アウトサイダー 組織犯罪対策課 八神瑛子Ⅲ:「八神瑛子」シリーズ完結編

早見沙織のふり~すたいる♪

 先週の「早見沙織のふり~すたいる♪」を聞いていたら、はやみんが最近ビタミンBを摂っているので喉の粘膜の調子がいいと言っていました。それを聞いて奇遇だなあと思ったのは、私も最近ビタミンBの摂取を始めてたから。私は声優ではないので喉ではなく、口角炎対策でした。

口角炎 

 春先から口角炎ができまして、オロナインを塗って対抗していたんですが、なかなか治りませんでした。そもそもオロナインが効くのかという抜本的問題もありますが、外傷にはオロナインと子供の頃からマインドコントロールされているもんで。プラシーボ効果かも知れませんが一応治ったんですが、最近再発しまして。

ビタミンB群 

 またオロナインで泥沼というのも馬鹿馬鹿しいので、そもそもどうして口角炎になるのかを調べたら(ネットは偉大ですね)、ビタミンB2とB6が欠乏すると口角炎が起きやすくなるという情報が。食事から摂取するのが王道だろうとは思うのですが、普段の食事で足らないというのなら、この際サプリに頼っても良かろうと手に取ったのが。アサヒのDear-NaturaのビタミンB群。ビタミンBには、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンB12、葉酸の八種類があるのでビタミンB群と呼ばれていますが、お互い助け合いながら働くのでビタミンB群は全部一緒に摂るのが望ましいらしいです。おかげで飲み始めたらあっという間に口角炎が治りましたが、30日分あるので全部摂るぞ。

アウトサイダー 

 本日は深町秋生の「アウトサイダー 組織犯罪対策課 八神瑛子Ⅲ」を紹介しましょう。八神瑛子シリーズは、当ブログでは第1弾「アウトバーン 組織犯罪対策課 八神瑛子」を2013年6月17日(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-404.html)、第2弾「アウトクラッシュ 組織犯罪対策課 八神瑛子Ⅱ」を2016年4月20日(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-1287.html)に紹介しており、4年掛けて堂々完結です。作品の方は2011~2013年の2年間で完結していますが、紹介記事が倍かかってしまっているという謎仕様。

 本作は2013年6月30日に幻冬舎文庫から書き下ろしで刊行されています。刊行後ほぼ4年かかってようやく読めるとは。図書館頼みだとこんなもんでしょうかね。みんなビンボがいけないんじゃ。ぼやきはさており、例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

八神瑛子三部作 

 自殺とされた夫の死の真相に迫る警視庁上野署の八神。警察による証拠改ざんの疑いが増す中、執念で摑んだ手がかりは、新宿署の五條の存在だった。権威と暴力で闇社会を支配する五條に、八神は命を賭した闘いを仕掛ける。硝煙の彼方に追い求めた真実は見えるのか? 美しくも危険すぎる女刑事が疾走する警察小説シリーズ、壮絶なクライマックスへ。

 警視庁上野署組織犯罪対策課に勤務する警部補八神瑛子は、過去に雑誌記者だった夫を亡くし、そのショックで娘を流産しています。その原因が、夫が追っていた暴力団印旛会系高杉組会長芦尾の死と関係があると睨む八神ですが、捜査一課は自殺との判断を変えませんでした。そのため、警察組織にありながら警察組織を恨む八神は、敏腕マル暴刑事という評価の裏で、警官達に低利で金を貸して協力者に仕立て、外部でも情報提供者を多数抱えています。その全ては夫の死亡事件を殺人と断定し、その犯人や黒幕を暴くことにあり、合法非合法を問わず、あらゆる手段を駆使していきます。

深町秋生 

 上司である上野署長の富永は、八神を腐敗警官とみなして危険視し、こちらも八神の部下や元刑事を使って八神の動向を監視しています。第1作では強くて美しい八神のスーパーウーマンぶりが目立ちましたが、2作3作と続くうちに敵も強力になって、やられるシーンが多くなっていきます。今回は特に拉致や死の危険にさらされることに。

 八神瑛子は未亡人ですが、もの凄い美人という設定で、2014年8月9日にフジテレビ系で放映された「アウトバーン マル暴の女刑事・八神瑛子」(第1作が原作)では米倉涼子が演じていました。個人的イメージでは、中谷美紀とか木村佳乃あたりの方が合っている気もするのですが。

テレビドラマ版では米倉涼子が演じていた

 八神の危険を伴う探索行の傍ら、署長の富永と八神の対立という構図もあるのですが、本作では最後の最後に遂に共闘という形になります。富永も警察の腐敗を憎む心が強く、それが故に不良警官として八神を危険視して忌み嫌っていたのですが、八神が追っている敵がどうやら警察内部に存在するということを知って助けることになるのですが、やっぱり八神の美貌あってのことのような気がするのは私だけでしょうか。

 それだけ美貌なら拉致→レイプという危険もありそうなもので、実際ちょっと危険な状況になったりもするのですが、最後まで操(?)は守られました。どんなに強い女でも平然と性奴隷に堕とす西村寿行だったら大変な目に遭っているところで、それはそれで好物なんですが、まあ仮にやっちまうと、西村寿行のエピゴーネンだと言われるでしょうしね。西村版八神瑛子は妄想するだけに留めましょう。「男根様」とか「男様」とか口走っちゃう八神や、ワンパンで倒せるようなチンピラに陵辱されまくる八神…うーむ、ハードロマン。

峠に棲む鬼上下巻 

 内容紹介にあるとおり、実行犯は新宿署の五條。そのバックには元警視庁警備部長で現在は警察共済組合理事の殿山がいました。彼らが高杉組を使って財テク&マネーロンダリングを行っていたのを逆手に取って脅そうとした高杉組長は、五條に返り討ちにされて自殺に見せかけて殺され、事件を追っていた八神の夫もやはり同じく自殺を装って殺されていたのでした。

トカレフ 

 第二作目のメキシコ人の殺し屋“グラニソ”も強力な敵でしたが、五條も強い。身体的能力も極めて高い上に躊躇無く殺人を実行し、防弾ベストなどで防御もバッチリです。五條に言わせれば、理由はどうあれ警察内外に多くの手下を作っている八神は自分と同類なんだそうで、ショットガンを向けながら「組まないか」と持ちかけたりします。道下君なら「ウホッ!いい刑事」とホイホイ付いていってしまったことでしょうが…残念!八神は女だった(笑)。

組まないか 

 一応大団円ということになるのでしょうが、五條は自殺、殿山も自殺してしまい、もっといたはずのグループの全容はできていません。なおも捜査にあたって実はさらにビッグな黒幕がいたという話にもなりそうですが、物語はここで終わっています。いがみ合っていた富永署長と八神が和解できたということで、今後は共闘もスムーズに進みそうですが、実は富永署長、ツンデレなだけで実は最初から八神が好きだったんじゃないかという疑惑も。男女を問わずモテモテでいいなあ八神。仮に警察を追われても中国マフィアの劉英麗がクラブのホステスとして(ゆくゆくはパートナーとして)すぐに雇ってくれるという。

ショットガン 

 破天荒刑事を描くにしても、本作は矢月秀作の「もぐら」シリーズよりはよほどリアリティがありますが、それでも同僚刑事の拳銃を不発に細工するなど、そんなこと簡単にできないだろうというシーンはあります。そもそも「警察官等けん銃使用及び取扱い規範」なんかを見ると、刑事は拳銃なんてそんなにいつも持ち歩いていないようですし、管理は徹底されているので他人の拳銃に細工するなんてとてもとても。公務じゃないから拳銃を持たず、それでやられてしまうという方がリアルなのかも知れません。ま、嘘は嘘でも上手に嘘をついている分こちらの方がいいですな。

ドラマ版アウトバーン 

禁断の魔術:ガリレオシリーズの最終作?

野際陽子逝去

 女優の野際陽子が13日に亡くなっていたことが本日判明しました。数々のドラマに出演してきたベテラン大女優ですが、なんと81歳にもなっていたんですね。個人的にインパクトがあったのは「ガラスの仮面」の月影先生。

原作から抜け出てきたかのよう 

 今から20年前の1997年のことで、ヒロイン北島マヤは安達祐実が演じていましたが、他のキャスティングはともかく、月影先生(月影千草)の半端ない再現率には驚愕したものです。月影先生は何かというとマヤの演技に「おそろしい子……」というのですが、本当におそろしい(素晴らしい)のはあなたでした。ご冥福を心からお祈り致します。
 
禁断の魔術 文庫版 

 では本題ですが、本日は東野圭吾の「禁断の魔術」を紹介します。2015年6月10日に描き下ろしで文春文庫から刊行されました。流行を追わない(追えない)私としては最新刊の部類ですね。

 「禁断の魔術」は、もともと2012年10月15日に文藝春秋から刊行された連作短編「禁断の魔術 ガリレオ8」に収録された最終話「猛射つ(うつ)」を大幅に加筆・改稿したものです。残りの三編(「透視す(みとおす)」「曲球る(まがる)」「念波る(おくる)」は2015年3月10日発売の文春文庫「虚像の道化師」に収録されています。

禁断の魔術 単行本 

 ガリレオシリーズは1996年10月に第一作「燃える」を皮切りに長編3作、短編集5作が刊行された訳ですが、「猛射つ(うつ)」を長編化した本作が4作目の長編にしてシリーズ最終作になる可能性があります。東野圭吾は本書の公式HPで“この物語では、湯川に試練を与えようと思いました。私の頭に浮かんだのは、「もし自分のせいで殺人犯になりそうな人間がいたら、湯川はどんなふうに苦しみ、どうやって責任を取るだろう」というアイデアでした。(中略)クライマックスで湯川がとる行動には、きっと多くの方が驚かれることだろうと思います。”と言っていますが、湯川の行動はまさに最終回的というか、一歩間違えれば本当に最終回にせざるを得ないものでした。

 また“ガリレオのことは当分考えたくありません。”とも言っており、最後かどうかはともかく、当面は書かないような雰囲気です。まあその間、加賀恭一郎シリーズをやってくれれば個人的にはそれはそれで結構なんですけどね。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

禁断の魔術 コシマキ

 高校の物理研究会で湯川の後輩にあたる古芝伸吾は、育ての親だった姉が亡くなって帝都大を中退し町工場で働いていた。ある日、フリーライターが殺された。彼は代議士の大賀を追っており、また大賀の担当の新聞記者が伸吾の姉だったことが判明する。伸吾が失踪し、湯川は伸吾のある“企み”に気づくが…。シリーズ最高傑作

 進学校である統和高校の物理研究会は部員ゼロの危機に陥っていました。最後の部員古芝伸吾は、支援要請を快く引き受けた湯川の指導により、あっと驚くパフォーマンスで新入生から部員を獲得することに成功し、部活消滅の危機を乗り越えます。

公式HPの煽り文 

 一年後、古芝は帝都大学に入学し、湯川に挨拶に来ました。湯川も古芝を飲み込みの良い後輩として目を掛けており、二人の交流はこれからもっと本格化するのか思われましたが…。小芝の両親は既に亡く、新聞記者をしている姉が保護者となっていましたが、なんと小芝の帝都大入学直後に急死してしまったのです。

 小芝は帝都大を中退し、足立区梅島(自慢じゃないですが、西新井に長く住んだ私には土地勘がありますよ)の金属加工の町工場で働き始めます。保護者が誰もいなくなった以上仕方ないじゃないかと思われますが、実は姉の尽力で結構な奨学金を得ており、勉学を続ければ続けられたのです。それでも中退を選んだ意味は…

子宮外妊娠 

 小芝の姉・秋穂の死因は子宮外妊娠による卵管破裂でのショック死。つまり殺人事件とかではなかったのですが、政治記者だった秋穂は担当であった大物代議士大賀仁策と深い仲だったことが判明。その日もホテルで密会していたはずなのですが、秋穂の異変をフロントに知らせるわけでもなく、救急車を呼ぶでもなく放置して逃げ出した模様。小芝の狙いは姉の復讐なのか。

 一方、大賀の地元・光原市では、大賀のお声掛かりで「スーパー・テクノポリス計画」が推進中。環境破壊などになり地元では反対運動が起こっていますが、そんな中、反対派の有力メンバーで大賀仁策のスキャンダルを追っていたフリーライターの長岡が殺害されるという事件が発生します。現場に残されたメモリーの映像は、不思議な爆発シーンでした。

学園都市 

 これは小芝が高校時代にパフォーマンスで行った「レールガン」の実験と同じものなのではないか。また屋形船の窓が突然破壊されて火災が発生したり、倉庫の壁に孔が空いたり、オートバイのガソリンタンクが突然火を吹いたりという怪事件も頻発。小芝は復讐のためレールガンで大賀を狙っているのか?

