雀蜂:雪中の山荘で展開されるパニックホラー

駆逐艦水無月

 あっという間に6月になってしまいました。またも艦これネタで恐縮ですが、4月には卯月をゲットし、5月には皐月を育ててきた訳ですが、水無月は通常海域でのドロップがなく、建造でも入手不可という悲しい現実が。現状ではイベントでのドロップ入手しか方法がなく、この前の春イベントでもドロップ設定があったそうですが、残念ながら出逢えませんでした。

雀蜂 

 本日は貴志祐介の「雀蜂」を紹介しましょう。貴志祐介の作品は初めてではないのですが、当ブログで取り上げるのは初めてですね。よって例によって作者紹介から。

貴志祐介 

 貴志祐介は1959年1月3日生まれで大阪市出身。中学生時代からミステリやSFを読み、京都大学経済学部在学中に小説の投稿を始めました。京大卒業後に生命保険会社に入社しますが、数年後に小説執筆意欲が芽生え、1986年に第12回ハヤカワ・SFコンテストに「岸祐介」名義で応募した短編「凍った嘴」が佳作入選します。この作品は後の大長編「新世界より」の原点だそうです。

十三番目の人格 

 1989年、30歳の時に会社を退職して執筆・投稿活動に専念し、1996年に「ISOLA」で角川書店の日本ホラー大賞第3回長編賞佳作を受賞し、作家デビューしました。同作は後に「十三番目の人格 ISOLA」と改題して刊行されています。1997年には「黒い家」で第4回大賞を受賞しました。

黒い家 

 人間の欲望や狂気が呼び起こす恐怖を描いたホラー作品を発表する一方、ミステリー、SFと幅広いジャンルを手掛けています。受賞歴は、2005年に「硝子のハンマー」で第58回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、2008年に「新世界より」で第29回日本SF大賞、2010年に「悪の教典」で第1回山田風太郎賞、2011年に「ダークゾーン」で第23回将棋ペンクラブ大賞特別賞を受賞しています。

硝子のハンマー 

 「雀蜂」は、2013年10月25日に描き下ろしで角川ホラー文庫から刊行されました。刊行された小説としてはなんと最新刊。最近は何をしているんでしょうか…。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

悪の教典 

 11月下旬の八ヶ岳。山荘で目醒めた小説家の安斎が見たものは、次々と襲ってくるスズメバチの大群だった。昔ハチに刺された安斎は、もう一度刺されると命の保証はない。逃げようにも外は吹雪。通信機器も使えず、一緒にいた妻は忽然と姿を消していた。これは妻が自分を殺すために仕組んだ罠なのか。安斎とハチとの壮絶な死闘が始まった―。最後明らかになる驚愕の真実。ラスト25ページのどんでん返しは、まさに予測不能!

雀蜂のPOP 

 ダークなミステリーやサスペンスを得意とする小説家安斎智哉は、出版不況にも関わらずまずまずの売れ行きをキープし続けており、八ヶ岳山麓に山荘を持ち、年の三分の一はここで過ごしています。妻の夢子も絵本作家として有名で、昨夜は二人の新刊のヒットに祝杯を挙げた…はずですが、翌朝妻の姿はなく、またなぜか車の鍵やPCや電話のコードも抜かれて外部との連絡を絶たれていることに気付きます。

 そして山ではもはや降雪もあって完全に冬だというのに次々に現れるキイロスズメバチ。スズメバチなんて誰でも嫌ですが、安斎は特に怖れる理由がありました。3年前にスズメバチに刺されており、今度刺されたらアナフィラキシーショックで命が危ないと医者から警告されていたのです。

雀蜂コシマキ

 次々に現れるキイロスズメバチは夢子と、夢子の同級生で大学で昆虫を研究する男の陰謀なのか?キイロスズメバチの攻撃をかいくぐって地下のボイラー室に入った安斎は、さらに恐るべき事態に気付きました。なんとボイラー室はオオスズメバチの巣と化していたのです。

