探偵はバーにいる:80年代ススキノを描くハードボイルド「ススキノ探偵シリーズ」第一弾


 本日はリアル明里ちゃん水着画像から。リアル明里パパンからはもう一枚画像を貰ったんですが、出し惜しんで次回。資源が少ないんじゃよ。

探偵はバーにいる 

 本日は東直巳の「探偵はバーにいる」を紹介しましょう。20年近く続いているススキノ探偵シリーズの第一弾です。東直巳の作品は今回初めて読みました。

東直巳 

 東直巳は1956年生れで札幌市出身。北海道大学文学部哲学科中退で、その後土木作業員、ポスター貼り、カラオケ外勤、タウン雑誌編集者など様々な職を転々とした後、1992年に「探偵はバーにいる」で作家デビューしました。以後、ススキノ探偵シリーズ、探偵畝原シリーズ、榊原シリーズなどの作品を発表し、気鋭のミステリー作家として注目を浴びています。現在も札幌在住で、札幌および北海道を舞台にした作品を多く発表しており、フジテレビ系の北海道ローカル局「北海道文化放送(UHB)」の情報番組「のりゆきのトークDE北海道」(2012年終了)では長年にわたってコメンテーターとしても活躍しました。

トークDE北海道 

 2001年、やはり札幌を舞台とした榊原シリーズ第二弾「残光」で第54回日本推理作家協会賞を受賞しています。

残光 

 「探偵はバーにいる」は東直巳の処女作で、1992年5月に単行本が出版され、1995年8月に文庫版が出版されています。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

ススキノのソープ街その1 

 ススキノで便利屋をなりわいにする〈俺〉は、いつものようにバーの扉をあけた。が、今夜、待っていたのは大学の後輩。同棲している彼女が戻ってこないという。どうせ大したことはあるまいと思いながら引き受けた相談事は、いつのまにか怪しげな殺人事件に発展して……ヤクザに脅されても見栄をはり、女に騙されても愛想は忘れない。真相を求め〈俺〉は街を走り回る。面白さがクセになる新感覚ハードボイルド第一弾!

ススキノのソープ街その2 

 舞台はススキノ。私が2年ほどお世話になっていたススキノ。まあ私の住んでいたアパートはススキノからはちょっと外れるのですが、本作の舞台となっているススキノとその周辺にしっかり入っています。だからとっても懐かしいです。

ラスティネイル 

 時代は、本作が執筆された1992年からさらにさかのぼって1980年代。冒頭、“「トルコ風呂」が「ソープランド」と呼ばれた頃”という一文がありますが、トルコ人留学生が当時の厚生省に名称変更を訴え出たことにより、あっという間に「トルコ風呂」が「ソープランド」に改名されたのは1984(昭和59)年のことなので、1984年の年末と特定して良さそうです。
札幌駅旧駅舎 札幌駅現駅舎

 今から30年以上前…携帯やスマホなどまだなく、ファミコンは登場していましたが、PCは大して普及してなかった時代。連絡はバーにかかってくる電話や赤電話。そういう時代に生きていたことが、今となっては信じられない気がしますが、それだけ情報機器の普及は短期間にすさまじい勢いだったんですね。端的にその差を実感するため、札幌駅の今昔をお見せしましょう。なんだこの差は…たまげたなあ。

サスペンダーに蝶ネクタイ 

 〈俺〉は最後まで氏名不詳です。作中“サスちゃん”と呼ぶ人もいますが、これは名前から来る仇名ではなく、以前サスペンダーを使っていたことがあるところからだそうです。目立ちますよね、サスペンダー。昔会社にサスペンダーに蝶ネクタイというおっさんがいたんですが、異様な存在感がありました。

マティーニ 

 北大中退でススキノの傍に住み、ツケの取り立てやボッタクリ店との交渉、トランプ博打などをしつつ、主に飲んだくれて暮らしています。それを一言で言うと「便利屋」ということになるんでしょうね。一部の人には「探偵のようなこと」をしていると思われています。東直巳の経歴を見れば、〈俺〉はまさしく若き日の東直巳をモデルにしているんだろうなと思われます。

スーパーニッカ 

 〈俺〉はとにかく飲んだくれています。何しろ朝起きたらアパートの一階にある喫茶店でスーパーニッカのストレートをダブルで食事をするという。素面でいるのは起き抜けの数十分だけなんじゃなかろうか。ジャック・ダニエルのようなテネシー・ウィスキー(バーボンの一種)が好きなようですが、その他カクテル、日本酒、ビールと、基本的に酒であれば何でも飲むようです。

ジャックダニエルズ 

 ジャック・ダニエルといえば「ファイブスター物語」の三代目黒騎士デコース・ワイズメルも飲んでたみたいですね。バキシリーズの名脇役である喧嘩師・花山薫はワイルド・ターキーが好きみたいですが、ハードボイルドキャラにはバーボンが似合うのか。

三代目黒騎士デコース・ワイズメル 

 〈俺〉は多少空手を嗜み、不良少年の2~3人程度はのすことができますが、無茶苦茶強いという訳では内ので、作中集団にボコられたり、不意打ちを食らったりと痛い目も見ています。毎日ススキノを徘徊していることもあり、ススキノではいっぱしの顔役となっており、いろんな店で顔が利くほか、大学時代の友人の空手使いや新聞記者などの知り合いもいます。この時点では28歳だからまあ飲んだくれててもなんとかなっているのかも知れませんが、30越えると一気に来るぜ、いろいろとな。

