平井和正逝去に寄せて~昔大好きだったSF作家

ハイザック
 
 こんばんは。今日の札幌は暖かく、まるで春が来たようです。何しろ最高気温4度ですから。積もった雪も緩んで表面がザクザクになって比較的歩きやすいです。この状態のことをハイザックとでも呼ぼうかな(笑)。

ツルツル凍結路面

 しかし、そうなると落雪の恐怖(直撃すると最悪命に関わる)があるほか、また寒くなったときにツルツル路面の恐怖もあるのです。

落雪注意

 今日は去る1月17日に亡くなったSF作家の平井和正について語りたいと思います。追悼というほどではないですが、青春の一時期この人の作品にはまっていたことがあるので。

平井和正

 私の記憶が確かなら、初めて買って貰ったマンガの単行本は、平井和正原作、石森章太郎(当時)絵の「幻魔大戦」第1巻でした。第2巻はずっと後になって読む機会がありましたが、まさかたった2巻で終わるとは思ってもいませんでした。

コミック版幻魔大戦

 これは1967(昭和42)年に「週刊少年マガジン」に連載されたもので、私が買って貰ったのはだいぶ後になってからで、連載していた当時は知りませんが、宇宙を無に帰せんとする「幻魔」とこれに対抗する知的生命体による「大同盟」という二大勢力の戦いが、誰も覚えていない遥か昔から続いているという設定には魅了されました。

ラストシーン

 ただ、大風呂敷の割りにたった2巻で終了(打ち切り?)したため、地球に急接近する髑髏模様の月(幻魔の挑戦状)と、その前に立ち尽くすかのように見える超能力者たちを描いた見開きの絵で終了してしまいました。これは多分バッドエンドしかないでしょう。

ドクロの月

 ま、これはこれまでのことだったのですが、その後私は小学校の高学年から高校生の半ばまで、ほぼSF一辺倒という時代を迎え、洋物も読みましたが、もっぱら国産SF作品に没頭したのでした。ということで必然的に平井和正にもぶち当たりまして、中学時代に祥伝社ノン・ノベルのウルフガイ・シリーズやアダルト・ウルフガイ・シリーズを読み耽りました。これら、中学生には結構刺激が強いお色気場面も多いのですが、当時の国産SFってばいきなり濡れ場に入るものが多かったので(多分読者サービス)、そんなものかと思っていました。むしろ洋物はあんまりそういうシーンないなあとか不満だったり。

人狼天使

 しかーし、アダルト・ウルフガイ・シリーズを読み進めていくと、「人狼白書」とか「人狼天使」に遭遇することになるわけですね。突如天使とか悪魔といったオカルト設定がガンガンぶっ込まれてくるので、ここでアダルト・ウルフガイ・シリーズと決別したという読者も多かったようです。当時の友人のT君もそうでした(T君、元気にしてる?)。

狼男だよ
狼の紋章

 私は、といえば、幼少の頃から慣れ親しんだつのだじろうの心霊漫画(「恐怖新聞」とか「うしろの百太郎」とか「亡霊学級」とか)などのせいか、はたまた楳図かずおの一連の恐怖コミック(「ミイラ先生」とか「黒いねこ面」とか「恐怖の館」とか)のせいか、オカルト大好き人間だったので、むしろ待ってました状態で読んだものでした。

アニメーション版幻魔大戦

 そうこうしているうちに出会ったのが小説版「幻魔大戦」でした。角川文庫から毎月のように刊行されていました。全20巻全部買いましたとも。他に「新幻魔大戦」とか「真幻魔大戦」というのもあって、こちらは貧乏なせいで図書館で借りました。

幻魔大戦

 小説版「幻魔大戦」は、コミック版を小説として書き直すという趣旨で始められたそうですが、それは3巻位までで、以後は小説独自の展開となっていき、主人公東丈がその身に備わったサイコキネシスを振るうのは序盤だけで、以後の大半は幻魔の存在を人々に知らしめることに注力し、幻魔への対抗集団「GENKEN」(幻魔研究会)の代表となって信者を集めたり講演をしたりします。丈の講演でほぼ一冊終わったような巻もあったような。

真幻魔大戦

 幻魔との派手な超能力バトルを期待していたこちらとしては、4巻以後ほとんど戦闘シーンがない状況(そもそも幻魔が目に見える形で登場してこない)をもどかしく思いつつ、組織作りや講演内容とかもそれなりに面白く読んではいました。しかし、後半で東丈は謎の失踪してしまい、残された人々が右往左往する中で、特にこれということもないままに終了してしまいました。

