「言の葉の庭」考察(その3):現代にアナログ派は無理がある?

夏本番へ

 フライデーナイトにこんばんは。出張に行くと一週間が早く終わるような気がします。そういうことなら毎週出張に行きたいものですが、世の中そううまくはいかないのでした。どうやら台風は札幌に影響を与えないようで一安心ですが、大雨に見舞われた地域の皆様にはお見舞い申し上げます。代わりに来週は札幌もいよいよ最高気温30度らしいです。夏本番ということですね。

言の葉の庭考察その3
 
 さてそれでは公約(?)どおり「言の葉の庭」、最後の妄想です。

晴れの日の二人

4.新海誠はアナログ派?

百香里の手紙

 梅雨の時期の話という印象の強い本作ですが、実際には9月(百香里退職、孝雄フルボッコ、そして一番幸せな時間→罵倒と抱擁)から冬を経て、翌年2月に孝雄は百香里から手紙を貰っています。

ラストシーン

 この日付が2014年2月3日であることから、今年の節分の日であることがわかります。つまり「言の葉の庭」の物語は映画が公開された2013年がメインなわけですね。また節分に書いた手紙ということで、孝雄に届いたのはどんなに早くても4日以降、つまり立春以降になります。梅雨に始まった物語は、夏秋冬を経て早春に終わったことになります。

サンドイッチを食べる二人

 ところで我々とほぼ同じ時間に生きている孝雄と百香里ですが、なぜに今時連絡手段が手紙なんでしょうか。

 仮説1:二人ともデジタル機器に弱い

言ノ葉

 これは仮説を立てておいてなんですがいきなり破綻しています。百香里も孝雄も携帯を持っており、電話としてはもとより、アラームを鳴らして目覚まし時計代わりにもしています。これで電話もメールもできないということはありえないでしょう。

 仮説2:古文教師だから

リアル百香里

 それは理由にならないと思われるかも知れませんが、百香里はさすがに字が綺麗です。万葉集で謎かけするような人なので、平安時代のように手紙でのやりとりを好んだのかもしれません。短歌が書いてあったら返歌をしたためねば。貰う手紙は嬉しいけど、書く手紙は大変ですよね。百香里に手紙を好む理由があるとしても、孝雄のほうがどうでしょうか。案外メールで返事してたりして。

ほしのこえ

 この、瞬時に連絡が取れるメールとか電話といった手段をなぜか新海誠は廃していますね。「ほしのこえ」こそ美加子と昇はメールでやりとりをしていますが、光速の壁に隔てられて到着するのが数ヶ月~8.7年後という長さです。つまりメールが本来のメールとしての機能を果たさず、遙か彼方からの手紙のような存在になっています。むしろシリウス星系からメールしてちゃんと地球に届いていることの方が驚くべきことのような。

雲のむこう、約束の場所

 「雲のむこう、約束の場所」はヒロインの佐由理が原因不明の睡眠障害を発症して入院してしまって姿を消したので、メールも手紙も届けようがありません。

岩船の別れ

 そしておなじみ「秒速5センチメートル」でも、貴樹は携帯を持っているものの、メールは打っては消去するだけで、明里に送ることはありませんでした。電話番号も知っていたはず(岩船で別れ際に「手紙書くよ!電話も!」と言っていますから)ですが、二人のやりとりは手紙だけで、お互い相手の知らない時間を生きていく間にその間隔も間遠になっていき…(ぶわっ)。貴樹はなぜ電話をしなかったのか。おそらく明里の家の電話なのでかけるのに躊躇した可能性はありますね(ママンが出たりパパンが出たりする可能性があるので)。

メールを打つ貴樹

 ではメールアドレスは…ということなのですが、中学生時代には二人とも携帯は持っていませんでした(持っていたら「雪の一夜」は起こりえません)。高校生になって貴樹は携帯を持っていますが、明里は持っていたのでしょうか?「コスモナウト」でしっかり携帯が描写されている貴樹に対し、高校生時代がごく断片的にしか描かれていない明里が携帯を持っていたかどうかは不明です。

突っ伏す明里

 この突っ伏す明里の机には携帯はありませんが、そんなこと言えば貴樹だって机に携帯はありませんしね。明里が携帯を持っていなかった、あるいは少なくとも手紙が途絶えるまで持っていなかったとしたら、そもそも貴樹は明里にメールを送りようがなかったことになります。貴樹が送らずに消去していたメールは、送らないのではなく、遅れなかったのか?

