黒猫館の殺人:「館」シリーズ第6弾はクイーン風。でも違う作品を思い出してしまいました

ひよっこのキャスト

 NHKの朝ドラの「ひよっこ」、筑波嶺ではありませんが茨城県が舞台となっています。ロケ地は高萩のようですが、イメージ的には袋田の滝がある大子の方という気が。筑波嶺からは東京よりも遠いですが、同じ茨城なのでヒットして欲しいものです。そのうちヒロインは東京に行ってしまうんでしょうけどね。出演者をディスりまくっていたニュース(番組内番組)には笑いました。

新装改訂版黒猫館の殺人 

 本日は綾辻行人の「黒猫館の殺人」を紹介しましょう。先日読んだ「時計館の殺人」の直後の作品であり、時系列的にも1年後の話となっています。

 「黒猫館の殺人」は1992年4月に講談社ノベルスから刊行され、1996年6月に講談社文庫から文庫版が刊行されました。そして2014年1月に講談社文庫から新装改訂版が出版されており、今回読んだのは新装改訂版です。

新書版黒猫館の殺人
 

 前作「時計館の殺人」からおよそ6か月後に刊行されており、30代前半だった作者の若さと体力を感じさせますが、「あとがき」によるとやはりかなりの強行軍だったらしく、終盤はホテルに缶詰になり、完成直後は高熱でダウンしたそうです。学生時代から慢性扁桃炎を患っていたそうで、これを機に扁桃摘出手術を受けることを決意したそうです。

暗黒館の殺人 

 前作にして大作の「時計館の殺人」で第45回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞しており、次作にしてやはり大作の「暗黒館の殺人」が「週刊文春ミステリーベスト10」で2004年の3位、「このミステリーがすごい!」で2005年の7位、「本格ミステリ・ベスト10」で2005年の2位に入っているという華々しさに挟まれて、本作は全然そういったエントリーがなくて寂しい限りです。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

 大いなる謎を秘めた館、黒猫館。火災で重傷を負い、記憶を失った老人・鮎田冬馬の奇妙な依頼を受け、推理作家・鹿谷門実と江南孝明は、東京から札幌、そして阿寒へと向かう。深い森の中に建つその館で待ち受ける、“世界”が揺らぐような真実とは!? シリーズ屈指の大仕掛けを、読者(あなた)は見破ることができるか?

旧版黒猫館の殺人 

 例によって推理作家・鹿谷門実(島田潔)と編集者・江南孝明のコンビが、奇怪な建造物をいくつも建造している中村青司の手掛けた作品である黒猫館で起きた殺人事件の謎に挑みます。前回はまさに進行中の殺人事件に遭遇し、江南は自らも窮地に陥りましたが、今回は1年前に起きた事件の謎を解明するというものなので、生命の危険はありません。また、時計館での大量殺人がど派手なだけに、黒猫館の殺人はとてもこじんまりした感を受けるので、そのあたりが“地味”な印象を与えているのかも知れません。

 鮎田老人は、黒猫館の管理人をやっていたらしい…のですが、半年前に東京で発生したホテル火災に巻き込まれて重傷を負い、おまけに記憶まで失ってしまいました。ではなぜ黒猫館の管理人だったことが判明したのかといえば、火災遭遇時に財布や通帳の代わりにしっかりと抱きしめていた「手記」があったからです。

黒猫館 間取り 

 その手記は、10年後の自分に宛てた推理小説のようなものだと前書きされており、1年前、つまり1989年8月に黒猫館で起きた奇怪な事件が克明に綴られていました。「時計館の殺人」が時計館の中と外の出来事を交互に描いていたのに対し、本作は一年前の手記と現在の鹿谷らの行動が交互に描かれています。

 黒猫館はおそらく北大と目される大学の助教授だった天羽辰也が中村青司に依頼して1970年に建築した洋館です。作中の時間的には20年前の話になります。天羽は姪(死んだ妹の娘)と共にここに住んでいたそうですが、零落して破産し、館は人手に渡ってしまい、本人と姪は行方不明になっています。

ルイス・キャロル 

 現在の持ち主の馬鹿息子と、馬鹿息子が所属するロックバンドの一行が解散旅行にやってきたことで、事件の幕が開きます。密室での死亡事件が2件と、謎の地下室の奥にあった白骨死体。人死には3件だけなのですが、死亡事件は殺人なのか?だとしたら犯人は誰か?そして白骨死体は誰のものでなぜ地下に隠されていたのかなど、謎は豊富です。もっといえば黒猫館が阿寒にあることを突き止めるのにも苦労していたりします。

 本作はあんまり突っ込んで紹介するとネタバレになってしまうのですが、「館」シリーズ第一弾である「十角館の殺人」がクリスティの「そして誰もいなくなった」をモチーフにしているのに対し、本作はエラリー・クイーンの「神の灯」をモチーフにしています。

神の灯 

 「神の灯」は1940年発表の「エラリー・クイーンの新冒険」に入っている中編ですが、名作として、そしてあまりにも大仕掛けのトリックが有名なので日本では表題作となって刊行されていたりします。読んだことがある人は、黒猫館到着後の描写と巻頭の黒猫館の見取り図を比較することで、「あ、これは『神の灯』!」とすぐ判ると思います。そう、実はそこは黒猫館ではなかったという。

 では本当の黒猫館はどこにあるか?ですが、そこで綾辻行人はあっと驚く大仕掛けをしています。とんでもないところにあったんですね。そしてそれは、鮎田老人の手記を克明に読めば色々なところにヒントとして登場しているのですが、なかなか気づかないんですよねこれが。

 なお、天羽博士は「自分は鏡の世界の住人」だという趣旨のことを度々述べていたそうで、これも「神の灯」トリックであることのヒントとなっているのですが、実際、内臓の配置が、鏡に映したようにすべて左右反対になる内臓逆位であったそうです。

北斗神拳はきかぬ 

 内臓逆位のキャラというと真っ先に浮かぶのが「北斗の拳」に登場した聖帝サウザー。南斗六聖拳「将星」の男にして、108派ある南斗聖拳でも最強とされる南斗鳳凰拳の継承者です。しかも内臓逆位のため、経絡秘孔の位置も通常と逆であることから、その秘密を見破れない限り、正確な秘孔を突くことができない=北斗神拳が通じないということで、拳王ラオウですら戦闘を回避しており、ケンシロウは初戦で惨敗を喫しました。

サウザーの大名言 

 …まあ医学に精通していたトキがサウザーの秘密を察知したことで再戦では破れてしまうのですが。しかし「北斗の拳 イチゴ味」のせいで今やすっかりギャグキャラになってしまっていますなあ。アニメ化した際には正味たった2分のショートさに全米と共に聖帝十字凌も泣きましたが、銀河万丈のバカ笑いとか怪演ぶりが実に素晴らしかったです。おまけにユリアが皆口裕子ですよ。ショートアニメでもいい、第二期カモン。

イチゴ味のサウザー
 
 いや話が脇にそれてしまいましたが、本作にはクイーンの他に影響を与えている作品があるような気がします。それは80年代に出現した伝説のアダルトアニメ「くりいむレモン」。

くりいむレモン 

 「くりいむレモン」といえば何と言っても亜美ちゃんが有名なんですが、シリーズ11弾に「黒猫館」という作品があるんです。

くりいむレモンの黒猫館 

 1986年1月25日に発売され、太平洋戦争開戦直前という時代の山奥にある「黒猫館」を舞台とした作品で、人気作となり、1993年には「続 黒猫館」が、そして2006年には実写映画化もされています。AV女優が出演していますが、R-15指定の一般作品です。

続黒猫館 

 内容はともかく、黒猫館という名称はこちらが先行しているので、屋敷の名前はここから取ったのかなと思うのですが、どうなんでしょう。黒猫館の主である鮎川家というのも鮎田に近い感じですし。こっちの黒猫館は女性ばかりで実に気色がいいのですが。みんな魅力的ですが、特にメイドのあやさんが好きですな。

メイドのあやさん 

 報酬3000円に惹かれた主人公の大学生・村上ですが、当時の3000円が現在だといくらに相当するかは諸説ありますが、仮に1000倍だとすると300万円で、一冬の報酬としては充分ではないかと。3000万円だと高すぎて希望者殺到になってしまいますが、多数の応募者から選ばれた的な描写は一切なかったので300万円くらいが適当だと思います。まあ3000万円でもいいんですよ。なにしろ女主人の鮎川冴子には本当に支払う気はなかったようなので。でも無料だったとしても私は滞在したいな(笑)。己の心に従うと書いて“忌まわしい”と読むのです……

実写版黒猫館 
スポンサーサイト

洗面器でヤギごはん 世界9万5000㎞自転車ひとり旅Ⅲ:7年半かけて世界一周

アツゥイ!

