好きなアニメキャラ(その83):安原絵麻(SHIROBAKO)

17歳あっさり死亡

 「魔法少女育成計画」、9話は過去最多の3人の魔法少女がおなくなりになりました。亜人の佐藤さんばりに無差別テロを敢行したカラミティ・メアリは自業自得として、あからさまに死亡フラグを立てまくっていたトップスピードもお亡くなりに。むしろよく9話まで保ったなという感じですが。自称17歳もリアル19歳も死んでしまったか。

はやみん死亡 

 そして闇堕ち→ヤンデレ化が期待されたシスターナナはまさかの酒+睡眠薬+ロープのトリプルコンボで、変身せずに本体の羽二重奈々として自決という思いがけぬ展開でした。はやみんにはヤンデレボイスで暴れ回って欲しかったんですが。魔法少女は精神も強化されるというファブの説明はどうなったんだ。

ヤンデレスイム 

 何気に撃墜王はナチュラル・ボーン・キラーのスイムスイム。協同撃墜を含むとはいえ、ルーラ、ヴェス・ウィンタープリズン、トップスピードと3人も葬っています。「ジョジョ」風に言えばシスター・ナナも間接的に殺害ということになりますし。ただ、強者とされたヴェス・ウィンタープリズンを倒したことでクラムベリーに目を付けられ、トップスピードを殺したことでリップルの憎しみを買ってしまったので生き残るのは難しいかな。

19歳も死亡 

 それにしても、ラ・ピュセルがクラムベリーの猛攻撃で大打撃を受けてもなかなか死ななかったのに対し、その後の魔法少女は結構あっさり死にますね。ルーラが血を流して死んでいたのを不思議に思ったものですが、カラミティ・メアリやトップスピードの死体が、傷口でないところからも血を流しているのを見ると、どうやらこのアニメの魔法少女は死ぬと血を流すようです。

スノーホワイトの憂い顔 

 これで16人の魔法少女のうち9人が死亡。既に目標だった“半減”は達成されていますが、例によって腹黒マスコットのファブがルール変更を通知し、4人まで減らすという新ルールを公布。まさに外道。最低あと3人は死ぬ訳ですね♪個人的にはまたまたスノーホワイトの曇った表情が見られて嬉しいです。

絵麻全身図 

 こんなに書いておいてこれからが本題(笑)。本日は本当に久しぶり、なんと2か月ぶりに「好きなアニメキャラ」です。先日視聴終了した「SHIROBAKO」から清楚だけど薄幸そうなところがお気に入りの安原絵麻を紹介しましょう。

原画 安原絵麻 

 絵麻は主人公の森村あおいと同学年で、山形県立上山高校アニメーション研究会元メンバー。高校卒業後、かねてからの希望であったアニメーターとして武蔵野アニメーションに所属しており、入社後、動画を1年半担当し、原画担当に昇格しました。あおいも武蔵野アニメーションに入社したので同僚ということになりますが、短大卒業後だったので社員として絵麻の方が先輩という形になります。

キャラ身長図 

 身長158センチはヒロイン黄金身長ではないか。スリムで黒髪ストレートロングが素朴な感じでいいですね。北海道の牧場の娘、みたいな。貧乳らしいですが、いんだよ細けぇことは。

仕事中の絵麻 

 基本的に真面目でおとなしい性格ですが、高校生時代、アニメーターとなって上京することを両親から反対されていましたが、説得するために毎日手紙を書き続けて実現に漕ぎ着けました。口調や態度が乱暴になるということは決してありませんが、一度決めたことは梃子でも動かないという頑固な一面があります。

高校時代の絵麻
高校時代の絵麻その2 

 上京に反対だったのか、アニメーターになることに反対だったのか、それとも両方なのかはよく分かりませんが、何となく反対する気持ちは分からんでもないです。なにしろ就職なのに1年間仕送りをして貰わなければならなかったのですから。

仲良し5人組の格差 

 「SHIROBAKO」登場人物の年収比較というのがありまして。作中給料の話は全く出てきませんが、メインキャラ5人組の年収にも格差が生じています。声優の坂木しずかが「フリーター」に分類されていてとっても不憫ですが、声優としては食べて行けていないの仕方有りませんかな。それはともかく、曲がりなりにも社会人の絵麻が大学生の今井みどりよりも所得が低いってどういうことだ。20代アニメーターの平均年収だということですが、実家住みでないと生きていけないでしょうこれは。仕送りが必須なのは当然です。

SHIROBAKO年収比較図 

 この表には続きがあって、こういうことになっています。右端の超有名声優の年収7000万円はさすがに「ほえ~」となりますが、監督でも年収500万円行っていないというところに別の意味で「ほえ~」となります。金持ちになりたくてこの業界に入るという人はあまりいないでしょうが、それにしてもねえ。 

絵麻のアパート 
絵麻のアパート 

 だから住んでいるのはこんなボロアパート。南こうせつの「神田川」に出てくる三畳一間の小さな下宿よりはましにしても、この21世紀に。女工哀史か。でも絵麻と二人暮らしならそれでもいいかも。それにしても……

絵麻の部屋 

 内部も四畳半一間で、台所にはコンロも一つだけです。そりゃああまり料理しない人には二つも三つもコンロはいらないですが、それでも普通はテーブルコンロを使いますよね。風呂なし、トイレ共同という感じがひしひしとするのですが、うら若い乙女がこんなとこで暮らしていていいんでしょうか。なにより防犯体制がとっても心配。盗まれる物はないかも知れないけど、絵麻ちゃんが食べられちゃうぞ。

四畳半の部屋 

 スーパーでの半額弁当を愛用したり、一旦帰宅して作り置きのカレーを食べているという描写もあり、表のように本当に年収110万円かどうかはともかく、節約に心を砕いている様子が窺われます。

あおいの部屋 

 これは同期の宮森あおいの部屋。宴会中なんでわかりにくいですが、床がフローリングで可愛い小物もちらほらあって、女の子の部屋という雰囲気があります。

女子大生りーちゃんの部屋 

 あおいと同じアパートに住んでいる今井みどりの部屋はこれ。まあなんというか、女子大生らしい部屋ですね。階段があるのでロフトにベッドがあるんでしょう。というか、絵麻の部屋があまりにも素寒貧すぎるんでしょうけど。おいちゃんやりーちゃんの部屋は女の子のいい匂いがしてそうだけど、絵麻の部屋は…

絵麻の部屋その2 

 この別アングルの美術ボードで絵麻の部屋には風呂なし決定です(涙)。若くて夢があれば耐えられるというのでしょうか。銭湯でもいい、せめて毎日お風呂には入ってて欲しい。三日に一回とかは勘弁して。おいちゃん、お風呂だけでも貸してあげて!

戸締まり用心 
マスクの絵麻 

 収入が少ない場合、手っ取り早い方法としてはアルバイトをするというのがあります。絵麻は美人なのでキャバクラとかで働くことも可能だと思いますが、アニメーターはかなり多忙のようなのでそれも無理。長時間労働で薄給とか、どんだけブラックなんだこの業界。過労と病気で倒れそうになったことが何度もあるらしく、社長もせっかく料理作っているんなら栄養ありそうなのを振る舞ってやれよと思います。

ネガティブスパイラス入ります 

 反対を押し切ってアニメーターになっただけあって、仕事への姿勢は常に真摯で、他の原画マンからも評価は高いのですが、煮詰まると一人で抱え込み、ネガティブスパイラルに陥ってしまうことがあります。弱っている表情がまたいいんですよけどねって…いかん、ドS魂が目を覚ましてしまう。静まれッ俺のドS魂ッ!

くじける絵麻 

 アニメーターは歩合制だそうで、時間ではなく、量で収益が左右されるようです。なので丁寧に描いてたら仕事は終わらないし、収入も上がらない。かといってぱっぱと描いたら手抜きで使えないとリテイクになる。にっちもさっちもいかなくなる絵麻。

闇堕ちしそうな絵麻 

 「ウホッ、いい闇堕ち!」を期待しましたが、残念ながらそんなことはなかったぜ。井口祐未という良き先輩がいたおかげで立ち直りました。あおいにも矢野エリカという良き先輩がいたし、武蔵野アニメーションは個性的ながらいい人が多いですね。平岡にもこういう先輩がいたらあそこまでやさぐれなかったかも知れません。

スランプを脱する絵麻 

 7-8話を底として、以後の絵麻は精神的にも技術的にも一段階上がり、スランプに陥ることはなくなりました。第2クールの「第三飛行少女隊」編では、新人原画マン久乃木愛の教育係となり、コミュニケーションが苦手な久乃木のフォローをしたり、技術的な指導を行ったほか、3Dモーションの作成に悩む藤堂美沙の相談に乗るなどしています。

横目の絵麻 

 終盤には、作画監督補佐にも抜擢されています。持ち前のネガティブ思考から断ろうとしましたが、先輩達の後押しを受けてやり遂げることができました。作画監督になると年収もかなり上がるようなので、生活もかなり楽になると思われますが、果たしてそれはいつの日か。

久乃木愛の通訳 

 それにしても後輩の久乃木、「あ」とか「う」とか、言いたいことの最初の一文字しか声に出せないというもの凄いコミュ障です。一言主かお前は。徳川幕府九代将軍家重は言語不明瞭で、側用人の大岡忠光しか聞き分けられなかったという逸話がありますが、絵麻は久乃木の側用人のようでした。

久乃木の仕事を見る絵麻 

 そんなんじゃ久乃木のためにならないのではないかと思いましたが、終盤絵麻が多忙なのを見た久乃木がようやく独り立ちを決意したので、若者はそれぞれ自分のペースで成長していくんだなと改めて思いました。これが若さか…

華麗なるピッチングフォームの絵麻 
宇野球一のピッチングフォーム 

 なお16話では、キャラデザインに煮詰まった井口のストレス解消のため、小笠原倫子らとバッティングセンターに行きますが、なんと絵麻のバッティングフォームは落合、ピッチングフォームは星飛雄馬でした。あるいはアストロ球団の宇野球一かも知れません。もっとも格好だけでどっちもダメダメでしたが。

自ら実証する絵麻 梅干しを食べた絵麻カガミで自分の表情を見る絵麻

 梅干しを食べて酸っぱい顔をするという絵を描くために自ら梅干しを食べて酸っぱさに悶えたり。二枚目は決してイキ顔ではありませんから(笑)。



 それでは足りずにあおいとみどりにも食べさせたりして。あおいとみどりは犠牲になったのだ…

ジェットコースターにて 

 当然人を犠牲にするばかりではなく、藤堂美沙の戦闘機の高機動によるGの体感に付き合って、坂木しずかと一緒に絶叫マシーンに乗ったりしています。上山高校アニメーション同好会メンバーの絆を感じますが、身体が弱そうな絵麻は白目剥いちゃってます。後ろのずかちゃんはどんな顔になっているんでしょうか。

事後の二人 

 “事後”の二人の表情をみると、ずかちゃんは比較的大丈夫そうですね。絵麻は完全にイっちゃったままですが(性的ではない意味で)。

絵麻のエンゼル体操 

 あと話題となったエンゼル体操。日本語、ドイツ語、中国語、イタリア語などで1から8までの数字を数えてリズムを取りつつ、BGMに合わせながら体操を行います。絵麻曰く、最近一部で流行っている肩に効く体操で、終わった後天使のような気持ちになるのだそうですが…途中ウサギ跳びとか入っているけど大丈夫なの?



 なお私のようなおっさん的にはエンゼル体操というとこっち↓の方を思い出してしまうのですが…当然、平成っ子の絵麻には何が何だかわからないことでしょう。

ムキムキマン 

 途中で井口に見つかってしまい動揺しますが、結局二人で体操をしたりして。作画はやはり肩が凝るんですかね。巨乳の肩はそれだけで肩が凝るそうですが、絵麻は貧乳なのでその点は大丈夫。やったね絵麻ちゃん!

佳村はるかその1 

 CVは佳村はるか。生年未公開(昭和生まれらしい)で2月14日生まれで大阪府出身。愛称は「るるきゃん」。声優としてデビューする前に「谷川遥」という名前(本名?)でTVレポーターとして活動していたそうです。声優としての活動は2011年からで、テレビアニメは2014年から出演しています。おそらく絵麻役は出世作の一つということに。

佳村はるかその2 

 見かけから第一印象が「優しいお姉さん」となりがちだそうですが、料理が壊滅的、部屋の整頓が苦手、大阪出身なのに関西弁がエセっぽいなど、着実に「残念お姉ちゃん」のイメージが根付きつつあるとか。

佳村はるかその3 

 「変態淑女」というありがたくない異名も持っており、その発言録・行動録がネタにされています。養成所の同期に沼倉愛美、洲崎綾、早見沙織などがいますが、沼倉愛美・洲崎綾とは親しい間柄…というのはいいとして、はやみんに対しては「来世では早見沙織さんの息子として生まれたい」と言ったり、おそろいのパンツをプレゼントしていることを激白したりと暴走しているようです。絵麻のイメージと完全に違いますね。しかも貧乳の絵麻に対して結構なものをお持ちだとか。

佳村はるかその4 

 幼少期より歌うことに苦手意識を持っていたにも関わらず、ソーシャルゲームの「アイドルマスター シンデレラガールズ」でアイドル「城ヶ崎美嘉」として、CDシングルをリリースし、オリコン週間ランキングで最高13位を記録したことなどで、歌を歌うことに幸せを感じられるようになったそうです。声優としてはまだまだ駆け出しで、これからが正念場だと思うので奮励努力を期待します。

貧乏こじらしてそうな絵麻 
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あしたは戦争 巨匠たちの想像力[戦時体制]:戦争に絡めたSF短編アンソロジー

11月の雪

 一昨日の雪にはびっくりしましたね。札幌なら11月の雪はデフォルトだし、10月に初雪が降るのも普通ですが、筑波嶺で11月に初雪、しかも積雪とは。東京都心では54年ぶりの11月の初雪で、明治8年の統計開始以降、初めての積雪だそうですが、ホント首都圏は雪に弱くてマイッチングでした。

雪で転倒する子供 

 まだ積もってもいないのに雪が降っただけで遅れる鉄道。アイスバーンでもないのに転倒して負傷する人々。きっと道産子が見たら大笑いするような情けなさですが、雪が滅多に降らない地方なので仕方が無いかも知れません。ま、このユースフは札幌で2年修行してきたのでこの程度の雪では転倒などしなくってよ。翌日の凍った路面を見た時は札幌の悪夢が甦ってちょっとビビリましたけどNE!5回の転倒経験は伊達じゃない。まさに…

痛くなければ覚えませぬ 

 それでは本日の本題です。今日は「あしたは戦争 巨匠たちの想像力[戦時体制]」を紹介しましょう。19日に紹介した「たそがれゆく未来 巨匠たちの想像力[文明崩壊]」の姉妹編です。2016年1月7日刊行のアンソロジーで、もう一冊「暴走する正義: 巨匠たちの想像力[管理社会] 」というのがあるはずなので、図書館にあったらぜひ借りましょう。裏表紙に内容紹介がないので、Amazonの内容紹介です。

あしたは戦争 

 小松左京、星新一、手塚治虫…、昭和のSF作家たちが描いた未来社会。民族紛争・管理社会など、私たちへの警告があった! 解説 斎藤美奈子 

いわゆる赤紙 

 まずは小松左京の「召集令状」(1964年)。小松左京は前回の「たそがれゆく未来」にも登場したので写真はパス。終戦後20年近くが経過し、戦争の記憶が薄れた頃、突如若い男性に届く赤紙。何の冗談かと思いきや、赤紙を受け取った若者は突如失踪してしまいます。どんどん減ってゆく若者達。そして代わって届き始める戦死公報。怪談に近いストーリーですが、SFらしい味付けがされているのは流石です。真相に近づいた主人公のラストが衝撃的。

山野浩一 

 山野浩一「戦場からの電話」(1976年)。あまりに短いショートショートで、パラレルワールド物のような気もするし、安保闘争とか反戦闘争といった、60~70年代に高揚した左派武装闘争を戦争と言い換えているだけのような気も。あの人達って、戦争は嫌いらしいけど闘争は大好きですよね。「戦」も「闘」もほぼ同義なのに。

東海道戦争 

 筒井康隆「東海道戦争」(1965年)。筒井康隆も「たそがれゆく未来」に登場しているので写真はパス。自衛隊が東西に別れて戦争を開始するというとんでもない(褒め言葉)ドタバタSF。筒井康隆初期を代表する作品だと思います。北海道に当時最大の仮想敵国だった旧ソ連対策で大部隊が配備されているので、まともに戦ったら西軍は勝ち目がないせいか、北海道の部隊は九州出身者が多いので混乱を怖れて静観ということで東京と大阪がドンパチします。オリンピックや万博のごとき疑似イベントとして多数の市民がお祭り騒ぎで参加しますが、実際前線では大変なことに…

