2016年秋季アニメ序盤の感想(その2):面白い作品が多くて嬉しいです

ファイターズ優勝おめでとう

 ファイターズが日本シリーズを制しました。特に野球に強い興味があるわけではなのですが、札幌で2年ほど暮らしたので、広島対日ハムとなれば当然ファイターズを応援するしかないでしょう。HTBの「イチオシ!ファイターズ」はまだやってるんでしょうかね

亜人第2クール 

 さてお待たせしました(え?別に待ってない?そんなー)。本日は2016年秋季アニメの感想の続編です。まずは「亜人 第2クール」。言わずと知れた「亜人」の二期です。4話(17話)まで視聴しました。

佐藤さんの殺すリスト 

 第2ウェーブ――“浄化”が始まった。石丸、桜井、岸、甲斐、李……リストの順番通りに殺されていく要人たち。だが、日本政府は断固としてテロリストには屈しない姿勢を貫く。水面下で動く、警察、対亜特選群、自衛隊、米国国防総省、そして、亜人管理委員会役人・戸崎と高校生亜人・永井圭。「第2ウェーブの終了とともに、我々は次のウェーブへとコマを進める。第3――それが、最終ウェーブだ」圭は、亜人である佐藤を無力化するための策を練るが、彼の気付かぬところで計画は綻びを見せ始めていた……。
 ついに動き出した、亜人過激派集団。史上最悪最凶のテロリスト・佐藤の真の狙いとは――?佐藤を止めるのは、誰だ。

永井と中野 

 ということで、佐藤さん一派は順調にテロ活動を続行中。主人公の永井圭は逃亡生活を送っていましたが、二期では執拗に追跡してきた仇敵とも言える亜人管理委員会の戸崎と手を組むことになりました。佐藤一派には5人の亜人がいますが、永井・戸崎連合にも永井のほか、佐藤一派から逃げてきた中野攻、戸崎が従前から“飼って”いた下村泉と亜人が3人となりました。他に佐藤の行動に反対してどこかに監禁されていると思われる秋山と、永井の親友で逃亡幇助により少年院に送られた海斗が出会った琴吹武という亜人がいるので、仮に全員仲間にすると5対5ということになりますが。

琴吹の黒い幽霊 

 琴吹の「黒い幽霊(IBM)」は腕の代わりに翼を持つという、非常にユニークな形状をしており、実際人を抱えて飛ぶことが可能なようです。IBMは通常見えませんが、物質なので歩けば足音がしたり足跡はできたりするのですが、飛行タイプなら野外においてはほぼ完璧な奇襲が可能になるでしょう。

永井のIBM 

 IBMは亜人によってかなり形状が異なっており、永井の限りなく人型に近いIBMはむしろ珍しいのかも知れません。亜人だからといって全員がIBMを出せるわけではないようで、作中でも中野や佐藤一派のゲン(はだしではない)はIBMを出せません。オグラ博士によると亜人は死んで再生する際にIBMを構成する物質を出すそうで、繰り返し死ぬことでIBMを発現させられるそうですが、亜人といってもIBMを出せるかどうかはかなりの差があるので、もし亜人の世界ができたとしても、IBMの有無で階級格差ができたりして。

下村泉 

 公式には日本に3人しか発見されていないとされる亜人ですが、ここまでで既に10人も存在しており、佐藤が厚生労働省前でパフォーマンスを行った際には、もっと多くのIBMが確認されています。100や200はいるのかも知れません。

IBMがうようよ 

 なお永井のIBMはひねくれもので、永井の命令の反対の行動ばかりしていましたが、オグラ博士によれば「長いことほったらかしにしていた」せいだとか。確かに永井は幼少期に自身のIBMを見ているので、10年以上放置していたと言えますが…

戸崎 

 私は亜人って普段は自分でも亜人であるという自覚はなくて、死んで生き返った時に初めて亜人であることが判明する、すなわち亜人として覚醒するのだと思っていたのですが、そういう訳でもないんでしょうかね。もしIBMを出すことができれば一度死ななくても自分が亜人だと自覚できるのかも知れませんが、死んで初めて亜人であることが判明する亜人は少数派なんでしょうか。

オグラ博士 

 亜人にはいろいろな謎があって興味が尽きません。亜人は誕生と同時に亜人なのか、それとも何らかの契機で亜人として覚醒するのか。亜人は死んでも再生しますが再生回数に制限はあるのか。佐藤みたいにおっさんの亜人もいますが、老化は普通の人間のようにするのか。その場合老衰で死ぬことはあるのか。10人登場した亜人のうち、女性は下村泉一人だけで男女比は9対1となっていますが、亜人の男女比には極端な差があるのか、などなど。

カッケエ佐藤さん 

 例えば20歳とか成長が止まった段階で亜人の年齢が固定され、死んでも全盛期の姿で甦るのならいいのですが、80歳とかになってよぼよぼになった亜人が死んで甦ってもやっぱり80歳のよぼよぼではあまりメリットはありませんね。生まれつき足の悪い亜人は甦っても足が治ることはないようですが、ガンとかで死んだ亜人はガンが消えるんでしょうかね。ガンのままだと完全に袋小路になってしまいますが。

3月のライオン原作絵 

 「3月のライオン」。4話まで見ました。タイトルに月が入っていることもありますが、雰囲気も「四月は君の嘘」に似ている気がします。主人公が天才だけど孤独だったりするあたりが特に。ルックスも似てるし。

桐山零と有馬公生  

 主人公・桐山零は、幼い頃、事故で家族を失い、心に深い孤独を背負う17歳のプロ将棋棋士。東京の下町に1人で暮らす零は、あかり・ひなた・モモの3姉妹と出会い、少しずつ変わり始めていく。これは、様々な人間が「何か」を取り戻していく、優しい物語。そして、戦いの物語――。

寝起きの桐山零 

 ……ということなんですが、原作を知っている人は承知のことなのかも知れませんが、アニメだけ見ているとここまで桐山の身の上が断片的にしか語られていないのでよくわかりません。

川本三姉妹

 桐山と関わる川本家の三姉妹も、長女のあかりが棋士の先輩に酒を飲まされて潰れていた桐山を介抱したのがきっかけで知り合っただけで、別に血縁でもなんでもないのですね。桐山にも両親がいませんが、川本家もお祖父さんは出てくるけど両親が不在のようです。ママンはわりと最近亡くなったようですが、パパンは?女作って出て行ったとかだったりして。

あかりホステスモード 

 それにしても川本三姉妹、10歳ずつくらい年が離れているというのはすごいですね。見た目長女のあかりは三女のモモのママンですよ。磯野家のサザエとワカメ以上の年の差ですが、本当に同母姉妹なんでしょうか。それはさておき、茅野愛衣(長女あかり)、花澤香菜(次女ひなた)、久野美咲(三女モモ)って、なんて素晴らしいラインナップなんでしょう。ぜひこの家に出入りしたいですな。あとこの家のネコ達はなぜか三姉妹の声で人語をしゃべる(笑)。

川本家のネコ 

 自称終生のライバル・二海堂もキャラが立っていていいですね。執事がいるという裕福な家庭の子らしいですが、将棋では桐山に苦杯を舐めさせられ続けてますな。でもモモちゃんには、「ボドロ」(となりの…)に似ているということで大受けしていました。

トトロ似の二階堂 
となりのボドロ 
 それどころかあかりさんまでもが二海堂を見て「雌の顔」になってしまうという(笑)。川本家キラーだ、二海堂。でもそのボドロ体型は幼い頃から腎臓を患っている影響らしく、肉とか脂とかピザとかを食べまくったせいではないようです。

雌の顔になりおって 

 全22話予定なので、桐山の境遇とか二海堂ほかの将棋で関わる棋士達とか、高校生活などについてはこれから本格的に描かれることでしょう。

終末のイゼッタ扉絵 

 「終末のイゼッタ」。5話まで視聴しました。はやみんが凜々しく美しいお姫様を演じていますが、こういう気品のある女性役はの本当にはまりますね。

対戦車ライフルに乗った魔女 

 1939年、ゲルマニア帝国は欧州の支配を目論み隣国リヴォニアに侵攻を開始、その戦火は瞬く間に欧州全域に広がった。翌1940年、侵略の矛先はアルプスの小国エイルシュタット公国にも向けられようとしていた。公国の公女・フィーネは極秘のうちに隣国のヴェストリアに移動し、ゲルマニアと敵対するブリタニア王国の要人と会談。同盟を前提とした同国王子との政略結婚に応じようとしていたが、その交渉の最中にゲルマニアがエイルシュタットに侵攻を開始、フィーネもゲルマニアの親衛隊に捕まり、飛行機で連行される。連行の最中、機内にあった謎のカプセルが突然開き、中にいた少女・イゼッタが目を覚ますと彼女から発した粒子が飛行機を破壊、フィーネを救い出すことに成功する。

フィーネ姫 

 どうみてもゲルマニアはドイツ、エイルシュタットは公国ということではモデルはリヒテンシュタインかとも思いますが、人口4万人以下ではドイツ相手に戦争にもならないので、オーストリアのチロル地方あたりが加わった感じでしょうか。オーストリア自体は第二次世界大戦開始前にドイツに併合されてしまったのでモデルにはなりませんな。

子供の頃のイゼッタとフィーネ 

 イゼッタは最後の魔女で、子供の頃に迫害を受けて殺されそうになっていたところをエイルシュタット公国のフィーネ姫に救われたことがあり、フィーネのために戦うことを誓います。

レイラインの地図 

 戦闘機・爆撃機や戦車隊すらも壊滅させる恐るべき魔力を振るうイゼッタですが、魔力は大地の地下に走る魔力の流れ「レイライン」を利用して行使するもので、レイラインが薄かったり無かったりすれば無力な女の子になってしまいます。かつてこれは魔女達の最高機密で、知った者は魔女の手で抹殺されるほどのものでしたが、もはや魔女はイゼッタただ一人になってしまったので秘密にする意味はなくなったとか。

魔女の急降下爆撃 

 そうはいっても戦争中なので、敵国ゲルマニアに知られる訳にはいかない国家機密には違いありません。でも情報漏洩しそうな雰囲気がプンプンしてきます。

弾も撃てます 

 エイルシュタットには、存亡の危機に陥った際に「白き魔女」が現れ、民を率いて国を救うという伝承があるそうで、今回それを大々的に喧伝することにしましたが、イゼッタの祖母は生前、「白き魔女」を「裏切りの魔女」と呼び、彼女のようにはなるなとイゼッタに忠告していました。伝承は本当にあって、でも真相は全く異なるのかも知れませんね。

悲劇を暗示するEDの絵 

 というより、物語のラストは悲劇的という予感がひしひしとするのですが。イゼッタとフィーネが笑顔で手を取り合ってめでたしめでたしというハッピーエンドは全く浮かんできません。天国で手を取り合ったりして。

シモノフ対戦車ライフル 

 箒の代わりに対戦車ライフルに乗って空を飛ぶ最後の魔女イゼッタ。飛ぶだけじゃなく武器にもなるので有能ですな。ゲルマニア帝国工廠の詞作品だと言っていましたが、見た目はまさしくシモノフPTRS1941。「カリオストロの城」で次元大介も使った由緒ある(?)逸品です。日本にも九七式自動砲という対戦車ライフルがありました。

マウザー1918 

 ドイツは世界で初めて対戦車ライフル(マウザー1918)を製造した国ですが、いち早くパンツァーシュレックとかパンツァーファウストといった成形炸薬弾頭を使用する対戦車兵器の開発・製造を進めました。アメリカも有名なバズーカを開発しましたが、ソ連では対戦車ライフルに代わる有効な対戦車兵器が実用化されず、終戦まで対戦車ライフルを使用し続けました。後期のドイツ戦車の重装甲は抜けませんが、覗き孔の防弾ガラス部分を狙ったそうです。

魔法少女育成計画扉絵 

 最後に「魔法少女育成計画」。5話まで視聴しました。今季の中二病枠ですが、それとは別腹で「堕ちる美少女」は大好物です。

16人の魔法少女 

 人気ソーシャルゲーム「魔法少女育成計画」には、プレイヤーの数万人に一人を常人離れした身体能力と可憐な容姿、人間にはない特殊能力を持つ「魔法少女」にする力があった。しかし、とある地区で16人もの「魔法少女」が密集したことにより、魔力の問題から運営側が「魔法少女」を半分の8人まで削減を行おうとする。当初は、「魔法少女」が手にする「マジカルキャンディー」の数を競い合う競争だったはずが、ルールが何者かによって歪められ、争いは魔法少女同士の殺し合いへとシフトしていく。

殴りたいファブ 

 タイトルとは裏腹に魔法少女達が騙し合い、戦い合い、殺し合うという「魔法少女まどか☆マギカ」以来のダークファンタジーな魔法少女です。既に2人死亡していて残り14人。

スノーホワイト 

 鹿目まどかを彷彿とさせる主人公のスノーホワイトを東山奈央が好演しています。周りが魔法少女を卒業していく中、ひたすら魔法少女を信じ続ける中学2年生ということですが、中2ならそんなにおかしくないんじゃないの?

ラ・ピュセルとスノーホワイト 

 魔法少女といっても本体は必ずしも少女とは限らず、相方のラ・ピュセルはスノーホワイトの幼馴染みの岸辺 颯太という中2の少年です。まさに中二病まっさかり。男が魔法少女に憧れるというのは珍しいですが、趣味嗜好は人それぞれですからね。

削除は死 

 魔法少女は困った人を助ける事を使命とし、助けた内容によりマジカルキャンディーを多く取得しますが、集めたマジカルキャンディーの数が一番少ない魔法少女から、週に一人ずつ脱落していきます。魔法少女は一人一つだけのオリジナルな特別な能力のほか、非常識なまでの身体能力を持ちますが、その反動で魔法少女を辞め止めさせられることは死を意味するということに。

ねむりん 

 最初に脱落したのはねむりん。本体がニートで魔法少女になっても夢の中でばかり活動していたため、実戦活動でしかマジカルキャンディーを集められないという仕様のせいで最初の犠牲者となってしまいました。

ルーラの魔法発動 

 次はお姫様姿のルーラ。「目の前の相手になんでも命令できる」という強力な魔法を持っており、4人の魔法少女を従えたリーダーでした。本体は有能なOLでしたが、協調性とか空気を読むという能力が欠如していたせいで会社では冷遇され左遷させられたりしていました。IQは高くてもEQは高くなかったのか…

裏切りのルーラ一味 

 家来には不満を持つ魔法少女もいて、一見裏切りにあって脱落したようですが、実際には「ルーラのようなお姫様になりたい」→「ルーラになりたい」→「ルーラがいたらルーラになれない」→「ルーラを消してルーラになろう」という病んだ思考に陥った信奉者のスイムスイムの計略にかかってしまったのでした。
やばいスイムスイム 
ルーラの本体の遺体 

 ねむりんが死んだ時は心不全で外傷はありませんでしたが、ルーラはなぜか血まみれ。リタイヤが決定しても12時までは魔法少女のままなのですが、その間に何かあったんでしょうか?かなりルーラを憎んでいたピーキーエンジェルズにフルボッコにされたとか。

ミナエルとユナエル 

 ルーラ一派では片翼の双子の天使ミナエルとユナエル(二人合わせてピーキーエンジェルズ)がいい味を出しています。可愛いけど腹黒すぐる。翼は一つしかなくても単独で飛べるので便利ですね。

シスターナナ 

 そして魔法少女同士の争いを本気で止めたいと願うシスターナナ。はやみんが演じています。善人にみせて実はとんでもない腹黒であることを期待していましたが…だめだこの人本気で真っ白だ。でもそれが故にデスゲームの邪魔なので、早めにお亡くなりになりそう。

カラミティ・メアリ 

 悪い魔法少女としては、お姉ちゃんこと井上喜久子演じるカラミティ・メアリが最右翼でしょう。暴力団に雇われて敵対組織を襲撃するという「人助け」をしています。人助けは善悪を問わないので、それでもマジカルキャンデーが集まるようです。無茶苦茶強いのですが、強いがゆえに退場しそうな気がします。昔や女神とか天使とか真っ白キャラばかりだったお姉ちゃんですが、最近はやたらダークな役が来てますね。たまには可憐な役もやって欲しいですが。
クランベリー襲撃 

 5話で本格的に活動を開始した「森の音楽家クラムベリー」は、とにかく強者と戦いたいと主張していて、シスターナナの相棒であるヴェス・ウィンタープリズンと交戦しh、スノーホワイトの相棒であるラ・ピュセルにも戦いを挑んでいるところですが、CVはなんと緒方恵美。セーラーウラヌスを連想してしまいますが、本編ではもっと女性らしい声を出しています。

一話冒頭のシーン 

 1話冒頭、血まみれの魔法少女の屍累々の中、魔物と戦っていたのはこの人のようですが、あれは終盤の絵なんでしょうかね。

ファブとクラムベリー

 この地区で最古参の魔法少女にして、本編でキュゥべえに相当するマスコットキャラのファブ(運営)と結託しているようなので、運営サイドなのかも知れません。

マジカロイド44 
 
 あと新井里美が怪演いや好演するマジカロイド44。未来の魔法少女型ロボットという設定らしいですが、シスターナナを騙して金を稼いだり、カラミティ・メアリに追従したりと怪しい動きをしています。でも怪しいだけに生き残れなさそうな気がします。

スノーホワイト

 スノーホワイトがその名に違わず真っ白キャラなので、ぜひまどかのように言葉責めで苦しめられて欲しいですね。闇堕ちするもまたよし。ダークな内容なのにサブタイトルは毎回ハッピーな感じなのもいいですね。
1話「夢と魔法の世界へようこそ!」
2話「マジカルキャンディーを集めよう!」
3話「バージョンアップのお知らせ!」
4話「フレンドを増やそう!」
5話「新キャラを追加しました!」
このままタイトルは夢一杯で、内容は死体一杯でよろしくお願いします。主人公スノーホワイトの相方ラ・ピュセルともう一人の主人公格のリップルの相方のトップスピードのリタイヤは不可避のような気がしますが、どうなんでしょうかダークシナリオの権威・虚淵センセ?