 今回湯川は最初から警察には非協力的です。ギリギリ嘘は言わないまでも、知っていることを積極的に語ったりはしません。そもそも直木賞受賞作「容疑者Xの献身」以降、湯川は警察に批判的になっており、正義感が強く真相究明に全力を注ぐ内海薫という女性刑事が登場したおかげでなんとか繋ぎ止めている状況でしたが、今回は愛弟子が容疑者ということになっているのでなおさらなのでしょう。

悪代官的悪徳代議士 

 今回「へぇ~」と思ったのは、普通の作家なら“絶対悪”として描いてもおかしくない大賀サイドの状況についても触れている点でしょう。秋穂も深い仲になるにあたってはそれなりの接触があった訳で、まあ男女の関係というものは、肉親、つまり弟であっても計り知れない部分があるということでしょう。が、大賀には弁解する機会も意思もないわけで、小芝が復讐に突っ走っても仕方がないとも言えます。

 そして最後の最後。大賀を射程に捉えたレールガンのコントロールを奪った湯川は、小芝に「もし撃てというのなら私が撃つ」と言い放ちます。遠距離射撃なので当たるかどうかはわかりませんが、当たれば殺人、当たらなくても殺人未遂は免れないところ。そして湯川を守る構えの薫。ここは旧友草薙も拳銃を引き抜いて欲しかった。薫も湯川も射殺するも、湯川のレールガンも大賀を殺害するなんてバッドエンドもありの展開はゾクゾクします。

フレミングの左手の法則 

 ところで復讐というか犯行に使われるレールガンですが、フレミングの左手の法則により、電磁誘導を利用して物体を加速して打ち出す装置です。原理的には古くから知られており、SFやゲームなどに幅広く登場しています。太平洋戦争中には日本でも研究されていたようです。

ウォーシップガンナー2 鋼鉄の咆哮 

 大好きな馬鹿ゲー「ウォーシップガンナー2 鋼鉄の咆哮」でも登場しました。画像の細長いのがレールガンです。ただ、発射シーンなどが他の超兵器(レーザー、荷電粒子砲、光子魚雷、波動砲などなど)に比べて地味で、威力のほどがよくわからなかったので、私はあまり使いませんでしたが。

ウォーシップガンナー2のレールガン 

 レールガンのメリットとしては次のようなものがあります。
① 初速・射程を調整可能(弾体をどれだけの速度で打ち出すかは掛ける電力次第)
② 長射程(米海軍の艦載レールガンの計画射程は300~500km以上)
③ 超高速の発射速度(理論上は光速まで。実際は現状で秒速8キロ程度。戦車砲で秒速2キロ弱なので4倍以上の速度)

レールガンの原理 

 デメリットとしては以下のようなものが。
① 大電力が必要
② 異常な発熱(加速が桁違いのため。冷却できるまで次弾発射不能)
③ レールが消耗(定期的に要交換。まあ通常の砲身も要交換ですが、頻度はもっと高い)

現実のレールガン 

 米海軍は近い未来に本気でレールガンを艦載仕様で実用化しようとしているとみられ、もし実用化が可能になると、既存のミサイルシステムに比べ大幅に安価に、対空防御や弾道ミサイル、巡航ミサイルからの防衛が可能になると見られます。最新鋭のズムウォルト級ミサイル駆逐艦にレールガンを装備すれば、大規模な空母打撃群が必要なくなったりして。

映画の中のレールガン 

 よーし日本も負けずに…と言いたいところですが、平成27年度概算要求で「艦載電磁加速砲の基礎技術に関する研究」を記載している段階で、米国とは比較にならない段階のような。アニメ世界では「超電磁砲(レールガン)」の通り名を持つ御坂美琴がいるんですけどねえ。この人をクローンで量産すれば…って原作でやってましたね(噛ませ犬でしたが)。

一番役に立ちそうなレールガン 

 あとレールガンを直訳して「列車砲」としないこと。これならドイツが昔使いましたけど、ドーラのようにどんなに大きくても通常の火砲ですから。なお、ロマン砲(絶大な威力や効果が期待されるものの、事前準備が非現実的だったり使用した際のデメリットがあまりにも大きなもの)といわれる根拠の一つとして、第二次大戦後に列車砲を調査した連合軍の「技術的には驚異的だが、戦術的には失敗策だ」「列車砲に注がれた資金、資材、技術者、兵員を爆撃機の開発に回していれば大きな脅威になったが、列車砲に回されたおかげで連合軍には有利に働いた」という評価があります。

列車砲ドーラ 

催眠 完全版:ショーやオカルトではない“科学的”な催眠とは

チューチュー明里ちゃん

 空梅雨の予感ひしひしですね。梅雨入り宣言以降全然雨降らないし、今日は「アツゥイ!」し。リアル明里ちゃんも思わずプリキュア系ゼリーをちゅうちゅう。リアル明里パパによると、最近保育園で下ネタ系単語を覚えてきてしまっているそうな。いかん、いかんぞ。明里が下ネタ全開だと貴樹がドン引きしちゃいますよ。

催眠 完全版 

 本日は松岡圭祐の「催眠 完全版」を紹介しましょう。松岡圭祐の作品を読んだのはこれが初めてです。いい歳のおっさんになっても“初めて”があるのは素敵なことなのか未熟の証しなのか…。まずは例によって作者紹介から

松岡圭祐 

 松岡圭祐は1968年12月3日生まれで愛知県出身です。実はプロフィールに関する情報が少なく、学歴とかは不明ですが、元臨床心理士なので大学で心理学を学んだのでしょう。1997年10月に「催眠」で作家デビューし、いきなりミリオンセラーとなり、シリーズ化されて映画化・テレビドラマ化もされました。「催眠」は「本の雑誌」で1997年国内ミステリの4位に選定されています。

千里眼 完全版 

 以後、「千里眼」シリーズ、「マジシャン」シリーズ、「探偵の探偵」シリーズ、「Q(万能鑑定士Q)」シリーズと立て続けにヒットシリーズを放っています。残念ながら大きな文芸賞とはノミネート段階でまだ縁がないようです。

探偵の探偵 

 作家になる前は、臨床心理士だった他、催眠術師としてテレビにも出演していたようです。学術的な催眠誘導法の他、エンターテイメント性が強いショー用の舞台催眠術(テレビ番組でよく見るアレですね)を学んでいた事で業界から声がかかったそうで、1990年代の後半に芸能事務所と契約し、催眠術師としてのキャラクターで活動していたそうで、フジテレビ系の深夜番組「A女E女」などに出演していたそうです。

A女E女 

 この番組は同時間帯にテレビ東京で放送されてヒットしていた「ギルガメッシュないと」に対抗するもので、「日本一のお下劣バラエティー」を謳って、松岡圭祐がAV女優や売れないモデルたちに催眠術をかけて太鼓や木魚などの音を聞かせて悶させていたそうです。しかし、1997年度の民放深夜番組で最高視聴率を記録したものの、「あまりにも低俗すぎる」との批判を浴び短命番組に終わったとか。私は至極真面目なタイプなので(笑)、一度も見たことないんですが。

若い頃の松岡圭祐 

 番組開始時、既に松岡圭祐は「催眠」を出版していた訳で、テレビ番組誌では「テレビで催眠なんてバカらしい。そういう質のものではない。徹底的にバカをやってこの手の番組を鼻で笑えるようにしたい」と表明していたとこのとで、確信犯的に出演していたようです。また、他番組でも「催眠が人を意のままに操るというのは幻想で、ショーはその思い込みを利用して見せるもの」という趣旨の発言をしています。

催眠 

 今回読んだのは「催眠 完全版」で、これは2008年1月に刊行されています。「催眠」は作者に言わせれば、学術的な正しさに徹する作風ではなかったのだそうです。これはまだ臨床心理士という職業というか資格がまだ定着していなかったことなどによりますが、その後定着してきたことや、心理学や脳医学が発展して世間一般もオカルト的な催眠術というものに囚われなくなったことから、リアリティと現代性を念頭に全面的改稿を行ったのが「催眠 完全版」なのだそうです。

永遠の仔 

 このため旧版「催眠」で描かれていた「目の動きで心理を読む」という技術の原理(つまり視線をどこに向けているかで心理が読めるという)は科学的根拠がないとして「完全版」では否定しています。また天童荒太の「永遠の仔」などで描かれている子供時代の抑圧されたトラウマが引き起こす犯罪というものも否定しています。「永遠の仔」が1999年作品なので「あれ?本作の後の作品じゃん」と思ったのですが、「完全版」での改稿によるものだったのですね。「永遠の仔」、ずいぶん前に宮部みゆきの「模倣犯」と一緒に外国暮らしの頃に読みました。でも外国暮らしをしていたせいか(なぜ)、どちらもあまり感銘を受けなかったんですよね…。宮部みゆきはその後色々読んでますが、天童荒太はあれ以来縁がありませんね。

永遠の仔のワンシーン 

 そもそも単行本の文庫化の際には数十ページ単位の加筆や大幅な改稿がなされたり、別シリーズの人物同士を登場させるなどしており、読者を飽きさせない工夫をしてきた人ですが、「催眠」シリーズや「千里眼」シリーズについては大幅改稿した「完全版」を角川文庫から刊行しており、これを一連のシリーズ正史としています。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

ショーの催眠術 

 インチキ催眠術師の前に現れた不気味な女性。突然大声で笑い出しては、自分は宇宙人だと叫ぶ彼女が見せる予知能力は話題となり、日本中のメディアが殺到した。その頃、2億円もの横領事件の捜査線上には、ある女性が浮かび上がっていた。臨床心理士・嵯峨敏也が、催眠療法を駆使して見抜いた真実とは?衝撃のどんでん返しの後に感動が押し寄せる、松岡ワールドの原点が、最新の科学理論を盛り込んで完全版となって登場! 

