尼僧まんだら地獄:「尼僧サスペンスシリーズ」三部作の最終編

札幌イルミネーションその13
 
 こんばんは。今夜もしばれますねえ。室内は灯油ストーブのおかげで暖かですが。原油値下がりバンザイ!円安は気になるところですが、個人的には1ドル120円あたりがいいんじゃないかと。

パパンとママンのいけないシーンを見てしまった

 ところでリアル明里パパから久々に画像が届きました。リアル明里ちゃんも1才7か月になりました。近所の三才児が抱きついたり肩に手を回したりキスしようとしたりしているそうですが…もし「貴樹」という名前だったら容認してもいいんじゃなかろうか。それ以外の名前だったらしかるべき報いを与えてやりましょう。この写真はパパンとママンのいけないシーン(どんなシーンだ)を見てしまった明里ちゃんという感じでどうでしょう。

あれはいいものだ

 そしてこれは、遂に手に入れた宋の時代の青磁(笑)をうっとりと見つめるマ・クベ大佐な明里ちゃん。「これはいいものだ」とか言ってるんでしょう。指ではじいていい音色を出して下さい。

 され本題に入りますか。本日は赤松光夫の「尼僧まんだら地獄」です。赤松光夫の作品を取り上げるのは今回が初めてですね。

尼僧まんだら地獄

 赤松光夫は1931年生れで徳島県出身。浄土真宗の僧侶の四男として生まれました。京都大学文学部を卒業後、出版社に勤務して女学生雑誌の編集長をしていました。

大鵬と柏戸

 1960年から作家活動を始め、当初は青春小説を執筆し、川上宗薫とともに“ジュニア小説の柏鵬”と呼ばれたそうです。あ、「柏鵬」とは1960年代に横綱だった大鵬と柏戸のことです。大鵬は相撲史に残る不世出の大横綱だったのに対し、柏戸は辛うじてそれに拮抗しうるライバルという立場で、その優劣は明白でしたが、判官贔屓の大衆の声援は優者(大鵬)に挑戦する劣者(柏戸)に声援を送ったそうです。

三等高校生

 1961年に刊行した「三等高校生」は、1982年に“たのきんトリオ”の野村義男主演で映画化されています。どうでもいい話ですが同時上映は田原俊彦が主演にして二役を演じ、たのきんトリオがそろい踏みした「ウィーン物語 ジェミニ・YとS」。私のようなおっさんは、見てないけど、CMなんかでガンガンやっていたせいでタイトルだけは覚えています。

ウィーン物語 ジェミニYとS

 故・川上宗薫は官能作家の大家として有名で、むしろ青春小説を書いていたとは知りませんでしたが、赤松光夫も官能小説に転身していきます。特徴的なのは、「尼僧もの」といわれる尼僧を主役とした作品群を持つことです。

影武者淫法帳

 官能小説の他にも太平洋戦記や歴史小説も執筆しており、最新作は2008年の「影武者淫法帳 二人の家康」「本能寺妖炎 影武者淫法帳」です。

本能寺妖炎

 「尼僧まんだら地獄」は、赤松光夫オリジナルの「尼僧もの」の一つで、「尼僧殺人巡礼」「尼僧呪いの祭文」「尼僧まんだら地獄」で三部作となっています。各作品は相互に関連性はないのですが、解説を書いている影村英生によると「文中、ただの一度も姿をあらわさなぬ邪淫の祈祷師によって、みえざるカルマの糸をたぐられる尼僧サスペンス・シリーズ」なのだそうです。

 実は「尼僧殺人巡礼」は読んでいないのですが、「尼僧呪いの祭文」は読んでいます。「尼僧呪いの祭文」と「尼僧まんだら地獄」の共通点は、① 太平洋戦争時代の話が絡む ②フィリピン・ピナツボ火山が登場(「呪いの祭文」では現地に行き、「まんだら地獄」では過去の話として語られる) ③「鈴木道覚」の血縁者が登場(「呪いの祭文」では主人公の桐村麻子が道覚の娘、「まんだら地獄」では後半の主要登場人物一人・風間精二が道覚の息子)などで、“ただの一度も姿をあらわさなぬ邪淫の祈祷師”というのは鈴木道覚なのではないかと思います。この人、元僧侶で富山の薬売りをしていたそうですが、だいぶ年を取ってから精二と麻子の父となったらしいこと以外は、何者なのか一切不明で、それがまた登場人物達の運命に影を落としているのです。

 「尼僧殺人巡礼」「尼僧呪いの祭文」は描き下ろしですが、「まんだら地獄は」1982年から83年にかけて「東京タイムズ」(1992年廃刊)に連載されていたものを加筆訂正したものです。

 例によって文庫本裏表紙の内容紹介です。

修道女のイメージその2

 薬師寺葵は一年ぶりに帰国した。一年前、結婚式の直後何者かに夫の目前でレイプされた彼女は、結婚を破棄され、傷心を癒すためスペインの修道院に入っていたのだ。羽田に出迎えた友人の紹介でトルコ嬢となった葵はたちまちナンバーワンにのし上がったが、数人の客が葵の背に死霊が見えるという。彼女は客の教えに従い、出羽三山へ赴くが、そこで殺人事件にまき込まれてしまった。長篇官能サスペンス。

 参考までに「尼僧殺人巡礼」の内容紹介は

尼僧イメージ

 学園粉争のさなか、関東大学医学部事務局次長・小栗精一郎は不正入学にからんだ詐欺横領の容疑に問われていた。そんな折、大学二年になる小栗の娘・桐子が体育会系の学生らにレイプされた。数週間後、小栗は故郷徳島で自殺。傷心の桐子も大学を中退してインドを放浪。十二年後、尼僧・寂蓮となった桐子は、桜舞う和歌山の紀三井寺で、かつてレイプを謀った忘れ難い男と偶然にも再会した。官能サスペンス巨篇。

