群衆リドル Yの悲劇'93:ラノベにするべきな本格推理

大鳳キター!!

 装甲空母・大鳳さんキタ━━━(゚∀゚).━━━!!!一昨日のことですが、資源に余裕があったので大型艦建造を回したんですよ。正空母、軽空母、あきつ丸、まるゆ以外をほぼ確実に弾くレシピとしてはボーキサイトの消費量が今のところ最低のレシピとされる、“燃料4000・弾薬2000・鋼材5000・ボーキ5200・開発資材20”で。前回これで回したら軽空母瑞穂が来たんです。大鳳狙いだったのでハズレではあったんですが、まだ持ってなかったので結果オーライでしたが、やはり本命中の本命が来ると興奮しますね。

胸が飛行甲板の大鳳さん 龍驤

 来ない人には何年プレイしてても来ないそうなんで、プレイ歴1年未満の新米提督のところに来てくれて光栄の至りです。空母・軽空母は中破で艦載機を発艦させられなくなって海上の置物と化するんですが、装甲空母は中破でも艦載機を飛ばせるんですよね。しかもCVはときめきの能登さんだし。それにしても大鳳、艦娘の姿で胸部が飛行甲板状態なのははぜ。赤城さんとか加賀さんとかは立派なモノをお持ちなのに。軽空母でやはり胸が俎板の龍驤が親近感を持つかも知れないですが、龍驤はかなりコンプレックスを持っている様子なのに対し、大鳳は全然気にしていないようです。

大鳳と龍驤 

 本日は古野まほろの「群衆リドル Yの悲劇'93」を紹介しましょう。古野まほろの著作は初めて読みました。実は覆面作家で本名や性別・年齢・画像などは非公開です。11月25日生まれで東京大学法学部を卒業し、国家公務員Ⅰ種試験に合格して警察庁に入庁。警察大学校主任教授を最後に退官しました。フランスのリヨン第三大学法学部の専攻修士課程を修了しているそうです。フランス留学が警察庁入庁後かどうかは不明ですが、何となく官費で留学したんじゃないかという気が。

群衆リドル 

 なおⅠ種試験というのは1984年度から2011年度まで行われており、現在は総合職試験と名前を変えております。ここから、古野まほろは2007年に作家デビューしているので、1985年~2012年度警察庁入庁者の誰かということになりますし、作家デビューが2007年なのでそれ以前に辞職しているものと思われます。警部が准教授(助教授)、警視が教授になるようなので、主任教授ということはそれより上の警視正クラスでしょうかね。現在はともかく、Ⅰ種で入庁した女性警察官で中途退官した人なんて、調べれば身バレしてしまいそうなので、古野まほろは男性で決まりでしょう。そしておそらく90年代の入庁者なんじゃないかと。こんなところで探偵しなくてもいいのですが、覆面作家なんていうとつい(笑)。

天帝のはしたなき果実 

 2007年1月、「天帝のはしたなき果実」で講談社の第35回メフィスト賞を受賞し小説家デビューしました。本格推理の巨匠である綾辻行人、有栖川有栖の両氏に師事したそうで、デビューからおよそ10年で長編作品を20作品以上、短編集も含めて25作品以上と、非常にハイペースな刊行が続いています。

群衆リドル単行本 

 「群衆リドル Yの悲劇'93」は2010年12月16日に光文社から刊行され、2013年8月に文庫版が光文社文庫から刊行されました。本書のあとがきによれば、デビューは講談社にも関わらず、本書以前に講談社から刊行された9冊は絶版になっていたようです。既に「恩讐の彼方」だそうではっきりした理由は記されていませんが、“弱いものいじめが罷り通る世界から距離を置きたい”“この世でもっとも醜悪なのは、強者が弱者をいたぶることだ”などの表現がなんとはなしの理由示唆になっているような。既に両者の関係は修復されたようですが…

 「群衆リドル Yの悲劇 '93」は、2012年の本格ミステリ・ベスト10で9位に入っています。“イエユカシリーズ”の第一作で、古野まほろの代表作である「天帝シリーズ」と共通の世界観を有しているそうですが、「天帝シリーズ」は未読なのでなんとも言い難いです。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

覆面作家古野まほろ 

 浪人生の渡辺夕佳の元に届いた、壮麗な西洋館への招待状。恋人で天才ピアニストの、イエ先輩こと八重洲家康と訪れた『夢路邸』には、謎を秘めた招待客が集まっていた。そこに突如現れた能面の鬼女が、彼らの過去の罪を告発し、連続殺人の幕が切って落とされる。孤立した館に渦巻く恐怖と疑心。夕佳とイエ先輩は、『マイ・フェア・レイディ』の殺意に立ちむかうことができるか!?