臨床心理士になるには 

 本作では主人公である嵯峨敏也(東京カウンセリング心理センター催眠療法科長)、その後輩の小宮愛子、そして二人の上司にあたる室長の倉石勝正の三人の臨床心理士が登場し、それぞれ解決すべき問題を抱えて対応していく様子が描かれます。嵯峨は上記のインチキ催眠術師がスカウトした“自称宇宙人”の入絵裕香が解離性人格障害(いわゆる多重人格)を抱えていると睨み、彼女を救おうと奔走。小宮愛子は場面緘黙症の小学生竹下みきを、そして倉石室長は、別れた妻・脳外科医の根岸知可子と、彼女が手術した女性患者(手術は成功したものの、顔面麻痺などが現れ、手術の失敗が疑われる)を救おうとします。

ベタな催眠術アイテム 

 最も厄介なのはやはり入絵裕香のケースで、多重人格である他、以前務めていた証券会社で発生した2億円もの横領事件の重要参考人(ほぼ容疑者扱い)を受けています。また、インチキ催眠術師実相寺も入り絵裕香を金づると思っており、ことごとく嵯峨とぶつかります。臨床心理士といっても民間資格で特別な権限は一切ない中、本人からの依頼も受けずにまっすぐに警察にぶつかっていく嵯峨。カッコイイけど、組織の長としてはトラブルメーカーとしてクビにしたくなるかも知れません。

カウンセリング中の臨床心理士 

 催眠に関する世間一般の知識は大きく変わったということですが、本書を読んで改めて「へぇー」と思ったのは、催眠術というのは相手を意のままに操れるようなものではなく、電車の中でのうたた寝がほぼ催眠状態だということ。降りるべき駅ではっとなって慌てて駆け降りるとうことは誰でも経験すると思いますが、つまり催眠状態というものは状況によって簡単に解除できるもので、術者が説かなければずっと催眠状態が続くというものではないのです。

パチンコ屋の中 

 ただ催眠状態にあると、暗示にかかりやすくなるのは事実のようで、それを応用(悪用)しているのがパチンコ業界なんだそうです。あの音と光で催眠状態にしてパチンコを打たせ、時間の経過や投入した金額をおぼろげにしてしまうだけでなく、常習性まで持たせてしまうという。

昔のパチンコ屋 

 私自身はパチンコは数えるほどしかやったことがなく、負けっ放しだしタバコで煙いしで二度と行かないなあと思っていますが、最近のパチンコ屋はだいぶ様相を異にしているんですねえ。よく夏の乗用車内に子供を置き去りにしてパチンコに熱中して子供が大変な事態にというニュースを耳にしますが、「だからパチンカスは」としか思っていませんでしたが、そういう罠があったんですね。

悪魔ッ子 

 かつて「ウルトラマン」の前番組に「ウルトラQ」というのがあって、「悪魔ッ子」というシリーズ屈指のホラー回として名高いエピソードがありました。シリーズ屈指のホラー回として名高い催眠術で幽体離脱の芸を披露していた魔術団の少女リリーが、催眠術かけ過ぎの影響でシナプス(神経細胞間や多種細胞間の信号を伝達する部位)の破壊現象が起こり、毎晩精神のみがさ迷い出て、数々の災厄を引き起こします。

分裂したリリー 

 リリーの精神はリリー本人の意思とは関係なく深夜にさまようようになり、最後には自らの肉体をも抹殺しようとして線路に誘います。まああわやという所で助かるのですが…。なにしろ50年以上前の作品なんですが、娯楽が少ない時代とはいえ、視聴率31%超えだったという。このエピソードなんかは松岡圭祐のような催眠のプロからすれば噴飯物なんでしょうが、当時の視聴者が催眠術を恐ろしいものだと誤解してしまうには十分なインパクトがあったと思われます。

 解離性同一性障害のイメージ

 そしてダニエル・キイスの「五番目のサリー」や「24人のビリー・ミリガン」で知られるようになった解離性同一性障害については、心因性の障害で、ほとんどの場合で幼児期から児童期に強い精神的ストレスを受けているとされます。入絵裕香はアラサーの女性ですが、人格交代の甚だしさはここ数年によるもののようです。嵯峨達の尽力により辿り着いた真相は、彼女を食い物にしようとするかなり酷いものでしたが、嵯峨達には真犯人とおぼしき人物を逮捕することもできません。しかし、入絵裕香が犯人ではないことを証明すれば、警察も馬鹿ではないので再捜査により真相に辿り着くことでしょう。入絵裕香の症状が軽減して記憶が戻ればなおさらです。

五番目のサリー
 
 そしてその希望はあります。嵯峨は入絵裕香の症状は完全に治ることはないと言っていますが、ラストの驚愕のどんでん返し(「時計館の殺人」以来、久々に驚きました)結末は、決して暗いものではないからです。これは旧版とは全然違うラストだそうですが、おそらくこちらの方が良いラストなんではないかと思います。

24人のビリー・ミリガン

 なお、解離性人格障害のゴールは、以前であれば人格の「統合」でしたが、最近はあまり言われなくなっています。分離した人格が生じるには生じるだけの理由があり、記憶や意識を分離し、解離することによって、ギリギリで心の安定を保ってきたので、むやみに「統合」を焦るとその安定が崩れかねないのだそうです。そういう意味で、嵯峨は完全には治らないと言ったのでしょう。

多重人格のイメージ 

 嵯峨が組織人としてはかなり逸脱していて、この人はフリーランスの方が性に合っているのではないかという気もしますが、全ては入絵裕香を救いたいという純粋な動機からのものなので、刑事たちも苦笑いしつつ大目に見ているというところがいいですね。

映画版催眠 

 1999年の映画版の「催眠」は稲垣吾郎主演で菅野美穂が入絵裕香を演じましたが、理知的な原作と異なり、異常な事件が起こるサスペンスホラー映画として製作されたそうです。また続編として2000年にTBSでテレビドラマ版が放送されています。原作との差違については、松岡圭祐自身が「世にも奇妙な物語」風アレンジによるホラー方向を目指していたらしいので、特に問題はないのですが。

映画 千里眼 

 その後の「千里眼」の映画化(2000年)については、脚本を松岡圭祐が書いたにも関わらず、大幅に違う作品になってしまったということで、かなり不満があるのではないかと囁かれています。

検察捜査:現役弁護士が書いた江戸川乱歩賞受賞作

梅雨入りですと

 本日気象庁が四国、中国、近畿、東海、関東甲信地方が「梅雨入りしたとみられる」と発表しました。九州沖縄地方だけだったのに一気に来ましたね。なんかやっつけ仕事のような気がしないでもないですが、梅雨来たりなば、夏遠からじ。この梅雨寒天気を懐かしむ日がもうすぐそこに来ているのですね。

検察捜査 

 本日は中嶋博行の「検察捜査」を紹介しましょう。中嶋博行の本は初めて読みました。

中嶋博行 

 中嶋博行は1954年9月12日生まれで茨城県筑西市出身。早稲田大学法学部卒業後、1985年に司法試験に合格し、横浜に弁護士事務所を開業しました。1994年に「検察官の証言」で第40回江戸川乱歩賞を受賞し、作家デビューしました。

検察捜査新版

 弁護士と作家の二足の草鞋を履く異色の作家…と思ったら、大平光代、和久俊三、佐賀潜と結構居るみたいですね。「リーガル・サスペンス」と題し、弁護士としての専門知識を生かした推理小説が特徴でとなっています

ホカベン 

 犯罪被害者の支援活動にも尽力しており、新米弁護士が犯罪に立ち向かう「ホカベン」というマンガの原作も行っています。マンガでは主人公は男性弁護士ですが、テレビドラマでは女性弁護士に変更されて上戸彩主演で2008年に日本テレビ系でテレビドラマになっています。なっていますが…視聴率的はあまり振るわなかったようです。

ホカベン ドラマ版 

 また、遊戯銃への造詣が深く「トイガン文化を守る会」代表、日本遊戯銃協同組合ソフトエアガン安全会議常務理事を務めています。ちなみに直接関係ありませんが、最近引退を撤回した宮崎駿はかつて「鉄砲オタクっているのが一番嫌いなんですよ。はっきり言いますけど、ああいうのはレベルが低いと思っているんですよね。鉄砲の中でも、ピストルのマニアっていうのは一番レベルが低いんです。一番幼児性を残してるんです(笑)。」と言っています。

宮崎駿の主張 

 ああそうか、だから「ルパン三世 カリオストロの城」ではピストルが活躍しないんですね。次元のコンバットマグナム(S&W M19)はカリオストロ公国の暗殺部隊・カゲには全く通用せず(代わりに対戦車ライフルで対抗)、ルパンのワルサーP38なんか使う間もなくレーザーで溶かされてしまったんですね。だけど宮崎駿の言っているピストルマニアが“一番レベルが低い”とか“一番幼児性を残している”というのはちょっと理解できない主張ですね。銃オタクよりも戦車オタクや戦闘機オタクの方が高尚とか(笑)。オタクじゃない人から見ればオタクなんか五十歩百歩じゃないかと。

次元の対戦車ライフル 

 おっと話が逸れてしまいました。「検察捜査」は、受賞作「検察官の証言」を改題して同年9月に講談社から刊行され、文庫版は1997年7月15日に講談社文庫から刊行されています。黒木瞳主演で1995年に「検察捜査 知られざる強制捜査の裏側」と題してフジテレビ系で単発ドラマとして放映されたそうですが…が、画像がない(汗)。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

 横浜の閑静な高級住宅街で、大物弁護士・西垣文雄が惨殺された。横浜地検の美人検察官・岩崎紀美子は、捜査を進めるほど、事件の裏に大きな闇を感じる。日弁連と検察庁、警察庁そして県警の確執……。現役弁護士作家が法曹界のタブーを鋭くえぐった、第40回江戸川乱歩賞受賞の傑作リーガル・サスペンス!

弁護士会館 

 日弁連会長候補として出馬が噂され、内閣法制局の法制審議会委員も務める大物弁護士が、横浜市の自宅で拷問を受けたとしか思えない無残な姿で殺害されているのが発見されます。任官2年目の美人女性検事・岩崎紀美子が捜査担当を命じられますが、それはたまたま彼女だけがヒマだったからという。

 実は検察庁では検事の定員割れが深刻化し、若手検事でプロジェクトチームを作って司法修習生のリクルートを行ったのですが、結果は惨憺たるものでした。紀美子岩の戦果は堂々のゼロ。関東甲信越の地検の元締めである東京高検で油を絞られた直後のことです。

横浜地検 

 捜査といっても部下は検察事務官の伊藤ただ一人。捜査への介入を嫌う神奈川県警は非協力的です。殺害状況から怨恨ではないかと睨んだ紀美子は、警察と同じ事は出来ないと言うことで、西垣の過去の裁判記録を調べることにします。過去五年でも500件はあるというファイルを一つずつひっくり返すという根気のいる仕事です。

 しかしその甲斐あって、西垣が被告となった民事裁判の記録を発見します。さらには懲戒請求も受けていたという。日弁連もいつくかの派閥に別れており、会長選挙を巡っては水面下で暗闘があるようで、どうやら西垣は自分の派閥の中で反乱が起きていた模様。

裁判所合同庁舎 

 そうなると西垣の旧腹心で今や次期会長の最右翼となった宮島を取り調べる必要がでてきましたが、日弁連を真っ向的に回すのということにはさすがの向こう見ずの紀美子もたじろぎます。それでも地検のナンバー2である首席検事に申請を行いますが、なぜか首席検事は雲隠れ。そうこうしている内に、なんと東京地検が弁護士会館の家宅捜索を行い、紀美子の手から事件をかっさらってしまいます。

 どういうことだオイと首席検事に詰め寄る紀美子ですが、首席検事は事件は君の手を離れたと言うばかり。そして紀美子は、日弁連のみならず、検察庁の中にも派閥があることに気が付きます。検察官不足を一気に打開するべく、検察至上主義者が取った驚くべき手段とは?そして紀美子にも魔の手が迫ります。

法務合同庁舎 

 本作では殺人の実行者が誰かということはあまり問題ではありません。真性ドSのプロの犯行なので。むしろそのプロを操っているのは誰かということなんですが…本作では作者が弁護士のせいか、検事に思いっきり泥を被せてしまいましたな。

 法曹界の闇を描くという意味では、現職の弁護士というのは実にぴったりなんですが、「この作品はフィクションであり…」という例のお約束があれば大丈夫だと思うところ、作者はさらに用心深くなっているようです。そのせいでリアリティーが損なわれているように感じる部分が。例えば…

検察庁 

 その①:東京高検に司法部というセクションがある。総務部、刑事部、公安部、公判部はわかります。主要地検には特別捜査部(特捜部)とか特別刑事部というのもありますね。でも…司法部というのはどこにもありません。一体何をやってるセクションなんだこれ。法務省は戦前は司法省といいましたが、戦後司法権といえば最高裁を頂点とする裁判所ですよね。検察庁が司法部なんてセクション作ったら大問題になりそうです。

 その②:横浜地検で紀美子は首席検事の指揮を受けます。首席検事って…?地検、すなわち地方検察庁のトップは検事正で、ナンバー2は次席検事です。弁護士なんだからうっかりミスという訳でもないでしょうが、架空のポストを作らないとヤバイと思ったんですかね。

