記憶に残る一言(その32):藤木源之助のセリフ(シグルイ)

さっぽろライラックまつり
 

 本日から札幌に初夏の訪れを告げる「さっぽろライラックまつり」が始まりました。57回目ということで長いですね。昨日始まった札幌ラーメンショーも協賛行事なのです。約400本のライラックが咲き誇る「大通会場」(大通公園)では音楽祭、野だて、スタンプラリーなどのイベントが行われます。

ライラックと時計台

 今年の春は暖かかったので、ライラックは既に満開状態です。でもここに来てちょっと肌寒いんですよね。今日なんか雨模様だし。週末から天気が良くなって気温も上がるみたいですが。

シグルイ 1巻

 本日は記憶に残る一言です。今日は「シグルイ」の主人公藤木源之助のセリフです。いかん、主人公ではないか(笑)。

シグルイ 15巻

 「シグルイは」山口貴由のマンガで、秋田書店の月刊誌「チャンピオンRED」に2003年8月号から2010年9月号まで連載されました。2007年にはWOWOWでアニメ化されています。

駿河城御前試合

 原作は南條範夫の時代小説で連作短編の「駿河城御前試合」の第一話「無明逆流れ」が中心となっています。「無明逆流れ」は35ページほどの短編ですが、山口貴由が大胆かつ奔放に脚色しており、ほとんど別物に近い内容の作品となっています。

覚悟のススメ

 山口貴由はデビュー時から独特なキャラクターと台詞回し、大胆な構図、止め絵の大ゴマ・アオリ文字の多用が特徴となています。また手がける作品のどれもが肉体が破壊され、内臓が飛び散るなどのグロテスクな描写があります。全ての集中力を漫画に注げられるように心がけているそうで、漫画家以外の仕事は考えられないと言っています。代表作は「覚悟のススメ」や「悟空道」ですが、「シグルイ」はこれらを超えた作品と言えるでしょう。

悟空道 1巻

 「駿河城御前試合」は、駿府藩主の大納言徳川忠長(三代将軍徳川家光の弟)の御前で催されたという11番の御前試合を描いた連作短編です。11番のうち8組に勝敗があり、3組が相打ちとなっていますが、対戦が真剣で行われたため、各試合の敗者は死亡し、相打ちでは両者死亡という悲惨な結末となっています。試合場となった広場に敷きつめられた白砂は血の海と化し、死臭があたりに漂い、見物の侍さえもひそかに列を退き、嘔吐する者もあったというほどの惨状だったそうな。

対峙する二人

 その駿河城での御前試合の第一試合を戦うのは、隻腕の藤木源之助と盲目跛足の伊良子清玄。まともな試合ができるのかと危ぶむ周囲の心配をよそに構える二剣士。そこには「濃尾無双」と謳われた虎眼流での浅からぬ因縁があったのです。

シグルイスプラッター

 ということで、話は7年前に遡って因縁の発端から語られるのですが、当時藤木源之助は師範代を務めており、幼少時から両親が心配するほど寡黙でしたが、強い意志と矜持、そして並外れた膂力を持っていました。

藤木の鍔迫り

 藤木の剣の道を追求する姿勢は当時からストイックで、自分にも他者にも厳しく、門弟にも容赦無い稽古をつけていました。藤木の得意技は自らの刀を相手の刀とぶつけ合わせ、そのまま力押しによって相手を押し倒し屈服させる「鍔迫り」です。相手を押し倒した上、首を木刀で締め上げることで、相手から「参った」と言わせないようにするという恐ろしい技となっています。

牛股師範の取りなし

 巨漢ながら温厚な師範の牛股権左衛門は、そんな苛烈な藤木にさすがにもう少し手加減したらと言うのですが…その際に藤木が返したセリフが今日の記憶に残る一言です。

痛くなければ覚えませぬ

 はいこれ。確かに身を以て経験した痛い目は忘れられませんね。私も3回転倒して凍結路面の恐怖を心に刻みましたよ。見てるだけではこの恐怖は理解できないに違いありません。しかし、さすがに殺すつもりはないでしょうが、参ったと言わせないというのも底意地が悪いですね。師範代とはいえ20歳そこそこの若者なので、血気にはやっている部分があるのかも知れません。

