中国美女列伝(その13):李師師~水滸伝に登場する宋代の名妓

李師師その1
 
 やあやあ学生諸君、夏休みを満喫していますか?たまにはこういう僻地のブログにも遊びに来ておくんなさいよ。それはそうと、7月の上旬頃に夏風邪を引きましてね、ようやく今週中に完治したところです。夏風邪は治りにくいといいますが、三週間もかかるとはまさにそのとおり。症状は重くはないのですが、鬱陶しくて参りました。もう冬まで風邪引かないぞと誓いつつ、金曜恒例の中国美女列伝に行ってみましょう。

李師師その2

 ここのところ四大才女シリーズで、3人まで紹介してきましたが、1人を残して別のシリーズに行ってしまいます。最後に残った上官婉児についてもいずれはやりますが、とりあえず四大妓女に移ろうかと。あ、四大才女の他に四小才女というのもいるのですが、「小」まではやってられないなあという気持ちと、そもそも日本人があまり知らない人達のような気がするのでとりあえずパスします。

李師師その3

 妓女というのは日本でいえば芸者に近い人達のようです。Wikipediaによりますと

 妓女(ぎじょ)は、中国における遊女もしくは芸妓のこと。娼妓、娼女という呼称もある。歌や舞、数々の技芸で人々を喜ばせ、時には宴席の接待を取り持つこともあった。娼婦を指すこともある。

李師師その4

 と説明されています。文献によれば妓女の存在は春秋時代から確認することができるそうで、初期は国家による強制的な徴発と戦時獲得奴隷が主な供給源だったと考えられるそうですが、秦による統一以降は、罪人の一族を籍没(身分を落とし、官の所有とする制度)する方法が加わったそうです。また民間では人身売買による供給が一般的になされていたそうです。これは現代にあってもよく聞く話ではあります。

李師師その5

 妓女には、皇帝の後宮に置かれた宮妓、貴族は富豪の家に置かれた家妓、軍隊に置かれた営妓、中央政府や地方政府の運営する官製の色町に置かれた官妓、民営の妓楼に置かれた民妓などに分類されたそうです。宮妓には既に紹介した趙飛燕のように后妃にまで上った人もいます。家妓は妾も兼ねていたようです。営妓は唐代に盛んでしたが軍隊の弱かった宋代以降は衰退し、官妓は唐代から明代まで大いに栄えたようです。民妓は官妓が衰退した明代以降に栄え、清代の上海では特に繁栄したそうです。また、民妓には売春だけを目的として女性も含まれていたようです。

橘美也

 本日四大妓女の一番手として紹介する李師師(りしし)は水滸伝にも登場する妓女ですが、上記分類からすると民妓に該当します。「ああ、アマガミの美也のことか。CVは阿澄佳奈だよな」と思った方、節子それ李師師と違う、にししや!

李師師その6

 李師師は生没年不詳ながら、12世紀初頭頃にかけて活躍したとみられる宋(北宋)時代の妓女です。王寅という官人の娘だったそうですが、四歳の時に父が罪を犯して獄死してしまいました。扶養する人がいないので、李姥という妓楼の経営者が引き取って育てたそうです。当然妓女にしようという目的があったことが間違いないでしょうが、四歳では李師師に選択の余地はなかったことでしょう。さて李師師は成長するとその美貌と芸が宋の都である開封でも一番と称えられるほどの名妓となりました。

李師師その7

 時に1100年、宋は8代目皇帝徽宗(きそう)が即位します。この人は芸術家としての資質が豊かだったようで、文人、画人としての徽宗はその才能が高く評価され、宋代を代表する人物の1人とされています。現在でも徽宗の真筆は極めて貴重な文化財となっており、日本にある『桃鳩図』は国宝に指定されているほどです。

唐鳩図

 徽宗は蔡京という後の宰相に唆され、芸術・美術品をかき集めることに熱中しました。珍しい形の木や奇石を集めるために運河で都・開封まで輸送させたのですが、珍木奇石が多い江南地方は、同時に重要な穀倉地帯なのですが、運河が皇帝の趣味の珍木奇石を積んだ船で塞がれ、民衆に必要な食料が届かないという事態になってしまったのでした。

李師師その8

 また芸術活動の資金源として重税を課したため、民衆の恨みは高まり、方臘の乱を初めとした民衆反乱が続発することとなりました。こうした反乱指導者の中には、山東で活動した宋江と言う者がおり、これをモデルにした講談から発展して誕生したのが『水滸伝』です。

李師師その9

 さて久しく離宮で遊んでいた芸術活動にいそしんでいた徽宗は、そのうちにこれに飽きてしまい、お忍びで街を散策することを楽しみにするようになりました。そこで出会ったのが李師師でした。その李師師、講談風に記述するならば、

 “淡く妝い、脂粉を施さず、絹素を衣、艶服無し。新に浴してまさに罷む、嬌艶水を出た芙蓉の如し”