検察官バッジ 

 その③:東京高検と横浜地検なら、組織上の上下関係でいえば当然東京高検>横浜地検です。トップ同士、つまり東京高検検事長と横浜地検検事正ならこれももちろん東京高検検事長>と横浜地検検事正なんでしょうが、それ以外だとどうなんでしょうか。すなわち、東京高検の部長クラスと横浜地検の次席検事(作中では首席検事ですが)だと、一方的に東京高検部長>横浜地検次席になるのかどうか。ましてや東京高検の部長の部下である次長が横浜地検次席に一方的に指揮命令している様子なんですが、それって組織的に正しいのでしょうかね。

 あと、ヒロイン紀美子のキャラ立ちがイマイチのような。切れ者なんだか猪突猛進なんだかはっきりしません。どっちかにハッキリさせた方が良かったかも。それから事務官の伊藤を自宅に泊めたりして、ただならぬ仲のような気配も感じたりしますが、こっちもなんだかよくわかりません。仕事と恋愛は切り離すタイプの方が個人的には好きですが。

弁護士バッジ 
 

 あと紀美子の相方的存在となる、神奈川県警の郡司刑事はいい味出していますが、最初は米山係長という警部が出てきましたが、紀美子の相手を嫌ったようで郡司刑事に相手を押しつけたかのようです。それはともかく、一介の平刑事(もしかすると警部補くらいになっているかも知れないけど、「刑事」では巡査だってありえます)に検事の相手をさせるというのが組織として「あり」かなあ。それに郡司はいつも一人で登場し、しかも紀美子との情報交換によって独自の捜査も行うのですが、警察小説では捜査は二人一組が常識となっているのにやや不自然な観が

神奈川県警

 リーガルサスペンスという異色の作風は評価できますが、私が読んだ江戸川乱歩賞受賞作品、東野圭吾の「放課後」(第31回)、桐生夏生の「顔に降りかかる雨」(第39回)、藤原伊織の「テロリストのパラソル」(第41回)、野沢尚の「破線のマリス」(第43回)、池井戸潤の「果つる底なき」(第44回)なんかに比べるとミステリーとしてのストーリー展開やキャラ造詣などがいまいちな気がしました。

江戸川乱歩賞 

 本作が書かれてから23年が経過しましたが、作中デスマーチ状態となっていた検事不足は、最近ではあまり聞きませんね。司法試験制度の改革で合格者が増えたからでしょうか。弁護士も東京のような大都市圏では過剰となり、仕事の奪い合いみたいになっているようで、弁護士や医師は高額所得者というイメージも変わりつつあるのかも知れません。反面過疎地には弁護士や医師がいないということも往々にしてあるようですが、お金のためだけではないでしょうけど、お金が全然稼げそうにない地域であえて開業というのもなかなかに決断出来ないことでしょうね。

雀蜂:雪中の山荘で展開されるパニックホラー

駆逐艦水無月

 あっという間に6月になってしまいました。またも艦これネタで恐縮ですが、4月には卯月をゲットし、5月には皐月を育ててきた訳ですが、水無月は通常海域でのドロップがなく、建造でも入手不可という悲しい現実が。現状ではイベントでのドロップ入手しか方法がなく、この前の春イベントでもドロップ設定があったそうですが、残念ながら出逢えませんでした。

雀蜂 

 本日は貴志祐介の「雀蜂」を紹介しましょう。貴志祐介の作品は初めてではないのですが、当ブログで取り上げるのは初めてですね。よって例によって作者紹介から。

貴志祐介 

 貴志祐介は1959年1月3日生まれで大阪市出身。中学生時代からミステリやSFを読み、京都大学経済学部在学中に小説の投稿を始めました。京大卒業後に生命保険会社に入社しますが、数年後に小説執筆意欲が芽生え、1986年に第12回ハヤカワ・SFコンテストに「岸祐介」名義で応募した短編「凍った嘴」が佳作入選します。この作品は後の大長編「新世界より」の原点だそうです。

十三番目の人格 

 1989年、30歳の時に会社を退職して執筆・投稿活動に専念し、1996年に「ISOLA」で角川書店の日本ホラー大賞第3回長編賞佳作を受賞し、作家デビューしました。同作は後に「十三番目の人格 ISOLA」と改題して刊行されています。1997年には「黒い家」で第4回大賞を受賞しました。

黒い家 

 人間の欲望や狂気が呼び起こす恐怖を描いたホラー作品を発表する一方、ミステリー、SFと幅広いジャンルを手掛けています。受賞歴は、2005年に「硝子のハンマー」で第58回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、2008年に「新世界より」で第29回日本SF大賞、2010年に「悪の教典」で第1回山田風太郎賞、2011年に「ダークゾーン」で第23回将棋ペンクラブ大賞特別賞を受賞しています。

硝子のハンマー 

 「雀蜂」は、2013年10月25日に描き下ろしで角川ホラー文庫から刊行されました。刊行された小説としてはなんと最新刊。最近は何をしているんでしょうか…。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

悪の教典 

 11月下旬の八ヶ岳。山荘で目醒めた小説家の安斎が見たものは、次々と襲ってくるスズメバチの大群だった。昔ハチに刺された安斎は、もう一度刺されると命の保証はない。逃げようにも外は吹雪。通信機器も使えず、一緒にいた妻は忽然と姿を消していた。これは妻が自分を殺すために仕組んだ罠なのか。安斎とハチとの壮絶な死闘が始まった―。最後明らかになる驚愕の真実。ラスト25ページのどんでん返しは、まさに予測不能!

雀蜂のPOP 

 ダークなミステリーやサスペンスを得意とする小説家安斎智哉は、出版不況にも関わらずまずまずの売れ行きをキープし続けており、八ヶ岳山麓に山荘を持ち、年の三分の一はここで過ごしています。妻の夢子も絵本作家として有名で、昨夜は二人の新刊のヒットに祝杯を挙げた…はずですが、翌朝妻の姿はなく、またなぜか車の鍵やPCや電話のコードも抜かれて外部との連絡を絶たれていることに気付きます。

 そして山ではもはや降雪もあって完全に冬だというのに次々に現れるキイロスズメバチ。スズメバチなんて誰でも嫌ですが、安斎は特に怖れる理由がありました。3年前にスズメバチに刺されており、今度刺されたらアナフィラキシーショックで命が危ないと医者から警告されていたのです。

雀蜂コシマキ

 次々に現れるキイロスズメバチは夢子と、夢子の同級生で大学で昆虫を研究する男の陰謀なのか?キイロスズメバチの攻撃をかいくぐって地下のボイラー室に入った安斎は、さらに恐るべき事態に気付きました。なんとボイラー室はオオスズメバチの巣と化していたのです。

 キイロスズメバチは日本に生息するスズメバチの中では最も小型ですが、攻撃性が非常に高く、スズメバチ類の刺傷例ではキロスズメバチによるものが最も多いとか。

キイロスズメバチ 

 オオスズメバチは日本に生息するハチ類の中で最も強力な毒を持ち、かつ攻撃性も高い非常に危険な種です。ミツバチどころか、キイロスズメバチの巣すら攻撃することがあるそうです。筑波嶺でもたまに見ますが、その大きさといいオレンジと黒の毒々しいカラーリングといい、一目でヤバイヤツだとわかりますよ。九州では幼虫やさなぎ、成虫を珍味として食す習慣があるそうですが…くわばらくわばら。

オオスズメバチ 

 アメリカでキラービーというはアフリカミツバチとセイヨウミツバチの交雑種がはびこり、攻撃性が強くて人間の死亡例も多いため、駆除用にオオスズメバチを導入しようかと検討されたことがあったそうですが、研究用に取り寄せたオオスズメバチをキラービーと戦わせてみたところ一方的な虐殺劇となり、「こいつら放したら俺らまで駆除されんじゃね?」とビビって取りやめにしたそうです。

キラービー 

 キラービー拡大のニュースを見た日本人は「ふさふさしててかわいい」「子リスみたいで好き」「ストラップにしたい」などとマスコット扱いで、反面「こいつ超ザコだし」「絶対スズメバチのほうが強い」「スズメバチ最強!」と、小学生男児のような口ぶりでスズメバチをプッシュする声が多く見られたそうですが、そりゃあキラービーといっても所詮はミツバチ。ヤンマやカマキリといった大型肉食昆虫と食うか食われるかのバトルを展開しているスズメバチとまともに戦えるわけありませんね。

キイロスズメバチの巣 

 そんな話も通じない獰猛なキイロスズメバチとオオスズメバチに挟まれてまさに前門の虎後門の狼状態の安斎、どうやって危機を乗り越えるか…というだけなら動物パニック小説になるんですが、そもそもなぜ安斎は殺されそうになっているのか?やはり妻とその愛人の計略なのか?それにしてもなぜスズメバチという手段を取ったのか?など謎も多く、その謎が安斎を苦しめます。家から出れば昆虫が生きていけない寒さなんですが、安斎も長時間は生きていけないという(笑)。

オオスズメバチの巣 

 安斎はスズメバチとバトルするだけでなく、死亡を確認するためにやってくるであろう妻と愛人とも相対しなければなりません。そうした中で彼が取った作戦は…。内容紹介にもありますが、ラスト25ページで真相が明らかになって驚くことになるのですが、これはネタバレになるので書くわけにはいきません。作中のそこかしこに「あれ?」と思う部分があるのですが、それがちゃんと伏線になっているのですね。スズメバチの大群もホラーだけど、ホラー要素はそれだけはなかったという。

雀が乗っ取ったスズメバチの巣 

 私なら…とりあえず山荘の窓という窓を開けて外部に脱出して物置に逃れ、スキーウェアなどを着てから山荘に戻り、ボイラー室のドアはしっかり閉めておいて、天井裏のキイロスズメバチの巣も隔離(寒さで大半死んでるかも知れません)。その後窓を閉めて保温すればいいかなと。なんとなれば風呂もありますし。まあ冬なのに室内でスズメバチに遭遇したらそんなに冷静に行動できるかどうかわかりませんが。

雀がドヤ顔で再利用中 

 雀蜂の画像を探していたら、雀蜂の巣を乗っ取った雀の画像が。そうか、昔の人は雀蜂が年を経ると雀になると思っていたので雀蜂という名前を付けたのか(爆)。真面目な話、雀蜂は巣を一年で使い捨てにするらしいので、その後をちゃっかり雀が再利用しているようです。雀さんなら何羽住んでいても安全なのでいいのですけどね。

インド旅行記2 南インド編:女優・中谷美紀のインド一人旅PART2

カール販売中止

 森永製菓のコーンスナックの代表格ともいえる「カール」が東日本で販売中止となるそうです。カールといえば幼少期からお世話になったB級銘菓なんですが、販売不振だったんですね。そこにあるのが当然と思っていましたが、よく考えてみればここ4~5年で一回位しか食べていませんでした。おいしいんですが、チーズの匂いが結構キツイのと、歯にくっつきまくるんですよね。

カールおじさん心の叫び 

 なくなったら食べたくなるのが人情ですが…カールおじさんの心の叫びが胸に響きますね。廃線が決まるとどっと鉄道マニアが押し寄せるみたいな。しかしカールは関西以西ではまだ販売されるらしいので、出かけた際には酒のアテにでもしましょうか。

インド旅行記2 

 本日は中谷美紀の「インド旅行記2 南インド編」を紹介しましょう。先週読んだ北インド編の続編です。前回インドの旅に疲労困憊して早く日本に帰りたいと言っていたにも関わらず、その舌の根も乾かぬうちにまた旅にでかけるという。

インド旅行記2コシマキ 

 妹尾河童によると、インドの旅は二度とゴメンという人と、何度でも出かけたくなる人に二極化するそうですが、河童さんはもとより、鉄道マニア宮脇俊三も途中で「インドなんか懲り懲り、二度と来るもんか…」と思ったにも関わらず、乗り切れなかった鉄道に乗るために再訪しています。だから中谷美紀もインド好き好き派ということなら再訪しても不思議はないのですが、その間隔が異様に早い。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

インドでヨガ 

 インド旅行から21日後、嫌味を言うマネージャーを後目に、南インドへいざ出発! 今度こそはインド人に負けまいと、ヨーデルを声高に歌い、しつこいお土産屋を撃退するも物乞いにお金を渡せば、少なすぎると追い掛けられ、ホテルではシャツを紛失されたにもかかわらず従業員に居直られる……。さらにパワーアップした一人旅の記録、第2弾!