手塚治虫 

 手塚治虫「悪魔の開幕」(1973年)。今回唯一のマンガ作品。改憲が強引になされ、戒厳令下で核武装化が進められる日本。地下に潜った反体制派の指導者は、彼の思想に共鳴する一人の若者に首相暗殺を指示します。計画通り劇場に暗殺装置を仕掛けた若者ですが、なぜか計画は事前に発覚し、暗殺未遂を口実にさらなる弾圧が開始されます。真相に気付いた若者は消されますが、最後のどんでん返しが鮮やかです。

海野十三 

 海野十三「地球要塞」(1940年)。少年向け小説で、もはや中編の大ボリュームです。南北アメリカ大陸を統合した汎米連邦と、欧州とアフリカを統合した欧弗同盟が鋭く対立し、第三次世界大戦前夜という状況で、大東亜共栄圏の黒馬博士は彼が開発した潜水する島「クロクロ島」で南米沖を極秘任務中、謎の電波を捉えます。その後、正体不明の超人X大使が出現し、てんやわんやの物語が展開されていきます。

海底要塞サルード 

 オルガ姫という名の美人アンドロイド、マジンガーZに登場した「海底要塞サルード」を彷彿とさせるクロクロ島、魚雷型高速潜水艇、怪力線砲、磁石砲、原子弾破壊機、四次元振動…様々なSFガジェットが登場するあたりは流石日本SFの始祖。ですが少年向けのせいかストーリーがかなり強引かつ急展開です。主人公の黒馬博士が快男児的すぐる。

地球要塞 

 地球を凌ぐ科学力を持つ金星に対し、いち早く要塞化した日本は、さらに地球全体を要塞化して金星に対抗するようですが、地球上の戦争が終わっても今度は宇宙戦争が待っているというのがちょっとやるせない結末ですが、当時の子供達はイケイケドンドンと解したかも。

江戸川乱歩 

 江戸川乱歩「芋虫」(1929年)。アンソロジー中最古の作品です。反戦的な表現と勲章を軽蔑するような表現があるため、掲載時は伏せ字だらけだったそうで、戦時が始まると乱歩作品の多くは一部削除を命じられましたが、本作は全編削除を命ぜられたそうです。確かにこれを読んで戦意高揚は無理でしょう。というより、戦前に良くこれを書いたな乱歩は、と思います。戦場での負傷で四肢を失い、視覚と触覚のみが無事な傷病軍人とその妻のエロ・グロに満ち満ちたおどろおどろな物語です。

芋虫 

 作品発表時に「左翼からはこの様な戦争の悲惨を描いた作品をこれからもドンドン発表してほしい」との賞賛が届いたそうですが、乱歩自身は全く興味を示さず、戦時中の全面削除についても「左翼より賞賛されしものが右翼に嫌われるのは至極当然の事であり私は何とも思わなかった。」「夢を語る私の性格は現実世界からどのような扱いを受けても一向に痛痒を感じないのである」と述べています。表面的に見るとイデオロギー的な作品なんですが、おさらく乱歩にしてみればイデオロギーなど全く無関係で、「人間のエゴ、醜さ」の表現の題材としただけなんでしょう。


最終戦争 今日泊亜蘭 

 今日泊亜蘭「最終戦争」(1974年)。この人も「たそがれゆく未来」に登場しているので写真はパスベトナム戦争を題材にしていますが、遂に米国対ソ連・中国の間に全面核戦争が勃発してしまいます。それを止めようと突如出現したスターリンに皆が驚愕しますが…。スターリンが復活しただけでなく、本人が絶対に言わなそうなことを言っているので尚更です。その真相解明あた
りから極めてSFチックになっていきます。全面核戦争に迷惑を被るのは我々だけではないという話。

辻真先 

 辻真先「名古屋城が燃えた日」(1980年)。小説家というよりはアニメの脚本家として高名な人です。名古屋大空襲の日に起きた事件を背景にしたブラックユーモア的な作品。小人閑居して不善を為すと言いますが、それでも平和な方がいいかな。

荒巻義雄 

 荒巻義雄「ポンラップ群島の平和」(1991年)。レヴィ・ストロースなんかの文化人類学を下敷きに、遭難した夫婦が、宇宙のある惑星の知的生命体が行っている奇妙な儀式を観察する話。米ソ対立のような構造から住民緊張指数が高い、つまり常時戦争状態と判定された彼らが、実に巧妙な平和維持の構造を作っていたというお話です。文化人類学は大学の講義で聴きましたが、大好きでした。

星新一 

 星新一「ああ祖国よ」(1969年)。星・小松・筒井で日本SFの御三家ですが、只一人「たそがれゆく未来」には掲載がなかった星新一が遂に登場。「ショートショートの神様」と言われ、1000本以上のショートショートを執筆しました。SFファンが選ぶ年間ベスト賞である星雲賞を一度も受賞しておらず、SFファンからの評価はいま一つという感じがありましたが、文壇での評価は決して低くなく、大物作家にも評価されていたようです。「現代のイソップ」と称される寓話的作品の数々は多くの読者を獲得し、少年少女がSF作品に触れるきっかけともなっていました。

ショートショートの遊園地 

 で本作ですが、アフリカの独立したての小国が米国と中立条約を締結後に日本に宣戦を布告し、米国払い下げの中古艦二隻がはるかに喜望峰をわたってインド洋からマラッカ海峡を越えて日本にやってきます。テレビ局は視聴率獲得のためにあの手この手でこの艦隊を取り上げますが、次第に日本に近づいてくるにつれ国内は大騒ぎになり…という話で、平和ボケしまくった戦後の日本の体たらくが情けないです。これを見た世界各国の小国が米国と中立条約を締結後に日本に宣戦布告するのが流行する気配が出てきたりして。今ならもうちょっとはましな対応が取れそうですが。

SHIROBAKO:見ると元気になるP.A.WORKSの「働く女の子」シリーズ第二弾

怯え顔のスノーホワイト
曇った小雪 

 相変わらず飛ばしまくっている「魔法少女育成計画」。6話以降主人公のスノーホワイト/姫河小雪の表情からすっかり笑顔が消えてしまいました。今後笑顔が見られる時が来るのでしょうか。
 
涙のスノーホワイト 悲しみのスノーホワイト

 「魔法少女まどか☆マギカ」の鹿目まどかもそうだったけど、可愛い女の子の悲しみや脅えの表情はなんだかゾクゾクしますね。心の奥底に眠っていたドS魂が目覚めるというか。「その可愛い顔が曇るのを見るのは快感よぉ~」と、思わず独眼鉄先輩になってしまいます。もう6人も魔法少女が死んでいます。だが…まだ…足りませぬか?足りませぬな! 

SHIROBAKOトップ 

 「まほいく」の今後も気になりますが、それはさておき本日はようやく見終わった「SHIROBAKO」を紹介したいと思います。いや~いい作品でした。

 グラスリップ迷作迷家

 「SHIROBAKO」はP.A.WORKS制作で監督は水島努。2014年10月から2015年3月まで2クール24話が放映されました。定評あるアニメ制作会社とアニメ監督だから鉄板じゃないかと言いたいのですが、P.Aの前作はあの歴史的怪作「グラスリップ」であり、水島監督も今年「迷家-マヨイガ-」というまさしく迷作を作っているので、決して油断してはいけないのです。

SHIROBAKO5人娘

 が、「SHIROBAKO」は良かった。2011年の「花咲くいろは」(これも名作)に続く2クールの「働く女の子」シリーズで、「花咲くいろは」では女子校生達がアルバイトで仲居や板前見習をしていましたが、「SHIROBAKO」では20歳過ぎのアニメ業界で働く女の子達を中心に、アニメーション業界を描いています。

武蔵野アニメーション 

 第20回アニメーション神戸賞で作品賞を受賞し、第19回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門ではテレビアニメとして唯一審査委員会特別推薦作品に選ばれ、東京アニメアワードフェスティバル2016の「アニメ オブ ザ イヤー」部門ではテレビ部門でグランプリを受賞、読売新聞が主催した世界に紹介したい日本の作品を選ぶ、ポップカルチャーアワード「SUGOI JAPAN Award 2016」ではアニメ部門で「四月は君の嘘」に続く第2位になるなど、高い評価を受けています。

えくそだすっ!の白箱 

 キャッチコピーは「アニメーション業界の今が、ここにある。」で、題名の「SHIROBAKO」は、制作会社が納品する白い箱に入ったビデオテープ(現在ではCDとかDVDといった光学ディスク)を指す業界用語「白箱」に由来しています。作品が完成した時に関係者が最初に手にする成果物のことで、販売時には綺麗なビジュアル等で美麗に仕上げることになるので、我々素人が目にすることはないシロモノです。

第三飛行少女隊の白箱 

 作品全体から感じられるのは、困難や逆境にくじけない「若さ」でしょうか。あおいたち主役の女の子達が若いのは当然として、おっさんもおばさんもおじいさんもスタッフに大勢いるにも関わらず、「若さ」を感じるというのは、全員の精神年齢が若いからなのかな、と思います。いっそ「幼い」と言いたくなる人達もいますが。

ドンドンドーナツその2 

 そして何かを作り上げる喜び。苦労は当然あって、それも生半可ではないのですが、苦労が大きければ大きいほど、やり遂げた後の喜びはひとしおという。そして打ち上げの時にドーパミンが大量に出るせいで、再び苦労多い作品制作に向かっていくことになるようです。「舟を編む」で辞書作りは業だと言っていましたが、アニメ制作もきっと業なんでしょう。そこに夢があり、やり甲斐があれば困難も貧乏も耐えていけると。

業界の闇を描いたKUROBAKO 

 ただ…作品を批判する気は全くないのですが、若干綺麗すぎるきらいも。巷間言われるアニメ業界の悲惨さというのは、いくら夢があっても限度があるような気がします。昨年10月~12月に放映された「ハッカドール THEあにめ~しょん」第7話の「KUROBAKO」は文字通り「SHIROBAKO」のパロディでした(ドーナツも登場した)が、業界の闇を描いていて、実はこっちの方が真相に近いんじゃないか、なんて思ったり。

セクハラされる絵麻もどき 

 制作進行になったハッカドール1号の悲惨さといったら。こりゃあ宮森あおいも一週間で平岡になっちまうぜという勢いでした。絵麻ちゃんらしき子がセクハラされてたりもしたし。まあどちらもある意味極端な気がするので、真実はその間にあるんでしょうが…「SHIROBAKO」寄りであることを祈るばかりです。

高校生時代の5人娘 
上級生トリオ 

 「SHIROBAKO」は群像劇なので、アニメーション制作に関わる多数の人々が登場しますが、主要人物は山形県の女子校である県立上山高校でアニメーション同好会を作っていた誤認です。文化祭で「神仏混淆 七福陣」という妙なアニメを上映しており、同じメンバーで一緒にアニメーション作品を作ることを目指して上京してきました


宮森あおい 

 主人公はアニメ同好会の会長だった宮森あおい。愛称は「おいちゃん」。短大卒業に就職した「武蔵野アニメーション」(略称ムサニ)で制作進行を担当しています。ムサニでは1クール目にオリジナル作品「えくそだすっ!」を、2クール目に漫画が原作の「第三飛行少女隊」を制作します。1クール目は入社1年目らしく制作進行の下っ端としてコマネズミのように走り回っていましたが、2クール目に入るとベテランスタッフの離脱などにより、まとめ役である制作デスクに抜擢されます。

デスクになったあおい 

 私は主役キャラより脇役キャラが好きになる傾向が強いのですが、おいちゃんについては主役だけで非常に好きなので、いずれ「好きなアニメキャラ」で取り上げたいと思います。

安原絵麻 

 アニメーターの安原絵麻。宮森あおいと同学年で、動画担当から原画担当に、そして作画監督補佐へと抜擢されていきます。真面目ですが内向的で、独り相撲をとりがちて前半の“闇堕ち”候補一号でした。

闇堕ちしそうな絵麻
 
 アニメ業界は薄給かつハードワークと言われますが、それを一番体現しているのが絵麻。なぜか愛称もなく、「絵麻」とだけ呼ばれています。最初から二文字しかないから?実は一番好きなキャラなので、当然「好きなアニメキャラ」で取り上げます。

絵麻のエロ同人 

 なのでここではごく簡単にしか触れませんが、貧乏が蔓延しているらしい業界においても最も貧しい暮らしをしている様子が描かれていました。風呂なし、トイレ共同風の四畳半一間のボロアパートには全米が泣いた。ゆえにエロ同人誌でも貧乏をネタする援助交際といった展開が多いです。性的なのはさておき、薄幸そうなので面倒見たくなるキャラではあります。

坂木しずか 

 声優の坂木しずか。愛称は「ずかちゃん」。あおいと同学年で、養成所を経て赤鬼プロダクションに所属していますが、声優業だけでは生活できず、居酒屋でアルバイトをしています。それでも絵麻よりはましな暮らしをしているとことがなんとも。声優達には一番身につまされるキャラだったようです。

闇堕ち寸前のずかちゃん 闇堕ちずかちゃんその2

 「第三飛行少女隊」のオーディション時には一定の評価を受け、木下監督から起用の声も上がりましたが、役を獲得するには至りませんでした。後半はメインキャラがそれぞれ活躍する展開の中、一人置き去り状態となって“闇堕ち”候補二号となりましたが、最終盤にムサニを恐慌状態に追い込んだ“ちゃぶだい返し”のおかげで端役ながら役を得ることができました。

ようやく役を得たずかちゃん 涙するおいちゃん

 突然の役にもかかわらずしっかり演技したしずかを見て思わず貰い泣きするあおいに、やっぱりいい子だなあと改めて思いました。

ドンドンドーナツ 

 「第三飛行少女隊」では結果的にアニメ同好会の5人が結集することになり、5人でアニメを作ろうという誓いを新たにするのですが、一人だけ仲間外れだったら“闇堕ち”したかも知れませんね。チッ残念(笑)。

藤堂美沙
 
 3GCDクリエイターの藤堂美沙。上記3人の1年後輩で、愛称は「みーちゃん」。この人も名前は二文字なのにちゃんと愛称を付けているのに、どうして絵麻には愛称を付けないんだあおい!?

今日もタイヤを作る日々 

 高校時代はアニメーター志望でしたが、絵麻の絵を見て彼女のほうが上手だと感じ、3DCGの世界を目指すようになりました。給与も福利厚生も良い会社に入りましたが、自動車のホイールのモデリングばかりを任され、将来的にも仕事は自動車関係のみという状況と、自分が作りたいもののギャップに悩み、退職してしまいます。あおいに紹介された会社に移籍後は、「第三飛行少女隊」の制作に関わることになります。主要キャラ5人の中では一番影が薄いキャラだったような。

今井みどり 

 大学生の今井みどり。藤堂美沙の1年後輩で、愛称は「みーちゃん」が既に取られていたせいで「りーちゃん」。脚本家志望で、まだ学生で他の4人と違ってアニメに全くタッチしていないことに負い目とか焦りのようなものを感じていました。

明るいりーちゃん 

 「えくそだすっ!」終盤であおいの調べ物を手伝ったことを契機にムサニスタッフに気に入られ、「第三飛行少女隊」では設定制作としてアルバイト採用されました。脚本家を目指しており、脚本家の舞茸の押しかけ弟子状態となっています。

飛び立った5人 

 全員同じ女子校出身ということで、他のスタッフからは女子校幻想を持たれますが、ファンタジー性はないと全否定のあおいでした。しかし、これだけ可愛い子ばかりだったら幻想を持つなと言う方が無理でしょう。先輩後輩はありますが、全員仲良しで和気藹々としているし(裏ではいろいろあったとあおいは示唆していますが)

矢野エリカ 

 ムサニスタッフで私のお気に入りはあおいの先輩矢野エリカ。良き先輩としてあおいを導いていましたが、途中でパパンの入院により戦線離脱。その間にあおいは制作デスクとなり、窮地に追い込まれますが、ここぞという時に復帰して再びあおいを支えました。

井口祐未 

 お気に入りその2は井口祐未。美人ではありませんが実力派アニメーターで絵麻にとっても矢野えりか的存在です。「第三飛行少女隊」ではキャラクターデザインに抜擢され、原作サイドのクレームに試行錯誤を余儀なくされましたが、キレたり八つ当たりすることもなく仕事に専念して人間力の高さを見せてくれました。この人は将来大成しそうです。

高梨太郎 

 あおい達の悪戦苦闘ぶりを強調するためか、端的にクズキャラが登場しているのも「SHIROBAKO」の特徴で、「えくそだすっ!」編では先輩(といっても1か月早く入社しただけ)の高梨太郎(愛称タロー)でした。根拠のない自信と責任感の欠如が特徴で、無自覚に周囲に迷惑をかけるタイプです。札付きのトラブルメーカーでしたが、「第三飛行少女隊」編では新たなトラブルメーカーとして平岡が登場したため若干落ち着いた印象になりました。といっても新人制作進行からは全く信頼されず、突っ込まれまくっていましたが、もはやそれも愛嬌という感じで。

平岡大輔 

 クズキャラ2号平岡大輔。ベテランが抜けて戦力不足となったため、「第三飛行少女隊」編から補充された中途採用者です。矢野エリカとは専門学校で同期で、当時は真面目なリーダータイプでしたが、これまで就職した会社で上司や同僚に全く恵まれず、情熱を失ってやる気のない冷めた態度に終始する仕事ぶりとなりました。

