「言の葉の庭」考察(その2):百香里を追い込んだ真犯人は?(考察と言うより妄想です)

今日の地震

 こんばんは。北海道に来て初めて「緊急地震速報」を聞きました。驚きましたが、幸い札幌は大きな揺れはありませんでした。沖縄を襲う台風に較べたらなまらなんくるないさー。

英語版言の葉の庭

 それでは昨日の続きで「言の葉の庭」の考察を続けましょう。考察というより今日は妄想編です。

バイト中の孝雄

3.百香里の退職は仕組まれた「罠」?

息をするのも辛かった頃

 ちょっと謀略論のようですが、百香里への嫌がらせ→退職は何者かによって仕組まれた謀略ではないかというのが私の妄想です。もちろん「何者か」もその理由も併せて説明しましょう。

 まずは本編から判明する本編開始からラスト前の時点(6月~9月)での情報を整理しておきましょう。

嫌がらせを受けていた頃の百香里

① 古文教師の雪野百香里と体育教師の伊藤先生(名前は宗一郎)は以前交際していたが今では別れている。

② 百香里は生徒(現三年生)から執拗な嫌がらせを受けた。その規模はクラス全体から親まで巻き込んだものであった。

一瞬明るく

③ 百香里は②の精神的ストレスにより学校に通勤できなくなった。通勤しようとはしていたが、怖くてできず、新宿御苑で酒(ビール類)に逃げていた。 

④ 百香里は味覚障害も起こしており、アルコール類やチョコレートの味しかわからなくなっていた。これは朝からビールを飲んでいた理由の一つでもある模様。

コミック版言の葉の庭

⑤ 百香里は自身の身の振り方について“元カレ”の伊藤先生に相談しており、結果的に退職することになった。退職を決意した時点で味覚障害は解消しつつあった模様。

 まず②の生徒からの嫌がらせですが、これを主導していたのが相沢祥子一派であることは間違いありません。その名を聞き出した孝雄が祥子をひっぱたいてボコられていましたね。で、その理由は、孝雄の友人・松本やその彼女である佐藤さん(なんと孝雄や松本の先輩で二年生だそうです。松本はどういう経緯で佐藤さんと交際することになったのが非常に興味がありますが、それについてはここでは触れません)によれば、

雨の駅

a. 百香里は三年の女子達とずっともめていた(松本)

b. 百香里は悪くなく、“誰か”の彼氏”が百香里に惚れちゃったとかで、逆恨みしてクラス全員でさんざん嫌がらせをして、親にまででたらめな噂をばらまいた(佐藤さん)

駅で俯く百香里

というものであったそうです。“誰か”が相沢祥子であることはほぼ間違いないでしょう。また彼女は不良グループの中心人物で、その影響力の強さで彼女のクラスでもボス的存在だったようです。クラス全員が彼女の主張を信じたとは思えませんが、相沢一派には逆らえなかったのでしょう。

 さらに佐藤さんは

結構汚部屋?

c. 伊藤先生とかに警察に届け出るべきと何度も言ったが、学校側は大事にしたくなかった(ので動かなかった)

と言っています。これを裏付けるように、百香里のモノローグでも“息をするのも辛かったあの頃、あなたは周りの声ばかりを聞いていて、私を信じてはくれなかった”と言っていますので、学校側は百香里のために積極的に動かなかったことは間違いないでしょう。

佐藤さん

 この際、モノローグの背景に雪景色や冬服の百香里が描かれているので、おそらく嫌がらせは1~3月頃、つまり相沢祥子らが2年生の時点で始まったのだと推測されます。そして松本のセリフによれば孝雄とクラスの違う松本は百香里の授業を受けたことがあるらしい(そうでなければ「雪野ちゃん、優しすぎるんだ」といった発言はできないでしょう)ので、百香里が学校に通勤できなくなったのは、孝雄らが入学してからだということになります。年度をまたいでまで嫌がらせとはどれだけしつこいんだ相沢祥子。

 ここで①に戻りますが、百香里と伊藤先生が別れたのはいつの時点なのでしょうか。シンプルに考えると、相沢一派の百香里への嫌がらせについて、伊藤先生らが真摯に対応してくれなかったことへの不信とか不満が契機にったのではないかと思われますが、私はそれ以前に二人の関係は切れていたのではないかと思われます。

タバコをふかしながら

 というか、百香里としては嫌がらせ事件を契機に伊藤先生と別れたつもりだと思われますが、伊藤先生からするとそれ以前から百香里との関係を清算したかったのではないかと。百香里と電話する伊藤先生は、狭いベランダでタバコを吹かしながら話しています。これが誠実ではない証し…といってしまえば喫煙者から誤解だと言われるかも知れません。