李師師その10

ということで、素顔のままのような薄化粧で、簡素な衣装を纏っていたのにまるで瑞々しい芙蓉の花のように美しかったそうです。きっと「エロ可愛い」ではなく「清楚可愛い」とでもいう様子だったのでしょう。

李師師その11

 以来李師師がすっかり気に入った徽宗、宮殿から李師師のいる妓楼まで地下道を掘らせてしきりに逢瀬を重ねたとか。地方じゃ反乱でえらいことになっているというのに暢気なものです。まあ水滸伝ではこの辺り、蔡京とか童貫とか高俅といった“君側の奸”が全部悪くて、徽宗自身はすこぶる英明で一点の曇りもない人物として描かれているのですが……

まさか。そんなの不可能に決まってるじゃないかwww

 キュゥべえ風に言えば「まさか、そんなの不可能に決まってるじゃないか(笑)」。

李師師その12

 それはともかく、水滸伝における梁山泊を率いる宋江は、国に忠誠を尽くす忠義の士で、彼の反乱も君側の奸を排除することが目的であり、徽宗に対して反乱するつもりはないのでした。それどころか、罪さえ許されれば徽宗のために粉骨するつもりなのです。しかしこの真情を徽宗に伝える術がありません。皆邪な側近達が遮ってしまいますのでね。

リアル燕青その1

 そこで宋江、開封の祭りの日に潜入し、徽宗がお忍びで逢いにくるという妓女のところへ行き、話をする場を得ようと考えます。それこそが開封一の名妓といわれる美女・李師師です。宋江の命を受けた燕青(えんせい)は、単身、李師師の勤めている妓楼に行き、李師師に会って事情を説明して徽宗との面会の取り計らいを依頼します。

リアル燕青その2

 ちなみにこの燕青、全身に刺青を家rた絶世の美少年で、仇名は「伊達者」を意味する浪子(ろうし)。天罡星三十六星のうちの天巧星の生まれ変わりです。「巧」の字が表す如く多芸多才な人物で、武芸のみならず遊びや音楽、舞踊等の芸事、商売人の隠語や各地の方言にまで精通し、頭の回転も非常に速くしばしば機転を利かるという一家に一人欲しい人材です。また、粗暴なことで知られる天殺星の殺人マシーン・李逵を力で制圧する事ができる稀有な人物でした。

李師師その13

 李師師は燕青の偉丈夫ぶりに感心してその言葉を信用しますが、その一方で一目惚れして燕青に言い寄りました。しかし燕青は誘惑には乗らず、姉弟の契りを交わして事なきを得ます。まあ皇帝の愛妾を寝取るようなことをしては計画は全ておじゃんでしょうからね。 

李師師その14

 その晩、李師師のもとに徽宗が訪れると、李師師は燕青を紹介し、燕青は自分の正体は隠しつつ、梁山泊の賊が実は帰順したがっているが、ただ蔡京・童貫らによって阻まれているということを話しました。それを聞いた徽宗は驚き、早速翌日に文武百官の前で宋江以下の者たちの罪を免じ帰順を許すことを宣言する……というのが水滸伝での展開です。

李師師その15

 こうして宋江は晴れて国家の臣となり、梁山泊の軍勢を率いて宋の内憂外患と干戈を交えることになるのですが、またそれは梁山泊の“終わりの始まり”でもあったのでした。詳しいことは水滸伝をご覧下さい。

李師師その16

 このエピソード自体はかなり眉唾ものですが、李師師は正史にこそ登場しないものの、野史や伝記には多く登場しているので、実在した人物である可能性が高いと言われています。

李師師その17

 1126年に北宋は金の侵攻により滅亡(靖康の変)し、徽宗以下皇族・官僚など数千人は満州に連行されて悲惨な虜囚生活の果てに異郷に骨を埋めることとなりました。また皇女達は全員が金の皇帝・皇族らの妾にされるか、官営の妓楼「洗衣院」に入れられて娼婦とさせられたそうです。そんな、ひどい……

李師師その18

 李師師の消息もそこで消えてしまいます。その後の彼女の生涯には死亡説、逃亡説、捕虜説など諸説があり定かではありませんが、今のところ逃亡説が有力とされ、南方に逃れて一民間人として余生を送ったされています。

李師師その19

 なお中国中央電視台(CCTV)のテレビドラマ「水滸伝」では、多数の仲間を失ったあげく方臘を鎮圧して凱旋した梁山泊軍の中に燕青がおり、彼は恩賞を辞退して一人舟で都落ちをしようとするのですが、そこへ横付けしたのが李師師の乗った舟で、二人は駆け落ちしていずこともなく去って行くということになっています。この終わり方はカッコイイですね。

李師師その20

 なんか李師師というよりは水滸伝の話になってしまった感もありますね(汗)。しかしせっかく水滸伝に触れたので、次回は水滸伝の女性を。といっても野郎ばかり続々登場のこの物語では女性は本当に少ないのですが。それでは最後にリアル李師師をどうぞ。

リアル李師師その1
リアル李師師その2
リアル李師師その3
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