超訳百人一首 うた恋い。:こんな面白いアニメがあったとは

超訳百人一首 うた恋い。
 
 こんばんは。今日は良い天気なんでどっかにでかけようと思ったのですが、アニメ見てたら夜になっちまいました(テヘペロ)。でも面白かったからいいか。

藤原定家と式子内親王

 本日紹介するのは、「超訳百人一首 うた恋い。」です。2012年夏季アニメということで2年近く前の作品なのですが、ようやくその存在を知りました。面白いじゃないか、この作品。

清少納言と定子

 原作は杉田圭の同名の漫画で、2010年からメディアファクトリーから描き下ろし単行本として刊行されています。百人一首の恋愛歌を主たる題材としたコメディ・タッチのストーリー短編漫画集で、平安時代の歌の世界を、流行語や外来語まで交えた現代訳で「超訳」し、詠み人を主人公に想いや交流を描いています。現在4巻まで刊行されていますが、雑誌連載とかじゃないんですね。

美男美女の恋

 このアニメを知ったきっかけは、小野小町を取り上げた時に画像を検索していたらこのアニメの小野小町が出てきたことによります。そしてキャストを見たら私が愛して止まない早見沙織が出演していたということで視聴決定と相成りました。早見沙織の声はたまらないです。能登麻美子もいいのですが、最近はあまり主演しないからなあ…。あと大原さやかの声も最高。こちらも最近聞けない皆口裕子と共に私の四大声優ですって、この話は前にもしましたね。

道隆と高内侍

 キャラクター設定も純平安風というわけではなく、アニメ的な髪の色や髪型が続々登場しています。

在原行平

 第1話から第6話までは六歌仙の時代が描かれ、在原業平や小野小町を中心に、僧正遍昭や文室康秀らが登場します。大友黒主や喜撰法師もちょい役で登場します。

藤原高子

 我がはやみんが演じたのは藤原高子。「たかいこ」と読みます。伊勢物語に「二条の后」として登場する人物ですね。日本初の関白となる藤原基経の妹です藤原氏の権力固めのため、8歳年下の清和天皇の后となることが内定していましたが、この深窓の令嬢に懸想したのが当代きってのプレイボーイとして名を馳せた在原業平。

ツンデレ高子

 気位が高くツンデレな高子を攻略する百戦錬磨の業平。もっとも業平も出自は悪くない、というかサラブレッドですよね。なにしろ父は平城天皇の第一皇子である阿保親王、母は桓武天皇の皇女である伊都内親王ですから。状況によっては皇位も望めそうな立場ですが、状況がそれを許さず、異母兄の行平とともに臣籍降下しました。

早見沙織が大人の女性を演じる

 高子のキャラが面白いです。業平が夜這いしてきたときに「やられる!」とか下品な言葉を使ったり、念仏を唱えたり。結局そういう仲になっても「私が遊んでいるんだ」と割り切ろうとしたり、ツンデレさんです。早見沙織としては結構異色の役柄ではないでしょうか。実年齢よりも上の役を演じるというのも珍しいですが、どうせならもっと濡れ場とか色っぽい演技もやって欲しかったですね。

在原業平と藤原高子

 業平が駆け落ちに誘い、二人は逃げます。この辺りは伊勢物語の第6段「芥川」ですな。しかし追っ手が迫ってくるのを知り、「戻りなさい」と告げる業平。藤原氏にとってこの駆け落ちを許すことなど絶対にありえなかったのです。失敗することを承知の上であえて駆け落ちした業平。二人の短い恋の終わりです。 

在原業平

 その後、高子は陽成天皇を産み、業平は中将に昇進して陽成天皇に仕えることになります。隔絶した立場となって再会した二人。ここで高子は業平に和歌を所望し、そこで読んだのが例の「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれないに 水くくるとは」でした。「超訳」なので史実ではないと思いますが、綾瀬千早必見のアニメではなかろうか。

在原行平と弘子

 自由奔放に生きる業平と違い、異母兄の行平は官途での昇進を目指した真面目人間です。実際出世します。業平の最終官位が従四位上の蔵人頭・近衛中将だったのに対し、行平は正三位の中納言です。美しい妻の弘子(Wikipediaでは妻は不明だそうですが)とは相思相愛。業平のNTRの対象にならないかちょっと心配です。

弘子

 立身出世のためとはいえ、因幡国に単身赴任することになった行平が妻に贈ったのが「立ち別れ いなばの山の みねにおふる まつとし聞かば 今帰り来む」です。ラブラブだなあ。ちなみにこの歌、いなくなった飼猫の帰還を願う猫返しのまじないとして現代でも親しまれているとか。なぜに猫?

