まんまこと:江戸時代の「秒速5センチメートル」?

まんまこと
 
 新年あけましておめでとうございます。本年も「筑波嶺夜想曲」をよろしくお願いします。

 新年一発目のブログ記事は、小粋なオープニングトークから入りたいところなのですが、そういう才能はないので実録ネタで。実は行く年来る年を見てさあ寝ようかと自室に引き上げて、リモコンでシーリングライトを点灯しようとしたら、まったく点灯しませんでした。蛍光管の寿命かとも思いましたが、考えてみれば照明器具も購入してまる17年以上経過しており、器具本体の故障である可能性が高いと思われました。

買ったシーリングライト

 夜中なのでどうしようもなく、また暗い分には寝るに支障はなかったので取りあえず寝て、元日昼から検証作業に入りました。蛍光管を一本外して他の器具に接続するとちゃんと点灯したので、これは器具の故障は確定的でした。最近は便利なことにスーパーが元日から営業している(風情はなくなりましたが、こういう時は大変ありがたいですね)ので、さっそく行ってくると、取り付けは5日からだという話。そんなに待てるかいと思ったら、店員のやってみせる取り外し・取り付け操作は非常に簡単そうだったので、そのまま本体だけ買って帰って古い器具を外し、新しい器具を取り付けました。

 古い器具のアダプターがどうしても外れないのでニッパーで切断しました(一瞬火花が散って焦った)が、それ以外は順調で、寝るときには「新年からお先真っ暗かよ」と憂鬱な気分になってましたが、早くも希望の光が灯ったような。それにしても同じようなシーリングライトですが、十数年の時代の変遷により、非常に軽量コンパクトになってますね。古い器具の跡が天井に見えてちょっとみっともないですけど。

キリコ

 それにしても17年前にインバーター式でリモコン付きの照明器具を買ったときはすごく高価だった記憶がある(5~6万円したような)のですが、今回は何と7980円。持ち運びも軽くてお財布にも優しいという素晴らしい文明開化に涙がちょちょぎれましたよ。LEDも考えたのですが、2~3万円はするので「使い慣れてるほうがいい」とキリコ・キュービィーみたいなことを言って蛍光管式を選択したりして。ケチなだけなんですが。

正直、スマンカッタ

 正月にランキングはちゃんと更新するのかなんて昨日は失礼なことを言いましたが、本日9時にちゃんと更新されていました。FC2、正直、スマンカッタ。2013年初日のランキングは日記ジャンルで305984人中305位、サブジャンルの会社員・OLで32581人中49位。

グッド!

と言いたくなる順位です。アクセスは微減したのにランキングは微増。ということは大晦日はみなさんいろいろと忙しかったと言うことなのでしょう。とりあえず新年から50位以内ってステキ。

単行本

 さて私事はこの辺りにして主題に入りましょう。本日は畠中恵の「まんまこと」です。畠中恵は高知県出身で1959年生まれの小説家、推理作家で、漫画家のアシスタント・イラストレーターを経て、推理作家の都筑道夫に師事し、小説家となったそうです。代表作は「しゃばけ」シリーズですが、エイド時代物のほかに、明治時代ものや現代ものも手がけています。

 「しゃばけ」シリーズ第一作の「しゃばけ」では2001年に日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞しており、「しゃばけ」が2007年、第五作の「うそうそ」が2008年にフジテレビでドラマ化されています。なぜ突然第五作まで飛んでいるのかいえば、おそらく第二~第四作(「ぬしさまへ」「ねこのばば」「おまけのこ」)が短編集だからでしょう。ドラマシリーズならいけますが、単発の2時間ドラマには長編が適当だったのだと思われます。

 実は私、「しゃばけ」シリーズが好きで、第七作の「いっちばん」まで読んでいますが、ブログをはじめてからは続編を目にしていないので、詳しい紹介は続編を読んでからと言うことにさせていただきます。

 ざっと設定だけ説明すると、身体の弱い廻船問屋兼薬種問屋・長崎屋の若旦那・一太郎は超虚弱体質ですが、実は妖怪のクオーターで、妖怪を見ることができます。その妖怪血筋は母方の祖母・おぎんから伝わっており、おぎんは狐の大妖怪・皮衣(かわごろも)で、荼枳尼天に使えています。一太郎の身辺の世話から警護まで引き受けているのは犬神の佐助と白沢の仁吉という大物妖怪で、一太郎は佐助と仁吉を始めとする妖(あやかし)たちの協力を得て様々な事件を解決していくというもので、「日常の謎」が多いものの、妖怪やら天狗やらが絡んだものも多く、ファンタジー色の強いミステリーとでもいうものになっています。