初期の伊良子清玄

 そこへ道場破りにやってきたのが伊良子清玄です。当時はもちろん盲目跛足ではなく、天賦の才を持った優れた剣士でした。母親が夜鷹という出自の悪さから這い上がるために上昇志向が極めて強く、周囲の人間を利用する野心家です。伊良子は強い強い藤木を「指溺み」という骨子術の技であっさりと破りますが牛股権左衛門には及ばず、虎眼流の門弟になります。

藤木源之助

 牛股と藤木、伊良子は虎眼流の「一虎双龍」と呼ばれることになります。特に腕を上げた伊良子は道場随一の剣士となり、虎眼流の後継者と目されるようになりますが、道場主である岩本虎眼の情婦であるいくとの密通したのが運の尽き。師匠の情婦NTRということで、虎眼以下虎眼流一門の仕置きを受けた上、虎眼の秘剣「流れ星」によって両目を斬られ、いくと共に放逐されてしまうのでした。

盲目になった伊良子清玄

 その3年後、隆盛を極めていた虎眼流でしたが、高弟達が次々と殺害されていきます。犯人は虎眼流への復讐を行う伊良子でした。伊良子の策により分断された虎眼流の面々は刺客の襲撃を受け、藤木と牛股は刺客を返り討ちにしますが、なんと虎眼は伊良子の秘剣「無明逆流れ」の前に破れ、「濃尾無双」の虎眼流伝説はここに終結したのでした。

隻腕になった藤木

 その後、師匠の仇討をすべく藤木と牛股は伊良子と果し合いますが、藤木は秘剣「無明逆流れ」でに左腕を切り落とされ、牛股までも惨殺されてしまいます。意に沿わず生き延びた藤木は、徳川忠長の命により自死も許されないまま、御前試合で伊良子と再戦することになります。

牛股権左衛門仁王立ち

 まあそこに至るまでに色んな出来事があり、それらは「駿河城御前試合」の他の試合の登場人物絡みのものもありますが、圧倒的に山口貴由のオリジナル要素が強いように思われます。ゆえに35ページの短編が15巻の長編になった訳ですが。

シグルイ7,8巻

 岩本虎眼が創始した虎眼流ですが、真剣はたやすく折れるという理由から、剣を極力打ち合わせず、最小の斬撃で倒すことを趣旨としており、極めて実践的な剣法です。また当身技も多用するなど、単に剣術にとどまらない独自の技法を含んでいます。

虎眼流流れその1

 特徴的な技は、中目録以上にのみ伝授される秘伝の技「流れ」です。刀を片手で背後に担ぎ、そこから相手に向かって刀を横に薙ぐのですが、刀を振ると同時に、手を刀の鍔元から柄尻まで横滑りさせることで相手に間合いを誤認させるとともに、切先による最少の斬撃で相手を倒すことを主旨とした技です。

虎眼流流れその2

 虎眼流では「人体は三寸斬り込めば致命傷になりうる」としており、非常に実践的な技に見えます。技のからくりが判明すれば対処法はありそうですが、多分見た者は生きて返さないのでしょう。ただし、強靭な握力と精妙な制御が必要なため、十分な力量が無いと刀を吹っ飛ばしてしまうことになります。

虎眼流秘剣流れ星

 そして秘剣「流れ星」。「星流れ」という表記もあって、どのような基準で区別されているか判りません。全く同じ技なんではないかと見受けられます。もしや虎眼先生が使うと「流れ星」で、門弟が使うと「星流れ」なのかな。こちらは免許皆伝者のみが使うことを許されているもので、その域に達しない者は技自体を見てはならないという掟があります。

