記憶に残る一言(その86):カットイン攻撃の効果音(艦隊これくしょん-艦これ-)

森の中でクマさんと出会う

 土曜日のニュースですが、栃木県・宇都宮市で強盗致傷容疑で追跡されていた男3人が、日光の山林を逃走中にクマに遭遇し、警官とクマに「挟み撃ち」される形で逮捕されたという事件には笑いましたね。最近クマのニュースというと人を殺傷したという話ばかりだったので、たまにはこういういい仕事をしたクマの話も良いですね。

くまに出会ったら 

 それにしても「森のくまさん」という歌がありますが、リアルに森でクマに出会ったら恐怖以外の何者でもないですね。日本語詞だとのどかですが、英語の原詞だと、クマさんは「君はどうして逃げないんだZE?銃を持ってないみたいだけどYO!(he said to me why don't you run I see you ain't got any gun)」とガクブルなことを言っています。昔流行った「本当は怖い○○」シリーズに加えたいですな。

艦これvita版 

 それでは本日の本題。装甲空母大鳳入手記念で「艦これ」から印象に残るというかトラウマクラスの効果エフェクトを紹介しましょう。

夜戦に突入す 

 味方の艦娘と敵である深海棲艦は、特定の装備の組み合わせにより、夜戦で一定確率で「カットイン攻撃」を発動させることがあります。装備している各武器のカットインイラストと名前が表示された上で行われる「カットイン攻撃」は、ひとたび発動すれば昼戦ではあまり攻撃力が高くない駆逐艦や軽巡洋艦でも相手に大ダメージを与える事ができます。

武蔵のシャッシャッシャッ 

 これは艦娘だけのシステムであれば非常に心強いのですが、残念なことに深海棲艦も使用してくるのです。これを喰らってしまうと、艦娘は例え戦艦だろうと大ダメージを受け、あっさり中大破してしまいます。敵としては雑魚クラスの駆逐、軽巡などでも「カットイン攻撃」で致命的なダメージを与えてくるのが恐ろしいです。

舞風のシャッシャッシャッ 

 その「カットイン攻撃」の際の効果エフェクト音をオノマトペで表現すると「シャッシャッシャッドーン」となります。

提督の気持ち 

 敵の「カットイン攻撃」を阻止するには、艦娘が先にカットイン攻撃を
行って敵艦を撃沈するに如くは無しです。また、味方に潜水艦がいる場合は、敵の駆逐艦・軽巡洋艦は対潜攻撃を優先するので「カットイン攻撃」が発生しなくなるので、デコイとして潜水艦を混ぜておくという手もありますが、重巡や戦艦はもともと潜水艦を攻撃しないので、これらにデコイ戦法は通用しません。あとは「カットイン攻撃」は確率なので、敵が発動させないことを祈るのみです。

探照灯照明弾夜偵
 
 一応敵味方の「カットイン攻撃」の発動確率を上げ下げできる装備というものが存在します。探照灯や照明弾は艦娘の夜戦命中率並びに「カットイン攻撃」率を上昇させ、敵の「カットイン攻撃」率を下げます。ただし公式によればその効果は「決定的ではない」ということで、「カットイン攻撃」の完全阻止は出来ません。

シャッシャッシャッドーンAA 

 また俗に言う「キラキラ状態」(戦意高揚状態)の艦娘は、回避・クリティカル率が上昇し、被弾時のダメージが低下すると言われており、出撃前にキラ付けをしておくと良いともされています。

敵艦のシャッシャッシャッその1 

 さらに言えば、「カットイン攻撃」が発動して命中しても、微ダメージでとどまることはあります。やはり祈るしかないのか…。 

雪風のシャッシャッシャッ 

 私が艦これを始める前にあったイベント「決戦!鉄底海峡を抜けて!」(2013年11月)では、敵の無慈悲なカットイン攻撃により、何度も撤退を余儀なくされたのということで、大破した艦娘の修理で備蓄資材が激減する様を見て心がへし折られた提督が続出したとか。

敵艦のシャッシャッシャッその2 

 私もボスへ至る戦闘マスがすべて夜戦マスとなっている5-3の「サブ島沖海域」で、敵の「カットイン攻撃」がトラウマになりました。あと一歩というところで大破撤退をさせられるいらだちと言ったら…でも艦娘の轟沈は絶対に避けなければならないと思っているので、涙を呑んで撤退一択。「帰ろう、帰ればまた来られるから」(一水戦司令官木村少将)

輸送艦でもシャッシャッシャッ 

 艦娘もすなる「カットイン攻撃」なんですが、敵から受けた攻撃の方がインパクトが高いほか、不確実な「カットイン攻撃」よりも堅実に連撃できる装備が推奨されるようになったことで、自艦隊にカットイン攻撃を行う艦娘が一切いないことも珍しくなくなっています。この場合、「カットイン攻撃」が発動するのは敵のみなので、「カットイン攻撃」への印象はますます悪くなってしまう訳です。

 

 中毒性のある動画がありました。エンドレスでシャッシャッシャッドーン!!

残念また来てね 
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群衆リドル Yの悲劇'93:ラノベにするべきな本格推理

大鳳キター!!

 装甲空母・大鳳さんキタ━━━(゚∀゚).━━━!!!一昨日のことですが、資源に余裕があったので大型艦建造を回したんですよ。正空母、軽空母、あきつ丸、まるゆ以外をほぼ確実に弾くレシピとしてはボーキサイトの消費量が今のところ最低のレシピとされる、“燃料4000・弾薬2000・鋼材5000・ボーキ5200・開発資材20”で。前回これで回したら軽空母瑞穂が来たんです。大鳳狙いだったのでハズレではあったんですが、まだ持ってなかったので結果オーライでしたが、やはり本命中の本命が来ると興奮しますね。

胸が飛行甲板の大鳳さん 龍驤

 来ない人には何年プレイしてても来ないそうなんで、プレイ歴1年未満の新米提督のところに来てくれて光栄の至りです。空母・軽空母は中破で艦載機を発艦させられなくなって海上の置物と化するんですが、装甲空母は中破でも艦載機を飛ばせるんですよね。しかもCVはときめきの能登さんだし。それにしても大鳳、艦娘の姿で胸部が飛行甲板状態なのははぜ。赤城さんとか加賀さんとかは立派なモノをお持ちなのに。軽空母でやはり胸が俎板の龍驤が親近感を持つかも知れないですが、龍驤はかなりコンプレックスを持っている様子なのに対し、大鳳は全然気にしていないようです。

大鳳と龍驤 

 本日は古野まほろの「群衆リドル Yの悲劇'93」を紹介しましょう。古野まほろの著作は初めて読みました。実は覆面作家で本名や性別・年齢・画像などは非公開です。11月25日生まれで東京大学法学部を卒業し、国家公務員Ⅰ種試験に合格して警察庁に入庁。警察大学校主任教授を最後に退官しました。フランスのリヨン第三大学法学部の専攻修士課程を修了しているそうです。フランス留学が警察庁入庁後かどうかは不明ですが、何となく官費で留学したんじゃないかという気が。

群衆リドル 

 なおⅠ種試験というのは1984年度から2011年度まで行われており、現在は総合職試験と名前を変えております。ここから、古野まほろは2007年に作家デビューしているので、1985年~2012年度警察庁入庁者の誰かということになりますし、作家デビューが2007年なのでそれ以前に辞職しているものと思われます。警部が准教授(助教授)、警視が教授になるようなので、主任教授ということはそれより上の警視正クラスでしょうかね。現在はともかく、Ⅰ種で入庁した女性警察官で中途退官した人なんて、調べれば身バレしてしまいそうなので、古野まほろは男性で決まりでしょう。そしておそらく90年代の入庁者なんじゃないかと。こんなところで探偵しなくてもいいのですが、覆面作家なんていうとつい(笑)。

天帝のはしたなき果実 

 2007年1月、「天帝のはしたなき果実」で講談社の第35回メフィスト賞を受賞し小説家デビューしました。本格推理の巨匠である綾辻行人、有栖川有栖の両氏に師事したそうで、デビューからおよそ10年で長編作品を20作品以上、短編集も含めて25作品以上と、非常にハイペースな刊行が続いています。

群衆リドル単行本 

 「群衆リドル Yの悲劇'93」は2010年12月16日に光文社から刊行され、2013年8月に文庫版が光文社文庫から刊行されました。本書のあとがきによれば、デビューは講談社にも関わらず、本書以前に講談社から刊行された9冊は絶版になっていたようです。既に「恩讐の彼方」だそうではっきりした理由は記されていませんが、“弱いものいじめが罷り通る世界から距離を置きたい”“この世でもっとも醜悪なのは、強者が弱者をいたぶることだ”などの表現がなんとはなしの理由示唆になっているような。既に両者の関係は修復されたようですが…

 「群衆リドル Yの悲劇 '93」は、2012年の本格ミステリ・ベスト10で9位に入っています。“イエユカシリーズ”の第一作で、古野まほろの代表作である「天帝シリーズ」と共通の世界観を有しているそうですが、「天帝シリーズ」は未読なのでなんとも言い難いです。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

覆面作家古野まほろ 

 浪人生の渡辺夕佳の元に届いた、壮麗な西洋館への招待状。恋人で天才ピアニストの、イエ先輩こと八重洲家康と訪れた『夢路邸』には、謎を秘めた招待客が集まっていた。そこに突如現れた能面の鬼女が、彼らの過去の罪を告発し、連続殺人の幕が切って落とされる。孤立した館に渦巻く恐怖と疑心。夕佳とイエ先輩は、『マイ・フェア・レイディ』の殺意に立ちむかうことができるか!?

月光ゲーム 

 副題にある「Yの悲劇」からはエラリー・クイーンの超有名推理小説が連想されるのですが、むしろ正体不明の人物からの罪の告発などの形式はアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」に近いです。孤立した洋館で繰り広げられる連続殺人事件。しかも様々な形の密室状態で起きるので、犯人もさることながら、それぞれの事件のトリックも気になるところです。

 クイーンの「Yの悲劇」自体より、師と仰ぐ有栖川有栖の「月光ゲーム Yの悲劇'88」の方をオマージュしているようです。舞台も同じ矢吹山で、陸の孤島で次々と起きる連続殺人という展開も同じです。「月光ゲーム Yの悲劇'88」は有栖川有栖のデビュー長編で、「群衆リドル Yの悲劇'93」は講談社と揉めた後の古野まほろの再デビュー長編といった様相を呈しているあたりも類似しているような。

クセがスゴイ!! 

 文庫版の表紙を見ると、ラノベ風のイラストになっていることが判ると思いますが、正直最初からラノベ・ミステリーとして打ち出した方が良かった気がします。なぜかと言うと…千鳥風に言えば「クセがスゴイんじゃ!!」なので。おっさん読者としては、トリックとか犯人がどうとかいう前に、本書の強烈なクセの強さに慣れられるかどうかが問題になります。

 主人公にして語り手は浪人生の渡辺夕佳。妙な招待に乗っていないで勉強しろよと思いますが、恋人で天才ピアニストの八重洲家康と一緒ならという条件で招待に応じます。この八重洲家康が名探偵役になるのですが、とにかくクセがスゴイ。17歳でショパン国際ピアノコンクールに参加し、優勝確実とされながらなぜか直前に出場辞退し、表舞台から姿を消し、現在は東大生(正確には東京帝大生)になっています。夕佳は家康と同じ大学に行きたくて浪人しているという。

クセがすごいその2 

 それだけなら天才っているのねで済むんですが、この家康、ルックスは超二枚目なんだそうですが、とにかく性格が悪い。しかもコミュ障の気があり、なぜかむやみに上から目線でガキの分際で人をアゴで使う気マンマンという。演奏が素晴らしいというのならCD位は買ってもいいですが、個人的お付き合いは御免被りたいタイプです。画家でいえばパブロ・ピカソ的な?

 洋館到着から登場人物全員集合、そして最初で最後の晩餐(全員揃って、という意味で)までの序盤のまあ読みにくいこと。途中で読むのを止めようかと思ったほどですが、まあ「能面の鬼女」出現以降は、気持ちがいいほど連続的に人が殺されていくので一気に読めます。ネタばれは控えますが、「そして誰もいなくなった」や「かまいたちの夜」に見られるトリックは使われていません。

クセがすごいその3
 
 それにしても八重洲家康…。天才ピアニストはいいです。凄まじい絶対音感を持っているというのも結構。東大生になれるくらいだから頭もよろしいのでしょう。でも東大生がすべからく探偵の素質を持っている訳ではないので、彼がここまで鮮やかに謎を解くのには非常な違和感がありまくりなんですよ。せめて生粋のミステリーマニアだとかいった説明があればいいのですが、20歳そこそこのガキで人生の大半をピアノに捧げてきた(そしてその後はそれなりに受験勉強もしたんでしょうよ)人物がそこまでミステリーに造詣が深くなれるものか。ホームズやポアロ、その他の名探偵の指摘なら素直に納得できることでも、家康だと極めて納得いかないんです。これが若さか…

花山薫です 

 しかもポーランドの幻の伝統的殺人舞踏・裏マズルカをマスターしているということで何気に超武闘派なんだそうですが、ちょっと範馬勇次郎と戦ってみてくれんかね。いや、君より年下の範馬刃牙や花山薫あたりで結構。花山薫なんて身体を鍛えたり武術を嗜んだりしていないので相手にちょうどいいんじゃないでしょうかね。

 ま、推理とかより家康の言動の不愉快さが気になるのですが、本書の語り手である夕佳も結構おかしい。変態紳士家康にぞっこんラブという点は蓼食う虫も好き好きなので目をつぶりますが、普通の浪人生の語りとは思えない部分が散見されます。シリーズ一作目ということで語られていない部分も多々あるようなのですが、一筋縄ではいかない人なんじゃなかろうか。浪人生のくせにセーラー服を着ていくあたりも怪しい(笑)。

何だオマエ?… 

 で、集まった他の参加者もまあ俗物というか露悪的というか…殺されてもしょうがないかとつい思ってしまう連中が多いです。ただ、「こんなところにいられるか!」とか「殺人鬼と同じ部屋にいられるか!」といったベタベタな反応をするのが笑えてしまう。自ら死亡フラグ立てるというスタイルは今時ちょっとなあ。

 終盤、連続する密室殺人事件のトリックを鮮やかに解きほぐしていく家康ですが、抜本的に無理がないかというかなり強引なトリックなんですがこれは本格推理的にOKなんですかね?ネタバレになるから詳しく書けないんですが、そこまでやらせるのは無理じゃね?と思ってしまいます。せめてガリレオシリーズみたいに再現実験でもしてくれないと納得できないような。
 
