黒猫館の殺人:「館」シリーズ第6弾はクイーン風。でも違う作品を思い出してしまいました

ひよっこのキャスト

 NHKの朝ドラの「ひよっこ」、筑波嶺ではありませんが茨城県が舞台となっています。ロケ地は高萩のようですが、イメージ的には袋田の滝がある大子の方という気が。筑波嶺からは東京よりも遠いですが、同じ茨城なのでヒットして欲しいものです。そのうちヒロインは東京に行ってしまうんでしょうけどね。出演者をディスりまくっていたニュース(番組内番組)には笑いました。

新装改訂版黒猫館の殺人 

 本日は綾辻行人の「黒猫館の殺人」を紹介しましょう。先日読んだ「時計館の殺人」の直後の作品であり、時系列的にも1年後の話となっています。

 「黒猫館の殺人」は1992年4月に講談社ノベルスから刊行され、1996年6月に講談社文庫から文庫版が刊行されました。そして2014年1月に講談社文庫から新装改訂版が出版されており、今回読んだのは新装改訂版です。

新書版黒猫館の殺人
 

 前作「時計館の殺人」からおよそ6か月後に刊行されており、30代前半だった作者の若さと体力を感じさせますが、「あとがき」によるとやはりかなりの強行軍だったらしく、終盤はホテルに缶詰になり、完成直後は高熱でダウンしたそうです。学生時代から慢性扁桃炎を患っていたそうで、これを機に扁桃摘出手術を受けることを決意したそうです。

暗黒館の殺人 

 前作にして大作の「時計館の殺人」で第45回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞しており、次作にしてやはり大作の「暗黒館の殺人」が「週刊文春ミステリーベスト10」で2004年の3位、「このミステリーがすごい!」で2005年の7位、「本格ミステリ・ベスト10」で2005年の2位に入っているという華々しさに挟まれて、本作は全然そういったエントリーがなくて寂しい限りです。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

 大いなる謎を秘めた館、黒猫館。火災で重傷を負い、記憶を失った老人・鮎田冬馬の奇妙な依頼を受け、推理作家・鹿谷門実と江南孝明は、東京から札幌、そして阿寒へと向かう。深い森の中に建つその館で待ち受ける、“世界”が揺らぐような真実とは!? シリーズ屈指の大仕掛けを、読者(あなた)は見破ることができるか?

旧版黒猫館の殺人 

 例によって推理作家・鹿谷門実(島田潔)と編集者・江南孝明のコンビが、奇怪な建造物をいくつも建造している中村青司の手掛けた作品である黒猫館で起きた殺人事件の謎に挑みます。前回はまさに進行中の殺人事件に遭遇し、江南は自らも窮地に陥りましたが、今回は1年前に起きた事件の謎を解明するというものなので、生命の危険はありません。また、時計館での大量殺人がど派手なだけに、黒猫館の殺人はとてもこじんまりした感を受けるので、そのあたりが“地味”な印象を与えているのかも知れません。

 鮎田老人は、黒猫館の管理人をやっていたらしい…のですが、半年前に東京で発生したホテル火災に巻き込まれて重傷を負い、おまけに記憶まで失ってしまいました。ではなぜ黒猫館の管理人だったことが判明したのかといえば、火災遭遇時に財布や通帳の代わりにしっかりと抱きしめていた「手記」があったからです。

黒猫館 間取り 

 その手記は、10年後の自分に宛てた推理小説のようなものだと前書きされており、1年前、つまり1989年8月に黒猫館で起きた奇怪な事件が克明に綴られていました。「時計館の殺人」が時計館の中と外の出来事を交互に描いていたのに対し、本作は一年前の手記と現在の鹿谷らの行動が交互に描かれています。

 黒猫館はおそらく北大と目される大学の助教授だった天羽辰也が中村青司に依頼して1970年に建築した洋館です。作中の時間的には20年前の話になります。天羽は姪(死んだ妹の娘)と共にここに住んでいたそうですが、零落して破産し、館は人手に渡ってしまい、本人と姪は行方不明になっています。

ルイス・キャロル 

 現在の持ち主の馬鹿息子と、馬鹿息子が所属するロックバンドの一行が解散旅行にやってきたことで、事件の幕が開きます。密室での死亡事件が2件と、謎の地下室の奥にあった白骨死体。人死には3件だけなのですが、死亡事件は殺人なのか?だとしたら犯人は誰か?そして白骨死体は誰のものでなぜ地下に隠されていたのかなど、謎は豊富です。もっといえば黒猫館が阿寒にあることを突き止めるのにも苦労していたりします。