和気藹々となる二人 

 過去の経緯は終盤にならないと判明せず、単に嫌なヤツという感じで他のセクションとトラブルを起こしたりしていましたが、あおいが見捨てなかったことと、タローが妙に懐いてきてつい吐露した夢が認められて以降、前向きな姿勢を取り戻しつつあるようです。

茶沢信輔 

 そして何のフォローもなく終始ひたすらにただのクズだったのが茶沢信輔。「第三飛行少女隊」の原作版元である夜鷹書房の編集者で、原作者の野亀武蔵の担当者ですが、なぜうか「第三飛行少女隊」のアニメ化については非協力的で、自分のプライベートばかりを優先していました。それだけならともかく、原作者の野亀とムサニの間に立つ身でありながら、報告・連絡・相談を「面倒臭いから」と怠ったり握り潰して適当に流していたため、双方の要望・意向がまるでかみ合わず、製作スケジュールは非常に逼迫する事態となりました。

野亀武蔵

 「変な話」を冒頭につけるのが口癖ですが、マンガ業界を描いた「バクマン。」では、編集者というのはマンガ家と二人三脚状態で作品を作っていく重要な存在として描かれていたのに、まさかこんな奴はいないだろうと思いましたが…実は類似の事案があったようです。
しろくまカフェ 

 ヒガアロハの「しろくまカフェ」というマンガは、2012年から2013年にかけてアニメ化されましたが、原作者がアニメ化に全く意見を言うことができず、それどころか原作者と制作側との間で正式な契約のないまま企画がスタートして、原作者に1円も入ってこないのにアニメ関連グッズのデザイン修正依頼が届き、〆切前で多忙なのに対応しなければならなかったりしたとか。後に編集部側が全面的に非を認め謝罪し、アニメ制作会社との間に入っていた編集が原作者の確認なしに進めていたことを明らかにしたそうです。……あるんですね、そういうことって。 

野亀の一喝
吹っ飛ぶ茶沢

 「第三飛行少女隊」の原作者である野亀武蔵も、以
前「セーラー服とF3」という作品をアニメ化された際に、設定やストーリーをアニメ製作者に大幅に改変された上に、アニメの質も低かったために野亀自身もバッシングされたという過去があったそうで、今回のアニメ化に際して色々物を言いたくなる背景というものがありましたが、仲介者の性格とか能力って本当に大事ですね。タローも平沢もそれでトラブル起こしていたけど、茶沢だけは何のフォローもなく完全な悪役になっていました。野亀に一喝されて編集長や編成局長にバレた時は実にスカッとしました。

アンデスチャッキー 

 作中、過去の作品がちょっと名前を変えてたくさん登場しました。私の心にヒットしたものだけをさらっと紹介します。まずあおいがアニメ制作を意識する契機となった「山はりねずみアンデスチャック」。若い子がよくそんな古い作品知っているなと思ったら、再放送で見たそうです。元ネタは「山ねずみロッキーチャック」。

ロッキーチャック 

 私も見ていましたが、もう良く覚えていません。かけすのサミーの「ニュースだよ!ニュースだよ!」は印象的だったけど。

伝説巨神イデオン 

 「伝説巨大ロボット イデポン」。無限のエネルギーを巡って、凄惨な戦争が繰り広げられる物語ということで、これは完全に「伝説巨神イデオン」ですね。劇中「発動編」とか言っているのは劇場版の方です。楽しく観ていました(人が死にまくるのでこの表現はちょっとという気もします)が、最終回がヱヴァンゲリオンもびっくりのぶっとび展開だったのが印象的。これがあったからエヴァもあんな最終回をやったんじゃないかと思えるほどです。

マジダス 

 「超飛空要艦マジダス」。「北野サーカス」なる表現手法を用いたSFロボットアニメということで、これは元ネタは「超時空要塞マクロス」。飛び交う機動兵器やミサイルの軌道がメカニック作画監督として参加した板野一郎のおかげで「板野サーカス」と呼ばれました。確か「伝説巨神イデオン」でも「板野サーカス」は見られたが…と思ったら、やはり作画で入っていましたね。

庵野もどき 

 「新世代アヴァンギャルドン(AVA)」。これは誰がどう見ても「新世紀エヴァンゲリオン」が元ネタですね。劇中、監督を務めた菅野光明(元ネタは当然庵野秀明)に、切羽詰まったあおいがこれほどのビッグネームとは全然気づかないままに原画を依頼に行きました。依頼は断ったものの、この人のアドバイスにより窮地を脱したのでした。

オネアミスの翼 
 「朝立宇宙軍」。“あさだち”と読んではいけません。これはエヴァ以前のガイナックスが制作したアニメ映画「王立宇宙軍 オネアミスの翼」が元ネタでしょう。それなりに評価はされましたが興行的には大失敗で、赤字を抱えたガイナックスは「トップをねらえ!」を赤字補填のために制作することになりました。私は実はこの作品面白くなくて好きじゃないんですが、「トップをねらえ!」制作の契機となったという意味ではその存在には意味があると言わざるを得ない(笑)。

宮森あおい 

 その他、いろんなアニメ作品とか声優、関係者のパロディが横溢している本作ですが、元ネタが全部分かったら相当なアニメ通でしょうね。私なんぞはまだまだで。

記念写真 

 そういえば「えくそだすっ!」も「第三飛行少女隊」も1話だけ見ることができるんですよね。どっちかというとSF作品の「第三少女飛行隊」の方が好みですが、「えくそだすっ!」も豪華声優を起用していて捨てがたいかも。29歳のアイドルとか笑えますね。

えくそだすっ! 第三飛行少女隊

レイクサイド:「お受験」をテーマにした殺人ミステリー

今朝の地震

 今朝の福島県沖地震には驚きましたね。マグニチュードは7.4ということで、あの阪神淡路大震災(M7.2)をも上回る規模でしたが、幸い最大震度は5弱で死者は出ませんでしたが、津波警報にはあの悪夢が甦りました。

ポロロッカやんけ 

 私も電車が遅れてちょっとは影響を受けましたが、東日本大震災を思えばこれしき何てことありませんね。しかし、これも東日本大震災の余震なんだとか。M8.4の超巨大地震だっとはいえ、どれだけ引っ張るんだ。津波が川に入り込んでポロロッカみたいになってましたよ。

レイクサイド 

 地震と津波はおっかないので気分を変えて本題に。本日は東野圭吾の「レイクサイド」を紹介しましょう。週刊小説1997年2月7日号から9月5日号まで連載された「もう殺人の森には行かない」を下敷きに描き下ろされた作品で、2002年3月に単行本が、2006年2月に文庫本が刊行されています。例によって文庫本裏表紙の内容紹介です。

 妻は言った。「あたしが殺したのよ」―湖畔の別荘には、夫の愛人の死体が横たわっていた。四組の親子が参加する中学受験の勉強合宿で起きた事件。親たちは子供を守るため自らの手で犯行を隠蔽しようとする。が、事件の周囲には不自然な影が。真相はどこに?そして事件は思わぬ方向に動き出す。傑作ミステリー。 

殺された愛人 

 修文館という私立中学校の受験合格を目指す4組の夫婦が、おそらく長野県あたりにあるらしい架空の湖・姫神湖の湖畔の避暑地で受験合宿を行います。まあ合宿状態なのは子供達で、親は料理を作ったり当番で子供達の様子を見たりしつつ、テニスをして遊んだりしています。

 主人公の並木俊介はアートディレクター(どういう仕事?ハイパーメディアクリエイターの類い?)で、一人だけ遅れて姫神湖にやって来ます。彼にも息子がいますが、妻である美菜子の連れ子なので本当の親子ではありません。なので合宿までして中学受験をすることにもやや冷ややかな態度です。

並木と美菜子 

 それよりもなによりも、妻の美菜子とは完全に冷え切った関係で、俊介には会社の部下である高階英里子という秘書兼愛人がいたりします。美菜子とは別れて英里子との結婚を匂わせている俊介は、一方で美菜子が浮気しているのではないかと疑っており、証拠を掴んで慰謝料など払わずに離婚しようと考えており、英里子に証拠収集を依頼したりしています。

 そして姫神湖の別荘にこれみよがしにやって来た英里子。レイクサイドのホテルに部屋をとって、夜に俊介と会合を持つことを約束します。美菜子の浮気の証拠を掴んだのか?しかし俊介は英里子の話を聞くことは出来ませんでした。落ち合う約束のラウンジに英里子は現れず、別荘に戻った俊介は自分達の部屋に倒れた英里子に出くわすことになります。そして美菜子は「私が殺した」と。

愛人の英里子さん 

 合宿の夫婦達は、発覚したら子供達の受験に差し障りがあるとして、事件の発覚を阻止し、証拠を隠滅するために協力すると申し出てきます。自分達も罪に問われかねないというのに、強固な団結を見せてくる夫婦達に違和感を感じつつも、なにしろ自分の妻の犯行ということで積極的に死体の隠蔽や証拠隠滅に関わる俊介。

 とりあえず遺体の顔を岩で潰して(!)身元がわからないようにして姫神湖に沈め、美菜子を英里子の代役に立ててホテルのチェックアウトをさせ、生きて避暑地から出ていったように装わせ、さらには英里子のマンションに赴いて荷物を置き、自分達と関係ないところで失踪したように偽装します。不倫関係とはいえ愛していた女によくそんなことできるな俊介。

レイクサイドマーダーケース 

 一連の作業をこなして、後は合宿が終わるのを待つばかり。それにしてもこの夫婦達の結束はどういうことだと疑問を持ち続ける俊介。そして遂に辿り着いた真相は…

 本作は一見俊介視点のように見えるのですが、視点はほぼ俊介について回るものの、俊介が何を考えているのかはセリフ以外からは窺い知れないようになっています。なので俊介が何に気づいたのかとか、何を疑問に思ったのかなどはその時点ではよく分かりません。推理力がある人なら分かるのかも知れませんが。

映画版レイクサイド

 それにしても、子供のお受験というものに、親はここまで一所懸命になるのかという。いい中学校に入れればそりゃあそれにこしたことはないでしょうが、名門中学校はゴールじゃないしなあ。その後もいい高校、いい大学(ここまではエスカレーターで、というケースもありですが)、いい就職先、いい嫁さんと続いて行く訳でしょう。まあ大学以降はもう親の出る幕ではないかも知れませんが、そこまでレールを敷いてやらなければならないものか、またそのレールを走らねばならないものか。

映画版の家族達

 2005年1月に「レイクサイド マーダーケース」というタイトルで映画化されています。並木夫妻は俊介が役所広司、美菜子が薬師丸ひろ子というなかなかなキャスティング。ただし4組の夫婦は3組に減り、並木夫妻の子供は男の子から女の子に変わったりしています。

お受験ママのHな裏取引 

 実は合宿までさせて子供の尻を叩いて勉強させる傍ら、親は親で学校側に接触して便宜を図って貰おうとするという。それが「親の愛」なのだそうですが、金だけではなく、お受験ママの身体まで要求されるという、どこのAVの設定だと言いたくなるような「枕営業」を強いられるようです。そりゃあ薬師丸ひろ子みたいなママなら学校側のおっさんも大喜びかも知れないけどさあ、二次元の世界はいざ知らず、三次元においては美人でスタイルのいいお母さんばっかではなかろうに。むしろ頼むから勘弁してくれというお母さんが来ても抱くのでしょうか、学校の人?NTR属性ならそれでもいけるんですかね…

お受験ママ達裏口入学の猥褻取引 

 日下部拓海の作画でコミック化もされています。表紙の眠ったような表情の女性が英里子、手前の女性が美菜子のようですが、こんな美人と結婚しながら改めて離婚しようという俊介の気持ちがよく分かりませんな。ゲージツカだから?(意味不明)

コミック版レイクサイド 

ガールフレンド(仮)(その14):聖櫻学園マドンナ総選挙2016の結果

京都の紅葉 

 わりと暖かくなると言われていた日曜日ですが、それほど日も射さず。もう11月も下旬に突入するのでこんなもんかも知れませんが、3時くらいになると夕方の気配がしてきますね。

マドンナセンバツ総選挙2016 

 さて本日はガールフレンド(仮)恒例、「聖櫻学園マドンナ総選挙」の結果についてです。実は投票期間は8~9月、結果発表は10月1日というかなり昔の話で、いわばオワコンなネタなんですが、去年もやったので行きがかり上やらんわけにはということで。それにしても2015年の総選挙は2月から3月にかけて投票、4月18日に結果発表だったので、今年は前回から1年半も経過してからということだったんですね。運営サイドに何かあったんでしょうか。何はともあれ早速順位発表。


 1位:村上文緒(3年生、COOL属性、CV名塚佳織)

20161120村上文緒 

 強い強い村上先輩、ついにV3達成です。2013年から4回行われている総選挙の結果は2位→1位→1位→1位と他者を寄せ付けない強さです。おしとやかで優しくて謙虚な性格とは裏腹のプロポーション(86-56-86)故か。200万票を超えて2位以下をぶっちぎっています。

20161120村上文緒その2 

 1位を記念して配布されたSRカードを3枚集めて進展させたのがこれ。この村上先輩…動くぞ!緩い三つ編みが普段の髪型ですが、わりと髪型はいじってくる人なので、何気にお洒落さんなのかも知れません。

 2位:朝比奈桃子(1年生、SWEET属性、CV小倉唯)

20161120朝比奈桃子 

 毎年ランクアップを見せる桃子が遂に2位にまで。×→7位→4位→2位。1年生最強にしてSWEET属性最強でもあります。やはり天使声優小倉唯の成せる技なんでしょうか。可愛いから仕方がない。

20161120朝比奈桃子その2 

 私はやっていませんが、姉妹ゲームのガールフレンド(♪)では堂々の1位となっています。

 3位:椎名心実(2年生、COOL属性、CV佐藤聡美)

20161120椎名心実 

 昨年2位からわずかにランクダウンのメインヒロイン心実さん。2年生最強キャラだけは死守しました。1位→3位→2位→3位と、3位以下に落ちたことがないのは流石にメインヒロイン。村上先輩同様誰にでも敬語を使う育ちの良い人ですが、この人達、どうみてもクールという感じではないのになぜかCOOL属性。

20161120椎名心実その2 

 SWEETは優しい雰囲気の子、POPは明るく活発的でお茶目な子というイメージでまとまっていますが、COOL属性はクールビューティーやインドア派というものの、心実は新体操部だからインドア派という訳では…。まさか、屋内でのスポーツはインドア扱い?

 4位:クロエ・ルメール(3年生、SWEET属性、CV丹下桜)

20161120クロエ・ルメール

 「(^q^)くおえうえーーーるえうおおおwww」で一世を風靡したクロエ先輩。5位→2位→3位→4位と少しずつ順位を落としつつありますが、ここまでで四天王と言って良いだけの強さを持っています。

 5位:上条るい(2年生、COOL属性、CV渡部優衣)

20161120上条るい 

 まさかの大躍進をみせたるいちゃん。主人公の幼馴染みにしてツンデレキャラでもありながら、他のゲーム(「萌えガチャ」)からの流用という出自のせいかこれまで比較的低迷していましたが、×→15位→18位→5位と謎の急上昇を見せました。これは彼女の気持ちに鈍感な主人公も振り向かざるを得ない?