 「尼僧呪いの祭文」の内容紹介は

尼僧呪いの祭文

  看護婦桐村麻子は、フィアンセの九鬼院明彦の父、宗一に付添って下北半島を旅行していた。宗一は政財界に隠然たる実力をもつ右翼実業家である。恐山で宗一はイタコに口寄せを頼んだが、呼び出す霊の名に麻子は驚愕した。その名は麻子しか知らないはずだった。その夜、麻子は宗一に凌辱された。傷心の麻子の前に、尼僧姿の美女が現われ、麻子に因縁の恐ろしさを語りはじめた…。長篇官能サスペンス。  

 ということで、「殺人巡礼」は主人公の小栗桐子が尼僧となる話、「呪いの祭文」は主人公の桐村麻子に謎の尼僧(ラストで正体が示唆されますが)が接近する話ということになるのに対し、「まんだら地獄」の主人公である薬師寺葵は尼僧といってもキリスト教の修道女です。

修道女のイメージ

 しかもまだ正式な修道女ではありません。カトリック教会では、修道者になるためには一定のプロセスがあり、まず志願期と呼ばれる試しの期間に修道院で生活し、そこで適性があると認められると会員になるための研修期間というべき修練期に入ります。そして修練期を終えると初めて修道者として完全に受け入れられることになるのです。

見習いのマリア

 「サウンド・オブ・ミュージック」では修道院にいたマリアがトラップ大佐と結婚することになりますが修道女達がこれを祝福しているのは、まだマリアが見習い期間にいて正式な修道女ではなかったからです。薬師寺葵もスペインの修道院から一年で帰国しているので、まだ見習いでしょう。

 その後、彼女は修道服でトルコ嬢(今ならソープ嬢)になって人気を博すなど、およそ修道院での生活を冒涜しているかのような生活を送りますが、彼女の父が旧陸軍で憲兵少佐であり、フィリピンで戦犯の罪を他者になすりつけて帰国していたことから様々な出来事が彼女を襲います。葵は作中24才から25才になるということで、作品発表時期を考えれば昭和33年頃の出生であり、戦争中の様々な恨みつらみに関しては何ら彼女の責任ではないのですが、そこが「七代祟る」とも言われる呪いというか、因縁というものなんでしょうね。

アルハンブラ宮殿

 新聞連載ということもあって、官能シーンは多めで、しかも舞台は頻繁に変わります。出羽三山から四国、京都、伊豆、大島、さらにはスペイン・グラナダ(月の裏側じゃないですよ)と転々とする中で次第に明らかになる葵の出生の秘密。葵は内容紹介のとおり結婚式の直後に輪姦され(しかも処女だった模様)、その後修道院から帰国後はトルコ嬢になり、作中でも様々な男性と関係(和姦あり強姦あり)を結びますが、あまりそれを苦にしないタイプというか、従容と受け入れていくタイプです。受け身でありながら、柳の枝のように決して折れない気質とでも言いましょうか。

裁きの門

 中盤までの謎が謎を呼ぶ展開はサスペンスというよりミステリーに近いですが、戦後40年近くになっていた昭和50年代後半になっても、なお太平洋戦争は、人々の心に大きな傷跡を残していたのですね。ミステリーの女王と呼ばれるアガサ・クリスティーは「遠い過去の犯罪は長い影を引く」ということを様々な作品で表現してきましたが、本作はまさに過去の事件の長い影が葵を始め、戦後生まれの様々な登場人物の運命に影を落としています。

涙の丘

 色々なことがあった挙げ句、ラストに「修道院に戻ろう」と葵は思うのですが、しかし…これだけ作中で官能の虜になってきたこの人に本当の修道女になることが可能なのかと疑問に思います。むしろ本物の修道服でトルコで働いていたことなどがばれれば怒られて破門されるのではないかと。
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川上宗薫って・・・

官能小説の大家っていうイメージです(笑)
1冊くらいはお世話になったかも知れませんが・・・
この方が青春小説を書いてたのにもビックリですが、赤松光夫は青春小説の人だと思っていたので更にビックリですよ~~~
自分はラノベの元祖とも言われるコバルトシリーズ(文庫)を中学~大学まで愛読していたんですが、赤松光夫は確かにいました。

年代が上のせいか二人ともちょっと古臭い感じがしたのですが’官能小説御三家’では富島健夫が好きでした(笑)

Re: 川上宗薫って・・・

 junkyさんこんばんは、いらっしゃい。いつもありがとうございます。

 川上宗薫が大家なのは知っていましたが、ほとんど読んだ記憶がありません。芥川賞作家・宇能鴻一郎の方が…

> 自分はラノベの元祖とも言われるコバルトシリーズ(文庫)を中学~大学まで愛読していたんですが、赤松光夫は確かにいました。

 コバルト文庫とか知っていますが、赤松光夫がいたことは知りませんでした。私は秋元文庫派でした。あれもラノベの先祖だったような気がします。


> 年代が上のせいか二人ともちょっと古臭い感じがしたのですが’官能小説御三家’では富島健夫が好きでした(笑)

 富島健夫といえば「おさな妻」。「おさな妻 私を抱いて…16歳の初夜」という何とも言えないタイトルのテレビドラマで安田成美が主演していました。中村敦夫と結婚するという(笑)。タイトルはいろいろと期待させますが、至ってソフトな描写だったと記憶しています。
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