スティーブン・キングの文書読本 

 まあ中盤以降はクセがスゴイ文体にも慣れるので一気に読めますが、多分スティーブン・キングが自身の文書読本(書くことについて)で主張しているところに照らすと、古野まほろの作品は唾棄すべき表現法の好例ということにされてしまうのではないかと。ま、世界的ベストセラー作家といえどもそれに従ういわれはないのですが、私も東野圭吾のような平易な文体の作家の方が好きですね。

泥眼 

 あと殺人の動機が弱い。「能面の鬼女」が糾弾する各人の罪状。それは実は本来の動機を隠すためのフェイクなんですが、罪状自体は虚偽ではないようです。どうやって調べたんでしょう。特に夕佳の“罪状”なんて、ちょっと調べようがないような。最終盤の犯人の告白に出てくる謎のパトロンが教えたのか。だとするとシリーズを通じた家康・夕佳(これでイエユカ)の宿敵となるのかも。

 そして犯人には第三者から見て弱いなあとは思われるけれども一応殺人の動機はある。それはいいのですが、デコイである「能面の鬼女」まで殺しているのはどうなのか。この人物も実は殺害対象の一人であるところ、上手いこと騙して「能面の鬼女」を演じさせた……というなら判らんでもないのですが、最後までそういう記述はありませんでした。目的のためなら手段を選ばないというなら、節子それ復讐と違う、テロや!という気がします。

群衆リドル POP 

 本書の世界は、現実の世界とは違って、日本帝国というパラレルワールドを舞台となっていて、軍が幅を効かせたりしていますが、ほぼ年代とかテクノロジーは現実に準拠していると思われます(そうでなければ90年代とかいう設定に意味がない)。それを踏まえて、そしてやたら家康が自分の頭の良さをひけらかすスタイル(衒学的というのか)なのであえて指摘しますが、登場人物に外務省大臣官房の儀典長という人物が出てきます。

昔の儀典長 

 作品が出版されたのは2010年で、確かにその時点で外務省の儀典長は大臣官房に属する現在のポストとなっています。しかし、1969年から2004年までは、省名を冠さない「儀典長」であり、次官級ポストでした。つまり現在よりも偉かった訳ですね。作中儀典長の人物は自身のポストを審議官級と称していますが、審議官にも次官級の省名審議官(外務省なら外務審議官)と各省庁の大臣(長官)官房に置かれている局長級の審議官、そして各局に置かれる局次長級の審議官がいます。

 1993年時点なら、この人物はただ「儀典長」を名乗るべきで、そのランクは次官級ということになるはずなのですが、大臣官房儀典長とされていて局長級のランクに不当に引き下げられている点が、作者の調査不足だなあと思われる点です。

洋館のイメージ 

 密室殺人やそのトリックなど、見るべき点はあるので(家康病でこっちまでエラそうになってしまいました)、“オレ強えー、オレ最強!!”的存在が罷り通り易いラノベならさらに人気を博するんじゃないかと思います。もちろん作中イラストも豊富にね。実際光文社文庫版は限りなくラノベっぽい装丁だと思いますし。

雪山の密室 

インド旅行記1 北インド編:女優・中谷美紀のインド紀行

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 久しぶりにリアル明里パパンから明里ちゃん画像が来ました。4歳になってお洒落に目覚めた明里ちゃん。すっかり小さなレディですね。9年後には岩船に行くことになとも知らずに……(行きません)

インド旅行記1 

 本日は中谷美紀の「インド旅行記1 北インド編」を紹介しましょう。著者は女優さんと同姓同名の人ではなく、かの女優その人です。有名人ですが、中谷美紀の本は初めて読んだので一応著者紹介を。

中谷美紀 

 中谷美紀は1976年1月12日生まれで東京都出身。女優デビューは1993年に「ひとつ屋根の下」でですが、それ以前にテレビ朝日系のバラエティ番組「桜っ子クラブ」のアイドルグループ「桜っ子クラブさくら組」の一員として歌手活動をしていました。

桜っ子クラブさくら組時代の中谷美紀 

 余談ですがこの「桜っ子クラブさくら組」、当時は「おニャン子クラブ」のエピゴーネンかよなんてと思っていましたが、よく考えれば「おニャン子クラブ」より全体的なルックスはかなり高かったような気がします。強いて例えるならば「おニャン子クラブ」がAKB48だとすると、「桜っ子クラブさくら組」は「乃木坂46」あたりでしょうか。

桜っ子クラブさくら組 

 なにしろメンバーには井上晴美、加藤紀子、菅野美穂、持田真樹と錚々たる面子が揃ってましたからね。その中の一人が中谷美紀で、東恵子と「KEY WEST CLUB」という内部ユニットを結成していました。というか、当時は彼女が女優としてこれほど名を馳せるとは思っていなかったという。なにしろ目がリハクなもので。

KEY WEST CLUB 

 アイドル活動は黒歴史かも知れませんが、駆け出しの頃は皆いろいろやっているものなので恥じることはないと思います。女優としては数々の受賞歴を誇り、「壬生義士伝」「ゼロの焦点」「利休にたずねよ」で日本アカデミー大賞優秀助演女優賞を、「「自虐の詩」「阪急電車~片道15分の奇跡~」で同優秀主演女優賞を、そして「嫌われ松子の一生」で最優秀主演女優賞を受賞しています。

嫌われ松子の一生 

 で、最も高い評価を受けた「嫌われ松子の一生」を取り終えた直後の2005年8月、精根尽き果てた中谷美紀は、本場でヨガを体験したというただそれだけを望んでインドに向かい、北インドで40日弱を過ごしました。当時29歳。27歳の頃からヨガを始めたのだそうです。

タージ・マハール 

 本書は「嫌われ松子の一生」公開後の2006年8月5日に書き下ろしで幻冬舎文庫から刊行されました。彼女はすっかりインドにはまったらしく、2006年1月までの5か月の間に4回もインドを旅しています。本書はその第一回目にして最長だった旅の日記となっています。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

オールドデリー 

 チューブわさびで体内消毒に励み、持参したウエットティッシュは数知れず。そんな努力の甲斐もむなしく、腹痛に見舞われ、暑いホテルで一人淋しく回復を待つ。町に出れば、パスポートを盗まれ、警察署長に懇願書を書くはめに……。単身インドに乗り込んだ、女優・中谷美紀に襲い掛かる困難の数々。泣いて、笑った38日間の一人旅の記録。第1弾!

河童が覗いたインド 

 椎名誠曰く「インドはああいう国なので、なんとなく行けば誰でもなにがしかのことは書ける。」ということで、インド関係の本は玉石混淆でゴマンとあるようです。中谷美紀もインドに向かう飛行機の中で遠藤周作の「深い河」や妹尾河童の「河童が覗いたインド」を読んだそうです。「深い河」は小説ですが、「河童が覗いたインド」の方は地を這うようにして描かれた旅行記&スケッチで、椎名誠も絶賛していますがインド本ナンバー1の誉れも高い名著です。

インド鉄道紀行 

 私が読んだインド本といえば「河童が覗いたインド」と宮脇俊三の「インド鉄道紀行」でしょうか。どちらも面白いですが、両作品を読んで思うのは、バイタリティーがないとインドは無理だなあということです。疲弊した状態で女一人旅なんて、大丈夫なのかと思ってしまいますが、案外女性の方がバイタリティーがあるのかも。

サリーの女性達 

 滅菌ウエットティッシュや消毒スプレーなどを携え、裸足になった後は足もサンダルも消毒し、食事の後はワサビで体内消毒と、潔癖症かよいかにも女性らしいなと思う行動を取る著者ですが、それでもやってくる腹痛。インドではこれは通過儀礼らしく、妹尾河童も宮脇俊三も旅の途中でやられています。河童は好奇心のままに何でも飲み食いするのでなるべくしてなったとも言えますが、無茶をしない宮脇俊三や潔癖症気味の中谷美紀ですら腹痛は襲うので、インドに行ったら腹痛になると思った方がいいのでしょう。

レイクパレス 

 デリーをはじめ町はやたら汚く、物乞いは殺到し、ガイドは土産物店と結託し、タクシーやオートリキシャは隙あらばボろうとする中、女の細腕一本で泳いでいくのはさぞや大変だろうと思いますが、自己主張の強い韓国人のふりをしたり英語がわからないふりをしたりと、女優らしいテクを発揮しているのが面白いですね。

チャパティとカレー 

 あと食べ物についての記述がかなり詳細で、旨い不味いもしっかり書いています。各種カレーはそこそこおいしいようですが、毎日カレーだとさすがに飽きるらしく、中華料理店があるとすかさず入る中谷美紀ですが、その度にインド人の作る中華はダメだと思い知らされるという。自分でも言っていますが、一回で学習しろよと思います(笑)。

エストニアのタリン 

 かつてエストニアを旅した際、中華料理店があったので入ったら、何とインド人がやっていました。バリバリインド人スタイルだったのですが、エストニア人にはばれないのでしょうか?私がはいったら中国人と間違えたらしく、「やっべッ!本物が来ちゃったよオイ!」という激しい動揺を見せていたのが笑えましたが。私が欧州滞在で学んだのは、「中華料理屋はどんな国にでもあるが、豊かな国ほどおいしい」ということです。

バラナスィ 

 中谷美紀のインド旅行の主目的がヨガなので、ヒマラヤ山麓のリシケシュでヨガ修行に励んだりするのですが、まあ修行といってもそれほど辛いものではなく、エステシャンによるマッサージも楽しんだりしています。ヨガはともかくマッサージは私もやってもらいたいですね。

ダルシムフィギュア 

 私のヨガの印象というと、ストリートファイターⅡのヨガマスター・ダルシムなんですが、両肘や両膝の関節を自由に外して手足を伸ばしたり、空中浮遊したりテレポーテーションしたり火を吹いたりして、流石の私でも節子これヨガとちがうと思ったものでした。相手をヘッドロックしながら殴りつつ「ヨガ!ヨガ!」と叫ぶあたり、インド政府から公式に抗議が来なかったのかと思ってしまいますが。

ヨガフレイム 

 ヨガは日本ではもっぱらハタ・ヨーガ(ヨーガ体操)が主流となっていて、運動とか健康法として捉えられていますが、本来は心身を鍛錬によって制御し、精神を統一して輪廻転生から解脱しようとするもので、多分に宗教的なのです。なので興味がないこちらとしては「アーハーン?」的な読み飛ばしをするしかないのですが、中谷美紀はインドに来てベジタリアンになり、さらには酒まで飲まなくなっていきます。いや、酒は飲みたいけどないから仕方が無いというケースもありますが、ベジタリアンは本格化し、肉が入った料理を受け付けなくなるほどです。

 リシケシュ

 ベジタリアンとか、さらに厳格な(卵や乳製品もダメという)ヴィーガンとか、まあ人の食習慣は人それぞれなので他人に強要しない限りは好きにすればいいのですが、中谷美紀はインド旅行を契機に6年間ベジタリアン生活を実践していたそうです。ただしその間にはめまいや突発性難聴が起こり、精神的にも機嫌が悪かったり人と口を利きたくなかったりしたそうです。結局体力が尽き果ててベジタリアン生活からは足を洗ったそうです。私もまあ2、3日なら精進料理一色でも耐えられるでしょうし、そもそも普段そんなに肉は食べていないのですが、雑食が人間の本性だと思っているのでベジタリアンになろうとは思いませんな。

レー 

 好んでいったインドにも関わらず、結構インド人の押しの強さや理屈っぽさ、何かと言えば金を取ろうとするところに辟易していく中谷美紀。盗難にあってパスポートを無くしたり、被害届を貰いに警察に行っても嫌な目にあったりと同情します。そんな彼女のごく自然な反応を、上から目線だとか批判するレビューもありますが、私は素直な感想を綴っていて好感を持ちました。女優も一般人とあんまり変わらないんだなあと。そして思います、私はインドは止めておこうと。やっぱりヨーロッパが向いているんだ私には(笑)。

風の宮殿 

 食事や衣類には関心が高い反面、寺院とか城とか遺跡関係にはあまり強い関心を示さない中谷美紀。そうはいってもタージ・マハールとか押さえるべきところは押さえていますけどね。ヨガは好きだけど特に宗教的な入れ込みはしていないようで、わりと日本人としては普通の感性ではないかと思われます。インドマニアにはとにかく貧乏旅行を推奨する向きもあるようですが、私もなるべく彼女のように高くても清潔なホテルに泊まりたい派です。それでもお腹を壊すのだからインド恐るべし。実は図書館には「インド旅行記2 南インド編」もあったので、次回借りてきましょう。

好きなアニメキャラ(その89):渡辺早季(新世界より)

シンクで寝る猫さん

 東京では30度超えで今年最初の真夏日になりました。筑波嶺を始め、全国的に気温が高くまさに夏到来。思わずエアコンの試運転をしてしまってもいいですよね。夜には涼しくなるのが救いですが、いずれ必ずやって来ますね…恐怖の熱帯夜が。

26歳の早季と覚 

 本日は好きなアニメキャラです。GWに一気見した「新世界より」から主人公にしてヒロインの渡辺早季を紹介しましょう。

7歳の時の早季 

 「新世界より」は、呪力と呼ばれるようになったサイコキネシス(PK)を全ての人が持っている1000年後の神栖66町を舞台とした作品で、茨城を舞台とするからには「ガールズ&パンツァー」と共に筑波嶺住民としては見ないわけにはいかないアニメですが、放映から5年経過してようやく見ることができました。というか存在を知らなかった不覚。

真理亜と早季 

 早季のパパンは町長、ママンは図書館の司書ですが、特に立派な家に住んでいる訳でもなく衣食住は質素です。これはこの時代の特殊性(貨幣が存在せず、相互扶助と無償奉仕を基盤とした社会)によるものと思われ、町の人口は3千人程度で、日本には同様の町が9つしかありません。日本全体の人口も5~6万人程度とみられ、科学文明が衰退したため、町同士の交流もほとんどありません。

真理亜と早季その2 

 好奇心旺盛で物怖じしない性格ですが、女の子らしい繊細な一面も持っています。この時代は、子供達は10~12歳頃に呪力の覚醒(祝霊と呼ばれるポルターガイスト現象)を経験しますが、早季は祝霊の訪れが遅く、本人も不安を覚えていましたが、両親も陰でかなりやきもきしていました。結局同学年では一番遅く祝霊が訪れましたが、かなり危ない状態で滑り込みセーフ状態だったことは、早季がネコダマシを見ていたことから窺われます。