 6位:風町陽歌(2年生、SWEET属性、CV早見沙織)

20161120風町陽歌 

 上条るい大躍進の余波を喰らったかたちの陽歌さん。実は400票強あった私の投票券は昨年に続いて全部この人にぶっこんだのですが。中間発表では5位だったのに後半差しきられてしまいました。なんてこったい。

20161120風町陽歌その2 

 ×→21位→6位→6位と躍進は止まってしまいました。しかーし、ガールフレンド(♪)では堂々の第2位なのです。

 7位:櫻井明音(2年生、POP属性、CV佐藤利奈)

20161120櫻井明音 

 ここまでCOOLとSWEETが交互に登場していましたが、ようやくPOPキャラ登場。例によってPOP最強なのですが、順位の方は3位→4位→5位→7位と低下が止まりません。心実、村上先輩、クロエ先輩と共に四天王を張っていた時代も今は昔なのでしょうか。栄枯盛衰は世の習いではありますが。

 8位:神楽坂砂夜(3年生、COOL属性、CV寿美菜子)

20161120神楽坂砂夜 

 村上先輩や心実がCOOL属性ながら全然クールっぽくない中、いかにもクールな神楽坂先輩登場。ワンランクダウンながら、13位-9位-7位→8位と安定した力でベスト10の座を守っています。新聞部長ですが、3サイズは88-55-88と村上先輩すら凌ぐナイスバディの持ち主。聖櫻学園では文化系の方が発育が良くなるのでしょうかね。

 9位:加賀美茉莉(2年生、SWEET属性、CV釘宮理恵)

20161120加賀美茉莉 

 昨年よりもワンランクアップ。この人も×→10位→10位→9位とベスト10の常連です。釘宮キャラでありながらツンデレではないという。

 10位:浅見景(3年生、SWEET属性、CV伊藤未来)

20161120浅見景 

 上条るいと共に今回大躍進の浅見先輩。バレー部所属で身長173センチと聖櫻学園では最長身キャラですが、バレーの選手として考えるとさほど大きくはないような。3サイズは89-63-89とまさに“おっぱいバレー”ですな。

20161120浅見景その2 

 当初はボイスなしキャラで、これまでランク外でしたが、定常ノーマルカードしかない時代から定常HR、定常SRと秀吉のごとく大出世してきたキャラで、×→×→×→10位という凄まじいランクアップを果たしました。運動部所属ながら勉強も出来、優しいお姉さんということで、人気が出るのもむべなるかな。

20161120不知火五十鈴 

 昨年ベスト10で今回落ちたのは、8位→11位の不知火五十鈴(2年生、COOL属性、CV悠木碧)と、9位→12位の優木苗(1年生、SWEET属性、CV日高里菜)の二人。ですが、また巻き返しができそうな順位なので、悠木碧と日高里菜のファンが奮起すればベスト10復帰も可能でしょう。
 
20161120優木苗 

 なお、去年の総選挙の記事(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-992.html)で、上条るいとともに翌年上がって来そうと予想した篠宮りさ(2年生、POP属性、CV日笠陽子)は××→24位→27位と伸び悩みました。残念。そもそもこの人がPOP属性っておかしくないですかね。村上先輩や心実以上にCOOL属性に相応しいと思うのですが。生徒会は会長(天都かなた:今回32位)がSWEET、書記(鴫野睦:今回14位)がCOOLだからバランスを取ってPOPに押し込まれたとしか思えません。新参キャラの宿命なのでしょうか。

20161120篠宮りさ

 なお、ゲーム開始直後の2013年の総選挙でベスト10にいた望月エレナ(4位)、戸村美知留(6位)、笹原野々花(8位)、ミス・モノクローム(9位)は、今年の順位はそれぞれ19位、17位、22位、31位となっています。やはり栄枯盛衰。

20161120真白透子 

 来年の総選挙の順位が注目されるキャラとしては、まず真白透子が挙げられるでしょう。今年転校生として初登場したキャラですが、16位と大健闘しています。CVはミス・モノクロームと同じ堀江由衣で、その分ミス・モノクロームが失速したとも言えるでしょう。ガールフレンド(♪)でも9位に入っています。

20161120アネット・オルガ・唐沢 

 それからアネット・オルガ・唐澤。最近は聖櫻学園以外の高校の生徒も登場しているガルフレですが、嵯峨椿高校という京都の学校の3年生です。CVはM・A・O。順位は39位と大したことありませんが、他校の生徒でベスト50に入ったのは彼女だけですし、ガールフレンド(♪)では13位。

2016総合順位 

 なお、(仮)と(♪)の得票率を合計した総合結果は、上表のとおりです。(仮)のベスト10と顔ぶれはほぼ同じですが、順位は異なっています。これだと心実はベスト3から滑り落ちており、村上先輩も首位から陥落しています。また、(仮)では26位の時谷小瑠璃(CV田村ゆかり)が(♪)では7位に食い込んでおり、総合でも10位となっています。流石に「中の人」のファンは強いということでしょうか。

20161120時谷小瑠璃 

 属性別に見るとベスト10にCOOLが4人、SWEETが5人、POPが1人で、相変わらずPOP属性が苦戦しています。学年で見ると3年生が4人、2年生が5人、1年生が1人で、1年生が苦戦。1年生では桃子が一人勝ちという感じですね。

たそがれゆく未来 巨匠たちの想像力[文明崩壊]:灰色の近未来を描くアンソロジー

雨の紅葉

 11月の雨。暗くて薄ら寒くて、ただでさえ寂しい晩秋の雰囲気をひときわ強く醸し出しています。もう一日黄昏時みたいな。好きなんですよね、こういう寂しさ。

たそがれゆく未来 

 本日はちくま文庫の「たそがれゆく未来: 巨匠たちの想像力[文明崩壊] 」を紹介しましょう。14人の作家・マンガ家の短編を集めた灰色の近未来を描くアンソロジーです。

ディストピアその2 

 執筆時期は1857年から2012年までと幅広いですが、60年代~70年代のものが多く収録されています。高度経済成長で薔薇色の未来が夢見られる反面、大国の核実験とか公害などにより、SF作家達はむしろ灰色の未来を多く描いていました。今回は文庫版裏表紙にもAmazonにも内容紹介がないので、こちらで簡単に紹介していきます。

高木彬光 

 高木彬光「火の雨ぞ降る」(1953年)。核実験の乱発により、高レベル放射性廃棄物や「死の灰」に多量に含まれるストロンチウム90を大量に含んだ雨が降るようになってしまい、滅亡を待つばかりになった地球。この雨を直接肌に受けると水ぶくれのような火傷を負い、放射線障害でたちまち死んでしまうということから「火の雨」と呼ばれています。ある金持ちが私財を傾け、地下に大規模なシェルターを作り、選ばれた若い男女に未来を託そうとします。絶対の秘密を条件に選ばれた主人公は、恋人を残して行くか否かで煩悶しますが…

連合艦隊ついに勝つ 

 高木彬光はもっぱら推理作家として知られますが、大ブームを巻き起こした五島勉の「ノストラダムスの大予言」への反論書である「ノストラダムス 大予言の秘密」や、架空戦記の走りとも言えるSF小説「連合艦隊ついに勝つ」といった異色の作品も発表しています。

光瀬龍 

 光瀬龍「辺境5320年」(1963年)。連作短編の「宇宙年代記」シリーズの一作で、最も未来を描いた作品です。本書中、唯一読んだことのあった作品。おそらくさらに未来であろう「シティ0年」を除いては全て西暦なので、54世紀ということになります。宇宙に進出した人類は、サイボーグ化などで過酷な環境に適応しようとしますが、結局は太陽系を超えて繁栄することはできなかったようです。

辺境5320年 

 地球を中心とする地球連邦と、太陽系外縁の辺境に作られた人工天体群から成る都市連合が経済的に激しく対立します。連邦内の都市連合の資産凍結という強硬策に出た地球連邦は、戦争を覚悟しますが、都市連合の返事は意外にも…。エネルギーを不要とする形態の変化は、ファイブスター物語13巻に登場した「精神体の無機体(カイゼリン・クオーツ)」にも似ていますが、なにしろ昔の作品なので今となってはややショボイです。むしろよく市民が同意したものだと思います。

樹下太郎 

 樹下太郎「夜に別れを告げる夜」(1961年)。太陽の反対側に人工太陽を打ち上げて夜を消してしまうという話。何のメリットがあるのか、温暖化でえらいことにならないかとツッコミどころはいろいろありますが、話は夜無き世界をどうするかという話と最後の夜がスラップスティックに描かれています。電灯の代わりに、点灯すると暗くなる暗黒灯の登場は必然でしょうが、なぜ夜をなくそうという話になったのかは謎。アシモフの名作「夜来たる」の向こうを張ったのか。ちなみにこの人の作品は全く読んだことがありませんでした。

小松左京 

 小松左京「カマガサキ2013年」(1963年)。もう過ぎてしまいましたが、50年後の近未来を描写した作品です。徹底した合理化によりロボットまでルンペン化する時代。物乞いも自動ドア付きの土管に住んでいたりして。沢山の廃品を利用すれば様々な電化製品を手に入れられますが、肝心のお金や食料が手に入らず飢えに苦しみますが、そんな彼らの前に、なんと500年先の未来からやってきた物乞いが登場します。彼のアイディアで一攫千金に成功するも、パッと使って元の木阿弥になる乞食達。そんなだからそうなったのね……

松本零士 

 松本零士「おいどんの地球」(1972年)。貧乏下宿の四畳半部屋の住人を扱った「大四畳半シリーズ」の一つである「男おいどん」の最終回外伝。

男おいどん 

 遥か未来の話で、大山昇太の子孫である大山降太が登場。でもほぼクローン状態です。下宿館のバーサンもバーサンの子孫だけどやはり瓜二つ。メーテル顔のヒロイン達からは浅野さんが登場。公害でにっちもさっちもいかなくなった地球を捨てて人類は宇宙船で脱出しますが、なぜか取り残される大山降太(笑)。昭和な下宿と未来的な宇宙船の対比がシュールです。

眉村卓 

 眉村卓「自殺卵」(2012年)。つい最近の作品で、そのせいか古くささが全くなくて洗練された作品ですが、SFというより怪談に近いかも。卵型で中に針がついている「自殺卵」は、即座に死ねる自殺アイテムです。いつの間にか置かれ、自殺を促す手紙もやってきます。宇宙の意思なんだそうですが、途中からは死体も消滅するヴァージョン2が登場。どんどん減っていく人口。なのになんとか維持されるインフラ。何者がやっているのかという謎はさておき、年金生活者の主人公や周囲の老人達は淡々と生き続けていきます。適当に人口が減ったのなら、あながち灰色の未来ではないのかも知れなかったりして。

今日泊亜蘭 

 今日泊亜蘭「地球は赤かった」(1973年)。環境破壊が嵩じた地球を何とかしようと、木星や土星の衛星にまで探索の手を伸ばしたところ、土星から来たらしい奇怪な植物が繁茂し始めました。赤く、凄まじく増殖し、酸素を消費して二酸化炭素を排出するという「アカギ」で人類は滅亡寸前となりますが…灰色というより絶望の未来ですが、「アカギ」の天敵が偶然に見つかるあたりは一筋の希望が。

矢野徹 

 矢野徹「耳鳴山由来」(1958年)。未来ではなく昔話ですが、星からやってきたという不思議な人が集落に現れます。科学的知識を持ったその人は、文明の進歩と幸福は別ものだと主張しますが…。神話ってこういうエピソードが元になっているのかねと思わせる作品です。灰色だったのは彼の住んでいた別の星だったようですが、後を追うかのように地球も…

筒井康隆 

 筒井康隆「下の世界」(1963年)。筒井康隆なのにエログロナンセンスが全くない作品。精神労働者と肉体労働者が完全分離し、隔離された世界で、「下の世界」の肉体階級が「上の世界」に行くには、精神階級の娯楽としての競技大会に優勝しなければなりません。最右翼とみられたトオルは、図らずも精神階級の女性と邂逅しますが…。極端な格差が長年続いた結果、禁断の恋愛すら不可能になってしまったという究極の格差社会です。

水木しげる 

 水木しげる「宇宙虫」(1965年)。アメリカの月着陸で月から地球にやってきた宇宙虫。アメリカのお菓子にくっついて主人公の少年の元にもやってきました。川の小さな中州に捨てたところ、勝手に文明を花開かせ、ビルを作ったり艦隊を建造したり、しまいには小さな核実験までやってしまいます。ロケット作って月に帰った宇宙虫。後には廃墟だけが残りました。

河野典生 

 河野典生「機関車、草原に」(1967年)。各国の核装備の果てに核施設で事故が発生し、南極の氷が溶けて東京が水没した近未来。生き残った多くの人々は内陸に移動しましたが、新しい時代に馴染めなかった逃亡者がなおも東京に残っています。破壊命令が出た東京を、彼らは蒸気機関車をレストアして脱出しようとしますが…。ミサイル降る中、疾走するSLという幻想的なラストが印象的です。

安部公房 

 安部公房「鉛の卵」(1957年)。ノーベル文学賞の有力候補とも目された大作家です。幻想的な作品を多数執筆していますが、中でもSF色が強い作品です。コールドスリープで1987年から2087年までの百年間を過ごすはずが、何と80万年後の世界で目覚めることになった主人公。あまりにも奇怪な姿の植物的な未来人におののきます。会話はできるもののどうにもちぐはぐで、一緒にやっていけず、植物人から「どれい族」と呼ばれる人々と接触しようとしますが…。主人公を古代人と呼ぶ植物人が、実は…というどんでん返しがあります。

倉橋由美子 

 倉橋由美子「合成美女」(1961年)。人間そっくりの合成人間(アンドロイド)を持つことがステータスとなった近未来で、最新型の美女メイドを購入した主人公夫婦。妻はメイドを可愛がりますが、生理があるなどあまりにも人間らしいメイドに、徐々に疑惑の目を向けていく妻。最後の惨劇で実は驚くべき展開となっていきます。「イブの時間」を彷彿とさせる物語です。

楳図かずお 

 楳図かずお「Rojin」(1985年)。人間が20歳までしか生きられなくなった世界で、初めて70歳の老人に出会った5歳のまなぶ。例の楳図恐怖漫画と同じタッチなので、まなぶを始め登場人物も周囲の風景もなにもかもが不気味で怖いです。なぜ20歳までしか生きられないのかとか、謎だらけですが、パイロットになりたいのにもうすぐ20歳になって死ぬ父の後を継いで鰻職人にならなければならないまなぶは、鰻をさばくことがどうにも大嫌いだという。「ぼくも……ロウジンと呼ばれたい!!」というまなぶの最後の叫びは心に残りますが、寿命が20歳までしかないなら、他の動物(例えばネコ)みたいにもっと早熟にならんといかんのじゃなかろうか?晴れてパイロットになっても寿命のせいで3か月しか飛べないというのが実にシュールです。まなぶにはタバコよりも違うクスリが必要なんじゃ…

ディストピアその1 

 私のお気に入りは「自殺卵」と「合成美女」。「自殺卵」は最近の作品だからか、他の作品より洗練されいる感があります。完全消滅する自殺卵バージョン2な、もし手元にあったら使ってしまうかも。「合成美女」は古い作品ですが、完成度が高いです。3500万円で最新型の合成美女が買えるそうなので、新築の家とかマンションに近いものかも知れません。「ファイブスター物語」のファティマみたいなものでしょうか。

ディストピアその3 

佐賀のがばいばあちゃん:明るくて逞しい、これが日本版「貧困の文化」?

秋の上高地

 今日は先週の寒さはどこにいったんだというくらいの暖かさでした。明日からはまたちょっと朝夕冷え込むみたいですが、日中と寒暖の差が大きいと体調を崩しがちなので気をつけて下さい。もっともずっと暑い真夏とかずっと寒い真冬よりずっと過ごしやすいのですが。

佐賀のがばいばあちゃん文庫版 

 本日は島田陽七の「佐賀のがばいばあちゃん」を紹介しましょう。島田洋七といえば、80年の漫才ブームで一世を風靡した漫才コンビ「B&B」が真っ先に思い浮かびますが、作家でもあるんですね。島田洋七の本は初めて読みました。

洋七自身が演じるがばいばあちゃん 

 島田洋七は1950年2月10日生まれで広島市出身。80年代の漫才ブームのトップランナーとして君臨するも、その後は全くテレビに出演することもなく泣かず飛ばずとなり、しかし2000年代に「佐賀のがばいばあちゃん」でベストセラー作家になるという、激しい浮き沈みを経験している人です。

しくじり先生での島田洋七 

 その「沈んでいた時代」に関しては、今年7月18日の「しくじり先生 俺みたいになるな!! 3時間スペシャル」で本人が詳しく語っていましたが、要するに「人の話を聞かずに思いつきで行動して何度も同じ失敗を繰り返し」ていたそうです。また、漫才ブームの最中、ビートたけしや島田紳助は「漫才ブームが終わった後どうするか」ということを考えていたのに、ブームに浮かれて売れっ子生活を享受するばかりだったそうです。

やすしきよし 

 しかし、それも仕方ないかなという売れ具合ではありました。漫才ブームでは老舗の「やすし・きよし」をはじめ、「ツービート」「紳助・竜助」「ザ・ぼんち」「のりお・よしお」など、多数の漫才師がスターダムに登りましたが、おそらく一番人気があったのが島田洋七の「B&B」でした。

笑ってる場合ですよ! 

