ふたたびの加奈子:輪廻転生をめぐるサスペンスホラー

すすきの交差点の夜景
 
 本日も朝の晴れから一転して雨模様。このところ札幌の天候は不安定です。梅雨か?梅雨なのか?梅雨は梅雨でも菜種梅雨だったりして。

 本日は新津きよみの「ふたたびの加奈子」です。新津きよみ作品はホラーが多いのですが、本作は輪廻転生を扱っているものの、ホラーというよりはサスペンスという感じでしょうか。

 「ふたたびの加奈子」は2000年8月15日に角川春樹事務所のハルキ・ホラー文庫から刊行されています。2012年11月に新装版が出ており、私が読んだのはこちらです。

ふたたびの加奈子

 例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

 五歳になる一人娘の加奈子を交通事故で亡くした桐原容子は、夫の信樹と“加奈子の魂”の三人で暮らしていた。容子は食事の時も、外出する時も、いつも“加奈子の魂”と一緒だった。だが、そんなある日、“加奈子の魂”は転生の場所を見つけたらしい。妊娠三ヶ月の主婦・野口正美の身体だ。容子は、ひたすら正美の出産を心待ちにするが、そこには意外な現実が待っていた…。愛する子を失った母親の深い悲しみと、魂の“転生”が驚くべき結末をもたらす、感涙必至の長篇小説。

主役は広末涼子

 ホラー小説を多数手掛けているわりに、作者の新津きよみは特に霊感が強いというわけではないそうで、生まれ変わりについての文献をたくさん読んだそうです。その部分は加奈子の魂を身近に感じる容子がその種の文献を読みあさったという話に反映されているようです。夫の信樹も影響を受けて読んでたりします。

 そして正美や砂織といった母親達の、育児というプレッシャーと嬉しさが同居しているような複雑な心理描写は、新津きよみ自身の経験を元に、子どもが小学校に上がって子育てがひと段落ついた時に振り返って書き上げたそうです。

桜、ふたたびの加奈子

 私は知らなかったのですが、2013年に今作を原作とした映画「桜、ふたたびの加奈子」が公開されています。きっとそのせいで誰かが図書館にリクエストしたのでしょう。このミーハーめが!ありがたいことですが。

このミーハーどもめ!

 前半は最愛の娘・加奈子をひき逃げで失った容子が、加奈子の生まれ変わりだと信じる正美の娘菜月へどのようにアプローチをしていくかを描いており、容子はほとんどストーカー状態なので娘を「奪還」しようというサスペンスなのかと思われます。夫信樹の一時の浮気を責め立てて離婚したり、正美に接近するために近所に引っ越してベビーシッターをしながら自然に接触したり、保育園に勤めて菜月が入ってくるのを待ち受けたり。

 加奈子の魂は、夫の信樹がいやがるので容子は「マル子」と呼んでいました。姿が見えるわけではないのですが、その存在を”なんとなく丸みを帯びて感じるから”だそうです。食事もするしトイレにも行くということで、容子はほとんど生前同様に世話を焼くのですが、もちろん見えないし、食べ物が減ったりすることもありません。信樹には全く感じられないので、ほとんど容子の精神的な疾患かと思っています。なにしろ卵管が詰まりぎみでなかなか妊娠しなかった上、妊娠中に子宮筋腫が発見され、加奈子を産んだ後に手術を受けたため次の妊娠は望めないという状況なので、容子の悲しさは想像に余ります。もともと子供好きで保育士をやっていたということもあり、世の中というものはどうして望む人には与えられず、望まない人には与えられないのか、なんとも皮肉なものです。

旦那は稲垣吾郎

 信樹の浮気も、加奈子のマル子をめぐる奇行に疲れ果てた上でのことなので、あまり責めたくないのですが、信樹は離婚後、新築の家を売って慰謝料や生活費を送っています。それじゃ生活が大変そうですが、浮気相手の西村陶子が裕福で、離婚後の信樹と一緒に住んでいるので平気なようです。それでも信樹の心は容子にむいているので二人の間に婚姻関係は無いのですが、それで何にも言わないなんてなんて出来た女性だ。しかし、実は彼女にも裏の顔があったのです。推理小説ではないから別にいいのですが、陶子がちょっと怪しいというのはすぐに判ります。

映画のシーン

 実に念入りに菜月と正美に接近した容子ですが、実は衝撃の事実が判明します。マル子が転生した胎児の母親を正美だと思ったのは勘違いで、その隣に住んでいた女性・砂織こそがマル子の転生の母だったのです。砂織の息子・賢一こそが加奈子の生まれ変わりだと確信した容子は、隙を見て健一を連れ去り、色々と尋ねてみますが…

 容子によれば(というより彼女の読んだ輪廻転生関連の本によれば)、子供が生まれる前の記憶を保持していられるのは5、6歳までだそうで、話ができるようになる2歳から5、6歳までが記憶を聞き出すチャンスなんだそうです。以後は現在の人生によって忘れ去られてしまうとか。容子は保育所のおしゃべりな子に尋ねたりして、「実地試験」を行ったりしていました。これって学術的にやってみたらどういう結果が出るんでしょうかね?

 映画「桜、ふたたびの加奈子」は、「女性のためのロードショー」「女性に贈る映画」と銘打たれ、小説には存在しないオリジナルの人物が登場するなど、設定は原作と多少異なっているそうです。容子は広末涼子、信樹は稲垣吾郎というこで、おどろきの美男美女夫婦ですが、広末涼子はちょっとサイコな気配がある容子のイメージにマッチしているのではないかと思います。この二人は、新津きよみ原作の2009年のテレビドラマ「トライアングル」でも共演していたそうです。

ふたたびの佐村河内

 なお、劇伴はかの佐村河内守です(笑)。やっちまったな、オイ。これについて公式HPでは、ゴーストライターによる作曲の疑惑があり、製作委員会が事実確認を行っている旨の記載を行っていますが、もうこれは完全にアウトではないかと。曲には罪はないので、新垣氏の作品ということで表記し直せばいい気もしますが。
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No title

飛びまくっていつの間にか辿り着き、読ませてもらいました☆彡

これから応援させて頂きます!せっかくなのでコメ残していきますね(*´ω`)次も見に来ますね!ではでは(=゚ω゚)ノ

Re: No title

 舞蘭さん初めましてこんばんは。こんな僻地にようこそいらっしゃい。

 > 飛びまくっていつの間にか辿り着き、読ませてもらいました☆彡
>
> これから応援させて頂きます!せっかくなのでコメ残していきますね(*´ω`)次も見に来ますね!ではでは(=゚ω゚)ノ

 いつでもいらして下さい。そして拍手・コメントいただけましたら幸いです。よろしくお願いします。

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