コモリン岬 

 本書は2006年10月6日に幻冬舎文庫から書き下ろしで刊行されました。前作から2か月後でハイペースですが、何しろ三週間後の旅ですから。北インドに続いて南インドを旅します。実は続編「インド旅行記3」では東西インドを取り上げ、「インド旅行記4」は写真編となっていますが、残念ながら筑波嶺の図書館にはありませんでした。

チェンナイのゴプラム 

 季節は秋ということですが、なにしろ暑さの本場南インドです。4週間の旅はなかなかにハードだったようです。メインイベントは、ケララ州のソマチラムビーチリゾートでのインド伝統医学であるアーユルヴェーダ三昧(ヨガ&エステといったところ)と、バックウォーターでのハウスボートでの周遊です。

チャールミナール 

 その他めぼしい寺院にも行っていますが、それほどの感慨はなかった模様。まあごてごてと神像がてんこ盛りのゴプラム(塔門)なんか、最初は驚きますが何度も見ているとなれてくるでしょうしね。やたらと飛ばすドライバーの乱暴な運転や基本カレーばっかりの食事に辟易しているのは前巻のとおりなんですが、だからなぜ間隔を開けなかったし(笑)。インドに住んでも大丈夫そうな妹尾河童でさえ二回目のインド訪問は5年後だったというのに。もっとも彼の場合は行きたくても行けなかっただけのようですけど。

ソマチラムビーチリゾート 

 しかし今回中谷美紀は食欲不振に悩みます。ダイエットにいいなあとも思いますが、女優さんはたいていほっそりしているので食事が出来ないとむしろ危険ですね。なぜなのかとあれこれ考えた挙げ句、出た結論は「ココナッツオイルがダメ」ということでした。南インドではほぼ全ての食事にココナッツオイルが使われており、これとの相性が最悪だった模様。

ココナッツオイル 

 私もシンガポールでココナッツジュースなら飲んだことがあり、ちょっと青臭いけど悪くなかったし、中身の白い胚乳もガンガン食べたんですが、ココナッツオイルの方は経験したかどうか不明です。ココナッツジュースがいければ大丈夫というものでもないのでしょうが、そこまで嫌いになるもんなんでしょうか。確かにオリーブオイルとかでも連日となればうんざりするかも知れませんが。

バナナの葉の上の料理 

 そういう訳で前巻からなんちゃってベジタリアンの中谷美紀、今回はヤギの解体シーンや鶏を絞める場面をガン見したことで、肉はもう食べられないと思うに至りましたが、ココナッツオイルへの拒否感はそれ以上だったらしく、ココナッツオイルフリーの魚介類入り料理はいっちゃってます。もちろん誰かに誓ったとかではないので構わないのですが。

バックウォーターとハウスボート 

 今回はわざわざ「私が肉を食べないわけ」なんてサブタイトルまでつけているんですよね。南インドでベジタリアンとしての意志をさらに堅固にしたかのようなんですが…6年後、体調不良で放棄するに至りました。まあいいんですよ、ベジタリアンだろうが肉ばかり食べようが、酒を飲もうがタバコを吸おうが。基本本人の自由だと思います。他人に押しつけたり迷惑をかけたりしなければ。

漫然と口に運ぶな 

 食については地上最強の生物・範馬勇次郎が含蓄の深い言葉を残しています。曰く“漫然と口に物を運ぶな。何を前にし、何を食べているのか意識しろ。それが命喰う者に課せられた責任。義務と知れ。”“防腐剤…着色料…保存料… 様々な化学物質 身体によかろうハズもない。しかし、だからとて健康にいいものだけを採る。これも健全とは言い難い。毒も喰らう 栄養も喰らう。両方を共に美味いと感じ血肉に変える度量こそが食には肝要だ。”

マイソールのパレス 

 地球という星は、生命が生命を喰らうということが常態化して数億年を経ている訳で、いまさら他の命を奪いたくないといっても土台無理な話です。なにしろ我々が意識していなくても、体内に侵入した細菌なんかは免疫機構が殺しまくっていますから。魚介類ならいい、野菜ならいい、微生物ならいいと勝手にボーダーを引くのもいいのですが、他の生物の命を奪わずには生きていけないという現実は変わりません。広い宇宙にはもっと生命が稀で、稀であるが故に相互に尊重するなんて星もあるかも知れませんけど。

海岸寺院 

 じゃあこの世はもういいと自殺したとして、腸内細菌など膨大な体内の共生者ないし寄生者も道連れですしね。もう他者の命を奪わずには生きることも死ぬこともできないということを知るべきでしょう。そんなのどうでもいいと割り切るならそれはそれですけどね。

ゴプラムその2 

 前巻ではヨガ三昧だった中谷美紀、今回はタイミングが悪くてあまりヨガは出来ませんでした。それにしてもインチキガイドや、何かと金をふんだくろうとする悪徳商人(本人は全然悪びれていないけど)や物乞いに遭遇しまくる度に、突然のヨーデルで対抗してインド人すらドン引かせる中谷美紀。なかなか逞しくなりましたね。もともと気が強そうな顔立ちですが、やはり旅は人を成長させるものなんでしょうか。

南インドの水田 

 妹尾河童の場合、北インドよりもむしろ南インドの方が性に合ったようですが、中谷美紀はココナッツオイルのせいかあまり性に合わなかったようですね。その辺がボリュームの差でしょうか。まあどの地方、どの国が相性がいいかなんて人それぞれなんでしょうけど。

西ガーツ山脈 

群衆リドル Yの悲劇'93:ラノベにするべきな本格推理

大鳳キター!!

 装甲空母・大鳳さんキタ━━━(゚∀゚).━━━!!!一昨日のことですが、資源に余裕があったので大型艦建造を回したんですよ。正空母、軽空母、あきつ丸、まるゆ以外をほぼ確実に弾くレシピとしてはボーキサイトの消費量が今のところ最低のレシピとされる、“燃料4000・弾薬2000・鋼材5000・ボーキ5200・開発資材20”で。前回これで回したら軽空母瑞穂が来たんです。大鳳狙いだったのでハズレではあったんですが、まだ持ってなかったので結果オーライでしたが、やはり本命中の本命が来ると興奮しますね。

胸が飛行甲板の大鳳さん 龍驤

 来ない人には何年プレイしてても来ないそうなんで、プレイ歴1年未満の新米提督のところに来てくれて光栄の至りです。空母・軽空母は中破で艦載機を発艦させられなくなって海上の置物と化するんですが、装甲空母は中破でも艦載機を飛ばせるんですよね。しかもCVはときめきの能登さんだし。それにしても大鳳、艦娘の姿で胸部が飛行甲板状態なのははぜ。赤城さんとか加賀さんとかは立派なモノをお持ちなのに。軽空母でやはり胸が俎板の龍驤が親近感を持つかも知れないですが、龍驤はかなりコンプレックスを持っている様子なのに対し、大鳳は全然気にしていないようです。

大鳳と龍驤 

 本日は古野まほろの「群衆リドル Yの悲劇'93」を紹介しましょう。古野まほろの著作は初めて読みました。実は覆面作家で本名や性別・年齢・画像などは非公開です。11月25日生まれで東京大学法学部を卒業し、国家公務員Ⅰ種試験に合格して警察庁に入庁。警察大学校主任教授を最後に退官しました。フランスのリヨン第三大学法学部の専攻修士課程を修了しているそうです。フランス留学が警察庁入庁後かどうかは不明ですが、何となく官費で留学したんじゃないかという気が。

群衆リドル 

 なおⅠ種試験というのは1984年度から2011年度まで行われており、現在は総合職試験と名前を変えております。ここから、古野まほろは2007年に作家デビューしているので、1985年~2012年度警察庁入庁者の誰かということになりますし、作家デビューが2007年なのでそれ以前に辞職しているものと思われます。警部が准教授(助教授)、警視が教授になるようなので、主任教授ということはそれより上の警視正クラスでしょうかね。現在はともかく、Ⅰ種で入庁した女性警察官で中途退官した人なんて、調べれば身バレしてしまいそうなので、古野まほろは男性で決まりでしょう。そしておそらく90年代の入庁者なんじゃないかと。こんなところで探偵しなくてもいいのですが、覆面作家なんていうとつい(笑)。

天帝のはしたなき果実 

 2007年1月、「天帝のはしたなき果実」で講談社の第35回メフィスト賞を受賞し小説家デビューしました。本格推理の巨匠である綾辻行人、有栖川有栖の両氏に師事したそうで、デビューからおよそ10年で長編作品を20作品以上、短編集も含めて25作品以上と、非常にハイペースな刊行が続いています。

群衆リドル単行本 

 「群衆リドル Yの悲劇'93」は2010年12月16日に光文社から刊行され、2013年8月に文庫版が光文社文庫から刊行されました。本書のあとがきによれば、デビューは講談社にも関わらず、本書以前に講談社から刊行された9冊は絶版になっていたようです。既に「恩讐の彼方」だそうではっきりした理由は記されていませんが、“弱いものいじめが罷り通る世界から距離を置きたい”“この世でもっとも醜悪なのは、強者が弱者をいたぶることだ”などの表現がなんとはなしの理由示唆になっているような。既に両者の関係は修復されたようですが…

 「群衆リドル Yの悲劇 '93」は、2012年の本格ミステリ・ベスト10で9位に入っています。“イエユカシリーズ”の第一作で、古野まほろの代表作である「天帝シリーズ」と共通の世界観を有しているそうですが、「天帝シリーズ」は未読なのでなんとも言い難いです。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

覆面作家古野まほろ 

 浪人生の渡辺夕佳の元に届いた、壮麗な西洋館への招待状。恋人で天才ピアニストの、イエ先輩こと八重洲家康と訪れた『夢路邸』には、謎を秘めた招待客が集まっていた。そこに突如現れた能面の鬼女が、彼らの過去の罪を告発し、連続殺人の幕が切って落とされる。孤立した館に渦巻く恐怖と疑心。夕佳とイエ先輩は、『マイ・フェア・レイディ』の殺意に立ちむかうことができるか!?

月光ゲーム 

 副題にある「Yの悲劇」からはエラリー・クイーンの超有名推理小説が連想されるのですが、むしろ正体不明の人物からの罪の告発などの形式はアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」に近いです。孤立した洋館で繰り広げられる連続殺人事件。しかも様々な形の密室状態で起きるので、犯人もさることながら、それぞれの事件のトリックも気になるところです。

 クイーンの「Yの悲劇」自体より、師と仰ぐ有栖川有栖の「月光ゲーム Yの悲劇'88」の方をオマージュしているようです。舞台も同じ矢吹山で、陸の孤島で次々と起きる連続殺人という展開も同じです。「月光ゲーム Yの悲劇'88」は有栖川有栖のデビュー長編で、「群衆リドル Yの悲劇'93」は講談社と揉めた後の古野まほろの再デビュー長編といった様相を呈しているあたりも類似しているような。

クセがスゴイ!! 