虎眼流星流れ

 右手の人差し指と中指の間で剣の柄を挟み、左手の指で刀身を掴んで力を溜めてから放つ変則的な剣で、これにより爆発的な速度を持つ斬撃を放つことが出来ます。更に「流れ」の要領で柄を指の間で滑らせ、間合いを伸ばします。これに加えて、刀を放つ際に身体を回転させることで、周囲の物全てを正に一刀両断してしまいます。

秘剣流れ星

 虎眼先生の他、免許皆伝である藤木、牛股、伊良子らもこの「流れ星」を操りますが、それぞれ構えは微妙に異なっています。虎眼流は稽古が極めて過酷な反面、新たな技の開発や、個人の創意工夫が認めらるなど、案外自由度が高いところがあります。

無明逆流れ

 そして伊良子が追放後に編み出した必殺剣が「無明逆流れ」。「盲人が杖を突いているかのよう」に剣を地面に突き立てた構えから、倒れこんで相手の攻撃をかわしつつ、相手の正中線を「流れ」で切り上げる技です。敵対することになった虎眼流の技法は生きているのですね。

アニメ版無明逆流れ

 秘剣「流れ星」は首を狙う横の薙ぎなので、これを躱しつつ切り上げるという相性の良い技です。伊良子は「流れ星」で失明しているので、「流れ星」破りのためにこの必殺剣を開発したのでしょうが、強固な地面に刀を突き立て溜めをより強く取って、全身のバネを用いて切り上げるので、「流れ星」を凌駕する斬撃になっています。

流れ星対無明逆流れ

 地面がぬかるんでいるなどすると影響を受けやすいという弱点がありましたが、跛足となってからは刀身を足の指で固定して力を溜めるように改良し、弱点を克服しました。これにより、足を使う縦の「流れ星」とでも言うべき技に進化しました。

岩本虎眼

 「シグルイ」とは「死狂い」のことで、“正気にては大業ならず 武士道はシグルイなり”と冒頭に掲げられているとおり、主要登場人物は誰も彼も狂気を孕んでいます。これは開祖虎眼先生の影響かも知れませんね。物語開始時には痴呆症状態になっており、一日の大半を「曖昧」な状態で過ごし、わずかな時間のみ正気に返るという状態となっていました。もっとも正気の時代も極めて苛烈な性格で、異様に執念深く嫉妬深い人物だったようです。

土方歳三

 実は藤木も伊良子も武士階級の出身ではないのですが、むしろそういう人の方が武士道に拘るというのは、武士への憧れのなせる業なのでしょうか。そういえば新撰組副長の土方歳三にもそういう傾向があったような。

虎眼先生と伊良子

 「無明逆流れ」は異形の構えからインパクトが大きく、いろいろなパロディが作られています。

セキセイインコの無明逆流れ

 「トレス疑惑」が囁かれる一枚。まさに「完全に一致」ですね。手がないので嘴を使っているところはさながら「セキセイ流無明逆流れ」か。

御堂あやめの無明逆流れ

 「どきどき魔女裁判」のキャラ、御堂あやめが無明逆流れを繰り出します。魔女の家系なのに巫女になり、さらにメイド喫茶でアルバイトしているという妙な人です。

秋田ちゃんの無明逆流れ

 「飯田橋のふたばちゃん」という四コママンガのキャラ、秋田ちゃんです。この四コマは出版社の擬人化で、スポ根ずきで熱血な「講談ちやん」、ファン層は広いが意外と腹黒い「小学ちやん」、アンケート結果にきびしい「集英ちやん」、個性のない「双葉ちやん」などが登場します。秋田ちゃんは当然秋田書店なわけで、長いものを持つと自動的に無明逆流れをやってしまうのだとか。

芳文シスターズ

 ゆるふわな人気者だが、キャラットにMAXにフォワードにミラクと、クリソツな妹が大勢いてまぎらわしい「芳文ちゃん」って、笑うわこんなん。

初音ミクの無明逆流れ

 初音ミクもネギで無明逆流れ。「ああ、あれこそはミク様必勝のお姿 無明葱流れ…」ヴォーカロイド道はシグルイなり。「シグルイ」もまたネタの宝庫なのでまたやりたいですね。「ぬふぅ」とか。

 
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