ポゼッション:イザベル・アジャーニの美しさと狂いっぷりを愛でる作品

ポゼッション
 イザベル・アジャーニは美しい。美しいけどその美貌には狂気の気配を感じます。フランス国籍ですが、父はアルジェリア人、母はドイツ人。マスコミ嫌いでパパラッチと揉めたり、キャスティングを降板したり一度断った役を奪い返したりのスキャンダルも多く、共演者らと恋に落ちることも多いそうですが、そういうところも美貌に宿った狂気ゆえ、という感じがしますね。

 私はファイブスター物語の「天位騎士」の設定を借りて、勝手に「天位女優」という称号を与えています。要するに「私のすごく好きな女優」ってだけのことですが、一応希少性は維持したいという変なこだわりがあるので、これまでにたった5人にしか与えていません。イザベル・アジャーニはそんな数少ない私の天位女優の一人です。

 ポゼッションは1981年公開の仏・西独合作映画です。日本での公開はだいぶ遅れて1988年でした。およそ20年前にレンタルビデオで見たのですが、2010年からDVDが販売されていたことについ最近気が付き、購入してみました。
VHS版ポゼッション
 これはVHS版です。

 あらすじは、長い単身赴任を終え、妻子の待つ西ベルリン郊外の静かな街に帰って来たマルク(オーメン最後の闘争でダミアンを演じたサム・ニールが演じています。以後ダミ夫と呼びます)。だが妻アンナ(イザベル)の態度はよそよそしく、久しぶりに体を重ねてもその不信感は拭えない。アンナの友人マージから“男”の存在を聞き出したダミ夫は妻を責めるが、彼女は浮気を認めるどころか夫を完全に拒絶する。一人息子のボブを学校に送った際、妻と瓜二つの教師ヘレン(イザベルの一人二役)と出会い激しく動揺するダミ夫。やがて問題の男、ハインリッヒと対峙することになったダミ夫だったが、彼もアンナの全てを知っている訳ではなかった。嘘を連ねる妻を暴力で責める夫。彼女の“第3の男”と真相を求めるマルクは、探偵にアンナの尾行を依頼するのだが……というもので、“第3の男”の驚愕の正体に気付いた者は次々と命を落として行きます。

 イザベル・アジャーニはこの映画で1981年にカンヌ映画祭主演女優賞、セザール賞最優秀女優賞を受賞しています。それも当然かなと思うのは、劇中の彼女の狂気の演技の凄まじさにあります。
狂気の凶器
 美しい。怖いけど美しい。イザベル・アジャーニに殺されるなら仕方がない(笑)。

 地下鉄を降りた地下通路で突如狂気に陥り、卵と牛乳の入った袋を壁に叩きつけ、身悶えして暴れまわったあげく、身体中から謎の液体(GEROと失禁とも言う)を噴出させると言うシーンが5分ほどに亘って延々と描かれており、監督は何かイザベル・アジャーニに怨みでもあるのかと思うほどの汚しぶり・貶めぶりで、上記の主演女優賞は慰謝料のような気さえしてきます。これだけやったら何かあげないと。はたして日本の美人女優達にこの演技が再現できるのかと、小一時間問い詰めたい気分です(いや、やらなくていいですが)。それでも美しいイザベルはやはり素晴らしいです。
狂乱の果て
 放心状態にも見える地下道シーンのラスト。「すいませーん。フィルム入ってませんでした。もう一回お願いしまーす」なんて言われた日には…

 しかし映像のインパクトは十分だし、イザベルの狂気はもとより、美しい妻を寝取られた(NTRだNTR)ダミ夫の嫉妬と狂乱ぶりもまた凄まじいばかりですが、ストーリーはというと、どうもよくわかりません。前述の狂乱シーンは、彼女の中の善と悪の戦いで、悪が勝利したことを表しているようです(流れ出した液体は善の残骸なのでしょうか)が、どうして彼女がそんな葛藤を抱えるに至ったのかが今一つよくわからないのです。ダミ夫の長い不在による寂しさから浮気に走る―という程度なら理解できるのですが、イザベルの場合はそれに留まらず、狂気の妄想の果てに“第3の男”を産み出すに至っていますが、いつ、どうやってなのかは一切不明です。

 また二役をしている女教師ヘレンの存在も?です。初めて会ったときにダミ夫は妻との酷似ぶりに驚くのですが(何しろ一人二役なんだから似てる訳です)、妻アンナが暗色の衣装を着ているのに対し、ヘレンは常に白い衣装で登場しており、悪に堕ちたアンナに対し、分離した善がヘレンとなったかのようにも見えます。息子はヘレンが母親に瓜二つであることについて何ら言及していないという点も不思議です。
アンナとヘレン
 左が妻のアンナ。右が女教師ヘレン。

 ダミ夫とヘレンは惹かれ合います。もうアンナを捨ててヘレンに走ったほうがいいのではないかとも思えるのですが、ダミ夫はどうしてもアンナへの執着を捨てられません。あげく物語は破局への走り出すのですが…。アンナもダミ夫も死に、残されたヘレンの家を訪れる人影。ガラス扉の向こうの姿はどう見てもダミ夫なのですが…そして鳴り響く空襲警報に怯えるヘレン。一体どういう意味なのかさっぱりわかりません。当時の東西ドイツの分裂状況とか、監督の祖国ポーランドの置かれた状況などがあるのではないかとか言われますが…

 なお、“第3の男”との浮気現場はこんな感じです。
情事の現場
 葛飾北斎の浮世絵「海女と蛸」かよ!
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No title

この人は知らなかったですが、綺麗な人ですね。
さすがです(?)

私の「点位女優」って誰かなぁ。。。と考えて思い出したのは、
ジャニファー・コネリー(映画「ラビリンス」の冒頭限定(笑))でした。
え?どうでも良いって。。。? こりゃまた失敬。。。

Re: No title

こんばんわ、いらっしゃい。
ジェニファー・コネリーいいじゃなですか。なぜ冒頭だけ(笑)。
めいめい勝手に自分だけの「天位女優」とか「天位歌手」とか「天位声優」とか任命したらいいと思います。
「『秒速5センチメートル』は私の『天位アニメ』です」、とかいう具合にね。
「まど☆マギ」は天位ですよねえ…。

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