富子さんと不浄猫たち 

 ネコダマシは子供達に伝わる、小学校を卒業できない子供を連れ去ると言われる猫の化け物で、子供のたわいない怪談ないし噂とされていますが、実際に品種改良された「不浄猫」が存在し、呪力が目覚めなかった子供達はこれに始末されているのでした。早季には姉がいたのですが、どうやら祝霊が訪れず始末されてしまった模様です。
 
守の最後の絵 

 呪力の存在が科学的に証明された後、能力者と非能力者の際限のない抗争は、それまでの社会体制を崩壊させ、現代文明を終わらせてしまいました。世界の人口は最盛期の2%以下に激減し、「暗黒時代」と呼ばれる約500年間に渡る争乱期を経て、これを収拾するためにそれまで歴史の傍観者に徹してきた科学者たちが戦乱期を終わらせ、現在の社会体制が生み出しました。

全人学校一班 

 減りすぎた人口で過酷な世界を生き延びるためにはもはや呪力は手放せないものになっていましたが、これは言わば銃やマシンガンやバズーカを全ての人間が持っている状態で、これを人間に向けることになれば人類滅亡にも繋がりかねません。そのため社会構造そのものを変えた他、人間自身にも、人を攻撃できなくする仕組みが遺伝しレベルで組み込まれました。

真理亜と早季その3

 また霊長類のボノボのコミュニティでは争いがほとんど存在しないことが注目され、彼らが緊張が高まると、雌雄の別なく性的接触を取ることでコミュニティの緊張状態を緩和し、争いを未然に防いでいることに倣って、この時代では性別を問わず性的接触が親密さの表れとなっています。

ボノボる二人 

 このため12歳当時の早季は、呪力を封じられたまま外来種(つまり人間に服従していない)バケネズミに襲撃された際、一緒にいた覚とペッティングを行っていました。そのせいかこれが描かれた5話はやけに大人びた絵柄になってしまい、作画崩壊との批判を受けていますが、ここは思春期前の子供でさえ性的接触をするという、我々の社会との異質性をはっきり打ち出すためにも子供らしい姿の方が良かったと思います。

早季とすばる 

 1話冒頭で描かれた7歳時点から幼馴染の青沼瞬に好意を抱いており、瞬も当初から早季のことが好きだったようです。同じく幼馴染の朝比奈覚とは喧嘩友達のような関係で、赤髪の美少女・秋月真理亜とは親友関係でした。その他小学校は違った伊東守、天野麗子と計6人で同じ班(一班)となりましたが、成人後残ったのは早季と覚の二人だけでした。

業魔化した瞬 

 天野麗子は早季が班に加わって早々、姿を消してしまいます。彼女は呪力が弱く、使い方が下手だったため、不適格と判断された模様。そして呪力の才能が高く将来を嘱望されていた青沼瞬は、14歳の時に何と業魔となってしまいました。

悪鬼となった少年K 

 この時代、最も恐ろしい脅威は悪鬼と業魔とされています。悪鬼は、人間同士で呪力を行使しないように組み込まれた様々な仕組みが機能せず、残虐な性向を持ち、人間への攻撃欲求がある者です。200年以上前に神栖66町に出現し、千人もの人々が彼に殺されました。

若い頃の富子さん 

 この事件により、神栖66町は倫理規定を改正し、人権の発生を生後17歳まで後倒しにし、その間子供達を注意深く監視し、悪鬼となる可能性の持つ者を完全に取り除くようにしています。なにしろ悪鬼でない普通の人間は呪力を悪鬼に向けられないので、一方的に殺されてしまうので。なので悪鬼は「鶏小屋の狐(フォックス・イン・ザ・ヘンハウス) 」とも呼ばれます。悪鬼になるのはほとんどのケースで男子らしく、全世界で30近い症例が報告されています。

業魔化した少女 

 一方業魔は、呪力の漏出がコントロールできなくなった者を指します。呪力の漏出は全ての人間に僅かながら起きており、これが外部世界の急速すぎる生物の進化や新生物の出現に影響しているとの仮説もありますが、業魔の場合は蛇口が壊れた水道に例えられ、無意識のうちに呪力を振るい、周囲の環境は生物、そして自分自身を異形化させてしまいます。こちらは神栖66町に20年前とごく最近に出現しており、瞬は20年ぶりの業魔ということになります。業魔は悪鬼と違って出現に男女差はないようですが、素直で心優しい子ほど業魔化する確率は高いという傾向があるようです。
 
14歳の瞬 

 14歳の早季は瞬を救おうと必死になりますが、それは叶わず、それどころか瞬の存在自体、早季や他の一班のメンバーの記憶から消されてしまったのでした。その後早季は夢に「顔のない少年」として瞬を見ることになります。

顔のない少年

 さらにその後、伊東守が不適格の烙印を押されて教育委員会に始末されそうになって逃亡。守に同情した秋月真理亜と共に神栖66町から姿を消すことになります。この結果は10数年後に恐るべき災厄を神栖66町にもたらすことになりました。

最後の百合シーン 

 早季の属した一班は、12歳の時に野外学習で「国立国会図書館つくば館」の端末機械である「ミノシロモドキ」と接触し、呪力がもたらした文明崩壊の歴史や現在の社会が作られた経緯といった、禁断の知識に触れてしまい、14歳の時には業魔を出現させ、さらには2名の逃亡者を出すことになってしまいました。どれこもこれも神栖66町のタブーに触れるもので(業魔はしかた有りませんが)、班員の処分に繋がってもおかしくありませんでした。実際守と真理亜の逃亡時には早季は教育委員会から査問を受け、処分寸前のところまで追い込まれました。

朝比奈富子 

 この時代の教育委員会は現代のものとは全く異なり、17歳まで人権がない(そのことを子供達は知らされない)少年少女を監視し、この時代に生きるのに不適格な子供や悪鬼・業魔化する恐れのある子供を見つけ出して処分することが主要な仕事となっています。

守と真理亜の子 

 その教育委員会に睨まれてしまった早季ですが、無事に済んだのは、町のあらゆる方針を取りまとめる最高意思決定機関である倫理委員会が守ったからでした。町長より強い権威を持ち、町の真の指導者とされる委員長は朝比奈富子、覚の祖母でした。

富子と対話する早季 

 しかし早季を庇った理由は、覚の幼馴染だからといった私情からではなく、早季が将来の町の指導者と目されていたからでした。早季は人格指数が特出していたようです。人格指数とは、どれだけその人物が安定した人格を保てるかを数値化したもので、想定外の出来事が起きることで精神的危機を迎えても、自分を見失ったり、動揺から異常な行動を取ったりせず、一貫して自分を保つことが出来るかを示します。神栖66町では昔から、指導者に一番大切な素養として、この数値が重視されてきましたが、早季はそのスコアが全人学級始まって以来の高水準だったようです。

防寒着の早季 

 早季はよく泣くし怯えるし悲しむしで、感情表現はむしろ他の子よりも豊かなほどですが、決して取り乱すことはありませんでした。柳の枝のように、強い風で大きく揺すぶられても決して折れずに元に戻るのです。早季は愛する瞬の業魔化など、本作中辛い経験に何度も直面しますが、そこから必ず立ち直る強さがあり、心に振れ幅があったとしても極めて短期間で安定状態に戻すことができました。朝比奈富子意外に真理亜もそれに気づいていたようで、また当然ながら両親も早くから気づいていたようです。

野外活動メンバー 

 早季の属した一班の班員を、危険の可能性を残すにも関わらず処分しなかったのは「従順な子羊だけでは町を守れない」からだそうです。ただし瞬の業魔化や、真理亜と守の出奔は流石に想定外だったようですが。で、朝比奈富子さん、覚の祖母と名乗っていますが実は9代前の先祖なので覚もその存在を知りませんでした。これは富子にテロメアを回復させ続けられるという特殊な呪力があるためで、早季が14歳の時点で267歳でしたが、70歳前にしか見えませんでした。悪鬼出現を間近に見た最後の生き残りであり、200年以上村の指導者として君臨してきた富子が後継者と見込んだ早季なので、流石の教育委員会も手が出せなかったのでした。

旅行着の早季 

 「町の人全員の命運を担っている最高責任者には、清濁併せ呑む度量、すべてを知っても動じない胆力が必要。あなたにはそれがある」と富子は言っています。実際、4話で国立国会図書館つくば館の端末であるミノシロモドキから血塗られた過去を聞いた際も、他の4人はかなりの長期間ガタガタだったにも関わらず、早季の人格指数は短時間で回復したそうです。

幼少期の夕暮れ 

 スクィーラ(野狐丸)によるバケネズミ大反乱事件の終結後、早季はさらなる衝撃的事実を知ります。バケネズミとは、ハダカデバネズミから進化して人間に等しい知性を持つに至った生物とされてきましたが、実は違ったのです。呪力を持ちながらなんとか社会の安定を図ろうした人間は、呪力による対人攻撃を不可能にするために「攻撃抑制」と「愧死機構」を遺伝子に組み込みましたが、多くの呪力を持たない人間の扱いが問題となりました。すなわち支配者である呪力を持つ人間は対人攻撃を行えなくなった反面、呪力のない人間は自由に人を殺せるのです。呪力を持たない人間にも「攻撃抑制」と「愧死機構」を組み込めばという話になりますが、愧死機構のメカニズムはいわば呪力による強制自殺のため、呪力がなければ機能しません。そのため、呪力を持たない人間にハダカデバネズミの遺伝子を組み込み、バケネズミに変えたらしいのです。

36歳時の渡辺早季 

 ハダカデバネズミが選ばれた背景には、攻撃抑制や愧死機構の対象外にするために、人間とは「異類」であることが一目瞭然で、殺すことに同情を感じないほど醜い生き物にする必要があったようです。実際早季と覚は作中でたくさんのバケネズミを殺していますが、愧死機構は全く働きませんでした。またそれを知って愕然とする早季に、覚はやはり彼らは人間ではないと言い切ります。同胞として見れるか?と。まさに同胞と見られなくすることが目的だったのですが。

私たちは人間だ 

 裁判で「私たちは人間だ!」叫んだスクィーラはおそらく何らかの形で国会図書館の端末を入手して真実を知ったのでしょう。にも関わらず、最後まで動物として扱われ、人間に対する叛逆の罪で死刑よりも恐ろしい無間地獄に処されました。これは全身の神経細胞から脳に極限の苦痛の情報を送りつつ、呪力によって損傷を常に修復させ、死ぬという逃げ道を許さない究極の刑罰で、富子が叛逆の首謀者に対して誓ったものでもありました。

早季と覚の結婚式

 両親を始め多数の村人を殺されたにも関わらず、早季がなおも苦しむスクィーラをひと思いに殺してやったのは、せめてもの情けだったんでしょうかね。またバケネズミ全滅という決定を覆して大雀蜂コロニー他人間に従順なコロニーの存続のために奔走したようです。大雀蜂コロニーの存続は、自ら命を投げ出して神栖66町の壊滅を不正だ救世主たる奇狼丸との約束なので、存続させるのは当然ですが、スクィーラはいつか自分の意思を継ぐ者をが必ず現れると言っていました。とりあえず国会図書館の端末は全て押さえておく必要があると思うのですが…この辺が「清濁併せ呑む度量」というヤツなのかも知れません。

不浄子猫 
 

 その後早季は覚と結婚しました。それから10年後、36歳にして第一子妊娠中です。10年前の悲劇の直後に生まれた子供たちがもうすぐ呪力を持つようになりますが、もし一人でも悪鬼・業魔が生まれてくれば、復興の途上にある神栖66町は今度こそ滅亡の危機となります。そのため早季が議長となっている倫理委員会は10年ぶりに不浄猫を製作しています。子猫の頃は可愛いのですが。

ラブラブ夫婦 

 また、日本に点在する9つの町は、従来最小限の連絡を取り合うくらいでしたが、早季は交流の推進を提案しています。早季の妊娠はずいぶん遅いように思えますが、男の子なら瞬、女の子なら真理亜という名前にすると決めているそうです。守ェ…まあ14歳当時、覚は瞬と、早季は真理亜と疑似恋人関係だったのでこうなるのも仕方がないか。なおこの時代夫婦は別姓で、早季は結婚しても渡辺姓のままのようです。子供は母の名字を継ぐらしいです。或いは娘は母の姓、息子は父の姓という形かも知れません。

早季のコスプレをする種ちゃん 

 CVは種田梨沙。まだ駆け出しだった彼女は本作で初めて主役を務め、早季の7歳・12歳・14歳・26歳を演じ分けると共に、初めてキャラクター名義で主題歌「割れたリンゴ」を歌いました。以後、かわいい女の子役からボーイッシュな役まで様々な声色を使いこなし、目覚ましい活躍を見せていました。

真理亜役の花澤香菜と 

 ご存知のとおり2016年9月から病気療養のため活動を休止しており、現在まで復帰の目処が立っていません。そもそも病気に関する詳しい病状も明かされていませんが、本人曰く命に関わる病気ではないようです。それにしてはもう9か月経つんですが…

インタビューを受ける種田梨沙 

 持ち役は次々と他の声優に引き継がれています。それは仕方がないことなんですが、とても寂しく悲しいことでもあります。インタビューで早季のような強さは持てないかも知れないと言いつつ、今後のベースとなる分身のようなキャラクターだと語っていました。ぜひ早季の強さで病に打ち勝って欲しいです。

涙の早季 

日暮らし:「ぼんくら」シリーズ第二弾

暑い五月

 梅雨寒のような天候が続いていたと思ったら…いきなりきました「アツゥイ!」の陽気。暑さに慣れていないからあんまり急には来て欲しくないんですが…とりあえず扇風機は出しました。

日暮らし文庫版 

 本日は宮部みゆきの「日暮らし」を紹介します。いわゆる「ぼんくら」シリーズの第二弾です。第一弾の「ぼんくら」は2016年9月10日の記事で紹介しております(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-1386.html)。

 主人公は井筒平四郎という南町奉行所の本所深川を担当する「本所見廻」の臨時廻です。「ぼんくら」の直後から話はスタートするのですが、前作に続いてダークヒーローとでもいうべき湊屋総右衛門と彼の周囲の女達の物語が因縁のように展開されるので、「湊屋総右衛門」シリーズと言う方がいいような気もします。まあ総右衛門自身が直接登場することはあまりなく、登場人物からああした、こう言ったと語られることが多いのですが。