 まだ4月だというのにアツゥイ!ですね。今日も暑かったけど昨日はもっと暑かった。明日からは平年並みに戻るそうで一安心ですが、早くも今年の夏が思いやられますね。くわばらくわばら。

 本日は石田ゆうすけの「洗面器でヤギごはん 世界9万5000㎞自転車ひとり旅Ⅲ」を紹介しましょう。石田ゆうすけの著作を読んだのは初めてです。

洗面器でヤギごはん 

 石田ゆうすけは和歌山県白浜町出身。生年月日は明示されていないのですが、1996年頃の旅の記事に28歳になったと書かれているので、1968年生まれではないかと。高校時代から自転車旅行を始め、20歳の時に日本一周を達成しました。雪印乳業に入社して、3年3ヶ月勤めて資金を貯めたあと、自転車世界一周旅行を開始し、7年半かけて、9万5000㎞、87か国を走り、2002年末に帰国しました。

 なにしろ7年半の旅ですから、この旅については「行かずに死ねるか! 世界9万5000km自転車ひとり旅」「いちばん危険なトイレといちばんの星空 世界9万5000km自転車ひとり旅Ⅱ」と本作と三冊も書いています。例によって三部作の三冊目である「洗面器でヤギごはん 世界9万5000㎞自転車ひとり旅Ⅲ」を手に取った迂闊さはさすがはリハクの目の持ち主よと自分で自分を褒めたいところですが、図書館にはこれしか見当たらなかった気が。

石田ゆうすけ 

 「世界9万5000キロ自転車ひとり旅」シリーズ3部作は韓国、台湾、中国でも発売され、累計30万部を超えるヒット作になりました。現在は旅関係以外にインタビュー記事やグルメ記事も執筆しており、各誌で取材・執筆のかたわら、「夢」「国際理解」「モチベーション」「食」をテーマに、全国の学校や企業で講演も行っているそうで、講演公演回数は300回を超えており、アメリカや台湾でも講演を行っているようです。

 「行かずに死ねるか!」では、旅の間のノンストップで繰り広げられるハプニングを紹介し、「いちばん危険なトイレといちばんの星空」では、訪れた87カ国で「ここがいちばん!」と感じたの“マイ世界一”の数々を紹介しており、本作では世界中で出会った食べ物と人々の記憶が綴られています。

行かずに死ねるか! 

 2005年元旦から日本農業新聞で「世界食紀行」と題して連載したものをベースにし、単行本は2006年11月に実業之日本社から刊行され、大幅に加筆訂正された文庫版は2012年7月に幻冬舎文庫から刊行されました。私が読んだのは文庫版ですが、2話削って20話復活させたということで、文庫版が決定版といっていいでしょう。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

  世界にはどんな人がいて、どんな食べ物があり、どんなにおいがするのか―。パタゴニアの荒野でご馳走になったランチ、フィヨルドの海で釣ったサバのうしお汁、一見生ゴミなセネガルのぶっかけメシ、思わず落涙したアジアの懐かしい味。自転車旅行だから出会えた“食と人”の思い出。単行本に入りきらなかった20話を大幅加筆した文庫改訂版。

いちばん危険なトイレといちばんの星空 

 旅はアラスカから始まり、南北アメリカを縦断してヨーロッパに飛び、北欧からアフリカ喜望峰まで縦断した後で今度はユーラシア大陸を横断して日本に戻るという果てしなく長い旅です。それにしても7年半はかかりすぎだと思いますが、急ぐ旅ではないので気に入ると一箇所に長く滞在したりと気ままな旅をしているのでそうもなるでしょう。あるいは旅が終わるのを怖れていたり。

 読んで思うのは、世界中どこにでも親切な人はいるんだなあということ。自転車に乗った小汚いヒッピーのような謎のガイジンなんか、私なら絶対家に上げませんけどね。もちろん危ない目にも遭って、ペルーでは強盗に襲われて全財産を失っていますが、それでも旅を止めないのが凄いです。パスポートを再発行してもらい、必需品を購入したり日本から送って貰ったりしてなおも旅は続きます。しかもヒッチハイクではなく自転車だからなあ。

サイクル野郎 

 3年半働いて約500万円貯めたそうですが、よほど遊びとかしないで貯めたんでしょうね。私の場合、入社して3年半ではせいぜい300万程度しか貯金できてなかった気がします。元々サイクル野郎(古い!本人は“チャリダー”と呼称しています)だからあんまり趣味に金がかからなかったのか。でも自転車だって凝ればかなり金がかかりそうな気がします。

 世界は広いので、思わず美味しい物にであうことがあれば、身体が拒否するようなシロモノにも出くわします。基本自転車旅でいつもハングリーなのですが、それでも食べられないというのはよっぽどなんでしょうね。

ギニアのリソース 

 表題の「洗面器でヤギごはん」は、アフリカ・ギニアのある村で遭遇したリソースです。リソースというのはごはんに魚・豆・野菜などがごった煮になった汁をかけるという、要するにぶっかけメシです。店によって様々なバリエーションがありますが、その村で出たのはヤギ肉二、三きれに溶けたタマネギ少々という貧弱貧弱ゥなリソースでしたが、食器が洗面器でかなり不味かったようです。でも本書にはさらにまずそうな料理も出てきますので、やはり“洗面器”にインパクトを感じたのでしょう。

 「サイクル野郎」を読むと、日本一周を目指す人は結構いるみたいですが、さすがに自転車で世界旅行をしようという酔狂な野郎はそうそういないだろうと思ったら、結構旅先で酔狂な日本人に遭遇して一緒に旅をしたりしているんですね。留学を志望する学生が減少しているとか聞きますが、やる人はやるということか。

フィンランドの森 

 世界を旅することは年を取ってもできないことはなさそうですが、自転車となると若い頃じゃないと無理でしょうね。30台も半ばになって日本に戻った作者の胸に去来したのは“青春の終わり”だったでしょうか。それだけ長く“職業=旅人”をやってしまうと、日常に戻って働けるんだろうかなんて野暮な心配をしてしまいますが、作者に限っては何冊も著作を出しており、講演も行っているということで、旅の経験はその後の人生にしっかり生きているようです。

 それにしても87カ国って凄いですね。私は20カ国は突破したけど30カ国には全然届かない程度です。やはりアフリカや南米をこなさないといけんですかね。なお作者はオセアニアには全然足を踏み入れていませんから、オーストラリア人とかニュージーランド人は“世界一周”に異議を唱えるかも知れませんな。私も温存していたら、いつの間にか海外に行くモチベーションがなくなってしまったので、すっかり行き損ねたような気がします。

ラグマン 

マスカレード・イブ:先に読んでしまった「マスカレード」シリーズ第2弾

花散る朝

 花散らし 染まり駆けゆく 朝の風(冬空)
 ということで、桜の花が散ると一気に草木が芽吹いていく感じがしますね。今日もやたら暖かいけど、明日はもはや「アツゥイ!」と言いたくなる夏日予報。おいおい4月から勘弁してくれよって感じですな。

マスカレード・イブ 

 本日は東野圭吾の「マスカレード・イブ」を紹介しましょう。「マスカレード・イブ」は2014年8月21日に単行本を経ずに集英社文庫からいきなり文庫版が刊行されました。何故「イブ」なのかといえば、第一弾「マスカレード・ホテル」の前日譚だからです。だったらそっちから読めよという話ですが、例によって海のリハクの目が発動しまして。というか「マスカレード・ホテル」が見当たらなかったという。

 まあ第2弾が前日譚なので、時系列的にはこっちから読んだ方が正しいのではないかという気もします。気を取り直して続けるぞ(笑)。まずは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

マスカレード・ホテル 

 ホテル・コルテシア大阪で働く山岸尚美は、ある客たちの仮面に気づく。一方、東京で発生した殺人事件の捜査に当たる新田浩介は、一人の男に目をつけた。事件の夜、男は大阪にいたと主張するが、なぜかホテル名を言わない。殺人の疑いをかけられてでも守りたい秘密とは何なのか。お客さまの仮面を守り抜くのが彼女の仕事なら、犯人の仮面を暴くのが彼の職務。二人が出会う前の、それぞれの物語。「マスカレード」シリーズ第2弾。

 舞台となるホテル・コルテシアは一流ホテルで、 ホテルサイドの主人公山岸尚美は「ホテル・コルテシア東京」勤務ですが、大阪に新装オープンした「コルテシア大阪」に教育係として一時期派遣されました。取材協力として東京都中央区日本橋にある「ロイヤルパークホテル」がクレジットされており、「ホテル・コルテシア東京」のモデルとなっています。

コルテシア東京 

 「マスカレード・イブ」は短編4編を収録。末尾にして表題作である「マスカレード・イブ」は描き下ろしで、残る三編は集英社の「小説すばる」に掲載されました。

 「それぞれの仮面」は山岸尚美の元カレが登場します。コルテシア東京に就職して4年目となった尚美は、当初からの希望だったフロントクラークに配属され、新たな業務に戸惑いながらもなんとか慣れていきつつあるというところ。そこに尚美の大学時代の元カレが客としてやってきます。

マスカレード・イブPOP 

 元カレは大学の先輩で、2年ほど交際しましたが、元カレの就職先が倒産して失業し、コネで地元である艦載の企業に就職することとなったことを契機に別れたという経緯がありました。なのでドロドロの愛憎劇というのはなく、遠距離恋愛でもいいところ、仕事に専念したいという元カレからの別れを尚美が受け入れたのでした。

 元カレはいつの間にか元野球のスーパースターのマネージャーをやっており、スーパースターの海外渡航の前泊ということでコルテシア東京に宿泊したのでした。ところが業務を終えて帰ろうとした尚美に元カレから電話がかかってきて、ホテルで逢っていた交際相手が失踪したので力を貸して欲しいと言われます。

ロイヤルパークホテル 

 彼女には自殺癖があるので万が一の際にはホテルの評判にも傷が付くと言うことで内密に捜索をする尚美ですが、他の部屋での予約状況ならルームサービスの注文状況から真相に辿り着きます。これは「日常の謎」に近い話ですが、からくりは結構ほろ苦い。マネージャーの仕事って大変ですね。

 「ルーキー登場」は刑事サイドの主人公新田浩介の初登場エピソード。両親と妹は米シアトル在住で、父は日系企業の顧問弁護士。高校に入るまで2年間をロサンゼルスで過ごした帰国子女でもあり、英語を流暢にこなします。大学は法学部出身ですが、法曹の道へという父のアドバイスに背いて警察官になりました。