まどかを思い出させるスノーホワイト 
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失われし書庫:古書店主クリフォード・ジェーンウェイ・シリーズ第三弾

葡萄畑も紅葉

 秋が深まり葡萄も紅葉しています。もうハロウィンの季節ですね。あれはそもそもキリスト教とは関係ないケルト系のイベントのようですが、それを言ったらクリスマスだってゲルマン系の冬至の祭りに由来しているようなので、ま、いいか。キリストが12月25日(ないし24日)に生まれたなんて、聖書のどこにも書いてありませんしね。ただ人に迷惑を掛けないようにして貰いたいものです。
 
カボチャの夜 

 本日はジョン・ダニングの「失われし書庫」を紹介しましょう。ジョン・ダニングについては当ブログで初めて取り上げることになります。

失われし書庫

 ジョン・ダニングはアメリカの推理作家で、1942年にニューヨークで生まれ、サウスカロライナ州チャールストンで育ちました。1964年に独立してコロラド州デンバーに移り住み、競馬場の廏務員や新聞記者など様々な仕事を経験しつつ小説の執筆を開始しました。出版社とのトラブルがあって一旦執筆活動を休止し、古書稀覯本専門書店を開いていましたが、作家仲間の強い勧めもあり1992年に「死の蔵書」で小説界に復帰しました。

ジョン・ダニング 

 寡作な作家で、中断期があるとはいえ、これまでにノンフィクションも含めわずか11冊しか刊行していません。有名なのは「本」をテーマにしたクリフォード・ジェーンウェイ・シリーズで、5冊が出ています。

死の蔵書 

 私がこれまでに読んだのはネロ・ウルフ賞受賞作のシリーズ第一弾「死の蔵書」と、執筆活動中断前の「名もなき墓標」でした。「名もなき墓標」は新聞記者が主人公で、「死の蔵書」は古書店主が主人公ということで、共にジョン・ダニングの経歴を生かした作品ということができるでしょう。

名もなき墓標 

 ただし、シリーズ第三弾の「失われし書庫」や「死の蔵書」の主人公であるクリフォード・ジェーンウェイは最初から古書店を開いていた訳ではなく、最初は殺人課の刑事でしたが、故あって職を辞して念願だった古書店を開くのですが、刑事時代から本好きで古書に関して博覧強記を誇っていたので、まさに天職に転職したといえるでしょう。

 しかし本好きとかいうと穏やかそうな印象を受けますが、実際は少年時代はギャングになりそうだった(幼馴染みはギャングになっている)ほど荒れており、刑事としても色んな意味で“やらかす”タイプだったクリフォードが関わる事件は、必然的にハードボイルド色が強くなるのでした。

 前回の記事で取り上げた「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズが日本における古書と古書マニアを取り上げた作品だとすれば、アメリカの古書と古書マニアを取り扱ったのが「クリフォード・ジェーンウェイ・シリーズ」で、ジョン・ダニングは三上延の20年以上前から「稀覯本」とか「せどり」といった古書マニアにまつわるあれやこれやを取り上げていたのでした。「ビブリア」では稀覯本を巡っては人を傷付けることも厭わない古書マニアが登場しましたが、「クリフォード・ジェーンウェイ・シリーズ」では稀覯本を巡って殺人事件が起きているので、やはりアメリカはいろんな意味で一歩先を行っているというべきか。

 ジョン・ダニング作品は、基本的に長編で、上下巻に分けてもいいくらいのボリュームを持つ物が多いですね。寡作な分、一冊当たりのボリュームでカバーしているのか。最初は読み切れるのか不安に思うほどの分量なんですが、面白さと読みやすさでぐいぐい読めるんです。多分スティーブン・キングが説くところの、受動態を使うな、副詞を使うな、会話はシンプルにといったルールに適合しているのでしょう(別にキングの言うことを聞いたわけではないでしょうが。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

 R・バートンの稀覯本を入手して一躍時の人となった古本屋クリフを、それは私の書庫から盗まれた本だと主張する老婦人が訪れた。彼女の祖父はバートンと交流があり、献本で埋め尽くされた一大書庫を持っていたが、祖父の死と同時に騙し盗られたという。彼女の頼みで失われた蔵書の探索を始めた矢先、クリフの周囲で強盗殺人が。だが元刑事のクリフの勘はこれは計画的犯行だと告げていた…本好き垂涎の古書蘊蓄ミステリ。

 「ビブリア」との大きな違いは、アメリカの(或いは英語圏の)稀覯本の作家というものに疎いということで、日本なら例えば太宰治は、私のようにあまり読んだことはなくても名前くらいは誰でも知っているのですが、英米の作家となるとメジャー以外はなかなか…ということになってしまいます。本書で取り上げているリチャード・バートンも正直知りませんでした。

リチャード・フランシス・バートン 

 リチャード・バートンは19世紀のイギリスを代表する冒険家で、探検家、人類学者、作家、言語学者、翻訳家、軍人、外交官と様々な側面を持っています。しかし普通に検索すると20世紀のイギリスの俳優であるリチャード・バートンが先に出てきてしまいます。

俳優のリチャード・バートン 

 こっちのバートンもイギリス映画界を代表する俳優ということなんですが、没後30年以上が経過しているので私にとってもこちらもよく知らない「過去の人」です。判別するためには、本書で取り上げているバートンの方は、リチャード・フランシス・バートンとミドルネームまで入れて検索すると良いようです。

ジョン・ハニング・スピーク 

 バートンの生涯の前半は完全に冒険野郎マクガイバで、インド駐留軍の将校を務めたり、巡礼者に扮装して異教徒なのにメッカ巡礼を行ったり、クリミア戦争に従軍したりしています。そして当時まだ未踏破地域(ただし欧州人から見ての話)が多かったアフリカと関わりが深く、ソマリアで左頬に一生大きな傷を残した重傷を負ったり、ナイル源流探索の旅を行ったりしています。ナイル源流探索は友人だった探検家のジョン・ハニング・スピークと行いました。
ナイル流域 
 ナイル川は上流部分で青ナイル川と白ナイル川に分かれますが、源流は航路の難所があって古代から不明のままでした。青ナイル川については18世紀にタナ湖が源流であることが知られましたが、白ナイルについては不明のままで、19世紀中盤のアフリカ探検のテーマの一つとなっていました。

ナイル川上流部
 
 バートンはタンガニーカ湖を発見し、これがナイルの源流だと考えましたが、スピークはこれに納得しませんでした。そして熱病に倒れたバートンを残して一人で探検を続け、ビクトリア湖を発見してこちらが源流だと考えました。バートンを残して先に帰国したスピークは、この2人の冒険について王立地理学会で講演し、ビクトリア湖こそがナイル川の水源であると主張しました。この冒険については「愛と野望のナイル」という映画になっています。残念ながらタンガニーカ湖はナイル側と繋がっていないので、スピークの方が正しかったということになりましょうか。

愛と野望のナイル 

 バートンがアメリカに渡ったのは、スピークの抜け駆けにより二人の友情にひびが入った後のことで、折しもアメリカは南北戦争前夜という状況でした。本書では時間軸から100年以上過去になるアメリカでのバートンの軌跡が大きなテーマとなっています。

バートン版千夜一夜物語 

 現地の人間に完璧に化けることができ、40カ国語を話したとされる高い語学力を持ち、奇人変人と好んで交際し、蓄財には縁がなく、軍人や外交官を務めながら上司に敬意を払わずに遠慮無く物を言うため出世せずと、非常にエキセントリックな魅力に満ちた人物だったようですが、日本で一番知られているのは「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」の翻訳者としてということになるでしょうか。これは邦訳されて「バートン版千夜一夜物語」として刊行されています。特徴は、他のどの版よりも収録物語数が多く、「もっとも完備している」と言われていることと、特に性風俗に関して充実している詳細な訳注だとされています。東洋の性技の研究をしたり、そっち方面は大好きだったようですね。

幻の特装本 

 おそらく未読の「幻の特装本」で5万ドルのあぶく銭を得たクリフォードは。その使途として、オークションでのバートンの美麗稀覯本の入手を行います。3万ドル出して競り勝った「メッカ巡礼」には「チャールズ・ウォレン」なる人物への献辞が添えられていましたが、それは全く知られていない人物でした。しかし、80歳を越えた老婦人がクリフォードの元を訪れ、その本は自分のものだと主張しました。彼女によれば、チャールズ・ウォレンは彼女の母方の祖父で、バートンと親友になってアメリカ南部を一緒に旅したのだそうです。

メッカ巡礼 

 チャールズはバートンの書簡や献辞入りの書物で一杯の書庫を持っており、それは孫娘である老婦人が継承するはずだったのですが、祖父の死後、本の価値を知らない父が勝手に二束三文で売り払って酒代にしてしまったのだそうです。老婦人は容態が急変して死んでしまいますが、死の間際に唯一手元に残っていた「東アフリカ初踏破」を託し、クリフォードに「失われし書庫」の捜索を依頼します。

東アフリカ初踏破 

 その後、クリフォードは古書店を開いているコロラド州デンバー(中西部)から、老婦人の故郷であるメリーランド州ボルチモア(東部)に飛び、老婦人の世話をしていた女性と出会って老婦人を催眠術にかけて聞いた話を録音したテープを聞いたり、老婦人の書庫をその価値を知りながら二束三文でだまし取った古書店の子孫と出会ったり、古書店の子孫とつるむギャングに襲われたりすぐに逆襲したりと大立ち回りを展開します。

ボルチモア 

 その後、老婦人が子供の頃に祖父から聞いた話を元に、バートンの足跡を求めてサウスカロライナ州チャールストン(南部)に向かいます。ここでもまた大きな展開があるのですが、ボルチモアのギャングとのリターンマッチこそが白眉になるかと思いきや、これはそうでもありませんでした。

水辺のチャールストン 

 むしろすっかり忘れ去られたかのようだった、デンバーで起きた殺人事件(老婦人を保護していた黒人夫妻の妻が殺害された)の真相解明こそがラストのどんでん返しとなっています。その意外すぎる犯人は…そこはぜひ読んでいただきたいです。

デンバー 

 本書ではバートンの一言が南北戦争開戦のきっかけになったチャールストンのサムター要塞の戦いを引き起こしたのかも知れないという話になっています。日本人にとってはあまり馴染みのない南北戦争ですが、アメリカにとっては独立後唯一無二の内戦であり、史上初めて近代的な機械技術が主戦力として投入された戦争であり、双方合わせて62万人の死者を出した、最もアメリカ人が死んだ戦争でもありました。

サムター要塞攻略戦 

 なお、南北戦争終了後、余剰兵器となった中古小銃類は大量に日本に輸入され、戊辰戦争で使用されました。アメリカは幕府にも新政府側にも兵器を売ったので,アメリカ製兵器によって戊辰戦争は激化したともいえ、そういう意味では日本の近代史にも大きな影響を与えたといえるでしょう。

サムター要塞跡 

 おそらくクリフォードはジョン・ダニング自身が投影されらキャラクターだと思われますが、刑事時代の癖が抜けないために何事にも懐疑的で、わざと相手を怒らせるような態度を取り、一人で仕切りたがって女性を軽視する傾向がある(修羅場には邪魔だと思っている)せいでしばしば女性陣の不興を買っています。自身でも反省していますが、それでも惹きつけられる美女がいるんだから羨ましいですな。

国際稀覯本フェア 

 それにしても日本でもアメリカでも稀覯本蒐集家というのは始末に負えないなあというのが率直な感想なんです。私も本好きですが、読書が好きなんであって稀覯本集めには全く興味がありません。思えば何らかのシリーズをコンプリートしたいという欲望も薄いようです。一度知ってしまうと抜け出せなくなる魅力があるのかも知れませんが…麻薬と同じ気配を感じるので敬遠しておきましょう。くわばらくわばら。

稀覯本の数々 

ビブリア古書堂の事件手帖6 ~栞子さんと巡るさだめ~:鎌倉はめくるめく“愛憎の泥沼”だった…

肝付兼太に合掌

 先日、世間では平幹二朗の死を大きく取り上げましたが、個人的には肝付兼太の死の方が衝撃を受けました。満80歳ということで早世とは言えないのでしょうが、70年代80年代のアニメ作品を語る場合に外せない方でした。

車掌さん 
 
 もう「好きな声優さん」で取り上げるしかないのですが、世間的に一番知名度が高いのは「ドラえもん」のスネ夫なんでしょうが、個人的には「銀河鉄道999」の車掌さんが印象に残っています。こういうキャラを名脇役というんでしょうね。「探検ロマン世界遺産」に登場した進行役の「Dr.ロマン」は車掌さんのパクリじゃないかと思いましたが、松本零士デザインなら仕方がない。

Dr.ロマン

 本日は三上延の「ビブリア古書堂の事件手帖6」を紹介しましょう。去年買って終盤まで読んでから手つかずでいたのもをえいやっと読了しまた。図書館で借りた本と違って返さなくていいものでついつい。

ビブリア6 

 本書についていた帯を見ると、「累計600万部突破!」とか「『本の雑誌』が選んだ40年間のベスト40第1位」とか派手な単語が並んでいます。6巻で600万部ということは単純計算で1巻100万部ということになりますが、バカ売れですね。ミリオンセラーとかメガヒットとかいう奴でしょう。

世界の中心で、愛をさけぶ 世界の中心で、愛を叫んだけもの

 一冊で最も売れた小説は片山恭一の「世界の中心で、愛をさけぶ」の321万部だそうですが、そんなハーラン・エリスンのパクリみたいな小説は読んだことありませんし、今後も読む気がありませんな。テレビ版「新世紀エヴァンゲリオン」の最終回のタイトル(「世界の中心でアイを叫んだけもの」)は判っていてやっているのでいいのですが。あ、もしかしてエリソンからではなくエヴァからの孫パクリ?

エヴァのタイトル 

 「本の雑誌」については、2015年6月号で編集部が選んだ40冊のことですが、ランキング形式にはなっていてもあまり順位に意味はないそうです。このベスト40に私が読んだは…
  7位「火怨」(高橋克彦)
 11位「ぼんくら」(宮部みゆき)
 29位「十二国記シリーズ」(小野不由美)
 32位「蕎麦ときしめん」(清水義範)
 36位「西の魔女が死んだ」(梨木香歩)
 しか入っていませんでしたorz…。気を取り直して文庫版裏表紙の内容紹介です。

本の雑誌2015年6月号  

 太宰治の『晩年』を奪うため、美しき女店主に危害を加えた青年。ビブリア古書堂の二人の前に、彼が再び現れる。今度は依頼者として。違う『晩年』を捜しているという奇妙な依頼。署名ではないのに、太宰自筆と分かる珍しい書きこみがあるらしい。本を追ううちに、二人は驚くべき事実に辿り着く。四十七年前にあった太宰の稀覯本を巡る盗難事件。それには二人の祖父母が関わっていた。過去を再現するかのような奇妙な巡り合わせ。深い謎の先に待つのは偶然か必然か? 

