大江戸仙界紀:“大江戸”シリーズ第四弾

屯田西公園

 こんばんは。今日は思いの外低温で、最高気温21度。半袖のワイシャツ一枚では少々寒かったですが、少しだけ耐えられるということ…それは永遠に耐えられるということ!(いやそんな無茶な)

少しだけ耐えられるということ…

 ところで話は変わるのですが、先日サントネージュワインのRelaという格安ワインを飲んだんですよ。ロゼのやつ。400円というワインなので期待していなかったのですが…これが下手なワインよりも美味しく飲めまして。アルコール度数も8度と低かったせいか、氷を入れて気軽にぐいぐいやって一本あっさり空けてしまいました。さすが“ゲスの極み”A立区育ち、舌の感度までゲスいのかと思いましたが、巷でも結構評判良いみたいですね。やはりコストパフォーマンスのせいでしょうか。今度は白も飲んで見ましょう。

リラ ロゼ

 さて本題です。久々に本だ!本日は石川英輔の「大江戸仙界紀」です。“大江戸”シリーズの第四弾ですね。

文庫版大江戸仙界紀

 第三弾の「大江戸遊仙記」については2012年12月19日の記事(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-223.html)に掲載していますが、それから2年半経ってようやく続編を読むとは。それはともあれ、シリーズの概要についてはそちらで既に書いているので今回は省略です。

 例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

 暮れから正月にかけての、江戸市中のにぎやかな生活。かわいい芸者のいな吉を連れて熱海へ…。百六十年前に転時(タイムスリップ)できる中年男の洋介が目を覚ますと、妻のかわりにホテルのベッドでいな吉が寝ていたから大あわて。綿密な考証で、江戸に遊び、江戸に学ぶ大好評の“大江戸”シリーズ第四弾。

大江戸仙界紀

 単行本の刊行が1993年5月、文庫版が1996年8月ということで、20年以上前の作品ということになります。第一弾の「大江戸神仙伝」は1979年刊行、最新作の大江戸妖美伝が2009年刊行なので、かれこれ30年続いている超ロングシリーズですが、30年で7冊ってなんて遅筆なんでしょう。第四弾の「仙界紀」でも「神仙伝」から14年が経過しています。

 でも作中の時間はわずか5年しか経過していません。この間に主人公速水洋介はアラフィフとなり、妻の流子はアラフォーになっていますが、なんと江戸時代の妻であるいな吉(本名おはる)はまだ20歳前。洋介、お前は30歳近く年下の、数えで15歳のいな吉を抱いたのか。とんでもないロリコンがいやがった(笑)。

 前作では洋介が流子と交わっている時に、しばしばいな吉と入れ替わるという超常現象が発生しており、私自身、前回の感想でも“4作目からはいな吉が現代にタイムスリップしてきたりするのではないかという雰囲気で本書は終わりますが、実際のところはどうなるのかはこれから機会を得て読みたいと思います。”と書いていますが、見事当たりました。

 今回は洋介が初めて江戸の大晦日から正月にかけて滞在し、江戸時代の年末年始を体験することになります。年度末の年末が異なっている現代と違い、江戸時代の大晦日は年度末でもあり、つけの支払い・取り立てと新年を迎える準備で町は大賑わいです。

寝正月?

 一転、元旦は商家朝方までの帳簿付けなどでくたびれ果てて寝正月。町はひっそりと静まって年賀に上司宅を訪問する武家だけが歩き回っている様子です。寝正月とはまさにこのこと。画像だと「節子それ寝正月と違う、猫正月や!」と言いたくなりますが。町が賑わうのは二日からのようですね。

現代の喰積

 江戸時代にあって現代では廃れた風俗に喰積というのがあります。現代ではお正月のおせち料理をさしていう場合が多いですが、本来は新年の祝饌で、三方などに米、餅、昆布、熨斗鮑、ゴマメ、橙、ユズリハなどの種々の縁起物を飾り、年賀客にも供したのだそうです。地方や家庭により内容には差違がありますが、野の物、山の物、海の物が中心となっていました。この祝饌が一方では形式化され蓬莱飾となり、もう一つはおせち料理として重詰めとなったのだそうです。