 80年から82年にかけて放映された「笑ってる場合ですよ!」では総合司会を務め、当時人気のあった漫才・コントタレントが続々と登場し、フジテレビの看板ランチタイム番組になりました。番組自身は2年間と比較的短命でしたが、その番組スタイルは後番組にして長寿番組だったの「森田一義アワー 笑っていいとも!」に継承されていきました。ていうか「笑っていいとも!」があんなに長く続くとは、開始当時は誰も思っていませんでした(恐らくタモリ本人も)。

BB.jpg 

 「B&B」の漫才スタイルは、島田洋七のマシンガンのような言葉の連射攻撃で、島田紳助はTVで洋七を見て衝撃を受け「島田洋七を倒す事に俺の青春を賭けよう」と考え、ラサール石井は「何より凄かったのは洋七さんのテンポ、速射砲のような喋りとパワーあふれるツッコミ」「しかも画期的なことは、出番でない他の芸人達がB&Bが出ると楽屋から出てきて客席の後ろの方で大笑いしていた」と言っています。

ツービート 

 “毒ガス”と呼ばれたブラックギャグが持ち味だったビートたけしも、洋七の“言葉の連射攻撃”“客を完全に飲み込んで唖然とさせる漫才”を見て衝撃を受けたことで、スピードを早めてたけし一人が喋りまくるスタイルへ変更したそうです。

紳助竜助 

 絶頂期には月100本以上の番組に出演していたB&Bですが、忙しくなるとネタを作る余裕がなくなり、同じネタを繰り返し使うようになって、いわゆる「芸が荒れる」状態となって、徐々に観衆から飽きられるようになっていきます。ビートたけしは「B&Bとかザ・ぼんちとかは、漫才ブームの中のトップを目指したから潰れてしまったわけね。オレは漫才ブームのときには、自分で1位になってやろうなんて思ってなかったから。そのときから違うことやろうと思ってたからね。その後の勝負だとおもっていた」と言っていますが、そういう先見の明が今の「世界の北野 足立区のたけし」を形作っているのですね。

ザ・ぼんち 

 そのビートたけしと島田洋七は親友同士で、低迷期の洋七は「たけし軍団」のコック長みたいなことを7年間くらいも続けたそうです。選挙に出たり事業をやったり欽ちゃんファミリーに入ったりいろいろやってましたが、どれもこれも上手くいきませんでした。芸人引退も決意したそうですが、たけしに相談すると、「芸人をやめるなら友達づきあいをやめるぞ!」と一喝され、思いとどまったそうです。

俺の彼 

 「佐賀のがばいばあちゃん」も、執筆動機は、佐賀の祖母を中心に、子供の頃の思い出をビートたけしに語って聞かせたところ、面白いので本にすることを強く勧められたことにあります。島田洋七はビートたけしを恩人とも思っており、二人の関係に関して「俺の彼」という本も執筆しています。

映画版がばいばあちゃん 

 「佐賀のがばいばあちゃん」は1987年に「振り向けば哀しくもなく」という題名で太田出版から自費出版で3000部を発行しました。2001年に加筆・修正のうえ「佐賀のがばいばあちゃん」に改題し、愛育社から2度目の自費出版を行いました。2003年夏に「徹子の部屋」に出演した際に紹介されたことで話題となり、2004年に徳間書店で文庫版で再出版され、一気にベストセラーとなりました。「がばい」シリーズは多数出版されており、売り上げ冊数は総計400万部を超えています。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

がばいシリーズ
 
 昭和三十三年、広島から佐賀の田舎に預けられた八歳の昭広。そこでは厳しい戦後を七人の子供を抱えて生き抜いたがばい(すごい)祖母との貧乏生活が待っていた。しかし家にはいつも笑いが溢れ…。黒柳徹子、ビートたけしも感動した超話題作。

がばいばあちゃんと昭広 

 父親は原爆投下後の広島で家族を探して爆心地を歩き回ったことで被爆し、洋七が2歳の時に原爆症でなくなりました。母と兄と3人で貧乏生活を続けていましたが、母を恋しがって、まだ幼い洋七(本名は昭広)が物騒な夜の盛り場にやってくるため、佐賀の祖母(この人ががばいばあちゃん)に預けられ、中学校を卒業するまでの8年間を佐賀で暮らすことになります。

がばいばあちゃんと昭広その2 

 この預けられるシーンからして爆笑ものです。佐賀から広島に来ていた叔母さんを見送りに行くと言われて駅のホームにいたら、発車ベルと同時に母に列車に向かって突き飛ばされ、あれよあれよという間に佐賀に連れて行かれたという。

がばいばあちゃんのバイタリティを見よ 

 そして都会の広島と違って何にもない佐賀(洋七談)に来て、あの家だけは嫌だと思ったあばら家がまさしくがばいばあちゃんの家なのでした。代々の貧乏の家系ということで、戦争中に夫が死んで5人の子供を女手一つで育て上げたがばいばあちゃんは、超のつく貧乏で苦労人ですが、とても明るく逞しい人で、むしろ貧乏を楽しんでいるかのようにも見えます。

磁石を引き摺る 

 家のすぐそばの川の水面すれすれに棒を伸ばして、ひっかかった漂流物を食料や焚き付けにして、「わざわざ配達してくれる」「トマトなんか冷えながら流れてくる」「勘定もせんでいい」と川をスーパーマーケット呼ばわりしてたり、ヒモの先に磁石を付けて引き摺って歩き、くっついてきた釘や鉄くずを集めて売ったりと、非常に明るく逞しい生活力を見せてくれます。

絵本版がばいばあちゃん 

 貧乏をこじらせると、夕方には洋七に寝ろといい、夜中に腹が減ったと言っても「気のせい」「夢だ」と無茶苦茶な屁理屈で押し切ってしまいます。剣道や柔道がやりたいと言うと、金が掛かるからひたすら走っておけといい、それも靴がすり切れるから裸足で走れと強弁するという。

産め産めの鶏 

 そんながばいばあちゃんも運動会の日くらいは卵焼きでも付けてやりたいと、飼っている鶏に「産め!産め!」と叫びますが、鶏は「ケッコウ!ケッコウ!」と鳴くばかり。「産め!産め!」という声に、合いの手のように「はい!はい!」という声がするので何かと思えば隣の家のウメばあちゃんの声だったという。こんなんビートたけしじゃなくても笑うわ。

ゲーム版がばいばあちゃん 

 「はなわ」が♪SAGA佐賀~♫と佐賀には何もないなどと自虐ギャグをやっていましたが、昭和30年代の佐賀には人情がありました。腹を壊したといってお弁当を取り替えてくれる先生や、わざわざ豆腐を崩して安く売ってくれる豆腐屋さんとか。水道料金の集金も「ここ2、3か月水を飲んでない」で苦笑して去って行くという。

めざせ甲子園がばいばあちゃん 

 小学生から野球にはまった洋七少年は、中学校では1年生から堂々レギュラーとなり、その後キャプテンにもなります。女の子からキャーキャー言われてちょっとしたヒーローだったそうですが、吉永小百合似の女子校生との淡いロマンスもあったりするものの基本的には野球漬けの日々で、勉強のほうはからっきしでしたが、がばいばあちゃんは成績には一切頓着せず、英語が出来ないと言えば「『私は日本人です』って書いとけ」、歴史が嫌いと言えば「『過去には、こだわりません』って書いとけ」という。成績表がさんざんで、「1と2ばかりでごめんね」と言えば「大丈夫、大丈夫。足したら5になる」「人生は総合力」と笑うという。いいなあ、こういう人。

下駄ゲットだぜ 

 そんな成績でも、野球では有名人となった洋七は、広島の名門広陵高校から特待生として入学が許され、8年間一緒に暮らしたがばいばあちゃんの元を去ることになります。この時のばあちゃんの行って欲しくないけど行くなとは言えないというジレンマが涙を誘います。

テレビ版佐賀のがばいばあちゃん 

 2006年に映画化され、吉行和子ががばいばあちゃんを演じました。興行収入6億円のヒット作となり、2007年11月23日に日本テレビ系の金曜ロードショーで地上波初放送した際には17.2%の高視聴率をマークしました。第4回ベルリン・アジア太平洋映画祭グランプリを受賞し、ついでに文部科学省推奨まで貰ったりして。

島田洋七の佐賀のがばいばあちゃん 

 2009年には島田洋七自身が監督となって「島田洋七の佐賀のがばいばあちゃん」を製作しましhた。こちらのがばいばあちゃんは香山美子。ついでに言えばお母さんは高島礼子。…ちょっと綺麗過ぎないかい?

石田ゆり子と洋七役の子役 

 テレビドラマはフジテレビ系で2007年に第一弾が、2010年に第二弾が製作されました。がばいばあちゃんは泉ピン子。一気に気品が消え去った反面、バイタリティは急上昇。お母さんは石田ゆり子でこれはどう見ても綺麗過ぎるんじゃないかい。泉ピン子の娘が石田ゆり子はいくらなんでもなあ…と思ったら、そこは女優。画面上はあまり違和感ありませんね。でもやっぱり石田ゆり子はいい!

舞台版がばいばあちゃん 

 さらに舞台化、コミック化、ゲーム化までされているという人気ぶり。ちなみに「がばい」とは「非常に」の意味なので、「がばいばあちゃん」を直訳すれば「非常にばあちゃん」となってしまい、ニュアンスである「非常にすごいばあちゃん」を正しく表すなら「がばいすごかばあちゃん」となるのですが、洋七自身も本来の使い方ではないとしています。なお、佐賀にはこの本がベストセラーになるまで「がばい」の意味を知らない老人が多数いたとのことで、「がばい」は若い世代を中心に広まった比較的新しい佐賀弁のようです。

コミック版がばいばあちゃん 

 ただ…島田洋七は、話す内容のほとんどがまことしやかな作り話だと言われており、矛盾がどんどん生じていくのですが、騙し通す事が目的ではないのでまったくお構いなしに作り話を重ねていくそうです。なので、自伝的小説である「佐賀のがばいばあちゃん」も真実性は疑わしいとか。まあフィクションだと割り切れば別にいいのですが、泣いちゃった人は「涙を返せ!」なんてことになったりして。

スーパーでお買い物 

記憶に残る一言(その75):戸愚呂弟のセリフ(幽☆遊☆白書)

これが秋麗というやつか

 あの真冬のような寒さは何処に行ったのかという穏やかな一日。これが秋麗という奴なんでしょうかね。こんな11月を待っていた!

幽☆遊☆白書のタイトル 

 本日は久しぶりに記憶に残る一言です。90年代の週刊少年ジャンプを代表する作品の一つである「幽☆遊☆白書」から戸愚呂弟のセリフを紹介しましょう。

アニメ版戸愚呂弟 

 戸愚呂弟(CV玄田哲章)は「幽☆遊☆白書」中盤の「暗黒武術会編」のラスボス格のキャラです。「弟」というのは兄弟で登場するからですが、本名は兄共々不明。普通戸愚呂といえば弟の方を指します。モデルはアーノルド・シュワルツェネッガーですが、「中の人」玄田哲章はこちらも演じているのでまさにうってつけでしたね。ちなみに玄田さんは、シュワちゃんから「私の声を100年間演じてほしい!」と言われ、専属声優として永久認定されているそうです。

玄田哲章 

 現在は妖怪ですが、元は人間で、50年前には幻海らと共に暗黒武術会に出場し、優勝を果たしています。その褒賞として兄と共に妖怪に転生し、永遠の若さと人智を超えた力を得ました。

戸黒兄弟 

 妖怪に転生したのは、50年前の暗黒武術会が始まる数か月前に、当時優勝候補No.1だった妖怪、潰煉に弟子全員とや格闘仲間一人を皆殺しにされたことにあります。当時の戸愚呂は自分が最強と思っていましたが、潰煉に全く歯が立たず、仲間を救うことも出来ませんでした。戸愚呂が殺されなかったのは、潰煉が戸愚呂に暗黒武術会への出場を告げる使者だったからです。それ以前の暗黒武術会の優勝者だったかも知れません。

潰煉 

 その後3か月ほど失踪した戸愚呂は、心に鬼が棲んだ状態で暗黒武術大会に出場し、決勝で見事潰煉を殺しますが、自分自身の中で罪の意識は消えないままで、自分を責め続けていました。妖怪に転生したのも、償いという名の拷問の日々を送るためだったようです。主人公浦飯幽助の師匠である幻海も、「潰煉の強さはあの時、誰にもどうしようもなかった」と言っているので、勝てなかったのは仕方がないと思いますが、自らの慢心が許せなかったのでしょう。

幻海師範 

 その幻海、若かったころは美人で、戸愚呂弟とは恋人に近いような関係だったようですが、戸愚呂が妖怪化した時に袂を分かちました。ちなみに幻海の望んだ褒賞は「二度と大会に呼ばれないこと」でしたが、結果的には自ら参加するはめになってしまいました。

若き日の幻海師範 

 普段の外見はかなりの大柄である以外はほぼ人間の姿ですが、「筋肉操作」で筋肉の量を自在にコントロールし、増強された筋力での格闘能力を武器とします。筋肉操作は劇中では20%・30%・45%・60%・80%・100%・100%中の100%が登場しましたが、100%になると怪物のような姿になり、通常時とは比べ物にならない妖力を放つ上、エナジードレイン能力が追加され、周囲の生命体のエネルギーを吸収するようになります。

 
戸愚呂チーム 

 これまで80%の姿を見せて生き残ったのは兄を除けば鴉と武威だけで、4人で戸愚呂チームを組んでいます。5人目はチームオーナーの左京ですが、生身の人間なので戦闘には参加しません。

フルパワー戸愚呂

 強面の外見とは裏腹にユーモラスな発言をすることも多く、戦いに生きる者を惹きつけるカリスマ性も備えており、幽助も彼の強さに憧れていました。酒は飲めずにウーロン茶やオレンジジュースを飲んでいますが、妖怪になっても以前の嗜好は残るんでしょうかね。なお、100%状態の戸愚呂は潰煉の姿に似ていますが、これは敢えてそうしているんでしょうか。

フルメンバー戸愚呂チーム 

 暗黒武術会の決勝で、浦飯チームと激突した戸愚呂チームは、1勝2敗で副将戦を迎え、浦飯幽助と戸愚呂弟の対戦となりました。大将(浦飯チームはコエンマ、戸愚呂チームは左京)は戦えないので、これで勝った方が優勝ということになります。劇中、様々な特殊能力を持った妖怪達が登場しましたが、戸愚呂は「これ(筋肉操作)しか能がない」と自称する通り、小手先の技は一切使わず、桁外れのパワーに物を言わせた肉弾戦のみで戦いました。

それがパワーだ 

 これも名セリフです。「レベルを上げて物理で殴ればいい」を地で行った人ですね。

今のおまえに足りないものがある 

 戸愚呂は幽助に自分をも倒せる可能性を見いだしますが、潜在能力を発揮しきれていないことに不満を持ち、「元人間のオレの経験からみて、今のおまえに足りないものがある」と言います。それは……

危機感だ 

 ということで、下の今回の記憶に残る一言につながる訳です。

おまえもしかしてまだ 

 主人公だから死なない、というのはお約束みたいなものですが、実際には本作において浦飯幽助はよく(?)死にます。そもそも事故死したことから物語がスタートしていますし、この後「魔界の扉編」では後半のラスボス・仙水忍に殺されています。幽助自身は死んでも生き返ってくるので、亜人に死を恐怖しろと言っているようなもので、危機感を持てといっても難しいかも知れません。なので戸愚呂はチームメイトで親友の桑原和真を目の前で殺害してみせます。実際にはわざと急所を外していたので桑原は死んでいませんでしたが、幽助を奮起させるために桑原も機転を効かせて死ぬ演技をしていました。

冥獄界に堕ちる戸愚呂 

 これで幽助の更なる力を引き出させる事に成功し、自身も最終形態である「100%中の100%」になり、幽助の渾身の霊丸を受け止めますが、フルパワーの反動で身体が崩壊して敗北します。自身の全力を引き出せた事を幽助に感謝しつつ死亡した後、霊界裁判において、自ら望んで地獄の中で最も過酷な冥獄界へと赴きます。ここはコエンマ曰く“あらゆる苦痛を一万年かけて与え続け、それを一万回繰り返す。その後に待っているのは完全な無”という、ド外道の獄悪が堕ちる地獄で、根は悪党ではない戸愚呂は格闘家としての功績もあり、本来はもっと軽い地獄で済むはずでしたが、自ら志願して赴きました。

通常モードと戦闘モード 

 劇中圧倒的なパワーを見せた戸愚呂弟ですが、実は妖怪としての実力はB級の上位といった凡庸なレベルでした。邪王炎殺黒龍波を使いこなせるようになった飛影でB級の中位レベルということなので、やはりそれよりは強いのですが…

 魔界三巨頭

 「幽☆遊☆白書」は後半になると良くある「パワーインフレ」状態に陥っていきます。本来魔界の住人である妖怪は、霊界の判定で弱い順にE級からS級に分類されていますが、対処できるのはA級までで、S級妖怪は「霊界が手出しできない強さ」の妖怪ということで、S級妖怪にもピンからキリまでいます。

戸愚呂フィギュア 

 A級以上の妖怪は、宗教や神話において神とか悪魔と呼ばれている者がいて、B級以上を境に高い知性と理性を持った妖怪が多くなるとされています。幽助の仲間である蔵馬と飛影は魔界にいた頃はA級妖怪だったので、戸愚呂はあっさり倒せる強さだったということになりますが…

仙水忍 

 後半のラスボス・仙水忍は人間ながらS級妖怪クラスの強さとされ、A級の力を取り戻した蔵馬と飛影、そして全てを切り裂く次元刀を使えるようになった桑原の3人をまとめて相手にしても圧倒していましたが、劇中で描かれた強さの描写的には“戸愚呂と仙水が戦ったらいい勝負になりそう”な感じでした。なのでS級の仙水には瞬殺されてしかるべきB級妖怪というレッテルは非常に違和感がありました。

蔵馬と飛影 

 それに、暗黒武術会に出場して浦飯チームと戦った連中のうち、ライバル的扱いを受けた6人は後に幻海から始動を受けてS級妖怪になっていますが、武術会当時はおそらくC級妖怪だったんですよね。「素質があった」では言い逃れが出来ないぞその極端なランクアップは(笑)。

幽☆遊☆白書 特別編 魔強統一戦

 ゲームの話ですが、「幽☆遊☆白書 特別編」(スーパーファミコン)や「幽☆遊☆白書 魔強統一戦」(メガドライブ)などでは戸愚呂と仙水を戦わせることが可能ですが、ゲームではB級とS級というレベル差を全く感じさせないので、やはり霊界認定のランクはキン肉マンにおける「超人強度」並みのものと考えた方がいいのかも知れませんね。

戸愚呂千早 

 最後にネットで見つけたパロディいろいろ。まずはアイドルマスター・シリーズに登場するアイドル候補生如月千早による「戸愚呂千早」。貧乳がネタにされがちな人ですが、まだJKだから変化する余地は十二分に…と言いたいのですが、15歳当時の「アイドルマスター」がB72/W55/H78で、16歳になった「アイドルマスター2」がB72/W55/H78。

まるで成長していない…… 

 他のアイドルは成長していたりする中、まるで成長していない……。リアルアイドルの渡辺麻友が18歳時点でB71/W55/H82なので、まあいいじゃないかと言いたいところですが、身長がまゆゆの155センチに対して千早は162センチもあるんですよね。千早が絶望感からガチギレしても仕方がないでしょう。

麻雀戸愚呂 

 麻雀戸愚呂。なんと金八先生と対決しています。というか、武田鉄矢だけどキャラは「101回目のプロポーズ」の「星野達郎」の方ですね。名前が「戸副露」になっています。トフーロか。清一色リーチとなっています。「自分がトバないとでも思ってるんじゃないかね?」

金八先生の返し 

 「僕はトビましぇん!!」で返す金八先生(違うって)。戸愚呂に寒気を感じさせるとは恐ろしい。

ニートにとどめを刺す戸愚呂 

 ニートにとどめを刺す戸愚呂。こ・れ・は!!