美しい栞子さん

 古書マニアではない私にはわからないのですが、稀覯本を手に入れるためには人を殺傷することも厭わないというとんでもない人がいるようです。本書だとヒロイン栞子さんを急な石段から突き落とした田中敏雄がその最たるものですが、栞子さんのママンである智恵子も稀覯本を手に入れるためなら手段を選ばない性格だったとされており、古書マニア(というか古書に限らずなんであれマニアと呼ばれる人々には)には多かれ少なかれそういう“コンプライアンス無視”な傾向があるんでしょうか。

 本書では栞子や主人公の五浦大輔の出自という、本人達にはどうにもできないものに驚愕の事実が判明していきます。そもそも大輔は活字恐怖症という「ホントにあんの?」と言いたくなる症状を抱えていますが、その原因は幼い頃に本好きだった祖母の本棚をいじりひどく殴られたというトラウマからです。1巻から言及されていたその事に意外な事実があったので、驚愕の展開を見せたとは言え、伏線は最初から張ってあったのですね。

作者コメント 

 祖母は田中嘉雄という人物から送られた夏目漱石の本をひどく大事にしていたのですが、その田中嘉雄の孫こそは栞子さん襲撃犯である田中敏雄だったのです。ところが祖母は若き日に田中嘉雄と不倫関係にあったということで、二人の間に生まれたのが大輔のママンでした。つまり大輔と田中敏雄は従兄弟関係(祖母が違うので普通の従兄弟関係より血縁は薄いですが)だったのです。

 毎度毎度のMMR

 本書は基本的に過去の話が中心となっており、ビブリア古書堂を開いた栞子さんの祖父・篠川聖司が若き日に店員として働いていたのが久我山書房で、ここはまさにあくどい手段を取っても稀覯本を入手するタイプの書店だったようで、当時の店主の久我山尚大が田中嘉雄からあくどい手段で入手したのが太宰治の「晩年」(自殺用改め自家用)だったのです。田中敏雄の「晩年」への執着は祖父の無念といったものに由来しているのでしょう。

太宰治

 久我山書房のやり方が好きではなかった篠川聖司はビブリア古書堂を開き、その息子と智恵子が結婚して栞子と文香の姉妹が生まれています。栞子以上の目利きでありながら、稀覯本を入手するためには手段を選ばないとされる智恵子の出自は、なんと久我山尚大と愛人の間に生まれた娘というものだったようです。ということは智恵子の性質は久我山尚大ゆずりということに?それにしても不倫ばっかしてんだな古書マニアは(笑)。

毎度毎度のMMRその2 

 「親の因果が子に報う」なんて諺がありますが、本書では祖父の因果が孫に報うことになっています。それがサブタイトルの「栞子さんと巡るさだめ」のいわんとするところなんでしょう。そういう訳で祖父世代の因縁が孫世代に大きな影響を与えていることが判明したので、智恵子が失踪してしまったのも結局のところこの問題が原因なんじゃないかと思われます。

 それにしても古書ワールドのせいなのか、古都鎌倉のせいなのか、主要登場人物の泥沼のような血縁関係は一体どうしたことか。あんまりネタバレして何なのではっきり書きませんが、栞子さんにも大輔と田中敏雄の関係とそっくりな人物が存在しており、やはり含むところがあるのです。そしてそれを操る黒幕も。

 この人達が良いか悪いかといえば悪いとしか言いようがないのですが、そこに至る過程には同情の余地はないではないです。それを言ったら田中敏雄だって情状酌量の余地はないではないですけど。

ロミオとジュリエット 

 本来田中サイドと久我山サイドは不倶戴天の敵同士(一方的に田中サイドが恨んでいるとも言えますが)で、大輔と田中敏雄は血縁的には田中サイド、栞子さんは久我山サイドになるわけで、田中敏雄の栞子さん襲撃にも因縁というものがないではないのですが、大輔と栞子が惹かれ合って恋仲になったというところがこれまでの図式を崩しています。ロミオとジュリエットになるのか、シロー・アマダとアイナ・サハリンに鳴るのかは今後の展開を待つしかありません。21世紀にもなってロミジュリはないよな(汗)と個人的には思いますが…。「俺は生きる!生きてアイナと添い遂げるッ!」路線で行って欲しいですな。

俺はアイナと添い遂げる 

 今回登場する本の話がないじゃないかと文句を言われそうですが、今回は太宰治特集です。祖父世代の悶着のネタとなっているのが太宰治作品なら、栞子さんのお気に入り作家も太宰治。本書では「走れメロス」「駆け込み訴え」「晩年」がクローズアップされています。

走れメロス 

 「走れメロス」は確か中学校の教科書に掲載されていまし、授業でもやったような気がします。ギリシャ神話のエピソードとシラーの詩を元に創作された作品のようです。メロスの短絡的な行動には失笑し、せめて国王暗殺を謀るにしても妹の結婚式の後にやれよとか、そもそも大昔の話なら、暗殺(未遂)犯の妹だってただじゃすまないのじゃないか?九族皆殺しじゃないのか?とか思ったものでした。

檀一雄 

 創作の発端としては、太宰治が友人の檀一雄を溜まった宿代の「人質」にして、師匠である井伏鱒二の元へ金策に行ったところ、全然戻ってこず、檀一雄が井伏のもとに駆けつけると、太宰と井伏はのん気に将棋を指していたそうです。太宰としては、今まで散々面倒をかけてきた井伏に、さらに借金を申し出ることがなかなか言い出せなかったそうです。

おこ6段活用 

 檀一雄が激おこプンプン丸になったのを見て「待つ身が辛いかね。待たせる身が辛いかね。」 と言ったそうです。事情を知らなかった井伏が言うならともかく、お前が言うなよ太宰と思いますが。

井伏鱒二 

 うーむ。太宰治はなあ…栞子さんやファンには申し訳ないのですが、人間性がクズすぎてどうも私は好きじゃないんですよね。趣味は自殺未遂だし。最後の自殺だって本当に死ぬ気はなかったんじゃないかなあとか思ってしまいます。「走れメロス」の他には、確か高校の教科書に載っていた「畜犬談」、さらに「斜陽」くらしか読んでいません。

駆け込み訴え 

 「駆け込み訴え」は、二番目の妻・美知子が太宰の口述を筆記したもので、美和子は「全文、蚕が糸を吐くように口述し、淀みもなく、言い直しもなかった」と証言しています。“裏切りの使徒”イスカリオテのユダを主人公とし、イエス・キリストに対してどういう感情を持っていたのかを述べるという形式を取っており、全体としてはイエスの薄情や嫌らしさを訴える内容となっていますが、その実質は、自暴自棄になったユダの愛と憎しみがないまぜになっていて、どちらがどちらかユダ本人にすらすでに判別がつかなくなり、混乱しながらも悲痛に訴えているというものです。太宰は「姥捨」という作品で、「ユダの悪が強ければ強いほど、キリストのやさしさの光が増す」と記しているそうです。それって自己弁護?しかし愛憎ないまぜという状況は本書の状況を暗示しているような。

晩年 

 「晩年」は1936年に刊行した処女短編集の表題で、これをもって悲願であった芥川賞(第3回)を狙いましたが、この時“過去に候補作となった作家は選考対象から外す”という妙な規定が設けられたため、候補にすらならなかったそうです。この頃、太宰は薬物中毒が嵩じたり、最初の妻初代の不倫が発覚したりで自殺未遂を起こしています。が、まあなんというか…太宰の場合は「身から出た錆」と言いたくなり、あんまり同情できませんな。

太宰好きの又吉直樹 

 しかしまあ、私生活のドロドロ、ぐちゃぐちゃな部分も含めて太宰作品というのは存在し、その輝きは今も日本文学史に燦然たるものがあるのでしょう。太宰が取れなかったお笑い芸人にして芥川賞作家の又吉直樹も太宰治を敬愛しているそうですし、フィクションとはいえ美人の栞子さんにもひどく愛されているので、ま、いいじゃないですか(笑)。「文豪ストレイドッグス」では二枚目としても描かれてたりしますしね

文豪ストレイドッグスの太宰治 

 「あとがき」によると、次かその次でシリーズは終わるそうですが、ここでなぜか編集者が「週刊少年ジャンプ」モードになって、「もうちっとだけ続くんじゃ」からの「いつ終わるんだよ」的ぶっ飛び展開へ…なんてことになったら笑いますね。

亀仙人のトンデモな嘘 

2016年秋季アニメ序盤の感想(その1):今季は豊作の予感?

アメジストセージ

 秋らしい気持ちのいい季候になりました。アメジストセージが綺麗ですね。それにしても10月下旬にならないと素敵な秋に出逢えないなんて、温暖化の仕業なんでしょうか。札幌ではもう雪が降ったらしいですが

show by rock!!# 

 2016年秋季アニメもだいたい3~4話が放映されたようなので、本日は序盤の感想いってみましょう。9本も視聴しているので各作品あっさり目に行きたいと思います。まずは「SHOW BY ROCK!!#」。「SHOW BY ROCK!!」の二期です。3話まで視聴。

プラズマジカの皆さん 

 突如襲来した闇の女王によって崩壊の危機に直面したMIDICITY。絶望の未来を変えるために立ち上がったバンド・忍迅雷音は、危機の回避のため過去のMIDICITYへとタイムスリップを行います。
 一方、元の世界に戻った詩杏は、学園祭用のオリジナル曲が上手く作れずに悩んでいところ、謎のロボット忍者に拉致され、MIDICITYに舞い戻ります。再び音楽活動を再開したシアン達ですが、闇の女王の陰謀とMIDICITYの崩壊を阻止出来るのでしょうか?

クリティクリスタ 

 …ということなんですが、二期なんで各キャラの性格とかバンドの絆とかははもう把握済みなんで、とっとと闇の女王との戦いに突入して欲しいのですが、視聴継続判断の目安となる三話までで特に大きな動きはなく、正直もういいかなという気がしています。つまらないというのとは違うんですが一期の時のようなインパクトがない気がします。いわゆる「萌え路線」へ行ってしまったのか(もともと萌え路線かも知れませんが)?お笑い担当のシンガンクリムゾンよりもあざといアイドルのクリティクリスタが目立つようになっています。

響け!ユーフォニアム2 

 「響け!ユーフォニアム2」。これも二期です。3話まで見ました。北宇治高校吹奏楽部は京都府大会で金賞を受賞し、念願の関西大会出場を決めました。それでも目指すは全国大会なので、通過点に過ぎないの、夏休みに厳しい練習スケジュールが組まれ、合宿までやっています。そんな中、去年退部した傘木希美が復帰を願い出てきますが、副部長のあすかは「この部にプラスにならないから」と反対します。なぜあすかは復帰を認めないのか、久美子は直接あすかに問いただしますが…

久美子と麗奈の百合シーン 

 相変わらずの百合&ドロドロです。百合というのは基本久美子と麗奈。麗奈は滝先生にホの字なので、ガチレズではないはずなんですが、やけにこの二人の絡みが多いです。ドロドロは一期でもありましたが、部員間の関係をめぐる例のやつで、今回はここまで復帰したいと願うフルート奏者の傘木希美と、機械のような演奏しかできないオーボエ奏者の鎧塚みぞれを巡ってドロドロしています。同じ中学校出身ということで、曰くは過去にさかのぼるようですが、問題はみぞれが希美の顔を見るだけで気分が悪くなるというほどのトラウマを持っているのに、希美の方には全く自覚がないということ。

鎧塚みぞれ 傘木希美

 吹奏楽部員はたくさんいるので、鎧塚みぞれも登場していたはずですが、一期では全く存在感がありませんでした。これと二期初登場の希美、他に指導者としてプロの橋本真博とか新山聡美などの新キャラが登場し、個人的お気に入りの川島緑輝(さふぁいあ)が活躍しないのが淋しいです。

見た目は可愛いが…の久美子 
目力ヒロインチカちゃん 

 面白く見ているんですが、主人公の久美子が好きになれません。ストーリーは面白いのでいいのですが、家での態度の悪さとか、表裏のある声の出し方(ブリッ子している時は高め、本性の時はやたら低め)とかがどうにも。リアルといえばリアルなんでしょうけど。あ、これは声優さんが悪いのではなく、多分演技指導のせいなんでしょうけどね。「ハルチカ」と比べると演奏部分や部活のリアリティでは圧倒的にこちらの方が上なんだと思いますが、私史上最高に好きな主人公キャラである穂村千夏がいるので私は「ハルチカ」派です。

実にわかりやすいレイプ目 

 なにはともあれ、とりあえず麗奈の死ぬほどあからさまなレイプ目には笑いました。なんだこれは…たまげたなあ。全体としては、高校生らしい青さとか未熟さとか、青春の蹉跌とかいうやつは良く描かれていると思います。

文豪過去編 
坂口安吾、織田作之助、太宰治 

 「文豪ストレイドッグス」。これまた二期です。4話まで見ました。武装探偵社とポートマフィア、そして一期終盤に登場した組合(ギルド)という北米の組織が三つ巴で戦うのかと思いきや、4話までは過去編、つまり太宰治がまだポートマフィアの幹部だった頃の話でした。

4年前の太宰 

 この過去編が実に良かった。中島敦が主人公だった一期と比較して非常にアダルトな魅力に満ちていました。こっちの主人公はポートマフィアの最下級構成員の織田作之助で、太宰や三重スパイの坂口安吾とのやりとりが非常に格好良かったです。

格好いい織田作 

 CVの諏訪部順一は本当に格好いい声&演技をしますね。こういう大人の世界を見た後で青臭い中島敦らが出てくるかと思うとがっくりします。もうずっと過去編で良かったんじゃないの?なーんて。まあ組合所属の海外異能者の活躍に期待しましょう。

舟を編む3人組 

 「舟を編む」。始まったのが遅くて2話までしか見ていませんが、三浦しをん原作の辞書作りの話です。基本おっさんとかおばさんが多く、萌えの要素は一切ありませんが、だがそれがいい。

真面目な馬締 

 主人公の馬締(まじめ)光也は大学院で言語学を専攻したのち玄武書房に入社して3年目の27歳で、営業部に配属されていましたが、対人コミュニケーション能力の低さから厄介者扱いを受けていました。しかし、言語学専攻のキャリアと言語感覚の鋭敏さが認められて辞書編集部にスカウトされ、辞書作りに没頭していくことになります。

オヤジの海 
やっと女っ気が 

 「ノイタミナ」枠は、最近見た「すべてがFになる」や「僕だけがいない街」がイマイチだったので、「四月は君の嘘」以来の傑作となってくれることを期待します。原作が2012年の本屋大賞受賞作なので、普通につくればいいと思うのですが、それが難しいんでしょうかね。基本子供が一切登場しない大人のお話ですが、辞書作りというのは非常に興味深いです。

じしょたんず 

 サンリオとのコラボで辞書を擬人化したキャラクターが登場するミニコーナー「教えて!じしょたんず」は、「らき☆すた」の「ラッキーチャンネル」並みにいらない子じゃないのと思いましたが、ブリドカットセーラ恵美が出ているので許す(笑)。

みんなクズなのか? 

 「ガーリッシュナンバー」。3話まで視聴。「俺ガイル」の渡航原作ということもあり、やさぐれているというかひねくれているというか、業界のリアルを見せているというか。いわゆる声優ものとしては、現役声優浅野真澄が原作の「それが声優!」があり、アニメ製作会社が中心の「SHIROBAKO」でも声優のオーディションなどの描写がありましたが、こちらはダークサイド版「それが声優!」とでも言うべきか。

調子に乗る千歳 

 ルックスの良さと打ち上げに来ていたというだけで主役に抜擢された烏丸千歳の、毒一杯のモノローグが面白いです。他力本願で、オーディションをロクに受けていないので端役ばかりなのを「この業界はおかしい」と言い放つ千歳がクズだけど面白いです。

千歳収録中 

 一応声優養成所を出たちゃんとしたプロの声優のはずなのに演技力が全然なく、初収録時にはスタッフや声優陣から呆れられていました。主役に抜擢されたのはお馬鹿なプロデューサーや社長がノリだけで決めたからですが、そんなんで声優養成所を卒業できるんですかね?一応本人が危機感を持って研究を重ねて演技力を向上させてましたが、「テンプレの演技」なんて言われているし。

頭が痛い悟浄 

 兄の悟浄がマネージャーをやっており、仕事を舐めてかかっている妹に手を焼かされていますが、別に妹を食い物にしようとしている訳ではなく、自身が声優だったものの、売れなかった為に廃業して裏方に転向
したのだそうです。そういう人が身近にいるのに意識も危機感も低い千歳がある意味スゴイ。「勝ったな、ガハハ」じゃねえ(笑)。

勝ったな、ガハハ 

 やはり作品が多いので一回じゃ無理でした。残りの作品は来週にでも。そういえば烏丸千歳ってどっかで聞いたような名前だと思ってたんですが、思い出しました。「ギャラクシーエンジェル」にいましたね、烏丸ちとせというキャラが。まだ駆け出しの頃の後藤沙緒里がやってたっけ。ゲームとアニメでは全然性格が異なるそうですが、まるで「ミルキィホームズ」みたい。私はゲーム版の烏丸ちとせしか知りません。

GAの烏丸ちとせ 

書くことについて:スティーブン・キングの「文章読本」

翔鶴遂に来たる

 ついにキタ━━━━━━━━m9( ゚∀゚)━━━━━━━━!!「俺の嫁」キター!!苦節4か月、とうとうこの日が来ました。そう、待望の翔鶴姉がやっと嫁いで来てくれたのです。なんで翔鶴がそんなに好きなのかといえば、特段の理由はないのですが…まあ♪会えない時間が愛育てるのさ♪ということなんでしょうかね。おっとりお姉さんな感じもいいでしょ?