日暮らし単行本 

 「日暮らし」は単行本が2004年12月22日に講談社から上下巻で刊行され、文庫版は講談社文庫から2008年11月14日に上中下三分冊で刊行されました。三分冊は不評だったのか、2011年9月15日に新装版が上下巻で刊行されています。例によって文庫版裏表紙の内容紹介ですが、私が読んだのは三分冊版なのでそこからどうぞ。

 (上巻)浅草の似顔絵扇子絵師が殺された。しかも素人とは思えない鮮やかな手口で。「探索事は井筒様のお役目でしょう」―。岡っ引きの政五郞の手下、おでこの悩み、植木職人佐吉夫婦の心、煮売屋のお徳の商売敵。本所深川のぼんくら同心・平四郎と超美形の甥っ子・弓之助が動き出す。著者渾身の時代ミステリー。

植木職人佐吉 

 (中巻)佐吉が人を殺めた疑いを受け、自身番に身柄を囚われた。しかも殺した相手が実の母、あの葵だという。今頃になって、誰が佐吉に、十八年前の事件の真相を教えたりしたのだろう?真実を探し江戸を走り回る平四郎。「叔父上、わたしは、本当のことがわからないままになってしまうのが案じられるのです」。

 (下巻)「ねぇ叔父上、ここはひとつ、白紙に戻してみてはいかがでしょう」。元鉄瓶長屋差配人の久兵衛からもたらされた築地の大店・湊屋が長い間抱えてきた「ある事情」。葵を殺した本当の下手人は誰なのか。過去の嘘や隠し事のめくらましの中で、弓之助の推理が冴える。進化する“宮部ワールド”衝撃の結末へ。

葵さん 

 シリーズものを順番に読むのが不得手(だって図書館になかなかないから…)な私ですが、「ぼんくら」シリーズは第一弾、第二弾と順番通り読むことができました。特に「日暮らし」三分冊を同時に借りられたのは大きかったですね。そして思います。これのシリーズは順番どおり読まないとダメだと。
 
 平四郎、弓之助、岡っ引きの政五郞といった捜査側の面々は実に清く正しく清々しく生きているのですが、とにかく湊屋が抱える闇が深くて大きい。平四郎も作中で言っていますが、もっと早い段階で大なたをふるべきだったのだろうと思います。

美人すぎるお徳 

 三分冊のうち、上巻は短編が四編収録されています。政五郞配下で昔の膨大な捕物噺を記憶している「おでこ」が寝込むほどの苦悩を抱える「おまんま」。湊屋総右衛門の姪の息子で「ぼんくら」では鉄瓶長屋の差配人をやっていた佐吉が本来の植木屋に戻り、お恵と結婚したものの、二人の間に隙間風が吹く「嫌いの虫」。江戸時代にも凄まじいストーカーというかサイコパス野郎がいた!娘二人を持つ未亡人の奉公人・お六のために葵(湊屋総右衛門の姪にして愛人。そして佐吉の母)が打った大芝居を描く「子取り鬼」。鉄瓶長屋から幸兵衛長屋に移っても煮売り屋をやっているお徳。その近所で突如始められた大赤字覚悟の惣菜屋。その意外な意図を描く「なけなし三昧」。

藤屋敷にて 

 そうかそうか、連作短編集なのかと思いきや、中巻下巻が長編「日暮らし」となっており、上記四短編は「日暮らし」のイントロとなっているのです。下巻末尾の「鬼は外、福は内」はエンディングとなっています。中巻の内容紹介のとおり、「日暮らし」では葵が殺され、佐吉に容疑がかかります。内々に済ませようとの湊屋の計らいによって佐吉は解放されますが、それは佐吉が犯人と決めつけてのものでした。佐吉が犯人ではないとして、真実を知るべきだということで平四郎と弓之助が奔走します。その過程で短編の登場人物が登場してくるので、人となりを知っておくために短編がいい仕事をしています。

葵と総右衛門 

 葵は佐吉の実母なので、普通に考えたら佐吉が殺す訳がないのですが、なにしろ湊屋をとりまく闇のせいで、佐吉は葵が大恩ある湊屋に後足で砂を掛けるように愛人と出奔したと教えられており、以後怒りと恨みを抱きながら成長しています。だからこの親子に限っては殺人もありえる、と湊屋総右衛門は思ったようです。実は平四郎も「あり」か「なし」かなら、ありえることだと思っていますが、自分はやっていないという佐吉を信じて動きます。

 怨恨ということなら、葵は佐吉の他にも湊屋総右衛門の正妻おふじからも滅茶苦茶恨まれています。というか18年前に首を絞められて殺されたのですが、おふじは殺したと思っていますが実は葵は後で息を吹き返したのでした。葵が死んでいないことは極秘とされてきましたが、もし何かの拍子におふじが知ったら再び殺意を抱く可能性があります。ですが、おふじ自身も良心の呵責に苛まれていたらしく、心を病んで廃人のようになってしまっていました。惟故に湊屋総右衛門は佐吉の犯行と確信した訳ですが…

平四郎と弓之助 

 本作、実はミステリーとしてはやや弱いです。というのは犯人の見当がついてしまうのと、犯行理由は犯人自身の過去にあるのですが、それは湊屋総右衛門関連とは全く関わりがないことなので、ある意味出会い頭の不幸な事件ということになっているので。だから殺害動機をいくら探っても正しい方向に進むことはできなかったので、ある難事件といえば難事件なんですが、ちょっとフェアじゃない気も。冒頭短編集に犯人の過去の話も載っていればフェアなんですが、それをするといきなり犯人がばれる可能性があるので難しいですね。

 時代小説として読んだ場合は非常に面白いです。「ぼんくら」に登場した人物がたくさんでてきて懐かしいし、食べ物の描写がいいんですよね。飯テロ小説家も知れません。上等な料理よりも、街角で売っているふかしたての饅頭とか焼きたての灼き団子みたいなのがとっても旨そうで、江戸のB級グルメという感じもします。

平四郎、小平次、弓之助 

 少年探偵弓之助の推理が冴えまくるので、もう平四郎の跡継ぎは弓之助しかないような気がしますが、本作でもまだ完全には踏ん切りが付いていません。第三弾「おまえさん」では跡継ぎになっているんでしょうか?図書館にはあるはずなので、近日ぜひ読みたいですね。

 伯父と姪の近親相姦、間男の托卵によるお家簒奪、超ストーカー、男喰いと女喰いなど、エロ小説・エロゲーに登場してもおかしくないシチュエーションがてんこ盛りですが、それでいていやらしくなっていないのが宮部みゆき作品の持つ上品さですね。

ぼんくら2 

 なおNHKの木曜時代劇で、「ぼんくら2」として「日暮らし」のエピソードが2015年10月22日から7話放映されました。葵が「ぼんくら」では佐藤江梨子だったのが、「ぼんくら2」では小西真奈美に変わっていますが、年齢的にも小西真奈美の方が適切な気がします。

ぼんくら2最終話 

記憶に残る一言(その85):山田光男さん(仮名)のセリフ(某ニュースの引きこもり特集)

卯の花が咲いています

 ここんところ梅雨寒みたいなぱっとしない天気が続いていますね。涼しくて個人的にはいいのですが。五月晴れという言葉はあるけど五月曇りというのはないような。五月雨と同じく、五月晴れも本来梅雨時に見られる晴れ間のことなんですが、誤用で新暦の5月の晴れという意味にも用いられ、そちらの意味で国語辞典に掲載されることもあります。言葉は生き物ですねえ。

働いたら負けかなと思ってる 

 本日はあるニートのセリフを紹介しましょう。テレビに登場するニートはインパクトのあるセリフを放つことが多いですね。一番有名なのはこのセリフだと思います。もしかすると放送するためにインパクトのあるセリフを放たせられているかも知れませんが。

今の自分は勝ってると思います 

 私も宝くじで10億当たるといったことで、不労所得が充分あるなんて状況が生じたらならば「働いたら負けだと思っている」「今の自分は勝っていると思います」なんて言い放つとかも知れません。しかし、ほとんど無収入でそれを言い放つだけの度胸は持っていません。そのメンタルの強さがあればどんな仕事も出来そうな気がしますが…

boketeの突っ込み 

 しかしこれはあまりに有名なので、今回紹介したいのは別のニートのセリフです。2008年の5月か6月頃の「引きこもり」を特集したニュース番組に登場したそうですが、動画が削除されているので今となっては番組の詳細不明です。

 働きたくないでござる

 山田光男さん(仮名)は29歳のバリバリニート。某有名理系大学を卒業したものの就活に失敗し、そのまま引きこもりになってしまったそうです。パパンはおらず、60歳になったママンの稼ぎ(さほど多くはない)で食べているそうです。山田さん自身は「インターネットで収入を得ている(キリッ」とのたまっていますが、それはおそらくアフィリエイトで、しかも金額は月間400~1000円程度。

山田光男(仮名)

 ママンは働いて欲しいと言っている(当然だ)のですが、山田さん(仮名)は「働け、働けってうるさく言うだけで何もしてくれない」と。誰の稼いで来たお金で食べているのだこの人は。

将来を考えているとな 

 取材スタッフが「時給800円のバイトをしたほうが良いのでは?」と尋ねると、山田さん(仮名)は、「将来のことを考えると割に合わない」と拒否。なんとこのニートさん、将来を考えているのか!?ではそのなりたい未来とは?

やるなら軍師 

 ここで今日の記憶に残る一言です。「やるなら軍師(キリッ」と意表を突く返答。愕然としたスタッフが「軍師??」と聞き返すと、「軍師ってほら、他人にいろいろ指示したりアドバイスする仕事。そーゆーんじゃないと将来性がないと思うんですよ。」とドヤ顔でのたまいます。

軍師とはなんぞや 

 なるほど、コンサルタント的な仕事を「軍師」と表現しているのね。確かにそれは将来性がありそうな仕事ではあります。では引きこもって世間に出てこない人が一体何をアドバイスするんでしょうかねえ。

ホラッチョ川上 

 そうそう、自称コンサルタントといえば思い出すのがショーン某。むしろ「ホラッチョ」という的確すぐる仇名で後世に名を残しそうな勢いです。致命的な学歴詐称により経営コンサルタントとやらも眉唾ものなんですが、ラジオパーソナリティー、ナレーターとしては数々の仕事をこなしていました。やはり引きこもっていたらこういう仕事には決してありつけないでしょう。

自分力を鍛える 

 今は引きこもっているも同然じゃないか?いえいえ、きっと彼は自身の著作のように「自分力」とやらを鍛えている最中なんでしょう。ドラゴンボールでいう「精神と時の部屋」に籠もって修行中なのです。

 精神と時の部屋

 一旦彼が「ホラッチョ川上」と改名して「しくじり先生」を始めとするバラエティ番組に出演して自虐的ギャグを炸裂させたら、再ブレイクの可能性もあると思うのですが…。ぜひ「自分力」とやらでプライドや羞恥心を投げ捨てて貰いたいものですね。

しくじり先生 

 とはいえ世間的には無名の山田光男さん(仮名)にはそんなオファーもあるわけがなく。「軍師」と言えばまっさくに思い出すのは諸葛孔明(諸葛亮)な訳です。確かに彼は劉備に三顧の礼で招かれるまでは“知る人ぞ知る”といったレベルで世間では無名な人でした。しかし孔明はニートをやっていたわけではなく、晴耕雨読の生活を送っていたのです。

ナイス仇名ホラッチョ 

 晴耕雨読、すなわち晴れた日は畑に出て耕作し、雨の日は家にいて読書することで、雨の日こそ室内でゲームをやっているのとさほど変わらない状態(実はかなり違うと思います)ですが、晴れの日はしっかり農業をやって生計を立てていた訳です。だから孔明は無名ではあったけれど引きこもりでもニートでもなかった訳で。もちろん才能や人格も重要でしょうが、生計を立てつつ勉強をしていたからこそ軍師に登用されたということです。

軍師といえば諸葛孔明

 しかし…彼だって最初からニート志望という訳ではなかったことでしょう。理系の有名私大に入学した当時は明るい将来があるものと思っていたのではないでしょうか。私もかつてはコミュ障気味だったし(今も危ない気がしますが)、一歩間違えたら「やるなら軍師(キリッ」になっていたのかも知れません。もちろんそれをもって「勝ち組」「負け組」なんて断じることはできません。他人がどう思っているのかより、自分がどう思っているのかが大事ですから。でもリースマン言うところの大衆社会で支配的になるという「他者志向型」、すなわち絶えず他者の行為や欲求に同調しながら自己の生活目標を変えていくタイプの人にとっては、他人がどう思うかが=自分がどう思うかになってしまうのかも知れませんが。

ニートは夏休み? 

 なお、ニートは毎日夏休み状態と思われがちですが、実際には宿題を放置したまま迎えた8月31日の気分がずっと続くのだとか。なんとかしなきゃという焦燥感と今さらどうにもならないという無力感の板挟み…となると、一見気楽そうなニートを続けるというのも、精神的にはかなりきついことなのかも知れませんね。やっぱり生活に不安のない楽隠居がいいですなあ。

これがスネップだ 

 放映時から既に9年…今頃山田光男さん(仮名)はどうしているのでしょうか?軍師になれたかどうかは定かではありませんが、少なくともニートではなくなっているはずです。え?なぜ判る?それはですね。ニートというのは“15歳から34歳までの、家事・通学・就業をせず、職業訓練も受けていない者”と定義されるところ、彼は既に38歳。堂々たるアラサーなのでニートは卒業です。では何になっているのかと言えば、最有力なのはスネップですね。おっと、近頃解散したアイドルグループとは違いますよ。

スネップ加入条件 

 スネップ(solitary non-employed persons、SNEP)は、20歳以上59歳以下の在学中を除く未婚の無業者のうち、普段ずっと一人でいるか、家族以外の人と2日連続で接していない人々を指します。社会との繋がりがあればスネップとは言えないのですが…軍師といわず、せめて時給800円のアルバイトでもやっていればいいのですが。今後定年が延びたりするとスネップの上限も65歳とかになるんでしょうかね?スネップ延長とかスネップ再任用…イヤすぐる(笑)。

ろんぐらいだぁす!:GWに一気見したアニメその2

5周年記念

 当ブログは2012年5月11日に開始したのですが、まる5年が経過していました。我ながらこんなに続くとは思いませんでしたが、あっという間でしたね。昨日気が付けば良かったのですが、例によってうっかりしてまして。6年目に突入するにあたっての抱負というほどのものは特にないんですが、肩の力を抜いてゆるーくやっていきたいと思います。

ろんぐらいだぁす! 