月光ゲーム 

 副題にある「Yの悲劇」からはエラリー・クイーンの超有名推理小説が連想されるのですが、むしろ正体不明の人物からの罪の告発などの形式はアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」に近いです。孤立した洋館で繰り広げられる連続殺人事件。しかも様々な形の密室状態で起きるので、犯人もさることながら、それぞれの事件のトリックも気になるところです。

 クイーンの「Yの悲劇」自体より、師と仰ぐ有栖川有栖の「月光ゲーム Yの悲劇'88」の方をオマージュしているようです。舞台も同じ矢吹山で、陸の孤島で次々と起きる連続殺人という展開も同じです。「月光ゲーム Yの悲劇'88」は有栖川有栖のデビュー長編で、「群衆リドル Yの悲劇'93」は講談社と揉めた後の古野まほろの再デビュー長編といった様相を呈しているあたりも類似しているような。

クセがスゴイ!! 

 文庫版の表紙を見ると、ラノベ風のイラストになっていることが判ると思いますが、正直最初からラノベ・ミステリーとして打ち出した方が良かった気がします。なぜかと言うと…千鳥風に言えば「クセがスゴイんじゃ!!」なので。おっさん読者としては、トリックとか犯人がどうとかいう前に、本書の強烈なクセの強さに慣れられるかどうかが問題になります。

 主人公にして語り手は浪人生の渡辺夕佳。妙な招待に乗っていないで勉強しろよと思いますが、恋人で天才ピアニストの八重洲家康と一緒ならという条件で招待に応じます。この八重洲家康が名探偵役になるのですが、とにかくクセがスゴイ。17歳でショパン国際ピアノコンクールに参加し、優勝確実とされながらなぜか直前に出場辞退し、表舞台から姿を消し、現在は東大生(正確には東京帝大生)になっています。夕佳は家康と同じ大学に行きたくて浪人しているという。

クセがすごいその2 

 それだけなら天才っているのねで済むんですが、この家康、ルックスは超二枚目なんだそうですが、とにかく性格が悪い。しかもコミュ障の気があり、なぜかむやみに上から目線でガキの分際で人をアゴで使う気マンマンという。演奏が素晴らしいというのならCD位は買ってもいいですが、個人的お付き合いは御免被りたいタイプです。画家でいえばパブロ・ピカソ的な?

 洋館到着から登場人物全員集合、そして最初で最後の晩餐(全員揃って、という意味で)までの序盤のまあ読みにくいこと。途中で読むのを止めようかと思ったほどですが、まあ「能面の鬼女」出現以降は、気持ちがいいほど連続的に人が殺されていくので一気に読めます。ネタばれは控えますが、「そして誰もいなくなった」や「かまいたちの夜」に見られるトリックは使われていません。

クセがすごいその3
 
 それにしても八重洲家康…。天才ピアニストはいいです。凄まじい絶対音感を持っているというのも結構。東大生になれるくらいだから頭もよろしいのでしょう。でも東大生がすべからく探偵の素質を持っている訳ではないので、彼がここまで鮮やかに謎を解くのには非常な違和感がありまくりなんですよ。せめて生粋のミステリーマニアだとかいった説明があればいいのですが、20歳そこそこのガキで人生の大半をピアノに捧げてきた(そしてその後はそれなりに受験勉強もしたんでしょうよ)人物がそこまでミステリーに造詣が深くなれるものか。ホームズやポアロ、その他の名探偵の指摘なら素直に納得できることでも、家康だと極めて納得いかないんです。これが若さか…

花山薫です 

 しかもポーランドの幻の伝統的殺人舞踏・裏マズルカをマスターしているということで何気に超武闘派なんだそうですが、ちょっと範馬勇次郎と戦ってみてくれんかね。いや、君より年下の範馬刃牙や花山薫あたりで結構。花山薫なんて身体を鍛えたり武術を嗜んだりしていないので相手にちょうどいいんじゃないでしょうかね。