高級ホテルその1 

 この時はまだトッぽい兄ちゃんという感じで、お姉ちゃんと遊んでいるところに召集が掛かったりしています。事件はホワイトデーに発生した実業家殺害事件でした。先輩でヤクザ的な風貌の本宮とコンビを組んで捜査に当たる新田は、持ち前の推理力で犯人確保に貢献します。


 しかし、その背後には真犯人の影が。したたかな真犯人=女性の意図とからくりを見抜きながら、具体的証拠を挙げられず、その仮面を暴くことはできませんでした。認めたくないものだな…自分自身の、若さ故の過ちというものを…。が、辛酸を嘗めて人は成長するのです。

高級ホテルその2 

 「仮面と覆面」はまた尚美のお話。教育係として新規開業した「コルテシア大阪」に助っ人としてやってきた尚美は、ロビーにたむろするオタッキー達と遭遇します。どうやら人気覆面作家タチバナサクラに会おうとしているようです。

 タチバナサクラは27歳の女性作家という触れ込みで、ぼかして掲載するつもりの写真が手違いでぼかしがはいらないままにネットに流れてしまったせいで熱狂的なファンがいるようです。が、担当編集者によると正体は中年のおっさんで、実際フロントにやってきたのはおっさんでした。

高級ホテルフロント 

 しかしこのおっさん、缶詰になっているはずが長時間外出している様子。ですが編集者の電話にはちゃんと出て仕事をしていると言っている。これは一体どうしたことかといぶかしむ尚美ですが、客なので干渉する訳にもいきません。そうこうしているうちに、熱狂的オタッキー達はあっと驚く手段に出てタチバナサクラと電話で会話しますが…。こちらも尚美が真相を究明しますが、客のことなので誰にも言う訳にもいかず。やはり「日常の謎」系です。

 表題作「マスカレード・イブ」は新田と尚美が交錯するエピソードですが、二人は直接出会いません。大学教授殺害事件が発生し、八王子南署生活安全課の女性警官・穂積理沙とコンビを組むことになった新田。「ルーキー登場」では先輩の本宮に大丈夫かコイツと思われていた新田ですが、今度は穂積に大丈夫かコイツと思うようになっています。

島津ゆたかのホテル 

 容疑者として共同研究者の准教授が浮上しますが、事件当時彼は「コルテシア大阪」で人妻と密会していたと主張します。しかし人妻の名前は頑として明らかにしません。あまり成算がないということで単独で大阪に出張させられた穂積の懸命さに心打たれた尚美は、「証言として採用しないこと」を条件にギリギリの範囲でヒントを与えます。これによって准教授が密会していた人妻が判明しますが、それは准教授のアリバイを証明することになってしまいます。 

 完全に行き詰まるかと思われた捜査ですが、穂積の何気ない一言でアルキメデスの如く“Eureka!!”と叫んだ新田は、驚きのトリックを暴きます。穂積もお手柄だった訳ですが、最後に返す刀で新田は穂積の欺瞞を暴き、入れ知恵されたことを白状させますが、尚美の名前を出さなかったところは偉いぞ穂積。というか、この人は面白いキャラなので、シリーズに再登場させたらいいのに。

ユリイカのアルキメデス

 シリーズといってもまだ二作だけですが、「マスカレード」シリーズは既に発行部数は216万部以上というベストセラーシリーズとなっています。「マスカレード・イブ」は一ヶ月半で100万部を突破したとか。

 犯人仮面を暴くの刑事と、客の仮面を守り抜くホテルのフロントクラーク。対照的な仕事の二人がどう絡み合って活躍するのか、それは「マスカレード・ホテル」を読むまでのお楽しみになってしまいました。置いてあるんだろうね、筑波嶺の図書館!!

封印された日本の村:オカルトにあらず、かつて存在した風景の記録

浅田真央引退

 浅田真央の引退記者会見がありました。26歳で引退なんて、スポーツ選手としても早すぎる気がしますが、フィギュアスケートは殊の外選手寿命が短いので、業界では大ベテランなんでしょうね。あれだけの才能を持ち、あれほど各種大会で勝利しながら、オリンピックでは遂に金メダルに手が届かなかったというのも運命なんでしょうか。とにかくお疲れ様でした。「曲り角」の先の人生が幸せに満ちていることを。

封印された日本の村 

 本日は歴史ミステリー研究会編「封印された日本の村」を紹介しましょう。彩図社から2016年3月7日刊行されており、私としては異様に新しい本を読んだことになります。図書館、よく購入した。

封印された日本の秘境 

 本書は「封印された」シリーズの一冊で、他には「封印された日本の秘境」「封印された日本の離島」があります。それらも読んでみたいですが。裏表紙には「廃村となった村、存在し続ける村…どの村からも人々の息づかいが聞こえてくる」とだけしか書いてありませんので、Amazonの内容紹介です。

封印された日本の離島 

 昔から人々は日本のあらゆる場所で村を作り生活してきた。しかしすでに消えてしまった村は多い。かつて人々はどんな場所で生き、どんな事情で消えていったのか。また、現存する村々がどのような文化を継承しているのか…「村」を通して人間の生きざまが見えてくる。

杉沢村伝説 

 “封印された”なんて仰々しいタイトルをつけられると、ネットで噂される都市伝説の「杉沢村」とか「鮫島事件」なんかを連想するんですが、本書にはオカルト色は一切なし。まあ“キリストの墓”がある村とか“八つ墓村”のモデルとなった事件が起きた村なんかも紹介されているので、超常現象系のミステリーが取り上げる内容がないでもありませんが。

鮫島事件 

 第一章「人々が追われた村」は、噴火や土石流などの自然災害や、ダム建設計画のために消えて行った村を取り上げています。中でも印象的なのは、奈良県十津川村が大水害に遭い、被災した村人が北海道に移住したという話。北海道にいたとき、空知地方に「新十津川町」があったのを覚えていますが、あれがその移住先だったんですね。北海道には他にも広島県出身者が移住した「北広島市」や仙台藩の分家が集団移住をした「伊達市」なんかがあります。探せば他にもあるかも。

十津川大水害 
軍艦島

 第二章「繁栄のなごりが残る地」は、今も残る有名な廃墟が取り上げられています。有名な軍艦島(端島)、鰊御殿や旧大社駅など、今は使われていないけど観光資源としてはなお働いている施設、そしてアパート群や竪坑櫓などが出てきます。印象的なのは六甲山中にひっそりと立つ摩耶観光ホテルの廃墟。道路もない山中にあって解体もままならず、今なお鎮座していますが、美しい廃墟として有名だそうです。

 旧大社駅
摩耶観光ホテル 

 旧大社駅も駅としての使命は終わっているのですが、廃止後もホームや駅の掲示などがすべて当時のまま残されており、2004年に国の重要文化財に指定されており、2009年には近代化産業遺産に認定されているせいで、全く廃墟感がないですね。

大久野島 

 第三章「人の姿が消えた地」は、近代化とか行動成長によって人々が流出してしまった結果消えた集落や村を紹介しています。印象的なのは大久野島。瀬戸内海の島ですが、かつて地図から消えていた時代があったという。

ウサギの楽園となった大久野島 

 今ではウサギの島として有名ですが、戦時中は毒ガス製造の拠点とされ、その事実が極秘事項だった(化学兵器製造はジュネーブ条約違反だったし)ため、島の存在そのものを軍によって抹消されていたそうです。ウサギも毒ガス検知のために飼われていたのが始まりだとか。

大久野島の軍事遺構

 毒ガス製造施設ほか、様々な軍事遺構が多数残っており、ウサギを愛でる他、廃墟マニアもウハウハな島かも。しかし適切に処理されないままに廃棄された毒ガスの影響か、環境基準を大きく超えるヒ素による土壌汚染が確認されており、水は島外から船で運ばれているそうです。

キリストの墓とされるもの 

 第四章「逸話や伝説が残る村」は、今も存続している村ばかりが登場。全然封印されていません。「キリストの墓」がある青森県新郷村には、なんとピラミッドもあるそうです。MMR風に言えば「ここは古代の東武ワールドスクエアだったんだよ!!」「な、なんだってー!!」という感じ。

ピラミッドもある 

 昔は戸来(へらい)村という名前で、盆踊りでは「ナニャドヤラ」という奇妙なはやし歌がヘブライ語から来ているという説があったりして、イスラエルの「失われた十氏族」との関わりも指摘されていたりして。まあ確かに面白いけどキワモノの限りだと思いますけど。ちなみにキリストの墓は一般にはエルサレムの聖墳墓教会と言われていますが、その他インド・カシミール説、南フランス説、イギリス説があるそうです。しかし、聖書によれば死後復活して昇天したということなので、遺骸は存在しないということに。

おんだ祭 

 あと面白かったのは奈良県明日香村の「おんだ祭」。厳粛な神事…なんですが、飛鳥坐神社の舞台で、衆人環視の中で天狗とお多福が性行為を繰り広げるそうです。外人大喜びでこれを目当てに来日する人もいるとか。見るぶんにはいいですが、やれと言われたら困惑しますね。

かなまら祭 
魔王マーラ 

 祭事には性的なものって案外あって、川崎市の金山神社の「かなまら祭」なんか特に有名ですよね。メガテンシリーズに登場する魔王マーラのような男根御輿が練り歩くという。こっちは担ぐだけならやってやれないことはなさそう。