陽成院と綏子内親王

 続いては高子の息子の陽成天皇のエピソード。暴君と言われて若くして退位を迫られて二十歳前に上皇となった陽成院ですが、「つくばねの峰よりおつるみなの川 恋ぞつもりて淵となりぬる」という歌が伝えられており、この歌を見ると「本当に暴君なのかな?」と思ってしまうのですが、藤原定家がこの歌を百人一首に選んだことでこの人について色々解釈する余地ができた訳ですね。

ポジティブシンキングの綏子内親王

 天邪鬼の陽成天皇が綏子(やすこ)内親王にあてた歌ですが、二人は幼少期から会っていて、図らずも結婚することになるのですが、綏子さんがとにかくいい子で驚きです。望んで結婚した訳でもないのにこんないい子が来るなんて羨ましいですな。

小野小町

 3話から5話は小野小町編です。兄妹のように育った僧正遍昭(出家前は良岑宗貞)が、小町が入内するという噂を聞いて自分の本当の気持ちに気付き、百夜通いに挑みます。小野小町(吉子)は子供の頃には天皇になりたいと望み、大人になっても立身出世指向のバリキャリOL風人物として描かれています。つまり男に依存して幸せになるのではなく、自分の力で幸せへの道を切り開いていきたいのです。そのための才能も美貌もありますし。

それほど美人でもない小野小町

 この時代の一般的な女性像を求める宗貞は、困難を乗り越えて百夜通いを達成し、小町を自由にする権利を得るのですが、小町の心情を誰よりも知る彼は、小町の涙を見て諦めます。

押し倒される小町

 本作では、宮中に上った小町を見たときの彼の歌が「天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ をとめの姿しばしとどめむ」であるということになっています。出家する前の歌なので「坊主のくせに…」と捉えるのは筋違いでしょう。

小野小町と在原業平と文屋康秀

 世界三大美人の一角(と言っているのは日本だけだけど)のCVは遠藤綾。しかし本作では美人には違いないけど、段違いの美人という描き方はされていません。むしろコミカルな表情が目立ちます。そんな小町にさっそく色目を使うのが業平。その業平の「出自の良さ」に嫉妬するのが文屋康秀です。この人は六歌仙ですが卑官に終始しており、最終官位も正六位上で殿上人に達していません。

小町の涙

 和歌が出世の道具になりえるのは六歌仙より後の時代だったようです。しかしそんな彼が達観して自分にしか読めない歌があると言って業平に示したのが「吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風を嵐といふらむ」。駄洒落かよ!と突っ込みたくなる歌ですが、それぞれの置かれた境遇を持ち味にして歌を詠めという康秀の意見は業平にも影響を与えることになりました。

僧正遍昭(出家前)と嘘みたいだが小野小町

 そして宮中で一時の寵を得たものの、子供を得ることはできず、自分の選択は本当に正しかったのかと思い悩む小町は、有名な「花の色は移りにけりないたづらに 我が身世にふるながめせし間に」の歌を詠むのですが、そんな小町に対しても康秀は「良妻賢母に収まっていたらその歌を詠むことがあっただろうか」と問いかけます。自分達歌詠みは後世に歌を残せるではないか、自分達の気持ちは後世に伝えられると。

小野小町の東下り

 そしてなぜか三人で東下りをすることに。康秀は三河に赴任する(ただし国司ではなく属僚)ことになったのでともかく、高子との件でなんちゃって出家する業平がついて行ってやろうと強引に加わり、康秀が二人の珍道中は嫌だと小町に泣きついた結果ですが、最終的には歌枕の地で「聖地巡礼」するアニメファンの如くはしゃぐ小町が一番楽しそうです。それにしても任国は三河なのになぜに筑波山まで来る康秀(笑)。

ずっこけトリオ

 完全ギャグ回だった6話(私は嫌いじゃないです)を経て、7話からは清少納言の時代に入ります。六歌仙の時代は9世紀ですが、清少納言の時代は10世紀末から11世紀初頭ということで100年以上経過しています。

