し、催眠のほか薬品も使って完全な操り人形にしていたという。

ロボトミー手術 

 ロボトミーという言葉から人を「ロボット (robot)」 のようにしてしまうという誤解がありますが、ロボトミー(lobotomy)は、肺や脳などで臓器を構成する大きな単位である「葉(lobe)」を一塊に切除することを意味する外科分野の術語です。前頭葉は、現在の行動によって生じる未来における結果の認知や、より良い行動の選択、許容され難い社会的応答の無効化と抑圧、物事の類似点や相違点の判断に関する能力や課題に基づかない長期記憶の保持といった役割も担っているほか、社会的に好ましい規範に適合するように情動を調整する機能を持っているとされ、ロボトミー手術は精神疾患を抱える患者の苦悩を軽減することに成功した場合もありましたが、副作用として感情、意思、人格の鈍化といった深刻な副作用も見られ、手術の危険性もあいまって、現在では精神医学的な療法としてはほぼ姿を消していますが、まさかカルト教団の信者作りに利用するとは。

こめかみからのロボトミー 

 オウム真理教をモデルとしたらしい恒星天球教、そして航空機を使ったテロも9.11以後は現実のものとなってしまいました。そういった意味では恐ろしいカルト教団が凶悪なテロを引き起こすと言う事態は決して夢物語とは言えないのですが、本作では美由紀以外があまりにも無能なのと、美由紀があまりにも超人なのでリアリティを感じるかといえばちょっと…。ラノベだったら丁度良かったんじゃないかと思いますが。

羽田空港

 リアリティに疑問を感じる部分その1:イージス艦に侵入した犯人を捕らえたのはいいとして、腕を前にして手錠を掛け、さらに抜きやすい状態で拳銃を持った兵士がそばをうろうろしている。銃社会のアメリカでは、警察も容疑者拘束の際には後ろ手にしているようですが、軍はしないのか。

パトリオットPAC3 

 その2:単独行動する警視庁捜査一課警部補。そしてそれをとがめる参事官。上司といえば上司だけど、警部補(主任)との間には係長(警部)とか管理官(警視)といった連中がいるはず。なぜに警視正の参事官から直接命令されたり叱られたりしているんだ。

ロボトミーカード 

 その3:ロボトミー手術を受けて教団の操り人形と化しているのに、誰にも疑問を持たれずに日常生活を送っている信者達。さすがに以前とは違うとか周囲に思われないのでしょうか。中にはカウンセラーをやっている信者まで。

DVD 千里眼 キネシクス・アイ 

 旧版の方を原作に、映画「千里眼」が2000年6月10日に公開されていますが、脚本を松岡圭祐が担当したにも関わらず、実際には使用されず、作者としては忸怩たる内容だったようです。その後監督・脚本・編集を松岡圭祐が務めた「千里眼 キネシクス・アイ」が制作されました。元は千里眼シリーズ10周年記念として同名タイトルの小説単行本にDVDを封入して期間限定発売されたものでしたが、2009年9月12日、SBS静岡放送でCGリニューアル版が放送されました。

視聴予定の2017年夏季アニメ:来季も日曜日がスーパーアニメタイムに(汗)

異方存在沙羅花

 春季アニメも最終盤となってきまして、今週あたりから最終回を迎えるていきそうです。終盤に来て驚愕の展開をぶっ込んできたのが「正解するカド」。非暴力的なファーストコンタクトものかと思いきや…まさかのバトル展開に。外務省国際交渉官の徭沙羅花、いきなりの異方存在カミングアウトに虎将仰天です。ほとんど魔法少女だ。

ヤハクィアミバ 

 革新的アイテムを次々と提供し、人類に革新をもたらしてきた異方存在・ヤハクィザシュニナですが、宇宙を繭、人類を糸に例えてきました。“只より高いものはない”もありますが、やはり無償なんてありえなかった訳ですね。でも急にヤハクィザシュニナに小物臭が漂いだしたような。「北斗の拳」で前号までトキだったのがいきなり胡散臭い目付きになってアミバと化したのを思い出します。「コウジロウ、異方はいいぞ!!」なんて。これからはヤハクィアミバと呼びましょう。