蓬莱飾り

 正月行事はかなり厳粛に行われていたようで、その改まった雰囲気は本書でも描かれていますが、この辺りは気楽な現代の方がいいかなあ、なんて思ったりしてしまいます。本書は現代文明批判的な言辞が多く、石川英輔はかねて「江戸時代はパラダイスではないが、明治時代以降にディスられた程地獄でも暗黒時代ではない」という主張を行っていますが、「江戸時代は、リサイクルが発達した、理想的なエコロジー社会であった」との主張は一面の真理ですが、脚気や結核にかかったらほぼ一発アウトで、凶作とか大黒柱の病気や怪我で一家は即転落、娘は吉原行きといった危うい面も当然あった訳で、ちょっと贔屓の引き倒しを感じる面もあります。

 いくら江戸時代がのどかで風光明媚であったとしても、世は帝国主義時代。日本だけがのんびりとエコロジー社会を継続していく訳にはいかなかったでしょうから、世界から切り離されていない限りは江戸時代は終わらざるを得なかったと思うので、ノスタルジーからの主張と言えなくもありませんが。

今の熱海

 そして卯月(旧暦4月)の気候の良い頃に、洋介はいな吉達と熱海に出かけます。どこへ行くにも基本歩いていく江戸時代の江戸っ子にとっては、熱海もはるかに遠い土地ですが、道中の大半は東海道だし、途中には様々な名所旧跡もあってなかなかに楽しそうです。物見遊山の旅なのでゆっくり歩いて4日かけて熱海に到着していますが、確かに東京から新幹線で50分かからない程度の熱海ですが、かつては新婚旅行のメッカだった時代もあり、気軽に出かけるようになったのはさほど昔のことではないのでしょう。道中の様々なものを見ることがなくなったというのも良いのだか悪いのだか。

 マンガ化するならぜひ弘兼憲史にお願いしたいというくらい、洋介に都合良くできている“大江戸”シリーズですが、今回も年末年始に妻の流子(雑誌編集長)が出張に出かけたり、マンションの隣人が引っ越すので買い取って広げ、その工事中に取材旅行に出かけることを勧められたりと、至極都合良く江戸時代に滞在する名目ができちゃています。

根府川関所跡

 そして結婚式出席のために現代で洋介と流子が熱海のホテルに滞在した時、再び異変が。なんといな吉がタイムスリップして現代に出現したのです。普通なら現代妻と江戸妻の遭遇でとんだ三角関係になるところなのですが、なぜか存在そのものが消えている流子。これはどのように解釈すればいいんでしょうか。

 いな吉に現代の格好をさせて、新幹線に乗せて東京に行って東京タワーやデパートを見せた洋介ですが、半日してホテルに戻ると、再びいな吉は江戸時代に戻ります。そしてその一日はなかったことになり、何事もなかったように流子が登場してきます。流子のいない平行世界に一時的にシフトしたとして、戻ってきた時には時間まで戻っているというのはなんという都合のよさでしょう。まさに…お美事にございまする。

お美事にございまする

 ちなみに流子には消えている間の記憶は全くないようですが、いな吉にはちゃんと記憶が残っている不思議。ですが現代の服などは全て消え失せ、しかもその間眠っているのが周囲の人間に確認されているので、夢を見たことにされてしまっています。仙境(現代)を見たのは仙術だとごまかす洋介ですが、仙境よりも文政十年の方がよほど良いといういな吉に洋介も一も二も無く同意しています。You、そのまま江戸時代に住んじゃいなyo!と言いたくなりますが、転時能力は不安定なので生活の基盤である現代を捨てる訳にもいかないのでしょう。

剣客商売

 でももし江戸時代か現代のどちらかで一生涯を過ごせと言われたら、今の洋介ならあっさり江戸時代を選んでしまいそうです。当時の不治の病である脚気を治せるのでお金には困らないし、住み続けるのならそれもいいのかも知れませんね。池波正太郎の「剣客商売」は18世紀後半の田沼時代の話で、本シリーズの時間軸とは40~50年位ずれていますが、秋山小兵衛の暮らしぶりも非常に楽しそうなので、お金に困らなければ江戸時代ライフを一度経験してみたいものです。なにしろ旨いものばかり食べているイメージがあります。

剣客商売 包丁暦
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