 キイロスズメバチは日本に生息するスズメバチの中では最も小型ですが、攻撃性が非常に高く、スズメバチ類の刺傷例ではキロスズメバチによるものが最も多いとか。

キイロスズメバチ 

 オオスズメバチは日本に生息するハチ類の中で最も強力な毒を持ち、かつ攻撃性も高い非常に危険な種です。ミツバチどころか、キイロスズメバチの巣すら攻撃することがあるそうです。筑波嶺でもたまに見ますが、その大きさといいオレンジと黒の毒々しいカラーリングといい、一目でヤバイヤツだとわかりますよ。九州では幼虫やさなぎ、成虫を珍味として食す習慣があるそうですが…くわばらくわばら。

オオスズメバチ 

 アメリカでキラービーというはアフリカミツバチとセイヨウミツバチの交雑種がはびこり、攻撃性が強くて人間の死亡例も多いため、駆除用にオオスズメバチを導入しようかと検討されたことがあったそうですが、研究用に取り寄せたオオスズメバチをキラービーと戦わせてみたところ一方的な虐殺劇となり、「こいつら放したら俺らまで駆除されんじゃね?」とビビって取りやめにしたそうです。

キラービー 

 キラービー拡大のニュースを見た日本人は「ふさふさしててかわいい」「子リスみたいで好き」「ストラップにしたい」などとマスコット扱いで、反面「こいつ超ザコだし」「絶対スズメバチのほうが強い」「スズメバチ最強!」と、小学生男児のような口ぶりでスズメバチをプッシュする声が多く見られたそうですが、そりゃあキラービーといっても所詮はミツバチ。ヤンマやカマキリといった大型肉食昆虫と食うか食われるかのバトルを展開しているスズメバチとまともに戦えるわけありませんね。

キイロスズメバチの巣 

 そんな話も通じない獰猛なキイロスズメバチとオオスズメバチに挟まれてまさに前門の虎後門の狼状態の安斎、どうやって危機を乗り越えるか…というだけなら動物パニック小説になるんですが、そもそもなぜ安斎は殺されそうになっているのか?やはり妻とその愛人の計略なのか?それにしてもなぜスズメバチという手段を取ったのか?など謎も多く、その謎が安斎を苦しめます。家から出れば昆虫が生きていけない寒さなんですが、安斎も長時間は生きていけないという(笑)。

オオスズメバチの巣 

 安斎はスズメバチとバトルするだけでなく、死亡を確認するためにやってくるであろう妻と愛人とも相対しなければなりません。そうした中で彼が取った作戦は…。内容紹介にもありますが、ラスト25ページで真相が明らかになって驚くことになるのですが、これはネタバレになるので書くわけにはいきません。作中のそこかしこに「あれ?」と思う部分があるのですが、それがちゃんと伏線になっているのですね。スズメバチの大群もホラーだけど、ホラー要素はそれだけはなかったという。

雀が乗っ取ったスズメバチの巣 

 私なら…とりあえず山荘の窓という窓を開けて外部に脱出して物置に逃れ、スキーウェアなどを着てから山荘に戻り、ボイラー室のドアはしっかり閉めておいて、天井裏のキイロスズメバチの巣も隔離(寒さで大半死んでるかも知れません)。その後窓を閉めて保温すればいいかなと。なんとなれば風呂もありますし。まあ冬なのに室内でスズメバチに遭遇したらそんなに冷静に行動できるかどうかわかりませんが。

雀がドヤ顔で再利用中 

 雀蜂の画像を探していたら、雀蜂の巣を乗っ取った雀の画像が。そうか、昔の人は雀蜂が年を経ると雀になると思っていたので雀蜂という名前を付けたのか(爆)。真面目な話、雀蜂は巣を一年で使い捨てにするらしいので、その後をちゃっかり雀が再利用しているようです。雀さんなら何羽住んでいても安全なのでいいのですけどね。
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