 本日は先日紹介した「新世界より」と共にGWに一気見したアニメ「ろんぐらいだぁす!」を紹介しましょう。実はこっちの方を先に見たのですが、「新世界より」はとにかくインパクトが大きかったもので後回しになってしまいました。

チームフォルトゥーナの面々 

 「ろんぐらいだぁす!」は2016年秋季アニメでした。そして最終盤の11話と12話は本年2月に放映していたということです。どうしてそんなことになったのかと言えば、放送延期を2回も繰り返した結果、2016年内に放送できなくなったからです。

万策尽きた-! 

 「SHIROBAKO」第一クールでは、舞台となった武蔵野アニメーションの制作進行の面々はとにかく放送延期になることを防ごうとしており、にっちもさっちも行かなくなるとデスクの本田豊が「万策尽きた-!」と叫ぶのがお約束でした。アニメ制作会社にとって、放送延期は避けたいもののようですが、小説やマンガでいえば原稿が締め切りに間に合わなかったのと同じですから当然といえば当然。それなのに平然と2回も落とすとは(本当に平然としていたかどうかは判りませんが)。実は放送延期という記事で本作の名前は知ったくらいです。

ガルパンも放映延期が 

 アニメーション制作はアクタス。この会社、実は制作上のトラブルを度々起こしている“前科者”なのです。私が知っているところでは、名作「ガールズ&パンツァー」でも2回放送延期になっていましたね。どうやらこの会社、クオリティを落として放映するよりは、クオリティ維持のためには放映を延期することを選択する傾向があるようです。

作画が残念だったクオリディア・コード 

 2016年夏季アニメの「クオリディア・コード」は逆に放映スケジュールを死守するためにクオリティ維持を放棄したかのような作品でした。ストーリーは面白かっただけに非常に残念でした。放映中に視聴しているのならば、もちろん毎週放映してくれるのがありがたいですが、後日一気見するならクオリティ維持の方がいいなあと思ったりもしますが、業界で札付きになったりしないのかと余計な心配をしてしまいます。

しまなみ海道を走る 

 「ろんぐらいだぁす!」は、ビギナーの女子大生がサイクリングを始め、仲間と出会ってロングライド(長距離走行)を行う中で、楽しさや厳しさを味わいつつ、世界を広げていく物語です。

自転車との出会い 

 主人公の倉田亜美(CV東山奈央)は、特にこれといった取り柄もない大学1年生ですが、ある日女子学生が乗った折り畳み自転車を見掛けたことで自転車に興味を持ち、安めの折り畳み自転車を購入して幼馴染みの新垣葵とサイクリングに出かけます。
 
ナイトライド 

 この時にトラブルに遭遇し、困っていたところを助けてくれた2人組の女性サイクリストは、実は同じ大学の上級生であることがわかり、これをきっかけに親しくなった4人は、一緒にツーリングするようになります。

 完走記念に

 新垣葵は亜美の幼馴染みで、自転車経験者でしたが、ずっと一緒にいたにも関わらず亜美は自転車に興味を示すことはなく、ある日見掛けた知らない人の自転車で目覚めるというのもどういうことだと小一時間問い詰めたくなりますが、葵が自分の趣味を押しつけたりしなかったということなんでしょう。

瀬戸内を走る 

 上級生の雛子と弥生、さらに後日合流する紗希と5人でチーム・フォルトゥーナを結成し、おそろいのジャージを作りますが、実は大学の運動部でも同好会でもなく、単に自転車好きが集まっただけのグループです。なのでスポ根的な要素はなく、他者との勝負もありません。強いて言えば坂道との戦い、或いは自分との戦いといったところでしょうか。

進撃のバハムートのフォルトゥーナ 

 ちなみにフォルトゥーナとはローマ神話の運命の女神で、運命の車輪を司り、人々の運命を決めます。「運命の車輪」から自転車の車輪を連想し、全員女性だからということでこの名前にしましたが、フォルトゥーナ
(Fortuna)は英語の「Fortune」の語源とされています。

買った自転車にベタ惚れ 

 ドジッ娘要素の強い亜美は、初心者が遭遇しそうなありとあらゆるトラブルに見舞われ、その度に旅に弱音を吐きまくって涙目になりますが、葵を始め皆の助けを得て、自転車に乗り続けていくうちにどんどん好きになっていき、やがては試練やトラブルでさえも自身の成長のためには必要なことだと前向きに捉えるポジティブな思考を持つようになっていきます。

羽が生える亜美 

 最初は折りたたみ式自転車で頑張っていた亜美ですが、長野県渋峠の国道最高地点を自転車で登ってきた紗希の姿に衝撃を受け、思い切って二台目のロードバイクを購入します。ロードバイクは他の自転車と全然違うそうで、その走りに亜美は羽が生えたかのような印象を受けます。私は子供の頃はスポーツ車というものに乗りましたが、変速機がついているくらいでママチャリと大差なかった印象なんですが、ロードバイクはそんなに違うものなのか…

雨でも走る 

 折りたたみ式自転車「ポンタ君」では超えられなかったヤビツ峠をロードバイクで越えてリベンジを果たした亜美は、長野の「あづみのオータムライド」で100マイル(160キロ)を走破し、その後伊豆の伊東までの100キロ超のナイトライド、瀬戸内のしまなみ海道での長距離ツーリングを行っていきます。

パンクを治せるようになった亜美 

 自転車により世界を広げ、自信を持つことで積極的になっていく亜美に触発され、大学の知り合いだった美弥や妹の恵美も自転車に興味を持っていきます。最終話で原作者の三宅大志が描いたエンドカードでは、二人ともチーム・フォルトゥーナのジャージを着ているので、後日加入するようです。

最終話のエンドカード 

 基本亜美は根性がある方ではなく、サイクリング後のアイスクリームとか、海鮮丼とか、「あづみのオータムライド」では各所で無料配付されるエイドを目当てに走っているようなところもありますが、運動部じゃないし勝負事でもないし、雛子、弥生、紗希といったベテランも同じような楽しみ方をしているのがいいですね。もちろん食べ物だけではなく、ナイトライド後の日の出の光景とか、走り終わった後の温泉といった楽しみも描かれています。そういったものも込みで自転車の楽しみというのを純粋に描いていたのは良かったですね。

メイド姿の亜美
メイド喫茶でアルバイト 

 どんな趣味もそうかも知れませんが、自転車も車体自体はもとより、各種装備品には結構なお金がかかります。弥生はお金持ちの家なのでともかく、雛子は実家の中華料理店で働き、亜美もファミレスでアルバイトをしていましたが、それでもお金が足りずにメイド喫茶でメイドもやったりしました。ドジッ娘が属性として認められて評価されるなんて最高のバイト先じゃないかと思いますが。

チャイナで中華 
バニーで中華

 雛子は実家なのにチャイナドレスでの接客をさせられ(時給が倍になるので渋々やっていた)、終いにはバニーガールになっていました。娘にコスプレを強いるママンは鬼畜ですな。葵や、年がら年中自転車に乗っていてバイトする暇さえなさそうな紗希がどうしていたのかが結構謎。二人ともお嬢様だったんでしょうか。

無料のエイド 
味噌おにぎりを食する 

 自転車の描写はもちろんいいのですが、キャラ作画はあんまり良くなかった気が。スポーツものだから萌えはいらないのかも知れませんが、メイド喫茶で働いてアイドル的人気を得るくらいなので、もっと可愛く描いても良かったかも知れません。最も伝えたかった「自転車の楽しさ」は充分伝わってきましたが、ガルパンくらいの可愛いキャラならなお良かったのにと思います。 

夜明けを迎える 

同級生:認めたくないものだな、自分自身の“若さ故の過ち”というものを…

5月の雨の土曜日

 本日は一日雨のようです。土曜日の本格的な雨って久々な気がします。土曜日はウォーキングをするので、アツゥイ!のも困りますが雨も嫌なものです。でも自然の摂理の前にはどうしようもないですね。五月の雨だから五月雨と言いたいところですが…陰暦だから実際には梅雨時の長雨が五月雨ですね。

文庫版同級生 

 本日は当ブログではもはやレギュラーの東野圭吾の「同級生」を紹介しましょう。この人がベストセラー作家になったのはよくわかります。読みやすいし面白い。それはミステリーとしてですが、純粋に物語としてもです。むしろ「秘密」まで泣かず飛ばずだったことが奇々怪々。

名探偵の掟 

 「同級生」はやはり人気低迷時代の1993年2月10日に祥伝社から刊行され、絶版になった後に講談社文庫から1996年8月15日に刊行されました。1996年というのは、「名探偵の掟」が「このミステリーがすごい!1997」の3位になるなど、にわかに注目を浴び始めた時期です。その後1998年の「秘密」の大ヒットでブレイクして不動の人気作家となるわけですが、講談社が本作を刊行したのもこの流れを感知してのことではないかと思われます。私が借りた本は2014年8月1日付で第59刷となっており、「重版出来」どころではありません。

新書版同級生 

 実は本作、東野圭吾作品としては地味な部類で、各種ミステリーランキングにも選ばれておらず、Wikipediaに単独記事も立てられていません。舞台となっているのは県立高校で、高校を舞台とした本格推理は1985年刊行のデビュー作「放課後」以来ということになります。珍しく「あとがき」があり、執筆に非常な苦労があったと記されています。あんまり苦労したので異例の「あとがき」を書いたとも。そういえば東野圭吾の「あとがき」というのは初めて見たような。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

妊娠した女子校生 

 修文館高校3年の宮前由希子が交通事故死した。彼女は同級生・西原荘一の子を身ごもっていた。それを知った荘一は自分が父親だと周囲に告白し、疑問が残る事故の真相を探る。事故当時、現場にいた女教師が浮上するが、彼女は教室で絞殺されてしまう。著者のターニングポイントとなった傑作青春ミステリー。

小学生の妹のイメージ 

 主人公は県立修文館高校野球部主将の西原荘一。彼には先天的な心臓疾患を持つ春美という小学生の妹がおり、この妹を溺愛しています。野球も、春美が観戦を喜ぶからやっているようなものです。3年生になった5月の半ば、野球部のマネージャーである宮前由紀子が交通事故死します。突然のことで部員ともども驚く荘一ですが、さらに驚くべき噂が流れ始めます。由紀子は妊娠しており、産婦人科に向かう途中で事故にあったのだと。

高校野球のイメージ 

 荘一には身に覚えがありました。3月に由紀子と関係を持っていたのです。由紀子が以前から荘一に好意を持っていたことは気づいていましたが、そういう関係になったのはその日が初めてでした。なぜか荘一は当時自暴自棄になっており、つい「据え膳」を喰ってしまったということのようです。両者とも“やればできる子(性的な意味で)”だった訳ですが、処女と童貞だろうと、高3にもなっていたら避妊を心がけるのは当然だと思うのですが…

野球部マネージャーのイメージ 

 由紀子の相手は自分であることを周囲に告げ、由紀子の両親に謝罪に行ったりと潔い態度を取る荘一ですが、そうこうしているうちに、由紀子が死んだのは、生徒指導部の教師に追いかけられたからだということが判明します。その教師は古文担当のハイミス御崎藤江でした。荘一は授業中に同級生の前で御崎を糾弾しますが、御崎は自らの過ちを認めようとしませんでした。

アンサイクロペディアの生徒指導部 

 生徒指導部長は灰藤というベテランの地学担当教師で、生徒指導なんてまっとうな神経を持っていたら進んでやりたいないような役目を積極的に買って出て、執念深く生徒の非行を摘発することで有名な教師でした。御崎は灰藤に傾倒して同じ道を進んできた人で、荘一はこの灰藤に目を付けられることになります。

生徒指導の在り方 

 そして一週間後、なんと御崎が荘一のクラスで死んでいるのが発見されます。動機を持った人物として当然浮上してくる荘一は事情聴取を受けますが、現場にはいくつかの謎が。

天文部の活動 

 続いて起きる天文部部長水村緋絽子の殺人未遂事件。睡眠薬入りのコーヒーで眠らせてストーブ用のガスの元栓を開くというものでしたが、守衛が発見したため大事には至りませんでした。二つの事件は関連があるのか?

左が緋絽子、右が由紀子のイメージ 

 実は荘一、作中でこの水村緋絽子と何度か出会って会話をするのですが、その雰囲気がなんともただならない関係です。敵意とも憎悪とも言い難い、不思議な緊張感が張り詰めるのですが、その理由について読者に対して荘一は終盤まで口を割りません。冒頭、“春美の心臓疾患は単なる偶然ではなかった”とのくだりがあり、水原緋絽子は大企業の重役の娘でいわゆるお嬢様なので、それと何らかのつながりがあるのだろうとは思えましたが。

娘の妊娠に苦悩 

 本作は、一連の事件の犯人捜しの他、読者に荘一と水村緋絽子の関係を推理させる作品となっています。由紀子を孕ませておきながら(まあ彼女の死まで気づかなかった訳ですが)、実は一時の感情の暴走の結果に過ぎなかったという負い目。荘一としては、荘一の愛が本物だったと信じたまま事故死した由紀子に対する償いは、本気の関係だったと皆に告白することと事故の真相を暴くことだけだと確信し、その通りに行動するのですが、そうすればするほど不自然さが目立ち、別の意味で警察からも注目されたりします。

 ○八先生

 正直一連の事件より水村緋絽子との関係の謎の方が目を引いてしまいます。途中で「こうじゃないのか」と思ったことがほぼ的中しましたので、その点は満足なんですが、一連の事件の真相については全く的中しませんでした。その辺りが流石東野圭吾というところなんでしょう。荘一視点なので警察は敵対者とまでは言わないものの、結構印象が良くない感じに描かれていますが、例によって無能ではありません。というかかなり有能です。

 クソ教師

 荘一は野球部の主将で部員からの人望もあるようですが、言動が結構粗野で、大人にタメ口をきいたりするなどあんまりいい印象がありません。可愛い妹がいて、美人マネージャーを孕ませるとかリア充爆発しろといいたくなりますが、本人はさほど自分の境遇をハッピーとは思っていません。その理由は…