八つ墓村 

 第五章「事件の舞台になった村」は近現代史に登場する事件の現場が紹介されています。秩父困民党が明治政府に対して武装蜂起した「秩父事件」の旧粟野村とか、横溝正史の「八つ墓村」のモデルになった、一晩で30人もの人を殺害した「津山事件」(今なお日本犯罪史上最大の大量殺人事件とされます)の舞台となった旧西加茂村などが登場。

秩父事件 

 各記事は短いので物足りないところもありますが、自身で調べてみる端緒として非常に面白い本だと思います。

時計館の殺人:日本ミステリー史に残る新本格ミステリーの傑作

花散らしの雨

 せっかく満開の桜なのに無常な花散らしの雨。残念ですが「スローターハウス5」的に言えば「そういうものだ("So it goes")」ということか。カート・ヴォネガットは偉大ですねえ。

時計館の殺人一冊版 

 本日は綾辻行人の「時計館の殺人」を紹介しましょう。綾辻行人の作品を読んだのは初めてではないのですが、当ブログでの紹介は初めてなので、まずは作家のプロフィールから。

綾辻行人

 綾辻行人は1960年12月23日生まれで京都市出身。京都大学に進学して推理小説研究会に入会しましたが、そこには後に結婚する小野不由美や、ミステリー作家となる我孫子武丸や法月綸太郎も所属していました。まさに多士済々。

小野不由美先生 

 大学院在学中の1986年に小野不由美と結婚し、翌87年に「十角館の殺人」で作家デビューしました。「十角館の殺人」は新本格ミステリーの嚆矢とされています。では「新本格ミステリー」とはなんだという話になるんですが。

十角館の殺人 

 推理小説のジャンルの一つに、謎解き、トリック、頭脳派名探偵の活躍などを主眼とするものを「本格ミステリー」と呼びます。海外ではエドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人事件」で原型が確立され、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ・シリーズの短編もの、そしてアガサ・クリスティー、エラリー・クイーン、ディクスン・カーらの長編ものが本格ミステリーの黄金時代とされています。

モルグ街の殺人事件 

 日本では江戸川乱歩や横溝正史の長編が本格ミステリーとされますが、その後社会性のある題材を扱い、事件そのものに加え、事件の背景を丁寧に描く「社会派ミステリー」が台頭することで、本格ミステリーは古典的でリアリティに欠けるとされ、関心が薄れていってしまいました。欧米と日本ではミステリーそのものの歴史の長さが圧倒的に違うので仕方がないところかも知れませんが。

獄門島 

 それでも本格ミステリーは、ベテラン・中堅作家が書き続けていましたが、1980年代後半から90年代にかけて、新たなムーブメントが起きます。それが「新本格ミステリーで」、古典ともいえる「本格ミステリー」に倣った作風を志向しており、科学技術の発展などの時代背景を考慮に入れつつ、謎の不可解性や解決の論理性を重視しているのが特徴です。その先駆けが綾辻行人で、我孫子武丸や法月綸太郎など京都大学ミステリー研究会出身の作家が中心となっていました。他にも有栖川有栖、北村薫、二階堂黎人、京極夏彦なども新本格ミステリーの代表的作家と言えましょう(他にもたくさんいますが、取りあえず作品を読んだことのある作家を並べてみました)。

人形館の殺人 

 これまでに読んだ綾辻行人の作品としては、デビュー作の「十角館の殺人」の他、「人形館の殺人」、「緋色の囁き」を覚えていますが、いずれもブログ開始前に読了していたと思います。つまり結構前。「時計館の殺人」は、1991年9月に講談社ノベルスから刊行され、1993年5月には講談社文庫から文庫版が刊行されました。2012年6月には上下巻に分冊した新装改訂版が同文庫から刊行され、私が読んだのもこちらでした。「十角館の殺人」から始まる「館」シリーズの第五弾になります。

緋色の囁き 

 「館」シリーズは、素人探偵・島田潔(後に推理作家となりペンネームは鹿谷門実)が、今は亡き建築家・中村青司が建築に関わった建物に魅せられて尋ねていくもので、そこでは決まって凄惨な殺人事件が起こります。中村青司はもちろん架空の建築家ですが、奇妙な建物ばかり設計・施工しています。もちろんオーナーのオーダーに応えてのものなのですが、この人の関わる建物で必ず事件が起きるのは、オーナーのせいなのか建築家のせいなのか、それとも相乗効果なのか。

時計館の殺人上 

 「時計館の殺人」は第45回日本推理作家協会賞を受賞(同時受賞は宮部みゆきの「龍は眠る」)しており、「新本格ミステリー」を定着させた作品として評価されています。1991年の「週刊文春ミステリーベスト10」で第4位、1992年の「このミステリーがすごい!」の11位。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

変な懐中時計 

 (上巻):鎌倉の外れに建つ謎の館、時計館。角島・十角館の惨劇を知る江南孝明は、オカルト雑誌の“取材班”の一員としてこの館を訪れる。館に棲むという少女の亡霊と接触した交霊会の夜、忽然と姿を消す美貌の霊能者。閉ざされた館内ではそして、恐るべき殺人劇の幕が上がる! 不朽の名作、満を持しての新装改訂版。 

時計館の殺人下 

 (下巻):館に閉じ込められた江南たちを襲う、仮面の殺人者の恐怖。館内で惨劇が続く一方、館外では推理作家・鹿谷門実が、時計館主人の遺した「沈黙の女神」の詩の謎を追う。悪夢の三日間の後、生き残るのは誰か?凄絶な連続殺人の果てに待ち受ける、驚愕と感動の最終章!第45回日本推理作家協会賞に輝く名作。

交霊会 

 物語は時計館の中と外に別れて交互に進行していきます。時計館内部での主人公は江南。彼は「十角館の殺人」で次々と殺害された大分県K**大学・推理小説研究会の生き残りで、その事件は3年経った今もトラウマとなっています。それなのにまたしても遭遇してしまう猟奇殺人事件。

時計館平面図 

 そして「十角館の殺人」で探偵役となった島田潔は、推理作家鹿谷門実となっており、外部から時計館の謎に迫っていくことになります。今回参加するのはW**大学超常現象研究会。ミステリーといっても推理小説ではなく超常現象の方だったんですね。

フランス枕 

 主な登場人物が2ページにわたって紹介されており、あまりの多さに驚きますが、心配はいりません。その多くは故人となっているからです。そして生きている人も次々と殺されていきますので、むしろ何人生き残れるんだと心配するくらいです。

火かき棒 

 本書では犯人が誰かということもさることながら、殺す動機も謎となっています。一応10年前の出来事が発端になっているようだということが判明するのですが、それと全く関わりのない人まで殺されてしまいます。実は途中で何となく犯人は見当がつくのですが、アリバイが完璧にあるので、共犯者が存在するのかと思っていましたが、まさかの単独犯でした。

グランドファーザークロック 

 読み終わった後で思い返せば、かなりきわどいネタバレ的な描写がいろんな所にちりばめられていました。なのに鹿谷門実が真相を暴くまで気付かないのは、私が海のリハクの目の持ち主だからでしょうか。本書はとにかく熱中して読んでもらい(殺人が横行していますが)、終盤の謎解きにあっと驚くのが楽しいので、言いたいことはたくさんあるのですが、とにかく読んで下さいとだけ言っておきましょう。

ベネチアの仮面 

 アリバイのトリックは驚愕ものですが、それは実は犯人が用意したものではなく、もともと存在していたものを利用したに過ぎません。ではなぜそれが以前から存在していたのかということについても、その事情が破綻なく明らかにされていくので、構成の妙に唸らざるを得ません。

和時計 

 唯一謎なのは、犯人がなぜアリバイ工作に腐心していたのかということです。“復讐”さえ果たされれば、その後自分が警察の追及から逃げのびることへのモチベーションはそんなになさそうなんですが。

アンティーク調置時計 

 とりあえずどんなにお金持ちでも、中村青司が関わる建物には住みたくないですね。まあ所有者達はそれぞれわざわざ中村青司に依頼して建設しているのですが。

歪んだ王国 

 なお谷山浩子が1992年6月にリリースした19thアルバム「歪んだ王国」には、9曲目に「時計館の殺人」という楽曲が収録されています。もちろん作詞は綾辻行人。ちなみに8曲目の「気づかれてはいけない」の作詞もしています。

ゲームの名は誘拐:トリックにあっと驚く達人同士のゲームの行方

一気に桜満開

 一気に暖かくなってまさに陽春。桜の花も満開モードです。花が咲くのは結構なんですが、そろそろあいつらも元気に登場ですね。そう、MUSIの輩。虫といってもいろいろいますが、特に嫌なのはGですね。毒があるわけでも刺すわけでもないので、家にさえ入ってこなければ勘弁してやるんですが、なぜにお前らは家に入ってくるのか。火星に行け火星に。そしてタルシアン(by「ほしのこえ」)と殺し合え。

火星にいけ火星に 
タルシアン艦隊 

 本日はご存知東野圭吾の「ゲームの名は誘拐」を紹介しましょう。光文社の男性向け月刊ファッション誌「Gainer」に2000年10月号から2002年6月号まで連載され、2002年11月19日に光文社から単行本が刊行され、2005年6月14日に光文社文庫から文庫版が刊行されました。

ゲームの名は誘拐 

 「ゲームの名は誘拐」は、先日紹介した「殺人の門」や、だいぶ前に紹介した「レイクサイド」とほぼ同時期の作品ですが、「このミステリーがすごい!」では2004年版の11位(「殺人の門」は同年18位、「レイクサイド」は2002年版の28位)、「本格ミステリ・ベスト10」では2004年13位(「レイクサイド」は2003年の16位)で、ミステリーとしては両作を上回る評価を得ています。個人的にはもっと評価が高くてもいいのではと思いますが、内容が狂言誘拐だということが軽いものとみられる原因なのかも知れません。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

 敏腕広告プランナー・佐久間は、クライアントの重役・葛城にプロジェクトを潰された。葛城邸に出向いた彼は、家出してきた葛城の娘と出会う。“ゲームの達人”を自称する葛城に、二人はプライドをかけた勝負を挑む。娘を人質にした狂言誘拐。携帯電話、インターネットを駆使し、身代金三億円の奪取を狙う。犯人側の視点のみで描く、鮮烈なノンストップ・ミステリー!