 今回読んだ「まんまこと」は「しゃばけ」シリーズと双璧となるであろう江戸時代もののシリーズの第一作です。Amazonの内容紹介によれば

畠中恵

「しゃばけ」シリーズがブレイク中の気鋭・畠中恵さんの新シリーズは「まんまこと」というタイトルです。意味は「真実。ほんとうのこと」。江戸は神田の古名主の玄関先に持ち込まれる騒動(いまでいう民事の範疇)を、やや頼りない跡とり息子・麻之助とふたりの悪友----男前でモテモテの清十郎、堅物の吉五郎が活躍し、絵解きします。この彼らがとても魅力的なのです。ついついお話の向こう側まで想像してしまうような強力なキャラクターたちです。女性陣も負けてはおりません。芯が強く、可憐な眦を決し、こうと決めたら動かない意気地のある女たちが生き生きと描かれています。
 お腹の子の父は誰なのか? 万年青争いの真相は? ----切ない恋物語も織り交ぜられ、読者をつつみこむような畠中ワールドが存分に楽しめる一冊です。ふうわりと温かな読後感をぜひ味わってみてください。

ということになっており、この説明はほぼ内容を言い尽くしていますね。

コミック版の旧悪ガキトリオ

 「しゃばけ」の主人公・一太郎は芯は強いものの、他人にはとても優しくて、なにより非常な虚弱体質であるのに対し、「まんまこと」の主人公・麻之助は町名主という重職を継ぐ身でありながら、16歳の時に突如性格がお気楽になり、吉原には行くは、喧嘩はするは、22歳といういい年をして柿泥棒をして回るはで、父親や周囲を嘆かせています。妖怪は一切出てきませんが、悪友の清十郎(超イケメンで、隣の町名主の息子。女の扱いは任せておけ!)と吉五郎(町奉行所の同心見習い。超堅物だが岡っ引きを動かせるので本格捜査には心強い)が力を貸してくれたり揉め事を持ち込んだり。

 「プリンセスGOLD」で漫画化されており、2011年から1年ほど連載されましたが、作画を担当していた紗久楽さわの都合で休載となってしまいました。単行本としては一冊にまとまっています。文庫版のイラストとは大分違う雰囲気ですが、面白いらしいですよ。

コミック版まんまこと

 町名主というのもあまり聞かない役職ですが、江戸時代、江戸の町人地は江戸町奉行が支配していましたが、町をパトロールする町廻りは定町廻り、臨時廻り、隠密廻り(合わせて「三廻り」)で、南北町奉行所合わせて30人に満たない人数しかいませんでした。町廻りはそれぞれ配下(岡っ引き)を持ってはいましたが、いくら江戸の治安が良かったとはいっても、100万都市をとてもカバーしきれません。しかし、揉め事の大半は町奉行所に行く前に解決していたいのでした。

 町奉行の下には3人の町年寄(奈良屋・樽屋・喜多村)がおり、町人地を実質的に支配していました。各町には町名主がおり、各町の統制を行っていました。江戸の町の本来の構成員は家持=町人でしたが、人口の流入で借家人が増大すると、家持は不在化して、代理人である家守(落語に登場する「大家さん」はたいていこの人)が各長屋を支配し、家守が月番で月行事(がちぎょうじ)となって町を代表するようになりました。月行事が大抵の揉め事は収めるのですが、それで上手くいかない場合は町名主が裁くことになりました。それでらちがあかなければ町奉行所に訴えるということになるのですが、揉め事が完全に公になってしまうことは大抵の町人が忌避したので、通常の揉め事ではなかなかそういうことはなかったようです。故に落語の「三方一両損」なんかは実際には絶対奉行所が扱うことはなく、町名主あたりで決着をつけていたことでしょう。