ベランダで話す伊藤先生

 決定的なのはこれです。おわかりいただけるだろうか…

おわかりいただけるだろうか…

 レースのカーテン越しに、食器を置いているかのような動きをする影は明らかに女性です。これは一体誰なのでしょうか?そりゃあ伊藤先生の「母」「姉」「妹」などとする説なども可能ですが、一番可能性が高いのは「妻」ではないでしょうか。

 百香里と別れてから交際を始めた「今カノ」の可能性もありますが、別れて数ヶ月で新しい彼女を見つけて同棲状態にまで持ち込んでいるというのは考えにくいような気がします。

おっさんぽい伊藤先生

 そしてこの伊藤先生、こうして百香里との対比で見るとわかりやすいのですが、かなりおっさん風です。体育教師なので体型は崩れてませんが、ヒゲがおっさんの雰囲気を寄り強調しているような。

 さて、それでは妄想タイムですよ。皆さん付いて来れますかな?

孝雄

① 伊藤先生は妻帯者だったが、新卒で入ってきた百香里に惚れて口説いた。右も左もわからない新人教師だった百香里からすると頼りがいのある先輩教師に映ったし、伊藤先生からするとその初々しさがまた…げへへへへ。

② 伊藤先生が妻帯者であることは流石に百香里も知るところとなったでしょう。しかし伊藤先生は「妻との関係は崩壊している」「近い将来別れるつもりだ」とかなんとか言いくるめて百香里をモノにしてしまいます。あるいは妻と離婚して百香里と再婚という気持ちは本当にあったかも知れません。

百香里

③ しかし交際してしばらくすると、百香里の「依存体質」が重くなってきます。百香里は年上・年下を問わず男に依存するタイプなのではないかと思われます。「察してちゃん」であることは、事実上初対面の孝雄に万葉集の短歌を謎かけのように放ってみせたりしているところに顕れています。「構ってちゃん」であることは、自分の学校の生徒であることがわかっていながら何度も同じ場所に足を運んでいることから明らかではないかと。

昔の想い出

④ こうしていつ奥さんと別れるのか、いつになったら自分(百香里)と結婚してくれるのかと執拗に迫ってくる百香里は伊藤先生にとって悩みの種となっていきます。なまじ遊び慣れていない真面目な若い子を相手にしたのがいけませんでした。下手をすると伊藤先生は初体験の相手かも知れません。処女を貰ったこと自体は嬉しかったかも知れませんが、その代償は…

古文の授業中

⑤ 当然二人の関係は内密のものでした。おそらく佐藤さん他生徒達は気付いていなかったでしょう。しかしこんな状況が続けば周囲に発覚するのは時間の問題です。百香里も伊藤先生が本当は奥さんと離婚するつもりはないことに薄々気がつき始めているかも知れません。例え同じ学校の教師同士の恋愛でも、きちんと結婚という形でゴールインできれれば問題はないでしょう。しかし破局はよろしくありませんし、ましてや不倫となると、伊藤先生もただでは済みません。不倫の責任は二人にあるとはいえ、若い子を誘惑した以上伊藤先生の罪の方が重いと誰もが考えるでしょう。

藤棚の二人

⑥ といって今さら伊藤先生の方から百香里に「別れてくれ」とは言い難いです。散々弄んでおいて今さらって話ですよ。どんな修羅場が巻き起こるか。プライベートの場でならまだしも、学校で揉めたら極めて危険です。

⑦ つまり「円満」に別れようとするならば、百香里の方から別れを切り出す形にしなければならない。そうすれば「済まない、僕が妻と別れられなかったばかりに君に辛い思いをさせた…」的なクサいセリフで幕を引けます。

相沢一派

⑧ 伊藤先生は、佐藤さんの発言からして、生活指導とか風紀担当だったのではないかと思われます。少なくとも学校内において相当発言力が強く、影響力がある教師だと思われていたはずです。そしてその影響力は生徒にも及んでいたのです。

⑨ 伊藤先生は相沢一派とも繋がりがありました。校則違反や警察沙汰を目こぼししてやったかして懐柔していたのでしょう。あるいは相沢祥子と肉体関係があった可能性もあるのでは。祥子は明らかにビッチなのでそれくらい男性遍歴という勲章の一つくらいにしか思わなかったのでは。直接祥子と繋がりがなくても、当時祥子の彼氏だった男子生徒と繋がりがあれば、「オレ、雪野ちゃん好きだなあ」と言わせて祥子をキレさせることは可能だったでしょう。