クソ教師その2

 本作で注目されるのは教師の描き方。御崎と灰藤の生徒指導部コンビはもとより、担任の石部ほか他の教師も軒並みろくでもない感じで描かれています。唯一荘一が評価しているのは養護教諭くらい。東野圭吾は前述の「あとがき」で“小学生の時から教師が大嫌いだった。なぜ理由もなく、こんなおっさんやおばはんに威張られなきゃならないんだと、いつも不満だった。どう見ても尊敬できる部分など一つもないのに、「先生」などと呼ばされるのも面白くなかった。何より我慢ならなかったのは、連中が自分達のことを、立派な人間だと錯覚していることだった”と記していますが、教師嫌いの東野圭吾の面目躍如な作品とも言えますね。

 体育教師笑

 私個人はそこまで教師は嫌いではありませんでしたが、体育教師はおしなべて嫌いでしたね。正直小学校の頃はそこまで批判的精神がなく、中学校時代は比較的いい先生が多かったこともあり、教師がひどい生き物だと思ったのは高校に入ってからでした。まあ当時は素行が良かった(本当!)こともあり、盗んだバイクで走り出したり、夜の校舎窓ガラス壊して回ったりすることもなかったので(普通はない)、特に衝突とかはなかったですけど。

盗んだバイクで走り出す 

 東野圭吾は教師は嫌いだったようですが、学校そのものや学生生活は嫌いではなかったようです。そうでなければ学園ミステリーを書こうとは思わないでしょうが、私の高校時代は、教師にも学校にも同級生にも何の期待も抱いていなかったので、懐かしいとも振り返りたいとも思いません。いわば「黒歴史」。これが不本意な進学の結果というヤツか。でも一応卒業したので良しとしといて下さい。

夜の校舎窓ガラス壊してまわった 

 タイトルの「同級生」ですが、その理由はラストで明らかになります。色々とすっきりした感じで終わるのですが、ちょっとよく考えてみると、由紀子が死んだ件についてはそんなにすっきりしていいのかという気がします。直接的原因ではないとはいえ、そもそも由紀子は妊娠しなければ事故に遭うこともなかったはずなので、なぜちゃんと避妊しなかったし!と思いますし、大事な娘を亡くしたご両親の悲しみと怒りは消えることはないでしょう。身代わりで名乗り出たという訳でもないし、背負うべき十字架はしっかり背負おうぜ、と思ったりします。

柴門ふみ原作の同級生 

 なお、「同級生」というタイトルで何を連想するかですが、柴門ふみのマンガとか、それを原作としたテレビドラマという答えが多いのでしょうかね。あれは「同・級・生」との表記が正しいようですが。バブル期に放映され、安田成美と緒形直人が主演していました。

エルフの同級生 

 しかーし!個人的には「同級生」といえば連想するのはエルフのギャルゲーに決まっているだろうと断言します。バブルも終わった1992年12月17日にPC用18禁恋愛ADVとして発売されましたが、私がプレイしたのは1995年11月23日発売のPCエンジン版でした。なのでエロい描写はしごくマイルドになってました。本作と1994年5月発売の「ときめきメモリアル」のヒットにより、恋愛ゲーム市場は一気にブレイクしていったのでした。

鈴木美穂 

 「同級生」にはデビューして間もない丹下桜が参加していました。丹下さんが演じた鈴木美穂は18歳のわりに幼くて幼児体形な人でした。他にも國府田マリ子とか井上喜久子、古川登志夫、古谷徹、千葉繁なんかも出演しており、何気に豪華メンバーでしたね。國府田マリ子が演じた桜木舞の赤系のストレートロングな髪や才色兼備ぶりは、「ときめきメモリアル」の藤崎詩織に継承されたとされていますが、メインヒロインなのに人気がぱっとしないのには全米が泣きました。その反省を元に「下級生」の結城瑞穂や「同級生2」の鳴沢唯といった人気のあるメインヒロインが設定されたのではないかと思います。

桜木舞 

 「同級生」というタイトルのわりに、年上お姉さんキャラがやたら多かったのが特徴です。女教師キャラが2人もいる他、人妻までいたりして。ええ、もちろん全員攻略しましたとも。そういえば高校の上級生や下級生は一切出てきませんでしたな。今にして思えばなかり極端なヒロイン設定だったんですね。

真行寺麗子 

 きっこさん演じた芹沢よしこ先生が好きでしね。オンタイムのお堅い雰囲気と、オフタイムの艶めかしさのギャップが素敵でした。生徒思いで、主人公の将来を本気で心配してくれる人だったので、こういう先生に遭遇していれば東野圭吾の教師嫌いも変わっていたかも。いや、現実にはいませんけどね。

芹沢よしこ先生 
髪をおろしたよしこ先生 

 斎藤真子先生は…もはやファンタジーとしか言いようがない。そもそも日本人なんでしょうか(笑)。おっと、ゲームの「同級生」について以前に記事を書いている(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-65.html)ので今回はこの辺で。

日本人離れした真子先生 

王妃の帰還:女子校という名の箱庭で

5月はヤグルマギク

 長期休暇明けは心身ともに調子が今ひとつ上がりませんね。でも一週間未満、長くても10日未満程度の休暇を“長期”なんて呼んでいいのかどうか。フランスでは休暇は連続5週間まで取得可能となっておりそれをヴァカンスと呼ぶらしいです。これを世界基準と呼んでいいのか判りませんが、某モレシャンさんあたりには鼻で笑われて「ワータシの国では~」とドヤ顔で自慢されそう。

文庫版王妃の帰還 

 本日は柚木麻子の「王妃の帰還」を紹介します。柚木麻子の著作は初めて読みました。柚木麻子は1981年8月2日生まれで東京都出身。立教大学在学中からより脚本家を目指してシナリオセンターに通っていました。卒業後、塾講師や契約社員などの職のかたわらで小説の賞に応募し、2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞して作家デビューを飾りました。

 柚木麻子

 同作を含む単行本「終点のあの子」は、「本の雑誌」2010年上半期エンターテインメントランキングで3位となるなど高評価を得ました。

終点のあの子
 
 2013年から15年にかけては3年連続で直木賞候補となっており、新進気鋭の若手小説家です。2013年には「嘆きの美女」、2015年には「ランチのアッコちゃん」がNHKでテレビドラマ化されています。

嘆きの美女
ランチのアッコちゃん 

 「王妃の帰還」は2013年1月26日に実業之日本社から単行本が刊行され、2015年4月15日に文庫版が実業之日本社文庫から刊行されました。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

王妃の帰還POP 

 私立女子校中等部二年生の範子は、地味ながらも気の合う仲間と平和に過ごしていた。ところが、公開裁判の末にクラスのトップから陥落した滝沢さん(=王妃)を迎え入れると、グループの調和は崩壊!範子たちは穏やかな日常を取り戻すために、ある計画を企てるが……。傷つきやすくてわがままで―みんながプリンセスだった時代を鮮烈に描き出すガールズ小説! 

 スクールカーストという表現があります。これはWikipediaによると、“現代の日本の学校空間において生徒の間に自然発生する人気の度合いを表す序列を、カースト制度のような身分制度になぞらえた表現。もともとアメリカで同種の現象が発生しており、それが日本でも確認できるのではないかということからインターネット上で「スクールカースト」という名称が定着した”と説明されています。

アメリカのスクールカースト図 

 日本のスクールカーストは明確に模式図にできていないようですが、アメリカのものは上図のように序列化が明確になっています。物語の舞台となるミッション系お嬢様学校である聖鏡女学園中等部2年B組の28人(少なっ)も、5つの派閥に別れており、序列化がなされています。

 最上位が「姫グループ」の5人。これはアメリカのスクールカーストでいえば「クイーンビー」と「サイドキックス」に該当するでしょう。続いて「ギャルグループ」。これは7人と人数的には最大派閥ですが、「姫グループ」に入ることを夢見ている「姫グループ」の二軍のような存在です。アメリカのスクールカーストでいえばワナビーといったところでしょうか。

マリー・アントワネットその2 

 さらに「チームマリア」の5人。ミッションスクールである聖鏡女学園で聖歌隊やハンドベル部に所属している女の子の集まりで、最も学園らしいお淑やかな優等生で構成されています。これは…アメリカのスクールカーストで例えるのが難しいですが、強いて言えばプレップスといったところでしょうか。

 そして「ゴス軍団」の6人。アメリカのスクールカーストの下位にゴスが存在していますが、ビジュアル系バンドのファンで構成されており、「姫グループ」の野党的存在なので、ゴスよりは階層外の「不良」あたりが適当かも知れません。お嬢様学校なので不良といっても「強いて言えばそれっぽい」という程度ですが。

単行本王妃の帰還 

 最後に主人公前原範子が所属するグループ。これには名称がないので、勝手ながら「地味子グループ」と名付けてあげましょう。たった4人の最小派閥で、放課後に図書館に集まっているので、アメリカのスクールカーストでいえばやはり階層外の「不思議少女」に相当するでしょうが。階層外が5グループ中2グループもあってはカーストが成立しない気がしますが、本作ではアメリカほど序列化されていないのでまあいいでしょう。ただし、範子の認識では頂点は「姫グループ」で底辺は「地味子グループ」です。

 アンシャンレジーム

 派閥で別れているとはいえ、特に対立抗争しているわけでは無く、それなりに平和だったクラスに風雲が巻き起こったのは2学期のこと。「姫グループ」の頂点に君臨していた滝沢さん-範子はその美貌に憧れており、敬意を込めて密かに「王妃」と心の中で呼んでいました-が失脚したのです。

マリー・アントワネット 

 実は範子はフランス革命フリークなので、「王妃」とはマリー・アントワネットに他なりません。「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」の迷言で有名ですが、本義ではケーキではなくブリオッシュのことらしいです。ケーキというよりはパン菓子というニュアンスですね。さらに言えばマリー・アントワネットが言ったという実際の記録はなく、ルイ14世妃マリー・テレーズ説や、ルイ15世の娘であるマダム・ソフィーやマダム・ヴィクトワール説などがあるようです。

アニメ版ベルばらのマリー・アントワネット 

 いずれにせよ…肖像画のマリー・アントワネットよりは、池田理代子の「ベルサイユのばら」で描かれた愛らしいマリー・アントワネットの方が滝沢さんにはふさわしいでしょうね。史実のマリー・アントワネットは「首飾り事件」によってそのイメージを大きく損なった訳ですが、「王妃」の方は「腕時計事件」で失脚することになりました。

首飾り事件の首飾り 

 範子は今回の「王妃」の事件をやたらフランス革命に当てはめるわけですが、その場合いきなり王妃のギロチン処刑から始まることになってしまいます。実際第一章のタイトルは「ギロチン」ですし。これが若さか…。もちろん「王妃」は処刑される訳ではありませんが、それまでのクラスの頂点の座を追われ、仲間外れ、すなわちハブとなってしまいます。のみならず、地味子グループが引き受け先になってしまうという。

ギロチン 

 美貌の「王妃」を迎えられてさぞや光栄…と言いたいところですが、この「王妃」、美貌に比例した性格は持ち合わせておらず、わがままで自己中で高飛車で上から目線と、「王妃」の持つ負のイメージだけを集めて固めたような性格でした。こんなのに飛び込んでこられて地味子グループもぎくしゃくし始め、範子達は「王妃復権」を画策することになります。滝沢さんのイメージアップを図って元の「姫グループ」に復帰させようというのです。

三部会 

 派閥というのは共通の趣味とか嗜好、話題によって構成されたものだったので、それらが全く異なる地味子グループと「王妃」はまさに水と油。最初はまさに「文明の衝突」状態でしたが、やがて徐々に相互理解が深まると、「王妃」も素直になっていきます。そうなってくると範子としてはもっと仲良くなりたいという気持ちが高まってくるのですが、そうなるとこれまで親しかった親友との間に隙間風が吹いたりして。なにしろヱヴァンゲリオンがないただの14歳の少女ですから、みんな未熟だし傷つきやすいし自己中なんです。

ベルサイユ行進 

 そうやって學園生活がいろいろと大変な中、範子は別な問題も抱えます。クラス担任で生徒の人気も高い星崎先生(通称ホッシー)が、なんと範子のママンと交際中という。あ、範子ママンはシングルマザーにしてバリキャリの女性誌編集長なんで不倫とかではないのですが、クラスメイトに知れたらえらいことになりそうです。

バスティーユ監獄襲撃 

 そんなてんやわんやの中、親友の離反やいじめの標的化といった危機を迎える範子ですが、彼女はこれまでの事件の「黒幕」を突き止め、これを一気に失墜させようと「革命」を画策します。さて、その結末は…ぜひ本書を読んでいただきたいと思います。ラストは非常に感動的かつ爽やかなので、これは映像化するべきだと思いますが。出来れば私も見たいのでアニメ化がいいな。

テニスコートの誓い 

 いろいろ揉めに揉める少女達ですが、私のようなおっさんから見ると、女子には女子の世界があるだろうし、その年齢なりに一生懸命やっているので、馬鹿にする気にはなりません。「マリア様がみてる」(こっちは高校生ですが)を見る時と同じような気持ちになりますね。微笑ましくも痛ましいとでもいうか。コップの中の嵐に翻弄される少女達を笑うことは出来ません。そこで経験を積んでおかなければ、やがて迎える外界への船出に耐えられないでしょうから。

早くアメリカに行けよ綾部 

 なお女子生徒の人気を集める星崎先生。文中でピースの綾部祐二に似ているという描写があります。本書が書かれた2013年頃の彼はイケメン芸人として知られ、また熟女好きとして知られていました(だから相当年上の範子のママンと交際するのか)が…今となっては相方の又吉直樹のお荷物というか、さっさとアメリカに行けよというか(行ったんですかね?)、まあイメージが暴落しましたね。そのせいかこの人が登場する旅に綾部の顔が思い浮かんで全然彼には共感できませんでした。

A藤M姫 

 さらに「王妃」こと滝沢さん、最終盤で範子がついに彼女を名前で呼ぶんですが、その名前がある有名人を思い切り連想させるんですよ。それがまた…。いや、本書が刊行された2013年1月当時なら決して悪い印象ではなかったはずなんですが、それ以降はどうかと言えば…まあ人によるんでしょうけど、言動などから“好感度ダダ下がり”なんて言われたりもしています。会ったことはもちろんありませんが、ナルシシストな印象が強くて私も正直好感は持ってませんね。14歳だったら許すんですけど。誰のことかわからないあなた、ぜひ本書を読んで下さい。

民衆を導く自由の女神 

 なお、作者は2年B組の派閥をフランス革命当時の階層になぞらえて、「姫グループ」=王家、「ギャルズ」=貴族、「チームマリア」=聖職者、「ゴス軍団」=商工業者、「地味子グループ」=農民のイメージだそうですが、それだと「姫グループ」「ギャルズ」「チームマリア」対「ゴス軍団」「地味子グループ」という図式になってしまうような。ただし「地味子グループ」=農民はぴったりかも。「七人の侍」でも指摘されていますが、一見弱そうに見えて実は一番したたかだという。