南雲機動艦隊の再現 

 そういう訳で南雲機動艦隊ついに完成しました。これでいつでも真珠湾奇襲ができますね(オイ)。いや壮観壮観。飛龍は改二になっていて、蒼龍ももうすぐ改二です。赤城と加賀は改二の設定がまだできていないので、翔鶴瑞鶴を優先して育てていきましょう。

書くことについて 

 興奮も醒めやらぬところですが、本題です。本日はスティーブン・キングの「書くことについて」です。キングの小説は結構読んでいるのですが、ベストセラー作家の「文章読本」は初めて読みます。例によって文庫本裏表紙の内容紹介です。

スティーブン・キング 

 「われわれ三文文士の多くもまた、及ばずながら言葉に意を注ぎ、物語を紙の上に紡ぎだす技と術に心を砕いている。本書のなかで、私はいかにして『書くことについて』の技と術に通じるようになったか、いま何を知っているのか、どうやって知ったのかを、できるだけ簡潔に語ろうと思っている。(本書「前書」より)
 モダン・ホラーの巨匠が苦闘物語からベストセラー作家となるまで自らの体験に照らし合わせて綴った自伝的文章読本。「小説作法」の題名で刊行された名著の待望の新訳版。
 巻末には新たに著者が2001年から2009年にかけて読んだ本の中からベスト80冊を掲載。

キャリー 

 本書には目次がないのですが、最初に半生の自叙伝である「履歴書」があります。病弱だった幼少期、書くことに目覚めつつ、ホラーを中心とした映画漬けになっていた少年期、大学時代から結婚へ、貧乏暮らしの中でも書くことをやめず、高校教師をしながらついに「キャリー」の大ヒットで専業作家へ。しかし作家活動の傍らでアルコールとドラッグ中毒へと陥っていきます。ドラッグやアルコールは作家の業のようなものらしく、多くの大作家が嵌まっていきました。マンガ家の吾妻ひでおもそうでしたが、壮絶な体験を「アル中病棟」として描いて元を取りにいっているのは流石です。

スタンド・バイ・ミー 

 キングによれば、一度ドラッグやアルコールに嵌まってしまうと、それなしではもはや創作活動が不可能になるのではないかという強迫観念に襲われるそうですが、勇気を出して止めてみたところ、なんら変わらずに創作活動を続けられたそうです。まあ止めるというのは口で言うほど簡単なことではないので、結局止められずに破滅に向かってまっしぐらだった作家も多かったかも知れませんが。

クージョ 

 そしてその後に「道具箱」。ここでは書くための基本的なスキルが示されています。難しい単語は使わず、務めて平易な表現を行え、受動態はなるべく避けよ、副詞はタンポポのようなので、雑草だと気づいた時にはやたらにはびこるの極力使うな、などなど。言っていることは難しいことではないのですが、多分国語とか作文が得意な人ほど凝った文章を書きがちなになるので、蒙を啓くことになるかも知れません。

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 とはいえ日本語は英語と違うので、受動態を多用すると臆病に見えるとか言われてもイマイチピンと来ませんし、英語でのこういう表現はやめろ(「例えば“the fact that”“alomg these lines”“That's so cool”“at this point in time”“at the end of the day”)がダメだと言われても、なぜダメなのかよく分かりません。かつて英作文で多用していたような気もするのですが…。陳腐な表現ということなんでしょうかね。

ザ・スタンド 

 副詞を使うなというのは特にはっとさせられました。副詞というのは文法的に言えば、自立語で活用がなく、主語にならない語のうち、おもに用言(動詞、形容詞、形容動詞)を修飾することば(連用修飾語)ということになり、状態や程度を表したりします。キングによれば、副詞の多用は、“自分の文章が明快でなはなく、言いたいことが良く伝わらないのではないかという書き手の恐れを示すもの”なのだそうです。既に文脈の中で読者が理解できているのであれば、「居丈高に叫んだ」「卑屈に懇願した」「横柄に言い放った」は陳腐であり、それぞれ「叫んだ」「懇願した」「言い放った」だけでいいというのがキングの主張です。う-む。かつて作ったSS小説で多用した気がします。読者の理解力、想像力を信じないといけないんですね。

現役時代の長嶋茂雄 

 続いてタイトルにもなっている「書くことについて」。ここはキングをして難航させた部分で、たくさん書き、たくさん読めとか執筆する部屋は執筆に集中できるようにしろとか、プロットを練ってストーリーを紡ぐのではなく、ストーリーは自然にできていくもので、地中に埋もれた化石のように探し当てるものだとか言っていますが、書いていて一番苦痛だったそうです。多分天才がそのフィーリングを凡人に伝えようとするようなものだからでしょう。少年野球教室で「球がこうスッと来るだろ」「そこをグゥーッと構えて腰をガッとする」「あとはバァッといってガーンと打つんだ」と言った長嶋茂雄のような。

グリーンマイル 

 行き詰まって一旦筆を置いたキングは、1999年6月19日にメインの自身の別荘の近くを散歩中、危険運転常習者にライトバンではねられ重傷を負うことになります。これは一時は命を危ぶまれたほどだったようで、何度も手術を繰り返したにも関わらず、現在も片足が不自由だそうです。

シャイニング 

 その後、「書くことについて」の執筆を再開し、最後に「生きることについて」を書きます。ここはまさに事故に出会って病院に搬送され、手術を受けてリハビリに苦闘する様子を描いたものです。事故後も作品を発表し続けており、本当に作家活動に復帰できてよかったと思います。当ブログで紹介した、「夕暮れをすぎて」「夜がはじまるとき」(原題“Just After Sunset”を二分冊にしたもの) が読めなくなることでしたよ。

マディソン郡の橋 

 いろんな作家を取り上げて褒めたり貶したりしていますが、「マディソン郡の橋」が大嫌いだというところが印象的でした。ベストセラー作家なので売れ行きに嫉妬ということはないでしょうが、ベストセラーになってようが多くの人が称賛しようが虫の好かない作品は虫が好かないということなんでしょう。

ライ麦畑でつかまえて 

 実は私も多くの人が褒めそやす「ライ麦畑でつかまえて」を若い頃に読んだのですが、全然面白くなかったし主人公に共感できなかったということがあるので、小説の相性というものはあるんでしょうね。

ミザリー 

 付録として2000年頃にキングが読んで面白かったという本のリストがあり、100冊並べられています。さらに新装版ということで、2001年から2009年にかけて読んでベストだと思った80冊が追加されています。邦訳されていないものも多いのですが、合計180冊の中で私が読んだことがあるのは、ウィリアム・ゴールディングの「蠅の王」、トマス・ハリスの「ハンニバル」、サマセット・モームの「月と6ペンス」だけでした。トルストイの「戦争と平和」は半分で挫折したままです。あ、「イングリッシュ・ペイシェント」と「ハリー・ポッターと賢者の石」は映画で見ました(笑)。

イングリッシュ・ペイシェント 
ハリー・ポッターと賢者の石 

砂漠の惑星:宇宙には、人間が触れてはならない領域がある

コキアが美しい季節です

 ひたちなか海浜公園のコキア(ホウキグサ)が見頃になっています。ガルパンの聖地巡礼で大洗に行く方は、ついでにこちらにも寄ってはいかかでしょうか。もちろんコキアを見にひたちなかに向かった人が大洗に寄ってもいいんですがNE!しかしこんなに秋が深まったというのに、最近微妙に「アツゥイ!」なんですよね。もういい加減にして欲しいですね。

砂漠の惑星 

 本日はスタニスワフ・レムの「砂漠の惑星」を紹介しましょう。スタニスワフ・レムの作品は初めて読みました。

スタニスワフ・レム 

 スタニスワフ・レム(1921-2006)はポーランドのSF作家で、以前は日本で「スタニスラフ・レム」と紹介されることが多かった人ですが、これは初期はロシア語版から重訳したケースが多く、ロシア語読みになってしまっていたせいだそうです。いや、実は私もロシアの作家だと思っていました。

金星応答なし 

 少年時代には知能指数が180もあったそうです。第二次大戦後に雑誌に詩や短編小説を発表し、1951年に「金星応答なし」で本格的にSF作家としてデビューしました。初期の作品は社会主義リアリズム(社会主義を称賛し、革命国家が勝利に向かって進んでいる現状を描き、人民を思想的に固め革命意識を持たせるべく教育する目的を持った芸術の表現方法)の影響下にあり、レム自身はその価値を否定しています。

エデン 

 1959年から1964年に書かれた「エデン」「ソラリスの陽のもとに」、そして「砂漠の惑星」は、後にファーストコンタクト三部作と呼ばれ、異星人とのディスコミュニケーションがテーマとなっています。三部作の中では特に「ソラリスの陽のもとに」が有名で、「惑星ソラリス」(1972年、監督アンドレイ・タルコフスキー)および「ソラリス」(2003年、監督スティーブン・ソダーバーグ)として2度映画化されています。

ソラリスの陽のもとに 

 「砂漠の惑星」は1964年に出版されたファーストコンタクトシリーズの第三弾で、原題は「Niezwyciężony (無敵)」です。タイトルだけ見ると、フランク・ハーバートの「デューン/砂の惑星」に似ていますが、内容は全然異なっています。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

 砂の惑星

 6年前に消息をたった宇宙巡洋艦コンドル号捜索のため“砂漠の惑星”に降り立った無敵号が発見したのは、無残に傾きそそりたつ変わり果てた船体だった。生存者なし。攻撃を受けた形跡はなく、防御機能もそのまま残され、ただ船内だけが驚くべき混乱状態にあった。果てなく続く風紋、死と荒廃の風の吹き抜ける奇怪な“都市”、偵察機を襲う“黒雲”、そして金属の“植物”…探検隊はこの謎に満ちた異星の探査を続けるが!? 

旧文庫版砂漠の惑星

 「無敵」というのは琴座星系の宇宙本部基地に所属する二等巡洋艦の名前ですが、“砂漠の惑星”レギスⅢの真の支配者を指す言葉でもあります。同型艦のコンドル号捜索のためにやってきたのですが、そもそも6年も経過してからノコノコやってくるなんて…と思ってしまいます。

旧版砂漠の惑星 

 当初はミステリー仕立てで、コンドル号遭難事件は概況が判明するほどに謎が深まっていきます。生存者はないのですが、石鹸に歯形がついていたり書物が引き裂かれていたりと、船内は尋常ではありませんでした。船体は傷ついていましたが、動力や備品類は無事で、食料も十分残されていました。一体乗組員はどうして死んだのか?

 そしてレギスⅢも調査するほどに謎が深まります。海には魚類や軟体動物が棲息しているのに、陸地には植物も含め一切の生命が存在しません。そんな中に奇怪な廃墟が発見されますが、とても知的生命体が居住できるようなものではありませんでした。調査を続ける無敵号乗組員達ですが、今度は彼らが奇妙な攻撃にさらされることになります。

惑星タトゥーイン 

 本書は、まず50年以上前の作品ということをさっ引いても、非常に古めかしく感じます。無敵号は光子ロケットで、冷凍睡眠装置を有するのですが、コンピューターは磁気テープを使っていたり、ランプが明滅したりと、非常に古典的描写がされています。正直光子ロケットも冷凍睡眠装置も未開発である原題のコンピューターの方がかなり進んでいるような。テクノロジー関係は概ね古典的描写が多いです。バリアーを張るエネルギーボート、人やロボットが乗り込む万能車とか水陸両用車(その差はなんなんでしょう)は陸上を走るだけで飛行機能はなく、円盤飛行機やスーパーコプターといった飛行機械はありますが、その傍らで観測気球を使っていたり。

 無敵号を襲撃してくる黒雲は無線を妨害し、電子機器や人間の脳を強力な磁力で“初期化”してしまうことが判明します。つまりコンドル号の乗組員はほぼ全員が白痴化してしまったようです。そして黒雲の正体について、乗組員の一人が仮説を提唱します。

他の映画のイメージショットその1 

 琴座星系には高度の文明を持つ惑星がありましたが、太陽の新星化で滅亡したことが知られていました。しかし、宇宙進出を可能にしていあ彼らは滅亡前に脱出を試みたと見られ、レギスⅢにも宇宙船で訪れた模様です。しかし事故などにより乗員は死亡し、自動機械だけが残されたと。

 当時のレギスⅢは陸上にも生物がおり、主を失った自動機械達は自分達の存続だけのために、生物や他の自動機械達と「生存競争」を開始することになりました。都市のような廃墟も、自動機械の一種で、生存競争に敗れて滅んだ残骸だったようです。

砂漠のイメージショット 

 最終的に生き残ったのは、ごく小さなパーツのような自動機械で、単体では虫のように無力な存在ですが、他のパーツと合体することで集団的な知能を見せるようになり、圧倒的な数と、これまで他の生物・自動機械を滅ぼしてきたノウハウを生かして攻撃してくるようになります。

 無機物でありながら自己変革と自己増殖を実現した自動機械はほぼ生物と変わりありませんが、理性を持たず、他者を絶滅させることのみに特化してしまっていましたそんな自動機械に、人類はどう対処するべきか?

砂漠のイメージショットその2 

 切り札であるキュクロペスという反物質砲を備えた80トンの戦車すら狂わせてしまった黒雲ですが、絶滅の効率性を突き詰めたが故に、直接殺すのではなく、白痴化させて自滅するに任せるという方法を採るようになっているので、すでに白痴化したように思わせる脳波に似せた偽装電流を流すことで、それ以上攻撃されないことが判明しましたが、コンタクトも絶滅も不可能な自動機械に対しては、ただ撤退することしかできませんでした。

 主である知的生命体が滅亡した後も生き残って活動を続ける機械知性という話はよくSFで見掛けますが、知性も理性も持たず(ただし群体となる蟻とか蜂のような集合知のようなものは持つ)、ひたすら自分達以外の他者を滅亡させることのみに特化してしまった自動機械というのは非常に興味深いです。全部科学者の仮説なんですが、描写をみるとほぼ間違いはないところでしょう。

砂漠のイメージショットその3 

 主を失って存在する目的もないはずなのに自己変革と自己増殖を続ける自動機械…その意味のなさには唖然としますが、考えてみれば我々有機体生物だって、他者から見た時に生きる目的というのは何かあるんでしょうかね。

 例えば、我々地球の生命も、実在した「神」なるものに仕えるために生み出されたものの、なんらかの理由で「神」は去ってしまい、既に本来の目的は失ったにも関わらず、自律的に進化を続け、しまいには「神」はいつか戻るとか、「神」は自らの中に存在するとか言い訳を並べ、自らを欺瞞して生き続ける「人間」という生物を生み出した……な-んて。その場合、他の知性体が地球を訪れたら、我々を本書の自動機械と同じように無目的のまま増殖を続ける存在だと見なすのかも知れませんね。そんな考えこそがセンス・オブ・ワンダー!