2017年夏アニメ一覧 

 まあ感想は終了後に改めて述べるとして、春季アニメが終わるとなれば夏季アニメを物色しなければなりません。春季アニメは視聴打ち切りが2本も出るなど、チョイスが上手くなかったような気もするので挽回したいところです。

サクラクエスト視聴続行 

 まず2クール展開の「サクラクエスト」は引き続き視聴続行。町おこしのためにあの手この手で奮闘する女の子5人組の話ですが、私のお気に入りはロコガール四ノ宮しおり。「しおり」というと家が隣の幼馴染みに「一緒に帰って友達に噂されると恥ずかしいし…」と平然と言い切る藤崎詩織を連想してしまいますが、こっちは明るくおっとりした世話好きな女性なのでお願いされればきっと一緒に下校してくれたことでしょう。

さゆりしおり姉妹 

 仲間からは天然系小悪魔とか年上キラーとか言われていますが、むしろ他の4人のクセが強すぎるんじゃ(千鳥風)。お姉ちゃんのさゆりも美人で、しかもCVは能登麻美子と、声まで美人姉妹。看護師なのに天然というところに危うさも感じますが、だがそれがいい。

異世界食堂 

 ここから夏季アニメですが、まず「異世界食堂」。Webサイト「小説家になろう」で連載され、書籍化された、犬塚惇平の人気が原作です。一見普通の洋食屋ながら、週に一度だけ異世界に繋がる扉がある「洋食のねこや」。訪れる様々な人々と店主、料理の一期一会を描くファンタジー作品だそうです。

異世界食堂その2 

 店主が諏訪部順一、魔族(!)のウエイトレスが上坂すみれと、実写でもいけそうなキャストですな。飯テロアニメになるかも知れません。

終物語の続編 

 「終物語」。まだ終わってなかったんかいと突っ込もうと思いましたが、そういえば前回ラストで主人公阿良々木暦が臥煙伊豆湖に殺されてた気がするので、途中も途中でしたね。

終物語下巻 

 原作の「終物語」が上中下巻の三部構成の大作で、今回は下巻分のようで、第五話「まよいヘル」、第六話「ひたぎランデブー」、第七話「おうぎダーク」が放映されるようです。じゃあいよいよ〈物語〉シリーズも完結か…と思うでしょ?なんと「続・終物語」というのがあるんです。まだまだアニメを制作できるよ!やったねシャフトちゃん!こっちは正直少々飽きてきてるんですが、ここまで見たら全部見ねばという義務感が。

地獄少女 

 お懐かしや「地獄少女 宵伽(よいのとぎ)」。2008年以来となる続編で、過去の人気話セレクション6話と新作6話の計12話で放送するそうです。第一期は見ましたが、二期の「二籠」、三期の「三鼎」は見ていないんですが…

地獄少女その2 

 久々に能登さんの少女役を聞きたくなったということもあります。死神が能登さんの声で語りかけてきたら、ためらいなく三途の川を渡ってしまいそうです。出来れば地獄じゃない方がいいけど。

捏造トラップその2 

 「捏造トラップ-NTR-」。コダマナオコ原作のマンガ作品をアニメ化したもので、初めて恋人ができた岡崎由真とその幼なじみの美少女・水科蛍、2人のカレシ持ちJKによる百合を描くそうです。連載誌が「コミック百合姫」では仕方が無い(笑)。

捏造トラップ 

 題名を見てNTRだとぅ!?と飛びついたんですが、捏造トラップを省略しただけなんですかね。でもまあ百合も好物なんでいいや。ヒロイン岡崎由真を最近お気に入りの加隈亜衣が演じますが、丹下桜系の声でエロい声を出しまくってくれることを期待したいです。そういえば「迷家-マヨイガ-」ではやたらに処刑処刑!!拷問拷問!!と騒ぐ狂気少女・らぶぽんを熱演していましたね。作品はクソアニメでしたがらぶぽんはインパクトがありました。