新世界より:GWに一気見した隠れた傑作アニメ

GW明けの気分

 月曜日はだいたい憂鬱なんですが、GW明けの月曜日は年間屈指の憂鬱な月曜日でしょうね。新社会人の諸君、さあ五月病のタイミングだ。ところで私は実はずる休みしてしまいました。病気などでない有給休暇の取得をずる休みと呼ぶのはさすがにどうかと思いますが、つい学校時代のクセで。

新世界よりその1 

 お金がなかったので今年のGWもアニメ三昧だった訳ですが、その成果を紹介したいと思います。まずは2クールの大作「新世界より」。原作は貴志祐介の同名小説で、2008年1月に刊行され、第29回日本SF大賞を受賞しています。

原作新世界より

 貴志祐介は堂々たる人気作家ですが、私はデビュー作で映画化された「十三番目の人格 ISOLA」とやはり映画化された「青の炎」しか読んでいません。なぜかと言えば図書館にないから。あ、単行本はあるかもですが、主に文庫本を読んでるもので。

青の炎 

 アニメの方は2012年10月から2013年3月まで2クール全25話が放映されました。まだ作品チョイス力が高くなかったせいか、完全に見落としていました。この時期放映していた名作「ガールズ&パンツァー」も見落としていますから、完全に海のリハク状態。今もだろ!との突っ込みには返す言葉もありませんが。

舞台は茨城鹿行地方 
夏季キャンプに来た5人組 

 舞台は1000年後の茨城県鹿行地方の神栖市。自然豊かな集落「神栖66町」となっており、人口は3000人程度。牧歌的で現代よりも文明レベルは引くそうですが、人々は平和に暮らしています。一見理想郷なんですが、その背後にちらつく不穏さ。子供達も薄々感じていたそれが次第に明らかになっていくと、理想郷の歪んだ実相が明らかになっていきます。

新世界より12歳編 

 というか、放映したテレビ朝日の「『新世界より』超スッキリ講座」という動画があるのでこれを見ていただけば世界観は判りやすいだろうと思います。









 これだけ見れば世界観の把握はバッチリです。主人公は渡辺早季で、彼女とその友人達が12歳、14歳、26歳のそれぞれの時代を描いており、三部構成となっています。早季のCVは種田梨沙で、テレビアニメ初主演。前期主題歌「割れたリンゴ」も歌いました。本作では冒頭の7歳から26歳までの早季を演じましたが、ナレーションを勤めた36歳時点の早季のみ遠藤綾が演じていました。

新世界より14歳編 

 種ちゃんは大学を卒業してから声優デビューなので、本作の時点で24歳でしたがまだまだ新人。一回り年上の36歳は演じきれなかったのか。14歳と26歳ではちゃんと早季の成長ぶりを演じられていたので、やればできそうですけどね。

新世界より26歳編 

 この時代の人間は全員が呪力という名のサイコキネシス(PK)を使えるのですが、子供時代は使えません。呪力が発現すると小学校(早季が通っていたのは「和貴園」)を卒業します。同級生の中では奥手だったのですが、上級学校「全人学級」に入ると、先に来ていた友人達から早季が一番最後だと言われます。え…?じゃあまだ和貴園に残ってた同級生は…?

1話で退場麗子ちゃん 

 さらに同じ班にいた麗子という呪力の使い方が下手だった女の子は突然いなくなってしまいます。CV堀江由衣だというのに何という無駄使い。

 不浄猫

 次第に呪力の使い方が下手だったり、ルール無視を平然と行う倫理感が乏しい子供達はどういう訳か不意にいなくなってしまうことがあり、子供達の間には小学校を卒業できない(=呪力が発現しない)子供を連れ去ると言われるネコダマシという妖怪が噂になっていますが、実は「不浄猫」という名で実在していることが明らかになります。

1000年後の利根川 

 ターニングポイントは4話で、ここで班で夏季キャンプに遠出をした際、先史文明の遺物である国立国会図書館つくば館の自律進化型・自走式アーカイブであるミノシロモドキに遭遇し、神栖66町で繰り返し教えられる「悪鬼」と「業魔」の正体、呪力がもたらした文明の崩壊、そして現在の社会が作られた経緯といった、禁断の知識に触れてしまいます。それらは社会の動揺を防ぐため、ごく一部の人間しか知ってはならないとされる知識でした。

ミノシロモドキ 

 早季達と並んでもう一方の主役ともいうべき存在がバケネズミ。ハダカデバネズミから進化したとされる生物で、女王を中心とした巨大なコロニーを形成しています。なんと人間並みの知能を持ち、独自の言語で意思疎通する他、人間の言語を使って会話することができる個体も存在します。武器の使用、生物の品種改良、擬態など、およそネズミとは思えない科学技術力を持っており、個体数では人間を圧倒していますが、呪力を持つ人間には敵わず、人間を神と崇め、絶対的に服従しています。本作のキャッチフレーズは「偽りの神に抗え」ですが、その意味はバケネズミの視点になったときに初めて理解できるものです。

 偽りの神に抗え

 裏主人公とも言える狡猾なバケネズミのスクィーラ(後に野狐丸)は12歳編から登場し、早季達未熟な子供達を口車に乗せて手玉に取ります。早季達も手玉に取られているのを判っていながら彼らを利用せざるを得ないというジレンマを抱え、それは14歳編でも変わりません。実はバケネズミの呪力は人間に、他の生物に対する圧倒的なアドバンテージを付与していますが、地球の支配者となるのに十分な知能を持っているバケネズミがその人間を打倒するためにはどうするか?

ご隠居風スクィーラ

 その答えが秘密兵器として26歳編で炸裂する訳ですが、膨大な犠牲に臆しない非情な戦略は幼女戦記を思わせます。英雄になり損ねた英雄、それがスクィーラで、蝦夷の大将アテルイとかインディアンのシャーマン・ジェロニモのような存在と言えるでしょう。戦後彼に課された無間地獄という刑罰の恐ろしさは「カンタン刑」に匹敵しますな。

人類の真実とは 

 呪力は攻撃にも防御にも使えますが、攻撃に使う方が圧倒的に便利で防御にはあまり向いていません。言ってみれば全員が機関銃とかバズーカで武装しているような状態なので、それを人間に向けないための仕組みが苦心して作られて訳です。特に怖れられているのが「悪鬼」「業魔」の発生で、その芽を早い内に摘み取るために教育委員会が存在しているという。それが子供達が不意に消える理由で、早季達少年少女には極めて歪な社会構造として映るのですが、一度「悪鬼」の発生を許した場合の悲劇は、早季達が26歳で目の当たりにすることになります。

早季の心に住む瞬 

 村の外には奇怪な動物が多数存在しており、特に東京は1000年前の戦争によって破壊され、不気味な生物が跳梁跋扈する地獄と化しています。近未来の奇怪な生物については、椎名誠もSF三部作「アド・バード」「水域」「武装島田倉庫」で描いていますが、本作では奇怪な生物の出現理由について、呪力の無意識な漏出の影響ではないかというと仮説が挙げられています。

土蜘蛛コロニーの軍勢 

 そしてラストで明らかになるバケネズミの正体…これが驚きの一言でした。なるほど、知能が高いのも判ります。“良き主人”のつもりでいたのに奴隷に反乱されたらご主人様側は激怒するでしょうけど、奴隷側からすれば良かろうが悪かろうか奴隷の地位に置かれることに我慢が出来ないのだという。

一瞬だけの36歳編 

 最初は6人居た班の仲間は、12歳編中で5人となり、14歳編ではなんと2人だけになってしまいます。それぞれの運命については本編をぜひ見ていただきたいですが、折々挿入される36歳早季のナレーションが静かな抑えめのイントネーションなのにその内容がおっかないんですよね。

早季と奇狼丸 

 好きなキャラとしては主人公早季は「好きなアニメキャラ」で紹介するとして、その他にはバケネズミの奇狼丸ですね。ネズミというよりはライオンのような威風堂々たる姿といい、武人のような性格といい実にカッコイイです。その彼にしてもチャンスがあれば人間を打倒しようと考えていたという。でも最後は自分のコロニーの存続と引き替えにスクィーラとは違う選択をしました。

鎧姿のスクィーラ 

 スクィーラは…好きというにはあんまりな容姿と性格なんですが、革新的な思想は評価に値しますね。もしこれが眉村卓の「司政官」シリーズのように他の惑星の知的生命体であったら、興味深く観察して対話を重ねたに違いありません。極力在来生命体への不干渉を貫く司政官型の統治だったらきっと良好の関係が築けたことでしょうが…それでもなにがしかの知識や技術の習得を試みるでしょうね、彼なら。

化けネズミ 

 結局のところ歪な社会構造を破壊するとかいう画期的な方向には進まないので、悪鬼や業魔の出現は極力阻止するという従来の路線は変わらないようですが、バケネズミとの関係は早季達の努力で以前より良い方向に変わるのではないかと思われます。それで第二第三のスクィーラが出現しないかは保証できませんが。

早季と覚の結婚式 

 原作がしっかりしていて、2クールかけてじっくり描いた(それでも早急感はなきにしもあらずですが)だけあって、どうして今まで知らずにいたんだろうという傑作でした。渡辺早季(種田梨沙)が歌う前期主題歌「割れたリンゴ」もいいんですが、秋月真理亜(花澤香菜)の歌う後期主題歌「雪に咲く花」はもっといいですね。

真理亜と守 

 直接物語の根幹に関わる謎ではないですが、神栖66から逃亡した真里亜と守はそんなに遅くない時期に死亡したようですが、スクィーラが手にかけたのか否か…。提出した骨は本人達のものだったようですが、不慮の死だったなら許す。積極的に殺したのであれば無間地獄待ったなし(いやもう既に無間地獄にされたけど)。でもあいつの性格からしてやってそうな気がしますね。

ニーナとカミュ 
闇堕ちハーディン 

 それにしても早季の心の中には相思相愛だった瞬が今もなお存在しているって、覚的にはどうなんでしょうね。「秒速5センチメートル」に例えるならば(なぜ例えたし)、明里=早季、貴樹=瞬、祐一=覚ということになるんですが。「ファイアーエムブレム」に例えるならば、ニーナ姫=早季、カミュ=瞬、ハーディン=祐一。気にならないというのなら別にいいんですが、「ファイアーエムブレム」では嫉妬と苦悩に苛まれたハーディンが闇堕ちしてしまいましたっけ。

ウホッいい男 
キマシタワーッ 

 まあ瞬と覚は14歳当時「ウホッ!」な仲だったのでいいのかな。その頃は早季は早季で真理亜と「キマシタワー!!!」な関係でしたが。まあ百合はいいんですよ百合は。ウホッの方はどうもなあ(笑)。まあ本作の世界では攻撃力の抑制=争いの回避のためにボノボに倣った、同性異性を問わない濃密な性的接触によるストレス解消が奨励されているので、本番意外はホモもレズもショタもロリも(双方が同意すれば)ありらしいですけど。これを「ボノボる」とか言っていましたが、それにしては早季達意外はそういうシーンがなかったような。

なんだこれは…たまげたなあ 
公式も認めるボノボる 

2017年春季アニメ序盤の感想(その2):2本切っても日曜日はスーパーアニメタイム

ポピーの草原

 遅まきながら5日に70万アクセスを突破しました。いつもなら過去の数字をいろいろ並べるのですが、なんかそういうモチベーションがなくなってしまったので、簡単にご報告のみ。

正解するカド序盤 

 それでは昨日に続き、2017年春季アニメ序盤の感想行ってみましょう。残り4作品です。まずは「正解するカド KADO:The Right Answer」。5話まで視聴。東映アニメーションのオリジナルCGアニメです。この宇宙の外(異方)から来たカドという名の巨大な正六面体とその所有者であるヤハクィザシュニナと名乗る謎の人物が、異方から電力を無限に取り出せるというワムという装置を無償提供したことから起こる騒動を描いています。

巨大なカド 

 絵柄やストーリー展開的にリアル指向のように見えますが、純然たるファンタジーとして見た方がいいと思います。登場人物が増えすぎても覚えきれないので仕方がないかも知れませんが、日本政府に人いなさすぎ。あと各国がエネルギー問題を一挙に解決できそうなワムを日本が独占する状態が気にくわないのは当然としても、全世界対日本という構図があんなに素早く簡単に生まれるかどうか。むしろ日本にワムを分けてくれることを期待してすり寄ってくる国が出てきてもおかしくないと思います。国連幻想って日本に特有なのかも。

神々自身 

 対人間のインターフェイスらしいヤハクィザシュニナの目的とか意図も不明ですね。“只より高いものはない”ということわざがあります。英語だと“ There’s no such thing as a free lunch.(無料のランチなんてない)”になるそうですが、無限の電力の無償提供なんて絶対ウラがあると思うのですが。パラレルワールドとの物質交換により無限のエネルギーを得るというアシモフの「神々自身」を思い出します。

ひなこのーと序盤 

 「ひなこのーと」。5話まで視聴。「ごちうさ(ご注文はうさぎですか?)」難民救済作品の最右翼と目されます。口下手であがり症のため、田舎ではかかしをやっていた桜木ひな子は、これを克服するために憧れの藤宮女子高校の演劇部に入ろうと上京しました。入居したアパート「ひととせ荘」や学校の仲間と繰り広げられる、“同居型演劇コメディ”です。

 ナイスバディひな子さん

 ポスト「ごちうさ」なのでキャラは当然全員可愛いですが、ヒロインひな子がやたらナイスバディなのが特徴。CVM・A・Oはお姉さんキャラが得意かと思いきや、こういう思いっきり萌え萌えなキャラもやれたんですね。メインキャラ5人組「劇団ひととせ」が歌うOP「あ・え・い・う・え・お・あお!!」とED「かーてんこーる!!!!!」も非常にあざとい…もとい、可愛くてインパクトがあります。

ひなこのーとの中の人達

 イベントなんかでも人気を集めようという意図はキャスティングからも見え見えです。女優出身のM・A・Oの他、天使声優小倉唯とか「それが声優!」で小花鈴を演じた美人声優高野麻里佳などを揃えています。小倉唯にだけわざわざメイド服を着せるこのあざとさよ(笑)。だがそれがいい。