 本作はあんまり突っ込んで紹介するとネタバレになってしまうのですが、「館」シリーズ第一弾である「十角館の殺人」がクリスティの「そして誰もいなくなった」をモチーフにしているのに対し、本作はエラリー・クイーンの「神の灯」をモチーフにしています。

神の灯 

 「神の灯」は1940年発表の「エラリー・クイーンの新冒険」に入っている中編ですが、名作として、そしてあまりにも大仕掛けのトリックが有名なので日本では表題作となって刊行されていたりします。読んだことがある人は、黒猫館到着後の描写と巻頭の黒猫館の見取り図を比較することで、「あ、これは『神の灯』!」とすぐ判ると思います。そう、実はそこは黒猫館ではなかったという。

 では本当の黒猫館はどこにあるか?ですが、そこで綾辻行人はあっと驚く大仕掛けをしています。とんでもないところにあったんですね。そしてそれは、鮎田老人の手記を克明に読めば色々なところにヒントとして登場しているのですが、なかなか気づかないんですよねこれが。

 なお、天羽博士は「自分は鏡の世界の住人」だという趣旨のことを度々述べていたそうで、これも「神の灯」トリックであることのヒントとなっているのですが、実際、内臓の配置が、鏡に映したようにすべて左右反対になる内臓逆位であったそうです。

北斗神拳はきかぬ 

 内臓逆位のキャラというと真っ先に浮かぶのが「北斗の拳」に登場した聖帝サウザー。南斗六聖拳「将星」の男にして、108派ある南斗聖拳でも最強とされる南斗鳳凰拳の継承者です。しかも内臓逆位のため、経絡秘孔の位置も通常と逆であることから、その秘密を見破れない限り、正確な秘孔を突くことができない=北斗神拳が通じないということで、拳王ラオウですら戦闘を回避しており、ケンシロウは初戦で惨敗を喫しました。

サウザーの大名言 

 …まあ医学に精通していたトキがサウザーの秘密を察知したことで再戦では破れてしまうのですが。しかし「北斗の拳 イチゴ味」のせいで今やすっかりギャグキャラになってしまっていますなあ。アニメ化した際には正味たった2分のショートさに全米と共に聖帝十字凌も泣きましたが、銀河万丈のバカ笑いとか怪演ぶりが実に素晴らしかったです。おまけにユリアが皆口裕子ですよ。ショートアニメでもいい、第二期カモン。

イチゴ味のサウザー
 
 いや話が脇にそれてしまいましたが、本作にはクイーンの他に影響を与えている作品があるような気がします。それは80年代に出現した伝説のアダルトアニメ「くりいむレモン」。

くりいむレモン 

 「くりいむレモン」といえば何と言っても亜美ちゃんが有名なんですが、シリーズ11弾に「黒猫館」という作品があるんです。

くりいむレモンの黒猫館 

 1986年1月25日に発売され、太平洋戦争開戦直前という時代の山奥にある「黒猫館」を舞台とした作品で、人気作となり、1993年には「続 黒猫館」が、そして2006年には実写映画化もされています。AV女優が出演していますが、R-15指定の一般作品です。

続黒猫館 

 内容はともかく、黒猫館という名称はこちらが先行しているので、屋敷の名前はここから取ったのかなと思うのですが、どうなんでしょう。黒猫館の主である鮎川家というのも鮎田に近い感じですし。こっちの黒猫館は女性ばかりで実に気色がいいのですが。みんな魅力的ですが、特にメイドのあやさんが好きですな。

メイドのあやさん 

 報酬3000円に惹かれた主人公の大学生・村上ですが、当時の3000円が現在だといくらに相当するかは諸説ありますが、仮に1000倍だとすると300万円で、一冬の報酬としては充分ではないかと。3000万円だと高すぎて希望者殺到になってしまいますが、多数の応募者から選ばれた的な描写は一切なかったので300万円くらいが適当だと思います。まあ3000万円でもいいんですよ。なにしろ女主人の鮎川冴子には本当に支払う気はなかったようなので。でも無料だったとしても私は滞在したいな(笑)。己の心に従うと書いて“忌まわしい”と読むのです……

実写版黒猫館 
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