 文庫版の表紙を見ると、ラノベ風のイラストになっていることが判ると思いますが、正直最初からラノベ・ミステリーとして打ち出した方が良かった気がします。なぜかと言うと…千鳥風に言えば「クセがスゴイんじゃ!!」なので。おっさん読者としては、トリックとか犯人がどうとかいう前に、本書の強烈なクセの強さに慣れられるかどうかが問題になります。

 主人公にして語り手は浪人生の渡辺夕佳。妙な招待に乗っていないで勉強しろよと思いますが、恋人で天才ピアニストの八重洲家康と一緒ならという条件で招待に応じます。この八重洲家康が名探偵役になるのですが、とにかくクセがスゴイ。17歳でショパン国際ピアノコンクールに参加し、優勝確実とされながらなぜか直前に出場辞退し、表舞台から姿を消し、現在は東大生(正確には東京帝大生)になっています。夕佳は家康と同じ大学に行きたくて浪人しているという。

クセがすごいその2 

 それだけなら天才っているのねで済むんですが、この家康、ルックスは超二枚目なんだそうですが、とにかく性格が悪い。しかもコミュ障の気があり、なぜかむやみに上から目線でガキの分際で人をアゴで使う気マンマンという。演奏が素晴らしいというのならCD位は買ってもいいですが、個人的お付き合いは御免被りたいタイプです。画家でいえばパブロ・ピカソ的な?

 洋館到着から登場人物全員集合、そして最初で最後の晩餐(全員揃って、という意味で)までの序盤のまあ読みにくいこと。途中で読むのを止めようかと思ったほどですが、まあ「能面の鬼女」出現以降は、気持ちがいいほど連続的に人が殺されていくので一気に読めます。ネタばれは控えますが、「そして誰もいなくなった」や「かまいたちの夜」に見られるトリックは使われていません。

クセがすごいその3
 
 それにしても八重洲家康…。天才ピアニストはいいです。凄まじい絶対音感を持っているというのも結構。東大生になれるくらいだから頭もよろしいのでしょう。でも東大生がすべからく探偵の素質を持っている訳ではないので、彼がここまで鮮やかに謎を解くのには非常な違和感がありまくりなんですよ。せめて生粋のミステリーマニアだとかいった説明があればいいのですが、20歳そこそこのガキで人生の大半をピアノに捧げてきた(そしてその後はそれなりに受験勉強もしたんでしょうよ)人物がそこまでミステリーに造詣が深くなれるものか。ホームズやポアロ、その他の名探偵の指摘なら素直に納得できることでも、家康だと極めて納得いかないんです。これが若さか…

花山薫です 

 しかもポーランドの幻の伝統的殺人舞踏・裏マズルカをマスターしているということで何気に超武闘派なんだそうですが、ちょっと範馬勇次郎と戦ってみてくれんかね。いや、君より年下の範馬刃牙や花山薫あたりで結構。花山薫なんて身体を鍛えたり武術を嗜んだりしていないので相手にちょうどいいんじゃないでしょうかね。

 ま、推理とかより家康の言動の不愉快さが気になるのですが、本書の語り手である夕佳も結構おかしい。変態紳士家康にぞっこんラブという点は蓼食う虫も好き好きなので目をつぶりますが、普通の浪人生の語りとは思えない部分が散見されます。シリーズ一作目ということで語られていない部分も多々あるようなのですが、一筋縄ではいかない人なんじゃなかろうか。浪人生のくせにセーラー服を着ていくあたりも怪しい(笑)。

何だオマエ?… 

 で、集まった他の参加者もまあ俗物というか露悪的というか…殺されてもしょうがないかとつい思ってしまう連中が多いです。ただ、「こんなところにいられるか!」とか「殺人鬼と同じ部屋にいられるか!」といったベタベタな反応をするのが笑えてしまう。自ら死亡フラグ立てるというスタイルは今時ちょっとなあ。

 終盤、連続する密室殺人事件のトリックを鮮やかに解きほぐしていく家康ですが、抜本的に無理がないかというかなり強引なトリックなんですがこれは本格推理的にOKなんですかね?ネタバレになるから詳しく書けないんですが、そこまでやらせるのは無理じゃね?と思ってしまいます。せめてガリレオシリーズみたいに再現実験でもしてくれないと納得できないような。
 
スティーブン・キングの文書読本 

 まあ中盤以降はクセがスゴイ文体にも慣れるので一気に読めますが、多分スティーブン・キングが自身の文書読本(書くことについて)で主張しているところに照らすと、古野まほろの作品は唾棄すべき表現法の好例ということにされてしまうのではないかと。ま、世界的ベストセラー作家といえどもそれに従ういわれはないのですが、私も東野圭吾のような平易な文体の作家の方が好きですね。

泥眼 

 あと殺人の動機が弱い。「能面の鬼女」が糾弾する各人の罪状。それは実は本来の動機を隠すためのフェイクなんですが、罪状自体は虚偽ではないようです。どうやって調べたんでしょう。特に夕佳の“罪状”なんて、ちょっと調べようがないような。最終盤の犯人の告白に出てくる謎のパトロンが教えたのか。だとするとシリーズを通じた家康・夕佳(これでイエユカ)の宿敵となるのかも。

 そして犯人には第三者から見て弱いなあとは思われるけれども一応殺人の動機はある。それはいいのですが、デコイである「能面の鬼女」まで殺しているのはどうなのか。この人物も実は殺害対象の一人であるところ、上手いこと騙して「能面の鬼女」を演じさせた……というなら判らんでもないのですが、最後までそういう記述はありませんでした。目的のためなら手段を選ばないというなら、節子それ復讐と違う、テロや!という気がします。

群衆リドル POP 

 本書の世界は、現実の世界とは違って、日本帝国というパラレルワールドを舞台となっていて、軍が幅を効かせたりしていますが、ほぼ年代とかテクノロジーは現実に準拠していると思われます(そうでなければ90年代とかいう設定に意味がない)。それを踏まえて、そしてやたら家康が自分の頭の良さをひけらかすスタイル(衒学的というのか)なのであえて指摘しますが、登場人物に外務省大臣官房の儀典長という人物が出てきます。

昔の儀典長 

 作品が出版されたのは2010年で、確かにその時点で外務省の儀典長は大臣官房に属する現在のポストとなっています。しかし、1969年から2004年までは、省名を冠さない「儀典長」であり、次官級ポストでした。つまり現在よりも偉かった訳ですね。作中儀典長の人物は自身のポストを審議官級と称していますが、審議官にも次官級の省名審議官(外務省なら外務審議官)と各省庁の大臣(長官)官房に置かれている局長級の審議官、そして各局に置かれる局次長級の審議官がいます。

 1993年時点なら、この人物はただ「儀典長」を名乗るべきで、そのランクは次官級ということになるはずなのですが、大臣官房儀典長とされていて局長級のランクに不当に引き下げられている点が、作者の調査不足だなあと思われる点です。

洋館のイメージ 

 密室殺人やそのトリックなど、見るべき点はあるので(家康病でこっちまでエラそうになってしまいました)、“オレ強えー、オレ最強!!”的存在が罷り通り易いラノベならさらに人気を博するんじゃないかと思います。もちろん作中イラストも豊富にね。実際光文社文庫版は限りなくラノベっぽい装丁だと思いますし。

雪山の密室 

インド旅行記1 北インド編:女優・中谷美紀のインド紀行

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 久しぶりにリアル明里パパンから明里ちゃん画像が来ました。4歳になってお洒落に目覚めた明里ちゃん。すっかり小さなレディですね。9年後には岩船に行くことになとも知らずに……(行きません)

インド旅行記1 

 本日は中谷美紀の「インド旅行記1 北インド編」を紹介しましょう。著者は女優さんと同姓同名の人ではなく、かの女優その人です。有名人ですが、中谷美紀の本は初めて読んだので一応著者紹介を。

中谷美紀 

 中谷美紀は1976年1月12日生まれで東京都出身。女優デビューは1993年に「ひとつ屋根の下」でですが、それ以前にテレビ朝日系のバラエティ番組「桜っ子クラブ」のアイドルグループ「桜っ子クラブさくら組」の一員として歌手活動をしていました。

桜っ子クラブさくら組時代の中谷美紀 

 余談ですがこの「桜っ子クラブさくら組」、当時は「おニャン子クラブ」のエピゴーネンかよなんてと思っていましたが、よく考えれば「おニャン子クラブ」より全体的なルックスはかなり高かったような気がします。強いて例えるならば「おニャン子クラブ」がAKB48だとすると、「桜っ子クラブさくら組」は「乃木坂46」あたりでしょうか。

桜っ子クラブさくら組 

 なにしろメンバーには井上晴美、加藤紀子、菅野美穂、持田真樹と錚々たる面子が揃ってましたからね。その中の一人が中谷美紀で、東恵子と「KEY WEST CLUB」という内部ユニットを結成していました。というか、当時は彼女が女優としてこれほど名を馳せるとは思っていなかったという。なにしろ目がリハクなもので。

KEY WEST CLUB 

 アイドル活動は黒歴史かも知れませんが、駆け出しの頃は皆いろいろやっているものなので恥じることはないと思います。女優としては数々の受賞歴を誇り、「壬生義士伝」「ゼロの焦点」「利休にたずねよ」で日本アカデミー大賞優秀助演女優賞を、「「自虐の詩」「阪急電車~片道15分の奇跡~」で同優秀主演女優賞を、そして「嫌われ松子の一生」で最優秀主演女優賞を受賞しています。

嫌われ松子の一生 

 で、最も高い評価を受けた「嫌われ松子の一生」を取り終えた直後の2005年8月、精根尽き果てた中谷美紀は、本場でヨガを体験したというただそれだけを望んでインドに向かい、北インドで40日弱を過ごしました。当時29歳。27歳の頃からヨガを始めたのだそうです。

タージ・マハール 

 本書は「嫌われ松子の一生」公開後の2006年8月5日に書き下ろしで幻冬舎文庫から刊行されました。彼女はすっかりインドにはまったらしく、2006年1月までの5か月の間に4回もインドを旅しています。本書はその第一回目にして最長だった旅の日記となっています。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

オールドデリー 

 チューブわさびで体内消毒に励み、持参したウエットティッシュは数知れず。そんな努力の甲斐もむなしく、腹痛に見舞われ、暑いホテルで一人淋しく回復を待つ。町に出れば、パスポートを盗まれ、警察署長に懇願書を書くはめに……。単身インドに乗り込んだ、女優・中谷美紀に襲い掛かる困難の数々。泣いて、笑った38日間の一人旅の記録。第1弾!