ゲームの達人 

 自動車会社の大規模宣伝プロジェクトの中心にいた佐久間は、同社副社長の葛城にプランを「ちゃぶ台返し」されてプロジェクトから外されてしまいます。ここまで広告業界でエリート街道を突っ走り、連戦連勝だった佐久間は大ショック。やけ酒を飲んで酔ったまま勢いで葛城の豪邸を見に行ったところ、屋敷から塀を乗り越えて抜け出す女の姿を目撃します。

 追いかけていって接触したところ、女は葛城の長女・樹理でした。実は葛城の昔の愛人に産ませた娘で、愛人が死んだために引き取られたものの、現在の妻や異母妹には煙たがられ続け、針のむしろである家を早く抜け出したい願っていたところ、異母妹の千春と揉めて衝動的に抜け出してきたのだと言います。

単行本ゲームの名は誘拐 

 自慢のプロジェクトを自称「ゲームの達人」葛城に潰された恨みもあり、佐久間が考えついたのが狂言誘拐。樹理の独立生活資金の奪取と、葛城の鼻を明かすという一石二鳥の作戦ですが、やるからには勝たなければならないというのが佐久間のポリシー。警察の介入も計算に入れて、どうしたら葛城を出し抜けるのかを考え抜きます。

 “飛ばし”と呼ばれる他人や架空の名義で契約された携帯電話機、使い捨てメールアドレス、インターネットの掲示板と、15年以上前の作品ですがまだ色あせないテクニックを駆使する佐久間。作戦中に樹理ともわりない仲になったりして。

佐久間と樹理 

 念願の3億円を首尾良くゲットした佐久間は、一割の3千万円だけを受け取り、残りを樹理に渡します。あとは帰宅した樹理がさんざんシミュレートした警察の事情聴取対策を実行すれば完全犯罪成立だぜということなんですが、帰宅したはずの樹理はなぜか姿を隠したままで、それどころか葛城家は警察に捜索願いを出します。

 これは一体どうしたことか?しかしマスコミに報じられた樹理の写真を見て唖然とする佐久間。それは一緒に過ごした樹理とは全く違う顔なのでして。それでは、今まで一緒に狂言誘拐をやってきた樹理は何者なのか?

横須賀港 

 ということで、狂言誘拐事件を実行中よりも、実行後にあっと驚く展開が待っている作品です。佐久間は色んな女性と遊びますが、結婚をする気はさらさらなく、効率と時間節約をモットーとしているエリートで、物語が彼の視点で進行していなかったらかなり鼻持ちならない人間であるような気がします。

 そして被害者側になる葛城も、佐久間視点ということもあるでしょうが、エリートにして上流階級出身という思わず革命を企てたくなるブルジョワジー。いわば悪人対悪人といった様相です。じゃあ樹理だけは…と思いきや、「お前誰やねん!?」ということになってしまいます(笑)。

箱崎ジャンクション 

 ストーリー中にあったいろいろな出来事が、真相究明のための伏線となっており、ちゃんと全て回収されているのが凄いです。言ってみればエリートが行うゲームなので、深刻さはあまりないため、そのあたりが重厚さに欠けるとみなされてしまうのかも知れませんが、ゲームといっても全身全霊を傾けて行っているので、読んでいて非常に面白かったです。特に後半。でもこれは是非読んでそのどんでん返しを堪能して貰いたいです。

g@me.jpg 

 本作は「g@me.」(ゲーム)のタイトルで映画化され、2003年に公開されています。映画化に際しては、結末部分や登場人物の性格などが大幅に付け足されているそうです。例によって未見ですが。

 佐久間役は藤木直人、樹理役は仲間由紀恵、葛城役は石橋凌。仲間由紀恵では美人過ぎる気がします。あと当時仲間は24歳ですが、原作では樹理は20歳そこそこなのでちょっと老けすぎかも。なお東野圭吾も一場面だけ出演しているそうです。原作者が自身の映画に出演するのってよくありますが、東野圭吾は映画好きでかつては映画監督になりたかったのだとか。

東野圭吾も登場(右端) 

殺人の門:東野圭吾版クトゥルフ神話?

花冷えパート2

 いやいや、なんともう4月になってしまいましたよ。しかし天気は悪いしおまけに寒いですね。まさに花冷え。この前も言っていましたが、4月になった今日こそリアル花冷えです。エイプリルフールでもあるんですが、これは日本ではマンガやアニメのネタ程度で現実にはあんまり流行らないですね。嘘をつく主体となる学生達が春休み中だということも大きいのでしょうか。

エイプリルフール 

 本日は東野圭吾の「殺人の門」を紹介しましょう。「殺人の門」は2003年8月に単行本が角川書店から刊行され、2006年6月に角川文庫から文庫本が刊行されました。「秘密」でブレイクして人気作家になってからの作品ですが、「白夜行」に匹敵する大長編のわりに地味なせいか人気は今ひとつのような。「このミステリーがすごい!」では2004年に18位にランキングされています。同じ年に直木賞候補ともなった名作「手紙」が56位なんですが、そもそも「手紙」はミステリーではないような。

殺人の門 

 「手紙」と類似している部分といえば、主人公が本人の責任ではない形で不幸な人生に転落していくところですが、「殺人の門」の場合は、小中学生の頃は仕方ないのですけど、それ以降はどうしても“自己責任”という言葉がよぎってしまう部分があります(酷かな…)。それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

東野圭吾の手紙 

 「倉持修を殺そう」と思ったのはいつからだろう。悪魔の如きあの男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。そして数多くの人間が不幸になった。あいつだけは生かしておいてはならない。でも、私には殺すことができないのだ。殺人者になるために、私に欠けているものはいったい何なのだろうか?人が人を殺すという行為は如何なることか。直木賞作家が描く、「憎悪」と「殺意」の一大叙事詩。

歯医者さん 

 主人公田島和幸は歯医者の息子で、幼少期は結構裕福な暮らしをしてきました。しかし、祖母が70歳という比較的若い年齢で老衰で亡くなったとき、毒殺されたのだという噂が町に広がっていきます。しまいには刑事が尋ねてきたりして。表面上は黙殺の態度をとった和幸の両親ですが、水面下で不和となってやがて離婚に。和幸は父との同居を選択します。

お屋敷に住むお坊ちゃま 

 父子家庭でもちゃんとやっている家庭は沢山あるはずですが、和幸パパンは女にだらしなかったらしく、夜の店の女に入れ上げます。しまいにはその女の情夫に襲撃され、後遺症で手が動かなくなり、歯医者が続けられなくなります。屋敷など不動産を売ってアパート経営に乗り出しますが上手くいかず、再び女に入れ上げたりして借金がかさみ、和幸が高校生の頃に蒸発してしまいます。

 和幸の方はといえば、中学時代は激しいいじめに遭ったり、高校時代は好意を寄せた女の子が自殺したりと上手くいかない時代が続きます。パパンが蒸発したため、親戚の助力で高校卒業まではさせて貰いましたが、その後は就職一拓です。就職先で陰湿ないじめにあったりしているので、和幸自身に何らかの性格的問題があったのかも知れません。

旧版殺人の門 

 が、和幸の人生に黒々とした影を落とすのは倉持修という小学校時代からの知人。友人と書きたいところですが、ぼっち同士接近したという感じであって、趣味が同じとか馬が合うという感じではありませんでした。それどころか、和幸は倉持に何かと「食い物」にされている感を抱きます。

 実は和幸にも良き友人はいなかった訳ではありません。中学時代には木原という他の小学校から来た友人が出来て親しくしていましたし、就職先では、陰湿ないじめをする先輩社員もいましたが、寮で同室となった小杉は不良上がりっぽい風貌に似合わず、腹を割って話せばいい奴でした。ですがそういう人達との交流が長続きしないというのが彼の大きな不幸の一旦でもありました。

殺人の門POP 

 そして自分の世界、自分の人生を築こうとすると突然現れる倉持。木原との別れは直接倉持のせいではありませんが、高校時代は好意をもった女の子をかっさらわれ(NTRだNTR)、その女の子は妊娠した挙げ句自殺してしまいます。また就職後も怪しげなネズミ講のアルバイトを持ちかけられ、サクラ役をやらされた結果、陰湿ないじめの先輩に逆恨みされて殺されかかり、退職に追い込まれてしまいます。 

 だからもう倉持とは絶縁しろよと思うのですが、その後も倉持の紹介でインチキ会社で働いて老人を罠にかける片棒を担いでしまいます。倉持を批判糾弾する気持ちは常に持っているのですが、するのはいいのですが、自分の手も黒く染めてしまっては第三者に対する説得力に欠けます。

ねずみ講の仕組み 

 さすがに懲りた和幸、今度は家具屋に勤めてそれなりに平穏に暮らせるようになるのですが、またも金持ちになった倉持が登場。倉持の妻に紹介された女性と交際し、結婚したらこれがとんでもないタマでした。買い物依存症というのか浪費症というのか、とにかく借金してでも買い物をしないではいられないという。