デスバレー 

記憶に残る一言(その74):ドズル・ザビ中将のセリフ(機動戦士ガンダム)

ハナミズキの紅葉

 ハナミズキが紅葉しています。初夏には花が咲き、秋には紅葉と一粒で二度美味しいアーモンドキャラメルのような樹木ですが、紅葉はあんまり綺麗ではないんですよね。他の木に先駆けてるところに価値があるというか。そういえばサクラの方は紅葉するやいなや、あっという間に散ってしまっていますな。

ドズル中将 

 本日は記憶に残る一言です。今回は「機動戦士ガンダム」からドズル・ザビ中将のセリフを紹介しましょう。

ザビ家の人々 

 ドズルはジオン公国を牛耳るザビ家の一人で、デギン公王の三男です。兄にギレン総帥、妹にキシリア少将がいますが、じゃあ次男じゃないの?と思われがちですが、次男のサロスは爆弾テロで死亡しているのです。サロスは本編開始時既に故人なので、画面には一切登場しませんが、アニメの準備稿に設定として存在し、小説版で初めて名前が登場しました。

ジオン・ズム・ダイクン 

 デギンにはジオン公国の創始者であるジオン・ダイクン(シャアとセイラの父)を暗殺して権力を簒奪したという噂があり、サロスの死はジオン・ダイクンの国葬後の爆弾テロによるもとで、一説にはダイクン派の報復とされています。ドズルもこの事件の際に負傷しましたが、顔の傷跡はその時のものだそうです。

ドズルとゼナ 

 身長210cmの大柄な体格とゴリラかフランケンかという容貌なので、ロボットアニメに良く登場する力押しタイプの悪役のように見えます。軍服の肩には不必要なトゲが付いてたりしますし。しかし、指揮官としての統率力・指揮能力は十分にあり、部下の信望も篤いものがありました。また愛妻家としても知られており、家族に深い愛情を注いでいました。

ゼナ・ザビ 

 妻はゼナで娘はミネバ。ミネバはネオ・ジオンにおいて唯一のザビ家の直系としてハマーン・カーンに祭り上げられていました。父に全く似ずに可愛い顔立ちをしていますが、おそらく母親似ということなんでしょう。顔だけはパパン似でなくてとにかく良かった。

ミネバ・ザビ 

 ギレンやキシリアはやたら政治的な動きが多い人達でしたが、ドズルは純粋な武人として振舞っていました。宇宙要塞ソロモンを拠点とする宇宙攻撃軍司令で、当初はシャア(当時少佐)の上官でもありました。シャアの有能さはちゃんと評価していたようですが、溺愛していた四男のガルマが死亡した際には、彼を守りきれなかったとしてシャアを左遷しました。ドズルは処刑を主張したそうですが、デギン公王の裁定で左遷に留まったそうです。

 デギン公王
ギレン総帥

 弟を守り切れなかったから死刑とういうのは無茶な主張に思えますが、実際にはガルマの死はシャアの謀略の結果でもあったので、結果的には死刑の主張は正鵠を射たものだったということに。その後シャアはキシリアに拾われて重用されるのですが、キシリアなら事件の真相を知っていてもなおシャアを使った気がします。このあたりが政治家と武人の差なのかも知れません。

ガルマ・ザビ 坊やだからさ

 ガルマを愛していたのは、ママンの面影を強く残していたからだともされますが、その能力も高く評価していたようで、ドズル自身をも使いこなすような将器があるとしてその成長を楽しみにしていたので、失った悲しみは尋常ではなかったようです。

キシリア少将 

 余談ですが、デギン公王といいドズル中将といい、ザビ家は美人を嫁に迎える傾向があるのでしょうか。ギレン総帥もかつてクラウレ・ハモンが愛人だったとか、秘書のセシリア・アイリーンが事実上の愛人だとかいう説がありますね。セシリアはCVが井上喜久子であるという“裏ドラ”ものっていて実にグッドです。

元愛人ハモン 現愛人セシリア

 直接的にガルマを殺害したのはホワイトベースということで、ガルマ仇討ち部隊としてランバ・ラル隊を地球に派遣した他、ホワイトベースが宇宙に出てからは連邦軍にソロモン攻略戦の兆候もあるというのにコンスコン少将指揮下の機動部隊を派遣していました。これは左遷後キシリアに登用されたシャアを牽制するという目的にあったようですが、肉親に情が濃いというよりは私怨で軍を動かしているように見えました。

戦いは数だよ! 

 そして今回の記憶に残るセリフがこれです。連邦軍によるソロモンコン略作戦(チェンバロ作戦)が迫る中、ドズルはギレン総帥に援軍を要請しましたが、送られてきたのは試作モビルアーマー「ビグ・ザム」1機のみでした。ギレンはビグ・ザム1機で2~3個師団にも相当するはずと嘯きますが、これに対してのドズルの返事がこれです。その後、「偉そうにふんぞり返る前に勝つための手だてを…」と続きます。

戦いは数だよ 

 実はこのセリフ、本編第35話「ソロモン攻略戦」には存在せず、映画版の「機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編」で追加されたものです。本編では
 ドズル「パプア艦でたった一機のビグザムだけだと?」 
 ジオン士官A 「は、現在はこれしか出せぬ、と」 
 ドズル「ええい、兄上は何を考えているのだ?今あるリック・ドムでは数が足りんのだ。新鋭モビルスーツの一機をよこすくらいならドムの10機もまわさんのか?」 
というやりとりになっています。

ビグ・ザム出陣 
リック・ドム 

 まあ実際にはビグ・ザムは連邦艦隊を多数撃沈し、ティアンム中将座乗の旗艦「タイタン」まで撃沈する大活躍を見せました。これはリック・ドムの10機どころでは不可能な戦果であり、奇しくもギレンの言う「ビグ・ザム1機で2~3個師団にも相当」を実証する結果となっていますが、実際の稼動時間は20分以下で、劇中ではドズルの特攻出撃で再出撃を見越していないため、それよりも長く動いていたようです。

宇宙要塞ソロモン 

 「孫子」軍形篇には「勝兵は先ず勝ちてしかる後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いてしかる後に勝を求む。( 勝兵先勝而後求戰、敗兵先戰而後求勝)」という有名な一節があります。これは、勝利する軍はまず勝利を得て、それから戦をしようとするが、敗北する軍はまず戦を始めてからあとで勝利を求める戦い方をする、という意味でしょう。戦を開始する時点ですでに勝つ状態を作っておく、すなわち確実に勝利できるだけの戦力・物資を用意して、それから戦うのが勝利への道だと言っている訳です。

ソーラーシステム 
数とはこういうこと 

 寡兵で大軍に勝利するというのは一見見栄えはいいのですが、そんな奇跡のようなことはそうそう起きるわけもなく、戦で最も重要なのは、凡将でも勝利できるだけの算段を整えることだといっている訳で、話を広げれば富国強兵製作にまで辿り着くという。太平洋戦争でいえば、圧倒的な国力を持つアメリカは「先ず勝ちてしかる後に戦いを求め」る状態にあったと言えるでしょう。日本がなんとかするには、短期間で圧倒的な戦果を得て、なんとか譲歩を引き出して休戦するしかなかったのでしょうが…

コンスコン少将 

 それはともかく、「ドムの10機もまわさんのか?」とギレンのしみったれぶりを嘆いたドズルですが、実はそれ以上の戦力をプラスすることは可能でした。そう、コンスコン艦隊を出撃させなければ良かったのです。コンスコン艦隊はチベ級重巡1隻とムサイ級軽巡2隻で構成され、12月5日と6日の戦闘で18機のリック・ドムを繰り出してホワイトベースに挑みましたが、ガンダムの大活躍により全滅してしまいます。この艦船3隻とMS18機がソロモンに残っていたら、戦局はまた違っていたかも知れません。

コンスコン艦隊 

 まああっさりソーラーシステムに焼かれて全滅ということも考えられますが、意外にソーラーシステム展開前にティアンム艦隊を発見して、照射を未然に防いだかも知れません。

ドレン大尉 ドレン艦隊

 ジオンから見ると、ホワイトベースはまさに死神部隊で、遭遇した部隊はほぼ壊滅しています。ランバ・ラル隊、黒い三連星、水陸両用MS、モビルアーマー…。そんな中には、かつてシャアの副官だったドレン大尉率いるパトロール艦隊の3隻のムサイ級軽巡と6機のリックドムもいました。これもホワイトベースに遭遇していなければソロモンの戦力に加えられたと思われるので、連邦軍首脳は囮としか見なかったホワイトベースは彼らの想定外の戦果を挙げていたと言わざるを得ません。

ランバ・ラル隊 
黒い三連星

 それにしても…コンスコンが少将で小艦隊の指揮を執るのはいいとして。物語冒頭、少佐だったシャアはムサイ級軽巡一隻の指揮官でしたが、ドレンは大尉にしてムサイ級3隻の小艦隊の指揮官に。ジオン軍という組織は高級将校、なかんずく将官が非常に少ないという印象があるのですが、そこまで不足していたのでしょうか。

「ガンダムさん」より  

 なにしろ主力である宇宙攻撃軍の司令が中将のドズル、突撃機動軍の司令が少将のキシリアですから。広大な地域を制圧下に置いている地球方面軍の司令はなんと大佐のガルマです。その後の作品で他にも将官がいたことが描かれていますが、本来ならドズルもキシリアも大将で、他にも副司令として将官級がいるくらいで良かったと思います。権威より実力主義ということなのかも知れませんが、開戦時中尉だったシャアが戦功で少佐になり、左遷後はなんと大佐に昇進と、一年足らずの間に四階級も昇進しているのを見ると、戦意高揚とか士気の維持とかのためにも昇進がたくさん行われていてもおかしくないのですが。ドレンも少尉から大尉と二階級も上がっていますが、彼の場合は叩き上げだったせいでしょうが、年齢といい経験といい、少尉だったことがそもそもおかしい感じがします。

戦いは数だよ兄貴キャンペーン 
ビグ・ザムとうふ(笑) 

人魚は空に還る:推理よりは癒やしの「帝都探偵絵図」シリーズ第一弾

ハルキストの皆さん

 ノーベル文学賞がまさかのボブ・デュランということで世間はあっと驚いた訳ですが、私もへー、有名歌手と同姓同名の作家がいるのかと驚きました。まさか本人とは。それはともかく、この時期になるとハルキストなる熱狂的な村上春樹ファンが集まっては村上春樹の本を読みながら受賞を今か今かと待ち、今年も受賞ならずと知ってがっかりするというのがお約束になっているのですが、そもそもノーベル文学賞の最有力候補なんて下馬評なるものが本当に正しいのかどうか。

アップル信者の集会 

 巷ではハルキストについて「気味の悪い意識高い系集団」なんて言われています。私もアップル信者みたいだなあなんて思ったりして。日本においては信教の自由は保障されているので、信仰の対象が村上春樹だろうとApple社だろうと構わないのです。私に押しつけてさえこなければ。私もiPodを持っているし、村上春樹も何冊か読みましたが、信仰の対象にまではならんですなあ。

人魚は空に還る 

 本日は三木笙子の「人魚は空に還る」を紹介しましょう。三木笙子の作品は初めて読みました。三木笙子は1975年生まれで秋田県出身。2008年に東京創元社主催の「第2回ミステリーズ!新人賞」最終候補作になった短編「点灯人」を改稿・連作化した短編集「人魚は空に還る」でデビューしました。

三木笙子 

 本人のブログ「アネモネ手帖」では、プロフィール欄に“デビューした時から「仕事や勉強の後にほっとした気持で読むことができる小説」を目指してきました。読者に「優しくて暖かな雰囲 気」「心地よい哀しみと快い切なさ」「読後感の良さ」を提供したいと思っています。”と記載されています。好きな作家は辻邦生・平岩弓枝・浅田次郎だそうです。

 「人魚は空に還る」は「帝都探偵絵図」シリーズの第一弾ともなっており、これまでに3冊が刊行されています。作中の登場人物がシャーロック・ホームズシリーズの大ファンということもあってか、全て短編集となっています。「人魚は空に還る」は2008年8月29日に東京創元社から単行本が刊行され、2011年10月28日に創元推理文庫から文庫版が刊行されています。例によって単行本裏表紙の内容紹介です。

単行本 人魚は空に還る 

 富豪の夫人の元に売られてゆくことが決まった浅草の見世物小屋の人魚が、最後に口にした願いは観覧車へ乗ることだった。だが客車が頂上に辿りついたとき、人魚は泡となって消えてしまい―。心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年が贈る帝都探偵物語。明治の世に生きる彼らの交流をあたたかに描いた、新鋭の人情味あふれる作品集第一弾。表題作を含む五話収録。 

 時は明治、しがない雑誌記者・里見高広と美形の天才絵師・有村礼が周囲で巻き起こる事件を解決していきます。状況的には天才の礼がシャーロック・ホームズ、凡人の高広がワトソンとなりそうなのですが、なんと高広がホームズ、礼がワトソン役となっています。「腰の低いホームズと高飛車なワトソン」とたとえられていますが、ホームズはともかく、高飛車なワトソンは嫌だなあ(笑)。

帝都探偵絵図 

 有村礼は「天才」の名をほしいままにする絵師で、美人画で知られていますが、本人はそれ以上の美貌だといわれる美男子です(それだけでむかつきますな)。「有村礼の描く女性」に似ていると評されるのは、女性にとって最上級の誉め言葉とされています。そんな礼が表紙を描けば、どんな雑誌でもたちまち完売するとされており、雑誌編集者達は目の色を変えて依頼に殺到するのですが、天才だけにきまぐれでなかなか描いて貰えません。

 里見高広は娯楽雑誌「帝都マガジン」を発行する零細雑誌社「至楽社」の編集者で、幼い頃に天涯孤独の身となり、遠縁の里見家に養子に迎え入れられました。その里見家の養父は現内閣きっての切れ者と言われる司法大臣里見基博で、実子をさしおいて養子ながら能力の高い高広を跡継ぎにしようとしていますが、親戚縁者の大反対に嫌気が差し、家を出ました。

ストランド・マガジン 

 英語が堪能で、コネでシャーロック・ホームズシリーズを連載する「ストランド・マガジン」を入手することが出来るのですが、仕事の依頼で礼を訪ねた際、世間話の一環でシャーロック・ホームズのあらすじを話したところ、予想以上の興味を示されたことから、「ストランド・マガジン」を翻訳することと引き替えに絵を描いて貰っています。

 本書は短編5編からなっています。第一話「点灯人」は、小学生の女の子が、行方不明になった兄を探すため、尋ね人の記事を載せたいと訪ねてきたことから始まります。単なる家出の可能性が消えないままに高広が調べを進めていくと、知人の記者から目撃情報を手に入れますが…

ホームズとワトソン 

 第二話「真珠生成」は、銀座に店を構える真珠店の極上の真珠「プリンセスグレイス」が盗まれるという事件が発生します。事件当時、司法大臣の里見基博が娘(高広の義姉)の結婚に際して「プリンセスグレイス」を買おうとしていたことがわかり、義父の不名誉を晴らすため、高広が捜索にあたりますが…

 第三話「人魚は空に還る」は、浅草の見せ物小屋に人魚が現れました。高広と礼が知り合いの作家・小川と一緒に見物に訪れると、儚い少女のような人魚が切々と歌う姿に息をのみます。後日、人魚が礼の旧知の富豪夫人に身売りされることが決まりますが、人魚は最後の願いとして「観覧車に乗りたい」と言い出します。そして観覧車が一番上まで行ったところで、なんと人魚は泡となって消えてしまいました。これは一体

 第四話「怪盗ロータス」は、巷間を賑わす怪盗ロータスが、成金が所有す絵画を盗む旨の犯行予告状を送ります。成金の豪邸は隅田川に面した角地に建っており、船でしか入れない作りになっています。ロータスは如何に侵入しようというのか…

 第五話「何故、何故」は、質屋に押し入って大金を盗んだ強盗が、舟で逃げようとしますが、警察の警備船に発見され、逃げ場を失ったことを悟るや、その紙幣を川面にばら撒いて火を付け、その隙に逃亡しました。強盗は徒労に終わったかに見えましたが…

 基本、本格推理までいかない話ばかりです。それはホームズ役の高広が腕っ節は強いけど、推理的には凡人の域を出ないからですが、読者が作者と知恵比べするという感じにはなっていません。ただ、明治という時代と癒し系のストーリーはそれはそれでありかなと思います。推理小説というよりは明治を舞台としたラノベと見る方が適切なような気がします。

小川未明 

 ちなみに「人魚は空に還る」に登場する作家・小川は小川未明だということがラストで判明します。小川未明といえば「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれる児童文学作家です。「人魚は空に還る」のエピソードにインスパイアされたのが、有名な「赤い蝋燭と人魚」だったりして。童話というにはあまりに救いのない話ですが、それだけに印象に残りますよね。

赤い蝋燭と人魚 

 なお、義理とはいえ父が司法大臣ということは色んな意味で高広に影響を及ぼしているのですが、似たような小説の設定で親とか親戚が警視総監とかどこかの県警本部長なんてことがあります。それは別にいいのですが、江戸時代の将軍とか町奉行とかはいざ知らず、近現代のそういう要職はそんなに長く占められてい
ないということに留意しないとリアリティを失うと思います。だいたい1~2年、長くても3年というところなので、シリーズが長期になるときは注意して貰いたいものです。 

MM9-destruction-:3年以上を経てMM9シリーズ完結編を読みました

明里ちゃん3歳

 涼しくなるのは結構なんですが、あまりに急過ぎて体調を崩す人もいるようです。私もちょっと風邪気味なんですが、何事も過ぎたるはなお及ばざるがごとし、ですね。最近の日本の気候はとにかくラディカルな方向に向かっているような。そんな中、当ブログのアイドル・リアル明里ちゃんは一足早く七五三のお祝いをしたそうです。もう3歳か……早い、早いよスレッガーさん。ちなみにプレートの料理もご飯も完食したそうですが、将来はフードファイター?