河童が覗いたインド 

 椎名誠曰く「インドはああいう国なので、なんとなく行けば誰でもなにがしかのことは書ける。」ということで、インド関係の本は玉石混淆でゴマンとあるようです。中谷美紀もインドに向かう飛行機の中で遠藤周作の「深い河」や妹尾河童の「河童が覗いたインド」を読んだそうです。「深い河」は小説ですが、「河童が覗いたインド」の方は地を這うようにして描かれた旅行記&スケッチで、椎名誠も絶賛していますがインド本ナンバー1の誉れも高い名著です。

インド鉄道紀行 

 私が読んだインド本といえば「河童が覗いたインド」と宮脇俊三の「インド鉄道紀行」でしょうか。どちらも面白いですが、両作品を読んで思うのは、バイタリティーがないとインドは無理だなあということです。疲弊した状態で女一人旅なんて、大丈夫なのかと思ってしまいますが、案外女性の方がバイタリティーがあるのかも。

サリーの女性達 

 滅菌ウエットティッシュや消毒スプレーなどを携え、裸足になった後は足もサンダルも消毒し、食事の後はワサビで体内消毒と、潔癖症かよいかにも女性らしいなと思う行動を取る著者ですが、それでもやってくる腹痛。インドではこれは通過儀礼らしく、妹尾河童も宮脇俊三も旅の途中でやられています。河童は好奇心のままに何でも飲み食いするのでなるべくしてなったとも言えますが、無茶をしない宮脇俊三や潔癖症気味の中谷美紀ですら腹痛は襲うので、インドに行ったら腹痛になると思った方がいいのでしょう。

レイクパレス 

 デリーをはじめ町はやたら汚く、物乞いは殺到し、ガイドは土産物店と結託し、タクシーやオートリキシャは隙あらばボろうとする中、女の細腕一本で泳いでいくのはさぞや大変だろうと思いますが、自己主張の強い韓国人のふりをしたり英語がわからないふりをしたりと、女優らしいテクを発揮しているのが面白いですね。

チャパティとカレー 

 あと食べ物についての記述がかなり詳細で、旨い不味いもしっかり書いています。各種カレーはそこそこおいしいようですが、毎日カレーだとさすがに飽きるらしく、中華料理店があるとすかさず入る中谷美紀ですが、その度にインド人の作る中華はダメだと思い知らされるという。自分でも言っていますが、一回で学習しろよと思います(笑)。

エストニアのタリン 

 かつてエストニアを旅した際、中華料理店があったので入ったら、何とインド人がやっていました。バリバリインド人スタイルだったのですが、エストニア人にはばれないのでしょうか?私がはいったら中国人と間違えたらしく、「やっべッ!本物が来ちゃったよオイ!」という激しい動揺を見せていたのが笑えましたが。私が欧州滞在で学んだのは、「中華料理屋はどんな国にでもあるが、豊かな国ほどおいしい」ということです。

バラナスィ 

 中谷美紀のインド旅行の主目的がヨガなので、ヒマラヤ山麓のリシケシュでヨガ修行に励んだりするのですが、まあ修行といってもそれほど辛いものではなく、エステシャンによるマッサージも楽しんだりしています。ヨガはともかくマッサージは私もやってもらいたいですね。

ダルシムフィギュア 

 私のヨガの印象というと、ストリートファイターⅡのヨガマスター・ダルシムなんですが、両肘や両膝の関節を自由に外して手足を伸ばしたり、空中浮遊したりテレポーテーションしたり火を吹いたりして、流石の私でも節子これヨガとちがうと思ったものでした。相手をヘッドロックしながら殴りつつ「ヨガ!ヨガ!」と叫ぶあたり、インド政府から公式に抗議が来なかったのかと思ってしまいますが。

ヨガフレイム 

 ヨガは日本ではもっぱらハタ・ヨーガ(ヨーガ体操)が主流となっていて、運動とか健康法として捉えられていますが、本来は心身を鍛錬によって制御し、精神を統一して輪廻転生から解脱しようとするもので、多分に宗教的なのです。なので興味がないこちらとしては「アーハーン?」的な読み飛ばしをするしかないのですが、中谷美紀はインドに来てベジタリアンになり、さらには酒まで飲まなくなっていきます。いや、酒は飲みたいけどないから仕方が無いというケースもありますが、ベジタリアンは本格化し、肉が入った料理を受け付けなくなるほどです。

 リシケシュ

 ベジタリアンとか、さらに厳格な(卵や乳製品もダメという)ヴィーガンとか、まあ人の食習慣は人それぞれなので他人に強要しない限りは好きにすればいいのですが、中谷美紀はインド旅行を契機に6年間ベジタリアン生活を実践していたそうです。ただしその間にはめまいや突発性難聴が起こり、精神的にも機嫌が悪かったり人と口を利きたくなかったりしたそうです。結局体力が尽き果ててベジタリアン生活からは足を洗ったそうです。私もまあ2、3日なら精進料理一色でも耐えられるでしょうし、そもそも普段そんなに肉は食べていないのですが、雑食が人間の本性だと思っているのでベジタリアンになろうとは思いませんな。

レー 

 好んでいったインドにも関わらず、結構インド人の押しの強さや理屈っぽさ、何かと言えば金を取ろうとするところに辟易していく中谷美紀。盗難にあってパスポートを無くしたり、被害届を貰いに警察に行っても嫌な目にあったりと同情します。そんな彼女のごく自然な反応を、上から目線だとか批判するレビューもありますが、私は素直な感想を綴っていて好感を持ちました。女優も一般人とあんまり変わらないんだなあと。そして思います、私はインドは止めておこうと。やっぱりヨーロッパが向いているんだ私には(笑)。

風の宮殿 

 食事や衣類には関心が高い反面、寺院とか城とか遺跡関係にはあまり強い関心を示さない中谷美紀。そうはいってもタージ・マハールとか押さえるべきところは押さえていますけどね。ヨガは好きだけど特に宗教的な入れ込みはしていないようで、わりと日本人としては普通の感性ではないかと思われます。インドマニアにはとにかく貧乏旅行を推奨する向きもあるようですが、私もなるべく彼女のように高くても清潔なホテルに泊まりたい派です。それでもお腹を壊すのだからインド恐るべし。実は図書館には「インド旅行記2 南インド編」もあったので、次回借りてきましょう。

日暮らし:「ぼんくら」シリーズ第二弾

暑い五月

 梅雨寒のような天候が続いていたと思ったら…いきなりきました「アツゥイ!」の陽気。暑さに慣れていないからあんまり急には来て欲しくないんですが…とりあえず扇風機は出しました。

日暮らし文庫版 

 本日は宮部みゆきの「日暮らし」を紹介します。いわゆる「ぼんくら」シリーズの第二弾です。第一弾の「ぼんくら」は2016年9月10日の記事で紹介しております(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-1386.html)。

 主人公は井筒平四郎という南町奉行所の本所深川を担当する「本所見廻」の臨時廻です。「ぼんくら」の直後から話はスタートするのですが、前作に続いてダークヒーローとでもいうべき湊屋総右衛門と彼の周囲の女達の物語が因縁のように展開されるので、「湊屋総右衛門」シリーズと言う方がいいような気もします。まあ総右衛門自身が直接登場することはあまりなく、登場人物からああした、こう言ったと語られることが多いのですが。

日暮らし単行本 

 「日暮らし」は単行本が2004年12月22日に講談社から上下巻で刊行され、文庫版は講談社文庫から2008年11月14日に上中下三分冊で刊行されました。三分冊は不評だったのか、2011年9月15日に新装版が上下巻で刊行されています。例によって文庫版裏表紙の内容紹介ですが、私が読んだのは三分冊版なのでそこからどうぞ。

 (上巻)浅草の似顔絵扇子絵師が殺された。しかも素人とは思えない鮮やかな手口で。「探索事は井筒様のお役目でしょう」―。岡っ引きの政五郞の手下、おでこの悩み、植木職人佐吉夫婦の心、煮売屋のお徳の商売敵。本所深川のぼんくら同心・平四郎と超美形の甥っ子・弓之助が動き出す。著者渾身の時代ミステリー。

植木職人佐吉 

 (中巻)佐吉が人を殺めた疑いを受け、自身番に身柄を囚われた。しかも殺した相手が実の母、あの葵だという。今頃になって、誰が佐吉に、十八年前の事件の真相を教えたりしたのだろう?真実を探し江戸を走り回る平四郎。「叔父上、わたしは、本当のことがわからないままになってしまうのが案じられるのです」。

 (下巻)「ねぇ叔父上、ここはひとつ、白紙に戻してみてはいかがでしょう」。元鉄瓶長屋差配人の久兵衛からもたらされた築地の大店・湊屋が長い間抱えてきた「ある事情」。葵を殺した本当の下手人は誰なのか。過去の嘘や隠し事のめくらましの中で、弓之助の推理が冴える。進化する“宮部ワールド”衝撃の結末へ。

葵さん 

 シリーズものを順番に読むのが不得手(だって図書館になかなかないから…)な私ですが、「ぼんくら」シリーズは第一弾、第二弾と順番通り読むことができました。特に「日暮らし」三分冊を同時に借りられたのは大きかったですね。そして思います。これのシリーズは順番どおり読まないとダメだと。
 
 平四郎、弓之助、岡っ引きの政五郞といった捜査側の面々は実に清く正しく清々しく生きているのですが、とにかく湊屋が抱える闇が深くて大きい。平四郎も作中で言っていますが、もっと早い段階で大なたをふるべきだったのだろうと思います。

美人すぎるお徳 

 三分冊のうち、上巻は短編が四編収録されています。政五郞配下で昔の膨大な捕物噺を記憶している「おでこ」が寝込むほどの苦悩を抱える「おまんま」。湊屋総右衛門の姪の息子で「ぼんくら」では鉄瓶長屋の差配人をやっていた佐吉が本来の植木屋に戻り、お恵と結婚したものの、二人の間に隙間風が吹く「嫌いの虫」。江戸時代にも凄まじいストーカーというかサイコパス野郎がいた!娘二人を持つ未亡人の奉公人・お六のために葵(湊屋総右衛門の姪にして愛人。そして佐吉の母)が打った大芝居を描く「子取り鬼」。鉄瓶長屋から幸兵衛長屋に移っても煮売り屋をやっているお徳。その近所で突如始められた大赤字覚悟の惣菜屋。その意外な意図を描く「なけなし三昧」。

藤屋敷にて 

 そうかそうか、連作短編集なのかと思いきや、中巻下巻が長編「日暮らし」となっており、上記四短編は「日暮らし」のイントロとなっているのです。下巻末尾の「鬼は外、福は内」はエンディングとなっています。中巻の内容紹介のとおり、「日暮らし」では葵が殺され、佐吉に容疑がかかります。内々に済ませようとの湊屋の計らいによって佐吉は解放されますが、それは佐吉が犯人と決めつけてのものでした。佐吉が犯人ではないとして、真実を知るべきだということで平四郎と弓之助が奔走します。その過程で短編の登場人物が登場してくるので、人となりを知っておくために短編がいい仕事をしています。

葵と総右衛門 

 葵は佐吉の実母なので、普通に考えたら佐吉が殺す訳がないのですが、なにしろ湊屋をとりまく闇のせいで、佐吉は葵が大恩ある湊屋に後足で砂を掛けるように愛人と出奔したと教えられており、以後怒りと恨みを抱きながら成長しています。だからこの親子に限っては殺人もありえる、と湊屋総右衛門は思ったようです。実は平四郎も「あり」か「なし」かなら、ありえることだと思っていますが、自分はやっていないという佐吉を信じて動きます。

 怨恨ということなら、葵は佐吉の他にも湊屋総右衛門の正妻おふじからも滅茶苦茶恨まれています。というか18年前に首を絞められて殺されたのですが、おふじは殺したと思っていますが実は葵は後で息を吹き返したのでした。葵が死んでいないことは極秘とされてきましたが、もし何かの拍子におふじが知ったら再び殺意を抱く可能性があります。ですが、おふじ自身も良心の呵責に苛まれていたらしく、心を病んで廃人のようになってしまっていました。惟故に湊屋総右衛門は佐吉の犯行と確信した訳ですが…

平四郎と弓之助 

 本作、実はミステリーとしてはやや弱いです。というのは犯人の見当がついてしまうのと、犯行理由は犯人自身の過去にあるのですが、それは湊屋総右衛門関連とは全く関わりがないことなので、ある意味出会い頭の不幸な事件ということになっているので。だから殺害動機をいくら探っても正しい方向に進むことはできなかったので、ある難事件といえば難事件なんですが、ちょっとフェアじゃない気も。冒頭短編集に犯人の過去の話も載っていればフェアなんですが、それをするといきなり犯人がばれる可能性があるので難しいですね。

 時代小説として読んだ場合は非常に面白いです。「ぼんくら」に登場した人物がたくさんでてきて懐かしいし、食べ物の描写がいいんですよね。飯テロ小説家も知れません。上等な料理よりも、街角で売っているふかしたての饅頭とか焼きたての灼き団子みたいなのがとっても旨そうで、江戸のB級グルメという感じもします。

平四郎、小平次、弓之助 

 少年探偵弓之助の推理が冴えまくるので、もう平四郎の跡継ぎは弓之助しかないような気がしますが、本作でもまだ完全には踏ん切りが付いていません。第三弾「おまえさん」では跡継ぎになっているんでしょうか?図書館にはあるはずなので、近日ぜひ読みたいですね。

 伯父と姪の近親相姦、間男の托卵によるお家簒奪、超ストーカー、男喰いと女喰いなど、エロ小説・エロゲーに登場してもおかしくないシチュエーションがてんこ盛りですが、それでいていやらしくなっていないのが宮部みゆき作品の持つ上品さですね。