買い物依存症 

 そんな中、家庭生活に疲れた和幸はついつい色っぽい客に誘惑されて浮気をしてしまいますが、すぐに妻にばれ、鬼の首を取った妻はさらに浪費を繰り広げます。離婚しても残された借金と月々の慰謝料を払わされる和幸。そんな中、同情の素振りを見せてぽんと200万円貸してくれたのはまたも倉持。

浮気のイメージ 

 二度と関わるまいと思いつつ、金を借りた引け目でまたも倉持の立ち上げた株売買の会社の役員に名を連ねてしまう和幸。しかしまたも顧客になんだかんだと金を返さないインチキ会社だったので、株式の暴落によって一気に破滅に向かうことになります。

 そして和幸は大きな陰謀に気付きます。そもそも和幸が結婚した相手は倉持の「昔の女」であり、浮気相手は実は妻の知り合いであった。つまり結婚→離婚→借金地獄というトリプルコンボは倉持の壮大なはめ手であったのです。ついに和幸は倉持殺害を決断します。

 実は和幸、これまでにも倉持を殺そうとしたことがありました。しかしできなかったのは、倉持の釈明がでまかせとは思えなかったことと、倉持があながち虚ばかりでもなく、実もある(ありそう)という複雑な人物だったということがあります。和幸は倉持を見極めようとしてなかなか見極められないうちに機を逃してきたという感じもあります。

 そして殺害を決断した夜も、一足先に別の被害者が倉持を刺してしまったことで決行はできませんでした。その時に事情聴取した刑事は「動機さえあれば殺人がおきるというわけではないんですよ。動機も必要ですが、環境、タイミング、その場の気分、それらが複雑に絡み合って人は人を殺すんです。(中略)あなたの場合、何らかの引き金が必要なのかも知れませんね。それがないかぎり、殺人者となる門をくぐることはできないというわけです」これがタイトル「殺人の門」の意味でもあります。

 倉持は一命をとりとめますが植物状態になります。すると色々な人が見舞いにやってきます。驚くべきことに、女達は一様に好意を持っており、被害に遭った男達も「ひどい目に遭ったけど面白かった」と嫌悪一色ではない様子。そんな中、見舞いに来た経営コンサルタントを名乗る紳士に、昔の知り合いの面影を見いだした和幸は、一気に真相に到達することになります。

それはひょっとしてギャグで言っているのか 

 物語は一貫して和幸の一人称で進むのですが、まあ読んでみてこの人の頭の悪さ、要領の悪さ、懲りなさには笑えてきてしまいます。恋愛から結婚のくだりは、こちらとしてはどうせ倉持の罠だろうと感づいているのでギャグというかコントのようにも感じました。最後の最後に、倉持が和幸に抱いていた複雑な気持ちを理解するに至り、和幸がとった行動は…これはもう実際に読んで確認していただきたいです。

ナイアーラトテップの化身の一つ 

 子供時代からこれだけ人の心を弄び、操り、騙してきた倉持は、もはや普通の人間とは思えないほどです。これだけ悪行を続けておきながら、自分の妻には騙されたという感を持たれていないというのも凄いです。実は倉持は、ナイアーラトテップ(或いはニャルラトホテプ)の化身ででもあるのではないでしょうか。

アザトースさん 

 クトゥルフ神話では、この宇宙の創造神ともいうべきアザトースがいますが、はとてつもなく巨大で絶対的な力をもった存在である反面、盲目で白痴なので、自らの分身として三つのものを生みました。つまり闇と無名の霧とナイアーラトテップです。闇からはシュブ=ニグラス、無名の霧からヨグ=ソトースが生まれており、それぞれクトゥルフ神話においては「外なる神」と呼ばれる、旧支配者以上の高い神格を持っています(特にヨグ=ソトースは最高級の神格とされます)が、いずれもアザトースから間接的に生じており、直接生まれた“這いよる混沌”ナイアーラトテップが、主人であり創造主であるアザトースや他の異形の神々に仕え、知性をもたない主人の代行者としてその意思を具現化するべくあらゆる時空に出没するとされています。

ニャルラトホテプのカード 

 このナイアーラトテップ、クトゥルフ神話の旧支配者、外なる神といった人知を超える存在の中でも最強クラスとされており、人間はもとより他の旧支配者達をも冷笑し続けていますが、自ら人間と接触したり、簡単にひねり潰せる人間をあえて騙して自滅に追いやろうとしたりするなど、しばしばトリックスター的な行動を取っています。人知を超える存在なのでその真意を推し量ることは不可能ですが、和幸という平凡な人間を生かさず殺さず的な状態に保持し続けようとする倉持の意図なんか、多分にナイアーラトテップ的であるような。

ナイアーラトテップのフィギュア 

 ナイアーラトテップの多数の化身は同時に地球上に存在可能で、中には普通に人間として暮らしている者も少なくないそうなので、倉持イコールナイアーラトテップの化身説というのも個人的にはあながち的外れではないような気がします。ニャル子さんとして和幸の前に登場していたのであれば、大分違う人生があったと思いますが。というか、ニャル子さんなら私の所にも来て欲しい。

ニャル子さんだと人生が変わる 

森崎書店の日々:古書店街を舞台とした女性の成長物語

オオイヌフグリ
ホトケノザ 

 梅は咲いたか桜はまだかいなと上の方ばかり見て足元がお留守だった間に、枯れ野でオオイヌフグリやらホトケノザやらが咲き乱れるようになっていました。ぼけっとしている間にも季節はどんどん移ろっていくものなんですね。

森崎書店の日々 

 本日は八木沢里志の「森崎書店の日々」を紹介しましょう。八木沢里志の作品は初めて読みました。

八木沢里志 

 八木沢里志は1977年生まれで千葉県出身。日本大学芸術学部卒業。2008年に「森崎書店の日々」で第3回「ちよだ文学賞」を受賞し、作家デビューしました。「ちよだ文学賞」は2006年から実施されている千代田区主催の文学賞で、読売新聞社が共催し、小学館が後援しています。テーマやジャンルは問われません、千代田区主催ということで、千代田区ゆかりの人物や千代田区の名所・旧跡、歴史などを題材にした作品が歓迎される傾向があります。

古書店街 

 「森崎書店の日々」は、千代田区の神田神保町が舞台となっているので、まさにこの文学賞に歓迎される作品だったといえるでしょう。2010年9月12日に小学館文庫から文庫版が刊行されています。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

三浦貴子 

 貴子は交際して一年の英明から、突然、他の女性と結婚すると告げられ、失意のどん底に陥る。職場恋愛であったために、会社も辞めることに。恋人と仕事を一遍に失った貴子のところに、本の街・神保町で、古書店を経営する叔父のサトルから電話が入る。飄々とした叔父を苦手としていた貴子だったが、「店に住み込んで、仕事を手伝って欲しい」という申し出に、自然、足は神保町に向いていた。古書店街を舞台に、一人の女性の成長をユーモラスかつペーソス溢れる筆致で描く。「第三回ちよだ文学賞」大賞受賞作品。書き下ろし続編小説「桃子さんの帰還」も収録。 

古本まつり 

 「森崎書店の日々」は100ページ足らずの中編で、受賞後第一作で続編でもある「桃子さんの帰還」と合わせて文庫本となっています。

貴子とサトル 

 貴子は九州出身の25歳。笑顔が素敵なスポーツマンである同僚の英明と1年間ラブラブ恋人ライフを送ってきましたが、いきなり「俺、結婚するんだ」とぶちかまされます。相手はやはり同僚である清楚美人の村野さんで、なんと2年半前から交際しているとか。つまり二股で、しかも貴子は浮気の相手ないし愛人の立場だったという。

サトル叔父 

 1年間ずっとデートとお食事だけの清い関係という訳もなく、肉体関係(生々しいな)もあったことでしょう。それなのにあんまりな告白。ぶち切れて酒をぶっかけるなりボトルでぶん殴りするなりすれば良かったのですが、唖然としたまま別れてしまう貴子。失恋のショックは影道・鳳閣拳のごとく後から押し寄せてきました。何事も無かったかのように接してくる英明。そして何にも知らずに微笑んでいる村野さんと毎日顔を合わせることに心が耐えられなくなり、辞職して泣き暮らす毎日に。

影道奥義中の秘拳 

 余談ですが鳳閣拳、車田正美の「リングにかけろ」に登場したおそよボクシングの概念を超越した秘拳です。というかボクシングのルールでは意味がない(汗)。日本ボクシング界の影の存在である影道(シャドウ)。その総帥はスーパースターである天才ボクサー剣崎順の双子の弟である影道殉。実力は剣崎と同等ですが、組織の長であるせいか、人格的にはかなり上。
影道殉 

 その影道殉の奥義中の秘拳が鳳閣拳。それは撃たれた直後は全くダメージを受けませんが、時間が経過すると相手の心臓を破裂させて殺してしまうというまさに必殺拳で、通常の試合では使うことができないという。なんのために開発されたのか不明で、原理も全く不明ですが、こんな妙なブローを開発していたから日本ボクシング界から追放されたんじゃなかろうか。

影道鳳閣拳 

 失恋したことは九州のママンにだけは伝えていた貴子。そのママンから連絡が行ったらしく、神保町で古本屋・森崎書店を経営する叔父のサトルからコンタクトが。古本屋を手伝って欲しいと言われ、かび臭い(実際には古本の匂いですが)に引っ越すことになりました。

