野口五郎の歌で妄想する「秒速5センチメートル」(その2):愛ゆえに明里を手放す祐一さん

札幌イルミネーションその17
 
 遂に来ました。大雪ですよ奥さん!札幌気象台によれば積雪14㎝で昨年と同じ、平年値17㎝よりやや少ないといった感じです。11月14日の大雪は20㎝を超えていましたが、雪の質が全然違っていて、いわゆるパウダースノーと呼ばれる粉雪が際限なく降ってきます。身体についても濡れにくく、払いやすいのはいいのですが、吹きつけてくると全身真っ白になってしまいます。明日は気温が上がってみぞれから雨との予報ですが、その後水曜木曜と暴風雪という恐ろしい予報が。

ベジータ名言

 吉田拓郎の「氷の世界」が歌いたくなるような感じですが、本日はちょっと違って妄想秒速です。札幌の雪に岩船での雪を思って「秒速5センチメートル」の世界を妄想してみましょう。

針葉樹ジャケット

 今回は野口五郎の「針葉樹」です。「針葉樹」は野口五郎の21stシングルで、1976年9月10日にリリースされました。オリコン最高位は2位で、この年の第27回紅白歌合戦でもこの歌を歌唱しています。作詞は麻生太郎ならぬ麻生香太郎、作曲は筒美京平です。麻生香太郎は森進一や中森明菜、TM NETWORKなどに詞を提供していますが、今ではエンターテインメント評論家になっているようですね。

 この歌で妄想するのは、ちょっと今までになかった展開で、「明里を失う祐一さんの心情」です。

祐一さんと明里

 祐一さんといえば明里の結婚相手です。姓は不明。結婚すると妻が夫の姓になるのがまだまだ今の日本でもデフォルトのようなので、「狸穴祐一」とか「毒島祐一」とか「鬼瓦祐一」とかだったら、それぞれ「狸穴明里」「毒島明里」「鬼瓦明里」になってしまう可能性が高いのですが、明里のためにも素敵な姓であって欲しいものです。そうでなければ「篠原」を名乗れい!

明里と岩船の両親

 「祐一」という名前は実は映像版には出てきません。正月を前に岩船の実家を去る明里(なぜ明里が正月を実家で迎えないのかについては、かつて貴樹との別れを強いられたという恨みの要素があるのではないかという妄想考察をしたことがあります)に対して、パパンが「彼にもうまいもの作ってやれよ」と言っているだけです。「祐一」という名前を発見したのは、清家雪子のコミック版「秒速5センチメートル」で、同じシーンでパパンが「祐一くんによろしくな」とポツリと言っていますが、確か新海版の小説でもこの名前が登場していたと思います。

祐一さんに向けられる明里の表情

 で、映像版では孤独に夜の街を彷徨う貴樹と腕を組んで楽しそうな明里&祐一が極めて対照的に描かれていて、なんともやるせない気持ちになるわけです。ただ、これは明里も貴樹と同じように孤独を味わえばいいとか思う訳ではなく、ただただ貴樹の孤独ぶりが不憫に感じられるわけです。逆の状況(つまり明里が孤独で貴樹が花苗なり理紗なりとよろしくやっている)だと正視に耐えないので、どちらかといえば映像版の光景の方がまだましなんですが。

踏切の明里

 そしてラストシーン、ご承知のとおり小田急線の去った踏切の向こうに明里はいませんでした。そして貴樹は明里がいなかったことを持ってかすかみ微笑むのですが、この微笑みに理由については様々な解釈が可能であることもやはりご存知のとおりです。

貴樹の表情

 一方明里ですが、踏切ですれ違う際に貴樹同様「!」となっていることは確実です。そして踏切を渡り終えた直後に貴樹よりやや遅れて振り向こうとするのですが、小田急線に邪魔される訳です。明里が貴樹を確認することもなく去った理由については

電車が通り過ぎた後がこうだったなら

 ① 明里は今の幸せに満足しているので現在の幸福を揺るがしかねない事態(貴樹との再会)を敢えて避けた
 ② 「貴樹かな?」と思って振り向いたけど電車が来たので「ま、いいか」と歩き去った。つまり今となっては貴樹に大した思い入れがない
 ③ 「ん?」とは思ったけど、貴樹とまでは思い至らなかった

貴樹一人

などの仮説が考えられるのですが、新海小説版で、実家で貴樹に渡せなかった手紙を発見した明里は、少し読んだだけでしまってしまいます。そして「いつかもっと歳をとったら、もう一度読んでみようと思う。まだきっと早い。」と思うのでした。これは祐一さんとの結婚直前という状況においてさえ、貴樹への気持ちが再燃してしまう危険を感じたからではないでしょうか。だとすると①が適当かなとも思えます。

もの想う明里

 しかーし、かつて愛した、手紙で「この先どんなに遠くに行ってしまっても、私はずっと絶対に好きです」と断言した貴樹がすぐそばにいるという事実に気づいた明里は、本当にその後も何事もなかったように祐一さんとの新婚生活を続けられるのでしょうか?