MM9 destruction 

 本日は山本弘の「MM9-destruction-」を紹介しましょう。MM9シリーズについては、2013年5月29日にシリーズ第一弾の「MM9」を、同年6月6日にシリーズ第二弾の「MM9-invation-」を読みましたが、第三弾の本書を読んだのは何と3年以上後になってしまいました。

 なぜかというと、私が札幌に転勤してたいということもありますが…いつも利用する図書館に、単行本はあるけど文庫版がなかったということがあります。単行本を購入した以上、同じ内容の文庫版を重ねて購入はしないという方針なんでしょうが、通勤電車が読書タイムの私としては単行本は携行しずらいんですよね

 しかもこの表紙。ででーんと巨大ロボット怪獣ですよ。電車内で広げるのにはちょっと躊躇いがあったのです。でも今回、そろそろ読まないとあらすじを忘れてしまうじゃないかと逆ギレ(?)して、電車内でどうどうと読んだのですが、まあ他の乗客は全然興味を示しませんでしたね。皆スマホを見るのに忙しいみたいです。

文庫版MM9 destruction 

 ということで大きい単行本を読んだので、文庫版裏表紙の内容紹介はわからないのですが、代わりにAmazonの内容紹介です。

 地震、台風などと同じく自然災害の一種として“怪獣災害”が存在する現代。有数の怪獣大国である日本では、気象庁内に設置された怪獣対策のスペシャリスト集団“気象庁特異生物対策部”略して“気特対”が、人々を守るため昼夜を問わず駆けまわっている。スカイツリーを襲った宇宙怪獣を辛くも撃破してから二日。一騎と亜紀子、そしてヒメは茨城県内のとある神社に護送された。そこで出会った美少女巫女ひかるは、ヒメとの意外な関係を明かす。一方、日本近辺では透明怪獣が次々と出現。その裏には、地球侵略を企むチルゾギーニャ遊星人の恐るべき目論見があった。果たして一騎たちは、最強の宇宙怪獣を迎え撃てるのか?本格SF+怪獣小説・『MM9』第3部!

 第二弾の「MM9-invation-」はチルゾギーニャ遊星人の地球侵略を描いていましたが、実は威力偵察といった段階に過ぎず、今回の「MM9-destruction-」こそが本格的侵略となっています。

 本シリーズでは、我々の世界と同様の物理法則に支配される「ビッグバン宇宙論世界」の他、「神話的宇宙論世界」が存在しているとされています。地球は人間の文明の進歩により、「神話的宇宙論」から「ビッグバン宇宙論」に急速に移りつつあり、完全に「ビッグバン宇宙論世界」に移行すれば“怪獣災害”が発生しなくなるはずなのです。それは某理科雄がしたり顔で展開している(ように感じる)「空想科学読本」シリーズが指摘するように、火や光線を吐く巨大怪獣の存在自体が物理法則に反しているからなのですが、本書の世界では「神話的宇宙論」の残滓としてまだ怪獣が出現するのです。

 そして怪獣が出現して怪獣災害を起こしてくれないと困る存在もいます。いわゆる妖怪達です。彼らは通常人間社会に溶け込んで人間と変わらず生活していますが、やはり異形の「神話的宇宙論世界」の存在であり、「ビッグバン宇宙論世界」が確立すれば滅亡せざるを得ないのです。なので妖怪達の中の過激派はあえて怪獣災害を引き起こし、人間達に怪獣の存在を焼きつけようとします。人間からすればテロリストみたいですね。

 しかし頼みの綱のMM9級大怪獣のクトウリュウ(クトゥルー)が怪獣ヒメに倒されてしまい、過激派妖怪達の希望は潰えたかに思えました。そこに救いの手を伸ばして来たのがチルゾギーニャ遊星人でした。彼らは「神話的宇宙論世界」からやってきた存在で、妖怪達に手を貸して地球を「神話的宇宙論世界」に変えてやろうと言うのです。

 ということで「MM9-invation-」ではとりあえず「ガラスネーク」と「ゼロケルビン」の二体の宇宙怪獣を出してきたチルゾギーニャ遊星人、今回は多数の宇宙怪獣を出撃させ、精神生命体である恒点観測員774号(ジェミー)と融合したヒメを倒しにかかります。5体UFOが分離合体するロボット型宇宙怪獣「ゴウキング」と吸血宇宙怪獣「アボソーラス」5体による飽和攻撃でヒメを倒し、謎の宇宙金属でコーティングして銅像のようにしてしまいます。

十字架磔のウルトラセブン 

 本シリーズはウルトラシリーズやゴジラシリーズなどの特撮作品のオマージュとなっていますが、正義のヒーロー(この場合はヒロインですが)が極悪宇宙人の奸計にはまって捕らえられるというのは「ウルトラセブン」の十字架に磔になったウルトラセブン(「セブン暗殺計画」前後編)とか、「ウルトラマンA」のウルトラ5兄弟が全員磔になったり銅像に変えられてしまう(「死刑!ウルトラ5兄弟」とか「全滅!ウルトラ5兄弟」)のエピソードを彷彿とさせます。それにしても「セブン暗殺敬作」って、ちょっと内容と違っていますよね。ガッツ星人がやってることは暗殺というよりは公開処刑でしょう。

兄弟で磔 

 チルゾギーニャ遊星人は、ビッグバン宇宙論的世界の拡大を防ぐのが目的だと語っていましたが、本当の目的は、地球を自分達の「神話的宇宙論世界」に組み込むことでした。彼らは機械文明の代わりに怪獣を使役する怪獣文明を持っていますが、真の支配者は怪獣神ギガントであり、ギガントがヒメをレイプ(!)して自分の子供を産ませることによってその星の神話体系そのものを乗っ取り、一族を増やしていくという大胆すぎる手法を取ってきたのでした。

ブロンズ像になったウルトラ5兄弟 

 我々の世界では遺伝子が異なる異種姦では妊娠しませんが、「神話的宇宙論世界」ではほぼなんでもありで、きっと高貴な姫やエルフや女神を下賤なオーガやゴブリンやその他の魔物が襲って孕ませるという陵辱物のエロゲーに近いようです。剣と魔法も普通にありますしね。でもさすがに「エロゲー的宇宙論世界」では様になりませんな。

 実はヒメはまだ幼生に過ぎず、羽化して生体となると世界最古の女神といわれる「メドゥサ・アンドロメダ」になるのですが、チルゾギーニャ遊星人がヒメを銅像化したのは羽化を防ぎ、ギガントの「手籠め」を容易にするためでした。

 怪獣神ギガントには従者(あるいは子供)として戦車形態からケンタウロス形態に変形する「メカモグラ」と、円盤形態から怪獣形態に変形可能な「ガラコブラ」(前作登場のガラスネークの親分的存在)が付き従い、いよいよヒメは危うしということになるのですが、実はヒメにも従者たる怪獣がいるのでした。

牛頭天王 

 一体は1923年に関東大怪獣災害(関東大震災に相当)を引き起こした「ゴズ」(名前は牛頭天王から。モデルはゴジラ)。そしてもう一体は1995年に阪神地区に大規模な怪獣災害(阪神淡路大震災に相当)をもたらした「カガミ」(名前は八咫鏡から)です。彼らは日本の守り神的存在なのですが、他の怪獣を倒すために戦えばそれだけで大被害が出てしまうという意味では「荒ぶる神」そのものです。

八咫鏡 

 ゴズはメカモグラと、カガミはガラコブラと交戦を開始しますが、首魁である怪獣神ギガントを倒すためにはヒメの「羽化」が必要です。どうやってヒメを甦らせて羽化させるか、が本作最大の見所となりますが、そこはぜひ読んでいただきたいなと。

 シリーズラストだけあって、終盤には巨大怪獣が3対3で戦うという特撮物でもなかなかお目にかかれない豪華な戦闘が展開されますが、自衛隊もそれなりに存在感を示しており、科特隊とかウルトラ警備隊並みの活躍を見せてくれます。山本弘は特撮作品をよく分かった上でリスペクトして本シリーズを描いているので、特撮世代の私としては非常に読みやすく、楽しむことができました。やっぱり恋は必要なんですね。主人公の高校生案野一騎が一時的にハーレム状態になるのもギャルゲーチックでいいですね。

 しかしこの世界、我々の世界のように完全に「ビッグバン宇宙論的世界」にはならないような気がします。ヒメは転生を繰り返しては1000年周期で宿敵「クトウリュウ」と戦う他、宇宙からの侵略者とも戦って地球を守る使命を持っているようですし、それを周期的に見せつけられては「怪獣」の存在を完全否定することはできないような。

好きな声優さん第5期(その3):雨宮天~アイドル並みのルックスを持つ若手声優

10月はたそがれの国

 今日はやっと涼しい10月。この秋初めて長袖シャツを着ましたよ。“コレジャナイ”日々が続いてましたが、これこれ、秋はこうじゃないと。でもやっと平年並みというところなんでしょうね。それにしても日が暮れるのが早くなりました。秋の日は釣瓶落としといいますが、まさしく言い得て妙ですね。夜行性の動物は、やはり夏より活動時間が増えるんでしょうか。

青が似合う雨宮天 

 本日は久しぶりに(やるときはいつもそんなこと言っている気もしますが)好きな声優さんです。最近は声優界も声さえ良ければあとはどうでも…という時代ではなくなってきて、ビジュアルも重視されつつありますが、今回はアイドルグループにいても全然おかしくない本格派の美人声優・雨宮天を紹介しましょう。

頬杖雨宮天 

 雨宮天(あまみや そら)は1993年8月28日生まれで東京都出身。愛称は「天(てん)ちゃん」ですが、「天」を「そら」とは中々読めませんね。そう言えば「ミルキィホームズ」のネロとか「ごちうさ」のマヤを演じた声優に徳井青空という人がいますが、この人も「青空」とかいて「そら」と読みます。

徳井青空 

 なぜに素直に「空」にしないんですかねえ。まあそもそも本名か芸名かわかりませんけど。雨宮天だと雨天という感じがするので、青空と対象的かな。松尾芭蕉の門下には河合曾良という人もいましたから、「そら」は決してDQNネームではない…と思いますが、曾良は男でしたな。

アイドルチックな雨宮天 

 高校2年生の時に、声優の沢城みゆきが演じるキャラクターを集めた動画を見て、様々な役を演じ分ける沢城に感銘を受けて声優を志したそうです。2011年に声優オーディションに合格し、2012年に声優デビューしました。

藤宮香織 アカメ

 デビュー早々の2014年には「一週間フレンズ」でヒロイン(藤宮香織)を演じ、同年の「アカメが斬る!」では主役のアカメを演じるなど、声優人生は極めて順調で、この年にアーティストデビューも飾っています。そういう活躍ぶりから、2015年の第9回声優アワードで新人女優賞を受賞しています。

Trysailの右側 

 また、同じオーディションに合格した麻倉もも。夏川椎菜と共に声優ユニット「TrySail」を結成しており、「暦物語」のED「whiz」や「ハイスクール・フリート」のOP「High Free Spirits」なんかを歌っています。ユニットでのイメージカラーは青です。

高原の雨宮天 

 もっとも青はユニットを越えて雨宮天自身のイメージカラーとなっているようで、青い服を好んで着ているようです。本人は好きな物として「青色、焼肉、猫、漢字」を挙げています。最後の「漢字」については、漢字マニアだそうで、電子辞書があればスマホ代わりにずっといじってられるとか。

見つめる雨宮天 

 ぱっと見クールビューティーに思えますが、内面はとてもクールとは言えないそうで、そのギャップに、共演者から「会う前と会った後で印象が全然違う」と言われているそうです。学生時代は物静かで、昼休みなどはひとりで過ごしていることが多かった反面、部活動では性格とは裏腹に軽音部のボーカルを務めるなど活躍していた一面もあったということですが、確かにJK時代のこの人が黙って座ってたら美少女過ぎてDK共からは声をかけにくいかも知れませんね。

横山由依と似てる? 

 雨宮天といえば、AKBグループの総監督を高橋みなみから継承した横山由依と似ているという話が。以前から双方のファンの間で“そっくり”と言われていたそうで、横山由依は雨宮天との対面を希望していたそうですが、実際会ったんでしょうかね。

横山由依と似てる?その2 

 美意識は個人により大きく異なりますから、要するに好き好きなんですが、どっちが可愛い?と尋ねられたなら、私個人の見解としては雨宮天の方ではないかと…

光井ほのか 

 それでは私の知っている雨宮天の演じたキャラです。実は「一週間フレンズ」も「アカメが斬る!」も未見で、雨宮天の出演作と私の視聴するアニメの傾向がなかなか合わなかったようなんですが、やっと給ってきました。まずは「魔法科高校の劣等生」の光井ほのか。

お下げ髪のほのか
 
 「劣等生」司馬達也の妹で「優等生」である司馬深雪のクラスメイトで、学年首席の深雪に続く学年総合2位の堂々たる優等生です。優しく穏やかな性格ですが、血統の影響で他者依存性が強く、達也に対してはストーカーチックな思慕を示しています。

依存体質のほのか 

 なお本作では優秀な魔法師を生み出すために遺伝子操作が普通に行われており、サラブレッドのごとく血統が重視される傾向があり、そこから「十師族」とか「百家」といった家系が優秀な魔法師の目安となっています。ほのかの姓「光井」は、光波振動系(光に干渉する魔法)に特化した適性を持つ、光のエレメンツの血統です。

達也とほのか 

 エレメンツは、最初期に開発が進められた魔法師で、伝統的な魔法分類である「地」「水」「火」「風」「光」「雷」といった元素(エレメント)の属性に基づいて開発が進められ、開発の過程で権力者への服従を促す因子を遺伝子に組み込まれているため、その血統の子孫にはかなりの高い確率で主人への依存癖がみられることに。だからほのかが依存体質だとしてもある意味先天的なので仕方がないということに。

アイラ 

 「プラスティック・メモリーズ」のアイラ。アイラといえば「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」に登場したイザークの王女を思い出すのは私だけでしょうか。「流星剣」には大変お世話になりました。この人が剣聖でもいいんじゃないかなあ。

聖戦の系譜のアイラ 

 おっと話がそれました。こっちのアイラはヒロインなんですが、人外です。少女型のアンドロイド(本作では「ギフティア」と呼称)で、「ギフティア」製造・管理で世界的大企業の「SAI社」の「ターミナルサービス課」に配属されています。

無表情アイラ 

 感情豊かで心を持ち、飲食も可能というほとんど人間そっくりなギフティアですが、なんと耐用年数は10年に満たず、耐用期間を超えると人格と記憶が崩壊し、本能的な行動しか取れなくなり、最悪の場合は人間を殺傷してしまう怖れがあります(「ワンダラー」と呼称)。ターミナルサービス課は耐用年数寸前のギフティアを回収する部署で、人とギフティアがコンビを組み回収作業をこなしています。

お風呂のアイラ 

 アイラはもともとは喜怒哀楽がはっきりした性格でしたが、かつてワンダラー化したギフティアを取り扱った際に、パートナーを大怪我させてしまうということがあり、その後は無表情で物静かな性格に変わりました。作品開始時点ですでに耐用年数は尽きつつあり、限られた時間を主人公のツカサと過ごす中で、少しずつ感情を取り戻して、ツカサに対して特別な想いを抱くようになっていきますが…

ラストシーンのアイラ 

 なお、機能を停止したギフティアは回収されますが、耐用年数が早いのは主にOS(人格)面であり、身体自体の方はまだ耐用年数に達していないそうです。そのためOS(人格)を入れ替えれば同じ身体のギフティアが再起動しますが、記憶も性格も全く違う「別人」になってしまいます。

知名もえか 

 「ハイスクール・フリート」の知名もえか。世界設定が雑過ぎたせうで、海の「ガルパン」になり損なった残念な作品でしたが、主人公岬明乃の幼馴染みで、母親がブルーマーメイド(海の治安を守る女性の職業)だった事もあり、幼い頃から明乃と共にブルーマーメイドになろうと誓いを立てた仲です。

明乃ともえか 

 成績は明乃より圧倒的に良かったようで、同期の首席として大型直接教育艦「武蔵」の艦長となります。ハムスターに似た「RATt」が媒介するウイルスにより、乗組員が「反乱」を起こす中、艦橋で当直を務めていたために感染を免れ、無事だった少数の乗員とともに艦橋にバリケードを築いて立てこもったため、その後も感染を回避していました。

艦長姿のもえか 

 しかし武蔵はウイルス感染乗組員に完全に制圧されてしまい、ブルーマーメイド艦隊を相手に激しい砲撃戦を展開しました。だからこんなに強い超弩級戦艦を練習艦にするなっていう(笑)。

武蔵ですがな 

 「クオリディア・コード」の八重垣青生。作画は非常に残念でしたが、ストーリー展開は中二病好きの私にとっては大好物でした。青生は天河舞姫率いる神奈川勢の一人で、「神奈川四天王」と呼ばれる幹部の一人です。

