ワセダ三畳青春記:青春の終わりっていつなんだろう?

立春ですよ

 立春ですね。暖かいこともあってか、そこここで梅の花がほころび始めています。冬至から節分までの間、大学のそばにあった穴八幡宮では「一陽来復」のお守りを出していましたっけ。そんなことを思い出したのは、今回読んだ本のせいかもしれません。

穴八幡の一陽来復 

 本日は高野秀行の「ワセダ三畳青春記」を紹介します。高野秀行の本を読んだのは今回が初めてです。高野秀行は1966年10月21日生れで東京都八王子市出身。早稲田大学第一文学部在学中に探検部に所属し、国内はもとよりアフリカ・南米・東南アジアなどを探検しました。在学中にコンゴ探検をまとめた「幻の怪獣・ムベンベを追え」で作家デビューということになりますが、各地を探検している関係上、紀行・冒険もののテレビ番組関係などのライターしたりしてアルバイト料を稼いでいたようです。

ワセダ三畳青春記 

 ちなみにムベンベは、正式にはモケーレ・ムベンベという名前で、コンゴ・カメルーン・ガボンなどのアフリカ中央部の熱帯雨林の湖沼地帯に棲息しているのではないかといわれるUMAです。体の大きさはカバとゾウの間ぐらいで、ヘビのように長い首と尾を持ち、4本脚で、直径30cm以上の丸い足跡には3本の爪跡があるとされています。このとこからネッシーのように恐竜の生き残りではないかとも言われていますが、明確な証拠はまだ挙がっていません。

幻獣ムベンベを追え 

 「獣の列島」という漫画作品では、全長3~4メートルの環形動物に似た生物“獣(ワーム)”とされ、米軍が兵器化を試みて生体実験を行った結果恐るべき怪物となって人類を破滅に追い込んでいきます。知性を得るために女性は犯して子を産ませ、男は食料にするというとんでもない設定なのでごく一部にカルト的人気があるとかないとか。

獣の列島 

 「ワセダ三畳青春記」は、2003年10月22日に集英社文庫から刊行され、2005年に第1回酒飲み書店員大賞を受賞しています。なんだそのけったいな名称の賞はと思ったら、千葉県近辺の本と酒が好きな書店員と出版社営業が集まり、最も売り出したい本をコンペティションで決定する賞だそうです。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

モケーレ・ムベンベ 

 三畳一間、家賃月1万2千円。ワセダのぼろアパート野々村荘に入居した私はケッタイ極まる住人たちと、アイドル性豊かな大家のおばちゃんに翻弄される。一方、私も探検部の仲間と幻覚植物の人体実験をしたり、三味線屋台でひと儲けを企んだり。金と欲のバブル時代も、不況と失望の九〇年代にも気づかず、能天気な日々を過ごしたバカ者たちのおかしくて、ちょっと切ない青春物語。 

早稲田大学のそば 

 卒業出来る気がしないというほど大学の授業には出ず、探検部の活動に地道をあげていたので、当然ながらさっさと卒業→就職を期待する両親との折り合いが悪くなり、エスケープの意味も込めて入り込んだのが、早稲田大学正門から徒歩5分のところにある野々村荘の三畳間でした。立地の良さと月額1万2千円という格安の家賃で即決して入居した髙野秀行ですが、時に平成がまさに始まった1989年。三畳一間というと「神田川」を連想するのですが、あっちは70年代、こっちはバブル絶頂期で隔世の感があります。というかバルブ時代によくそんなアパートに住む気になったものです。

三畳一間 

 松本零士の代表作の一つである「男おいどん」でさえ、大山昇太は老朽下宿で極貧生活を送っているとはいえ、間取りは四畳半。私も自分の部屋が四畳半だった頃がありますが、正直これ以上狭い部屋には住めないと思いましたよ。「神田川」のカップルが三畳に同棲というシチュエーションは、私的にはマジかよスゲーなという印象でしたが、バブル期でなお三畳暮らしをする猛者が居たとは、上には上がいるものですね。

 しかも、大学の傍でアパート暮らしなんていうと、18歳から22歳頃までという人が大半じゃないかと思うのですが、この人の場合は大学4年生になった22歳の初夏から、大学をとっくに卒業した33歳の初夏の頃までというまる11年間住み続けたのでした。そのうち8年間が3畳間で、残り3年間がグレードアップして4畳半住まいでした。

髙野秀行 

 そういう過酷ともいえる居住環境に適応できたのは、各地の秘境を回るということであらゆる環境に適応できるようになっていたということもあるでしょうが、やはり探検部なんてイロモノで活動するようないつまでも子供のような好奇心とか遊び心のなせるわざなんではないでしょうか。

 大学のそばにそういう面白い人が住んでいれば、当然探検部の先輩後輩も訪れるわけで、野々村荘で一緒に住む部員まで出ます。仲間達が四六時中にぎにぎしく出入りして、酒飲んだりドラッグ実験をしたりとバカやっているのだからそりゃあ楽しいでしょう。

哀愁の街に霧が降るのだ 

 仲のいい連中との共同生活というと、椎名誠の「哀愁の街に霧が降るのだ」を思い出すのですが、あっちは昭和時代に同居生活、こっちは平成時代に入り乱れてはいるものの個室生活とやや様相を異にします。うーん、どちらかと言えば、狭くても個室がある方がいいかなと思ってしまう私は昭和生まれだけで平成スタイルなのか。

あの頃のまま 

 どんなことにも終わりはあるもので、学生時代とか青春時代というのもにも終わりはあるのです。探検部の仲間達も卒業・就職で去って行く中、高野秀行はブレッド&バターの「あの頃のまま」の主人公の如く、一人気ままに街を彷徨しているのでした。青春に別れを告げた人々は、そんな彼を見て羨ましそうにしますが、高野秀行のほうは、気ままな暮らしの中で行き詰まりを感じていくようになります。

 行き詰まっているけど、何に行き詰まっているのかわからない。そんな状況を「暗闇の一人歩き」と表現していますが、やはり人間楽してのんびりしているだけではいかんということでしょうが。何らかの「生まれてきた甲斐」のようなものを求め出すのか。

 そして作者の場合、野々村荘時代=長かった青春時代との別れを決意させたものは、本気の「恋」でした。離れたくない、ずっと一緒にいたいという思いが自然に生まれ、恋人の住む街に引っ越すことに。ちなみに同年配だというその恋人、現在の妻でライターの片野ゆかだと思われるのですが、そうなんでしょうね?

片野ゆか 

 片野ゆかは「昭和犬奇人 平岩米吉伝」で2005年に第12回小学館ノンフィクション大賞を受賞しています。犬が大好きみたいで、犬関連の著作が多いです。元カノのハーフの女性の話もその直前に出てますが、奥さん的にはノープロブレムだったんでしょうか。

日本の特別地域 

 私も同じ大学出身なんですが、鬼の哭く街・A立区の貧乏家庭出身だったもので、何年も大学で留年するとか、探検部のようなサークルで遊びにうつつを抜かすとかは全然考えられなかったです。大学生時代自体はのんびりしていて今でも嫌いじゃないですが、当時は当然4年で卒業して就職して給料を貰うということに何の迷いもありませんでした。

働きたくないでござる 

 そうは言っても就職前の春休みには「働きたくないよ~」と転げ回ってましたけどね。高野秀行から見たらきっと“異邦人”だったことでしょう。でも、ま、私には三畳一間は無理だから仕方がありませんな。こうして本で覗き見る位がちょうどいいあたりです。
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