となりの戸愚呂 

 となりのトグロ。メイが「あなたトグロって言うのね!」とか言ってそう。やばそうに見えますが、戸愚呂はああみえて紳士なので案外トトロの代わりを務めてくれるかも「兄貴、ネコバスに変身しろ」とか言ったりして。

 最後に「艦これ」のイベント攻略を教えてくれる戸愚呂提督。嘘字幕ならぬ嘘フキダシですが、嵌まり方が素晴らしく決まっています。

戸愚呂提督のイベント攻略アドバイス 

巨悪利権:警視庁公安部・青山望シリーズ第6弾

11月の時雨

 昨日一昨日と12月並みの気温となり、かなり寒かったですね。「アツゥイ!」ならぬ「サムゥイ!」でした。今日はかなり暖かくなって11月らしい気候ですが。

巨悪利権 

 本日はまたまた濱嘉之の青山望シリーズで、第6弾の「巨悪利権」を紹介します。相変わらずの暴力団、半グレ、チャイニーズマフィア、宗教団体の巨額の資金を巡る争いですが、これに政治家や警察OBも絡んできます。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

由布院の金鱗湖 

 大分・湯布院温泉で見つかった他殺体。被害者は九州ヤクザの大物・相良陽一だった。謎の凶器の解明を急ぐ青山が察知した日本を牛耳る巨大宗教団体の存在。事件は事件を呼び、舞台は京都、そして福岡へと広がる。黒幕・神宮寺武人、そしてチャイニーズマフィアに公安はどう対峙するか。リアルすぎる警察小説シリーズ第6弾!

秋霜烈日バッジ 

 被害者の相良ですが、上記内容紹介ではヤクザと書かれていますが、実際には「ヤメ検」(元検察官)で、ヤクザの顧問という肩書きです。ヤクザの顧問弁護士を務める人もいるので、法曹とっても色んな人がいます。その相良がトリカブトの毒を使った吹き矢という変わった凶器で殺害されます。

 暴力団同士の抗争にしては凶器が異色だということで、さっそく動き出す公安部の青山。トリカブトの毒のDNA鑑定で採取地を特定し、あっさりと毒の抽出者を割り出します。また、過去にも背後関係が迷宮入りした類似の事件があったということで、ビッグデータを使ってどんどん事件の背景を明らかにしていきます。

福岡タワー 

 事件が起きたのは大分県だし、被害者の住所は福岡県なのですが、地元の県警には全く知らせずに動き出す警視庁。絡んでくるのが在京の暴力団とか宗教団体なので動くのは当然なんですが、情報漏洩を極度に警戒しています。いつもそうですが、濱嘉之によれば警視庁と他の道府県警の捜査能力のレベル差はかなりのもので、また福岡県は暴力団が非常に元気な場所ということで(ネットでは“修羅の国”呼ばわりされたりしてます)、ヤクザと警察の癒着も指摘されたりして。

修羅の国 

 公安部の青山の他、刑事部捜査一課に復帰した藤中、同捜査二課の龍も福岡に飛び、それぞれ情報交換しつつ、独自の捜査を行いますが、とりあえず博多はいいところだと褒めまくり。私も一回しか行ったことはありませんが、確かにいいところでした。

博多シティ 

 一説には、全国転勤を経験してリタイヤしたサラリーマンが「終の棲家」として考えるのが福岡か札幌らしいです。そして往々にして福岡にするとか。札幌も実にいいところなんですが、やはりネックは冬、というか雪ですな。これさえなければ…

10億当たれば… 

 以下妄想ですが、もしジャンボ宝くじで一等前後賞当選ということになったら、早速辞表を出して隠居するとして、札幌と福岡にマンションを買って、夏秋は札幌、冬春は福岡で暮らしたいですね。そしてすすきのと中州でセコくしみったれて遊ぶのだ。言うても福岡の冬は結構寒いし、雪が降ることもあるそうですが、流石に札幌みたいなことはないでしょう。

中州 

 ということで、捜査の合間に博多で楽しく飲食したりお姉ちゃんと語らったりしながら青山の捜査はさくさく進んでいきます。ノンキャリにしては出世頭の青山ですが、それほど給料は高くないと思うのですが、やたら旨い飲食店とか酒についての知識を持っています。これまで汚職議員とかが高級な酒について蘊蓄を傾けるシーンはありましたが、青山もなかなかなものです。が、大丈夫か?ひょっとして接触する政治家とかと癒着してるんじゃないのか?

博多の街 

 それから今回、カルテットの中で唯一独身の青山が藤中の計らいでお見合いをします。20年来女っ気なしとか行っていますが、しかし……初期の頃、青山には彼女がいなかったっけか?休日に遊びに来た彼女のために青山が手料理を作ってたシーンがあったような。いつ別れたんだ。というか、なかったことにされている彼女の消息がちょっと心配だったりして。

スカイボール 

 なぜかというと、今回青山は「公安の怖さ」を結構露骨に出しているんです。法律も法的手続きも無視し、国家のためなら何でもやっちまうぜという、一般市民がひょっとして本当はあるんじゃないかという思っているCIA的組織の雰囲気を出しています。巻末に「この作品は完全なるフィクションであり、登場する人物や団体名などは、実在のものと一切関係ありません」との但し書きがありますが、元警視庁警視である濱嘉之が書くとシャレにならない怖さがありますね。


ブラントン 

 なぜ青山が怖くなっているかというと、とうとうカルテットに被害者が出たからです。龍がヤクザに刺されて重傷を負うのですが、それまで必ずしも一枚岩ではなかった刑事部と公安部、警視庁と他の道府県警がこれで一気に団結してしまい、やぶ蛇になってしまいました。というか、上から(つまり権力者から)圧力を掛ければという話を曲解して捜査指揮官襲撃を指示してしまう神宮寺。

トリカブト 

 これまで暴走族上がりの半グレ集団のリーダーで、狡猾かつ巧妙に立ち回って暴力団や中国マフィアを取り込み、枕営業ありの高級キャバクラ経営とかで巨額の利益をあげながらお縄からは逃れていましたが、今回これで一気に逮捕されてしまいました。かなり頭のいい男として描かれていたのですが…頭の中はかなりガキだったのか。

よくわかる福岡県(?) 

 一連のシリーズもそろそろクライマックスにさしかかっているようです。最後の最後に出てくるのは中国のようですが、どのような落としどころを考えているのでしょうか。最初の頃に比べて警察サイドの腐敗もかなり露骨に描かれてきているので、後ろから弾丸が飛んでこなければいいですが。

サバイバルナイフ 

機密漏洩:警視庁公安部・青山望シリーズ第4弾

殺伐としてきたまほいく

 「魔法少女育成計画」、秋季アニメの白眉ではないでしょうか。どんどん凄惨な展開になってきていますが、魔法少女を半減させるという当初の方針を超えて死者がでそうです。「魔法少女まどか☆マギカ」と違うのは、特に魔法少女に興味・関心がなくても、ゲームアプリをやっていたら勝手になってしまったという人がいることや、見かけは全員魔法少女でも「中の人」は少女とは限らないというところでしょう。男だろうとBBAだろうと魔法少女になってしまうという。

悲しみの小雪 

 あと固有の能力が極端に異なるので、戦闘向きの魔法少女とそうでない魔法少女の差がありすぎます。本来は人助けをして報酬としてマジカルキャンディーを集めるという設定でしたが、マジカルキャンディーの獲得が最も少ない魔法少女が“脱落(=死亡)”するだけに留まらず、死亡した魔法少女が出ればその月の脱落者はゼロになるという設定になったので、マジカルキャンディー集めよりも魔法少女同士の戦闘が主体になってしまいました。

嘆き悲しむスノーホワイト 

 主人公のスノーホワイト(姫河小雪)は困った人を助けること(=マジカルキャンディーを集めること)に特化した魔法少女なので、戦闘はからっきし。そもそも魔法少女同士で戦うなんてことを考えもしなかった子なので、今の展開は「もうやめて!スノーホワイトのライフはとっくにゼロよ!」状態です。

スノーホワイトが血まみれに 

 SAN値ピンチなシーンが多くて、いつレイプ目になっても闇堕ちしてもおかしくありませんが、清純そのもののの美少女が脅えまくる様はたまりませんね。「その美しい顔が歪むのを見るのはなんとも快感じゃて~」(by独眼鉄先輩)「これでスノーホワイトがブラッドクリムゾンになっちまったな」(by宋嶺厳)

機密漏洩 

 それはさておき(笑)、本題です。本日は濱嘉之の警視庁公安部・青山望シリーズの第4弾「機密漏洩」を紹介しましょう。実は同シリーズ第5弾「濁流資金」の方を先に読んでしまって(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-1383.html)、とんだ順逆自在の術なんですが、まあそれがいつものユースフクオリティー。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

不審船プラモ 

 長崎・平戸に中国人5人の射殺死体が難破船に乗って漂着した。船内には元自衛官の指紋が――。麻布署警備課長の青山望は、同期たちと情報を共有し、日本の原発技術から永田町までをも巻き込んだ中国国内の大きな権力闘争に気づく。そして、浮上する意外な共犯者、流出する機密……。どこまでもリアルな書き下ろし警察小説シリーズ第4弾。
 
警部の階級章

 警視庁の係長から所轄署の課長になった青山達“例のカルテット”は警部から警視に昇任。私は署の課長(例えば捜査第一課長とか)は皆警部なのかと思っていましたし、大抵の警察小説では捜査の指揮を執るのは鬼警部ということになっていましたが、濱嘉之によると警部は一般と管理職に分かれ、一般は警視庁係長や署の課長代理、管理職は署の課長となるのだそうです。つまり青山達は当初警視庁で係長をしていたので警部の一般だったのが、警部の管理職になって所轄署に出て課長となり、さらに警視に昇任した訳ですね。

 警視の階級章

 警視も管理監級と所属長級に分かれ、管理官級は副署長、警視庁管理官、署の課長、所属長級は警視庁課長・理事官、署長となるそうです。本作では警視に昇任したてなので管理官級の警視で、次作「濁流資金」では本庁に戻って管理官になっています。署長とかになるにはさらに所属長級の警視にならないといけないのですね。こういう警部や警視にも内部に段階があるという話はさすが元警視庁警部ならではだなと思います。普通の小説家では知りもしないことでしょう。

暴力団

 今回は香港と東北という中国マフィアの対立を軸に、半グレ団体や暴力団を絡めて日本の政財官を巻き込んだ一大疑獄事件を一網打尽にする話で、第3弾「報復連鎖」から続く展開となっています。というか暴力団岡広組や半グレ団体東京狂騒会、そして中国マフィアはシリーズに一貫して登場してくる敵ですね。

半グレ集団 

 今回は警察内部での腐敗、特に警察キャリア官僚の腐敗が描かれていて、現職でおかしくなる奴や幹部を務めた後でおかしくなる奴など、いろいろいます。また、公安課が刑事課や生活安全課からあまり良く思われていないなど、普通の警察小説でも良くある展開が出てきますが、やはり濱嘉之の場合はその切り口が極めてインサイダー的で、通り一辺倒ではないのがいいですね。

中国マフィア 

 興味深いのは警察にもパワハラ・セクハラ防止の波が来ていることです。いや、もう全日本的な風潮なんで警察だろうが自衛隊だろうが逃れられないのでしょうが、パワハラ事案を起こした過去のある職員は管理職として出世させないというルールが確立しているのが興味深いです。もちろんずっとパワハラが表面化せず、管理職になってから地位に目が眩んで(?)堂々パワハラデビューという人もいるんでしょうけど、やはりパワハラをする人はそれ以前から兆候があるのが普通のようです。パワハラをしても真摯に反省して再発させないなら、再びチャンスを与えてもいいとは思いますが、パワハラをする奴に限って反省が見られないことが多いのですよね。……だんだん私自身の経験に突入しそうなのでこの辺りで止めときますが。

覚醒剤 

 中国に関しては、マフィアのみならず中国共産党とか中国政府といった中国の国全体について言及しているんですが、結構ラディカルな主張になっています。このあたり、中国の消息筋が読んだらどういう感想を持つのかちょっと知りたい気がしますが…やはり一笑に付すのかなあ。でも権威筋が言っていることが必ずしも正しいかと言えば…。

カジノ 

 警察小説を書く小説家はあまたあれど、刑事警察の敵役とか悪役として描いた作品はありますが、公安警察そのものを描いた作品は非常に少ないですね。そして今後、濱嘉之の向こうを張って本格邸に公安警察ものを書こうという人は日本にはいないんじゃないかと思います。

売春 

好きな声優さん(番外):肝付兼太~70-80年代の名声優

秋深し

 今日も良い天気で思わず秋深し…なんて人の俳句を呟きたくなる時候ですが、なんと明日は立冬。暦の上では冬ということになりますね。でも私の中では11月は秋。同様に立春のある2月は冬で、立夏のある5月は春で、立秋のある8月は夏です。

肝付兼太その1 

 さて本日は「好きな声優さん」の番外編で、先日(10月20日)亡くなった肝付兼太を取り上げたいと思います。深夜アニメというのがなかったせいで、今ほど本数がなかった60年代から80年代のアニメ作品にはとにかく出演していたという印象があります。

肝付兼太その2 

 肝付兼太は1935年11月15日生まれで鹿児島県出身。肝付氏というのは大隅の戦国大名で、島津氏と激しい勢力争いを繰り広げた挙げ句に敗れて家臣になりましたが、元は朝廷で物部氏と共に軍事を司っていた大伴氏だそうです。

語っている肝付兼太 

 当初はエノケンこと榎本健一に憧れて映画俳優を志したそうですが、祖母から「映画俳優をやれる容姿ではない」と諭され、ラジオドラマなどで声のみで出演する声優の仕事を目指したそうです。声優としてデビューした後もそれ一本では食べていけず、様々なアルバイトをしていたそうですが、その辺りは今の若手も変わらないような。

スネ夫と共演する肝付兼太

 60年代中盤の頃にアドリブが藤子不二雄に気に入られ、以降藤子作品には必ずといっていいほど出演するようになりました。特に「ドラえもん」のスネ夫役は26年間も務めたことで知られますが、2クールで終わった幻の日本テレビ版「ドラえもん」ではジャイアンを演じていたという意外な事実もあったり。

ジャングル黒べえ 

 それでは肝付兼太の演じたキャラの紹介です。非常に多いので、特に私の印象に残っているキャラに限定させていただきます。ほぼ年代順ですが、まずは初主演作品「ジャングル黒べえ」の黒べえ。アフリカの密林に住むプリミー族の王子である黒べえが得意の魔法や呪術で騒動を巻き起こす、というギャグタッチの作品でした。呪文の「ウラウラベッカンコー!」や「これジャングルの常識」が記憶に残っています。

ベッカンコ! 