バチカン奇跡調査官その2 

 「バチカン奇跡調査官」、3年B組金八先生の名言…って節子それバチカンと違う、バカチンや!藤木稟のゴシックミステリー小説を原作とした作品で、カトリックの聖地・バチカンに寄せられる「奇跡」の真偽を調査し、奇跡の裏にある事件や陰謀を暴いていく奇跡調査官、天才科学者にして真理究明の申し子・平賀と古文書/暗号解読のエキスパート・ロベルトの活躍を描きます。

バチカン奇跡調査官 

 奇跡調査官は、サン・ピエトロ大聖堂の中に近代的なオフィスを持ち、世界中から寄せられた奇跡的な現象の申請に対し、真の「奇跡」として認めるかどうかの調査を行う「聖徒の座」に所属する秘密調査官ということです。キャストが見事に野郎ばかりなんですが、ミステリーならそういう作品もいいでしょう。

Fate Apocrypha 

 「Fate/Apocrypha」。TYPE-MOON作のビジュアルノベルゲーム「Fate/stay night」のスピンアウト小説で作者は東出祐一郎。Fateシリーズも色々やっていますが、“Apocrypha”は外典という意味で、本来はユダヤ教・キリスト教関係の文書の中で、聖書の正典に加えられなかった文書のことを指します。「ヨハネの黙示録」なんかは新約聖書に入っていますが、正典としての受け入れをめぐって多くの論議を呼びおこしてきたそうです。

Fate Apocrypha その2 

 第2次世界大戦前夜に行われた第三次聖杯戦争の最中、何者かに大聖杯が奪われた結果、世界中で小規模な亜種の聖杯戦争が起きているという、原作ゲームの並行世界が舞台となっています。この世界では冬木市から大聖杯が失われているため、「Fate/Zero」の第四次聖杯戦争や、「Fate/stay night」の第五次聖杯戦争は発生していません。聖杯を強奪したユグドミレニア一族と魔術協会の、7騎対7騎というかつてない規模の「聖杯大戦」が描かれるそうです。バトルロワイヤルが通常の聖杯戦争ですが、こっちは対抗戦…中二病心をくすぐりますね。

メイドインアビス
 
 「メイドインアビス」。つくしあきひとがWEBコミックサイト「コミックガンマ」で連載中のマンガが原作。果てしなく続く巨大な大穴「アビス」と、その縁に築かれた街「オース」を舞台に、母のような偉大な“探窟家”を目指す少女・リコとロボットの少年レグが繰り広げる冒険を暖かなタッチで描きます。

メイドインアビスその2 

 人類最後の秘境と呼ばれる、未だ底知れぬ巨大な縦穴「アビス」。特異な生態系を持ち、人類にとってのオーバーテクノロジーである「遺物」が数多く眠っており、深く潜れば潜るほど「遺物」も価値も高まりますが、帰路に「アビスの呪い」と呼ばれる負荷がかかり、深くなればなるほどその負荷も重くなっていくそうです。結構前評判が高い作品らしいので、取りあえず見て見ましょう。

RWBY.jpg 

 最後に「RWBY Volume 1-3: The Beginning」。「RWBY」でルビーと読みます。アメリカのRooster Teeth Productionが制作し、3DCGの硬さを感じさせないキャラクター造形、迫力のアクション、ハートフルなシナリオなどで国境を越え人気を獲得したWEBアニメ「RWBY」VOLUME1~3」の日本語吹き替え版を特別編集したものです

RWBYその2 

 人類を脅かす“グリム”に対抗する“ハンター”の養成所に通う少女が仲間たちとともに成長していく様子を描くアクション作品です。主人公ルビー・ローズのCVというか吹き替えが早見沙織で、ずばり今季のはやみん枠です。オリジナル版のキャストのほとんどは製作スタッフが声を当てていたということで、日本語吹き替え版の声優の豪華さには全米が嫉妬しているのではないかと。

セントールの悩み 

 以上継続1作+新作8作の9作品を視聴予定。この他「亜人ちゃんは語りたい」的な気がする「セントールの悩み」も気になりますが…。相変わらず日曜日はスーパーアニメタイムになってしまいそうですが、今回は視聴打ち切りがないといいなあ。
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