赤ちゃんをさがせ:出産にまつわる突飛な“日常の謎”

赤ちゃんをさがせ
 
 今日も朝から雨で。のみならず強風まで。四月は雨で三月は風のはずではなかったのですかい。ダブルで来るとは……

卑怯とは言うまいね

 いや言う!雨と風のダブルは厳しいの。特に強風は電車が止まったりするから勘弁して欲しいです。まあ幸い夕方までにはどちらも納まったものの。そういえば所用で渋谷まで行ってきたのですが、渋谷でのアウェー感ったらないですね。新宿や池袋なんかとは全然違う拒絶感があるような。上野とか浅草あたりだと

なじむ。実に!なじむぞ

 という感じなのですが。ウソだと思うかも知れませんが、実は銀座も得意です。もっとも銀座の方が私をどう思っているかは別問題ですがね。

 それはさておき、本日は青井夏海の「赤ちゃんをさがせ」です。本書は2001年10月に東京創元社から出版され、文庫版は2003年1月に創元推理文庫から出版されています。私が読んだのはいつものとおり文庫版です。

 例によって文庫本裏表紙の内容紹介です。

 三人の妊婦が妻として登場した家で始まった本妻捜し。女子高生の出産騒動。次々キャンセルされる依頼の謎。自宅出産専門の出張助産婦コンビが向かう先は、なぜかおかしな謎を抱えた家庭ばかり。それらの謎を鮮やかに解き明かすのは、「伝説のカリスマ助産婦」明楽先生!見習い助産婦・陽奈の成長と、安楽椅子探偵の冴え渡る推理を描く、爽やかなユーモアに満ちたシリーズ第一弾。

 2002年3月から法改正で助産婦や看護婦は助産師・看護師に名称変更されていますが、本書はそれ以前の作品なので助産婦・看護婦の名称が使用されています。様々な理由や必要性はあるにせよ、「看護婦」とか「スチュワーデス」という名称がなくなってしまったのは惜しいですね。「看護師」や「キャビンアテンダント」にはあんまりときめきを感じませんし。

 本書はデビュー作「スタジアム 虹の事件簿」に続く作者二冊目の作品で、自身の助産院での出産経験をヒントにしたそうです。助産婦(師)探偵シリーズはその後、二作目「赤ちゃんがいっぱい」、三作目「赤ちゃんはまだ夢の中」が出ています。

 ミステリーとしては大事件が発生するわけではない(三編目の「赤ちゃんをさがせ」は拉致監禁があるので事件性がありますが)、いわゆる「日常の謎」に該当する作品ということになりますが、出産とか助産師という存在自体が、普段あまりお目にかからないものなので、描かれている事件も非日常的な感じがします。まあ本書の出来事や登場人物達が肩の凝らないお気楽なものなので、ひたすら楽しんで読めるものとなっています。

 「赤ちゃんをさがせ」は連作短編三編から成っていますが、2003年2月から3月にかけて、NHKの夜の連続ドラマシリーズで放映されています。主人公の新米助産婦亀山陽菜を高野志穂、コンビを組むベテラン助産師児玉聡子を麻生祐未、そして安楽椅子探偵役の明楽友世を今は亡き岸田今日子が演じました。

NHK連続ドラマ

 せっかくHPが残っているので、各編の内容紹介はお願いしてみようと思ったのですが、かなり内容は改変されているようです。仕方ないので自分でやりましょう。

 第一話「お母さんをさがせ」

 新米助産師・亀山陽奈は、自宅出産専門の助産師・児玉聡子のお手伝いをしています。ある日、仕事を請け負った食品会社社長・加々見佑介の屋敷を訪れると、なんと3人の妊婦が登場。このうち男の子を産んだ女性が妻であり、産まれたその子が跡取りであると言います。陽奈と聡子は、推理と足で本当の妻を明らかにしようとしますが…。

 第二話「お父さんをさがせ」

 高校生妊婦・理帆の相手はこれも高校生の斎木透。しかし理帆の家庭教師の米村正樹、理帆のメル友佃洋一郎(ブライダル業の営業)が登場し、生まれる赤ちゃんに責任があるなんて思わせぶりの言動を行います。本当の父親は誰なのか、そして一斉に失踪した三人の父親候補の行方は?

 第三話「赤ちゃんをさがせ」

 聡子との復縁を望む元夫宝田が登場。亀山陽菜は次々とキャンセルされる自宅出産依頼は、彼の差し金だと踏んで調査を開始しますが、なぜか聡子は消極的です。自宅出産を主張する胡散臭い宗教団体の暗躍、そして失踪した妊婦の行方は?

 亀山陽菜は看護婦だった姉の後を追って看護婦になったものの、姉が結婚して専業主婦となったことで改めて助産婦になりました。人生経験もまだまだ足りないひよっこですが、好奇心は人一倍で野次馬根性いっぱいのお調子者です。三十代の児玉聡子はバツイチ子持ちでしっかり者。明楽先生は年がら年中旅に出歩き、おとぼけなとこもありますが、人生の達人で推理は冴え渡っています。

 結局の所現場では陽菜と聡子が奮闘するものの、何もしていない明楽先生が彼女らから聞いた話だけで真相を明らかにしていくので、通常の推理物だと、刑事が二人、名探偵が明楽先生党という構図でしょうか。明楽先生はアガサ・クリスティーのミス・マープルを彷彿とさせるキャラで、マープル同様、これまでの人生経験から日常の謎を解明することに長けているという感じです。

 そういえば、明楽先生は二人から話を聞きながら不明な点を追及していきますが、これはソクラテスが用いた真理探究ないし教育の手法と同じですね。これは一般に問答法とか対話法と言われますが、ソクラテスは、それを当然生まれてくるべき知的な関心であり、それがしかるべく生まれてくるべく、その誕生の手助けをするということで、たまたま彼の母親が産婆の仕事をしていたことから、それを魂の産婆術、助産術とも呼びました。まさに助産婦に相応しい推理方法と言えるでしょう。

 最後には赤ちゃんが無事生まれてめでたしめでたしとなる点も明るくていい雰囲気です。殺伐としたミステリーに疲れた方には非常にいい癒やしの小説となるでしょう。

単行本
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