 「ちびくろサンボ」を一時絶版に追いやった「黒人差別をなくす会」が猛威を振るった際、藤子作品でも「オバケのQ太郎」のエピソードがやり玉にあげられました。「ジャングル黒べえ」は直接の抗議を受けませんでしたが、後難を避けるために自主回収され、「封印」されてしまいました。漫画作品の方は2010年に復刊され、80年代以降は長らく再放送がなかったアニメ版も2015年にようやくDVD-BOXが発売されました。

ギャートルズの父ちゃん 

 「はじめ人間ギャートルズ」の父ちゃん。園山俊二原作の原始人ギャグアニメです。主人公ゴンの父ですが、固有名称は全く不明で、ただ「父ちゃん」。これは「バカボンのパパ」の上を行っていますね。

猿酒を飲む父ちゃん 

 年齢は40歳で、好物は猿酒。これは猿に果実を食わせて吐き戻させたものを発酵させるという、お相伴にはあずかりたくない製法の酒です。いつも赤ら顔で猿酒呷って「プハー」とやっていた印象が強いですが、一人でマンモスを仕留めたり、死神と戦ったりと結構勇ましいところもあります。ただ強さは安定せず、猪に負けるポカもあったりして。 

ベロスタン 

 「勇者ライディーン」のベロスタン。ライディーンの宿敵である妖魔帝国の祭祀長です。物語前半ではベロスタンが石の山に呪文を唱え、悪魔王バラオ像の眼から怪光線が発せられることで化石獣が生まれていました。「命さずけよ~」。

命授けよ~ 

 第27話でシャア・アズナブルの原型ともいえる仮面の美形敵キャラのプリンス・シャーキンが激闘の末倒れますが、死の間際に捧げた祈りによって石像に封印されていた悪魔方バラオが復活するのですが、その際に地割れに飲まれてあえなく死亡してしまいました。

殿馬一人 

 「ドカベン」の殿馬一人。明訓高校では主人公山田太郎の同級生で、岩鬼、里中とともに明訓四天王の一角です。ポジションはセカンドで打順は不動の二番。ドカベンでは数々のライバルが登場しましたが、投手としては最高峰と思われる白新高校の不知火守は、山田太郎をしばしば手玉に取っていたのに対し、殿馬を非常に苦手にしていました。

走る殿馬 

 音楽の天才で世界一の指揮者から楽団に招聘を受けたほどです。音楽センスを生かしたリズム打法による打撃を得意とし、奇想天外な打法で放つ数々の「秘打」が代名詞です。有名なのは「秘打・白鳥の湖」。守備も超一流で、リズムを刻みながらこなします。語尾に「づら」がつくのが特徴的な口癖です。

敬礼車掌さん 

 「銀河鉄道999」の車掌さん。この前も取り上げましたがやはり外せません。本名は不明な銀河鉄道株式会社の職員で、星野鉄郎、メーテルと並ぶ主要レギュラーでした。駅に到着する前に、停車駅と停車時間を知らせるために登場するのがお約束でした。

役得車掌さん 車掌さんの中身

 規則に忠実でくそ真面目な性格で、最初期は規則を破った乗客を宇宙空間に放り投げることもありましたが、旅が続くうちに親しみやすい人物として描かれるようになりました。目だけが光る異形のせいで、肝付兼太は今まで演じてきたキャラクターの中でも一番演じるのが難しかったと語っています。高圧ガス体の透明人間であるという正体は教えられていなかったそうですが、「最初から正体が空気だと分かっていたら、演じようがなかった(笑)」とも述べています。

骨川スネ夫 

 「ドラえもん」の骨川スネ夫。会社社長の息子で裕福な家庭の子ですが、ジャイアンの子分的な立場にいます。キツネ顔で前から見ても横から見ても山形に見えるという独特な髪型をしており、ナルシストでイヤミで強者には徹底してへりくだっており、まさに「虎の威を借る狐」を地でいっています。

正面から見たスネ夫 

 有名私立中学への進学を志望しているそうで、資力にものを言わせて塾に行ったり家庭教師をつけられたりしていますが、そのわりに成績は平凡で、劣等生ののび太やジャイアンよりは優れていますが、しずかちゃんには劣ります。体力も低め。じゃあ家が裕福というのが唯一の取り柄か(笑)。リッチでレアなコレクションと体験談で他人を羨まらしがらせたり悔しがらせることを好みますが、特に反応するのがのび太で、のび太がドラえもんに道具を出してくれるよう懇願する発端の多くはスネ夫の自慢話です。そういう意味では狂言回しとしては優秀とも言えますね。

イヤミ 

 「おそ松くん」のイヤミ。これはアニメ第二作のフジテレビ版です。原作者の赤塚不二夫は、早口で紳士的な口調でしゃべる第一作の小林恭治イヤミと全く違う、嫌味な部分やずる賢さを全面的に押し出した肝付イヤミに否定的だったそうです。

悪そうなイヤミ 

 「10年前にこの役をやれたら、もっとテンション上げられたのに」と語っていますが、それでも「今日は毛細血管が7本切れた」というくらいテンション高く演じていました。余談ですが、当初見かけが良く似ていると言われる明石家さんまにイヤミ役のオファーがあったそうですが、ギャラが合わなかったらしく事務所が勝手に断ってしまったそうです。後日さんまは「心残りだ」と語っています。

ホラーマン 

 「それいけ!アンパンマン」のホラーマン。骸骨のオバケで見掛けによらずひょうきんです。ばいきんまんが住むバイキン城の居候で、お調子者だが憎めない性格で、基本的に優しいため誰とでも仲良くなれます。当初はアンパンマンを襲撃していましたが、失敗ばかりして敵味方に笑われ、そのうちアンパンマン達とも仲良くなってしまいました。

バイキンマンとホラーマン 

 そのため公式サイトでは「アンパンマンとばいきんまんの両方の仲間」と紹介されている中立キャラで、積極的に悪事に加担する事は少なく、仲良くなったゲストキャラクターを守る為にばいきんまんに攻撃を仕掛ける事も厭わず、ジャムおじさんのパンの配達を手伝ったりもしています。モデルは淀川長治で、やなせたかしはホラーマンは一回で消えるキャラクターだと思っていましたが、いつの間にか人気者になり、本人もお気に入りになったそうです。

じゃじゃ丸 

 スネ夫を降板した後も、ホラーマンとしては今年の劇場版アンパンマンまで出演していた肝付兼太。後任は誰がやるんでしょうかね。アニメの他にも「おかあさんといっしょ」の「にこにこぷん」でじゃじゃ丸を演じていました。謹んでご冥福をお祈りします。どうか安らかに。

飛躍:「交代寄合伊那衆異聞」シリーズ読了しました

小春日和

 小春日和の穏やかな良い天気でした。だから11月はすきさ。小春日和って晩秋から初冬にかけて使いますが、昔は旧暦10月を小春と呼んだらしいです。といって春に小秋と呼ばない不思議。

北米のインディアン・サマー 

 英語では同様の気候をインディアン・サマーと言いますが、なんでインディアンの夏なんでしょう。諸説あるそうですが、ちょっと暖かくてもいずれは冬に向かう“偽物の夏”というニュアンスで、先住民への偏見を込めているという説がリアリティありそうとか思ってしまいます。インディアンの伝説では、冬眠前の神様が吸ったタバコの煙で暖かい日が来るのだとか。

飛躍 

 本日は佐伯泰英の「交代寄合伊那衆異聞」シリーズ第23弾「飛躍」を紹介しましょう。「交代寄合伊那衆異聞」シリーズについては、これまで当ブログでも2012年12月21日の記事(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-225.html)と2014年1月22日の記事(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-623.html)で取り上げており、今回が三回目ということになりますが、最後でもあります。そう、完結してしまったのです。

茶葉 

 前回が第18弾「再会」まででしたので、以後の巻のあらすじをかいつまんで紹介しておきましょう。まず第19弾「茶葉」。「再会」で宿敵でもあった黒蛇頭(要するに中国マフィア)の内紛に巻き込まれ、囚われの身になった主人公座光寺藤之助ですが、わりとあっさりと脱出。ついでに大陸を見ておこうと、長江を遡っていきます

中国の茶畑 

 中国の茶葉を巡っては、紅茶に目のないイギリスと清国の対立が激しく、茶葉の秘伝を盗もうとする茶葉密偵(プラント・ハンター)が暗躍する中、交易品として日本の茶葉も使えないかと模索します。一方、東南アジアでの初貿易を終えた妻玲奈と本隊は、交易品を満載してバタビアを出港、帰途に就きます。

開港 

 第20弾「開港」。帆船の船倉を一杯にして初交易から戻ってきた玲奈達本隊と合流した藤之助。長崎では洋上披露宴としゃれ込みます。との二人の洋上披露宴に、長崎は沸く。一方、権力を握った幕府の大老井伊直弼は、藤之助と東方交易の力・権益を一手に握るべく、新たな謀略を巡らせます。日本は下田と函館の他、横浜が開港され、これまでの東方交易の本拠地であった長崎の貿易港としての地位が揺らいでいきます。

暗殺 

 第21弾「暗殺」。安政7年(1860年)3月の雪の桜田門外。藤之助と東方交易を引き込もうとし続けていた大老井伊直弼の駕篭が浪士団に急襲されます。これで大老からは逃れたものの、日本の行く末は一層混沌としていきます。しかし我が道をいく藤之助は、インド洋で英国も手を焼く海賊団と一戦を交えて壊滅させたほか、海賊団の襲撃で中破した英貿易船ベンガル号を積み荷ごと購入します。修理は必要ですが、これで東方交易の船団は三隻体制に。

血脈 

 第22弾「血脈」。宿敵だった黒蛇頭の大親分老陳は、死の床に藤之助を呼び、長崎に孫娘がいることを明かし、庇護を頼んで逝きます。長崎で発見したのは、しかし双子の兄妹でした。これを保護して、老陳の遺産ともいえる巨大な宝石ごと玲奈の実家である高島家に預けた藤之助は、今度は台風で消息を絶ち、日本の悪商人に拿捕された東方交易船団の一隻・ストリーム号の捜索に向かいます。今巻末尾で作者は次巻で完結とアナウンスしました。

安政の大地震 

 第23弾「飛躍」。安政2年(1855年)の安政江戸地震からスタートした本シリーズもかれこれ6年が経過して今や文久元年(1861年)。公武合体やら尊皇攘夷やらと世間はますます騒がしくなる中、14代将軍家茂への皇女和宮の降嫁が計画され、またもや幕府は藤之助達に和宮一行を海路運ばせようとしてあれこれ蠢動します。

累計350万部 

 一方、将来の貿易の中心地は横浜と考えて東方交易横浜支店を立ち上げた藤之助ですが、攘夷浪士の襲撃を受けて支店は焼き討ちされ、長崎の中国人商人のリーダーで、東方交易の共同出資者であり藤之助と玲奈の後見人的立場にあった黄武尊(黄大人)が殺害されてしまいます。

23巻完結セット 

 恩人の仇討ちを決意した藤之助は、またも交易を玲奈に委ね、横浜に向かいます。そして調査の結果、攘夷浪士を装った老中安藤信正の用人棚倉茂兵衛の凶行であったことを知ります。情勢の悪化により横浜を一旦撤退することを決めた藤之助は、仇討ちを棚倉一行に留めるか、その主人である安藤信正まで標的にするか、決断を迫られます。

桜田門外の変 

 「血脈」で完結を決意した理由として、幕末に突入して様々な著名人が活躍する時代になると、あくまでフィクションである座光寺藤之助とその一党を活躍させにくくなったからだそうです。そんなの最初から判ってたんじゃないのかと思えますが、作者自身も甘く考えていたのかも知れません。

ベンガル号のイメージ 

 SFならそこからIFの世界に突入させて、藤之助達の大活躍で全く異なる明治維新を迎えるという展開もありなんですが、時代小説の他に冒険小説やミステリー小説なども書いていた佐伯泰英も、SFの造詣は深くないようで、そこまで踏み出せなかったようですね。ケイオスケイオスの日本を尻目に再び貿易の旅に向かう藤之助。再び日本に戻ってくるとは言っていますが、それを書かれることはないのでしょう。

コルト・ウォーカー 44口径 

 シリーズを回想すると、藤之助をあまりにもスーパーマンにし過ぎたかな、という印象があります。どんなピンチに陥っても「どうせなんとかなるんだろ」と思わせる、まさに和製ジェームス・ボンド。剣は達人、銃も名手で、外国語は苦手ですがそこは達者な妻玲奈がいるという。呼んでいて爽快ですが、これほどの逸材が幕末の日本にいたらそりゃあ歴史が変わるわ(笑)。

剣豪達 

 ラスト、突如阿部鉄扇兼次という剣豪が現れ、「その名が煩わしい」と言って勝負を挑んできます。あちこちで藤之助の姿を観察していて手の内を知っており、冨田天真正流という剣術の達人でもあり、珍しく藤之助を圧倒しますが、捨て身の攻撃でやはり敗れてしまいます。この人、もっと前から登場させて伏線を敷いておけば最後の敵としてもっと存在感があったと思うのですが、今回いきなり登場して、なぜか極秘行動している藤之助の行く先々に登場するというのはいささかチートに見えました。

ショート・ラウンド 

 あと後半にも味のあるキャラが登場してきたのですが、あまり活躍できないままに物語が終わってしまったのがちょっと残念です。上海の中国人少年李頓子はお気に入りだったらしくて長く活躍しましたが。

藤源次助真 

 あと座光寺家には将軍家と「首切安堵」という密約があり、将軍が戦いに敗れて死ぬ際にはその首を伐って敵に奪われぬようにするのが任務でした。そのためだけに旗本(交代寄合)を務めていたといっても過言ではなく、藤之助もしばしば「首切安堵」をどうするべきかと思案に暮れていたのですが、最後はあっさり「幕府では誰も覚えてないからいいや」的な放り投げをしてしまいました。それなら旗本を改易された際に、「首切安堵」の密約を幕閣の誰も知らなかったことが明らかだった訳で、その時点で放り投げて良かったじゃないかしらん。

スペンサー銃 

 何はともあれ、2005年から10年かけて完結した一大シリーズ、楽しませて貰いました。お疲れ様でした。

艦隊これくしょん-艦これ-(その6):マップの進展はありませんが近況報告

文化の日らしい行事

 本日、文化の日である11月3日は「晴れの特異日」と言われます。確かに今日も晴天ですな。特異日というのは、その前後の日と比べて偶然とは思われない程の高い確率で、特定の気象状態(天気、気温、日照時間など)が現れる日のことで、日本だけでなく世界でも認められた概念で、英語では「シンギュラリティ」(singularity)と呼ばれます。

特異日 

 ただし、ある気象状態(例えば晴天)が、「その前後の日と比べて」大きな確率で現れるなければ特異日とは呼ばないということで、毎年ある特定の日に晴れが多くても、その前後の日も晴れが多いならば、特異日とは呼ばれません。例えば雨期乾期がある地域で、乾期のまっただ中に、毎年ほぼ必ず雨の日があるならばこれは特異日ですが、雨期のまっただ中で毎年雨が降っている日というのは特異日とは呼べませんよね。そういえば昨日の夜は小雨に降られましたよ。

晴れの特異日 

 ただ、文化の日については、戦前は確かに晴天の回数が多くて特異日でしたが、1950年代から1960年代初めにかけてはしばしば雨になり、気象学関係者の間では特異日から外す意見もあったそうです。その後持ち直し、晴れることが多くなっているので相変わらず特異日とされていますが、特異日の発生原因も、こうした変動の理由もはっきりしないということで、大変面白いですね。

秋祭り中の鎮守府 

 さて本日の本題は「艦隊これくしょん」です。南方海域に入って1か月半経過した訳ですが…特に進展はありません。つまっているというよりは、南方海域突入のために無理しすぎて各種資源が枯渇してしまい、民力休養中なのです。プレイしないでいると、艦隊司令部に比例した限度までは自然回復するのですが、プレイしないのは淋しいし、プレイすると資源が減るしのジレンマに悩んでいます。

レベル98の少将になりました 

 ご覧のとおり艦隊司令部レベルは98で階級は少将となっています。艦隊司令部レベルはプレイしていれば自然に上がっていますが、階級は戦果によって上位から与えられる称号なので、活躍が足らなければどんなに艦隊司令部レベルが上がっても普通に降格します。少将は上位20%以内、大佐は上位40%以内が目安ですが、休眠中の提督もたくさんいると思われるので、まあ普通にやっていれば大佐はキープできますかね。ただ、仮にも「提督」と呼ばれてる以上、やはり少将以上でないとさまなにならない気がします。

艦これの称号一覧 
少将なら提督でもさまになります 

 資源枯渇の理由は他にもあって、艦娘の育成に力を入れていました。蒼龍と飛龍の五航戦コンビを「改二」にしました。なぜ五航戦かといえば、一航戦(赤城・加賀)は強力なんですが改二設定がまだなされておらず、五航戦(翔鶴・瑞鶴)は翔鶴がなかなか来てくれなかったからです。また五航戦については、改二にするのに「改装設計図」が必要だというのもネックです。これは勲章を4つ消費することで得られるのですが、勲章を入手するには各海域のExtra Operation(1-5,2-5,3-5,4-5,5-5,6-5)を制圧しなければならず、難易度が高いのと月イチでしか制圧が認められません。

 蒼龍改二飛龍改二
扶桑改二 

 現状では1-5と2-5しかクリアすることは難しいので、勲章は最大月2個しかゲットできません。なので改装設計図は2か月に一枚しか得られないということに。その貴重な改装設計図を使って先日改装したのは「不幸姉妹」の長女扶桑さんです。山城も改装可能なレベルになっていますが、12月にならないと改装できません。