サブさん 

 あまりに深い精神的ダメージより、当初はひたすら眠るばかりの貴子。彼女ほどのもの凄い失恋はしたことがありませんが、精神的疲労が深いととにかく寝たくなるというのはわかります。ずいぶん昔ですが、半年くらいろくな休みもなく残業漬けの生活を送ったことがあったのですが、休めるようになったら、とにかく寝まくりました。冬で寒かったということもありましたが、本当に他にやりたいこともなく、眠くてベッドから出られないという。軽く鬱も入っていたかも知れません。まあ私のことはどうでもいいです。

喫茶店すぼうるのマスター 

 しかしある日、サトル叔父に誘われて雰囲気のいい喫茶店で美味しい珈琲を飲んだことで彼女の惰眠の日々は終わり、山ほどある本を読んだり、神保町界隈を散策したりするようになります。古本まつりに参加したり、喫茶店のキッチン担当の青年の片想いを応援したりしているうちに徐々に心の傷が癒えていく貴子。しかし、英明から連絡がきたことで再び沈んでいきます。

人は見た目が9割 

 この英明の罪悪感のなさぶりは気持ち悪いほどです。サイコパスとかなんじゃないか。二股かけて一方を振る。ここまではかろうじて判るのですが、その後も遊ぼう(おそらく性的な意味で)と誘ってくるという。「人は見た目が9割」なんて本もありますし、一見イケメンの英明に惹かれるのは仕方が無いのですが、付き合っているうちにその本性がわからないものなのか。

トモコと貴子 

 貴子の苦悩に気付いたサトル叔父は、英明と対決するべきだと貴子をけしかけ、夜更けに雨の中一緒に英明のマンションに行き、対決します。といっても大立ち回りとかはないのですが、お人好しが故に別れ際に言えなかった決別の言葉を浴びせることに成功する貴子。

本を読む貴子 

 実はこの時、部屋の中には村野さんがいたのでした。直後に英明を問い詰め、二股をかけていたことを知り、結婚を白紙にすることになりました。英明ざまあ!というか女の子が二人も引っかかってるんじゃない。まあ結婚前に気づけて良かったですよ。結婚してから判明したらいろいろ大変ですからね。

森崎書店 

 こうして人生の休暇を終え、貴子は新たな自分の人生を生きるため、森崎書店を旅立つことになります。初夏から早春までという1年足らずの日々でしたが、神保町に住んで読書三昧の日々を送るなんて、昔の私なら羨ましすぎる生活ですよ。今ではPCがないとダメになっちゃいましたけどNE!

貴子とトモコその2 

 そして「桃子さんの帰還」は1年半あとの物語。貴子も27歳ですよ。もはやアラサー。桃子というのはサトル叔父の嫁さんでしたが、5年前に「探さないでください」という書き置きだけ残して失踪してしまったのでした。それがいきなり戻ってきたという。

本を物色する貴子 

 貴子のことでは雄々しいところも見せたサトル叔父ですが、自分自身のことについてはてんでダメダメ。貴子に桃子の真意を探って欲しいとお願いします。自分の妻なんだから自分で聞けよと思いつつ、「森崎書店の日々」の恩もあり、渋々引き受ける貴子。

 しかし桃子の海千山千ぶりに翻弄され、ろくに話も聞けない貴子。逆においしい手料理の数々に胃袋をつかまれて籠絡されたりして。ある日、桃子から二人で奥多摩に旅行に行こうと誘われた貴子は、その旅行の中で桃子の真意を知ることになります。

象は忘れない 

 アガサ・クリスティは「過去の罪は長い影を引く」というモチーフをその作品の中でしばしば使いましたが、まさに桃子の過去が様々な影響を及ぼしていたのでした。「認めたくないものだな…自分自身の、若さ故の過ちというものを」(byシャア・アズナブル)。ですが、過ちを犯さない人間というのもいません。皆、過ちの中から教訓を導き出して今後に生かそうとするんだ。

電話する貴子 

 旅行後、桃子は再び失踪しますが、今度は貴子がサトル叔父を叱咤し、桃子が行ったはずの「心当たり」に行かせます。桃子が本当に戻ってくるのはさらに1年後ということになりますが、貴子にも新たの恋の予感があり、サトルも恋女房を取り戻し、まずはハッピーエンドで終了です。

映画版森崎書店の日々 

 本作は映画化され、2010年10月23日に公開されています。貴子役はファッションモデルでもある菊池亜希子が演じました。サトル叔父は内藤剛志。個人的には貴子はイメージより背が高すぎるし美人過ぎ、サトルはイメージより強そうな気がしますが、まあ悪くはないでしょう。「桃子さんの帰還」は入っていないので桃子は登場しませんが、喫茶店「すぼうる」でアルバイトする大学院生トモちゃんは田中麗奈。これもちょっと美人すぐる(笑)。

菊池亜希子のメッセージ 

 古書店街の古本屋が舞台となっていますが、本がテーマという訳ではないので本の“推し”はあんまり強くありません。貴子は本漬けになるが今回が初めてという状態だし、サトル叔父とか周囲の人は本好きだけどそんなにゴリゴリではないし。だから本にあまり興味のない人でもさくさく読めると思います。貴子が年齢のわりに幼い感じがするのは読書量が足りないせいだったのか、なんて思ったりもしますが、“耳年増”というのも可愛いものではないし、見聞と実体験はやはり別物ですからね。読後感も爽やかでいいです。

あの森崎と違う 

 ちなみに“森崎”というと某ざるキーパーを思い出しますが、スポーツ色は一切なし。クズ野郎・英明はラガーマンだったようですが、どのスポーツでもクズがいない、或いはクズばかりということはないでしょうから、英明がサッカーをやってたら大丈夫だったということはないでしょうな。それにしても“SGGK(スーパーグレートゴールキーパー”から“SGGK(スーパー頑張りゴールキーパー)”って呼ばれるのはディスっているとしか思えませんね。ピコ太郎のPPAPは実はSGGKにヒントを得たとかね。そんな馬鹿な(笑)。

SGGK森崎 

銀行総務特命:「花咲舞が黙ってない」の原作でもある連作短編

カエサル暗殺

 今日は冬が戻ってきたかのように寒い一日でした。雪との予報もあったので、なごり雪になるかと思いましたが、冷たい雨でした。紀元前44年の今日、ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)が腹心だったブルトゥス(ブルータス)らに暗殺されたそうです。「ブルータス、お前もか!」ですね。きっと飼い犬のゴールデン・レトリバーが赤ちゃんをかみ殺した時、周りの人達は同じような気持ちになったことでしょうね。

銀行総務特命 

 本日は池井戸潤の「銀行総務特命」を紹介しましょう。今や人気作家の池井戸潤ですが、「銀行総務特命」が講談社から刊行されたのは2002年8月。1998年のデビューから4年という初期の作品にあたります。講談社文庫版の刊行は2005年8月。

特命係長只野仁 

 “特命”なんて聞くと、窓際族の役目(つまり特に何の仕事もない)という場合と、本当に重要な任務に衝く場合と両極端な印象があります。言うなれば「特命係長只野仁」の昼の顔と夜の顔ぐらい違うという。しかし本書の銀行の特命は後者、つまり重要任務を任されているようです。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

旧版銀行総務特命 

 帝都銀行で唯一、行内の不祥事処理を任された指宿修平。顧客名簿流出、現役行員のAV出演疑惑、幹部の裏金づくり…スキャンダルに事欠かない伏魔殿を指宿は奔走する。腐敗した組織が、ある罠を用意しているとも知らずに―「総務特命担当者」の運命はいかに!?意外な仕掛けに唸らされる傑作ミステリー。 

銀行総務特命新版 

 「銀行特命総務」は、講談社の「週刊現代」に2001年11月17日号から2002年6月15日号まで連載されたもので、池井戸潤にとっては初の週刊誌連載だったようです。帝都銀行で副頭取直々に任命されて不祥事処理を任された総務部調査役の指宿(いぶすき)修平。

調査役のポジション 

 調査役とはなんじゃらほいと思いますが、銀行では各行である程度相違はあるようですが、だいたい本店で係長から課長の間あたりに位置する中堅の役職のようです。支店では支店長代理(或いは課長代理)あたりに相当でしょうか。支店長代理って、副支店長と混同しそうですが、課長より下なんですね。

 本書には8編の短編が収録されており、顧客名簿流出、現役行員のAV出演疑惑、幹部の裏金づくりといったスキャンダルが次々発生します。銀行は伏魔殿か!そして解決に向け奔走する指宿。一編50ページくらいなんですが、誘拐、殺人未遂といった凶悪な事件まで発生しており、いくら特命でも単独では手に余りますが、そういう場合はさすがに警察が登場して協力して解決というはこびになっています。

銀行員AVその1 

 印象に残るのは第三話「官能銀行」。これは現役女子銀行員がAVに出演するというスキャンダルを描いたものですが、「官能銀行」というのはそのAVのタイトルです。指宿はモザイクに隠された彼女の正体を探るということの他に、何が彼女にそうさせたのかということを暴くという二つのミッションを同時にこなしていくことになります。さすが大銀行、美人女子行員多数なのですぐ容疑者が判明ということはありません。うらやましい執務環境ですなあ(笑)。

枕営業 

 美人OLとオフィスラブ、なんてベタベタですが、なんとそのベタベタ展開ありです。一般職から総合職への転換を希望する女子行員を、便宜を図ってやるふりをして貪る人事部幹部…それで総合職になれせてくれたんならともかく、ならせてくれないのだから救われません。枕営業だってちゃんと見返りはないと。それにしてもそんな「食い逃げ」で何もないと思っていたのでしょうか。浅はかすぎますね。銀行員なら、いや社会人ならギブアンドテイクは常識でしょうに。

