ビブリア古書堂の事件手帖5~栞子さんと繋がりの時~:栞子と大輔の恋の行方は

札幌の雪
 
 雪キタ━━(━(━(-( ( (゚∀゚) ) )-)━)━) ━━ !!!!!
 ……遂に積雪の日が来てしまいました。そんな…早すぎる。
 つひに降る 雪とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは 思はざりしを

ビブリア古書堂の事件手帖5

 今日は色々あってブログをお休みしようと思ったのですが、予想より早く帰ったのではやりやります。本日は最近ご贔屓の三上延の「ビブリア古書堂の事件手帖5~栞子さんと繋がりの時~」です。作者は折り返しを過ぎて終盤に入っているというので、シリーズは6~7巻で終了するのかも知れませんが、読む間隔が長いせいで長い時間を描いているように見えて、1が8月で5が翌年の5月なので、1から5まででまだ1年経過していないのですね。

湘南モノレール

 さて前作「~栞子さんと二つの顔~」は長編でしたが、再び短編集に戻っています。五浦大輔は前巻ラストで栞子に告ったわけですが、その答えが出る巻でもあります。そして今回も栞子ママン・マイクロフト智恵子登場。勝手に仇名をつけていいのかな?でも栞子はホームズ、大輔はワトソンという感じなので、例えるならそうなるんじゃないかと。ホームズの宿敵となったモリアーティ教授ではないと思うのですが…

ビブリア古書堂

 例によって文庫本裏表紙の内容紹介です。

 静かにあたためてきた想い。無骨な青年店員の告白は美しき女店主との関係に波紋を投じる。物思いに耽ることが増えた彼女はついにこう言うのであった。必ず答えは出す、ただ今は待ってほしいと、ぎこちない二人を結びつけたのは、またしても古書だった。いわくつきのそれらに秘められていたのは、過去と今、人と人、思わぬ繋がり。
脆いようで強固な人の想いに触れ、二人の気持ちは次第に近づいているように見えた。だが、それを試すかのように、彼女の母が現れる。この邂逅は必然か? 彼女は母を待っていたのか? すべての答えが出る時が迫っていた。

 プロローグ リチャード・プローティガン「愛のゆくえ」 

愛のゆくえ

 プロローグなのに5巻の冒険が全て終わった5月末日です。栞子が大輔に返事をしようとしますが、その答えはここでは出ません。引っ張るなあ。ちなみに「愛のゆくえ」は次のようなあらすじのようです。
 
 ここは人々が一番大切な思いを綴った本だけを保管する珍しい図書館。住み込み館員の私は、もう三年も外に出ていない。そんな私がある夜やって来た完璧すぎる容姿に悩む美女と恋に落ちた。そして彼女の妊娠をきっかけに思わぬ遠出をするはめになる。歩くだけで羨望と嫉妬の視線を集める彼女は行く先々で騒動を起こしてゆく。ようやく旅を終えた私たちの前には新しい世界が開けていた…不器用な男女の風変わりな恋物語。

The Abortion

 この筋は栞子と大輔の未来を示唆しているのでしょうか?ちなみに「愛のゆくえ」、原題は「The Abortion:An Historical Romance 1966」です。“Abortion”は堕胎とか中絶といった意味なんですが、これは何かを暗示しているのか否か…

 第一章 「彷書月刊」(弘隆社・彷徨社)

彷書月刊

 本好きの情報探求誌「彷書月刊」。古書と古書店をテーマとし、毎号異なる特集記事、本に関する連載、古書即売会の情報のほか、巻末には数十ページの古書店目録が掲載されていました。惜しくも2010年10月号で休刊したそうですが、この彷書月刊を古書店に持ってきて言い値で売り、しばらくすると買い戻すという女性が出現するというお話。彼女は一体何のためにそんなことをしているのか。これはまさしく正しき「日常の謎」ですね。

彷書月刊その2

 失踪し、俗世間を離れてひっそりと隠れるように生活している人々にはそれなりの理由がある、それはそっとしておいてやるべきだという主張と、勝手に逃げて、残された人々はどうなるのだという主張。栞子は母智恵子に去られた方なので、当然後者としての意識が強いのですが、前作で直接智恵子と会ってからは少しずつ変わってきているような気配もあります。

彷書月刊その3

 この章のトリックというか真相は結構簡単にわかりました。第二章との間に挟まる断章Ⅰが第1巻第二話の「落穂拾い・聖アンデルセン」であることからもバレバレですが…

落穂拾い・聖アンデルセン

 第二章 手塚治虫「ブラック・ジャック」(秋田書店)

ブラックジャック4巻

 栞子さんの大学の後輩の女の子からの相談です。パパンが手塚治虫ファンなのですが、大事にしているブラック・ジャックの単行本が何冊かなくなっているということで、これは犯人はすぐに判明します。高校進学の挫折から引きこもりになった弟なのですが、彼の話から不思議な「日常の謎」が浮かび上がります。

 親の反対を押し切って駆け落ち同然に結婚した両親。ママンが死の床に就き、弟を連れて病院に向かうパパンはなぜか本屋で止まってブラック・ジャックの単行本を探したのだとか。それさえしなければ臨終に間に合ったかも知れないのに、ママンより漫画の方が大事だったのか!と怒るヒッキー。それが事実ならその怒りは理解できますが…

4巻収録話の変遷

 例によって栞子が古書の知識と推理力を駆使して、パパンの行動の謎を解き明かしていきます。ちなみにヒッキーが隠したのは「ブラック・ジャック」の4巻で、これには当初「植物人間」という話が入っていたのですが、後に差し替えられて単行本に掲載されなくなりました。

 「植物人間」については2012年9月3日の当ブログ記事「封印作品の謎(その2)」(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-116.html)で触れていますので、よろしかったらそちらもご参照下さい。