1-5マップ
2-5マップ 

 改装結構なんですが、弾薬・鋼材を大量に消費するので、この三隻を改装したことでわが鎮守府はぐっとボンビーになってしまいました。キングボンビーに来襲されたような気分です。しかも現有戦力では、1-5(鎮守府近海)はともかく2-5(沖ノ島沖)クリアのためには多大な犠牲が出てしまい…。その修復にもまた資源が必要なんですよ。

キングボンビー来襲 

 なんか愚痴ばかりになってしまいましたが、プレイしていれば徐々に艦娘のレベルも上がり、いずれはクリアできることでしょう。それまでに飽きなければ、ですがね。

浦波 浦波改

 それでは新規加入の艦娘を紹介しましょう。前回紹介した駆逐艦初風以降ということになります。まずは駆逐艦浦波。改装して浦波改にしてあります。吹雪型の10番艦で今年9月16日のアップデートで新規実装された出来たてほやほやの艦娘ですが…ひたすら地味な子です。運営も「特に強力な戦闘力を持つ新艦娘ではない」と事前告知していましたが、容姿まで地味子にせんでも。CVがグラマーで有名な上坂すみれなのにも関わらず、胸が空母の飛行甲板なみにフラットそうです。

秋雲 秋雲改

 駆逐艦秋雲。改装して秋雲改にしています。陽炎型の末っ子なのに服装は次級の夕雲型という妙な艦娘です。これは史実で一時期夕雲型と考えられていた事実に由来しているそうです。陽炎型の艦娘は19隻もいるのですが、激レアが多いせいで入手しているのは7隻のみ。今後入手に努めなければならないのですが…まあいうても駆逐艦なんで、どんなにレアでも劇的な強さというのは期待できません。コレクション要素ですね。

伊19 

 潜水艦伊19。潜水艦は数字をもじっていることが多く、伊168はイムヤ、伊58はゴーヤ、伊8は「はっちゃん」といった感じなんですが、伊19は「イク」。女の子らしい名前だなとは思うのですが…編成や出撃の際に「イク、行くの!」と叫んだり、スク水に魚雷という構図といい、「大丈夫かよ、オイ」という気分になるのは私だけでしょうか?おかしいなあ、「艦これ」はR18のアダルトゲームじゃないんだけどなあ。ただし、DMMオンラインゲームの規約により18歳未満は登録不可=プレイ不能なので、まあ下ネタっぽいのをぶっこんできても構わないのでしょうが。

能代能代改 

 軽巡洋艦能代。改装して能代改にしています。量産された軽巡洋艦としては帝国海軍の最終型である阿賀野型の二番艦です。翔鶴欲しさに資源を浪費する「大型艦建造」を行ったところ出てきました。あれだけ資源を投入して軽巡洋艦ではわりが合わないのですが、ドロップだと未開拓な6-3のボスドロップという難易度なので、早めに出逢えて良かったというべきでしょう。阿賀野型は総じて性能が高い(軽巡洋艦としては)のですが、まだ改二が設定されていないので育成に力が入りません。末っ子の酒匂が来るのはいつの日か。

翔鶴姉 翔鶴改

 正規空母翔鶴。改装して翔鶴改にしてあります。能代と同時期に入手しました。普通の空母建造レシピでやって来てくれた優等生。おっとりしていてさらさらロングヘアの「俺の嫁」最右翼の艦娘です。リキ入れて育成したので瑞鶴と並んでレベル65になりました。これで五航戦として共同行動が取れるというものです。

 翔鶴愛してる

 いい娘なんですが、天然なところがあるらしく、戦闘でMVPを取ると、「提督!私やりました!艦載機の子達も、随伴艦の皆さんも、本当に頑張ってくれました!感謝です!」と言うのです。旗艦であったなればともかく、自分が随伴艦の立場でも他の艦娘を「随伴艦」呼ばわりするんですよね。

加賀と瑞鶴

 この娘に限って悪意はないと思うのですが…そういうところが加賀に嫌われて「五航戦の子なんかと一緒にしないで」とか言われてるんでしょうかね。絵的には勝ち気な瑞鶴が絡みますけど。 

Z1.png 

 Z1。正式名称はレーベリヒト・マース。1934型駆逐艦の一番艦で、我が艦隊初の海外艦娘です。任務「潜水艦派遣による海外艦との接触作戦」の成功報酬なので、任務をクリアすれば必ず入手できるのですが、この子を入手する道のりは長かった。潜水艦を4隻手に入れ、レベルを55以上に上げて、1回48時間かかる潜水艦派遣作戦を4回クリアしなければならないという。伊19が来てくれたのでようやくクリアできました。通常海域でもドロップするらしいでうが、激レアらしいので手間は掛かっても任務でゲットするのがまだしも楽でしょう。

Z1オクトーバーフェストバージョン 

 艦娘の秋季限定グラフィックは浴衣姿が多いのですが、ドイツ娘らしくオクトーバーフェスティバル風になっています。もう11月だけど…ま、可愛いからいいか。

Z3.png 

 Z1を旗艦にして建造を行うことで姉妹艦のZ3(マックス・シュルツ)が、大型艦建造を行うことで戦艦Bismarck(ビスマルク)が建造可能ということなので、ドイツ艦娘を集めてドイツ大洋艦隊設立を目指したいところなんですが…正規空母グラーフ・ツェッペリン、重巡プリンツ・オイゲン、潜水艦U-511は現在入手不可なので、当面は無理でしょう。

ビスマルクグラーフ・ツェッペリン 
プリンツ・オイゲン U-511.jpg

 なお、U-511は改装すると帰化して呂500になってしまいますが、類似の例は他の艦娘にもあって、駆逐艦響は改二になるとВерный(ベルーヌイ)になります。これはソ連に賠償艦として引き渡された後の名前ですが、それなら駆逐艦雪風も改二が設定されると「丹陽」になってしまうのか。

呂500 ベルーヌイ

 最後に本日ゲットした潜水母艦大鯨。

大鯨 

 我が艦隊、そして艦これ初の潜水母艦です。似たような名称に潜水空母というのがあって混同してしまいがちですが、潜水空母が艦載機を搭載した潜水艦なのに対し、こちらはれっきとした水上艦です。潜水艦を接舷させて食料、燃料、魚雷その他物資の補給を行ったり、潜水艦乗組員用の休息施設もあって、乗員の休憩にも用いられます。

龍鳳 

 補助艦艇で戦闘艦艇ではないので戦闘には不向きで、戦闘時の特殊能力もありません。改造すると軽空母龍鳳になりますが、軽空母は結構持っているのに対し、大鯨がいないと実行できない遠征や任務があるようだし、改装には改装設計図が必要らしいので、当面は潜水母艦のままオナシャス。CV小倉唯はとっても可愛いです。放置ボイスの「て・い・と・く♡」で萌え死にしそう。

長門 大淀

 今後は山城の改二を筆頭に、金剛四姉妹の改二、妙高四姉妹の改二を目指していきたいと思います。入手したい艦娘としては連合艦隊旗艦が来てくれないとサマにならないので戦艦長門。え?大和ですか?あの人を養える力はまだ我が艦隊には…。それと連合艦隊旗艦つながりで軽巡洋艦大淀も。

鹿島 

 あとあんまり役には立ちそうにありませんが、可愛いので練習巡洋艦鹿島が欲しいですね。グラマラスなのにロリっぽいせいか、エロ同人誌では大人気みたいです。

大鳳 

 そして装甲空母大鳳。巨人大鳳玉子焼きです←その大鳳は横綱の方ですがね(笑)。これは容姿の可愛さもですが、戦力としても是非欲しいです。それにCV能登麻美子ですってよ、奥様!「まるゆ」といい、「艦これ」では能登さんにロリっぽい艦娘を充ててますが、「わかってる」としか言いようがありませんな。
  
大鳳とまるゆ 
 

今日からワーキングプアになった:ひたすらガクブルな「他山の石」

11月になりました
 
 私が一年で一番好きな11月がやってきました。何が好きって、なんにもイベントがないところがいいですよね。七五山とかボジョレー・ヌーヴォー解禁とかはまあ大したことないですし、気候も比較的穏やかだしまだそれほど寒くないし。

今日からワーキングプアになった 

 本日は増田明利の「今日からワーキングプアになった」を紹介しましょう。サブタイトルは「底辺労働にあえぐ34人の素顔」です。一億総中流と言われた日本。いつのまにか変わったのか、それとも最初から単なる幻想だったのか。

今日、派遣をクビになった 

 増田明利は1961年生まれで80年都立中野工業高校卒。ルポライターとして取材活動を続けながら不動産管理会社に勤務しています。96年に「壊れかけの高校生」で作家デビューしました。

 壊れかけの高校生

 03年からホームレス支援者、NPO関係者と交流を持ち、長引く不況の現実や深刻な格差社会の現状を知り、声なき彼らの代弁者たらんと取材を行っています。

今日、ホームレスになった 

 08年の「今日、ホームレスになった 平成格差社会編」が20万部のベストセラーになりました。近著に「今日からワーキングプアになった」ね「仕事がない! 求職中36人の叫び」(平凡社)などがあります。「仕事がない!」は 吾妻ひでおが表紙を書いていますね。

仕事がない! 

 「今日からワーキングプアになった」は2015年10月5日彩図社から刊行。裏表紙が目次になっていて内容紹介がないので、今回はAmazonの内容紹介です。

ブラック企業 

 累計40万部突破のベストセラー「今日、ホームレスになった」シリーズの著者が取材対象に選んだのは「ワーキングプア」。
 正社員でも生活できない人たち、突然の失業で追い込まれた人たち、女性ワーキングプアの実態、底辺労働に希望が見いだせない若者たちなど、現代社会のいびつな構造を明らかにするノンフィクション。

今日から日雇いになった 

 ということで、作者が34人のワーキングプアな人々に取材して、その主張を収録しています。特に作者の思想・主張といったバイアスがかかっていないので、描写は淡々としていますが、シビアでリアルな現実を見せつけられる思いがします。

お金がない! 

 正社員なのにブラックな企業のせいで低所得に喘ぐ人達、会社が倒産して派遣労働者やパートやアルバイトに“堕ちた”人達…。ダブルワークや夫婦でアルバイト・パートにいそしんで現在の生活を維持する人がいれば、正社員→派遣→日雇い→ホームレスと、とことん堕ちてしまった人あり。そうなるにあたっては、その人自身に何らかの原因・理由がないとはいえませんが、「最初に入った会社が健在なら…」という嘆きを聞くと、本当に運次第なのかなあとも思ってしまいます。バブルの頃はそれなりに羽振りが良かった人もいて、一瞬先は闇と言わざるを得ませんね。

リーマン・ショック 

 08年のリーマン・ショックからの世界的金融危機と、11年の東日本大震災が日本の経済に大きな影響を与えたことが読み取れます。リーマン・ショックに関しては、日本は長引く不景気からサブプライムローン関連債権などにはあまり手を出していなかったため、直接的な影響は当初は軽微でしたが、世界的な経済の冷え込みから消費の落ち込み、金融不安により急速なドル安が進んだことで、米国市場への依存が強かった輸出産業から大きなダメージが広がり、日本経済も大幅な景気後退に繋がっていきました。東日本大震災についてはもはや言うまでもないでしょう。

東日本大震災 

 「おわりに」で作者は、政府や自治体の無策を糾弾するでも、政治運動を煽るでもなく、中流以上のポジションにいて本書を読んでも「ほーん」と危機感が希薄であろう人達が危ないと警告しています。管理職として働き、平均以上の収入を得ていた人が、賃金体系の変更、リストラ、倒産などで突然、ワーキングプアに転落するという事例は掃いて捨てるほど転がっており、決して「対岸の火事」ではないそうです。そして一度ワーキングプアに転落してしまうと、雇用慣行や社会福祉の貧弱さから、ワーキングプアから脱出するのが極めて難しいのが現状であると。

一億総中流の幻想は残る 

 先に書いた「一億総中流」の「中流」ですが、中流階級ってどのあたりなんでしょうかね?平成26年度の内閣府の世論調査によれば、「上・中・下」のなかで、自分が「中の上」「中の中」「中の下」に当てはまる(つまり中流)と答えた人は、依然として90%を超えています。格差社会だの貧困問題などといいながら、程度の差はあれ、未だに「一億総中流」の幻想は健在なのかも知れません。 
 
 世帯平均所得の推移

 ところが、平成25年の1世帯当たり平均所得金額は、「全世帯」で528万9千円となっています(「高齢者世帯」が300万5千円、「児童のいる世帯」が696万3千円)。すると300万~700万あたりが中の上から中の下までの中流階級と言えないこともないと思えるのですが、ここに達しない「200~300万円未満」が14.3%、「100~200万円未満」が13.9%となっています。

ネットカフェ難民
 

 合わせて28%以上いるこの人達は下流と呼ばざるを得ないと思うのですが、上記世論調査で自身を「下流」だとするのはたったの4.6%しかいません。つまりそれ以外の人達は、実態として下流階級なのに中流階級だと思い込んでいるということに…

 高学歴ワーキングプア

 ちなみに上流階級とか中流階級といった言い方をすれば、「階級」というものが年収だけで測れるのかという問題が出てきます。実際欧州では

上流階級 

 上流階級=食べる為、生活の為には働かない、又は働かなくてもよい人達。つまり王侯貴族や聖職者など

中流階級 

 中流階級=生活の為に働く事によって、上流に近い生活が出来る人達。資産階級、ブルジョワ、頭脳労働者など幅広い人々が含まれますが、英語の“middle class”は、“一家の稼ぎ手が不慮の事故等で死亡した場合でも、残された家族は(それまでに築かれた資産により)従来と同じ生活レベルを維持でき、その子供達は、自分の望む最終学歴をまっとうできる”階層だそうですので、本来は日本で考える以上に裕福な階層のように思えます。

堕ちたセーラ 

 …するってえと、資産家のパパンが死んだだけで特別寄宿生から屋根裏部屋の使用人にまで堕ちた小公女セーラ・クルーは中流階級ではなかったんでしょうかね。まあパパンの死亡と共にダイヤモンド鉱山事業も破綻したということなので致し方ないのか。とりあえず「ダイヤモンド・プリンセス」はあんまりな異名だ(笑)。
 
復活のセーラ 

 セーラの場合は、失敗と思われたパパンの事業は実は成功しており、財産を預かっていた親友がセーラを探し求めていて、遂に出会った後は自身の財産まで継がせることにしてセーラの身元を引き受け、保護者になるので、再び「ダイヤモンド・プリンセス」にクラスチェンジするのですが、そういうことは現実にはまず起こりえないという。

下流階級 

 閑話休題、下流階級=生活の為に働かなくてはならない人達で、いわゆる労働者階級

ワーキングプアの高齢者 

 日本ではサラリーマンだって労働者じゃないかと思えますが、ここで想定されているのは単純労働者のことで、現代ではプレカリアート、すなわち不安定な雇用・労働状況における非正規雇用者や失業者が含まれるのだろうと思います。パートタイマー、アルバイト、フリーター、派遣労働者、契約社員、周辺的正社員、委託労働者、移住労働者、失業者、ニート等を包括し、貧困を強いられる零細自営業者や農業従事者等も含まれることがあったり。

ブラック会社に勤めてるんだが 

 日本ではあまり階級意識がない(本当はあるのかも知れませんが)ので、単純に所得で上流=金持ち、中流=並み、下流=貧乏と端的に分けられているのかも知れません。じゃあ自分はどこにいるんだろうかというのが問題になってきますな。

鬼の哭く街A立区 

 鬼の哭く街・A立区で育った私は、鬼の哭く街でもかなり貧乏な家の子だったので、当時の階級は下の中あたりだったのではないかと思います。働き出して今はどうかと言えば、おそらく中流のカテゴリーに入っているのではないかと思いますが、実感としては中の下ないし下の上という気がしてなりません。全然暮らしが豊かになったと感じないし。

UDの紋章 

 鬼の哭く街を背負ってしまっては、中流なんて言うのはおこがましい気もします。「北斗の拳」のマミヤの肩に“UD”の紋章が(多分焼きごてで)押されていたように、私の心にも「A立区」の烙印が押されている気がします。UDと言ってもマクセルじゃないよ、と若い人にはさっぱりわからないボケをかましてみたりして。

A立区のみなさん 

 他人から見て「お前は下流だよ」という生活をしているのに、自分では「俺中流」と思っているのと、他人から見て「お前は中流だよ」という生活をしているのに、自分では「俺下流」と思っているのは、どちらが幸せなんでしょうかね。

A立区のみなさんその2 

 資産なんかを一顧だにせず、現在の年収だけで上中下と分類するんであれば、そりゃあ中流からでも倒産とかリストラで一気に転落しますよね。逆に資産があればニートだろうとヒッキーだろうと高等遊民だろうと十二分に暮らしていけるという。やはり上流階級とやらに生まれたかったなあ。明日の朝、目覚めたらA立区で底辺になっていたらどうしよう。 

高学歴ワーキングプアのハンドサイン 
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