真雪ちゃん 
最高に可愛いメイド姿の小倉唯

 一応あがり症克服とか文化祭で劇をやるとか当面の目標があってそれに向かっているのでストーリー性がないわけでもありません。個人的にはひな子よりも小柄なメイド少女真雪(CV小倉唯)がお気に入りです。

顧問の黒柳ルリ子 

 ロリキャラは真雪で決まりかと思いきや、演劇部顧問で名子役の小学四年生・黒柳ルリ子という真性ロリがいました。いくらなんでも小学生に師事するなよ女子高生。

ソード・オラトリア序盤 

 「ソードオラトリア」。「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(ダンまち)」の外伝で、「ダンまち」では脇役だったロキ・ファミリアがメインとなっています。冒険者のランクは大半がレベリ1、現時点での最高峰はたった二人しかいないレベル7であるところ、ロキ・ファミリアにはレベル6を含む高レベルな冒険者が多数在籍しており、最強ファミリアの一角と目されています。

ロキ・ファミリア 

 「ダンまち」の主人公ベルの想い人となった剣姫・アイズが主人公となっていますが、同じファミリアでアイズを慕うエルフの魔導士レフィーヤの視点から描かれています。「ダンまち」ではメインヒロインなのに全然しゃべらなかったことで有名なアイズですが、本作では前作の数倍くらいしゃべっています。が、基本無口なのでそれでも饒舌とは言い難く。

本気を出すレフィーヤ 

 基本本作の各話は「ダンまち」各話に対応しており、「ダンまち」の裏側では実はこういうことが起きていたということが判るので、「ダンまち」ファンには大変面白い構成になっています。ベルやヘスティアもたまに登場しますし。

エロマンガ先生序盤 

 最後に今季最大の注目作となっているのではないかと思われる「エロマンガ先生」。タイトルのインパクトで視聴を決定し、後から「俺の妹がこんなに可愛いわけがない(俺妹)」の原作者伏見つさかの作品であることを知りました。絵も「俺妹」と同じ絵師。

正宗と紗霧 

 「俺妹」でも桐乃がラノベを書いてヒットし、アニメ化の企画が持ち上がるという展開がありましたが、今回は主人公の和泉正宗が高校生ラノベ作家で、引きこもりの義妹(中学生)の紗霧が「エロマンガ先生」でイラストを担当していました。お互いその事実を知らなかったものが一気に判明したことでストーリーが展開してきます。今回はいわゆる「みゆき」型で血が繋がっていないので、恋愛モードになっても安心(?)ですね。

山田エルフ先生 

 超売れっ子の中学生ラノベ作家山田エルフとか、やたら早熟の天才が登場してきますが、なんとなくキャラの構図が「俺妹」に似ているような気がします。山田エルフは黒猫枠、正宗の幼馴染みの高砂智恵は地味子(田村麻奈実)枠なんじゃないでしょうかね。「俺妹」では主人公京介のCV中村悠一、本作では主人公正宗のCV松岡禎丞と実力派を据えており、伏見つかさは作品の出来に定評があるので安心して見ていられる気がします。

紗霧とエルフ 

2017年春季アニメ序盤の感想(その1):久々に視聴打ち切りが出てしまいました

立夏とヤグルマギク

 昨日5日は立夏ということで、暦の上ではもう夏です。正直真夏もこのくらいの気温だったらどんなにいいかと思いますが、そうは問屋が卸さない。札幌だって真夏はもっと暑いですしね。

立夏その2 

 本日は2017年春季アニメ序盤の感想です。なにしろ視聴開始したのが10本もありましたので、毎週日曜日はスーパーアニメタイムだぜと思っていたのですが、なんと早くも2本視聴打ち切りと相成りました。

打ち切り覆面系ノイズ 

 打ち切り作品その1「覆面系ノイズ」。2話で視聴打ち切り。3話が評価ラインとされるなか、あまりに早い打ち切りとなってしまいましたが、もう耐えられませんでした。そもそもバンド系はあんまり好きではなかったのですが、「はやみん枠」ということで冬季の「風夏」、春季の本作と視聴してきたのですが、「風夏」はともかく本作はダメでした。1話でダメだったんだけど我慢して2話を見たらもっとダメになりました。「いやいや全然見られるZE!」という方は皮肉でなくぜひ視聴を継続していただきたい。今季唯一のはやみん主演作なので。

フレームアームズ・ガール打ち切り 

 打ち切り作品その2「フレームアームズ・ガール」。4話で視聴打ち切り。可愛い自律型フィギュアを愛でる作品と打ち切れば見て見られないことはないんですが、当初「プラレス三四郎」とか「機動天使エンジェリック・レイヤー」的な内容を期待していたので、バトルシーンが予想以上に少なく、またワンパン終了的な短さだったのががっかりでした。可愛い女の子を愛でる作品としては「ひなこのーと」があるのでこっちはもういいや、という感じです。りえしょんのOPは良かったんですが…

つぐもも序盤 

 続いて視聴継続中の作品。まずは「つぐもも」。5話まで視聴。朝とかゴールデンタイムにやればいいじゃないという内容なのと、冒頭は正直あまり面白くなかったのでボーダーラインにいた作品です。女性キャラがあんまり可愛くないんですよね。あと小学生レベルの下ネタぶっ込みすぎ。

つぐもも序盤その2 

 ただし3話以降話が回り始めたのと、17歳のお姉ちゃん(井上喜久子)がナレーションをやっているので取りあえず視聴継続。きっこさんはいろんな所で起用されており、アダルト版くくりの他、1話内のテレビの番組に登場していたアイドル役で「17歳です♡」と言っていたのが微妙にツボでした。

すかすか序盤 

 「終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?」。略称というか通称「すかすか」。4話まで視聴。ストーリーといい、キャラデザインといい、今のことろ一番好きな作品です。美少女妖精を兵器として使い捨てにするという中二病設定があざといといえばあざといですが、だがそれがいい。

お姉ちゃんキャラがいい 

 本作で最高だと思うのは、17歳なのに娘は19歳という、「母より年長の娘」を持つジャギ兄さんがぶち切れそうなお姉ちゃん(井上喜久子)の起用法です。ナイグラートというキャラ、若くて可愛らしくて実にいいですね。お姉ちゃんはこういう役で起用するべきだと私は前々から思っていましたよ。ちょっと喰人鬼(トロール)というだけで…(笑)。

可愛いクトリさん 

 あとヒロイン・クトリが可愛いですね。こういう子を悲惨な戦闘に向かわせて終いには自爆を強要するというド外道設定。だがそれがいい。CV田所あずさには頑張って欲しいですね。主人公のヴィレムも元準勇者という微妙な過去があるので、クトリ達が死なない算段を立てようとしてますが、どんどん死なれてダークサイドに堕ちしてしまうという展開も個人的にはありですね。

サクラクエスト序盤 

 「サクラクエスト」。P.A.WORKSお得意の「働く女の子」シリーズ第三弾。前作「SHIROBAKO」の成功にあやかったのか今回も女の子5人組がメインキャラとなっています。寂れた田舎町「間野山」のミニ独立国「チュパカブラ王国」の国王(観光大使)となった木原由乃と仲間達の町おこし奮戦記となっています。主人公の由乃は「SHIROBAKO」の主人公宮森あおいとルックスが良く似ている感じがします。

女の子五人組が好きなPAworks 

 他は観光協会職員のしおり、元売れない女優で帰って来た真希、引きこもり気味のオカルトマニアの凛々子、都会に疲れて田舎に来たけど虫嫌いなWEBデザイナーの早苗。「SHIROBAKO」5人組は高校のアニ研仲間でしたが、「サクラクエスト」はそれとは違って、もともと知らない同士(しおりと凛々子は顔見知りだけど)なので、関係はゆるゆると作られている最中ですが、2クールやるなら問題なし。というか2クールやらないとヤバイですよ。

間野山の田んぼ 

 舞台となる間野山町はどこにあるのか今のところはっきり描写されていませんが、しおりが「だんないよ」と富山弁をよく使うのでP.A.WORKSの地元でもある富山県なんじゃないかと。「true tears」や「クロムクロ」も富山県が舞台でしたっけ。「クエスト」というだけあって妙にファンタジーというかRPG風のタイトルが並びます。間野山だって「魔の山」だし。

クロックワーク・プラネット序盤 

 最後に「クロックワーク・プラネット」。4話まで視聴。寿命が来た地球を全て歯車で再構築したことで命脈を保っているというとてつもない世界のお話です。とりあえず序盤は壊れてパージされそうになっている京都を救うという話でしたが、2000万人もの命運を担ってるわりに主人公ナオトが脳天気でぶっ壊れているのでオイオイと思いますが、本人からすればいきなり巻き込まれているので仕方ないかな。

ツンデレリューズ 

 本作の最大の魅力はメインヒロイン・リューズ。約1000年前に製造されたオートマタ(自動人形)であるInitial-Yシリーズの壱番機で、200年以上誰も直せないまま眠り続けていましたが、「異常聴覚」の持ち主であるナオトが修理したためマスターとして仕えています。もの凄い毒舌家なのでとてもしもべとは思えませんが、これもツンデレなんでしょう。CV加隈亜衣の声が素敵です。この人の声は丹下桜に似てる気がします。それで残る4本は次回に。

ぷんすかリューズ 

続・森崎書店の日々:記憶に生き続ける愛しき人・愛しき日々

自信満々烈海王

 GW後半なんて声も巷では聞かれますが…私のGWは今日からだッッ!!きっとロンバケ取れた人から見ると「君らがいる場所は、我々はすでに○日前に通過している」とか言われちゃうんでしょうけど。この頃の烈海王は嫌なヤツだったなあ。後にあんなにいい人になるとは。

続・森崎書店の日々 

 本日は八木沢里志の「続・森崎書店の日々」を紹介しましょう。当ブログ本年3月18日付の記事で紹介した「森崎書店の日々」(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-1470.html)の続編です。

 前作で失恋・退職の大ショックで影道・鳳閣拳を喰らったがごとくのされてしまった貴子は、叔父サトルの経営する森崎書店の二階で過ごすことで甦った訳ですが、それから2年が経過。貴子は28歳で堂々たるアラサーになりましたが、和田さんという恋人もでき、仕事も順調とまずまず順風満帆な日々です。相変わらず休日は森崎書店に入り浸っており、傍目から見ると若い女性がする事に見えないようですが。

古書店街 

 本作は2011年12月1日に小学館文庫に書き下ろして刊行されました。映画化の後ということで、ヒットが予期されたんでしょうね。まずは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。
 
 本の街・神保町で近代文学を扱う古書店「森崎書店」。叔父のサトルが経営するこの店は二年前失意に沈んでいた貴子の心を癒してくれた場所だ。いまでは一時期出奔していた妻の桃子も店を手伝うようになり、貴子も休みの日のたび顔を見せていた。店で知り合った和田との交際も順調に進んでいたが、ある日、貴子は彼が喫茶店で昔の恋人と会っているのを目撃してしまう。一方、病後の桃子を労う様子のない叔父を目にし、貴子は夫婦での温泉旅行を手配するが、戻って来てから叔父の様子はどこかおかしくて……。書店を舞台に、やさしく温かな日々を綴った希望の物語。

古書店街その2 

 この内容紹介ではちょっと時系列がおかしくて、実際にはサトルと桃子を旅行に行かせる→和田が元カノと逢っているのを目撃するという流れです。それだけではなく、前作で親友となったトモちゃんの心の傷とか、桃子の病といった結構シビアな話が続いています。 

 前半、穏やかでのんびりとした時間が流れ、貴子が旧知の神保町の面々と憎まれ口をたたき合いながらの交流を楽しんでいてほんわかとしていたのですが、後半はかなりキツイ展開となります。そんな中で貴子が失恋の過去から心に壁を作っていること、トモちゃんが過去の事件により恋愛ができない精神状態でいること、などが判明していきます。なんとか乗り越えていく若き女性達ですが、その代わりに暖かく見守っていた桃子が逝ってしまうことに。

神田古本まつり

 サトルの妻だった桃子が出奔し、5年ぶりに帰って来たのが前作でしたが、その時既に癌の手術をしたことが語られていました。あれから2年…怖れていた再発ということになり、しかももはや転移が進んで手遅れという事態。

 貴子の窮地を暖かく包み込んでくれたサトルに訪れる精神的危機。桃子は貴子にサトルのことを託しますが、実はちゃんと自分自身でサトルを立ち直らせる手段を講じていたんですね。最後までスケール的に貴子やサトルが太刀打ちできない人でした。こういう人と一緒に暮らせたら、例えその時間は短くても生涯刻まれる記憶となるでしょうね。

書泉ブックマート閉店 

 ますます神保町の古本屋街に住んで見たくなりますね。かつて鬼の哭く街・A立区に住んでいた私は、中坊の頃に自転車(チャリと呼んでいた)で秋葉原まで遠征したりしていたので、足を伸ばせば神保町だって行けたのですが、当時は古書に興味はなく、神保町をうろつくのは大学生になるまで待たねばなりませんでした。高校生・浪人生までは書泉ブックマートとか書泉グランデの方に行ってました。いや大学生になっても行きましたけど(笑)。書泉ブックマートは“女子向け書店”とやらになった挙げ句に閉店してしまっとか。ああ、時の流れはかくも非情。

昔の秋葉原電気街 

 あの頃の秋葉原は電気の街で、オーディオの時代からビジュアル・パソコンの時代に移りつつありました。まだメイドさんなんか影も形もなかったんですが…まさかこんな街になるとは思いもしませんでしたよ。でも考えてみればオーディオマニアはオタクのプロトタイプだったのかも知れません。

オタクの街秋葉原 

 登場人物を、いいところばかりではないけれど、丁寧に描くことで好感が持てる人物としてしまう八木沢マジック。貴子をひどい振り方をした前作の男・英明だけはフォローのしようもなかったのか外道なままでしたが。今回はやはり貴子に妙な接触をしてきた職場の先輩和田2号(姓が恋人と同じなため)が結構嫌な感じで登場していましたが、特にオチがなく終わっていたのが残念。和田1号と熱々な所でも見せつけて、ガツンと鼻っ柱でもへし折ってやれたら痛快なんですが、そういう作品じゃないということでしょう。

トモちゃん役の田中麗奈 

 個人的に好きなのはトモちゃん。映画では田中麗奈が演じていましたが、清楚な容姿といい本好きなところといい、さらに抱えていた心の傷といい、個人的にストライクですね。高野にはもったいないのでぜひいただいてしまいたいところです。ああ、そんな器量があったなら。

アキバのメイドさん 
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