突っ伏す貴樹

 もしお互いに携帯を持っていたとしたら、メールはもとより、誰はばかることなく電話もできます。電話でお互いの肉声を聞くと言うことは、会うほどではないにせよ、手紙よりは遥かに情報量が多い気がするのですが…長距離で電話料金がえらいことになるのでしょうか。

カラフルな二人

 おっとここは「秒速」考察の場ではありませんでした。いけませんねえ、「秒速病」患者は。要するに、新海誠作品では即座に相手に文章を送れるメールはほとんど活用されていないのですが、本作でも同様なようです。メールを使わないからこそ生まれる情緒というものがある、と言われれば確かにそうかも知れませんが、例えば90年代前半頃とか昭和時代とかなら説得力充分なのですが、現代を描いてそれは却って不自然な気がするのです。

ある意味絶頂シーン

 お互いすでに中高年とかならいざ知らず、10代と20代でメールを使わないとは。今ならLINEでやりとりしてたっておかしくありません。百百合のLINEのアカウントが乗っ取られて、詐欺メッセージにひっかかった孝雄がなけなしのアルバイト料をはたいてweb moneyの30000点のプリペイドカードを2枚買ってしまったりして。

詐欺撃退
詐欺撃退その2
詐欺撃退その3

 最近は皆さん撃退がお上手なようですね。こんなのに引っかかってはいけませんよ。

砕けたファンデーション

 それはさておき、新海誠はメールが絡んだ話を上手くつくることができなのかな…という感じがします。それならそれで、いっそ時代を昔に設定したらいいのにと思うのは私だけでしょうか。

百香里の生足

5.二人の将来は…

依存体質の百香里

 しっかりと抱き合った二人ですが、おそらくそのまま孝雄初体験…というような流れではなく、滂沱の涙が収まった後はお互い我に返って照れ照れでもじもじしていたんじゃないかと思われます。でもきっと連絡手段くらいは交換したんでしょうね。最低住所、普通なら電話番号とメアドも。

構ってちゃん百香里

 で、翌年2月の段階で百香里が再び教壇に復帰したことを知った孝雄、ラストで「いつかもっと、もっと遠くまで歩けるようになったら…会いに行こう」と言っています。それっていつ?

先生復帰の百香里

 仮説1:高校を卒業したら

孝雄有頂天

 タイミングとしては適当かなと思います。高校を卒業しないといつまでも生徒と教師の関係から脱却できそうにないし。しかし、高校卒業したって夢は叶っていません。「もっと遠くまで歩けるようになった」と言って良いかやや疑問ですね。

 仮説2:靴職人になったら

雨と百香里

 これは完全に「遠くまで歩けるようになった」と言って良いでしょう。しかし一体何年後なんでしょうか?新米靴職人ではなく、いっぱしになってからなんて考えたとしたら…。四国に向かった孝雄が見たものは、四人乗り(一人前籠、一人荷台、そしてもう一人はおぶって)で逞しく自転車を漕いでいる生活臭に満ち満ちた四十路の百香里だったりして。

笑顔の百香里

 そもそもこのお話、二人が結ばれるという物語なのでしょうか。再会はいいです。しかしそれは恋愛を伴うものなのか。二人が互いを必要としたのは、孝雄が言っているように「歩く練習が必要な二人」だったからこそであり、二人とも自立して歩けるようになったらもうお互いの存在は必要不可欠ではないでしょう。

足のサイズを測る

 年上の美女に憧れる孝雄は、まあ男なら一度は通過する道だとも思えますが、一回り年下の少年に救いを求める百香里はばりばりの依存体質のように見えます。私は百香里は本質的に依存体質の人だと思っていますが、心の傷が癒えたのなら、さすがにこんなに年下に依存することはないのではないかと思います。教師が生徒に依存してはモラルにも反するでしょうし。女性に頼られるのを好む男もたくさんいますから、年齢の近いそういう男性とお付き合いするのがいいでしょう。

足フェチには堪らない?

 ということで、二人はやっぱり結ばれることはないのではないかと思います。孝雄にとって百香里は甘酸っぱい青春の一ページでいいでしょう。下手すると百香里は依存体質よりもっとヤバイヤンデレ体質かもしれませんし。

ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れない…

 ヤンデレの女教師に死ぬほど愛されて眠れない…なんてことになったら…

先生シリーズ

 ほら、ちゃんとありますよ。女教師シリーズも(笑)。

6.残された(どうでもいい)謎

① 孝雄のパパンはどうなった?

御苑の向こうにビル群

 孝雄の回想で、パパン、兄貴、孝雄が誕生日プレゼントに紫のパンプスを送っているシーンがあります。それなりに仲の良い家族のようでしたが、今兄貴は彼女とラブラブ(まあこれはいい)、そしてママンは恋人の元に奔っている……。あれ?パパンは?