ススキノのデートクラブ 

 で、後輩筋の北大生から半同棲中の短大生が数日帰ってこないということで捜索を依頼されます。渋々引き受けてからの数日間の〈俺〉の活躍が描かれています。ラブホテルで起きた殺人事件、解散したデートクラブ、バーで涙を流す美女、北大講師への脅迫など、バラバラに見える事象が、〈俺〉の行動により一連の結びつきを見せていきます。作中の些細な出来事でもちゃんと最期の最後まで伏線回収を行っているところが丁寧でいいですね。

ギムレット 

 〈俺〉は北大中退ということもあって、結構インテリなんですが、自称「おじさん」といいつつ、28歳とう年齢相応に青臭い部分もあったりして、まだまだハードボイルドになりきっていない感じもします。おそらくシリーズが進むにつれて変わっていくのでしょうけど。

ブラックニッカスペシャル 

 女子短期大学を「スケタン」という嫌な言い回しで呼んだり、高校中退の落ちこぼれの不良少年に対する罵詈雑言などは、まあ〈俺〉の偏見丸出しな部分なんでしょうね。若き日の東直巳も持っていたであろうそういう偏見をあえて隠ささずにあからさまにするところがまたなんとも。そういうバカにしきっていた人達からも一本取られちゃったりしてますし。

探偵はBARにいる 

 2011年9月10日に大泉洋主演の映画「探偵はBARにいる」が公開されています。タイトルは、「探偵はバーにいる」からとられていますが、なんと原作はススキノ探偵シリーズ第二弾「バーにかかってきた電話」なのです。故に、ほぼこのタイトルにも関わらず本作自体は映画化されていないという。大泉洋…北海道出身のいい役者ですが、第一作を読む限りはもっと太めで腕っ節が強そうな感じなんですが。まあ大泉洋くらいとぼけた感じで実は結構強いというのもありなんでしょうけど。

バーにかかってきた電話 

 ススキノも結構狭いエリアなんですが、大通や路地が沢山あって、探検すると結構な迷宮という感じがします。その中を生き生きと酔いどれ探偵が行く訳ですが、たった2年とはいえ私も周辺に住んでいたせいで、土地勘ができていて毎回の描写が非常に懐かしく感じます。もっとも私が住んでいた頃とは30年の時代差があるんですけどね。

あの頃のまま 

 なんとはないしに、ブレッド&バターの「あの頃のまま」という歌を思い出します。特に「今でも気まぐれに街をゆくぼくは 変わらないよ ああ あのころのままさ」というフレーズを。

昔のススキノ交差点 

 ヤクザの親分相手にもふてぶてしい挑発的言動を止めない〈俺〉ですが、その実冷や汗ものでいたり、心配しまくっていたり、強がって仁王立ちしていながら相手が去ったらへたり込んだりと、見栄を張るのも中々に大変だなと思います。感傷や恐怖などの感情に流されない、冷酷非情、精神的肉体的に強靭、妥協しないなどの人間の性格を表す言葉が本来のハードボイルドなのですが、文芸用語としてのハードボイルドは、暴力的・反道徳的な内容を、批判を加えず、客観的で簡潔な描写で記述する手法・文体をいうので、やせ我慢でも世間に対して見栄を張り続ける〈俺〉は、まさに本当のハードボイルドと言えるでしょう。

夜のススキノ交差点 

 やっぱりいいよなあ、ススキノ。歌舞伎町が大きすぎるし危険すぎるけど、ススキノには適度な猥雑さと適度な安全さがあります。でも本作が描いたような剣呑な闇もちらほらとあるんですね。冬にあんなに降雪がなければ最高なんですが、物語シーン的には雪もまた彩りを添えるんでしょうね。

札幌雪景色 
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No title

 おお いいですね、探偵シリーズ。私も大好きな物語です。
乾いた文体がクセになります。榊原とか畝原シリーズも面白いですよ。
お勧めです。
 それにしても薄野も変わりました。人出も少なくなったし、直截的な看板が多くなりました。猥雑さが増したような気がして、少しさびしいです。昔を懐かしむようになったら、もう歳なんでしょうかね。
 北海道にも遊びに来てくださいね。

Re: No title

 HALさんこんばんは、いらっしゃい。いつもありがとうございます。

>  おお いいですね、探偵シリーズ。私も大好きな物語です。
> 乾いた文体がクセになります。榊原とか畝原シリーズも面白いですよ。
> お勧めです。

 東直巳は初めて読みましたが、たった2年しか住んでいないのにもう北海道に思い入れたっぷりなもので、機会を捉えて読んでいきたいです。まだ去ってから2か月もたっていないのに、ススキノの情景が懐かしくて涙が出そうです。

>  それにしても薄野も変わりました。人出も少なくなったし、直截的な看板が多くなりました。猥雑さが増したような気がして、少しさびしいです。昔を懐かしむようになったら、もう歳なんでしょうかね。
>  北海道にも遊びに来てくださいね。

 30年前のススキノ…。通りとか区画は変わらなくてもいろいろ変わっているのでしょうね。結構看板がケバケバしいですが、ススキノに限らず札幌の広告はケバケバしい傾向があるような。わかりやすさ第一なんでしょうかね。北海道は遊びに行きたいですし、なによりまた住みたいです。当たれ宝くじ!
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