八重垣青生 

 眼鏡をかけたおとなしめな性格の少女で、固有〈世界〉は対象の感覚をスキャニングし、それを自分や他者に投影する能力で、他人が見た情報を別の人間に共有させることが可能です。神奈川四天王はヤバイ連中ばかりですが、その中で青生はきわめて常識人のように見えましたが…

 優秀なサポートメンバーの青生

 東京首席の朱雀壱弥には名前も覚えて貰えませんでしたが、千葉次席の千種霞は青生に好意を持っている節がありました。それに気づいた千葉首席で妹の千種明日葉からはそこはかとなく敵意を向けられていたような。

青生恐怖の表情

 地域管理官の夕浪愛離にはあこがれと実の母親のような親愛を抱いており、一度誤ってお母さんと呼んだことがあります。その後愛離こそが人類の敵であるアンノウンそのものであることが判明した後も、青生だけは愛離達を殺すことに迷いを見せ、悩んだ末に人類を裏切ってアンノウン側に付いてしまいます。眼鏡を外した青生は覚醒青生と言うべきかダーク青生と言うべきか。

人類を裏切る青生 
青生対明日葉 

 追撃してきた千種明日葉とキャットファイトを展開し、兄も母も持っている明日葉に対して自分は何も持っていないと嫉妬の感情をぶつけますが、明日葉は明日葉で兄の心を惹きつけている青生に嫉妬を抱いてお
り、最後は絞め技でおちてしまいました。身体を刺すチャンスはあったのですが、あえてやらなかったのはやはり生来の優しさ故か。

エリス 

 「文豪ストレイドッグス」にもポートマフィアの首領である森鴎外が溺愛するエリスという少女役で出演しています。エリスといえば「舞姫」ですな。どうやら鴎外の「異能」そのものらしいので、人外かもしれません。

笑顔の雨宮天  

 わずか5年ほどのキャリアで山のようにメインキャラを演じている雨宮天ですが、まだ23歳なんですね。今後の活躍が一層期待されるのですが、名前を見る度に思うのは「仏教の天部みたいな名前」ということです。特に八方に上下日月を加えた十二天には水天とか風天、火天、日天、月天なんてのがいるので、雨宮天が混ざっても違和感がないような。やはり雨を司るのでしょうか。

十二天 

あなたに似た人:賭けと妄想の恐怖を描く短編集

10月の道

 10月も色々天候が不安定で、今日も雨に降られてしまいましたが、日中の時間だけは順調に短くなっていますね。早く秋らしい日々を満喫したいものです。

あなたに似た人 

 さて本日はロアルド・ダールの「あなたに似た人」を紹介しましょう。ロアルド・ダールの本は初めて読みました。

ロアルド・ダール 

 ロアルド・ダール(1916年9月13日-1990年11月23日)はイギリスの小説家です。ウエールズのカーディフで生まれ、両親はノルウェーからの移民でした。第二次世界大戦ではイギリス空軍(RAF)の戦闘機パイロットとして従軍し、5機撃墜でエース・パイロットとなりましたが、自身の搭乗機も撃墜されて脊髄に重傷を負い、その後遺症には生涯苦しめられることになりました。

RAF.jpg 

 その後、昔の経験を元に小説を書くようになり、風刺やブラックユーモアに満ちた短編小説や、児童文学で有名になりました。ダールの短編小説は「奇妙な味」と評されます。元々は江戸川乱歩の造語で、ミステリともSFとも、また怪奇小説ともつかない特異な作風を指し、ストーリー展開及びキャラクターが異様で、読後に無気味な割り切れなさを残す点に特色があります。日本では阿刀田高なんかが有名ですね。

阿刀田高 

 児童文学でも有名で、「チョコレート工場の秘密(Charlie and the Chocolate Factory)」(1964年)は2005年に「チャーリーとチョコレート工場」として映画化されています。実は2回目の映画化で、1回目は「夢のチョコレート工場」という題で1971年に公開されました。

チョコレート工場の秘密 

 今夏公開されたスピルバーグ監督の「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」は、1982年に刊行された「オ・ヤサシ巨人 BFG(The BFG)」が原作となっています。

チャーリーとチョコレート工場 

 宮崎駿はダールのファンで、「紅の豚」や「風立ちぬ」にオマージュとしてダール作品のエピソードを挿入しているそうで、またダールのいくつかの邦訳書の前書きや解説などを行っているそうです。 

オ・ヤサシ巨人 

 「あなたに似た人(SOMEONE LIKE YOU)」は1953年に刊行されたダールの第二短編集です。邦訳は1957年10月に早川書房から刊行され、2000年に新装版が刊行されています。それでは例によって文庫本(旧装版)裏表紙の内容紹介です。

ビッグ・フレンドリー・ジャイアント 

 その夜、ある家の晩餐の席で一つの賭けがなされた。美食家を自認する客の一人が、食卓に出た珍しい葡萄酒の銘柄を判定できると言いだしたのだ。賭け金はなんと邸宅と当主の令嬢―絶大な自信を持つ当主はその賭けに同意したが……幻想とユーモアと恐怖をちりばめた奇妙な味の短編を得意とする鬼才ダールが、賭博に打ち込む人間の心の恐ろしさと人間の想像力の恐ろしさをテーマに描いた珠玉の15編を収める代表的短編集。 

 本書には、ミステリ・マガジン2007年3月号で、作家・評論家・翻訳家らへのアンケート結果によりミステリ小説オールタイム・ベストの短編部門第1位に輝いた「南から来た男」の他、上記内容紹介で取り上げられている「味」、そして妻の夫殺しが完全犯罪になるまでを描いた「大人しい兇器」などが収められています。

新装版あなたに似た人 

「南から来た男」は賭博をテーマとした作品で、ライターで10回連続で火を付けられるかどうかで、キャデラックの車と指一本を賭けるという話です。あっと驚くオチが秀逸です。

 「あなたに似た人」という作品は入っておらず、都築道夫によれば「各作品に登場する人物たちは、きわめて異状のようには見えるけれど、そうではない、あなたがたの中にもこういったところがあるんじゃありませんか、という皮肉である」ということです。私自身は賭博ってあまりしないので、賭博サイドの作品については、似てると言われてもなあ……という気がします。宝くじは年に数回買いますが、あれって賭博ですかね?パチンコは昔何度かやりましたが、当時はタバコの煙がもうもうでたまらなかったのと、全然玉が出なかったので、トータルで1万円も使っていないと思います。競馬とかは全く不調法で。

新装版あなたに似た人2 

 ですが、「人間の想像力の恐ろしさ」をテーマとした作品の方は確かに面白いですね。今は有名になった当時は若く無名な画家に、背中に刺青で妻の肖像を描いて貰った男の話「皮膚」は、その結末がはっきり描かれてはいないのですが、それだけにちょっと怖いです。また寝ている間に毒蛇がシーツの中に入ってきた男の話「毒」はそんなこっちゃないかというオチではあるんですが、その過程の蛇をなんとかしようとするドタバタが面白いです。

 一番好きなのは「告別」です。中年の婦人から恋人が自分の悪口を言っていると吹き込まれた金持ちの老紳士が恋人に復讐する話なんですが、そんなおしゃべり婦人の一方的な話をあっさり信じて復讐に走る男の愚かしさが実に情けないのですが、似たような話はおうおうにして現実にもありそうです。ラストは…艦これの日向ではありませんが「まあ、そうなるな」という。

まあ、そうなるな(日向) 

 昔の作品だから仕方ないのですが、いわゆるキ○ガ○ネタが結構あって(「兵隊」とか「海の中へ」)、「おいおい大丈夫かよ」とか思ってしまうのですが、まあ時代というやつなんでしょうね。賭博に熱中する連中もある意味キ○ガ○なので、キ○ガ○だらけの作品集とも言えますが。

 個人的には「首」に出てくる気の弱い貴族が好きです。押しかけ妻にいいようにされていますが、ラスト後は少しは関係が変わるといいのですが。この貴族とは友達になって広大な庭を一緒に散歩してみたいです

英国庭園 

剣の天地:池波正太郎が剣聖上泉伊勢守の半生を描く

10月に真夏日だと

 昨日は30度越えの真夏日で、本当に10月かと疑いたくなりますね。今日は夜風がわりと涼しくて、ふと秋も近いななんて思ったのですが、それは一ヶ月前位の感想でしょうが。明日も30度になるらしいのですが、そのうち浴衣で初詣とか、季節が雨季と乾季しかなくなったりするのかも知れません。ヤバイヨヤバイヨ。

剣の天地上巻 

 本日は池波正太郎の「剣の天地」を紹介しましょう。上野国(現群馬県)の小領主として武田・上杉・北条といった大戦国大名の野望に翻弄された末、一介の剣士としての生き方を選択した上泉伊勢守のアラフォーからの人生を描いた作品です。

 日本の剣術を辿っていくと、念流、神道流、陰流の3つの流派に行き着くとされ、兵法三大源流といわれます(京都の中条流を含めて兵法四大源流とする場合もあります)。これは誰が言及したのかと言えば、上泉伊勢守で、柳生宗厳(石舟斎)に与えた「影目録」で兵法の歴史に触れた際に登場してくるそうです。上泉伊勢守はこの三大源流を全て学んだとされています。

剣の天地下巻 

 実は上泉伊勢守には足取りに不明な点も多く、生没年も定かではありません。一応永正5年(1508年)? - 天正5年1月16日(1577年2月3日)?という推定がありますが、没年には天正10年(1582年)説もあります。年代的に信長の覇道は見ていても秀吉の天下統一は見れなかったということに。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

 (上巻)時は戦国――のちに「剣聖」と仰がれる上泉伊勢守は関東制覇の要衝・上州は大胡の城主。上杉謙信・武田信玄・北条氏康の野望に巻き込まれ、戦場から戦場へ体を休める暇もない。その武勇を「上州の一本槍」と天下に轟かせるも、一介の剣士として剣の道に没入できる平穏な日々の訪れを秘かに願う伊勢守だった。折しも国盗り合戦は佳境を迎え、上州の勢力図にも大きな変化が……。

上泉伊勢守の銅像 

 (下巻)押し寄せる武田軍によって上州は陥落寸前。死を覚悟し、最後の出陣に臨んだ上泉伊勢守に「兵法を広めよ」との伝令が……。隠居を決意した伊勢守は、剣の道を極めるため、旅に出る。柳生の里や京都で「心と躰は二にして一」という「活人剣」を標榜し、無益な殺生を拒否した伊勢守が、最後に見せた凄まじくも静かな剣技。「新陰流」の創始者となった戦国武将の勇壮な生涯を描いた長編時代小説。

上泉伊勢守カード 

 ということで、上巻では剣の道を究めようとしながらもその一方で戦国武将の一人である上泉伊勢守が、下巻では武田信玄の攻撃により仕えていた長野氏の箕輪城落城後に死を覚悟して出陣したところ、すでに勝負はついたとして武田信玄から戦いを回避されたことで、城や領土を譲って隠居し、一介の剣士として諸国を放浪する様子が描かれています。放浪といっても行く先々で歓待されるので漫遊といった方がいいような気もしますが。

バガボンドに登場した上泉伊勢守 

 剣聖と称される上泉伊勢守を描くとなれば、剣豪達との果たし合いやら戦場での大活躍が描かれるのではないかと思われますが…。実は戦闘シーンはさほどありません。武将時代は戦場にも出て大活躍するのですが、得物は基本槍で、刀はあまり使いません。野戦で多数を相手にする場合は槍の方が有効なんでしょうかね。現代の武器に例えれば槍は小銃、刀は拳銃といったところか。

上泉伊勢守カードその2 

 そして隠居して剣士として諸国を回るようになると、その剣名は高まるばかりであちこちの大名からお呼びがかかり、わりと気軽に兵法談義をしたり一手指南したりしますが、真剣での立ち会いは一切しません。剣豪将軍と言われる室町幕府第十三代将軍足利義輝とも会見しています。

足利義輝 

 足利義輝はやはり同時代の剣豪で、剣神ともいわれる塚原卜伝の教えを受けた直弟子で、かなり武術に優れた人物だったのではないかと言われています。最期を迎える永禄の変の際は薙刀を振るって戦い、その後は刀を抜いて戦ったと言われ、江戸時代後期の「日本外史」では「足利家秘蔵の刀を畳に刺し、刃こぼれするたびに新しい刀に替えて寄せ手の兵と戦った」という記述があります。ただこれは後世の記述なので信憑性に欠けていると指摘されており、義輝の“剣豪ぶり”は実像からかけ離れているととも言われています。

塚原卜伝 

 が、その師である塚原卜伝は、弟子である弟子である加藤信俊の孫による「卜伝遺訓抄」のよれば、「真剣の仕合十九ヶ度、軍の場を踏むこと三十七ヶ度、一度も不覚を取らず、木刀等の打合、惣じて数百度に及ぶといへども、切疵、突疵を一ヶ所も被らず。矢疵を被る事六ヶ所の外、一度も敵の兵具に中(あた)ることなし。凡そ仕合・軍場共に立会ふ所に敵を討つ事、一方の手に掛く弐百十二人と云り」と述べられてほどの活躍ぶりです。なので塚原卜伝を扱った小説はどうしても立ち会い場面が出てこざるを得ません。

愛州移香斎の銅像 

 本書では上泉伊勢守の剣の師として鹿島の天真正伝香取神道流の松本備前守と陰流創始者の愛州移香斎から学んだとされており、塚原卜伝も松本備前守の高弟にして上泉の兄弟子という立場で登場、若き日の上泉伊勢守にスパルタ特訓を施しています。戦ったらどっちが強かったのか、は男のロマンですが、卜伝は20歳近く年上だったようなので、全盛期(っていつなんでしょう)は重ならないかも知れません。

柳生石舟斎 

 上泉伊勢守の創始したのが新陰流で、これは柳生石舟斎に継承され、柳生新陰流となります。ただしこれは俗称で、正式な流儀名は「新陰流」のままだそうです。源流の3流派を学んだとされますが、新陰流という名称から、陰流の影響がもっとも強かったのでしょう。上泉伊勢守には他にも弟子がおり、疋田陰流、タイ捨流、神後流、神影流などの分派が生まれていますが、本書では上泉伊勢守自身は柳生石舟斎こそが自分の後継者と定めたことになっています。

柳生十兵衛 

 新陰流は石舟斎の五男である柳生宗矩が徳川将軍家の剣術指南役となったことで有名となり、また柳生十兵衛、柳生連也斎といった天才剣士を輩出したことで、江戸前期には大いに栄えた印象がありますが、中期以降はあまりぱっとしなくなった印象です。江戸後期になると千葉周作の北辰一刀流とか、斉藤弥九郎の神道無念流といった新剣術が流行し、幕末の著名人達の多くもこれらの道場で剣を学んでいますが、新陰流は全く存在感を失っています。

柳生連也斎 

 ひたすら立ち会いを避けた上泉伊勢守ですが、最後の最後に、25年来の宿敵ともいえる十河九郎兵衛の執拗な挑戦を受け、遂には待ち伏せされることで戦わざるを得なくなります。十河九郎兵衛を倒し、その後一門の20数名が殺到する中、手足を斬り飛ばしてことごとく斥ける上泉伊勢守の姿は、「剣客商売」の秋山小兵衛の「二十番切り」を彷彿とさせます。ただ、殺したのは十河九郎兵衛だけで後は死んでいないそうです。さすが活人剣。しかし、手や足を失って生きるのもこの時代はかなりきつそうですが…

上泉伊勢守カードその3 

2016年夏季アニメの感想:“少数”だったけど“精鋭”かどうか…

金木犀の咲く道を

 金木犀が咲いています。彼岸花はいきなり出てきて花を咲かすので驚くのですが、金木犀はいつもそこにあるけど、花が咲いて芳香がただよってきて、「ああ、この木は金木犀だったのか」と改めて思い出しますね。それまではあまり存在感がないという。

サワデーキンモクセイ 

 昔はトイレの芳香剤というと、今のように消臭機能がうまくいっておらず、一層強い臭いで打ち消すという手段を取っていたので、ジャスミンとか金木犀のような強い香りが多用されていました。そのせいで金木犀が街に香ると「トイレの匂いだ」と思っちゃったりして。あとジャスミン茶も…。今の芳香剤は消臭機能があるのでそんなり強烈に香りを出さないみたいですが。

甘々と稲妻20161001

 さて「クロムクロ」が終わるのを待っていたので遅くなりましたが、2016年夏季アニメの感想です。5本しか視聴しなかったのですが、「のんのんびより」シリーズを見ることができたという副産物があって悪くなかったですね。最新の作品を見るより、定評のある過去の作品を見る方が賢いのかも知れませんが……傑作を「見いだした」感はやはり放映中のものを見ないと味わえませんから。

 公平とつむぎの犬塚親子

 それでは「甘々と稲妻」。一言で言えば、妻に先立たれてた男やもめの高校教師が、幼稚園児の娘のために、教え子の女子校生の家で料理を作っておいしくいただく…というだけの作品です。ついでに女子校生もおいしくいただくということになれば一気にアダルトアニメになる気がしますが、別にそんなことはなかったぜ!(当たり前だ)

別にそんなことはなかったぜ! 

