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高岡旅行記②:瑞龍寺、古城公園、金屋町など

秋は夕暮れ

 平安中期の才女・清少納言は「枕草子」で「秋は夕暮れ」と指摘しました。私も全面的に賛成ですが、秋の夕暮れを題材にした秀歌は平安末期にならないと登場してこないようです。思い浮かぶのは小倉百人一首の良暹法師の「淋しさに 宿を立ち出でて ながむれば いづこも同じ 秋の夕暮れ」ぐらいでしょうか。

三夕の歌

 新古今和歌集の「三夕の歌」とか小倉百人一首の寂蓮法師の「村雨の 露もまだひぬ まきの葉に 霧たちのぼる 秋の夕ぐれ」とか。清少納言のセンスが時代に先行していたのか、末法思想とかが影響したものか。ちなみに「村雨の」の和歌は個人的小倉百人一首のベスト3です。他は文屋朝康の「白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける」と左京大夫顕輔(藤原顕輔)の「秋風に 棚引く雲の 絶間より もれ出づる月の 影のさやけさ」。秋の歌ばっかりですが、やはり秋が好きだからでしょうか。

家持くん

 唐突に和歌の話題でしたが、高岡市のマスコットキャラに大伴家持をモデルにした「家持くん」がいたのです。家持といえば「万葉集」編纂者の最有力候補ですが、歌人としても有名。家持は30才になる前に越中国司として高岡に赴任(越中国の国府は高岡市郊外にありました)し、在任した五年間に220首余りの秀歌を詠んだそうです。これにより高岡市は“万葉の里”と呼ばれ、越中文化発祥の地と称しているのです。

利長くん

 マスコットキャラはもう一人いて、それは「利長くん」。百万石でおなじみの加賀藩初代藩主前田利長が、隠居した後に住んだのが高岡で、「高岡」と命名したのもこの人です。

リアル家持くんと利長くん

 現在の富山県の県庁所在地は富山市ですが、高岡の方が歴史と伝統は長いように思えます。実際、見所も高岡市の方が多いような気がしてこちらに泊まったのですよね。

瑞龍寺その1

 一日目に訪ねた「雨晴海岸」は「家持くん」が和歌に詠んだ「有磯海」(ありそのうみ)だったので、二日目は「利長くん」にも配慮して瑞龍寺に向かいました。利長から家督を受けて二代目の加賀藩主になった前田利常(利長の異母弟)が、この地で亡くなった利長を弔うために建立した曹洞宗の寺院です。

瑞龍寺その2

 現在の伽藍は江戸時代前期の建築で、前田家の手厚い保護を受けました。山門、仏殿、法堂が一直線に並び、左右に回廊をめぐらして諸堂を対称的に配置する伽藍配置は大変美しいです。現在は東司(トイレ)と浴室が失われていますが、CGで再現されていたりして。

上空から見た瑞龍寺

 山門、仏殿、法堂が国宝とされていて、総門、大庫裏、僧堂、大茶堂、回廊が重要文化財とされています。富山県の国宝はこの瑞龍寺が現在まで唯一だそうです。拝観料は500円ですが、さすが加賀百万石と唸らずにはいられない立派なお寺です。

八丁道

 瑞龍寺から利長の墓所を一直線に結んでいる参道が八丁道。長さが八丁(約870メートル)あることからこの名前になったとか。昭和末の頃には当時の面影も失われていましたが、歴史的景観を再現するために大々的な整備事業が行われ、現在は石畳の遊歩道を中央に、左右に1車線ずつの車道を設けています。車の心配のないこういう道を散歩するのは大変気持ちがいいので、近所の人達が羨ましいですね。

前田利長墓所

 八丁道の終点には前田利長墓所。やはり利常が造営したもので、国の史跡に指定されており、武将のものとしては日本最大規模だそうです。利常は跡継ぎのなかった利長の養子になりましたが、異母弟である自分を百万石の後継者としてくれたことへの謝意が墓所や瑞龍院の見事さに表れているというのが定説だそうで。もっとも墓所の敷地は中学校やテニスコートになっていて、往時の三分の一程度になってしまっています。

古城公園マップ
古城公園

 続いて高岡古城公園へ。高岡城は前田利長の隠居城として1609年に築城されましたが、1615年の一国一城令によって廃城とされ、城があったのはごく短期間でした。しかし廃城後も加賀藩の米蔵・塩蔵・火薬蔵・番所などが置かれ、軍事拠点としての機能は密かに維持されており、濠もそのまま残されていました。現在も築城当時の濠塁をほぼそのまま残していて、総面積は約21万m2(71,261坪)。

空から見た古城公園

 駅から徒歩10分で市民の憩いの場となっています。財団法人日本城郭協会が2006年に定めた「日本100名城」に富山県から唯一選ばれており、また桜の名所としても有名で、春には18種約1800本の桜が咲き誇り、日本さくら名所100選にも選定されています。

金屋町

 いい加減足も疲れてきましたが、ここまで来たらもう一踏ん張りだと金屋町へ。高岡城の城下町の繁栄を図った前田利長が、鋳物師を住まわせて高岡銅器産業の中心となった町です。現在も千本格子造りの街並みが残り、石畳の道と相まって高岡市の観光地のひとつになっています。雰囲気としては金沢の茶屋街に近いものを感じました。

富山駅

 というところでお昼になり、帰りの新幹線の時間もあるので高岡市を後にして富山市に向かいました。2時間半は歩き通しましたね。各所とも高岡駅を中心とするとさほど離れていない場所にありますが、全部を回るとそれなりに疲れます。富山駅も北陸新幹線が通って立派になりました。

富山城址公園

 少し時間があったので富山城址にも行きました。「日本100名城」には入れませんでしたが、やはり財団法人日本城郭協会が2017年に定めた「続日本100名城」には選ばれました。米沢城、秋田城、浜松城、大垣城なんかも「続」の方で選ばれているんですね。現在は本丸と西の丸の一部だけが残っています。ほぼ全域が残る高岡古城公園に比べるとやはり小さいですね。昼食は久々にサイゼリアに入ろうと思ったら混んでいたので中華料理店で油淋鶏定食。全然富山と関係ありません(笑)。

高岡のドラえもんキャラ像

 忘れていましたが、高岡は藤子不二雄(藤子・F・不二雄)の出身地で、ドラえもんをはじめ多くのキャラクターに出会える場所が点在しています。隣の氷見市は藤子不二雄(A)(本当は○の中にA)の出身地で、忍者ハットリくんや怪物くんなどのキャラが点在しているそうです。子供の頃はよく読みましたね。でも、今興味があるかと言われると…なのでほぼガン無視してしまいました。お好きな方はそれ目的で高岡・氷見に行ってもいいんじゃないかと思います。
 
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