おこ6段変形

⑩ 男の一人や二人、男出入りの激しそうな祥子にとっては本来大した問題ではないのではないかと思いますが、自分が振ったり奪ったりするのは当然でも、振られたり奪われたりは我慢できない女王様体質が祥子にはあるのではないかと思われます。身体はビッチでもプライドは女王の祥子、おのれあのBBA(百香里)許せんと勝手に激おこぷんぷん丸ないしげきオコスティックファイナリアリティぷんぷんドリームとなって百香里攻撃を開始します。祥子が本気で百香里を嫌っていたことは、百香里が退職することになったと言う孝雄に対し「関係ないんだけど!あんな淫乱BBA!!」と吐き捨てるように言っていることからはっきりしています。また少なくとも相沢一派も祥子の主張を支持していた模様です。つまり祥子と愉快な仲間達は踊ったのではなく、踊らされたのです。

百香里が孝雄に贈った本

⑪ 当然伊藤先生は百香里から相談を受けたことでしょうが、そこは生徒の人権とか学校の体面とか言いながらのらりくらりと躱しまくります。またその一方で学校側にも同様の主張を強く行って積極的に百香里を救うようなことをさせない段取りをしていたことでしょう。そう、“あなたは周りの声ばかりを聞いていて、私を信じてはくれなかった”という百香里のモノローグは、彼女が全然気付いていないことを示しています。伊藤先生は信じてくれなかったのではなく、わざと信じないふりをしていたのです。

百香里の手紙

⑫ 百香里は精神的に追い詰められ、また全く頼りにならない伊藤先生にも愛想を尽かして別れを切り出します。残念そうに、しかしあっさりとそれを了承する伊藤先生。「我々教師は生徒のことを第一に考えて行動しなければならないんだ。そのことをわかって欲しい。だが百香里、別れたとしても今後の君の身の振りについてはとても心配している。可能な限り力になるので相談して欲しい」位のことは言ったでしょう。

⑬ そして依存体質であるが故についつい伊藤先生に相談してしまう百香里。もちろん伊藤先生は、「退職して故郷(四国)に帰った方がいい」と誘導。その辺りは本編中の「思い切って仕事を辞めることにして良かったじゃないか」といった発言からも伺えます。

四国で教壇に立つ百香里

⑭ 9月に退職した百香里は、翌年の春(新年度)を待たずにもう四国で教壇に立っています。臨時職員とか非常勤講師とかの可能性もありますが、こんなに早く教壇に復帰できたのは、彼女に救いの手をさしのべなかった学校側(=伊藤先生)のせめてもの手向けだったのかも知れません。全く未知の場所で教師を続けている分にはなんの影響もない訳ですし、追い詰めすぎることは却って危険です。自殺でもされようものなら、事件が明るみになってしまいかねません。

真犯人・伊藤宗一郎

結論:そういうわけで、百香里の退職に至る悪質な嫌がらせ事件の黒幕である真犯人は、伊藤先生、いや伊藤宗一郎、お前だ!!……一番の味方が実は真の敵って、ダン・ブラウンの小説みたいですね。

百香里のための靴

 この妄想を聞いたら孝雄はきっと伊藤宗一郎に殴りかかるでしょうね。その時にはあっさり孝雄を叩き伏せておいて、倒れた孝雄の耳元で、「くっくっく…お前も味わってみろよ、百香里をよぉ。いい味だぜぇ~全部オレが調教してやったからな!」とか、思いっきりゲスいセリフを吐いて欲しいです。ゲスいのは私か(笑)

藤棚の下の百香里

 なお、或いはちょっとギャクぽい推測ですが、伊藤先生が百香里を選ばなかった理由は、百香里が「メシマズ嫁」の資質充分だったからかも知れません。味覚障害は差し引いてもかなり下手そうでしたし。それに引き替え伊藤先生の妻はルックスはさておき料理上手だったのかも知れません。

もうちっとだけ続くんじゃ

 いや、ホントあとちょっとだけですから。
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No title

相変わりませず、切れ味の鋭い妄察ですなぁ。

ボクは映像作品しか見ていませんが、2度ほど視聴したころから伊藤先生の胡散臭さが我慢できなくなってきており、この作品のあちこちから立ち上る理不尽なニオイに不愉快でした。

そしてユースフさんの考察によって、それら点と点が線になった!みたいな感覚。痛快です。
どんどん続けちゃってください!