 なお「封印作品の謎」も言及していますが「ブラックジャック」には自主規制などによる未収録作品がけっこうあります。現在入手困難となっている未収録ストーリーについてはこちらで知ることができます(少年誌に連載していたのでグロまでは行きませんが、現在では結構ショッキングが絵がありますので閲覧注意)。http://matome.naver.jp/odai/2135044940509052601

 ちなみに「封印作品の謎」は本書の参考文献の一つとして上げられていました。

 「ブラック・ジャック」は単行本の種類、あるいは同一単行本でも刷が変わると内容が変化することがあるので、なかなかにコレクター泣かせのようです。私はコレクションには興味はないのですが、現在は読めない作品があるということなら、一度読んでみたいとは思いますね。

黒いハンカチ

 第三章との間に挟まる断章Ⅱは小沼丹「黒いハンカチ」。栞子の唯一の友人といって良いリュウちゃんも智恵子の情報源の一人だったことが判明します。どんだけ娘の周囲に網を張っているんだママン。リュウちゃんは他人を意のままに操ろうとする智恵子に批判的で、栞子が彼女に会うことには反対のようですが、結局智恵子に会いたいという栞子のためにメールしておくことを約束します。

 第三章 寺山修司「われに五月を」(作品社)

われに五月を

 かつての知人(智恵子の幼なじみ)で、栞子によってビブリア古書堂に出入り禁止となっている門野澄夫が登場。兄姉達にさんざん金銭的に迷惑をかけ、ビブリアにも盗品を売りに来たということで明らかに厄介者です。栞子も珍しく極めて不機嫌かつつっけんどんな応対をしています。

 そんな彼が、兄が大切にしていた寺山修司の「われに五月を」を、死に際に譲り受ける約束を取り付けていたのだと言います。もちろん遺族は誰も信じませんが、彼は確かだと主張します。栞子も嘘ならもっともっともらしいことを言うだろうと、渋々解決に着手しますが…

家出のすすめ

 実はこの「日常の謎」は、智恵子からのテストなのでした。この謎が解決できたら会ってやるという。どんだけ上から目線だママン。しかし栞子は、30年前に起きた出来事を鮮やかに解明して見せ、テストにパスするのでした。
 
 エピローグ前の断章Ⅲは木津豊太郎「詩集 普通の鶏」。すいません、これは画像が見つけられませんでした。ようやく智恵子と会うことができた栞子。彼女が大輔の告白への返事の前にぜひ会って聞きたかったこととは…

寺山修司

 それにしても智恵子ママン、他人の心理を見抜けると豪語し、しばしば周囲の人間の操作を行うわりには、肝心の栞子のマニュピレートには二回も失敗しているのですね。大輔も操れないし。肉親には持ち前の冷徹な推理力は機能しないのでしょうか。或いは自分の行動については、ということか。占い師は自分のことを占えないとか言いますが…

実写版ビブリアのキャスト達

 エピローグは再び「愛のゆくえ」。それはそうと(話をはぐらかす)、1巻に登場し、栞子を石段から突き落として大怪我をさせた田中敏雄が公判前に保釈され、栞子の周辺に影を落とします。日本では起訴後に保釈が認められており、刑事訴訟法89条では、保釈請求権者(勾留されている被告人、弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹)から請求があった場合は、裁判所は保釈を許さなければならないとされてます。

栞子

 ただし裁判所が請求を却下することができるケースがいくつかあって、田中敏雄の場合は、死刑、無期又は短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯した場合(刑訴法89条1号)と被害者や証人に対し、危害を加えるおそれがある場合(同条5号)にひっかかる可能性があると思われます。被害者である栞子に接近してきたことで、即座に保釈取り消しにできそうな気がしますが、それじゃあ面白くないので次巻では二人の対決などが描かれることになるのでしょうね。どんな理由があるにせよ、女性(しかも美人)に大怪我させて平然としているなんて鬼畜の所行なので、大輔の柔道殺法(アスファルトの道路で大外刈りとかコンクリートの床で一本背負いとか各種絞め技とか)でしかるべき報いを与えて欲しいものですが、三上延にアクションはないか。

栞子2

 しかし熱狂的なコレクターの心理というのは私なんぞには到底理解しかねるものがありますね。ちなみに壇蜜さんのサインの入った「わたしの奴隷になりなさい」(角川文庫)を持っていますが、これもある種のマニアにとってはたまらんのかな。仮にそうだとしても、私は栞子ほどか弱くはないので、田中敏雄程度なら撃退できますけどね。

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「ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~」三上延

静かにあたためてきた想い。無骨な青年店員の告白は美しき女店主との関係に波紋を投じる。彼女の答えは―今はただ待ってほしい、だった。ぎこちない二人を結びつけたのは、またしても古書だった。謎めいたいわくに秘められていたのは、過去と今、人と人、思わぬ繋がり。脆いようで強固な人の想いに触れ、何かが変わる気がした。だが、それを試すかのように、彼女の母が現れる。邂逅は必然―彼女は母を待っていたのか?すべて...

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No title

長く読んでいたい私としては、
少し足踏みみたいな感じはするのですが、
とてもうれしい内容でした。
すべての話がよくできていて私は好きです。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。

Re: No title

 藍色さんこんばんは、いらっしゃい。いつもありがとうございます。

 もうすぐ終わるということを作者が匂わせ始めたのが本巻ですが、もうすぐ読み終わる6巻では終わらず、おそらく次巻でも終わらない気がするので、完結は8巻以降だと思います。なのでもうちょっと楽しめそうです。大人気らしいので「週刊少年ジャンプ」だったら無理矢理続けさせるかも知れませんね。
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