藤原義孝

 まずは美貌と信心深さで知られる藤原義孝。21歳という若さで夭折してしまいますが、妻となる源保光の娘に贈ったのが「君がため 惜しからざりし 命さえ 長くもがなと 思ひけるかな」。

源保光の娘

 この二人、超美男美女カップルですが、21歳でなくなってしまうとはなあ。もっと生きたいと思ったらすぐ死ぬことになるとは皮肉なことです。ちなみに二人の間に生まれたのが三蹟の一人である藤原行成です。

藤原道隆

 続いて義孝とダチだった藤原道隆。清少納言の主である中宮定子の父ですが、摂関家の総領息子と学者の家柄で詩文に長けた高内侍・高階貴子の恋が描かれます。百人一首では「儀同三司母」とされています。「忘しの行く末まてはかたけれは けふをかきりの命ともかな」“「いつまでも忘れない」という言葉が、遠い将来まで変わらないというのは難しいでしょう。だから、その言葉を聞いた今日を限りに命が尽きてしまえばいいのに”は道隆が通い出した頃に詠んだ歌で、要はずっと私をあなたの一番にしろということです。

高内侍

 まあ当時の貴族は妻妾が多くいて当然という時代でしたが、その状況に超然としていられる女性は少なかったことでしょう。道隆はその約束を守り、二人の間には7人もの子が生まれるほどのラブラブぶりでしたが、残念ながら権力を完全に固める前に早世してしまい、権力の座は弟の道長に移ってしまいます。

清少納言

 そして清少納言遂に登場。CVは茅原実里。そのせいか清少納言がやたら可愛いです。清少納言や紫式部が美人だったという話はあまり聞きませんが、本作での清少納言は十分美人です。まずはその父の清原元輔の歌「ちぎりきな かた
みに袖を しぼりつつ 末の松山 浪こさじとは」“約束したのにね、お互いに泣いて涙に濡れた着物の袖を絞りながら。末の松山を波が越すことなんてあり得ないように、決して心変わりはしないと”が取り上げられます。本作ではこれは清少納言の兄が元輔の任地で出来た恋人の心変わりを責める歌を代わって作ったことになっています。

少女時代の清少納言

 そして藤原実方と清少納言の恋。業平に匹敵する平安時代のプレイボーイで、光源氏のモデルとも言われています。イケメンだっただけでなく、風流才子としての説話が残り、清少納言と交際関係があったとも伝えられています。本作では本名は「諾子(なぎこ)」となっていますが、実証する資料は見つかっていません。でもいい名前だと思います。

実方と諾子

 バツイチとなった諾子と知り合った実方は、彼女の才知を愛しますが、自分をも凌ぐ才能に、自分一人のものとするよりも、宮中という大海に出た方が良いと判断してあえて別れます。「かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを」“せめて、こんなに私がお慕いしているとだけでもあなたに言いたいのですが、言えません。伊吹山のさしも草ではないけれど、それほどまでとはご存知ないでしょうね、私の燃えるこの想いを”

敢えての別れ

 好きなのに、清少納言のために敢えて身を引いた実方と、実方に捨てられたと思って宮中に入り、そこで才能を認められて楽しく過ごす清少納言。こういうすれ違いっていろんなところにありそうですね。

式子内親王

 いや面白いなあ、このアニメ。競技かるたやる人は必見じゃないですか。見ても強くはならないですが、意味も知らずに取るよりは意味を理解して取って貰いたいものです。あ、あと5話しか残っていない。大事に見なければ。そうそう、本作の案内役を務めている藤原定家だって式子内親王と何やらありそうです。式子内親王がやたら美人に描かれているし、CVは大原さやかだし。

藤原定家

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No title

(´・・`)で、このながれでことのはに‥つづかない‥のか‥

Re: No title

 ROM専さんこんばんは、いらっしゃい。

> (´・・`)で、このながれでことのはに‥つづかない‥のか‥

 続きました。しかし「言の葉の庭」の柿本人麻呂の歌は百人一首には入っていないので流れが一緒かどうかはちょっと。あの歌は二つセットでないと様にならないし、定家としてもいくら「歌聖」人麻呂といえども一人二首選ぶわけにはいかなかったのでしょう。
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