 ま、推理とかより家康の言動の不愉快さが気になるのですが、本書の語り手である夕佳も結構おかしい。変態紳士家康にぞっこんラブという点は蓼食う虫も好き好きなので目をつぶりますが、普通の浪人生の語りとは思えない部分が散見されます。シリーズ一作目ということで語られていない部分も多々あるようなのですが、一筋縄ではいかない人なんじゃなかろうか。浪人生のくせにセーラー服を着ていくあたりも怪しい(笑)。

何だオマエ?… 

 で、集まった他の参加者もまあ俗物というか露悪的というか…殺されてもしょうがないかとつい思ってしまう連中が多いです。ただ、「こんなところにいられるか!」とか「殺人鬼と同じ部屋にいられるか!」といったベタベタな反応をするのが笑えてしまう。自ら死亡フラグ立てるというスタイルは今時ちょっとなあ。

 終盤、連続する密室殺人事件のトリックを鮮やかに解きほぐしていく家康ですが、抜本的に無理がないかというかなり強引なトリックなんですがこれは本格推理的にOKなんですかね?ネタバレになるから詳しく書けないんですが、そこまでやらせるのは無理じゃね?と思ってしまいます。せめてガリレオシリーズみたいに再現実験でもしてくれないと納得できないような。
 
スティーブン・キングの文書読本 

 まあ中盤以降はクセがスゴイ文体にも慣れるので一気に読めますが、多分スティーブン・キングが自身の文書読本(書くことについて)で主張しているところに照らすと、古野まほろの作品は唾棄すべき表現法の好例ということにされてしまうのではないかと。ま、世界的ベストセラー作家といえどもそれに従ういわれはないのですが、私も東野圭吾のような平易な文体の作家の方が好きですね。

泥眼 

 あと殺人の動機が弱い。「能面の鬼女」が糾弾する各人の罪状。それは実は本来の動機を隠すためのフェイクなんですが、罪状自体は虚偽ではないようです。どうやって調べたんでしょう。特に夕佳の“罪状”なんて、ちょっと調べようがないような。最終盤の犯人の告白に出てくる謎のパトロンが教えたのか。だとするとシリーズを通じた家康・夕佳(これでイエユカ)の宿敵となるのかも。

 そして犯人には第三者から見て弱いなあとは思われるけれども一応殺人の動機はある。それはいいのですが、デコイである「能面の鬼女」まで殺しているのはどうなのか。この人物も実は殺害対象の一人であるところ、上手いこと騙して「能面の鬼女」を演じさせた……というなら判らんでもないのですが、最後までそういう記述はありませんでした。目的のためなら手段を選ばないというなら、節子それ復讐と違う、テロや!という気がします。

群衆リドル POP 

 本書の世界は、現実の世界とは違って、日本帝国というパラレルワールドを舞台となっていて、軍が幅を効かせたりしていますが、ほぼ年代とかテクノロジーは現実に準拠していると思われます(そうでなければ90年代とかいう設定に意味がない)。それを踏まえて、そしてやたら家康が自分の頭の良さをひけらかすスタイル(衒学的というのか)なのであえて指摘しますが、登場人物に外務省大臣官房の儀典長という人物が出てきます。

昔の儀典長 

 作品が出版されたのは2010年で、確かにその時点で外務省の儀典長は大臣官房に属する現在のポストとなっています。しかし、1969年から2004年までは、省名を冠さない「儀典長」であり、次官級ポストでした。つまり現在よりも偉かった訳ですね。作中儀典長の人物は自身のポストを審議官級と称していますが、審議官にも次官級の省名審議官(外務省なら外務審議官)と各省庁の大臣(長官)官房に置かれている局長級の審議官、そして各局に置かれる局次長級の審議官がいます。

 1993年時点なら、この人物はただ「儀典長」を名乗るべきで、そのランクは次官級ということになるはずなのですが、大臣官房儀典長とされていて局長級のランクに不当に引き下げられている点が、作者の調査不足だなあと思われる点です。

洋館のイメージ 

 密室殺人やそのトリックなど、見るべき点はあるので(家康病でこっちまでエラそうになってしまいました)、“オレ強えー、オレ最強!!”的存在が罷り通り易いラノベならさらに人気を博するんじゃないかと思います。もちろん作中イラストも豊富にね。実際光文社文庫版は限りなくラノベっぽい装丁だと思いますし。

雪山の密室 
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