 主人公の犬塚公平はそれほど男前ではありませんし、ヒロインのJK・飯田小鳥も(ヒロインとしては)それほど美人ではないのですが、それぞれ中の人が中村悠一と早見沙織ということで、「ラブリーマイエンジェル小鳥たん」とか「さすがです先生!」とか言い合いそうで、相性はばっちりです。杉田智和が血の涙を流すとか流さないとか。

まるで姉妹の二人 

 真の主人公ともいえる幼稚園児の犬塚つむぎがいいですね。ママが亡くなって半年ということで、冒頭はわりと貧相な食事とか寂しさにも耐えていたようですが、次第に幼稚園児らしいわがままとか好き嫌いを前面に出してくるようになります。当初そういう子供らしさがあまり感じられなかったというのは、彼女なりに「非常事態」であることを認識して我慢していたんでしょうね。それが食事事情の好転→平常化ということで、本来の幼児らしさを取り戻しつつあるという。

料理が出来たー 

 特に大事件が起きることもない日常系アニメで、作る料理も初心者向けのものばかりですが、愛とほっこり感に満ちてるという感じですね。大した料理ではなくても皆で作って皆でおいしく食べるというのがいいんですよね。だから三人で作る時より、小鳥の友人のしのぶ(CV戸松遥)や公平の友人の八木(CV関智一)が加わった回の方が好きです。しかし金髪率高けーなオイ。

セーラー服の飯田恵さん 

 公平さん、やはり教え子に手を出すのはどうかと思うので、小鳥ママンの恵さんと再婚したらどうでしょう。料理の腕は超一流だし、結構年上かも知れないけどなぜかテレビではJKコスプレばかりしている若作りだし。そうなるとつむぎと小鳥は姉妹ということになって、なかなかいい感じじゃないですか?

二刀流クロムクロ 

 「クロムクロ」。春季から続いた2クールものです。これは綺麗に終わらせましたね。P.A.WORKSの2クール作品は外れなしという感じじゃないですか?「花咲くいろは」しかり、まだ視聴途中ですが「SHIROBAKO」しかり。ということは未見の「凪のあすから」も面白いのでしょうか?

ゲゾレンコ隊 

 巨大ロボットアニメですが、異星体の侵略物ともいえます。SF者の端くれとしては、そっちの方が気になりました。「エフィドルグ」を名乗る敵は結局正体不明で終わりました。は?ちゃんと出てきたじゃん!と言われそうですが、連中は占領した惑星の知的生命体およびこれから占領する知的生命体かそのクローンであり、尖兵でしかありません。巨大とはいえ宇宙船一隻と7人しかいない乗員(辺境矯正官)でどうやって地球を征服しとうというのかと思えば、ワームホールを作り出して本国の大艦隊を呼び込むというものでした。昔の城攻めでいえば、密かに城内に潜入して中から門を開ける忍者のような役割ですね。

エフィドルグ母船 

 敵を洗脳して突破口を作らせて悠々と乗り込むという非常に効率の良い戦略を取っていますが、なんのために宇宙征服を進めているのかなど一切不明です。資源の確保という観点もありますが、それなら別に知性体の住む惑星に限らなくてもいいですし、個人的な印象では、知性体の住む惑星を侵略するのは、その星の人的物的資源を使って次の侵略を行うためのような気もします。

グロングル・スパイダー 


 エフィドルグが自前の大規模な軍組織を有しているのであれば、手柄や昇進のためにも自ら出撃しないといかん気というがするのですが、そういうことをしないということは、エフィドルグ本体は少数かあるいはとっくに絶滅して、宇宙を征服するという意思のみがAIとかに継承されているんだったりして。ということは、ワームホールを開いてやってくる艦隊というのも、直前の征服地の知性体や資源を使って作り上げたものなのかも知れません。

グロングル・ブルーバード 
ラスボスオーガ 

 剣之介が「鬼」と呼び、仇敵と勘違いしていたゼルの惑星(地球から220光年先の惑星)が直前にエフィドルグに侵略された星であり、そこで作られた艦隊が地球に攻めてくる予定だったのでしょう。ということは、地球が侵略された後は地球製の艦隊やロボットにより他星の侵略が行われるということに。

ゼルとソフィー 
 それにしてもあれだけ世話になったのに、エフィドルグ先遣隊を片付けた途端にゼルや剣之介らをあからさまに危険視する国連…。というか人間の浅ましさというか虫のよさが描かれていて嫌になりますね。まさに「狡兎死して走狗煮らる」。でもまあ心ある人もいて、ゼルをはじめ剣之介やムエッタが「解放戦争」に参加することができて良かったです。

幼い感じの由希奈 
 ヒロインの由希奈も旅立つのかと思いきや、置いてけぼりになってしまいました。そっくりさんのムエッタがいるから別にいい?いやいや~。でも物語のラストで、5年後の2021年にソフィーらと一緒にエフィドルグのオーバーテクノロジーを利用したくろべ型調査航宙艦「くろべ」の第一陣クルーとなり、剣之介のもとに旅立つことになります。このあたり、新海誠の「ほしのこえ」のラストを彷彿とさせますね。ここで終わってもいいですが、続編もあちらでの戦いやエフィドルグの正体などに迫る「異世界編」ということで作れそうです。それにしてもたった5年で恒星間航行を可能に?

グロングル・メデューサ 
 それにしてもエフィドルグのロボット(グロングル)であるクロムクロはわりと汎用型でしたが、他の有人グロングルはそれぞれオリジナルの姿と機能を持っていて、完全に各辺境矯正官専用機となっていました。プラモを作ると言った商業的にはいいんでしょうが、純粋に軍事的に見た場合、こういうワンオフ機ってどうなんでしょう。無人機のように同型機を量産した方が効率が良いように思えますが。
 
百合みたいだが百合ではない 

 お姉さん的なキャラが得意と思っていたM・A・Oの由希奈は姉妹の姉なのにやや幼い感じで、のんびりした性格でしたが、窮地にあってもわりとのほほんとした所があって、パニクったりしないところが良かったですね。「銀河ヒッチハイクガイド」を読んだのかな?
可愛いソフィー 

 一番お気に入りのキャラはソフィー・ノエルです。フランス人のお嬢様ですが、やけに日本文化に造詣が深くて思慮深くて冷静で、ゼルが最初に接触してきたのもうなずけます。当初はプライドの高さが目立って剣之介や由希奈に対して辛辣でしたが、後に彼らの努力や成長とともに親しくなっていきました。

あまんちゅ!20161001 

 「あまんちゅ!」。極度に引っ込み思案で消極的な女子校生大木双葉(てこ)が、やたらマイペースでハイテンションな小日向光(ぴかり)と出会い、スキューバダイビングを通じて徐々に積極的になり、青春を満喫するようになっていくというお話ですが、原作漫画のキャッチフレーズの「日常ときどきダイビング。」のとおり、スキューバダイビングの話よりは日常の話が多かったような。

ダイビング部の面々 

 とにかくOPの坂本真綾の「Million Clouds」が実に素晴らしい。個人的にはかの超名曲「プラチナ」以来の傑作だと思います。あと劇伴がゴンチチ。癒やしに満ちています。



 ダイビングどころか水泳も出来ず、体力作りからしていかなければならなかったてこは、何かにつけ挫折しそうになる面倒臭くてネガティブな性格なんですが、ぴかりというベストパートナーと出会ったことで何とか前進していきます。じゃあぴかりは天使かと言えば…本人も言っていますが、マイペース過ぎるのでフィーリングが合わない人からは拒絶されてきたそうです。もしぴかりが男だったら、高校生時代の私は思いっきり敬遠していたと思います。この二人の場合はナイスカップリングだった訳で良かったですね。

大木双葉 小日向光

 しばしば入るてこのモノローグと面倒臭い性格をいかに許容出来るかでこの作品が好きになるかどうかが別れるのではないかと思います。CV茅野愛衣だから私は耐えましたが、耐えられない人もいたんじゃないでしょうか。

プールの二人 
二宮誠 

 女子校でもないのに百合っぽい雰囲気が漂っているのは、実質男子生徒がほとんど登場しないから。ダイビング部にも「弟くん先輩」こと二宮誠がいるんですが、この人はほとんど中性的な存在で、てこやぴかりの恋愛対象とはなりそうにない気配です。ウホッ系だったりして。

火鳥真斗 

 てことぴかりの担任にしてダイビング部顧問の火鳥真斗(かとりまと)がやたら理解があるというか友達みたいな先生で、こんな先生がいたらそりゃあ有り難いなあと思いますが…いねえよ(笑)。どうでもいいけど、いつも暇そうな火鳥先生ですが、先生って授業以外にもいろいろ仕事があるんじゃないの?

てことぴかり 
これがデフォルメ絵 

 原作はアニメ最終話の部分まで読んでました。でも途中で読まなくなったのは、名作「ARIA」に比べてデフォルメ絵がやたら多いことと、火星のニューベネチアと伊豆の伊東ではファンタジー成分に格段の差があるからでしょうかね。ARIAの登場人物は面倒臭い子がいなかったし。

小日向きの 

 ぴかりのお祖母ちゃんである小日向きのを井上喜久子が演じていたのが驚愕でした。17歳になんて役を振るのだ。あまりそうは見えませんが、元海女でダイバーに転向し、現在は引退して海の家とダイビングサービスを営んでいます。きっこさんなんだからもっと可愛い声のお祖母ちゃんでもいいんじゃないかなあ。豚汁は是非食べてみたいですが。

Rewrite20161002その2 

 「Rewrite」。「人類は衰退しました。」の田中ロミオ、「ひぐらしのなく頃に」の竜騎士07などが参画するゲームが原作なんですが…1時間スペシャルだった第1話を見て打ち切ったというリアル明里パパン、君が正しかった。

Rewrite20161002.jpg 

 ズルズル見たのはいつか面白くなるだろうと思ったからで、実際7話から日常を大きく逸脱していくのですが…。まあぶっちゃけ「ひぐらしのなく頃に」ですよこれは。世界は終わってしまいました。

Rewrite20161002その3 
鍵の篝 

 2017年1月から「ひぐらしのなく頃に 解」にあたる2ndシーズンが開始されるそうですが、もう見ないと思います。女性キャラは可愛いし、サブキャラも面白い人が多いのですが、主人公の天王寺瑚太郎がとにかく嫌いなんです。多分この先どうあっても好きになれないでしょう。

嫌いな瑚太郎 
ハッピーセットかよ 

 話は人類の命運に関わるという結構重いテーマを持っているのですが、人類を守ろうとするガーディアンと、地球のために人類を滅ぼそうとするガイアという二大勢力の戦いの中、それぞれ信念とかがあって属していたであろうヒロイン候補の女の子達が、オカルト研究会で天王寺瑚太郎と親しくしていたというだけで離反するという。「てめぇの頭はハッピーセットかよ」と言いたくなりますね。いや、組織を裏切るだけの説得力のあるエピソードがあれば別にいいのですが、本編を見ている限り「これで?」と思わざるを得ません。やはり天王寺瑚太郎の魅力なるものが理解できないせいなのでしょう。

クオリディア・コード20161002 

 最後に私の中二病枠「クオリディア・コード」。「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」の渡航が参加しているので視聴しました。三人のラノベ作家のユニット「Speakeasy」の作品群が原作ですが、ストーリーはアニメオリジナルとなっています。

作画崩壊

 まず作画がひどいということは言わずにはいられないでしょう。理由が何にかは知りませんが、一説によれば三人の作品群が原作であるせいで、複数のレーベルによる企画になっており、速やかな意思決定ができなかったのかもとか、シリーズ総作監がいないから作画全体のクオリティが安定しようがないとか言われていますが、真相はどうなんでしょうかね?

東京陣営 

 とはいえ、作画に目をつぶれば(アニメでここに目をつぶっていいかどうかは議論があるでしょうが)「Rewrite」よりずっと面白いストーリーでした。30年前に突如出現した正体不明の侵略者・アンノウン(まんまや)に対抗すべく、南関東防衛機構が構築され、東京、神奈川、千葉の各防衛都市には、長きにわたるコールドスリープから目覚めたことで、特別な固有能力<世界>を身につけた少年少女が所属し、アンノウンと戦っています。しかし、それは全て欺瞞だったという孔明の罠。

舞姫と蛍 

 アンノウンと戦う少年少女が、ランキング制度により貢献度を競わされているという設定に当初から違和感があったのですが、終盤明らかになった真相によってその理由が解明されました。なんとアンノウンと思っていたのは人間側の無人兵器で、人間だと思っていたものこそがアンノウンだったという。

目覚めた舞姫と愛離 

 戦闘に従事する少年少女の首筋にはクオリディア・コードという特殊紋様が取り付けられており、〈世界〉や各種端末の使用に大きく寄与するとされていると説明されていましたが、実際には認識を阻害することで人間側をアンノウンに見せ、アンノウンの支配地域の赤い空を普通の青空に見せていました。

朝凪求得 

 侵入不可領域というものが設定され、そこに入ることは堅く禁じられていましたが、それも認識阻害の効果がある障壁の限界地点ということで、ここを越えるとクオリディア・コードが機能不全を起こしてしまうからでした。

 夕浪愛離

 アンノウンは子孫を産むことができず、コールドスリープ中の子供達を洗脳し、自分たちに近い身体に改造して、その身体を乗っ取ることによりさらなる進化を遂げようとしていたようです。つまり高いランキングを叩き出して「内地に栄転」というのは、アンノウンの洗脳と改造を意味していた訳で、より強力な能力を持った身体を欲していたが故の制度だったようですね。

大國真昼 

 生粋のアンノウンとしては大原さやか演じた主任医務官の大國真昼や能登麻美子演じた地域管理官の夕浪愛離が登場しました。わざわざことさらにいい声の声優を充てている皮肉。ただ大國真昼はともかく、夕浪愛離はアンノウンでありながら子供達に愛情めいた感情を持っており、子供達に接していた時の気持ちに嘘偽りはなかったようです。

愛離の本当の姿 
愛離の最期 

 特にお気に入りだった天河舞姫に倒されたことは、愛離にとってはむしろ本望だったのかも知れません。最終版には他のアンノウンを全て抹殺して面倒をなくしていましたし、舞姫の頭を優しく撫でながら消滅していきましたし。久々に能登さんが能登さんらしい声で演技しているなあと感じました。

キャットファイト 

 彼女の愛情は子供達にも深く浸透していたらしく、八重垣青生(CV雨宮天)などは人間側を裏切ってアンノウン側についてしまいました。愛離を「お母さん」と呼んだから?そしてそれまでのおどおどしたおとなしい姿から一変して超戦闘モードに。お互い嫌い合っていた千種明日葉とキャットファイトを展開しました。メガネを外すと豹変するタイプなのか。

 半分アンノウン
求得の見る世界
 
 もう一人の地域管理官の朝凪求得は、半分アンノウン化していましたが生粋の人間でした。この人は言うなれば「沙耶の唄」です。あるいは「火の鳥・復活編」か。つまり原因は不明ですが知覚障害を起こし、すべてのものが異常な姿で見えるようになっていたという。求得の場合は周囲の人間が朧げな影としか見ることができなかったようですが、「沙耶の唄」の主人公の場合だと、風景や人物が肉塊のような気味の悪い姿形に見えていました。
 
グロテスクな世界にいる沙耶 

 そんな中唯一人間の(それも美女の)姿をしていた愛離に惹かれてしまうのは仕方なかったかも知れません。だって他の人間にシンパシーを持ちようがなかったのだし。「沙耶の唄」でも同じ事になっていましたね。

千種夜羽 

 ただ、多分原作には登場するのでしょうが、終盤突如登場する人間側の総司令官“よはねす”こと千種夜羽は、唐突すぎて思わずWikipediaを見てしまいましたよ。霞と明日葉のママンで、幼かった明日葉はのことをほとんど覚えていなかったようですが、じきに慣れ親しんでいました。おそらくパパン似の霞の方はシニカルな見方をしていましたが、この人はそれがデフォルトだから仕方がない。

宇多良カナリア 
カナリアアンノウン 

 ということで、一番好きなキャラは中原麻衣が演じた千種夜羽と言いたいところなんですが…あまりにも登場が短くて、サッカーだと評価不能ですよきっと。なので人間じゃないけど夕浪愛離と「困ったときは笑顔」の宇多良カナリア(CV石川由依)ということで。カナリアは4話で死亡したと思われ、9話で再登場してきましたが、実際には7話から登場していた女性型アンノウンはカナリアだったんですね。

 千種兄妹
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