Re: No title

 fumbartさんこんばんは、いらっしゃい。いつもありがとうございます。

> ボクは映像作品しか見ていませんが、2度ほど視聴したころから伊藤先生の胡散臭さが我慢できなくなってきており、この作品のあちこちから立ち上る理不尽なニオイに不愉快でした。

 この先生、見れば見るほど怪しいんですよね。とにかく学校から百香里を追い出したくて仕方なさそう。生徒が寄ってくるのまで追い払おうとしたり。そんなところから生まれた妄想ですが、案外的を射てたりして…とか思っています。百香里はダメンズウォーカーかも知れません。

 百香里は可哀想ですが、なぜこうなったかをきちんと省察しないと、四国でも同じ目に遭いかねません。

 実は吉野北高校で図書室の司書になってたりして。牧田先生は実は百香里……

No title

(´・・`)fumbartさんはじめましてROM専ともうします. 貴殿をパースペクティヴの達人とみこんでお尋ねしたいことがあります. 映像作品のクライマックスで非常階段の抱擁からズームアウトした西日の新宿御苑遠景カットを視てモヤモヤしませんでしたか?

ROM専さまへ

ROM専さまながらく気づきませんで、失礼いたしました。

パースペクティヴの達人とは、勿体ないおことば(^^; 単なるカメラヲタですよ。


モヤモヤですか。
割といつもモヤモヤしながら生きていますので、ご指摘のシーンでこれといった印象を特に強くしたことはありませんでした。

と言いつつ、かつての新海作品が往々にして指摘されていた平面的な背景描写が、先の作品(星を追う子ども)から進化をしはじめ、当作品ではポリゴン3Dモデリングでドコモタワーを作ったのか??
いや、それ以上に遠近感や立体感を誇張した描写が出てきましたね。
フョトショで書き連ねた2Dセルのコマ送りでここまで表現するのか!という違和感のことをおっしゃっているのかな?とも思いましたが、いかがでしょうか。

アニメ作品ですから、誇張は面白いですね。それくらいでちょうどいいかな?と思っています。

No title

(´・・`)fumbartさんこんばんわ、お返事ありがとうございます。
おいらがモヤモヤしたのはライトとシャドゥの関係です。
件のシーンで光源(夕日)の位置からして有り得ない(と思える)外階段の陰に毎回「視ちゃダメだ! 視ちゃダメだ!」とおもいながら、つい視てしまってモヤモヤ‥の繰り返しになってしまいます‥なんとかしたいとおもうのですが、おいらの知識ではどーにもなりませんでした。

No title

ROM専さま

ひとさまのブログでたびたび失礼しております(^^;

なるほど、陰の具合ですね。
ご指摘を受けまして、再度確認してみました。

あーほんとだ。これはおかしい
階段下に掛かる影が、これはもうおかしい。
階段の手すりに掛かっている影が・・・。
影の角度も要精査。

一人で見ると自分の視点だけで印象が完結してしまうので、様々な意見や感想をお聞きできるのは面白いですね。ありがとうございました。



そうそう、階段下ってバス停、ほしのこえに出てましたね。


No title

(´・・`)fumbartさんこんばんわ、ありがとうございます、そしてごめんなさい。どうやら秒速でモヤる病をうつしてしまったようです‥それはさておき件のバス停とは◯谷第◯小学校入り⬜︎ではないでしょうか?‥まちがってたらごめんなさい。

No title

雪野さんは生徒からの嫌がらせで退職しました。

Re: No title

 名無しさんはじめましてこんばんは。こんな僻地にようこそいらっしゃい。

> 雪野さんは生徒からの嫌がらせで退職しました。

 本編を見てのとおり、直接的な原因は明らかですね。でも先生をあそこまで追い詰める執拗さや、全然守ってくれない学校側というシチュエーションに、何か背景にあるんじゃないかと思って妄想的考察をしたものです。そういう穿った見方をする奴もいるんだと笑って読み流して貰えればと思います。個人的には結構気に入っているんですけどね。

真犯人

ご存知かもしれませんが小説をお読みいただくと、根本的原因というか、発端がどこにあるかわかると思います。
それでもなお伊藤先生が犯人だという見方も考えようによってはできなくもないですが、少なくとも伊藤先生は悪者ではないですね。

Re: 真犯人

 つかささんはじめましてこんにちは。こんな僻地にようこそいらっしゃい。

> ご存知かもしれませんが小説をお読みいただくと、根本的原因というか、発端がどこにあるかわかると思います。
> それでもなお伊藤先生が犯人だという見方も考えようによってはできなくもないですが、少なくとも伊藤先生は悪者ではないですね。

 小説版はまだ未見です。タイトルで“考察と言うより妄想です”とお断りしているとおり、推理ゲーム的に推測してみました。自分では結構気に入った解釈なんですが、支持が得られなかったとしてもそれは仕方ありませんね。

 映像を見ている限りでは、私は伊藤先生には全く好感が持てませんでした。体育教師というものに対する偏見もなきにしもあらずかも知れませんが、乙女座のシャカばりに言えば「私が見た伊藤先生は…悪だ!!」
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