真創世記 地獄編

 実は平井和正がアダルト・ウルフガイ・シリーズの路線変更や幻魔大戦シリーズの執筆を行っていた当時、彼は新興宗教GLA(God Light Association)と深く関わっていたのでした。青春時代のまっただ中、若造なりにいろいろと生きる悩みを抱えていた当時の私は、生きる指針を求めて聖書を読んだり仏教に手を出したり、はたまたムーやトワイライトを読んだりしていた訳ですが、平井和正が絶賛するならと、GLA主宰者の高橋佳子の「真創世記」三部作(地獄編、天上編、黙示編)を買っちゃったりしたのでした。うわあ…これは黒歴史ですね。なんだこれは…たまげたなあ。

ないものだな認めたく

 「認めたくないものだな…自分自身の、若さ故の過ちというものを」。笑いたければ笑えば良いさ。

気の毒すぎて、とてもツッコめねェよ

 そこまで言わんでも…(涙目)。が、幸か不幸か、宗教にはまるということはありませんでした。何か一つのものに身も心も捧げるということが本質的にできないのだと思います。幼少の頃から慣れ親しんだオカルトの知識がむしろ邪魔したのかも知れません。素養ないままにぶち当たるとはまっちゃうのかもしれませんね。某カルト教団の犯罪者達も純粋故にというところもあったのかも。勉強ばっかりしていないで汚れておくものですねえ。

真創世記の推薦文

 それはともかく、すっかり新興宗教立ち上げ小説になってしまった「幻魔大戦」を全部買って読み、そっちの世界では幻魔に敗北するので(おい)、幻魔に勝利する未来を描くとの構想で開始された「真幻魔大戦」を全部借りて読んだのですが、結局こっちでも幻魔と激しくバトルするとか勝利するとかいうことなしになし崩し的に終了してしまったのでした。

真創世記 天上編

 この頃、結局幻魔大戦シリーズは完結しないんだということが判って、平井和正とは決別したのだと思います。彼はその後もウルフガイ・シリーズや幻魔大戦シリーズの新作を書き続けていますが、以後彼の作品を読むことはありませんでした。

真創世記 黙示編

 では私が好きな平井和正の作品を紹介しましょう。例によって順不同です。

① 超革命的中学生集団 (1971年)

超革命的中学生集団

 後にSF作家になる鏡明や横田順彌ら後輩SFファンを実名に登場させて無茶苦茶させた小説。文体も構成も破天荒で、「ライトノベルの元祖」とも呼ばれている作品です。確かに従来あったジュブナイル小説とは違う存在でした。その後は横田順彌の「ハチャハチャ小説」にもはまったなあ。

私が持ってた超革中はこっち

 永井豪版の表紙のやつがありますが、私が持っていたのはその前の生頼範義の表紙の方でした。どうでもいい話ですが、超革中メンバーの一人に林石隆という人がいて、一見中国人のような名前ですがれっきとした日本人だと説明されています。やはり後輩SFファンの一人だったようですが、そう言っておきながら、この人は「死霊狩り」とか「アダルト・ウルフガイ・シリーズ」に中国人の拳法の達人として登場してるんですよね。

② 悪霊の女王(1976年)

悪霊の女王

 超絶的な魔力を持つ大悪霊アニマに憑依された新井亜子の物語。そのものずばり悪霊を描いているので当時の私は飛びつきました。「悪霊シリーズ」と銘打たれながら、続編はないという(笑)。アニマって、ユングの独特の用法で、男性の無意識人格の女性的な側面、つまり男性が持つ全ての女性的な心理学的性質のこだということはずっと後になって知りました。


③ 新幻魔大戦(1978年)

新幻魔大戦

 幻魔大戦はもうええっちゅうじゃあといいたいところですが、これは一冊だけです。シリーズの主人公である(ホントか?)東丈が存在しないという時間軸の破滅した未来から始まり、1人の女子大生が幻魔に対抗できる超能力者の家系を誕生させる使命を受けて江戸時代に時間跳躍していきます。いわば「幻魔大戦シリーズ」の源流というか発端ですね。第二部以降の構想もあったらしいですが、やはり1巻で終了。

④ 死霊狩り(ゾンビー・ハンター)(1972~78年)

死霊狩り

 人体に寄生してゾンビーに変えてしまう宇宙からの侵略者と、これに対抗する超国家的機関が養成する「ゾンビー・ハンター」の物語三部作。実は侵略者は侵略者じゃなかったというオチで、あとがきで平井和正はそれまで書いていた「人類ダメ小説」の終焉を宣言しています。ちょうどGLAと接触して関係を深めていった時期の作品なので、そうと知って三部作を読むと作者の転換ぶりが目に見えるほどですな。

⑤ 美女の青い影(1970年)

美女の青い影

 ジュブナイルで2編の短編と4編のショート・ショートからなる短編集です。なにはともあれ表題作の「美女の青い影」が好き。近所の古い洋館に越してきた妖艶で謎めいた美女には,恐るべき秘密が…という話で、思春期の少年の美しい年上の女性に対する思慕を,こっ恥ずかしいほどに描いています。

平井和正その2

 ああ…どれもこれも初期作品ばかりだ。青春時代には大変お世話になりました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
  
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