 ということで、配下の町の揉め事を裁くのが町名主の職務の一つであり、倅の麻太郎はゆくゆくは町名主を襲名する定めです。というか、「まんまこと」では父に代わってしばしば名裁きをみせています。収録されているのは6短編で、色男の清十郎が、幼なじみの麻之助に男色の依頼をしてくる「ウホッ」「アッー」な第一話「まんまこと」。太物問屋の娘・おのぶからお腹の子の父と名指しされたことが原因なのですが、それでは本当の父親は誰なのか。麻之助の裁定がさえます。

「まんまこと」のおのぶ

 第二話「柿の実を半分」は、麻之助がいい年をして質屋の庭から柿を盗んだことをきっかけに、昔話の付き合いをさせられるはめ。でっちあげの昔の恋人の話が瓢箪から駒、恋人の忘れ形見だという娘・お紺が質屋の前に現われます。偽物だと騒ぐ親戚と本物だといいはる質屋。麻之助の裁定やいかに。

「柿の実を半分」のお紺

 第三話「万年、青いやつ」は、呑気ものの麻之助に突如として縁談が、舞い込む中、万年青(おもと)の鉢をめぐる争いが持ち込まれます。万年青のお披露目会のあと、残されたひと鉢をめぐって持ち主を主張する両者の対立の中、真実を突き止めるために奔走する麻之助、そして「許嫁」のお寿ず。

 第四話「吾が子か、他の子か、誰の子か」は、麻之助の親友・清十郎の父親の後妻・お由有の子・幸太に、「誠の祖父」を名乗る侍が登場。亡き息子の松三郎が江戸づとめの折、残した子が幸太だと言って乗り込んで来ます。松三郎の放蕩のあとを追い、深川に芝に麻之助・清十郎・吉五郎の三人組は足を運んで真実を探索します。

 第五話「こけ未練」は、病人の見舞いに赴く麻之助が狆や物言わぬ娘を拾ってしまい、娘を探す岡っ引きに誤解されて追かけられる中、清十郎ととも江戸の往来をひた走るはめになります。狆の持ち主は、そして娘はどこの子なのか。そしてお見舞いにはいけるのか。

 第六話「静心なく」は、清十郎の弟・幸太が攫われ、50両の要求が来ます。支配町の住人の暮らしを左右する町名主にはいつでも逆恨みの危険があります。なにかの因縁か、それとも単なる金欲しさか――。心当たりを探索する中で見いだした真相は?

書店のポップ

 各話とも独立した物語ですが、一貫しているのは麻之助の縁談と麻之助の過去の未練でしょうか。悪友清十郎の義母となったお由有は桜のような、または春のような女性ととして描かれていますが、麻之助の2歳年上の幼馴染みでした。麻之助が16歳の時、上方から来た男と関係して身籠もったとき、助け船をだして後妻にしたのが清十郎の父でしたが、麻之助は手に手を取って逐電できなかったことをずっと悔やんでいます。そしてそれ以来、真面目だった麻之助は今のようなお気楽・なんちゃって放蕩息子となったのでした。

 16歳で家を離れてお由有母子を養うというのは土台無理な話です。手に職もないし。ですが悔やんでも悔やみきれないのは、お由有のことが本当に好きだったからでしょう。代わりに幸太をとても可愛がっていますが、そのせいで最初は本当の幸太の父親は麻之助なのではないかと思ってしまいましたよ。「秒速5センチメートル」に例えれば、まさに麻之助=貴樹、お由有=明里なのです。そこに登場する夏のような娘、お寿ずは花苗でしょうか。あ、水野さんがいない……。

 「秒速」では花苗に見向きもしなかった貴樹をよそに明里は別の男と結婚していますが(こういう言い方は良くないですが、そういう解釈も可能ということでご勘弁を)、「まんまこと」では麻之助はお寿ずと結婚しそうですね。まあ明里がすぐそばにいてとっくに結婚しているのであれば、貴樹もさすがにはあそこまで思いを募らせることもなかったでしょうが。それ以前に、お由有は麻之助を差し置いて上方から来た男と恋に落ちてるし。NTRだNTR。しかし実際、2歳お姉さんの18歳のお由有からすれば麻之助は幼馴染みではあっても恋愛対象ではなかったんでしょうね。ラストシーンでお互いに手を伸ばし合った二人。もし手が届いていたのなら……?

 そしてシリーズは「こいしり」「こいわすれ」と続いているので、続巻を読むのが楽しみです。
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