銀行員AVその2 

 ちなみに銀行員系のAVは結構あるみたいですが、顔見せばかりですね。銀行員のていをしているだけでAV嬢がやっているだけなんでしょうかね。

 指宿には鏑木という部下がいるのですが、三話で鏑木は栄転となり、四話以降は三話から登場した人事部調査役の唐木怜という女性とコンビを組むことになります。指宿の所属する総務部と人事部は犬猿の仲のようで、総務部に異動して指宿と組むようになっても唐木と指宿はなかなかしっくりいきませんでしたが、やがては指宿の仕事に理解を示すようになっていきます。

 第六話「特命対特命」は、人事課にも特命担当の調査役が登場し、指宿の失脚を試みます。三話で人事部次長が沈められた(自業自得なんですが)こともあり、人事部の指宿に対する敵意は相当なものです。債券部の花形トレーダーが20億円の穴を開けたことを、指宿の稚拙な調査により焦ったために発生した大損害だというシナリオで追い込んでいこうとします。人事部特命の星川は、唐木怜と恋仲だったらしく、元の関係に戻ろうと怜を誘います。またオフィスラブかよ!なんて銀行だ。怜がヒロインらくしく、指宿と仕事をしながら敵側の男に抱かれたくないという潔癖な仕事観を持っていて良かったです。

狼男だよ 

 どの短編もミステリー要素があり、謎解きや犯人当てがあるのですが、カタルシスを感じる前に修了してしまうもどかしさを感じます。例えて言えば…平井和正の「ウルフガイ」シリーズの前半だけというか。つまり散々酷い目にあって、ようやく満月がやってきてさあ反撃だぜベイビーというとことで終わらせてしまうのです。その反撃部分をもって描いてくれればスカッとするんですが。

花咲舞が黙ってない 

 2014年に日本テレビ系で「花咲舞が黙ってない」というテレビドラマが放映されました。原作は花咲舞が登場する「不祥事」ですが、「銀行総務特命」も原作として使用されています。テレビドラマ第6話「支店長が女子行員にセクハラ!? 同期の絆と舞の涙」は「官能銀行」が原作となっており、テレビドラマ第8話「銀行が経営破たん!? おばあちゃんの預金を守れ!!」は「銀行特命総務」第八話「「ペイオフの罠」が原作になっています。

不祥事 

 「不祥事」はエンターテインメント性を強く出し、現実にはできないことをキャラクターがやり、読者に漫画のように面白がってもらえる作品を目指して執筆されたそうで、おそらく「銀行特命総務」に足りなかった部分を補充したのではないかと思われます。そして唐木怜の発展型が花咲舞なのではないかと。じゃあ唐木怜は杏みたいな女性を連想すればいいのか。もうちょっと暗くて理知的な気もしますけどね。

花咲舞役の杏 

働く女性の24時 女と仕事のステキな関係:10年以上前の話ですが、状況は今も変わっていないような

東日本大震災から6年

 東日本大震災から6年…。あっという間のような気もするし、ずいぶん経ったような気もします。当時の小学1年生が中学1年生になるだけの時間です。親とか親戚からするとあっという間だけど、本人的には永遠に続くかと思われた小学生時代が終わったなあとことで、その間はずいぶん長かったと感じることでしょう。ホント、時間の経過って年齢と共に加速度的に早くなっていきますね。

働く女性の24時間 

 本日は野村浩子の「働く女性の24時 女と仕事のステキな関係」を紹介しましょう。日経ビジネス人文庫から2005年10月1日に刊行されています。野村浩子の著書は初めて読みました。日経ビジネス人文庫には裏表紙に内容紹介がないので、代わりにAmazonの内容紹介です。

CAさんたち 

 稼ぎはソコソコでも、仕事と私生活のバランスを優先。彼や夫がいても、自分を癒す「ひとり時間」は譲れない――。「日経ウーマン」編集長が、働く女性の等身大の姿や本音を軽やかに描いた、初の書き下ろしエッセイ。 

野村浩子 

 野村浩子は1962年生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒業後、就職情報会社ユー・ピー・ユーを経て、日経ホーム出版社発行のビジネスマン向け月刊誌「日経アントロポス」の創刊チームに加わります。「日経WOMAN」編集部に移って、副編集長を経て編集長に。その後、日本初の女性リーダー向け雑誌「日経EW」編集長、日本経済新聞社編集委員、「日経マネー」副編集長を歴任しています。その他、淑徳大学人文学部表現学科長・教授、財政制度等審議会委員、日本ユネスコ国内委員会委員など各種委員も務めており、著書に本書のほか「女性に伝えたい 未来が変わる働き方」、「定年が見えてきた女性たちへ」などがあります。

女性に伝えたい 未来が変わる働き方 

 「日経WOMANリアル白書」と銘打っているとおり、外国人を含む様々な働く女性達に取材して、著者の感想を交えずに客観的に取り扱っています。元は「日経MJ」に2003年10月から2005年9月まで連載されたコラム「日経ウーマン編集長野村浩子の女性真理学」で、大幅な加筆をして文庫版描き下ろしとしています。

定年が見えてきた女性たちへ 

 ビジネスマンとサラリーマンという似て非なるカテゴリーの中、私はどうみてもしがないリーマンなんで、「日経ビジネス人文庫」という名前だけで、十字架を突きつけられたドラキュラのごとく、はたまた聖水をかけられた悪魔というか、それはまあ大袈裟だけど太陽をまともに見てしまったような眩しさを感じてしまうのですが、気の迷いで手にとってしまいました。特に女性問題とかに関心が高いわけでもないのに。

看護師さんたち 

 内容は実例集みたいなものなので、読みやすいです。むしろ驚くべきことは、十年一昔といって、10年経ったら当時の常識は非常識に化すると思われるところ、ほぼ状況が変わっていないように感じることです。

スウェーデン 

 年収300万円で収入は低いかわりに残業や休日出勤は逃れて“そこそこの幸せ”堪能する女性。一人の時間を大切にして様々な“お一人様”を楽しむ女性。結婚相手としての男に対する条件が高く、妥協してまで結婚したいと思わない女性や子供の産まない選択をした女性。様々な女性に取材してその本音を聞き出す作者。男女の役割の平等性という点で先進的な北欧スウェーデンでも取材していて、男も産休育休を取って当然だったり、女性が一生仕事を続けるのも当然な社会では、家事育児も等分に負担している様子が示されていますが、そんなスウェーデンでも男は隙あらば家事を避けようとする傾向があるという(そしてそれは離婚の大きな原因となっているという)。男ってヤツは…と嘆くのは容易いですが、完全に男女平等を追及するというのも無理があるんではないかとも考えてしまいます。

働く女性のイメージ 

 注目すべきは第4章。本書の主たるテーマではないかも知れませんが、実年齢より若く見られると主張する女性は多いけど、実際に会ってみると「年齢相応」だったというケースが多いというエピソードに笑いました。すっぴんだと大学生に間違われるという女性、10歳年下の男が恋い焦がれてくるという女性…どちらも36歳なんです。作者は「外見に関する自己申告は、少々あてにならない」とごく控えめに突っ込んでいますが……

嘘を言うなっ! 

 個人的にはこの人達に「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ」第三話「分隊」の予告における名優銀河万丈さんの名セリフを贈りたい。すなわち「嘘を言うなっ!」(これはいずれ「記憶に残る一言」で詳しく紹介したいと思っています)

嘘だッ 

 あるいは「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」における竜宮レナ(中原麻衣大熱演)の名セリフをプレゼントします。すなわち「嘘だッ!!!」

働く女性のイメージその2 

 あと「日経ウーマン」でのアンケート調査によると、年収300万円でそこそこやりがいのある仕事をして、土日やアフターファイブはしっかり休むというのが、女性に一番支持された働き方だそうですが、これってシングルでもそれでいいってことですか?夫がいて同等以上に稼いでいるということが前提なような気がしますが。駆け出しの青二才の頃はまあ年収300万円も仕方ないと思いますが、いい年になっても300万円のままだとキッツいなあ。食べていけるかどうかといえばそりゃあ食べていけるとは思いますが、何をするにしても人生を楽しむにはおあしが足りないような。ソシャゲの課金もできやしない(してませんが)。

女性の職場のイメージ 

 もちろんお金のかからない趣味もあるでしょうし、それで楽しければ他人がとやかく言うことではないのですが、お金がないがためにそういう趣味しか選択できないということだとしたら、それは本当に幸せなんでしょうかね。幸せなんだと自分に言い聞かせて偽っているような気も。

2016年の平均年収データ 

 2016年の世代別平均年収はこのようになっています。できれば平均を上回りたいと思うのは人の性ではないでしょうかね。貧乏家庭出身の私はことさらにそう思ってしまうのですが。

女性の職場のイメージその2 

 人によっては専業主婦志望という人もいるでしょうし、人の生き方はひとそれぞれなんですが…“一億総括役社会”ってのは、きっと「専業主婦がんばってね」という意味ではなく、生産年齢人口(年齢別人口のうち労働力の中核をなす15歳以上65歳未満の人口層)は男も女も全員働け、出来れば65歳超えても働けやというニュアンスを多分に含んでいるような気がします。少子化進行のせいで失業率は減少し、求人倍率はアップ傾向ですからね、我が日本では。
プロフィール

ユースフ

Author:ユースフ
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
カテゴリ
リンク
ブロとも一覧

秒速5センチメートル・・・桜花抄の軌跡を追ってみた

心理兵器:秒速5センチメートル
カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
FC2カウンター
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
日記
84位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
会社員・OL
10位
アクセスランキングを見る>>
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

最新トラックバック
検索フォーム
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