 仮説1:死別した

二人の談笑

 不慮の事故ないし病気でパパンは返らぬ人に。一人残されたママンは恋愛体質で、パパンとの想い出だけに生きることはできず、男を求めて…

 仮説2:離婚した

梅雨の百香里

 パパンの浮気、ママンの浮気、ドメスティックバイオレンス、借金、ギャンブル、アル中…まあいろいろ原因はあるでしょうが、一番ありふれているっちゃありふれていますね。

 仮説3:失踪した

モルダーあなた疲れてるのよ

 某半島の工作員に拉致されたとか、宇宙人のアブダクションに遭遇したとか(モルダー、あなた疲れてるのよ)様々な理由からパパンが失踪し、その行方は皆目見当がつかないとか。この場合、失踪宣告→認定されないとママンは離婚・再婚できませんが、恋人と同棲する程度は問題ないでしょう。

百香里のための靴

 孝雄がパパンについて一切言及しないのでパパンの消息は不明ですが、公式HPによると離婚しているのが正解のようです。なにがあったんでしょうかね。いずれにせよ、パパンの不在が孝雄の靴職人になりたいという夢を困難なものにしている可能性があると思います。養育費ちゃんと払ってないなパパン?ママンの所得は十分なのかな?

② 松本と佐藤さんのなれそめは?

佐藤さん、松本、孝雄

 9月に入って久しぶりに友人に会った孝雄ですが、佐藤さんが声をかけ、二人を見た孝雄は「お前達焼けたな」とあきれたように言うわけです。三人が一年生ならどってことない光景なんですが…

松本

 実は佐藤さん、松本の彼女なのはいいとして、二年生なのだそうです。孝雄と松本は一年生。つまり松本は高校入学して半年も経たずに彼女を作ったのか?

佐藤さん

 それも可能性がないわけじゃありませんが、ここで注目されるのは、孝雄に声を掛けたのが佐藤さんであるということ。そして二人を見た孝雄が「お前達焼けたな」と言っていることです。

百香里の部屋に日が射して

 孝雄と松本は中学が同じだとかで旧知の間柄だったとして、友人が高校に入ってから付き合い始めた上級生の女の子を捕まえて「お前達」と言うでしょうか。孝雄はこの年代の少年にしてはわりと年長者に対する口の利き方を知っているようなので、友人の彼女であるとはいえ、さほど親しくない上級生にタメ口をきいたりしないのではないかと思われます。

百香里の部屋にて

 つまり佐藤さんも孝雄にとっては旧知の存在であったほうが自然です。例えば佐藤さんと孝雄はそもそも幼なじみで、友人の松本と付き合い出したとか。しかしそれにしては佐藤さんは「秋月君」と呼びかけています。幼なじみだったら「孝雄」とか「孝雄くん」とか言いそうなものです。ということは、三人とも同じ中学で、松本と佐藤さんは中学時代から交際しており、孝雄ともかなり親しくなっていたというあたりが適当なような気がします。

相沢祥子

 いずれにせよ孝雄と百香里の一回り差に較べれば一つ年上位全然問題じゃありませんぜ。この二人は結ばれても良いなと思います。ようし孝雄、お前は相沢祥子をゲットだぜ!

③ 兄貴は孝雄を見捨てたのか?

リーマン翔太

 ママンが家出をしたというのに孝雄が独りぼっちになるのもおかまいなしに家を出て彼女と同棲する兄貴の翔太。何となく職業は寿司職人のような気がしていたが、そういうことはなかったぜ!(きっと)

翔太の寿司

 ママンは大学職員だそうですが、家ではともかく、孝雄に生活費は送っているんだろうな?もしそういうこともしない毒親だとしたら、高校生の孝雄を置き去りに彼女と同棲する翔太も結構な鬼畜兄貴です。

疲れたモルダー

 孝雄は引っ越しの手伝いをしたり、特に翔太を恨んでいる様子もありませんから、多分問題ないんでしょうけど…。ちなみに翔太は孝雄の11才年上で26才。同棲する彼女の寺本梨花は24才だそうです。翔太を百香里とくっつけて、孝雄は兄の彼女の梨花にちょっかいを…。いかん、ちょっと18禁妄想をしすぎだ。うん、僕疲れているのかも知れないよ、スカリー。

翔太と彼女

 ちなみに寺本梨花のCV寺崎裕香は「秒速5センチメートル」「星を追う子ども」にも出演しているそうで、新海作品の常連ですが、「秒速」での役は「女生徒」というだけ。誰やねん!?

貴樹と先輩

 あれかな?貴樹に話しかける先輩の女生徒。親しげに話しかけていて何気に良い感じでしたが。

百香里の足元

 孝雄が百香里に惹かれたのが、あの年代特有の年上の女性への憧れではなく、単に年上好きという性癖ゆえだったとしたら、翔太は気をつけなければなりません。知らない間に弟に彼女がNTRですよ。12才差もものともしない孝雄なので、9才差は危険極まりありません。

桂言葉

 というところで「言の葉の庭」考察シリーズはおしまいです。半分妄想になってしまいましたがなにとぞご勘弁を。比較的明るい終わり方なので、「秒速病」はあっても「言の葉病」はないことでしょう。同じ「ことのは」でも「言葉病」ならあるでしょうけどね。

夢に出てきそうな言葉様

 そう…桂言葉……いい娘なんだけど……好きになった相手が悪すぎた……。

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