ぼんくら2 

 なおNHKの木曜時代劇で、「ぼんくら2」として「日暮らし」のエピソードが2015年10月22日から7話放映されました。葵が「ぼんくら」では佐藤江梨子だったのが、「ぼんくら2」では小西真奈美に変わっていますが、年齢的にも小西真奈美の方が適切な気がします。

ぼんくら2最終話 

同級生:認めたくないものだな、自分自身の“若さ故の過ち”というものを…

5月の雨の土曜日

 本日は一日雨のようです。土曜日の本格的な雨って久々な気がします。土曜日はウォーキングをするので、アツゥイ!のも困りますが雨も嫌なものです。でも自然の摂理の前にはどうしようもないですね。五月の雨だから五月雨と言いたいところですが…陰暦だから実際には梅雨時の長雨が五月雨ですね。

文庫版同級生 

 本日は当ブログではもはやレギュラーの東野圭吾の「同級生」を紹介しましょう。この人がベストセラー作家になったのはよくわかります。読みやすいし面白い。それはミステリーとしてですが、純粋に物語としてもです。むしろ「秘密」まで泣かず飛ばずだったことが奇々怪々。

名探偵の掟 

 「同級生」はやはり人気低迷時代の1993年2月10日に祥伝社から刊行され、絶版になった後に講談社文庫から1996年8月15日に刊行されました。1996年というのは、「名探偵の掟」が「このミステリーがすごい!1997」の3位になるなど、にわかに注目を浴び始めた時期です。その後1998年の「秘密」の大ヒットでブレイクして不動の人気作家となるわけですが、講談社が本作を刊行したのもこの流れを感知してのことではないかと思われます。私が借りた本は2014年8月1日付で第59刷となっており、「重版出来」どころではありません。

新書版同級生 

 実は本作、東野圭吾作品としては地味な部類で、各種ミステリーランキングにも選ばれておらず、Wikipediaに単独記事も立てられていません。舞台となっているのは県立高校で、高校を舞台とした本格推理は1985年刊行のデビュー作「放課後」以来ということになります。珍しく「あとがき」があり、執筆に非常な苦労があったと記されています。あんまり苦労したので異例の「あとがき」を書いたとも。そういえば東野圭吾の「あとがき」というのは初めて見たような。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

妊娠した女子校生 

 修文館高校3年の宮前由希子が交通事故死した。彼女は同級生・西原荘一の子を身ごもっていた。それを知った荘一は自分が父親だと周囲に告白し、疑問が残る事故の真相を探る。事故当時、現場にいた女教師が浮上するが、彼女は教室で絞殺されてしまう。著者のターニングポイントとなった傑作青春ミステリー。

小学生の妹のイメージ 

 主人公は県立修文館高校野球部主将の西原荘一。彼には先天的な心臓疾患を持つ春美という小学生の妹がおり、この妹を溺愛しています。野球も、春美が観戦を喜ぶからやっているようなものです。3年生になった5月の半ば、野球部のマネージャーである宮前由紀子が交通事故死します。突然のことで部員ともども驚く荘一ですが、さらに驚くべき噂が流れ始めます。由紀子は妊娠しており、産婦人科に向かう途中で事故にあったのだと。

高校野球のイメージ 

 荘一には身に覚えがありました。3月に由紀子と関係を持っていたのです。由紀子が以前から荘一に好意を持っていたことは気づいていましたが、そういう関係になったのはその日が初めてでした。なぜか荘一は当時自暴自棄になっており、つい「据え膳」を喰ってしまったということのようです。両者とも“やればできる子(性的な意味で)”だった訳ですが、処女と童貞だろうと、高3にもなっていたら避妊を心がけるのは当然だと思うのですが…

野球部マネージャーのイメージ 

 由紀子の相手は自分であることを周囲に告げ、由紀子の両親に謝罪に行ったりと潔い態度を取る荘一ですが、そうこうしているうちに、由紀子が死んだのは、生徒指導部の教師に追いかけられたからだということが判明します。その教師は古文担当のハイミス御崎藤江でした。荘一は授業中に同級生の前で御崎を糾弾しますが、御崎は自らの過ちを認めようとしませんでした。

アンサイクロペディアの生徒指導部 

 生徒指導部長は灰藤というベテランの地学担当教師で、生徒指導なんてまっとうな神経を持っていたら進んでやりたいないような役目を積極的に買って出て、執念深く生徒の非行を摘発することで有名な教師でした。御崎は灰藤に傾倒して同じ道を進んできた人で、荘一はこの灰藤に目を付けられることになります。

生徒指導の在り方 

 そして一週間後、なんと御崎が荘一のクラスで死んでいるのが発見されます。動機を持った人物として当然浮上してくる荘一は事情聴取を受けますが、現場にはいくつかの謎が。

天文部の活動 

 続いて起きる天文部部長水村緋絽子の殺人未遂事件。睡眠薬入りのコーヒーで眠らせてストーブ用のガスの元栓を開くというものでしたが、守衛が発見したため大事には至りませんでした。二つの事件は関連があるのか?

左が緋絽子、右が由紀子のイメージ 

 実は荘一、作中でこの水村緋絽子と何度か出会って会話をするのですが、その雰囲気がなんともただならない関係です。敵意とも憎悪とも言い難い、不思議な緊張感が張り詰めるのですが、その理由について読者に対して荘一は終盤まで口を割りません。冒頭、“春美の心臓疾患は単なる偶然ではなかった”とのくだりがあり、水原緋絽子は大企業の重役の娘でいわゆるお嬢様なので、それと何らかのつながりがあるのだろうとは思えましたが。

娘の妊娠に苦悩 

 本作は、一連の事件の犯人捜しの他、読者に荘一と水村緋絽子の関係を推理させる作品となっています。由紀子を孕ませておきながら(まあ彼女の死まで気づかなかった訳ですが)、実は一時の感情の暴走の結果に過ぎなかったという負い目。荘一としては、荘一の愛が本物だったと信じたまま事故死した由紀子に対する償いは、本気の関係だったと皆に告白することと事故の真相を暴くことだけだと確信し、その通りに行動するのですが、そうすればするほど不自然さが目立ち、別の意味で警察からも注目されたりします。

 ○八先生

 正直一連の事件より水村緋絽子との関係の謎の方が目を引いてしまいます。途中で「こうじゃないのか」と思ったことがほぼ的中しましたので、その点は満足なんですが、一連の事件の真相については全く的中しませんでした。その辺りが流石東野圭吾というところなんでしょう。荘一視点なので警察は敵対者とまでは言わないものの、結構印象が良くない感じに描かれていますが、例によって無能ではありません。というかかなり有能です。

 クソ教師

 荘一は野球部の主将で部員からの人望もあるようですが、言動が結構粗野で、大人にタメ口をきいたりするなどあんまりいい印象がありません。可愛い妹がいて、美人マネージャーを孕ませるとかリア充爆発しろといいたくなりますが、本人はさほど自分の境遇をハッピーとは思っていません。その理由は…

クソ教師その2

 本作で注目されるのは教師の描き方。御崎と灰藤の生徒指導部コンビはもとより、担任の石部ほか他の教師も軒並みろくでもない感じで描かれています。唯一荘一が評価しているのは養護教諭くらい。東野圭吾は前述の「あとがき」で“小学生の時から教師が大嫌いだった。なぜ理由もなく、こんなおっさんやおばはんに威張られなきゃならないんだと、いつも不満だった。どう見ても尊敬できる部分など一つもないのに、「先生」などと呼ばされるのも面白くなかった。何より我慢ならなかったのは、連中が自分達のことを、立派な人間だと錯覚していることだった”と記していますが、教師嫌いの東野圭吾の面目躍如な作品とも言えますね。

 体育教師笑

 私個人はそこまで教師は嫌いではありませんでしたが、体育教師はおしなべて嫌いでしたね。正直小学校の頃はそこまで批判的精神がなく、中学校時代は比較的いい先生が多かったこともあり、教師がひどい生き物だと思ったのは高校に入ってからでした。まあ当時は素行が良かった(本当!)こともあり、盗んだバイクで走り出したり、夜の校舎窓ガラス壊して回ったりすることもなかったので(普通はない)、特に衝突とかはなかったですけど。

盗んだバイクで走り出す 

 東野圭吾は教師は嫌いだったようですが、学校そのものや学生生活は嫌いではなかったようです。そうでなければ学園ミステリーを書こうとは思わないでしょうが、私の高校時代は、教師にも学校にも同級生にも何の期待も抱いていなかったので、懐かしいとも振り返りたいとも思いません。いわば「黒歴史」。これが不本意な進学の結果というヤツか。でも一応卒業したので良しとしといて下さい。

夜の校舎窓ガラス壊してまわった 

 タイトルの「同級生」ですが、その理由はラストで明らかになります。色々とすっきりした感じで終わるのですが、ちょっとよく考えてみると、由紀子が死んだ件についてはそんなにすっきりしていいのかという気がします。直接的原因ではないとはいえ、そもそも由紀子は妊娠しなければ事故に遭うこともなかったはずなので、なぜちゃんと避妊しなかったし!と思いますし、大事な娘を亡くしたご両親の悲しみと怒りは消えることはないでしょう。身代わりで名乗り出たという訳でもないし、背負うべき十字架はしっかり背負おうぜ、と思ったりします。

柴門ふみ原作の同級生 

 なお、「同級生」というタイトルで何を連想するかですが、柴門ふみのマンガとか、それを原作としたテレビドラマという答えが多いのでしょうかね。あれは「同・級・生」との表記が正しいようですが。バブル期に放映され、安田成美と緒形直人が主演していました。

エルフの同級生 

 しかーし!個人的には「同級生」といえば連想するのはエルフのギャルゲーに決まっているだろうと断言します。バブルも終わった1992年12月17日にPC用18禁恋愛ADVとして発売されましたが、私がプレイしたのは1995年11月23日発売のPCエンジン版でした。なのでエロい描写はしごくマイルドになってました。本作と1994年5月発売の「ときめきメモリアル」のヒットにより、恋愛ゲーム市場は一気にブレイクしていったのでした。

鈴木美穂 

 「同級生」にはデビューして間もない丹下桜が参加していました。丹下さんが演じた鈴木美穂は18歳のわりに幼くて幼児体形な人でした。他にも國府田マリ子とか井上喜久子、古川登志夫、古谷徹、千葉繁なんかも出演しており、何気に豪華メンバーでしたね。國府田マリ子が演じた桜木舞の赤系のストレートロングな髪や才色兼備ぶりは、「ときめきメモリアル」の藤崎詩織に継承されたとされていますが、メインヒロインなのに人気がぱっとしないのには全米が泣きました。その反省を元に「下級生」の結城瑞穂や「同級生2」の鳴沢唯といった人気のあるメインヒロインが設定されたのではないかと思います。

桜木舞 

 「同級生」というタイトルのわりに、年上お姉さんキャラがやたら多かったのが特徴です。女教師キャラが2人もいる他、人妻までいたりして。ええ、もちろん全員攻略しましたとも。そういえば高校の上級生や下級生は一切出てきませんでしたな。今にして思えばなかり極端なヒロイン設定だったんですね。

真行寺麗子 

 きっこさん演じた芹沢よしこ先生が好きでしね。オンタイムのお堅い雰囲気と、オフタイムの艶めかしさのギャップが素敵でした。生徒思いで、主人公の将来を本気で心配してくれる人だったので、こういう先生に遭遇していれば東野圭吾の教師嫌いも変わっていたかも。いや、現実にはいませんけどね。

芹沢よしこ先生 
髪をおろしたよしこ先生 

 斎藤真子先生は…もはやファンタジーとしか言いようがない。そもそも日本人なんでしょうか(笑)。おっと、ゲームの「同級生」について以前に記事を書いている(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-65.html)ので今回はこの辺で。

日本人離れした真子先生 
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