嬉しそうな明里

 踏切では貴樹を振り切るように去った明里ですが、すれちがったのが貴樹だとわかった瞬間、明里の心は貴樹に囚われ、繋ぎ止められてしまったりしてはいないでしょうか。

ウエディングドレスの後ろ姿

 愛する妻が他の男に心を奪われた時、夫はどうするものでしょうか?もちろん指一本触れ合っている訳ではないので不貞でないのですが、心が完全に他の男に向いてしまっているわけで、浮気よりタチの悪い「本気」状態です。もう一度自分に振り向かせようとして暴力を振るってしまったりとか無理矢理身体で理解し合おうとか、まあ色んな足掻きが想像できる訳ですが、ここでは祐一さんが貴樹の存在を知っていたことにしましょうか。

本を読む明里

 ピロートーク(ううッ)とかで「昔好きだった男の子」の話くらいは聞かされていた可能性はあると思います。そして祐一さんは多分にその子と似ている部分があるのではないかと。しかしどう足掻いてもホンモノには敵いません。

明里の優しい表情

 祐一さんも明里のことは本気で愛していると思います。本当に愛した女性が、他の男に完全に心を奪われてしまった時、男たるもの一体どうするのでしょうか。その答えの一つがここにあります。

踏切でのすれ違い

 あなたのかなしみは 雪で出来ている
 僕を凍らせる 白いためいきだ
 まっすぐ行くがいい 街はきょうまでの
 ふたりの足あとを うずめてくれるだろう
 男のいのちのかぎり尽し
 愛したつもりだ 悔いなどないさ
 冬が来ても あなたよ枯れるな
 木枯らしに耐える針葉樹の
 りりしさのように

明里の指環

 既に人妻の身である明里。特になんら落ち度のない夫を捨てて他の男に走ろうとするならば、様々な問題が立ちはだかります。輝く結婚指輪は呪いの指環と化するのです。離婚を巡るいざこざ、慰謝料、義両親の面罵、怒り泣く自分の親、etcetc。しかしここに、一つの決断を下した勇者の姿が。明里の幸せを第一に考える男、祐一は苦渋の決断を下し、明里を自由に行かせるのでした。格好良すぎるぜ祐一さん。惚れてまうやろがー!

幼い日の思い出

 くちびるふとゆがみ なにか言いたげな
 あなたおねがいだ 背中むけてくれ
 そのまま行くがいい 冬は涙ぐむ
 こころのためらいを 癒してくれるだろう
 男の炎のすべてを燃やし
 愛したつもりだ 悔いなどないさ
 春をめざしあなたよかがやけ
 薄れ陽を仰ぐ針葉樹の
 まなざしのように

貴樹と明里アゲイン

 赦しを得て貴樹の下へ走る明里。しかし祐一さんは客観的に見ても良い夫でした。その彼を捨てることに良心の呵責がないはずはありません。詫びようとする明里に、しかし祐一は行けと言います。本当に愛する人が本当に幸せになる道が、自分と共にあることではないと気づく。なんとも切なく、何とも残酷な運命ですが、人形のような明里を抱くことよりも、生き生きとした明里が暮らしていることを望んだ祐一。

二人の新たな時間への夜明け

 まさに
“冬のリヴィエラ 人生ってやつは
 思い通りに ならないものさ
 愛しければ 愛しいほど
 背中合わせになる”
(「冬のリヴィエラ」より)ですね。相手の幸福を思って身を引く愛。テレサ・テンの歌に登場する女性がよく見せる生き様のような気がしますが、それが出来る男というのも存在していいでしょう。こんな祐一さんだからこそ、涙を呑んで明里を預けたのだ。

渚の二人

 まあ以上、全て妄想なんですが、映像版のラストシーンの後日談として本当に再会する明里と貴樹なんてのを考えてみるのもいいかもしれません。ただそうなると、コミック版ラストの花苗と貴樹の再会などは完全に吹き飛んでしまうことでしょうね。二人の間に割っては入れる者なの存在しないでしょうから。

君のその微笑みと共に

 それでは聞いてみて下さい。まずはフルバージョン。芳村真理が登場しているのでおそらく「夜のヒットスタジオ」でしょう。HDです。歌が終わった後も番組でいろいろやっています。



 こちらも「夜ヒット」。井上順と芳村真理がトークしてから歌が始まります。



 香港・台湾火車のジェニー・ツェン(甄妮)が中国語でカバーする「針葉樹」。フルHDです。


 
 なんと初音ミクが歌う「針葉樹」。野口ミクだとか。


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